食品用の包装シートとそれを用いた食品の包装方法および包装済み食品
【課題】ハンバーガーの包装を少ない手順数でかつ迅速に行うことができ、かつ同時に、包装したハンバーガーに対する高い保形性をも確保することのできる包装シートを得る。
【解決手段】基材シート11の端部を折り返し部13で折り返し、基材シートの積層領域18を形成する。折り返し部13の中央部に切り込み線14を形成し、積層領域18の両側部を熱シールにより接合した接合部分17とする。積層領域18の中央部が帯状包囲部20となる。必要に応じて、帯状包囲部20に厚紙のような補強用シート21を積層一体化する。包装に当たり、包装シート10Aの帯状包囲部20をリング状に開いた姿勢でハンバーガー50の上から落とし込み、ハンバーガー50の周囲を帯状包囲部20で包囲した状態とする。その後、包装シート10でハンバーガー50全体を包み込む。
【解決手段】基材シート11の端部を折り返し部13で折り返し、基材シートの積層領域18を形成する。折り返し部13の中央部に切り込み線14を形成し、積層領域18の両側部を熱シールにより接合した接合部分17とする。積層領域18の中央部が帯状包囲部20となる。必要に応じて、帯状包囲部20に厚紙のような補強用シート21を積層一体化する。包装に当たり、包装シート10Aの帯状包囲部20をリング状に開いた姿勢でハンバーガー50の上から落とし込み、ハンバーガー50の周囲を帯状包囲部20で包囲した状態とする。その後、包装シート10でハンバーガー50全体を包み込む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、限定されるものではないが、特に、ファーストフード店において提供されるハンバーガー等の食品を包装するのに適した食品用の包装シートとそれを用いた食品の包装方法、および包装済み食品に関する。
【背景技術】
【0002】
ファーストフード店でハンバーガー等の食品を提供する際の包装資材として、紙材をポリエチレンフィルムなどでラミネートした包装シートや、特許文献1に記載のようにそのような包装シートを袋状に成形したものが用いられている。また、特許文献2に記載のように、箱型容器(クラムシェル型容器)を用いることも知られている。箱形容器は収容した食品に対する保形性(保護性)に優れているが、特殊な製函金型が必要となる。包装シートあるいはそれを袋状に成形したものは、特殊な製函金型は必要ないが、包装後の食品に対する保形性の点で箱形容器に劣っている。
【0003】
薄紙状の包装シートを用いながら包装した食品に対する保形性も担保できる包装用資材として、特許文献3には、側壁を備えた厚紙製のトレーと、トレーに付着させた包装シートとからなるフードパックが記載されている。包装シートにより前記トレー内に収まる形に食品を包装した後、トレーの側壁を立ち上げることにより、包装は完成する。
【0004】
【特許文献1】実開平05−040150号公報
【特許文献2】特開2005−306480号公報
【特許文献3】特表2002−520233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献3に記載される形態のフードパックは、トレーの側壁を立ち上げることにより包装は完成し、包装した食品は立ち上がった側壁に保護されるので、包装された食品が不用意に潰れることはある程度回避できる。しかし、包装シートで包装した後に、トレーの側壁を立ち上げる作業が必要であり、手順数が増えることから、迅速な処理が求められるファーストフード店での使用には不向きである。また、側壁を立ち上がった姿勢に保持しておくには、粘着テープ等で側壁同士を固定するような作業が必要であり、その作業を行わない場合には、側壁が倒覆しやすく包装した食品の保形機能が不完全となる。
【0006】
本発明は、上記のよう事情に鑑みてなされたものであり、食品の包装を少ない手順数でかつ迅速に行うことができ、かつ同時に、包装した食品に対する高い保形性をも確保することのできる、ファーストフード店などで用いるのに好適な食品用の包装シートを提供することを目的とする。また、本発明は、その包装シートを用いた食品の包装方法および包装済み食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による食品用の包装シートは、基本的に、包装する食品の外周に沿って当該食品を包囲することのできる帯状包囲部を一体に有していることを特徴とする。
【0008】
本発明による包装シートは、使用に当たって、例えば調理台の上等に当該包装シートを広げて置き、その上に、例えばハンバーガー等の食品を置く。その状態で帯状包囲部の一部を手で持ち、帯状包囲部をリング状に開いた状態としながら食品の上に移動し、それに連続した手順で帯状包囲部を上から落とし込む。それにより、食品の周囲は帯状包囲部により包囲された姿勢となる。その姿勢とした後、包装シート全体で食品を包み込む。
【0009】
包み込まれた食品は、その周囲が帯状包囲部で囲まれており、帯状包囲部の強さに応じた保形力が確保されるので、食品が不用意に変形するのを防止できる。包装に至るまでの手順も連続した手順として行うことができ、少ない手順数でかつ迅速に包装作業を終えることができる。
【0010】
本発明において、包装シートには任意のものを用いることができるが、紙材にポリエチレンフィルムなどの樹脂フィルムを積層したものは特に好ましい。この場合、樹脂フィルム側を内側として食品の包装を行う。また、本発明において、前記帯状包囲部の高さは任意であるが、実用上、包装しようとする食品の高さと等しいかそれよりやや高いあるいは低い高さであることが望ましい。
【0011】
本発明による包装シートにおいて、前記帯状包囲部は種々の方法で包装シートに一体に形成することができる。一例として、前記帯状包囲部は、包装シートを折り返して2層に積層した積層領域における対向する2枚の包装シートの一部によって形成される。
【0012】
この場合、包装シートの一部によって形成された帯状包囲部には上端を閉鎖した袋状体が形成される。包装時に、帯状包囲部の一部を手で持ち、帯状包囲部をリング状に開いた状態として、食品の周囲を帯状包囲部により包囲した状態としたときに、該食品はその袋状体の中に入り込んだ姿勢となる。
【0013】
前記帯状包囲部の他の態様では、前記帯状包囲部は、包装シートを折り返して2層に積層した積層領域における対向する2枚の包装シートの一部によって形成され、かつ前記折り返し部における前記帯状包囲部に対応する部分には切り込み線が形成される。
【0014】
