飲料ディスペンサ
【課題】キャニスタ内の粉末原料に対する防虫性及び防湿性を高めることを実現した飲料ディスペンサを提供する。
【解決手段】飲料ディスペンサは、粉末原料Pを内部に収容するキャニスタ21と、粉末原料と水とを混合して飲料を生成するミキシングユニット31とを備えている。また、キャニスタ21の原料放出口22bには、シュータ41が放出口部材25を介して取り付けられている。シュータ41は、キャニスタ21内の粉末原料Pをミキシングユニット31内に案内するための案内通路45を内部に有している。また、シュータ41には、案内通路45を塞ぐ金属製の閉塞部材51が着脱可能に取り付けられている。
【解決手段】飲料ディスペンサは、粉末原料Pを内部に収容するキャニスタ21と、粉末原料と水とを混合して飲料を生成するミキシングユニット31とを備えている。また、キャニスタ21の原料放出口22bには、シュータ41が放出口部材25を介して取り付けられている。シュータ41は、キャニスタ21内の粉末原料Pをミキシングユニット31内に案内するための案内通路45を内部に有している。また、シュータ41には、案内通路45を塞ぐ金属製の閉塞部材51が着脱可能に取り付けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉末原料と水とを混合して飲料を生成する飲料ディスペンサの構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
利用者に飲料を提供する飲料ディスペンサの一例として、粉末原料と水(冷水または温水)とを混合して飲料を生成するものが挙げられる。例えば特許文献1に記載されているように、この種の飲料ディスペンサは、粉末原料を内部に収容するキャニスタと、粉末原料と水とを混合するミキシングユニット(混合容器)とを備えている。キャニスタの前面には粉末原料の放出口が形成されており、キャニスタ内に設けられたスクリューを回転させることによって粉末原料が放出口から放出される。放出された粉末原料は放出口キャップ及びシュータによってミキシングユニット内に案内され、ミキシングユニット内で水と混合されることによって飲料となる。このようにして生成された飲料は、ミキシングユニットの底部に形成された注出口を介して利用者に提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−348330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の飲料ディスペンサではキャニスタの放出口が常時開放されているため、キャニスタ内の粉末原料と外気とが放出口を介して繋がった状態となっている。したがって、例えば夜間や長期休暇の間等、飲料の注出が長時間にわたって行われない場合、キャニスタ内の粉末原料を狙った害虫が放出口からキャニスタ内に侵入するという問題点が生じる。また、例えば梅雨時等、外気の湿度が高い状態で飲料の注出を長時間行わない場合、キャニスタ内の粉末原料が外気中の水分を吸収して固化することがある。この場合、固化した粉末原料がスクリューの回転不良を招き、次回の飲料注出時に粉末原料を放出できなくなるという問題点も生じる。
【0005】
この発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、キャニスタ内の粉末原料に対する防虫性及び防湿性を高めることを実現した飲料ディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る飲料ディスペンサは、粉末原料と水とを混合して飲料を生成する飲料ディスペンサであって、内部に収容された粉末原料を原料放出口から放出するキャニスタと、粉末原料と水とを混合して飲料を生成するミキシングユニットと、原料放出口から放出された粉末原料をミキシングユニットに案内する案内通路を有するシュータとを備え、シュータには、案内通路を塞ぐ金属製の閉塞部材が着脱可能に設けられることを特徴とするものである。
【0007】
シュータの案内通路を閉塞部材で塞ぐことによってキャニスタの原料放出口も塞がれるため、キャニスタ内の粉末原料が外気から遮断された状態となり、害虫がキャニスタ内に侵入すること及び粉末原料が外気中の水分を吸収することが防止される。また、閉塞部材はシュータに対して着脱可能となっており、取り外して洗浄を行うことが可能であるため、閉塞部材を衛生的に保つことが容易である。さらに、閉塞部材を金属製としたので耐久性が高く、且つ以下に述べるように粉末原料に対する防湿性をより高めることが可能となっている。通常、飲料ディスペンサは、その動作を制御する装置や水の冷却及び加熱を行う装置を内部に備えており、これらの装置が熱を発するため、飲料ディスペンサの内部温度は外気の温度より高くなっている。すなわち、閉塞部材を樹脂等より熱伝導性の良い金属製とすることにより、閉塞部材をシュータに取り付けた際の原料放出口周辺の温度上昇が早められる。よって、飲料の非注出時に原料放出口に留まっている粉末原料に対する防湿効果がより高められる。以上より、飲料ディスペンサにおいて、キャニスタ内の粉末原料に対する防虫性及び防湿性が高められる。
