説明

食品成形装置

【課題】装置の小型軽量化及び制御の簡略化を図る。
【解決手段】本発明の食品成形装置1は、互いに対向して設けられる2個一対の成形部材7a,7bと、各成形部材7a,7bを互いに近接離間方向に往復動させる第1往復動機構8と、各成形部材7a,7bを互いに逆向きに往復動させる第2往復動機構9とを備え、各成形部材7a,7bは、切断部12a,12bの上流側において凹面状に湾曲して形成された上流側食品成形部13a,13bと、切断部12a,12bの下流側において凹面状に湾曲して形成された下流側食品成形部14a,14bとを備え、切断部12a,12bの摺動方向に沿って切断部12a,12bの厚みが次第に薄くなり上流側食品成形部13a,13bと下流側食品成形部14a,14bとが次第に接近するように形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品成形装置に関し、特に、連続して送り出される棒状の食品を所定形状に成形するための食品成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、餅菓子等の食品を製造する過程において、食品供給装置から連続して送り出される棒状の食品を略球状等の所定形状に成形するために食品成形装置が使用されている。
【0003】
この種の従来の食品成形装置は、左右一対に配置されて互いに逆向きに回転可能な環状の無端走行手段を備えており、該各無端走行手段の外周に取り付けられた多数の成形部材同士が、無端走行手段の回転に伴い、互いに近接離間方向に移動して接触を繰り返すことにより、食品供給装置から送り出された棒状の食品を連続して切断し、所定の形状に成形するようになっている(例えば、特許文献1又は2参照)。
【特許文献1】特開昭60−70027号公報
【特許文献2】特開2002−233297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来の食品供給装置は、無端走行手段に多数の成形部材が取り付けられて構成されており、また、駆動機構の数だけ駆動部が必要なため、装置が大型化すると共にその制御が複雑化し、製造コストや保守管理コストの低減化が図り難いといった問題があった。
【0005】
また、衛生管理上等の理由から、作業終了時に成形部材を洗浄する必要があるが、成形部材が多数設けられているため、その洗浄作業に手間が掛かるといった問題もあった。
【0006】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、装置の小型軽量化及び制御の簡略化を図ると共に、製造コスト及び保守管理コストの低減化を図ることができ、さらに、洗浄作業の簡略化を図ることができる食品成形装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、連続して送り出される棒状の食品を所定形状に成形するための食品成形装置であって、前記棒状の食品に対して直交する方向に細長の形状を成して互いに対向して設けられる2個一対の成形部材と、該各成形部材をそれぞれ互いに近接離間方向に往復動させる第1往復動機構と、前記成形部材の長手方向に沿って該各成形部材をそれぞれ互いに逆向きに往復動させる第2往復動機構と、を備えており、前記各成形部材は、それぞれ、前記第1往復動機構の動作により互いに接離可能且つ前記第2往復動機構の動作により互いに摺動可能な切断部と、前記棒状の食品が送り出される方向に対して前記切断部の上流側において凹面状に湾曲して形成された上流側食品成形部と、前記切断部の下流側において凹面状に湾曲して形成された下流側食品成形部とを備え、前記切断部の摺動方向に沿って前記切断部の厚みが次第に薄くなり前記上流側食品成形部と前記下流側食品成形部とが次第に接近するように形成されていることを特徴とする。
【0008】
そして、前記成形部材には、前記切断部の摺動方向に沿って該切断部の厚みが次第に薄くなり前記上流側食品成形部と前記下流側食品成形部とが次第に接近する形状がその摺動方向に沿って複数形成されていてもよい。
【0009】
また、前記棒状の食品の長手方向に沿って前記各成形部材をそれぞれ同一向きに往復動させる第3往復動機構をさらに備えており、該第3往復動機構は、前記各切断部の接触時に、前記各成形部材を前記棒状の食品の末端側に移動可能なように構成されていてもよい。
【0010】
また、前記第3往復動機構は、駆動源の駆動に伴って回転するカム板と、該カム板の回転動を、前記成形部材を支持するサブベース部材の往復動に変換可能なように前記カム板と前記サブベース部材とを連結すると共に前記カム板の回転動による前記サブベース部材の往復動のストロークを変更可能なストローク可変機構とを備えていてもよい。
【0011】
