説明

食器洗浄機用液体洗浄剤組成物

【課題】洗浄性が高く、安定性に優れ、且つアルマイトの防食性及びスケール付着防止性を向上できる、食器洗浄機用液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)分子中に、アミノ基及び4級アンモニウム基から選ばれる基を1種以上有するモノマー単位(a)と、−SO2−で表されるモノマー単位(b)とを有し、モノマー単位(a)を全モノマー単位に対して10〜99モル%含み、かつモノマー単位(b)/モノマー単位(a)のモル比が0.01〜1である高分子化合物と、(B)一般式(B1)で表される脂肪酸又はその塩とを、(A)/(B)=10/90〜30/70の重量比で含有する食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器洗浄機で使用するための洗浄剤組成物に関するものである。なかでも業務用の食器洗浄機で使用するための洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食器洗浄機は汚れた皿、グラス、料理器具などの食器を洗浄する設備であり、家庭やレストラン、喫茶店、学校給食、事業所給食などの厨房で使用されている。通常、食器洗浄は洗浄工程―濯ぎ工程の順で行われ、洗浄工程には手洗い用食器洗浄剤と異なる、無泡性或いは低泡性の食器洗浄機用洗浄剤が使用されている。
【0003】
食器洗浄機用の洗浄剤としては、アルカリ剤とノニオン性界面活性剤が主体のものが知られている。アルカリ剤は、主に加水分解作用により汚れを可溶化するために、ノニオン性界面活性剤は、主に汚れを洗浄・除去し、更に油汚れの洗浄力を向上するために使用されている。自動食器洗浄機の場合、ノズルより高圧にて洗浄液が噴霧・洗浄される為、界面活性剤の泡立ちが多いと泡があふれスプレー装置の吐出圧が低下する為、低泡であることが要求される。特許文献1には、低泡性非イオン性界面活性剤と洗浄ビルダーと脂肪族カルボン酸とを含有する自動食器洗浄機用洗浄剤が開示されている。また、特許文献2には、リンス剤を用いずに優れた効果を得るために、所定のモノマー単位を含む高分子化合物とノニオン性界面活性剤とを含有する食器洗浄機用洗浄剤組成物を用いることが開示されている。
【0004】
一般にアルカリ剤とノニオン性界面活性剤を併用した水性液体洗浄剤は、白濁や分離等を生じ安定性が悪いため、可溶化剤が併用される。例えば特許文献3には、強アルカリ剤とノニオン性界面活性剤に特定のカルボン酸を可溶化剤として用いる事が開示されている。
【0005】
しかし、アルカリ剤とノニオン性界面活性剤、更には無機塩の含有が多くなると、製品が白濁や分離を起こし不均一系での洗浄となり、洗浄性等のバラツキの要因となる。
【0006】
レストラン、喫茶店、学校・事業所給食など洗浄される食器の材質としては、陶磁器、ガラス、プラスチック、アルマイト等がある。アルマイト製の食器は、アルカリによる腐食がある為、洗浄が繰り返されることにより、白化或いは茶色に変色を起こす。その為、腐食を起こした食器は廃棄されて補充されるが、再購入にかかる費用が負担となる。
【0007】
水道水中には、Ca、Si等の硬度成分が存在している。これらが、空気中の炭酸ガスと結合し、炭酸Ca塩及び炭酸Si塩となり、洗浄機内部に付着する。それにより、洗浄機槽内の美観が損なわられと共に、洗浄液の濃度のセンシング不良を起こし、シグナルを受信できなくなる。結果的に濃度コントロール不良となる。
【特許文献1】特開平6−33100号
【特許文献2】特開2007−119753号
【特許文献3】特開2000−96097号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、洗浄性が高く、白濁や分離等がなく安定性に優れ、且つアルマイトの防食性及びスケール付着防止性を向上できる、食器洗浄機用液体洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、下記(A)成分と(B)成分とを含有し、(A)成分と(B)成分の重量比が、(A)/(B)=10/90〜30/70である食器洗浄機用液体洗浄剤組成物に関する。
<(A)成分>
分子中に、アミノ基及び4級アンモニウム基から選ばれる基を1種以上有するモノマー単位(a)と、−SO2−で表されるモノマー単位(b)とを有し、モノマー単位(a)を全モノマー単位に対して10〜99モル%含み、かつモノマー単位(b)/モノマー単位(a)のモル比が0.01〜1である高分子化合物であって、モノマー単位(a)が、下記一般式(1)で表される化合物及び/又は一般式(2)で表される化合物に由来する、高分子化合物。
【0010】
【化2】

【0011】
〔式中、R1、R2、R3、R7、R8、R9は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は炭素数1〜3のアルキル基である。X、Yは、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキレン基、−COOR12−、−CONHR12−、−OCOR12−、−R13−OCO−R12−から選ばれる基である。ここでR12、R13は、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキレン基である。R4は炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR12C=C(R3)−X−である。R5は炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ベンジル基であり、R6はヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、又はベンジル基であり、R6がアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はベンジル基の場合は、Z-は陰イオンを示す。R6がカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基を含む場合、Z-は存在せず、R6中のこれらの基は陰イオンとなる。R10は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR78C=C(R9)−Y−である。R11は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。〕