この態様では、包装時に、帯状包囲部の一部を手で持ち、帯状包囲部をリング状に開いたときに、前記切り込み線部分が開くことにより、上方は開放状態となる。前記と同様にして食品の周囲を帯状包囲部により包囲したときに、該食品の上方部は前記開放部から目で見ることができる。
【0015】
本発明による食品用の包装シートにおいて、一端側に前記帯状包囲部のいずれかを形成し、他端側に前記帯状包囲部と同じまたは異なる第2の帯状包囲部を形成する態様とすることもできる。この態様では、一方の帯状包囲部で食品の周囲を包囲した状態とした後、包装シートで全体を包み込み、包み込んだ全体の周囲をさらに前記第2の帯状包囲部により包囲した状態とすることができる。それにより、より高い保形性を備えかつ不用意に包装シートが解放することのない食品包装体とすることができる。
【0016】
上記した形態のように、帯状包囲部が包装シートの一部により形成されている場合において、包装シートを構成する材料が腰の弱い(例えば秤量が小さい)ものである場合には、上あるいは横からの荷重を受けたときに帯状包囲部に変形が起こりやすくなり、包装した食品に対する保形性が十分に確保できない場合が起こる。それに対処するために、本発明による包装シートの一態様では、前記帯状包囲部に補強用シートを積層される。補強用シートの材料には、厚紙や段ボール(片面段ボール、両面段ボール)、ポリエチレンシート等が好ましくは用いられる。補強用シートが積層されることにより、包装食品に対するより高い保形機能が確保できる。
【0017】
本発明による包装シートの他の態様では、前記帯状包囲部は、包装する食品の外周に沿って当該食品を包囲することのできるリング状部材が扁平にされた姿勢で包装シートに一体に取り付けられることにより形成される。リング状部材には、包装食品に対する所要の保形性を確保できる強度を持つ厚紙や段ボール(片面段ボール、両面段ボール)、ポリエチレンシート等の材料が好ましくは用いられる。この形態の包装シートでも、包装時に扁平にされたリング状部材をリング状に開くことによって、上記した他の包装シートと同様に食品を包装することができ、かつ食品に対する所要の保形性も確保することができる。
【0018】
本発明による包装シートで包装された食品を食するときには、包装シートを開き、食品の外周に沿って当該食品を包囲している前記帯状包囲部を下に引っ張る等により、その一部または全部を食品から外す。その状態で、包装シートを介して食品を手で持ち、包装シートで包まれてない部分から順次食していくこととなるが、食品の周囲から帯状包囲部を取り外す手順が円滑に進まず、指がハンバーガー等の食品に接触して、指に食品の一部が付着することが起こり得る。
【0019】
それを回避するために、本発明による包装シートの他の態様では、前記帯状包囲部の周囲に易破断線が形成される。易破断線とは少ない力で破断しやすい線のことであり、一例としてミシン目の線が挙げられる。この態様では、食するときに、帯状包囲部を指で摘み軽く引っ張る等の力を加えるだけで、帯状包囲部の全部または一部を包装シートから容易に分離することが可能となり、指を汚すことなく食べやすい環境を容易に形成することができる。
【0020】
本発明は、また、上記した包装シートを用いる食品の包装方法として、調理台の上に、上記したいずれかの包装シートを置き、該包装シートの上に食品を置いて必要な調理を行い、包装シートに一体に形成した帯状包囲部をリング状に開いた姿勢で上から落とし込むようにして前記調理後の食品の周囲を帯状包囲部で包囲した状態とした後、包装シートで食品全体を包み込むことを特徴とする食品の包装方法をも開示する。また、該包装方法により包装された包装済み食品をも開示する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、食品の包装を少ない手順数でかつ迅速に行うことができ、同時に包装した食品に対する高い保形性を確保することもできる新規な包装シートが得られる。本発明による包装シートは、任意の場所で任意の食品を包装するのに用いることができるが、ファーストフード店でのハンバーガー用の包装シートとして特に優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明をいくつかの実施の形態に基づき説明する。図1〜図7は本発明による包装シートの第1の形態とそれを用いた食品の包装手順を示している。図1は第1の形態の包装シート10を作るのに用いる基材シート11の展開図であり、この例で基材シート11は紙とポリエチレンフィルムの積層シートであり、ポリエチレンフィルム側が上面として置かれている。基材シート11は長方形であり、一方の短辺12の側から所定距離aだけ内側に入った位置が、短辺12と平行な折り返し部13とされる。該折り返し部13の中央部には長さbの切り込み線14が形成され、該切り込み線14の両端には基材シート11の長辺に平行にミシン目のような易破断線15が形成されている。易破断線15の一方端は短辺12にまで達しており、他端は距離aだけさらに内側に入り込んでいる。そして、両端間には短辺12に平行な第2の易破断線16が形成されている。なお、易破断線15,16の双方またはいずれか一方は省略することもできる。
【0023】
図1に示す基材シート11の前記短辺12側の側縁領域を、矢印Aに示すように、折り返し部13に沿って折り返す。それにより、基材シート11の一方の端縁には幅aである基材シート11が積層した領域18が形成される。折り返した後、積層した領域18の長辺に沿った部分、前記易破断線15に沿った部分、および折り返し後の短辺12に沿った部分であって易破断線16よりも長辺側に位置する部分を、例えば熱シール等により接合して、左右の接合部分17とする。それにより、図2に示すように、第1の形態の包装シート10となり、積層領域18の前記左右の接合部分17で挟まれた部分に、高さがa、横幅がbである本発明でいう「帯状包囲部」20が形成される。なお、帯状包囲部20の高さaおよび横幅bは、包装しようといる食品の大きさに依存して設定されるものであり、高さaは食品50の高さとほぼ等しくされ、幅bはその食品50を外側から包囲することのできる長さとされる。すなわち、幅bの長さは食品50の外周の長さのほぼ1/2程度とされる。
【0024】
また、「帯状包囲部」20の形成は、折り返しによって形成する以外に、図1に示す折り返す部分と同じ素材と形状の帯状シートを別途用意し、図2に示すようにそれを接合部分17によって包装シート10に接合して形成してもよい。
【0025】