さらに、前記第1往復動機構の駆動源と、前記第2往復動機構の駆動源と、前記第3往復動機構の駆動源とは同一であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、成形部材が2個一対で設けられていると共に切断部の摺動方向に沿って上流側食品成形部と下流側食品成形部とが次第に接近するように形成されているため、装置の小型軽量化を図りつつ、食品を所定の形状に確実に成形することができる。したがって、装置の信頼性を高めることができると共に、製造コストや保守管理コストの低減化を図ることができる。
【0013】
さらに、成形部材の切断部に該切断部の摺動方向に沿って上流側食品成形部と下流側食品成形部とが次第に接近する形状が複数形成されている場合には、一度に複数個の食品を成形することができるため、生産性を高めることができ、製造コストの低減化を一段と図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る食品成形装置について説明する。ここで、図1は本実施の形態に係る食品成形装置を示す側面図、図2は食品成形装置を示す平面図、図3は食品成形装置を示す平面図である。
【0015】
本実施の形態に係る食品成形装置1は、棒状の食品を所定の形状の餅菓子に成形するための装置であり、図示しない食品供給装置によって上方から下方鉛直方向に向かって複数列(本実施の形態では、4列)の棒状の食品が食品成形装置1に連続して送り出されるようになっている。
【0016】
図1及び図2に示すように、食品成形装置1は、メインベース部材2と、メインベース部材2に対して昇降可能に設けられた水平なサブベース部材3と、サブベース部材3上において左右方向(図1の紙面垂直方向)に固定された2本のガイドレール4a,4bと、各ガイドレール4a,4bに沿って互いに左右方向に摺動可能な左右摺動部材5a,5bと、各摺動部材5a,5b上において前後方向(図1の紙面左右方向)に固定されたガイドレール51aと、該ガイドレール51aに沿って前後方向に摺動可能な前後摺動部材6a,6bと、前後摺動部材6a,6bにそれぞれ固定された左右2個一対の成形部材7a,7bと、各成形部材7a,7bをそれぞれ互いに近接離間方向に往復動させる第1往復動機構8と、各成形部材7a,7bを水平前後方向にそれぞれ互いに逆向きに往復動させる第2往復動機構9と、各成形部材7a,7bを上下方向の同一向きにそれぞれ往復動させる第3往復動機構10と、サブベース部材3の下面側に固定された電動モータ11とを備えており、電動モータ11は、第1〜第3往復動機構8,9,10の共通の駆動源となっている。
【0017】
図3、図4及び図5に示すように、各成形部材7a,7bは、それぞれ、第1往復動機構8の動作により互いに接離可能且つ第2往復動機構9の動作により互いに摺動可能なように突設された切断部12a,12bと、前記棒状の食品が送り出される方向に対して切断部12a,12bの上流側において凹面状に湾曲して形成された上流側食品成形部13a,13bと、切断部12a,12bの下流側において凹面状に湾曲して形成された下流側食品成形部14a,14bとを備えており、上流側食品成形部13a,13bと下流側食品成形部14a,14bとにより餅菓子の外形を略球状の所定形状に成形可能なように構成されている。
【0018】
各切断部12a,12bの先端には、係合凹部15a及び係合凸部15bがそれぞれ湾曲して形成されており、切断部12aと12bの接触時に係合凸部15aと係合凹部15bは互いに係合可能となっている。
【0019】
前記成形部材7a,7bには、切断部12a,12bの摺動方向に沿って該切断部12a,12bの厚みが次第に薄くなり上流側食品成形部13a,13bと下流側食品成形部14a,14bとが次第に接近する形状がその摺動方向に沿って複数形成されている。そして、切断部12a,12bが摺動するに従って、切断部12a,12bの上流側及び下流側には、上流側食品成形部13aと13b及び下流側食品成形部12aと12bによって次第に断面半円形状の湾曲面が形成されるようになっている。
【0020】
第1往復動機構8は、べべルギアボックス16を介して電動モータ11の回転軸に連結される駆動ベルト車17と、駆動ベルト車17との間で第1のベルト18を掛け渡される第1のベルト車19と、該第1のベルト車19と同軸上に設けられた第2のベルト車20と、該第2のベルト車20との間で第2のベルト21を掛け渡される第3のベルト車22と、該第3のベルト車22と同軸上に設けられる駆動歯車23と、該駆動歯車23に歯合する従動歯車24と、鉛直回転軸25,26を介して駆動歯車23と従動歯車24にそれぞれ連結される第1の回転板27及び第2の回転板28と、第1の回転板27上及び第2の回転板28上の対向する偏心位置にそれぞれ一端部が固定される第1の連結棒29及び第2の連結棒30とを備えており、第1の連結棒29及び第2の連結棒30の各他端部は左右摺動部材5a,5bに固定されている。