【0012】
<(B)成分>
下記一般式(B1)で表される脂肪酸又はその塩。
R−COOH (B1)
(式中、Rは炭素数3〜13の直鎖脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜17の分岐鎖脂肪族炭化水素基を示す。)
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、洗浄性が高く、白濁や分離等がなく安定性に優れ、且つアルマイトの防食性及びスケール付着防止性を向上できる、食器洗浄機用液体洗浄剤組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<(A)成分>
(A)成分において、モノマー単位(b)/モノマー単位(a)のモル比は、0.01〜1であり、好ましくは0.03〜0.75、より好ましくは0.05〜0.5である。
【0015】
モノマー単位(a)を構成するために用いられるモノマーとしては、下記一般式(1)の化合物及び一般式(2)の化合物から選ばれる1種以上が用いられる。
【0016】
【化3】

【0017】
〔式中、R1、R2、R3、R7、R8、R9は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は炭素数1〜3のアルキル基である。X、Yは、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキレン基、−COOR12−、−CONHR12−、−OCOR12−、−R13−OCO−R12−から選ばれる基である。ここでR12、R13は、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキレン基である。R4は炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR12C=C(R3)−X−である。R5は炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ベンジル基であり、R6はヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、又はベンジル基であり、R6がアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はベンジル基の場合は、Z-は陰イオンを示す。R6がカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基を含む場合、Z-は存在せず、R6中のこれらの基は陰イオンとなる。Z-の陰イオンとしては、たとえばハロゲンイオン、硫酸イオン、炭素数1〜3のアルキル硫酸エステルイオン、炭素数1〜3のアルキル基で置換されていてもよい芳香族スルホン酸イオン、ヒドロキシイオンを挙げることができる。R10は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR78C=C(R9)−Y−である。R11は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。〕
【0018】
一般式(1)の化合物として具体的に好ましいものはアクリロイル(又はメタクリロイル)アミノアルキル(炭素数1〜5)−N,N,N−トリアルキル(炭素数1〜3)4級アンモニウム塩、アクリロイル(又はメタクリロイル)オキシアルキル(炭素数1〜5)−N,N,N−トリアルキル(炭素数1〜3)4級アンモニウム塩、N−(ω−アルケニル(炭素数2〜10))−N,N,N−トリアルキル(炭素数1〜3)4級アンモニウム塩、N,N−ジ(ω−アルケニル(炭素数2〜10))−N,N−ジアルキル(炭素数1〜3)4級アンモニウム塩が好適であり、更にジアリルジメチルアンモニウム塩が良好である。
【0019】
一般式(2)の化合物として具体的に好ましいものはアクリロイル(又はメタクリロイル)アミノアルキル(炭素数1〜5)−N,N−ジアルキル(炭素数1〜3)アミン、アクリロイル(又はメタクリロイル)オキシアルキル(炭素数1〜5)−N,N−ジアルキル(炭素数1〜3)アミン、N−(ω−アルケニル(炭素数2〜10))−N,N−ジアルキル(炭素数1〜3)アミン、N,N−ジ(ω−アルケニル(炭素数2〜10))−N−アルキル(炭素数1〜3)アミン、アリルアミン、ジアリルメチルアミン、ジアリルアミンが好適であり、更に、アリルアミン、ジアリルメチルアミン、ジアリルアミン、アクリロイル(又はメタクリロイル)アミノプロピル−N,N−ジメチルアミン、アクリロイル(又はメタクリロイル)オキシエチル−N,N−ジメチルアミンが良好である。
【0020】
アルマイトの防食性及びスケール付着防止性の観点から、(A)成分はモノマー単位(a)を全モノマー単位に対して10〜99モル%、好ましくは30〜90モル%、より好ましくは50〜90モル%、更に好ましくは60〜80モル%含む。このモル%は、〔モノマー単位(a)のモル数/全モノマー単位のモル数〕×100により算出される。
【0021】