【0008】
閉塞部材は、案内通路の内部に延びる放熱部を有しており、放熱部は、原料放出口に対向する部位に配置されてもよい。放熱部から発せられる熱が原料放出口に留まっている粉末原料に対して直接的に伝わるため、防湿効果をさらに高めることが可能となる。
また、シュータは、原料放出口に対して回転可能且つ着脱可能に設けられており、案内通路は、シュータを原料放出口に対して回転させること及びシュータを原料放出口から取り外すことによって露出可能な放出側開口部を有し、閉塞部材は、放出側開口部から案内通路に挿入されることによって、シュータに取り付けられてもよい。シュータを原料放出口に対して回転させること及びシュータを原料放出口から取り外すことによって案内通路の開口部が露出するため、シュータへの閉塞部材の着脱が容易となる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、キャニスタ内の粉末原料に対する防虫性及び防湿性を高めることを実現した飲料ディスペンサを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る飲料ディスペンサの外観を示す斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る飲料ディスペンサの内部の構成を示す斜視図である。
【図3】実施の形態1に係る飲料ディスペンサの要部の構成を示す部分拡大断面側面図である。
【図4】実施の形態1に係る飲料ディスペンサにおけるキャニスタ及びシュータを示す分解斜視図である。
【図5】実施の形態1に係る飲料ディスペンサにおけるシュータ及び閉塞部材を示す断面側面図である。
【図6】実施の形態1に係る飲料ディスペンサにおける閉塞部材を示す断面側面図である。
【図7】実施の形態1に係る飲料ディスペンサにおける閉塞部材を示す斜視図である。
【図8】図5のVIII−VIIIに沿った断面図である。
【図9】実施の形態1に係る飲料ディスペンサにおいて、シュータを原料放出口に対して回転可能且つ着脱可能とする構成を説明するための斜視図である。
【図10】実施の形態1に係る飲料ディスペンサにおけるミキシングユニット周辺の構成を説明するための斜視図である。
【図11】実施の形態1に係る飲料ディスペンサにおけるミキシングユニット周辺の構成を説明するための部分拡大断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について添付図に基づいて説明する。
実施の形態1.
まず、図1及び図2を用いて、この実施の形態1に係る飲料ディスペンサ1の全体的な構成について説明する。尚、飲料ディスペンサ1は、粉末原料と水(冷水または温水)とを混合することによって生成した飲料を利用者に提供する装置である。また、飲料ディスペンサ1における前後方向及び上下方向は、図1、2等に示す各矢印によって規定されるものとする。
【0012】
図1に示すように、飲料ディスペンサ1は、前面扉2aを有する筐体2を備えている。前面扉2aは筐体2に対して回動可能となっており、前面扉2aを回動させることによって筐体2が開閉される。前面扉2aには、飲料の注出等を行う際に利用者によって操作される操作部3が設けられている。また、操作部3の下方には、利用者に飲料を提供するための空間である飲料注出部4が形成されている。飲料注出部4は筐体2の内部に設けられたカップステージ5によって区画されており、カップステージ5には、図示しないカップ等の容器が利用者によって載置される。次いで、利用者が操作部3を操作して所望する飲料を選択すると、選択された飲料が容器内に注出される。
【0013】
図2に示すように、筐体2(図1参照)の内部は仕切板6によって前方側と後方側とに区画されており、仕切板6の前方側には、飲料の生成及び注出が行われる飲料生成室7が形成されている。一方、仕切板6の後方側には、飲料を生成するための水の冷却及び加熱が行われるとともに、冷却及び加熱された水が貯留される機械室8が形成されている。機械室8内には、図示しない加熱装置によって加熱された温水を貯める貯湯タンク9や、図示しない冷凍回路によって冷却された冷水を貯める冷水タンク(図示されず)等が設けられている。
