説明

飲料を準備するためのカートリッジ、飲料準備機及び飲料準備システム

本発明は、少なくとも一つの飲料の原料を入れる容器(18)を有する、飲料を準備するためのカートリッジ(16)を提供する。カートリッジ(16)は、飲料準備機(10)内に挿入方向(36)に挿入されるよう構成され、少なくとも二つのコードポジション(34)を有する、形状によって符号化される認識コード(32)を備える。コードポジション(34)は、コード化ライン(38)に沿って配置され、挿入方向(36)とコード化ライン(38)とは平行でない。更に、本発明は、飲料を準備するための原料を供給するために、カートリッジ(16)における、形状によって符号化される認識コード(32)を復号するためのデコーダ手段(24)を有する飲料準備機(10)を提供する。認識コード(32)は、少なくとも二つのコードポジションを有し、デコーダ手段(24)は、その少なくとも二つのコードポジションを並列的に復号するように構成される。更に、本発明は、そのようなカートリッジ(16)とそのような飲料準備機(10)とを有する飲料準備システムを提供する。カートリッジ(16)と飲料準備機(10)との相互作用のおかげで、カートリッジ(16)のところに用意されたコードの同時復号が実施可能であり、それは、単純な符号化を可能にする。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料を準備するためのカートリッジに関し、そのカートリッジは、飲料準備機内に挿入方向に挿入されるように構成され、また、少なくとも二つのコードポジション(encoding positions)を有する、形状によって符号化される認識コードを備え、そのコードポジションは、符号化ラインに沿って配置される。
【0002】
本発明はまた、飲料を準備するための原料を供給するためのカートリッジにおける形状によって符号化される認識コードを復号するためのデコーダ手段を有する飲料準備機に関し、その認識コードは、少なくとも二つのコードポジションを有する。
【0003】
更に、本発明は、カートリッジと飲料準備機とを有する飲料準備システムに関する。
【背景技術】
【0004】
飲料準備機で飲料を準備する場合に、任意で粉末ミルク/砂糖を加えた挽いたコーヒー、紅茶、粉末チョコレート、スープのような一以上の原料で満たされたカートリッジを用いることが知られている。事前に分割されたパッケージとしていつでも使用できる状態になって持ち込まれ得るそのカートリッジは、その飲料準備機の指定チャンバーに挿入されることを目的として作られている。その飲料準備機に調合工程(brewing process)を開始するよう指示した後、そのカートリッジ内の原料は、なるべく熱い飲料を準備するために、熱湯と一緒に調合され、且つ/或いは、混合される。
【0005】
米国特許出願第2003/0033938号明細書は、二以上のセクション(一つのセクションには、挽かれたコーヒーが入っており、もう一つのセクションには、粉末ミルク又はクリームが入っている。)に分割されたカートリッジを用いる飲料準備機を開示する。そのカートリッジは、複数の直立ペッグを備え、そのカートリッジは、処置のためにその飲料準備機によって識別され、その結果、そのカートリッジの識別は、そのカートリッジへの水の導入、及び、泡立て手段の起動を含む正しい処置ステップにそれを従わせる。これらのカートリッジはまた、歯を備えており、それらの歯は、それらの歯と駆動機構との係合によってそのカートリッジが飲料準備機を通り抜けることができるようにすることを目的として作られている。それらの歯及びその認識手段は、双方とも、そのカートリッジの搬送方向に沿って備えられる。その飲料準備機内でそのカートリッジが搬送されるときに、その飲料準備機の調合部の近くにあるカートリッジのタイプを識別するために、それらペッグは、それら直立ペッグの存否を検知する検知アームのところを、順番に通過させられる。一以上のペッグが存在しない場合、それによって、その検知アームは、異なるタイプのカートリッジを識別する。その検知アームは、そのカートリッジ上のそれらペッグの存否に関する情報をその結果として制御機構に送信する飲料準備機内のスイッチを操作する。このようにして、そのカートリッジ上のそれらペッグの配列は、適切な飲料準備状態を選択するコントローラに対して、カートリッジのタイプを識別する。
