説明

食品殺菌法

【課題】 本発明は国産又は輸入生食材の乾燥殺菌工程から加湿復先工程を経て流通段階に移行する場合において変質や「かび」の生じない衛生的な生食材を得ることを目的とする。
【解決手段】 含水率10〜13重量%よりなる生の食品材料を150℃〜200℃の高温蒸気内に数分間滞溜させて大腸菌、一般生菌を殺菌し、これを生蒸気内に5〜10分間滞溜させて含水率8〜12重量%に復元させ、上記高温蒸気内に約5分間滞留させ、上記生蒸気が100℃又は100℃弱であることを特徴とする食品殺菌法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生食品材料(食材)を殺菌し、これを流通食品とする方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ひじき等の海藻、きび、あわ等の穀物等の輸入又は国産の生食材については大腸菌、一般生菌が附着し、食品衛生上問題があった。
【0003】
そこで遠赤外線照射による乾燥工程と、食材の温度を高めて殺菌する殺菌工程とよりなる食材の乾燥殺菌法が実施された。しかし重量の低下や縮小などによる品質に問題を生じた(例えば特許文献1)。
【0004】
そのため縮小乾燥食材を元の状態に復元させるための生蒸気による加湿を行うと、流通段階で「かび」を発生し商品価値を失うという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開平10−23881号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は国産又は輸入生食材の乾燥殺菌工程から加湿復元工程を経て流通段階に移行する場合において変質や「かび」の生じない衛生的な生食材を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため本発明は、
1.高温水蒸気で殺菌すること。
2.その場合乾燥して重量が軽くなる。販売店としては分止りが悪くなる。
3.又そのままでは使用時に吸収性が良くない。
4.「分止り」を良くし吸収性を良くする為には実験の如く再加湿をする必要がある。
5.殺菌、加湿(湿度調整)操作をライン化する。
即ち
第1に含水率10〜13重量%よりなる生の食品材料を150℃〜200℃の高温蒸気内に数分間滞溜させて大腸菌、一般生菌を殺菌すると、含水率が2〜6%となり重量が軽くなる、これを生蒸気内に5〜10分間滞溜させて含水率8〜12重量%に復元させることを特徴とする食品殺菌法、
第2に上記高温蒸気内に約5分間滞溜させ、上記生蒸気が100℃又は100℃弱である上記第1発明記載の食品殺菌法、
第3に上記殺菌食品材料を流通させた後、これを30分間水に浸漬し、浸漬前後の重量倍率が9〜10倍である上記第1又は第2発明記載の食品殺菌法、
によって構成される。
【0008】
従って生の食品材料は高温蒸気雰囲気内で含水率が2〜6重量%に分量が減少し体積が収縮し、殺菌される。
【0009】
この殺菌食品材料を生蒸気雰囲気に投入し含水率8〜12重量%に加湿することによって生状態の食品材料に復元し、流通させることができ、
需要者において水に浸漬して重量を9〜10倍に増量し、これを調理することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述のように構成したので生の食品材料中の細菌を滅菌し得るばかりでなく、乾燥により収縮した食品材料を生蒸気によって「かび」の生じない程度に生の状態に復元し流通させ得る効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
回転円筒1を4個の駆動輪2,2で支援し駆動輪2,2の回転によって該円筒1を矢印aの方向に回転させる。
【0012】
上記円筒1は傾斜させ、上端板3の中央部に生の食品材料(例えば生のひじき、きび、粟等)の投入口4を開口し、投入シュート5を設ける。
【0013】
下端板6の中央部には乾燥食品材料の排出口7を開口し、排出シュート8を設ける。
【0014】
上記円筒1の内周面には均等開き角に複数の掻板9が設けられ、該円筒1の中心線cに沿って高温蒸気管10を配管し、複数の噴出口11が穿設され、該噴出口11から高温蒸気12を噴出し、高温蒸気雰囲気が形成されている。
【0015】
上記円筒1を水平に支持する場合は上記掻板9にかえて螺旋羽根が用いられる。
【0016】
上記生の食品材料(生ひじき、きび、粟等)の含水率は10〜13重量%であり、上記高温蒸気雰囲気は150〜200℃であって、生の食品材料は投入口4から投入され排出口7から排出されるまでの経過時間は約5分間である。
【0017】
上記5分間に上記食品材料は含水率2〜6強重量%に重量が軽くなり、上記排出口7から排出シュート8を経て機外に取卸される。
【0018】
このようにした乾燥殺菌食品材料はポーラスとなって重量が減少する為流通業者には不利益となる。調理前に水を吸収させても充分に膨潤せず、調理前の前処理に長時間を要し、流通商品には不適である。
【0019】
そこで上記乾燥殺菌食品材料を第2の回転円筒(図示していない)内に投入し、中心線に沿って配管された生蒸気噴出管から100℃又は100℃弱の水蒸気(生蒸気)を噴出させて生蒸気雰囲気を形成し、
上記投入材料を第2の上記円筒内雰囲気を5分〜10分間通過させることによって含水率8弱〜12重量%に加湿し、これを商品として流通させても「かび」を生じることはない。
【0020】
上記商品を流通させ、これを需要者において30分間水道水に浸漬することによって浸漬前後の重量倍率が約9〜10倍に増量し、これを調理して喫食することができる。
【実施例1】
【0021】
中国産ひじき(初期含水率13重量%弱)及び国産ひじき(初期含水率10重量%)を200℃の水蒸気雰囲気内に約5分間接触することによって含水率2〜6重量%に乾燥して殺菌を行った。
【0022】
上記ひじきはこの乾燥殺菌によって内部組織が連通気孔(ポーラス)化して重量が著しく低減させて第1工程を終了する。
【0023】
上記乾燥殺菌ひじきを100℃/atmの生蒸気雰囲気内に投入することによって重量が4〜5倍に加湿復元され第2工程を終了し、この加湿復元ひじきを流通させても「かび」を生ずることはなかった。
【0024】
上記流通ひじきを市場で購入し、水道水に30分間浸漬復元させることにより浸漬前後の重量倍率が9〜10倍となった。表1に実施データをしめす。
【0025】
【表1】

【0026】
○印は流通段階で「かび」を生じ変質した。×印は流通段階で「かび」を生じなかった。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の食品殺菌法を実施する回転円筒を示す縦断側面図である。
【図2】図1の縦断正面図である。
【図3】本発明の食品殺菌法のフローシートである。
【符号の説明】
【0028】
1 回転円筒
2 駆動輪
4 投入口
7 排出口
9 掻板
10 高温蒸気管
12 高温蒸気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水率10〜13重量%よりなる生の食品材料を150℃〜200℃の高温蒸気内に数分間滞溜させて大腸菌、一般生菌を殺菌し、
これを生蒸気内に5〜10分間滞溜させて含水率8〜12重量%に復元させることを特徴とする食品殺菌法。
【請求項2】
上記高温蒸気内に約5分間滞溜させ、上記生蒸気が100℃又は100℃弱である請求項1記載の食品殺菌法。
【請求項3】
上記殺菌食品材料を流通させた後、これを30分間水に浸漬し、浸漬前後の重量倍率が9〜10倍である請求項1記載の食品殺菌法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−254870(P2006−254870A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−80207(P2005−80207)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(592196271)株式会社ワコー (4)
【Fターム(参考)】