【0021】
第2往復動機構9は、駆動ベルト31a等を介して電動モータ11の回転軸に連結される駆動ベルト車32a,32bと、該駆動ベルト車32a,32bとの間でベルト33a,33bを掛け渡され、左右摺動部材5a,5b上に取り付けられる従動ベルト車34a,34bと、従動ベルト車34a,34bとそれぞれ同軸状に設けられた略菱形の駆動板35a,35bと、駆動板35a,35bの端部と前後摺動部材6a,6bとをそれぞれ連結する連結部材36a,36bとを備えており、連結部材36a,36bは、駆動板35a,35b及び前後摺動部材6a,6bに対してそれぞれボールジョイントを介して枢設されている。そして、一方の駆動板35aと連結部材36aとの枢設部37aと、他方の駆動板35bと連結部材36aとの枢設部37bとは、駆動板35a,35bの回転中心を挟んで互いに正反対に位置するように設けられている。
【0022】
第3往復動機構10は、ベルト38等を介して電動モータ11の回転軸に連結されるカム板39と、カム板39の回転動をサブベース部材3の往復動に変換可能なようにカム板39とサブベース部材3とを連結すると共にカム板39の回転動によるサブベース部材3の往復動のストロークを変更可能なストローク可変機構40を備えている。ストローク可変機構40は、中央部を支点に上下方向に揺動可能に設けられ、一端部がカム板39の外周に沿って摺動可能なてこ部材41と、一端部がてこ部材41の他端部に固定されると共に複数の孔42が所定間隔で穿設された円弧状部材43と、下端部が円弧状部材43のいずれか1つの孔42に固定されると共に上端部がサブベース部材3の下面に固定される支持部材44とを備えており、支持部材44の下端部を固定する孔42の位置を変えることにより、カム板39の回転動による支持部材44の往復動のストロークを変更可能となっている。
【0023】
次に、本発明の実施の形態に係る食品形成装置の動作について説明する。
【0024】
前記食品供給装置から食品成形装置1に対して4本の棒状の食品が上方から下方鉛直方向に向かって並列に連続して供給されると、電動モータ11の駆動により駆動ベルト車17が回転し、該駆動ベルト車17の回転に伴い、第1のベルト車19、第2のベルト車20、第3のベルト車22、及び駆動歯車23が回転すると共に、該該駆動歯車23の回転に伴い、従動歯車24が駆動歯車23と反対方向に回転する。
【0025】
さらに、この駆動歯車23及び従動歯車24の回転により、第1の回転板27及び第2の回転板28が回転し、この第1の回転板27及び第2の回転板28の回転を、第1の連結棒29及び第2の連結棒30が左右摺動部材5a,5bの近接方向に移動する直線動に変換し、この直線動に従って、成形部材7a,7bはそれぞれ互いに近接方向に直線動する。
【0026】
一方、第2往復動機構9では、上記した電動モータ11の駆動により、駆動ベルト31a等を介して駆動ベルト車32a,32bが回転し、この駆動ベルト車32a,32bの回転を、ベルト33a,33bが駆動板35a,35bに伝達し、駆動板35a,35bが回転する。そして、この駆動板35a,35bの回転を、連結部材36a,36bが前後摺動部材6a,6bの互いに逆向きの前後方向の直線動に変換し、この直線動に従って、成形部材7a,7bはそれぞれ互いに逆向きに直線動する。
【0027】
また、第3往復動機構10では、上記した電動モータ11の駆動により、ベルト38等を介してカム板39が回転し、このカム板39の回転により、てこ部材41が上下方向に揺動する。そして、このてこ部材41の揺動により、支持部材44を介してサブベース部材3が降下し、この降下に従って、成形部材7a,7bは降下する。
【0028】
上記した第1往復動機構8、第2往復動機構9、及び第3往復動機構10の動作は、それぞれ同期して行なわれ、4本の棒状の食品は、各切断部12a,12bによって同時に切断され、4個の餅菓子が成形される。この時、餅菓子の下半分の外形形状は、切断部12a、12bによって切断される前に上流側食品成形部13a,13bにより整えられる一方、餅菓子の上半分の外形形状は、切断部12a、12bにより切断された後に下流側食品成形部14a,14bにより整えられ、これにより、各餅菓子の外形は所定の略球状に整えられる。なお、この時、切断部12a,12bの摺動方向に沿って該切断部12a,12bの厚みが次第に薄くなり上流側食品成形部13a,13bと下流側食品成形部14a,14bとが次第に接近するように成形部材7a,7bが形成されているため、各餅菓子は所定の略球状に精度良く確実に成形されるようになる。
【0029】
このように4個の餅菓子が同時に成形された後、左右の成形部材7a,7bは、電動モータ11及び第1〜第3往復動機構8,9,10の動作により、上記したのとそれぞれ反対方向(離間方向、左右反対方向、上昇方向)に移動し、元の位置に戻る。