【0006】
この飲料準備機では、各ペッグの存否を検知する検知アームが一つだけ存在する。ペッグの不在は、制御手段がそのカートリッジの搬送速度をも考慮し、それ故に、本来ならば“不在ペッグ”がその検知アームを通過することになっている特定の時点のみにおいて存否をチェックする場合にのみ検知され得る。更に、単一の検知アームによるこの順次的な検知は、最後のペッグが検知されるまで、全てのペッグの存否をキャッシュに格納しなければならない。この検知方法は、複雑でそれ故に高価な制御又は処理を必要とし、また、それらペッグの存否は、そのカートリッジの搬送速度に応じた短い時間帯内でのみ検知され得るので、間違った復号を発生させる可能性がある。
【特許文献1】米国特許出願第2003/0033938号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、より単純で安価な方法により正確な認識を行う能力を有する、飲料準備用カートリッジ、飲料準備機及び飲料準備システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に従った飲料準備用カートリッジ、請求項8に従った飲料準備機、及び、請求項16に従った飲料準備システムによって解決される。更なる有利な成果は、従属項で概説される。
【0009】
本発明に従って、少なくとも一つの飲料の原料を入れるための容器を有する飲料準備用カートリッジが提供される。そのカートリッジは、飲料準備機内に挿入方向に挿入されるよう構成され、また、少なくとも二つのコードポジションを有する、形状によって符号化される認識コードを備え、そのコードポジションは、コード化ラインに沿って配置され、その挿入方向とそのコード化ラインとは平行でない。その認識コードのこの特定の配列のおかげで、そのカートリッジが挿入されるその飲料準備機は、全てのコードポジションを並列的に検知できる。そのような並列復号化は、カートリッジのタイプを表すそのコードが、制御手段において読み込み信号を広範囲に処理することなしに、デコーダ手段から直接的に読み出されるという有利点を有する。この復号化は、そのカートリッジの挿入速度に応じて個々のコードポジションの検知を開始させることを必要としない。従って、そのカートリッジがその指定位置に達するとすぐに、複雑な処理アルゴリズムを用いることなく、カートリッジのタイプが分かる。
【0010】
本発明のカートリッジに従い、そのコード化ラインは、その挿入方向に垂直な直線であることが好適である。その認識コードのこの配列は、全てのコードポジションが並列的にかつ実質的に同時に検知されるのを確実にするために、最適な配置である。
【0011】
更に、本発明のカートリッジに対して、そのカートリッジが、その容器に接続され、かつ、その挿入方向に関して(そのカートリッジが飲料準備機内に取り付けられるときに最初に導入されるよう構成される)先端のところにその認識コードを備えたコネクタを更に有することが想定され得る。その容器に加えてコネクタを備えることの有利点は、それらの双方に対する異なる要件のおかげで、その容器が、そのコネクタとは独立して製造され得る点にある。そのコネクタは、そのカートリッジをその飲料準備機内に挿入して取り付けるときに、それに適用される力に耐える必要がある。それとは対照的に、通常、その容器には如何なる力も適用されることはないが、その容器は、その原料を新鮮な状態に維持しなければならない。従って、そのコネクタを製造する場合にはより固い材料が選択され得るが、一方で、かなり薄い壁の材料であっても、その容器の製造には十分となり得る。更に、このことは、別のコネクタが同じタイプのカートリッジに用いられ得る(例えば、同じ原料で満たされたカートリッジが、別の調合処理を開始させる別のコネクタと共に提供される。)という有利点を有する。同様に、その別のコネクタは、別の脱灰モードを開始させてもよい。
【0012】