【0014】
飲料生成室7において、仕切板6には前方側に突出するベース部材10が固定されており、ベース部材10の上面10aには、粉末原料を内部に収容するキャニスタ21が載置されている。キャニスタ21の下方には、キャニスタ21から供給される粉末原料と、機械室8から供給される水とを混合して飲料を生成するためのミキシングユニット31が設けられている。また、キャニスタ21の前面における下方側には、キャニスタ21内の粉末原料をミキシングユニット31内に案内するためのシュータ41が設けられている。ミキシングユニット31の底部には飲料放出口31aが形成されており、ミキシングユニット31内で生成された飲料は、飲料放出口31aから放出される。
【0015】
ここで、飲料ディスペンサ1は、キャニスタ21、ミキシングユニット31及びシュータ41をそれぞれ3つずつ備えており、最大で3種類の飲料を生成可能となっている。3つのミキシングユニット31の下方側には、これらの飲料放出口31aから放出された飲料を受けるガイド部材11が設けられている。また、ガイド部材11の下方には、飲料注出部4(図1参照)を区画するカップステージ5が配置されている。ガイド部材11は、カップステージ5の内部に延びる飲料注出口11aを有しており、ガイド部材11が各ミキシングユニット31から受けた飲料は、飲料注出口11aを介してカップステージ5内の図示しない容器に注出される。
【0016】
次に、図3〜11を用いて、キャニスタ21、ミキシングユニット31及びシュータ41の構成について詳細に説明する。
図3に示すように、キャニスタ21は、上部開口22aを有する中空の容器であるキャニスタ本体22と、上部開口22aを塞ぐ蓋23とを備えている。蓋23は、キャニスタ本体22に対して回動可能に取り付けられており、蓋23を回動させて上部開口22aを開くことによって、キャニスタ本体22内に粉末原料Pを供給することが可能となる。尚、キャニスタ本体22及び蓋23は透明な樹脂から形成されており、蓋23を開けることを必要とせずに、粉末原料Pの残量を外部から視認することが可能となっている。
【0017】
キャニスタ本体22の前面における下方側には、粉末原料Pを外部に放出するための原料放出口22bが形成されている。また、キャニスタ本体22の内部における下方側には、粉末原料Pを原料放出口22bに送るためのスクリュー24が設けられている。スクリュー24は、略円筒状の軸部24aと、軸部24aの外周面に形成された螺旋状の突起部24bとを有しており、軸部24aの前方側の端部は、原料放出口22bに取り付けられた放出口部材25によって回転可能に支持されている。一方、軸部24aの後方側の端部は、キャニスタ本体22の後部に回転可能に設けられた支持部材26に接続されており、支持部材26は、ベース部材10に固定された原料放出用モータ27の駆動軸27aにカップリング28を介して連結されている。
【0018】
図4に示すように、キャニスタ本体22の原料放出口22bは、前方側に突出した円筒状の部位として形成されている。一方、原料放出口22bに取り付けられる放出口部材25は略円筒状の本体部25aを有しており、本体部25aの外周面を原料放出口22bの内周面に嵌め合わせることによって、放出口部材25が原料放出口22bに取り付けられる。また、放出口部材25は、本体部25aの両側部から突出する一対の係合部25bを有している。係合部25bは略T字となるように形成された板状の部位であって、原料放出口22bの両側部に形成された凹部22cに係合部25bを係合させることによって、放出口部材25がスクリュー24とともに回転することが防止される。
【0019】
放出口部材25の本体部25aは、前後方向に貫通した孔である3つの原料通路25cを内部に有しており、キャニスタ本体22の原料放出口22bから放出された原料が原料通路25c内を流通するようになっている。また、粉末原料Pをミキシングユニット31(図3参照)に案内するためのシュータ41は、放出口部材25を介して原料放出口22bに取り付けられる。シュータ41は略円筒状の本体部42を有しており、本体部42の内周面を放出口部材25の外周面に嵌め合わせることによって、シュータ41が放出口部材25に取り付けられる。また、シュータ41は、本体部42の下部から突出する案内部43と、本体部42の前面に形成された把持部44とを有している。後述するように、シュータ41は放出口部材25に対して、すなわち原料放出口22bに対して回転可能且つ着脱可能となっている。把持部44は、シュータ41を回転及び着脱させる際に把持するための部位である。