【0030】
以降、上記した各動作が繰り返し行われ、食品成形装置1に連続して送り出された棒状の食品から次々に所定形状の餅菓子が4個ずつ同時に成形される。
【0031】
なお、前記食品供給装置から棒状の食品が送り出される向きは、上記した鉛直方向に限定されるものではなく、例えば、前記食品供給装置から棒状の食品が水平方向に送り出される場合にも、食品成形装置1は適用可能である。
【0032】
また、上記した実施の形態では、餅菓子を成形する場合について説明したが、これは単なる例示に過ぎず、本発明に係る食品成形装置は、飴等、餅菓子以外の菓子類、或いは、おにぎりやアンパン等、菓子以外の食品にも適用可能である。また、左右の成形部材7a,7bの動作速度は、成形する食品の大きさに応じて変更するのが好ましく、成形する食品が大きくなるに従ってその動作速度が遅くなるように制御するのがよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態に係る食品成形装置を示す側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る食品成形装置を示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る食品成形装置の成形部材を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る食品成形装置の成形部材の始端部の形状を示す側面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る食品成形装置の成形部材の終端部の形状を示す側面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 食品成形装置
3 サブベース板
7a,7b 成形部材
8 第1往復動機構
9 第2往復動機構
10 第3往復動機構
11 電動モータ
12a,12b 切断部
13a,13b 上流側食品成形部
14a,14b 下流側食品成形部
39 カム板
40 ストローク可変機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続して送り出される棒状の食品を所定形状に成形するための食品成形装置であって、
前記棒状の食品に対して直交する方向に細長の形状を成して互いに対向して設けられる2個一対の成形部材と、
該各成形部材をそれぞれ互いに近接離間方向に往復動させる第1往復動機構と、
前記成形部材の長手方向に沿って該各成形部材をそれぞれ互いに逆向きに往復動させる第2往復動機構と、
を備えており、前記各成形部材は、それぞれ、前記第1往復動機構の動作により互いに接離可能且つ前記第2往復動機構の動作により互いに摺動可能な切断部と、前記棒状の食品が送り出される方向に対して前記切断部の上流側において凹面状に湾曲して形成された上流側食品成形部と、前記切断部の下流側において凹面状に湾曲して形成された下流側食品成形部とを備え、前記切断部の摺動方向に沿って前記切断部の厚みが次第に薄くなり前記上流側食品成形部と前記下流側食品成形部とが次第に接近するように形成されていることを特徴とする食品成形装置。
【請求項2】
前記成形部材には、前記切断部の摺動方向に沿って該切断部の厚みが次第に薄くなり前記上流側食品成形部と前記下流側食品成形部とが次第に接近する形状がその摺動方向に沿って複数形成されている請求項1に記載の食品成形装置。
【請求項3】
前記棒状の食品の長手方向に沿って前記各成形部材をそれぞれ同一向きに往復動させる第3往復動機構をさらに備えており、該第3往復動機構は、前記各切断部の接触時に、前記各成形部材を前記棒状の食品の末端側に移動可能なように構成されている請求項1又は2に記載の食品成形装置。
【請求項4】
前記第3往復動機構は、駆動源の駆動に伴って回転するカム板と、該カム板の回転動を、前記成形部材を支持するサブベース部材の往復動に変換可能なように前記カム板と前記サブベース部材とを連結すると共に前記カム板の回転動による前記サブベース部材の往復動のストロークを変更可能なストローク可変機構とを備えている請求項3に記載の食品成形装置。
【請求項5】
前記第1往復動機構の駆動源と、前記第2往復動機構の駆動源と、前記第3往復動機構の駆動源とは同一である請求項1〜4のいずれか1の請求項に記載の食品成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−271923(P2008−271923A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122167(P2007−122167)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(505290690)
【Fターム(参考)】