本発明のカートリッジの更なる成果は、そのコネクタがその容器から供給される少なくとも一つの原料を流体に混合し、且つ/或いは、調合するのに適している点にある。そのコネクタ内におけるその混合及び/又は調合のおかげで、その容器は、それら飲料を調合するときに用いられる熱湯及び/又は蒸気に耐える必要はない。それ故に、その容器を耐熱材料から作る必要はない。
【0013】
更に、そのコネクタが、流体を受け取るための少なくとも一つのインレット、その容器からその原料を受け取るための少なくとも一つのインレット、及び、その原料とその流体との混合及び/又は調合から生じる混合物又は抽出物を放出するための少なくとも一つのアウトレットを有することが、そのカートリッジにとって好適である。
【0014】
そのような配置は、そのコネクタがその飲料を混合し、且つ/或いは、調合するために必要な接続の全てを有するので、そのコネクタが取り外し可能な態様でその容器に接続され得るという有利点をもたらす。
【0015】
更に、コードポジションのそれぞれがカムを有するか或いは有しないかの何れかとなるように作られる点がそのカートリッジにとって好適である。カムは、製造が簡単であるという有利点を有し、また、それらは、機械的な復号が実行されたときにも変形を防止するのに十分強固に形成され得る。
【0016】
更に、そのコネクタが細長い平らな形状であり、そのコードポジションがそのコネクタの縦端に用意されることが、そのカートリッジにとって好都合である。そのコネクタの平らな形状のおかげで、そのカートリッジは、小型化され、そして更に、信頼できる復号を保証するのに十分固いものとなり得る。固い材料でそのコネクタを作ることができるからである。
【0017】
本発明に従って、飲料を準備すべく原料を供給するために、形状によって符号化されるカートリッジの認識コードを復号化するためのデコーダ手段を有する飲料準備機が更に提供される。なお、その認識コードは、少なくとも二つのコードポジションを有し、そのデコーダ手段は、その少なくとも二つのコードポジションを並列的に復号化するよう構成される。そのような並列復号化は、カートリッジのタイプを表すそのコードが、制御手段において読み込み信号を広範囲に処理することなしに、デコーダ手段から直接的に読み出されるという有利点を有する。この復号化は、そのカートリッジの挿入速度に応じて個々のコードポジションの検知を開始させることを必要としない。従って、そのカートリッジがその指定位置に達するとすぐに、複雑な処理アルゴリズムを用いることなく、カートリッジのタイプが分かる。
【0018】
本発明の飲料準備機に従い、そのデコーダ手段が、その少なくとも二つのコードポジションに割り当てられた少なくとも二つのプッシュボタンスイッチを有する機械的なデコーダ手段であることが好適である。プッシュボタンスイッチを用いることで、特に単純でかつ安価な復号化が実現され得る。
【0019】
本発明の飲料準備機における更なる成果は、そのデコーダ手段が、その少なくとも二つのプッシュボタンスイッチを操作するための少なくとも二つのレバーを更に有するという点にある。従って、それらレバーは、そのカートリッジを挿入する際にそのプッシュボタンに適用される力のレバーアームを変えることができる。
【0020】
更に、それらレバーのそれぞれがそれらコードポジションによっては操作されないという状態において、それらプッシュボタンスイッチがそれらレバーによって操作されるように、そのレバーを付勢するための付勢手段をその飲料準備機が更に有することが飲料準備機にとって好都合である。従って、そのカートリッジの挿入は、それらレバーに適用される力をもたらし、それらレバーがそれらプッシュボタンを離昇する方向に動かされるようにする。この配置のおかげで、そのカートリッジの挿入は、それらプッシュボタンスイッチ上には、それらプッシュボタンスイッチから離れる反対の方向にではあるが、何らの力をも適用することがない。このように、それらプッシュボタンスイッチは、そのカートリッジの挿入によって生じる外力による損傷を受けることが回避される。別の有利点は、それらレバーがプッシュボタンスイッチから必要以上に離昇するようにそれらレバーが配置され得るので、このようにして許容誤差の影響が極小化されるという点にある。このように、時間による劣化のせいでその離昇量が減った場合にも、それらプッシュボタンスイッチは、その認証コードによって作動させられることはないが、その認証コードによって作動を停止させられるので、スイッチ精度に影響を与えることはない。