(A)成分の重合体においてモノマー単位(b)は−SO2−であり、このようなモノマー単位を重合体に導入する方法としては、所定量のSO2ガスを一般式(1)の化合物及び/又は一般式(2)の化合物を含有する溶液に吹き込み、過酸化ベンゾイル、t−ブチルハイドロペルオキシド、クメンハイドロペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレルニトリロ、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、過酢酸、過安息香酸、過硫酸塩、過酸化水素から選ばれる重合開始剤を用いて重合することで得られる。重合時には溶媒を用いることができ、具体的には水、メタノール、エタノール、プロパノールから選ばれるアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンから選ばれるケトン類、ジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルイミダゾリジノン、アセトニトリル、プロピオニトリル、トルエン、キシレン、ヘキサンを用いることが可能である。重合温度は溶媒や開始剤の組み合わせにより異なり、好ましくは−20〜200℃、好ましくは−10〜100℃である。また、本発明では光や放射線によっても重合することが可能であり、更に300〜450nmの波長の光を照射することで効率良く重合することができる。
【0022】
アルマイト防食性及びスケール付着防止性の観点から、モノマー単位(b)/モノマー単位(a)のモル比は0.01〜1であり、好ましくは0.03〜0.75、より好ましくは0.05〜0.5である。
【0023】
本発明の(A)成分は、アニオン性モノマーに由来する構造単位〔以下、モノマー単位(c)という〕として含むことができ、その場合、モノマー単位(a)とモノマー単位(c)のモル比は、モノマー単位(a)/モノマー単位(c)=10/90〜90/10、更に30/70〜90/10、より更に50/50〜80/20であることが好ましい。アニオン性モノマーとしては、下記(i)から選ばれるモノマーが挙げられる。
【0024】
(i)アクリル酸又はその塩、メタクリル酸又はその塩、マレイン酸又はその塩、無水マレイン酸、スチレンスルホン酸塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩、アリルスルホン酸塩、ビニルスルホン酸塩、メタリルスルホン酸塩、スルホプロピルメタクリレート、リン酸モノ−ω−メタクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜12)から選ばれる化合物
【0025】
また、本発明の(A)成分は、ノニオン性モノマーに由来する構造単位〔以下、モノマー単位(d)という〕として含むこともできる。ノニオン性モノマーとしては、下記(ii)〜(iv)から選ばれるモノマーが挙げられる。
【0026】
(ii)アクリル(又はメタクリル)アミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド、N,N−ジメチルアクリル(又はメタクリル)アミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド、N,N−ジメチルアミノメチルアクリル酸(又はメタクリル酸)アミド、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドンから選ばれるアミド基含有化合物
【0027】
(iii)アクリル酸(又はメタクリル酸)アルキル(炭素数1〜5)、アクリル酸(又はメタクリル酸)2−ヒドロキシエチル、アクリル酸(又はメタクリル酸)−N,N−ジメチルアミノアルキル(炭素数1〜5)、酢酸ビニルから選ばれるエステル基含有化合物
【0028】
(iv)エチレン、プロピレン、n−ブチレン、イソブチレン、n−ペンテン、イソプレン、2−メチル−1−ブテン、n−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンから選ばれるオレフィン系化合物
【0029】
これらの中でもアルマイト防食性及びスケール付着防止性の観点から、(i)又は(ii)のモノマー由来のモノマー単位が好ましく、中でも(i)のモノマー由来のモノマー単位が最も好ましく、これらの中でもアクリル酸又はそのナトリウム塩もしくはカリウム塩、メタクリル酸又はそのナトリウム塩もしくはカリウム塩、マレイン酸又はそのナトリウム塩もしくはカリウム塩が好ましい。ここで(i)のモノマー由来のモノマー単位の対イオンは、含有する重合体のカチオン基部分であっても良い。
【0030】
(A)成分がモノマー単位(d)を有する場合、モノマー単位(d)/モノマー単位(a)のモル比は、仕上がり性の観点から、0.05〜1、更に0.1〜0.75、より更に0.2〜0.5が好ましい。
【0031】
本発明の重合体は重量平均分子量が好ましくは1,000〜6,000,000、より好ましくは1,000〜500,000、更に好ましくは1,000〜100,000、より更に好ましくは5,000〜60,000であり、この重量平均分子量はアセトニトリルと水の混合溶媒(リン酸緩衝液)を展開溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリエチレングリコールを標準物質として求めたものである。
【0032】
本発明で用いる(A)成分の重合体は、モノマー単位(a)、モノマー単位(b)及び好ましくはモノマー単位(c)、(d)が、重合体中の主鎖又は側鎖のいずれに存在していても構わない。これらはランダム重合したもの、ブロック重合したものでも、グラフト重合したものなどでも構わない。本発明ではモノマー単位(a)、モノマー単位(b)及びモノマー単位(c)のみから構成される重合体を用いることが最も好ましい。
【0033】
<(B)成分>
(B)成分は、上記一般式(B1)で表される脂肪酸又はその塩であり、n−酪酸、吉草酸、ソルビン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ウンデカン酸等の直鎖脂肪酸及びこれらの塩、又はイソ酪酸、2−エチルヘキサン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸等の分岐鎖脂肪酸及びこれらの塩が挙げられる。(B)成分としては、カプリル酸が好ましい。