包装シート10はラミネートしたポリエチレンフィルム側を上として必要枚数だけ積層され、例えばハンバーガーショップの店頭に運ばれる。食品がハンバーガーである場合、ハンバーガーショップの店員は、積層状態の包装シート群から一枚の包装シート10を取り、それを調理台の上に置く。そして、包装シート10を調理用台紙として利用して必要な調理を行い、図3に示すように、調理済みのハンバーガー50を包装シート10の前記帯状包囲部20の近くに置く。
【0026】
その状態で帯状包囲部20の前記短辺12側の一部を店員が指で摘むようにして持ち上げる。それにより、帯状包囲部20の折り返し部13側も前記切り込み線14の部分で開放した状態となり、全体としてリング状に開いた状態となる。その状態の帯状包囲部20をハンバーガー50の上に移動し、それに連続した手順で開放状態となった帯状包囲部20をハンバーガー50上から落とし込む。それにより、図4に示すように、ハンバーガー50の周囲は帯状包囲部20により包囲された姿勢となる。
【0027】
次に、図5に示すように、包装シート10の残りの部分を上に持ち上げ、図6に示すように、その部分で帯状包囲部20により包囲されているハンバーガー50を包み込む。さらに、図7に示すように左右の包装シートを折り込むことにより、包装シート10全体でハンバーガー50は包み込まれた包装済み食品60となる。包み込まれたハンバーガー50はその周囲が帯状包囲部20で囲まれており、帯状包囲部20の強さに応じた保形力が確保されるので、ハンバーガー(食品)50が不用意に変形するのを防止できる。
【0028】
図8〜図10は、本発明による包装シートの第2の形態とそれを用いた食品の包装手順の一部を示している。この形態の包装シート10Aは、帯状包囲部20の強度を大きくするために、帯状包囲部20の部分に補強用シート21を積層している点でのみ、第1の形態の包装シート10と相違する。従って、図8〜図10において同じ部材には同じ符号を付し、説明は省略する。図8は図1に相当する図であり、基材シート11における前記帯状包囲部20に相当する領域の裏面側には、厚紙等からなる補強用シート21,21が積層一体化されている。
【0029】
食品の包装に当たっては、前記と同様に、例えば調理済みのハンバーガー50を包装シート10Aの前記帯状包囲部20の近くに置き(図9)、帯状包囲部20の短辺12側の一部を指で摘むようにして持ち上げる。帯状包囲部20は全体としてリング状に開いた状態となり、その状態の帯状包囲部20をハンバーガー50の上に移動してハンバーガー50上から落とし込む。それにより、図10に示すように、ハンバーガー50の周囲は帯状包囲部20により包囲された姿勢となる。この形態の包装シート10Aは、帯状包囲部20に補強用シート21が積層されているので、補強用シート21の強さに応じた保形力を確保することができ、ハンバーガー(食品)50が不用意に変形するのをさらに確実に防止することができる。なお、補強用シート21は基材シート11の裏面側に位置しており、ハンバーガー(食品)50に直接接することはないので、広い範囲の材料から補強用シート21の材料を選択することができる。
【0030】
図11〜図16は、本発明による包装シートの第3の形態とそれを用いた食品の包装手順を示している。この包装シート10Bは、基材シート11の両端部に帯状包囲部20、20Aが形成されている点で、前記第1と第2の包装シート10,10Aと相違する。なお、図11〜図16において、第1と第2の包装シート10,10Aの場合と同じ機能を果たす部材には同じ符号を付している。
【0031】
この形態では、図11に示すように、基材シート11の一方の短辺12から所定距離aの位置に切り込み線14が形成されることに加え、他方の短辺12aから所定距離a1だけ内側の位置にも短辺12aに平行に第2の切り込み線14aが形成されている。距離a,a1、および切り込み線14aの長さはほぼ等しいことが好ましいが、異なっていても差し支えない。双方の端部を第1と第2の包装シート10,10Aと同様にして折り返し、接合部17を形成することにより、図12に示すように、一方の端部に帯状包囲部20が、また、他方の端部に第2の帯状包囲部20Aが形成された包装シート10Bが得られる。
【0032】
包装に当たっては、図13に示すように、一方の帯状包囲部20(20A)の近傍にハンバーガー(食品)50を置き、図14に示すように、前記したと同様の手順でハンバーガー50の周囲を帯状包囲部20(20A)で包囲した状態とする。次に、図15に示すように、帯状包囲部20(20A)で包囲した状態のハンバーガー50を反転させた後、図16に示すように、包み込んだ全体の周囲をさらに他方の帯状包囲部20A(20)により包囲した状態とする。それにより、ハンバーガー50は2重に帯状包囲部20,20Aで周囲が囲まれた状態となるので、より高い保形性を備えかつ不用意に包装シートが解放することのない食品包装体60が得られる。
【0033】
なお、図示しないが、帯状包囲部20、20Aの双方あるいはいずれか一方に、第2の形態の包装シート20Aにおけると同じように、補強用シート21を積層一体化するようにしてもよい。いずれか一方にのみ設ける場合には、最初にハンバーガー50を囲い込む方の帯状包囲部20、20Aに補強用シート21を積層一体化することが好ましい。
【0034】
図17、図18は、本発明による包装シートの第4の形態とそれを用いた食品の包装手順の一部を示している。この包装シート10Cでは、帯状包囲部20は、上記した形態のように基材シート11を折り返した積層領域により形成されるのではなく、包装する食品の外周に沿って当該食品を包囲することのできるリング状部材22が、扁平にされた姿勢で包装シートを構成する基材シート11に一体に取り付けられることにより形成されている。図17に示す例では、前記リング状部材22は厚紙で形成されており、扁平にした一方の面が基材シート11に接着剤等を用いて一体にされている。
【0035】
包装に当たっては、図17に示すように、ハンバーガー(食品)50をリング状部材22近傍に置く。そして、リング状部材22の一部を指で摘むようにして持ち上げると、リング状部材22は全体としてリング状に開いた状態となる。その状態のリング状部材22をハンバーガー50の上に移動してハンバーガー50の上から落とし込む。それにより、図18に示すように、ハンバーガー50の周囲はリング状部材22(帯状包囲部)により包囲された姿勢となる。以下、上記した他の形態の包装シートの場合と同様に、基材シート11の他の領域を利用してハンバーガー(食品)50を包み込めばよい。
【0036】