【0021】
更に、その付勢手段が、その一端で枝分かれした少なくとも一つのスプリングを有することがその飲料準備機にとって好適である。なお、各枝は、それらレバーのうちの一つを付勢する。その一方の側に一体的に形成されたそのようなスプリングは、その飲料準備機内に簡単に取り付けられ得る。
【0022】
更に、その付勢手段、それらレバー、及び、それらプッシュボタンスイッチが一つのモジュールを形成し、単一のハウジングに全て収容されるのがその飲料準備機にとって好適である。そのようなモジュールは、簡単に取り替え可能なものとなる。
【0023】
更に、そのハウジングが、汚染物質を出すための、そのハウジングの外面に備えられる汚染チャネルを有することがその飲料準備機にとって好都合である。これらの汚染チャネルは、原料や埃のような汚染物質がそのハウジングを取り囲むすき間に入る(取り除かれなければ目詰まりや機能不全を引き起こす場合がある。)のを防止することができる。
【0024】
或いは、そのデコーダ手段が、その少なくとも二つのコードポジションに割り当てられる少なくとも二つの読み取りセクションを有する電気的なデコーダ手段であることが好適となり得る。このようにして、そのカートリッジのコネクタとそのデコーダ手段との間の接触が予防され得、また、そのカートリッジの激しい挿入によるそのデコーダ手段の損傷も発生し得ない。
【0025】
本発明のこれらの及び他の態様は、本明細書で以下に説明される実施例から明らかとなり、それを参照することで解明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、飲料準備機10を概略的に示す。この飲料準備機は、水を蓄えるための水容器12、及び、蒸気を発生させ、かつ、水及び/又は蒸気をカートリッジ16に供給するための流体給送ユニット14を含み、その水は、好適には、流体給送ユニット14によって加熱された熱湯である。カートリッジ16は、原料を入れる容器18、及び、飲料準備機10と容器18との間の接続を形成するコネクタ20の二つの部分から構成される。更に、カートリッジ16のコネクタ20は、以下で説明される、形状によって符号化される認識コード32を備え、それは、カートリッジ16の挿入の際に、挿入されたカートリッジ16のタイプを認識するための復号化手段24のレバー22と接触する。
【0027】
図2は、本発明に従った、飲料を準備するためのカートリッジ16を示す。容器18は、飲料(特に、熱い飲料)を準備するための一以上の原料で満たされ得る。これらの原料は、例えば、任意で粉末ミルク/砂糖を加えた挽いたコーヒー、紅茶、粉末チョコレート、スープ等、又は、前述の原料の抽出物である。その容器は、アルミ箔のような気密でかつ防水の材料でできているべきであり、それは、それら原料が実際に飲料準備機10内で使用される前にそれら原料が空気及び/又は湿気と接触するのを防止する。容器18とコネクタ20との間の接続は、例えば、ある種の接着、プレス(圧締め)又はスナップ(留め金)による接続を用いて、取り外し可能、或いは、取り外し不能の何れであってもよい。飲料準備機10内に挿入されると、コネクタ20は、飲料準備機10と容器18との間の接続をもたらし、それ故に、容器18に対して必要な材料よりも固い材料でできていなければならない。
【0028】
図3は、本発明に従ったカートリッジ16のコネクタを図示する。コネクタ20は、水及び/又は蒸気のような流体を給送するための流体インレット26を有する平らで細長い部品であり、そこにおいて、その水は好適には熱湯である。更に、コネクタ20は、容器18内の原料をコネクタ20に供給するために、容器18との連絡通路を形成する原料インレット28を有し、そこで、これらの原料は、流体インレット26を通って導入された流体と混合され、且つ/或いは、調合される。