【0034】
<(C)成分>
本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、洗浄性の観点から、(C)成分として、ノニオン性界面活性剤を含有することが好ましい。(C)成分としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンオキシエチレンオキシプロピレングリコールなどが挙げられる。
【0035】
(C)成分としては、下記一般式(3)で表されるノニオン性界面活性剤〔以下、(C1)成分という〕が好適に用いられる。
14−(AO)n−R15 (3)
〔式中、R14、R15は、それぞれ独立して、水素原子、又は炭素数1〜24の炭化水素基である。nは平均付加モル数であり、1〜500の数である。AOは同一又は異なってオキシエチレン基、オキシプロピレン基、又はオキシブチレン基である。〕
【0036】
(C1)成分の一般式(3)中、R14、R15はそれぞれ独立して、好ましくは水素原子、又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜24のアルキル基、より好ましくは水素原子、又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数6〜18のアルキル基、より更に好ましくは水素原子、又は直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8〜14のアルキル基である。また、一般式(3)中、nは平均付加モル数であり、好ましくは1〜400、より好ましくは1〜350、更に好ましくは1〜200、より更に好ましくは1〜100の数である。また、一般式(3)中、AOは同一又は異なって、好ましくはエチレン基、プロピレン基である。
【0037】
更に、洗浄性、無泡性や低泡性の観点から、下記一般式(4)で表されるノニオン活性剤、及び一般式(5)で表されるノニオン性界面活性剤から選ばれる1種以上のノニオン性界面活性剤〔以下、(C2)成分という〕が好ましい。
HO(CH2CH2O)a(CH(CH3)CH2O)b(CH2CH2O)cH (4)
HO(CH(CH3)CH2O)d(CH2CH2O)e(CH(CH3)CH2O)fH (5)
〔式中、a、b、c、d、e及びfは平均付加モル数であり、それぞれ独立して、1〜350の数である。〕
【0038】
一般式(4)、(5)において、a、b、c、d、e及びfは、エチレンオキシド(以下、EOと表記する)ないしプロピレンオキシド(以下、POと表記する)の平均付加モル数であり、それぞれ独立して、1〜350の数である。
【0039】
(C2)成分は、何れも、EOとPOの合計中、EOを10モル%以上含むことが好ましく、これを満たすようにa、b、c、d、e及びfを選定することが好ましい。
【0040】
また、(C2)成分の重量平均分子量は、1,000〜15,000が好ましく、より好ましくは1,500〜6,000である。(B2)成分は、「プルロニック」、「プルロニックR」の商品名でBASF社から入手可能である。(D2)成分としては、低泡性の観点から、式(5)のノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0041】
又、洗浄性の観点から、下記一般式(6)で表されるノニオン活性剤、及び一般式(7)で表されるノニオン性界面活性剤から選ばれる1種以上のノニオン性界面活性剤〔以下、(C3)成分という〕が好ましい。
16−O−(EO)p−(PO)q−(EO)r−H (6)
〔式中、R16は炭素数8〜18の直鎖のアルキル基又は直鎖のアルケニル基を示し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示す。p、q、rはそれぞれ平均付加モル数を表し、p=1〜10、q=0.5〜5、r=1〜10である。〕
17−O−(EO)s−(PO)t−H (7)
〔式中、R17は炭素数8〜18の分岐鎖のアルキル基もしくは分岐鎖のアルケニル基を示し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示す。s、tはそれぞれ平均付加モル数を表し、s=4〜10、t=2〜10であり、0.3≦(t/s)≦1.5である。〕
【0042】
一般式(6)において、R16は炭素数10〜14の直鎖のアルキル基又は直鎖のアルケニル基、更に炭素数10〜14の直鎖のアルキル基が好ましく、p=2〜8が好ましく、q=0.5〜4.5、更に1〜4.5、より更に1〜2が好ましく、r=2〜8が好ましく、p+r=1〜30、更に2〜20、より更に4〜15が好ましい。一般式(6)の非イオン性界面活性剤の具体例として、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(1.5)ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(1.5)ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ポリオキシプロピレン(4.5)ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル等が挙げられる。ここで、当該化合物に関し( )内はエチレンオキシド又はプロピレンオキシドの平均付加モル数である(以下同様)。
【0043】