図19、図20は、本発明による包装シートの第5の形態とそれを用いた食品の包装手順の一部を示している。この包装シート10Dは、基本的構成において、前記図8〜図10に示した第2の形態の包装シート10Aと類似しており、帯状包囲部20の部分に補強用シート21が積層されている。しかし、前記一方の短辺12が基材シート11のさらに内側に位置するように、折り返し幅a2が、第1の形態の包装シート10の折り返し幅aよりも大きくとられている。そして、該折り返し部13には、切り込み線14は形成されていない。そのために、前記帯状包囲部20の上端(折り返し部13側)は閉鎖した袋状体となっている。第1と第2の包装シート10,10Aと同様、易破断線15,16も形成されている。
【0037】
この形態の包装シート10Dでは、包装時に、帯状包囲部20に積層された補強用シート21の短辺12側の近傍を指で摘み、帯状包囲部20をリング状に開いた状態とすると、折り返し部13が閉じ、帯状包囲部20側が開いた袋状体が形成される。図20はその状態となった包装シート10Dでハンバーガー50を包み込む直前の状態を示しており、図の状態からさらに帯状包囲部20を矢印方向に回転することにより、ハンバーガー50の周囲を帯状包囲部20に積層した補強用シート21で包囲した状態とすることができ、同時に、ハンバーガー50はその袋状体の中に入り込んだ姿勢となる。以下、上記した他の形態の包装シートの場合と同様に、基材シート11の他の領域を利用してハンバーガー(食品)50を包み込むことにより、包装済みのハンバーガーとなる。
【0038】
なお、図示の例では、補強用シート21の横幅b1は帯状包囲部20の横幅bよりも狭くなっているが、同じ幅であってもよい。必要な強度が得られることを条件に任意の横幅のものとすることができる。なお、このことは、前記図8〜図10に示した第2の形態の包装シート10Aにおける補強用シート21についても同様である。
【0039】
購買者は、包装済みのハンバーガーを店頭で購入する。食べるときは、包装シート10の一部開いて、ハンバーガー50を露出させる。その時点では、ハンバーガー50の外周は前記帯状包囲部20で包囲されている。購買者は帯状包囲部20を下に引っ張る等によりその一部または全部をハンバーガー50から外し、その状態で、包装シート10を介してハンバーガー50を手で持ち、包装シートで包まれてない部分から順次食していく。ハンバーガー50の周囲から容易に帯状包囲部20を取り外すことができない場合には、帯状包囲部20を指で摘み軽く引っ張る等の力を加える。上記の例では、帯状包囲部20の周囲には易破断線15,16が形成されており、少ない力で容易に帯状包囲部20の全部または一部を包装シートの基材シート11から分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による包装シートの第1の形態に用いる基材シートを示す平面図。
【図2】図1に示した基材シートを用いて作った第1の形態の包装シートを示す平面図。
【図3】包装シートの上に食品を置いた状態を示す図。
【図4】食品の周囲を帯状包囲部で包囲した状態を示す図。
【図5】包装時における図4の次の状態を示す図。
【図6】包装時における図5の次の状態を示す図。
【図7】第1の形態の包装シートによる包装後の食品を示す図。
【図8】本発明による包装シートの第2の形態に用いる基材シートを示す平面図。
【図9】図2に示した基材シートを用いて作った包装シートの上に食品を置いた状態を示す図。
【図10】食品の周囲を帯状包囲部で包囲した状態を示す図9に続く図。
【図11】本発明による包装シートの第3の形態に用いる基材シートを示す平面図。
【図12】図11に示した基材シートを用いて作った第3の形態の包装シートを示す平面図。
【図13】第3の形態の包装シートの上に食品を置いた状態を示す図。
【図14】食品の周囲を帯状包囲部で包囲した状態を示す図13に続く図。
【図15】包装時における図14の次の状態を示す図。
【図16】第3の形態の包装シートによる包装後の食品を示す図。
【図17】本発明による包装シートの第4の形態の包装シートの上に食品を置いた状態を示す図。
【図18】食品の周囲を帯状包囲部で包囲した状態を示す図17に続く図。
【図19】本発明による包装シートの第5の形態の包装シートの上に食品を置いた状態を示す図。
【図20】食品の周囲を帯状包囲部で包囲するときの途中図である図19に続く図。
【符号の説明】
【0041】
10、10A〜10D…本発明による包装シート、11…基材シート、12…一方の短辺、12a…他方の短辺、13…折り返し部、14…切り込み線、15,16…易破断線、17…接合部分、18…基材シートの積層領域、20、20A…帯状包囲部、21…補強用シート、22…リング状部材、50…ハンバーガー、60…包装済み食品
【技術分野】
【0001】
本発明は、限定されるものではないが、特に、ファーストフード店において提供されるハンバーガー等の食品を包装するのに適した食品用の包装シートとそれを用いた食品の包装方法、および包装済み食品に関する。
【背景技術】
【0002】
ファーストフード店でハンバーガー等の食品を提供する際の包装資材として、紙材をポリエチレンフィルムなどでラミネートした包装シートや、特許文献1に記載のようにそのような包装シートを袋状に成形したものが用いられている。また、特許文献2に記載のように、箱型容器(クラムシェル型容器)を用いることも知られている。箱形容器は収容した食品に対する保形性(保護性)に優れているが、特殊な製函金型が必要となる。包装シートあるいはそれを袋状に成形したものは、特殊な製函金型は必要ないが、包装後の食品に対する保形性の点で箱形容器に劣っている。
【0003】
薄紙状の包装シートを用いながら包装した食品に対する保形性も担保できる包装用資材として、特許文献3には、側壁を備えた厚紙製のトレーと、トレーに付着させた包装シートとからなるフードパックが記載されている。包装シートにより前記トレー内に収まる形に食品を包装した後、トレーの側壁を立ち上げることにより、包装は完成する。
【0004】
【特許文献1】実開平05−040150号公報
【特許文献2】特開2005−306480号公報
【特許文献3】特表2002−520233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献3に記載される形態のフードパックは、トレーの側壁を立ち上げることにより包装は完成し、包装した食品は立ち上がった側壁に保護されるので、包装された食品が不用意に潰れることはある程度回避できる。しかし、包装シートで包装した後に、トレーの側壁を立ち上げる作業が必要であり、手順数が増えることから、迅速な処理が求められるファーストフード店での使用には不向きである。また、側壁を立ち上がった姿勢に保持しておくには、粘着テープ等で側壁同士を固定するような作業が必要であり、その作業を行わない場合には、側壁が倒覆しやすく包装した食品の保形機能が不完全となる。