この状況において、それらの原料は、例えば、コネクタ20内の流体における特定の流量特性によってコネクタ20内で生じる吸引効果によってコネクタ20に吸い込まれてもよく、或いは、容器18内のそれら原料は、別のポートを通して容器18へ供給される空気圧によって原料インレット28を通じて導入されてもよい。それら原料がコネクタ20内の流体と混合され、且つ/或いは、調合された後、その結果として抽出される飲料は、アウトレット30を通じて放出され、好適には、カップ又はグラスに直接注ぎ込まれる。カートリッジ16を飲料準備機10内に挿入した場合に第一に導入されることを目的として作られている先端において、コネクタ20は、少なくとも二つのコードポジション34で構成される、形状によって符号化される認識コード32を備える。好適な実施例において、この認識コード32は、カムの形で提供され、そこにおいて、そのコードポジション34のそれぞれは、カムの存否によって情報を表すことができる。本実施例では、三つのコードポジション34を提供することが好適であり、それは、コードポジション34のそれぞれにおけるカムの存否によって、2=8個の検出可能な異なる設定を表すことができる。
【0029】
カムに代わるものとして、例えば、ノブ、又は、他の幾何学的な凹凸が使用されてもよい。認識コード32が形状によって符号化されていること、すなわち、コードポジション34のそれぞれがこの位置における様々な物理的形状によって異なる情報を表すことのみが重要である。この認識コード32は、飲料準備機10内にカートリッジ16が挿入された場合に、飲料準備機10によって認識される。詳細には、コードポジション34は、それらが飲料準備機10へのカートリッジ16の挿入方向36に垂直な方向に相互に離れるように、位置付けられる。この間隔の置き方のおかげで、上述の有利点につながるコードポジション34の並列的な復号化が可能となる。この間隔の置き方は、カートリッジ16の挿入方向36に平行でないコード化ライン38に沿ってコードポジション34を配置することによって達成される。
【0030】
挿入方向36に平行とならないようにコードポジション34を位置付けた場合、全てのポジションが、後述のデコーダ手段によって、同時にアクセスされ得る。認識コード32に盛り込まれた情報は、特定の飲料を準備できるようにするためにそのメモリからその所望のモードを選択すべく、飲料準備機10によって用いられる。モード毎の変数は、水の量、蒸気の量、並びに、水及び蒸気の順序であってもよい。更に、飲料準備機10はまた、認識コード32によって、脱灰モードのような特別なモードの状態に置かれてもよい。個々のカムの存否は、飲料準備機10内に備えられるデコーダ手段によって検出される。
【0031】
図4は、本発明に従ったデコーダ手段24を示す。好適な実施例において、デコーダ手段24は、三つのレバー22を有し、それらの数は、上述のカートリッジ16におけるコネクタ20上に備えられたコードポジション34の数に等しい。レバー22は、共通軸50上に支持される。更に、レバー22は、軸50に沿った方向に相対的に小さめに寸法取りされ、軸50に垂直な方向に比較的大きめに寸法取りされる。軸50に垂直な平面内でそれらレバーは伸張され、軸50によって支持される部分に対して長手方向にある一方の側において、それらレバーは、(軸50に沿って見られるように)実質的に方形である。軸50によって支持される部分に対して長手方向にある他方の側において、それらレバーは、細長いレバー22の横断方向に狭くなり、また、(軸50に沿って見られるように)実質的に矩形である。従って、レバー22は、その方形側においてその矩形側よりも重くなっているが、力のレバーアームは、矩形側において、より大きいものとなっている。レバー22の一端、本実施例でいうその矩形端のところには、コードポジション34及びレバー22に等しい数のプッシュボタンスイッチ40が備えられ、それらプッシュボタンがレバー22の回転によって作動させられるように配置される。これらのプッシュボタンスイッチ40は、レバー22に合わせて適切に調整されたプリント基板42に取り付けられる。レバー22を付勢(バイアス)するために、デコーダ手段24は、レバー22を付勢するための付勢手段としてスプリング44を有する。
【0032】