一般式(7)において、R17は炭素数10〜14の分岐鎖のアルキル基又は分岐鎖のアルケニル基、更に炭素数10〜14の分岐鎖のアルキル基が好ましい。また、R17の炭素数10〜14の分岐鎖のアルキル基又は分岐鎖のアルケニル基の中でも、炭素数10〜14の2級アルキル基又は2級アルケニル基が好ましい。一般式(7)中、s=5〜9が好ましく、t=5〜10が好ましい。一般式(7)の非イオン性界面活性剤の具体例として、ポリオキシエチレン(7)ポリオキシプロピレン(8.5)−sec−ドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(7)ポリオキシプロピレン(8.5)−sec−トリデシルエーテル、ポリオキシエチレン(7)ポリオキシプロピレン(8.5)−sec−テトラデシルエーテル等が挙げられる。
【0044】
また、一般式(7)の化合物は、R17の分岐鎖(好ましくは2級)アルキル基又は分岐鎖(好ましくは2級)アルケニル基を有する分岐鎖(好ましくは2級)アルコールにEOを付加した後、POを付加することで合成できる。
【0045】
また、(C3)成分の重量平均分子量は、200〜5,000が好ましく、より好ましくは200〜2,000である。(C3)成分の中で、一般式(6)の化合物は「エマルゲン」の商品名で花王(株)から入手可能であり、一般式(7)の化合物は「ソフタノール」の商品名で日本触媒(株)から入手可能である。(C3)成分としては、洗浄性の観点から、一般式(6)のノニオン性界面活性剤が好ましい。
【0046】
<(D)成分>
本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、ビルダー成分を含有することができる。ビルダー成分としては、金属キレート作用、アルカリ緩衝作用、アルカリ作用、及び固体粒子分散作用などの作用を持つものが知られている。
【0047】
無機ビルダーとしては、リン酸塩、炭酸塩、珪酸塩、硫酸塩が挙げられる。具体的には、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、オルソリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
【0048】
有機ビルダーとしては、(イ)エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,2−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸及びその誘導体、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸などのホスホン酸の塩、(ロ)2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸などのホスホノカルボン酸の塩、(ハ)アスパラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸の塩、(ニ)ニトリロ三酢酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩などのアミノポリ酢酸塩、(ホ)ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、テトラヒドロフラン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、テトラヒドロフラン−2,2,5,5−テトラカルボン酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、スルホコハク酸、リンゴ酸、グルコン酸などの有機酸の塩、(ヘ)ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸/ポリマレイン酸共重合高分子化合物及びその塩などが挙げられる。
【0049】
<(E)成分>
本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、(E)成分として、グリコール類を含有することが好ましい。(E)成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(重量平均分子量200〜1200)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピオレングリコール、ポリプロピレングリコール(重量平均分子量600〜4000)、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(重量平均分子量650〜1000)、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール等が挙げられる。なかでも、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールが好ましい。
【0050】
また、水素結合による吸水性を有する粉体の有機高分子化合物を含有することができる。具体的には、デキストリン、カラギーナン、キサンタンガム、グァーガム、ペクチン、ローカストビンガム、あるいはこれらの誘導体、加工デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの多糖類、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシドなどの合成高分子化合物などが挙げられる。これらは、保存安定性の観点から、本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物に対して、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.5〜15重量%、より更に好ましくは1〜10重量%である。
【0051】
その他、(B)成分以外のアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、酵素、漂白剤、消泡剤、防錆剤、ハイドロトロープ剤、表面改質剤、香料などを含有することができる。
【0052】