【0006】
本発明は、上記のよう事情に鑑みてなされたものであり、食品の包装を少ない手順数でかつ迅速に行うことができ、かつ同時に、包装した食品に対する高い保形性をも確保することのできる、ファーストフード店などで用いるのに好適な食品用の包装シートを提供することを目的とする。また、本発明は、その包装シートを用いた食品の包装方法および包装済み食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による食品用の包装シートは、基本的に、包装する食品の外周に沿って当該食品を包囲することのできる帯状包囲部を一体に有していることを特徴とする。
【0008】
本発明による包装シートは、使用に当たって、例えば調理台の上等に当該包装シートを広げて置き、その上に、例えばハンバーガー等の食品を置く。その状態で帯状包囲部の一部を手で持ち、帯状包囲部をリング状に開いた状態としながら食品の上に移動し、それに連続した手順で帯状包囲部を上から落とし込む。それにより、食品の周囲は帯状包囲部により包囲された姿勢となる。その姿勢とした後、包装シート全体で食品を包み込む。
【0009】
包み込まれた食品は、その周囲が帯状包囲部で囲まれており、帯状包囲部の強さに応じた保形力が確保されるので、食品が不用意に変形するのを防止できる。包装に至るまでの手順も連続した手順として行うことができ、少ない手順数でかつ迅速に包装作業を終えることができる。
【0010】
本発明において、包装シートには任意のものを用いることができるが、紙材にポリエチレンフィルムなどの樹脂フィルムを積層したものは特に好ましい。この場合、樹脂フィルム側を内側として食品の包装を行う。また、本発明において、前記帯状包囲部の高さは任意であるが、実用上、包装しようとする食品の高さと等しいかそれよりやや高いあるいは低い高さであることが望ましい。
【0011】
本発明による包装シートにおいて、前記帯状包囲部は種々の方法で包装シートに一体に形成することができる。一例として、前記帯状包囲部は、包装シートを折り返して2層に積層した積層領域における対向する2枚の包装シートの一部によって形成される。
【0012】
この場合、包装シートの一部によって形成された帯状包囲部には上端を閉鎖した袋状体が形成される。包装時に、帯状包囲部の一部を手で持ち、帯状包囲部をリング状に開いた状態として、食品の周囲を帯状包囲部により包囲した状態としたときに、該食品はその袋状体の中に入り込んだ姿勢となる。
【0013】
前記帯状包囲部の他の態様では、前記帯状包囲部は、包装シートを折り返して2層に積層した積層領域における対向する2枚の包装シートの一部によって形成され、かつ前記折り返し部における前記帯状包囲部に対応する部分には切り込み線が形成される。
【0014】
この態様では、包装時に、帯状包囲部の一部を手で持ち、帯状包囲部をリング状に開いたときに、前記切り込み線部分が開くことにより、上方は開放状態となる。前記と同様にして食品の周囲を帯状包囲部により包囲したときに、該食品の上方部は前記開放部から目で見ることができる。
【0015】
本発明による食品用の包装シートにおいて、一端側に前記帯状包囲部のいずれかを形成し、他端側に前記帯状包囲部と同じまたは異なる第2の帯状包囲部を形成する態様とすることもできる。この態様では、一方の帯状包囲部で食品の周囲を包囲した状態とした後、包装シートで全体を包み込み、包み込んだ全体の周囲をさらに前記第2の帯状包囲部により包囲した状態とすることができる。それにより、より高い保形性を備えかつ不用意に包装シートが解放することのない食品包装体とすることができる。
【0016】
上記した形態のように、帯状包囲部が包装シートの一部により形成されている場合において、包装シートを構成する材料が腰の弱い(例えば秤量が小さい)ものである場合には、上あるいは横からの荷重を受けたときに帯状包囲部に変形が起こりやすくなり、包装した食品に対する保形性が十分に確保できない場合が起こる。それに対処するために、本発明による包装シートの一態様では、前記帯状包囲部に補強用シートを積層される。補強用シートの材料には、厚紙や段ボール(片面段ボール、両面段ボール)、ポリエチレンシート等が好ましくは用いられる。補強用シートが積層されることにより、包装食品に対するより高い保形機能が確保できる。
【0017】
本発明による包装シートの他の態様では、前記帯状包囲部は、包装する食品の外周に沿って当該食品を包囲することのできるリング状部材が扁平にされた姿勢で包装シートに一体に取り付けられることにより形成される。リング状部材には、包装食品に対する所要の保形性を確保できる強度を持つ厚紙や段ボール(片面段ボール、両面段ボール)、ポリエチレンシート等の材料が好ましくは用いられる。この形態の包装シートでも、包装時に扁平にされたリング状部材をリング状に開くことによって、上記した他の包装シートと同様に食品を包装することができ、かつ食品に対する所要の保形性も確保することができる。
【0018】
本発明による包装シートで包装された食品を食するときには、包装シートを開き、食品の外周に沿って当該食品を包囲している前記帯状包囲部を下に引っ張る等により、その一部または全部を食品から外す。その状態で、包装シートを介して食品を手で持ち、包装シートで包まれてない部分から順次食していくこととなるが、食品の周囲から帯状包囲部を取り外す手順が円滑に進まず、指がハンバーガー等の食品に接触して、指に食品の一部が付着することが起こり得る。
【0019】
それを回避するために、本発明による包装シートの他の態様では、前記帯状包囲部の周囲に易破断線が形成される。易破断線とは少ない力で破断しやすい線のことであり、一例としてミシン目の線が挙げられる。この態様では、食するときに、帯状包囲部を指で摘み軽く引っ張る等の力を加えるだけで、帯状包囲部の全部または一部を包装シートから容易に分離することが可能となり、指を汚すことなく食べやすい環境を容易に形成することができる。
【0020】