作動中、カートリッジ16が存在しない場合、それらスイッチは、通常、それらレバーによってクローズされており、換言すれば、レバー22は、それらがプッシュボタンスイッチ40のプッシュボタンを押すように付勢されている。このレバーが割り当てられるコードポジション34におけるカムの存在によるレバー22の作動は、プッシュボタンスイッチ40のプッシュボタンからのレバー22の離昇をもたらし、プッシュボタンスイッチ40がオープンされるように、換言すれば、それが電流を導くようにする。
【0033】
図5及び6は、モジュールの形で提供されるデコーダ手段24を示す。レバー22、プッシュボタンスイッチ40、プリント基板42及びスプリング44を含む、デコーダ手段24の全ての部品は、ハウジング46に取り付けられる。全ての部品は、取り外し可能な態様で飲料準備機10において用いられ得る単一の部品とすべく、このハウジング46に事前に取り付けられていてもよく、言い換えれば、その結果として実現されるモジュールは、他の場所に取り付け可能で、それを部分組み立て品にする。ハウジング46は、飲料準備機10が使える状態に置かれた場合に重力の方向に沿って延びる汚染チャネル48を備える。このようにして、汚染チャネル48は、埃や液体のような汚濁をそれが害とならない場所(飲料準備機10の底板である。)まで移送させる。更に、そのハウジングは、そのハウジング壁がその方向をブロックするので、汚濁がプリント基板42又はプッシュボタンスイッチ40に至るのを防止する。
【0034】
図7は、本発明に従った別のデコーダ手段を示す。これら別の電子的なデコーダ手段52は、上述の機械的なデコーダ手段24の代わりに使用されることができ、また、上述のデコーダ手段24と全く同じように、飲料準備機10内に取り付けられ得る。デコーダ手段52は、図4及び5に関連して記載されたような、全体の外寸が同じであるモジュールとして提供される。二つの突起54及び56は、デコーダ手段52のメインボディから突出し、二つの突起54及び56の間に空間が形成されるようにする。突起56に面する突起54の内側には、三つの光受信器58が組み込まれている。それらの反対には、光受信器58に向かって光線60を発することができる三つの発光体が突起56に組み込まれている。光受信器58は、その発光体が発する光を受けるように構成され、突起54及び56の間にある空間に物体が挿入されることによって、その光線が遮られたかを判定できるようにする。三つの発光体と三つの光受信器58とを有することで、デコーダ手段52は、三つの読み出しセクションをもたらし、それぞれが、三つの光受信器58の一つとその反対にある対応する発光体の一つとを有する。これらの読み出しセクションのそれぞれは、コードポジション34の一つに割り当てられる。カートリッジ16が飲料準備機10に挿入されると、コードポジション34は、光線60に関連して位置付けられ、光線60がコード化ライン38と交差するようにする。上述のように形状によるコード化がカムによって実現された場合、コードポジションにおけるカムの存在は、光線60のそれぞれを遮り、また、別のコードポジションにおけるカムの不在は、光線60のそれぞれを遮らず、光線60が光受信器58によって受け入れられるようにする。カムの代わりに、コードポジション34はまた、スロットを備えるか或いは備えないように構成されてもよい。その場合、スロットの不在は、その発光体からの光を遮断し、また、スロットの存在は、光線60がその光受信器に至るのを可能にし、そして、読み取りセクションが作動させられる。また、たとえ読み取りセクションの好適な数が3であっても、別の数の読み取りセクションが提供されてもよい。
【0035】
図8は、本発明に従った更に別のデコーダ手段を示す。図7に示されるデコーダ手段52と違い、電子的なデコーダ手段52は、光受信器が突起54内に収容されずにそれら発光体のすぐ近隣にある突起56に収容されるように、変更され得る。突起54の内側には、反射面62が形成される。カムが不在の場合(或いは、スロットが存在する場合)、光線60は、それぞれの発光体から発せられ、反射面62で反射されて、それぞれの光受信器によって受け取られる。それら発光体はそれらのそれぞれの光受信器に隣接して配置されるので、光線60は、光線60が遮られることなく光線60がそのそれぞれの光受信器の置かれるところの位置に反射されるように決定された所定の角度の下で、反射面62に向かって発射される。