上記の成分は、国際公開第99/58633号パンフレットに記載されているものを参照できる。
【0053】
<食器洗浄機用液体洗浄剤組成物>
本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、(A)成分を、アルマイト防食性及びスケール付着防止性の観点から、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜5重量%。更に好ましくは0.1〜3重量%。より更に好ましくは0.5〜2重量%含有する。
【0054】
本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、(B)成分を、白濁や分離防止の観点から、好ましくは0.01〜50重量%、より好ましくは0.05〜30重量%、更に好ましくは0.1〜10重量%、より更に好ましくは2〜5重量%含有する。
【0055】
本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、(C)成分を、洗浄性の観点から、好ましくは0.01〜50重量%、より好ましくは0.05〜30重量%、更に好ましくは0.1〜10重量%、より更に好ましくは2〜5重量%含有する。
【0056】
本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、(D)成分を20重量%未満の量で含有することが好ましい。(D)成分の含有量は、組成物中、10〜19重量%がより好ましく、15〜18重量%が更に好ましい。
【0057】
本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、(E)成分を、白濁や分離防止の観点から、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.05〜5重量%、更に好ましくは0.1〜3重量%、より更に好ましくは0.5〜2重量%含有する。
【0058】
また、本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、使用にあたっては水等で適当な濃度に希釈した洗浄液として用いられることが好ましく、かかる洗浄液中の(A)成分の濃度は、アルマイト防食性及びスケール付着防止性の観点から、好ましくは0.1〜100ppm(重量比)、より好ましくは0.5〜80ppm、更に好ましくは1〜50ppm、より更に好ましくは3〜30ppmである。また、かかる洗浄液中の(C)成分の濃度は、洗浄力の観点から、好ましくは0.1〜1,000ppm、より好ましくは0.5〜500ppm、更に好ましくは1〜100ppm、より更に好ましくは5〜50ppmである。
【0059】
本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物において、(A)成分と(B)成分の重量比は、アルマイト防食性及びスケール付着防止性と溶液安定性のバランスから、(A)/(B)=10/90〜30/70であり、15/85〜25/75が好ましい。
【0060】
また、本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物において、(A)成分と(C)成分の重量比はアルマイト防食性及びスケール付着防止性と洗浄性のバランスから、(A)/(C)=5/95〜50/50、更に10/90〜40/60、更に15/85〜30/70が好ましい。
【0061】
また、本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物において、(A)成分と(D)成分の含有量の合計は、20重量%未満、更に10〜19.5重量%、より更に15〜19重量%が好ましい。
【0062】
本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、各成分が液体である場合は混合攪拌することにより、また固形物を含む場合は、水にまず溶解後他の液体成分を添加し混合攪拌する事が一般的であるが、その組成によってはその添加、溶解の順序は制限されない。本発明の組成物は水を含有し、通常、組成物の残部は水である。
【0063】
本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は1重量%水溶液(25℃)のpHが10以上、更に10.5〜13.5であることが好ましい。
【0064】
本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物を用いた業務用食器洗浄機による洗浄の際には、該組成物は、供給装置によって業務用食器洗浄機内部に一定量任意に移送され、適正な洗浄液の濃度が維持される。液体状の本発明の組成物では、業務用食器洗浄機専用のチューブを食器洗浄機用洗浄剤組成物が充填されたプラスチック等の容器の中に直接差し込み吸い上げられて供給される。その後、洗浄液を業務用食器洗浄機内部へ供給される。
【0065】
本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、洗浄液中の濃度が0.04〜0.5重量%で使用されるが、経済性、洗浄性の観点から、0.05〜0.3重量%が好ましく、更に0.1〜0.2重量%が好ましい。食器の洗浄時間は、洗浄性の観点から、10秒〜3分が好ましく、更に好ましくは、20秒〜2分である。洗浄液の洗浄温度は、短時間での洗浄性を高めるためには、非常に重要で40℃以上が好ましく、40〜70℃がより好ましい。食器は洗浄された後、通常、同じ業務用食器洗浄機にて速やかに水、温水、又は70〜90℃の熱水で濯ぎが行われる。
【0066】
業務用食器洗浄機では、食器を連続洗浄する場合、洗浄液はポンプで循環させて繰り返し使用し、洗浄している。
【0067】