本発明は、また、上記した包装シートを用いる食品の包装方法として、調理台の上に、上記したいずれかの包装シートを置き、該包装シートの上に食品を置いて必要な調理を行い、包装シートに一体に形成した帯状包囲部をリング状に開いた姿勢で上から落とし込むようにして前記調理後の食品の周囲を帯状包囲部で包囲した状態とした後、包装シートで食品全体を包み込むことを特徴とする食品の包装方法をも開示する。また、該包装方法により包装された包装済み食品をも開示する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、食品の包装を少ない手順数でかつ迅速に行うことができ、同時に包装した食品に対する高い保形性を確保することもできる新規な包装シートが得られる。本発明による包装シートは、任意の場所で任意の食品を包装するのに用いることができるが、ファーストフード店でのハンバーガー用の包装シートとして特に優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明をいくつかの実施の形態に基づき説明する。図1〜図7は本発明による包装シートの第1の形態とそれを用いた食品の包装手順を示している。図1は第1の形態の包装シート10を作るのに用いる基材シート11の展開図であり、この例で基材シート11は紙とポリエチレンフィルムの積層シートであり、ポリエチレンフィルム側が上面として置かれている。基材シート11は長方形であり、一方の短辺12の側から所定距離aだけ内側に入った位置が、短辺12と平行な折り返し部13とされる。該折り返し部13の中央部には長さbの切り込み線14が形成され、該切り込み線14の両端には基材シート11の長辺に平行にミシン目のような易破断線15が形成されている。易破断線15の一方端は短辺12にまで達しており、他端は距離aだけさらに内側に入り込んでいる。そして、両端間には短辺12に平行な第2の易破断線16が形成されている。なお、易破断線15,16の双方またはいずれか一方は省略することもできる。
【0023】
図1に示す基材シート11の前記短辺12側の側縁領域を、矢印Aに示すように、折り返し部13に沿って折り返す。それにより、基材シート11の一方の端縁には幅aである基材シート11が積層した領域18が形成される。折り返した後、積層した領域18の長辺に沿った部分、前記易破断線15に沿った部分、および折り返し後の短辺12に沿った部分であって易破断線16よりも長辺側に位置する部分を、例えば熱シール等により接合して、左右の接合部分17とする。それにより、図2に示すように、第1の形態の包装シート10となり、積層領域18の前記左右の接合部分17で挟まれた部分に、高さがa、横幅がbである本発明でいう「帯状包囲部」20が形成される。なお、帯状包囲部20の高さaおよび横幅bは、包装しようといる食品の大きさに依存して設定されるものであり、高さaは食品50の高さとほぼ等しくされ、幅bはその食品50を外側から包囲することのできる長さとされる。すなわち、幅bの長さは食品50の外周の長さのほぼ1/2程度とされる。
【0024】
また、「帯状包囲部」20の形成は、折り返しによって形成する以外に、図1に示す折り返す部分と同じ素材と形状の帯状シートを別途用意し、図2に示すようにそれを接合部分17によって包装シート10に接合して形成してもよい。
【0025】
包装シート10はラミネートしたポリエチレンフィルム側を上として必要枚数だけ積層され、例えばハンバーガーショップの店頭に運ばれる。食品がハンバーガーである場合、ハンバーガーショップの店員は、積層状態の包装シート群から一枚の包装シート10を取り、それを調理台の上に置く。そして、包装シート10を調理用台紙として利用して必要な調理を行い、図3に示すように、調理済みのハンバーガー50を包装シート10の前記帯状包囲部20の近くに置く。
【0026】
その状態で帯状包囲部20の前記短辺12側の一部を店員が指で摘むようにして持ち上げる。それにより、帯状包囲部20の折り返し部13側も前記切り込み線14の部分で開放した状態となり、全体としてリング状に開いた状態となる。その状態の帯状包囲部20をハンバーガー50の上に移動し、それに連続した手順で開放状態となった帯状包囲部20をハンバーガー50上から落とし込む。それにより、図4に示すように、ハンバーガー50の周囲は帯状包囲部20により包囲された姿勢となる。
【0027】
次に、図5に示すように、包装シート10の残りの部分を上に持ち上げ、図6に示すように、その部分で帯状包囲部20により包囲されているハンバーガー50を包み込む。さらに、図7に示すように左右の包装シートを折り込むことにより、包装シート10全体でハンバーガー50は包み込まれた包装済み食品60となる。包み込まれたハンバーガー50はその周囲が帯状包囲部20で囲まれており、帯状包囲部20の強さに応じた保形力が確保されるので、ハンバーガー(食品)50が不用意に変形するのを防止できる。
【0028】
図8〜図10は、本発明による包装シートの第2の形態とそれを用いた食品の包装手順の一部を示している。この形態の包装シート10Aは、帯状包囲部20の強度を大きくするために、帯状包囲部20の部分に補強用シート21を積層している点でのみ、第1の形態の包装シート10と相違する。従って、図8〜図10において同じ部材には同じ符号を付し、説明は省略する。図8は図1に相当する図であり、基材シート11における前記帯状包囲部20に相当する領域の裏面側には、厚紙等からなる補強用シート21,21が積層一体化されている。
【0029】
食品の包装に当たっては、前記と同様に、例えば調理済みのハンバーガー50を包装シート10Aの前記帯状包囲部20の近くに置き(図9)、帯状包囲部20の短辺12側の一部を指で摘むようにして持ち上げる。帯状包囲部20は全体としてリング状に開いた状態となり、その状態の帯状包囲部20をハンバーガー50の上に移動してハンバーガー50上から落とし込む。それにより、図10に示すように、ハンバーガー50の周囲は帯状包囲部20により包囲された姿勢となる。この形態の包装シート10Aは、帯状包囲部20に補強用シート21が積層されているので、補強用シート21の強さに応じた保形力を確保することができ、ハンバーガー(食品)50が不用意に変形するのをさらに確実に防止することができる。なお、補強用シート21は基材シート11の裏面側に位置しており、ハンバーガー(食品)50に直接接することはないので、広い範囲の材料から補強用シート21の材料を選択することができる。
【0030】
図11〜図16は、本発明による包装シートの第3の形態とそれを用いた食品の包装手順を示している。この包装シート10Bは、基材シート11の両端部に帯状包囲部20、20Aが形成されている点で、前記第1と第2の包装シート10,10Aと相違する。なお、図11〜図16において、第1と第2の包装シート10,10Aの場合と同じ機能を果たす部材には同じ符号を付している。