【0036】
図9は、本発明に従った更に別のデコーダ手段を示す。図8に示すデコーダ手段52と違い、デコーダ手段52の突起54が省略され、反射面62が飲料準備機10のハウジングのどこかに配置される。図9に従ったデコーダ手段52の機能は、図8を参照して説明したものと同じである。
【0037】
上述の発明は、このようにして、飲料を準備するためのカートリッジ16を提供し、また、カートリッジ16のタイプを表すコードが、制御手段において読み込み信号を広範囲に処理することなしに、デコーダ手段24から直接的に読み出されるという有利点を有する復号化が可能であるという有利点をもたらす飲料準備機10を提供する。この復号化は、カートリッジ16の挿入速度に応じて個々のコードポジション34の検知を開始させることを要しない。従って、カートリッジ16がその指定の位置に達するとすぐに、複雑な処理アルゴリズムを用いることなしに、カートリッジ16のタイプが提示される。
【0038】
以上で説明されていない均等物及び変形物もまた、添付の請求項に規定される本発明の範囲から逸脱することなしに、採用され得る。いくつかの変形例が以下で言及され得る。
【0039】
代替的に、上述の実施例に対し、コネクタ20は、二以上の流体インレット及び二以上のアウトレットを有し得る。それによって、例えば、一方の流体インレットが水を導入するために用いられ、そして、他方の流体インレットが蒸気を導入するために用いられてもよい。
【0040】
上述の実施例において、それらカムは、それらの存否によって情報を盛り込み、そのことは、コードポジション34毎に二つの取り得るコード値を与える。しかしながら、代替的に、それらカムの高さ(カートリッジ16の挿入方向36におけるそれらの寸法)をも考慮することにより、コードポジション34毎により多くの取り得るコード値が存在するようにしてもよい。例えば、このように、そのデコーダは、カムの不在、完全な高さのカムの存在、又は、半分の高さのカムの存在を検知でき、それは、三つのコードポジション34により、3=27個の異なる設定を提供する。
【0041】
その好適な実施例において、プッシュボタンスイッチが使用され得るが、レバースイッチのような他のスイッチが使用されてもよい。
【0042】
更に、上述の実施例では、そのプッシュボタンスイッチは、そのプッシュボタンが押されたときにオープンされ(電流を導き)、そのプッシュボタンが押されていないときにクローズされる(電流を遮断する)タイプであるが、当然のことながら、そのプッシュボタンスイッチは、そのプッシュボタンがオープンされたときにそのプッシュボタンスイッチがクローズされるように、逆に機能するタイプであってもよい。
【0043】
光センサの代わりに、磁気センサや静電容量センサのような他の非接触センサがデコーダ手段52で用いられてもよい。磁気センサの場合、コードポジション34は、磁石を備えなければならない。
【0044】
添付の請求項では、それら請求項のより簡単な理解のためだけに、参照数字が与えられる。形はどうあれ、これらの参照数字が本発明の範囲を限定することは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】飲料準備機を概略的に示す。
【図2】本発明に従った、飲料を準備するためのカートリッジを示す。
【図3】本発明に従ったカートリッジのコネクタを示す。
【図4】本発明に従ったデコーダ手段を示す。
【図5】モジュールの形で提供されるデコーダ手段を示す。
【図6】モジュールの形で提供されるデコーダ手段を示す。
【図7】本発明に従った別のデコーダ手段を示す。
【図8】本発明に従った更に別のデコーダ手段を示す。
【図9】本発明に従った更に別のデコーダ手段を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの飲料の原料を入れるための容器を有し、前記カートリッジが飲料準備機の中に挿入方向に挿入されるよう構成され、かつ、少なくとも二つのコードポジションを有する、形状によって符号化される認識コードを備え、前記コードポジションがコード化ラインに沿って配置されるところの飲料を準備するためのカートリッジであり、前記挿入方向と前記コード化ラインとが平行でないことを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