業務用食器洗浄機により食器を連続洗浄する場合、食器による洗浄液の持ち出しや、洗浄槽への濯ぎ水のキャリーオーバーなどによって、洗浄回数とともに洗浄液の濃度が減少する。適切な洗浄液の濃度を維持するため、自動供給装置によって適正濃度となるように食器洗浄機用液体洗浄剤組成物が供給される。
【0068】
食器洗浄機用液体洗浄剤組成物の自動供給装置としては、限定されるものではないが、洗浄液の濃度をセンシングし、シグナルを受信してコントロールされる。液体状の本発明の組成物では、チューブポンプを駆動させて、必要量の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物を供給する。
【0069】
この自動供給装置は、1日の洗浄回数が非常に多い業務用には好適に用いられ、洗浄回数毎の手投入に比べ、格段に手間が省けるという利点があり、またそれ以外に、1日中(洗浄中)適正濃度を維持することが容易となる。
【実施例】
【0070】
表1に示した配合組成の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物を調製し、以下の方法で洗浄性、溶液安定性、アルマイト防食性及びスケール付着防止性を評価した。結果を表1に示す。
【0071】
〔1〕洗浄性試験
洗浄剤組成物を、供給装置によって業務用食器洗浄機〔三洋電機(株)製 SANYO DR53〕内部に移送、0.1〜0.15%濃度が維持される様に調整した。
【0072】
・モデル汚垢の作製
新品の直径20cm磁器製皿の中央部に、卵黄4gを刷毛で直径約16cmの円形に均一塗布し、80℃に設定した電気乾燥機に入れた。30分後、卵黄を塗布した磁器製皿を取り出して、自然冷却したものをモデル汚垢として洗浄性評価に用いた。
【0073】
・評価方法
業務用食器洗浄機〔三洋電機(株)製 SANYO DR53〕の洗浄槽(38L)に食器洗浄機用液体洗浄剤組成物19gを投入して、50℃の温水で溶解させた。専用ラックにモデル汚垢を塗布した磁器製皿4枚をセットして、50℃の洗浄液にて40秒間洗浄した後、リンス剤を用いることなく80℃の濯ぎ水にて8秒間濯いだ。専用ラックから磁器製皿を取り出し、エリスロシン色素1重量%水溶液にて着色させて、以下に示した判定基準にて洗浄性を評価した。
【0074】
*洗浄性の判定基準
○;僅かな着色痕を認めるが、殆どの汚れが除去
△;明らかに着色痕を認め、半量程度の汚れが残留
×;殆どに着色痕が認められ、多くの汚れが残留
【0075】
その結果を表1に示した。本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、洗浄性に優れていることが明らかとなった。
【0076】
(2)溶液安定性試験
食器洗浄機用液体洗浄剤組成物を、ポリプロピレン製100ccボトルに、100cc投入、密閉した、40℃×30日の条件にて保存した後、ガラス製ビーカーに移し替え、外観の状態を目視で観察し、以下の基準で溶液安定性を判定した。
判定基準
○:透明(白濁、分離なし)
△:若干白濁
×:分離
【0077】
その結果を表1に示した。本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、溶液安定性に優れていることが明らかとなった。
【0078】
(3)アルマイト防食性試験
食器洗浄機用液体洗浄剤組成物を、0.05重量%濃度又は0.1重量%濃度となるようにイオン交換水にて希釈して希釈溶液を調製した。アルマイト製のテストピース(2cm×5cm)をエタノール(99%品)にて洗浄、乾燥した。50ccガラス製スクリュー管に希釈溶液を20cc採取し、その中にアルマイト製のテストピースを浸漬した。その際、テストピースの約半分が浸漬された状態となるように浸漬する。アルマイトのテストピースが入ったスクリュー管を、50℃及び70℃の乾燥機に入れ15時間静置する。終了後、イオン交換水にて水洗、乾燥後、外観の状態を目視で観察し、以下の基準でアルマイト防食性を判定した。
判定基準
○:変化なし
△:若干白色に変化
×:白色に変化
【0079】
その結果を表1に示した。本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、アルマイト防食性効果に優れていることが明らかとなった。
【0080】
(4)スケール付着防止性試験
食器洗浄機用液体洗浄剤組成物を、供給装置によって業務用食器洗浄機〔三洋電機(株)製 SANYO DR53〕内部に移送し、0.1〜0.15重量%濃度が維持される様に調整した。洗浄機による洗浄及びすすぎには、イオン交換水に対し、Si含有量が25ppmになる様に、珪酸ナトリウム水溶液(41.5%品)を投入、混合した後、塩酸(特級)にてpH調整(7〜8)した後、10000°dH(Ca/Mg=7/3:ドイツ硬度)の溶液を投入して、6°dHに調整した硬度調整水を用いた。
【0081】
エタノールで洗浄・乾燥したSUS304テストピース(3cm×5cm)10枚を洗浄機内部にセットし、50℃での洗浄液にて40秒間洗浄した後、80℃のすすぎ水にて10秒間濯いだ。これら工程を1サイクルとし、500サイクル繰り返した。終了後、テストピースの外観の状態を目視で観察し、以下の基準でスケール付着防止性を判定した。
判定基準
○:変化なし
△:若干表面の光沢が変化
×:表面の光沢が大きく変化
【0082】
その結果を表1に示した。本発明の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物は、スケール付着防止性に優れていることが明らかとなった。
【0083】
【表1】

【0084】
(注)表中の成分は以下のものである。
・高分子化合物:塩化ジアリルジメチルアンモニウムとマレイン酸とSO2(モル比70/25/5)の共重合体〔有効分25重量%の水溶液を、組成物中の有効分配合量が表中の数値となるように用い、その数値に基づき(A)/(B)(重量比)、(A)+(D)(重量%)を算出した。〕
・ノニオン性界面活性剤A:PO・EO・POブロックポリマー、Pluronic RPE2520(BASF社製)