【0031】
この形態では、図11に示すように、基材シート11の一方の短辺12から所定距離aの位置に切り込み線14が形成されることに加え、他方の短辺12aから所定距離a1だけ内側の位置にも短辺12aに平行に第2の切り込み線14aが形成されている。距離a,a1、および切り込み線14aの長さはほぼ等しいことが好ましいが、異なっていても差し支えない。双方の端部を第1と第2の包装シート10,10Aと同様にして折り返し、接合部17を形成することにより、図12に示すように、一方の端部に帯状包囲部20が、また、他方の端部に第2の帯状包囲部20Aが形成された包装シート10Bが得られる。
【0032】
包装に当たっては、図13に示すように、一方の帯状包囲部20(20A)の近傍にハンバーガー(食品)50を置き、図14に示すように、前記したと同様の手順でハンバーガー50の周囲を帯状包囲部20(20A)で包囲した状態とする。次に、図15に示すように、帯状包囲部20(20A)で包囲した状態のハンバーガー50を反転させた後、図16に示すように、包み込んだ全体の周囲をさらに他方の帯状包囲部20A(20)により包囲した状態とする。それにより、ハンバーガー50は2重に帯状包囲部20,20Aで周囲が囲まれた状態となるので、より高い保形性を備えかつ不用意に包装シートが解放することのない食品包装体60が得られる。
【0033】
なお、図示しないが、帯状包囲部20、20Aの双方あるいはいずれか一方に、第2の形態の包装シート20Aにおけると同じように、補強用シート21を積層一体化するようにしてもよい。いずれか一方にのみ設ける場合には、最初にハンバーガー50を囲い込む方の帯状包囲部20、20Aに補強用シート21を積層一体化することが好ましい。
【0034】
図17、図18は、本発明による包装シートの第4の形態とそれを用いた食品の包装手順の一部を示している。この包装シート10Cでは、帯状包囲部20は、上記した形態のように基材シート11を折り返した積層領域により形成されるのではなく、包装する食品の外周に沿って当該食品を包囲することのできるリング状部材22が、扁平にされた姿勢で包装シートを構成する基材シート11に一体に取り付けられることにより形成されている。図17に示す例では、前記リング状部材22は厚紙で形成されており、扁平にした一方の面が基材シート11に接着剤等を用いて一体にされている。
【0035】
包装に当たっては、図17に示すように、ハンバーガー(食品)50をリング状部材22近傍に置く。そして、リング状部材22の一部を指で摘むようにして持ち上げると、リング状部材22は全体としてリング状に開いた状態となる。その状態のリング状部材22をハンバーガー50の上に移動してハンバーガー50の上から落とし込む。それにより、図18に示すように、ハンバーガー50の周囲はリング状部材22(帯状包囲部)により包囲された姿勢となる。以下、上記した他の形態の包装シートの場合と同様に、基材シート11の他の領域を利用してハンバーガー(食品)50を包み込めばよい。
【0036】
図19、図20は、本発明による包装シートの第5の形態とそれを用いた食品の包装手順の一部を示している。この包装シート10Dは、基本的構成において、前記図8〜図10に示した第2の形態の包装シート10Aと類似しており、帯状包囲部20の部分に補強用シート21が積層されている。しかし、前記一方の短辺12が基材シート11のさらに内側に位置するように、折り返し幅a2が、第1の形態の包装シート10の折り返し幅aよりも大きくとられている。そして、該折り返し部13には、切り込み線14は形成されていない。そのために、前記帯状包囲部20の上端(折り返し部13側)は閉鎖した袋状体となっている。第1と第2の包装シート10,10Aと同様、易破断線15,16も形成されている。
【0037】
この形態の包装シート10Dでは、包装時に、帯状包囲部20に積層された補強用シート21の短辺12側の近傍を指で摘み、帯状包囲部20をリング状に開いた状態とすると、折り返し部13が閉じ、帯状包囲部20側が開いた袋状体が形成される。図20はその状態となった包装シート10Dでハンバーガー50を包み込む直前の状態を示しており、図の状態からさらに帯状包囲部20を矢印方向に回転することにより、ハンバーガー50の周囲を帯状包囲部20に積層した補強用シート21で包囲した状態とすることができ、同時に、ハンバーガー50はその袋状体の中に入り込んだ姿勢となる。以下、上記した他の形態の包装シートの場合と同様に、基材シート11の他の領域を利用してハンバーガー(食品)50を包み込むことにより、包装済みのハンバーガーとなる。
【0038】
なお、図示の例では、補強用シート21の横幅b1は帯状包囲部20の横幅bよりも狭くなっているが、同じ幅であってもよい。必要な強度が得られることを条件に任意の横幅のものとすることができる。なお、このことは、前記図8〜図10に示した第2の形態の包装シート10Aにおける補強用シート21についても同様である。
【0039】
購買者は、包装済みのハンバーガーを店頭で購入する。食べるときは、包装シート10の一部開いて、ハンバーガー50を露出させる。その時点では、ハンバーガー50の外周は前記帯状包囲部20で包囲されている。購買者は帯状包囲部20を下に引っ張る等によりその一部または全部をハンバーガー50から外し、その状態で、包装シート10を介してハンバーガー50を手で持ち、包装シートで包まれてない部分から順次食していく。ハンバーガー50の周囲から容易に帯状包囲部20を取り外すことができない場合には、帯状包囲部20を指で摘み軽く引っ張る等の力を加える。上記の例では、帯状包囲部20の周囲には易破断線15,16が形成されており、少ない力で容易に帯状包囲部20の全部または一部を包装シートの基材シート11から分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明による包装シートの第1の形態に用いる基材シートを示す平面図。
【図2】図1に示した基材シートを用いて作った第1の形態の包装シートを示す平面図。
【図3】包装シートの上に食品を置いた状態を示す図。
【図4】食品の周囲を帯状包囲部で包囲した状態を示す図。
【図5】包装時における図4の次の状態を示す図。
【図6】包装時における図5の次の状態を示す図。
【図7】第1の形態の包装シートによる包装後の食品を示す図。
【図8】本発明による包装シートの第2の形態に用いる基材シートを示す平面図。
【図9】図2に示した基材シートを用いて作った包装シートの上に食品を置いた状態を示す図。