前記コード化ラインは、前記挿入方向に垂直な直線である、
請求項1に従ったカートリッジ。
【請求項3】
前記カートリッジは、前記容器に接続され、かつ、前記カートリッジが飲料準備機に取り付けられるときに最初に導入されるように構成される、前記挿入方向に関する先端のところに前記認識コードを備えるコネクタを更に有する、
請求項1に従ったカートリッジ。
【請求項4】
前記コネクタは、前記容器から供給される前記少なくとも一つの原料と流体とを混合及び/又は調合するのに適している、
請求項3に従ったカートリッジ。
【請求項5】
前記コネクタは、流体を受け入れるための少なくとも一つのインレット、前記容器から前記原料を受け入れるための少なくとも一つのインレット、及び、前記原料と前記流体との混合及び/又は調合から生じる混合物又は抽出物を放出するための少なくとも一つのアウトレットを有する、
請求項3に従ったカートリッジ。
【請求項6】
コードポジションのそれぞれは、カムを有するか有しないかの何れかとなるように作られる、
請求項3に従ったカートリッジ。
【請求項7】
前記コネクタは、細長い平らな形状であり、前記コードポジションは、前記コネクタの縦端のところに備えられる、
請求項6に従ったカートリッジ。
【請求項8】
飲料を準備するための原料を供給するための前記カートリッジにおける、形状によって符号化される認識コードを復号するためのデコーダ手段を有し、前記認識コードが少なくとも二つのコードポジションを有するところの飲料準備機であり、前記デコーダ手段が前記少なくとも二つのコードポジションを並列的に復号するように構成されることを特徴とする飲料準備機。
【請求項9】
前記デコーダ手段は、前記少なくとも二つのコードポジションに割り当てられた少なくとも二つのプッシュボタンスイッチを有する機械的なデコーダ手段である、
請求項8に従った飲料準備機。
【請求項10】
前記デコーダ手段は、前記少なくとも二つのプッシュボタンスイッチを操作するための少なくとも二つのレバーを更に有する、
請求項9に従った飲料準備機。
【請求項11】
当該飲料準備機は、前記レバーのそれぞれが前記コードポジションによって操作されない状態において、前記プッシュボタンスイッチが前記レバーによって操作されるように、前記レバーを付勢する付勢手段を更に有する、
請求項10に従った飲料準備機。
【請求項12】
前記付勢手段は、その一端において枝分かれする少なくとも二つのスプリングを有し、各枝が前記レバーの一つを付勢する、
請求項11に従った飲料準備機。
【請求項13】
前記付勢手段、前記レバー、及び、前記プッシュボタンスイッチは、一つのモジュールを形成し、全て単一のハウジングに収容される、
請求項11に従った飲料準備機。
【請求項14】
前記ハウジングは、汚染物質を出すための、該ハウジングの外面に備えられた汚染チャネルを有する、
請求項13に従った飲料準備機。
【請求項15】
前記デコーダ手段は、前記少なくとも二つのコードポジションに割り当てられた少なくとも二つの読み出しセクションを有する電子的なデコーダ手段である、
請求項8に従った飲料準備機。
【請求項16】
請求項1に従ったカートリッジと請求項8に従った飲料準備機とを有する飲料準備システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−520552(P2009−520552A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546794(P2008−546794)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/IB2006/054938
【国際公開番号】WO2007/072413
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】