・ノニオン性界面活性剤B:分岐鎖脂肪族アルコールアルコキシレート、ソフタノール70H〔日本触媒(株)製、一般式(3)において、R14が炭素数12〜14の2級アルキル基、R15が水素原子、n=7のもの〕
・ノニオン性界面活性剤C:ポリオキシエチレン(EO平均付加モル数5)ラウリルエーテル、エマルゲン106〔花王(株)製〕
・ノニオン性界面活性剤D:エマルゲンLS106〔花王(株)製、一般式(6)において、R16が炭素数12〜14の直鎖アルキル基、p=3、q=1.5、r=3のもの〕
・ノニオン性界面活性剤E:ソフタノールEP7085〔日本触媒(株)製、一般式(7)において、R17が炭素数12〜14の2級アルキル基、s=7、t=8.5のもの〕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分と(B)成分とを含有し、(A)成分と(B)成分の重量比が、(A)/(B)=10/90〜30/70である食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。
<(A)成分>
分子中に、アミノ基及び4級アンモニウム基から選ばれる基を1種以上有するモノマー単位(a)と、−SO2−で表されるモノマー単位(b)とを有し、モノマー単位(a)を全モノマー単位に対して10〜99モル%含み、かつモノマー単位(b)/モノマー単位(a)のモル比が0.01〜1である高分子化合物であって、モノマー単位(a)が、下記一般式(1)で表される化合物及び/又は一般式(2)で表される化合物に由来する、高分子化合物。
【化1】


〔式中、R1、R2、R3、R7、R8、R9は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は炭素数1〜3のアルキル基である。X、Yは、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキレン基、−COOR12−、−CONHR12−、−OCOR12−、−R13−OCO−R12−から選ばれる基である。ここでR12、R13は、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキレン基である。R4は炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR12C=C(R3)−X−である。R5は炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ベンジル基であり、R6はヒドロキシ基、カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、又はベンジル基であり、R6がアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はベンジル基の場合は、Z-は陰イオンを示す。R6がカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基を含む場合、Z-は存在せず、R6中のこれらの基は陰イオンとなる。R10は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR78C=C(R9)−Y−である。R11は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。〕
<(B)成分>
下記一般式(B1)で表される脂肪酸又はその塩。
R−COOH (B1)
(式中、Rは炭素数3〜13の直鎖脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜17の分岐鎖脂肪族炭化水素基を示す。)
【請求項2】
更に、(C)ノニオン性界面活性剤を含有する請求項1記載の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
(C)ノニオン性界面活性剤が、下記一般式(6)で表されるノニオン性界面活性剤及び下記一般式(7)で表されるノニオン性界面活性剤から選ばれる1種以上のノニオン性界面活性剤である請求項2記載の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。
16−O−(EO)p−(PO)q−(EO)r−H (6)
〔式中、R16は炭素数8〜18の直鎖のアルキル基又は直鎖のアルケニル基を示し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示す。p、q、rはそれぞれ平均付加モル数を表し、p=1〜10、q=0.5〜5、r=1〜10である。〕
17−O−(EO)s−(PO)t−H (7)
〔式中、R17は炭素数8〜18の分岐鎖のアルキル基もしくは分岐鎖のアルケニル基を示し、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基を示す。s、tはそれぞれ平均付加モル数を表し、s=4〜10、t=2〜10であり、0.3≦(t/s)≦1.5である。〕
【請求項4】
更に、(D)ビルダー成分を含有し、当該(D)ビルダー成分の含有量が20重量%未満である請求項1〜3の何れか1項記載の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
更に、(E)グリコール類を含有する請求項1〜4の何れか1項記載の食器洗浄機用液体洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2009−155615(P2009−155615A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−338875(P2007−338875)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】