【図10】食品の周囲を帯状包囲部で包囲した状態を示す図9に続く図。
【図11】本発明による包装シートの第3の形態に用いる基材シートを示す平面図。
【図12】図11に示した基材シートを用いて作った第3の形態の包装シートを示す平面図。
【図13】第3の形態の包装シートの上に食品を置いた状態を示す図。
【図14】食品の周囲を帯状包囲部で包囲した状態を示す図13に続く図。
【図15】包装時における図14の次の状態を示す図。
【図16】第3の形態の包装シートによる包装後の食品を示す図。
【図17】本発明による包装シートの第4の形態の包装シートの上に食品を置いた状態を示す図。
【図18】食品の周囲を帯状包囲部で包囲した状態を示す図17に続く図。
【図19】本発明による包装シートの第5の形態の包装シートの上に食品を置いた状態を示す図。
【図20】食品の周囲を帯状包囲部で包囲するときの途中図である図19に続く図。
【符号の説明】
【0041】
10、10A〜10D…本発明による包装シート、11…基材シート、12…一方の短辺、12a…他方の短辺、13…折り返し部、14…切り込み線、15,16…易破断線、17…接合部分、18…基材シートの積層領域、20、20A…帯状包囲部、21…補強用シート、22…リング状部材、50…ハンバーガー、60…包装済み食品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品用の包装シートであって、該包装シートは包装する食品の外周に沿って当該食品を包囲することのできる帯状包囲部を一体に有していることを特徴とする包装シート。
【請求項2】
前記帯状包囲部は、包装シートを折り返して2層に積層した積層領域における対向する2枚の包装シートの一部によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装シート。
【請求項3】
前記帯状包囲部は、包装シートを折り返して2層に積層した積層領域における対向する2枚の包装シートの一部によって形成されており、かつ前記折り返し部における前記帯状包囲部に対応する部分には切り込み線が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装シート。
【請求項4】
一端側に前記帯状包囲部が形成されており、他端側に前記帯状包囲部と同じまたは異なる第2の帯状包囲部が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の包装シート。
【請求項5】
前記帯状包囲部には補強用シートが積層されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の包装シート。
【請求項6】
前記帯状包囲部は、包装する食品の外周に沿って当該食品を包囲することのできるリング状部材が扁平にされた姿勢で包装シートに一体に取り付けられることにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装シート。
【請求項7】
前記帯状包囲部の周囲には易破断線が形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の包装シート。
【請求項8】
調理台の上に、請求項1から7のいずれかに記載の包装シートを置き、該包装シートの上に食品を置いて必要な調理を行い、包装シートに一体に形成した帯状包囲部をリング状に開いた姿勢で上から落とし込むようにして前記調理後の食品の周囲を帯状包囲部で包囲した状態とした後、包装シートで食品全体を包み込むことを特徴とする食品の包装方法。
【請求項9】
請求項8に記載の食品の包装方法により包装された包装済み食品。
【請求項1】
食品用の包装シートであって、該包装シートは包装する食品の外周に沿って当該食品を包囲することのできる帯状包囲部を一体に有していることを特徴とする包装シート。
【請求項2】
前記帯状包囲部は、包装シートを折り返して2層に積層した積層領域における対向する2枚の包装シートの一部によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装シート。
【請求項3】
前記帯状包囲部は、包装シートを折り返して2層に積層した積層領域における対向する2枚の包装シートの一部によって形成されており、かつ前記折り返し部における前記帯状包囲部に対応する部分には切り込み線が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装シート。
【請求項4】
一端側に前記帯状包囲部が形成されており、他端側に前記帯状包囲部と同じまたは異なる第2の帯状包囲部が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の包装シート。
【請求項5】
前記帯状包囲部には補強用シートが積層されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の包装シート。
【請求項6】
前記帯状包囲部は、包装する食品の外周に沿って当該食品を包囲することのできるリング状部材が扁平にされた姿勢で包装シートに一体に取り付けられることにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装シート。
【請求項7】
前記帯状包囲部の周囲には易破断線が形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の包装シート。
【請求項8】
調理台の上に、請求項1から7のいずれかに記載の包装シートを置き、該包装シートの上に食品を置いて必要な調理を行い、包装シートに一体に形成した帯状包囲部をリング状に開いた姿勢で上から落とし込むようにして前記調理後の食品の周囲を帯状包囲部で包囲した状態とした後、包装シートで食品全体を包み込むことを特徴とする食品の包装方法。
【請求項9】
請求項8に記載の食品の包装方法により包装された包装済み食品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−81157(P2008−81157A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262875(P2006−262875)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】
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