【0020】
図5に示すように、シュータ41の案内部43は、矩形断面を有する筒状の部位として形成されている。案内部43の内周部43aは本体部42の内周部42aに接続されており、これらの内周部42a及び内周部43aが、シュータ41における案内通路45を構成している。案内通路45は、キャニスタ21の原料放出口22b(図3参照)から放出された粉末原料Pを、ミキシングユニット31(図3参照)内に案内するための通路である。シュータ41の本体部42には、その内部に粉末原料Pを導入するための導入側開口部42bが形成されている。一方、シュータ41の案内部43には、導入側開口部42bから導入された粉末原料Pを放出するための放出側開口部43bが形成されている。
【0021】
以上のように構成されるシュータ41には、案内通路45を塞ぐ閉塞部材51が取り付けられており、キャニスタ21内の粉末原料P(図3参照)が、閉塞部材51によって外気から遮断された状態となっている。また、以下に説明するように、閉塞部材51はシュータ41に対して着脱可能に取り付けられており、シュータ41に対する閉塞部材51の着脱を選択的に行うことが可能となっている。すなわち、飲料の生成及び注出が行われる場合、閉塞部材51をシュータ41から取り外すことにより、ミキシングユニット31(図3参照)内への粉末原料Pの供給が可能となる。一方、例えば夜間や長期休暇の間等、長時間にわたって飲料の生成及び注出が行われない場合、シュータ41に閉塞部材51を取り付けてキャニスタ21(図3参照)内を密封することによって、粉末原料Pを狙った害虫がミキシングユニット31内に侵入すること及び粉末原料Pが外気中の水分を吸収することの防止が可能となる。
【0022】
閉塞部材51は金属製のプレートから形成された部材であって、平板状の放熱部52と、放熱部52の下部でコ字状に屈折された保持部53とを有している。閉塞部材51がシュータ41に取り付けられた状態において、放熱部52は案内部43内から本体部42内に延出しており、案内部43内の前部壁面43cと本体部42内の前部壁面42cとに当接している。一方、保持部53は、放熱部52の下端部で屈折された第一屈折部53aと、第一屈折部53aの先端側をさらに屈折させた第二屈折部53bとを有しており、第二屈折部53bと案内部43内の後部壁面43dとが当接している。また、保持部53は、第一屈折部53aが案内部43の内周部43aの断面形状と同様の矩形となるように屈折されている。すなわち、閉塞部材51は、案内部43の放出側開口部43bから挿入されることによってシュータ41に取り付けられており、第一屈折部53aによって放出側開口部43bが塞がれている。
【0023】
ここで、図6に示すように、シュータ41から取り外された状態の閉塞部材51において、放熱部52は保持部53の第二屈折部53bに対して平行となるように形成されておらず、例えば5°程度の角度θで下方側から上方側に向かって広がっている。また、放熱部52は、図5に示されるようにシュータ41に取り付けられると、第二屈折部53bに対して平行となるように、内側の方向(図6の矢印Bで示される方向)に弾性変形された状態となっている。すなわち、閉塞部材51は、第二屈折部53bに対する放熱部52の角度を元に戻そうとする弾性力によって、案内部43の前部壁面43cと後部壁面43dとの間に保持されている。したがって、シュータ41の本体部42における導入側開口部42bから指等を挿入し、閉塞部材51を矢印Aで示されるように案内部43の放出側開口部43b側に向かって押し出すことによって、シュータ41から閉塞部材51を取り外すことが可能となる。
【0024】
図7に示すように、放熱部52の先端部52aは円形となるように形成されており、閉塞部材51がシュータ41に取り付けられると、先端部52aの外周部が本体部42の内周部42a(図5参照)に沿って配置されるようになっている。すなわち、図3に示されるように、閉塞部材51の放熱部52は、キャニスタ本体22の原料放出口22bに対して、放出口部材25を間に挟んで対向する部位に配置される。ここで、飲料の生成及び注出が行われていない場合、スクリュー24は回転を停止しており、キャニスタ21内の粉末原料Pは原料放出口22bの周辺に留まっている。したがって、閉塞部材51の放熱部52と、原料放出口22bの周辺に留まっている粉末原料Pとが、互いに対向した状態となっている。
【0025】
次に、シュータ41を放出口部材25に対して回転可能且つ着脱可能とするための構成について説明する。
図8に示すように、シュータ41は、本体部42の内周部42aから径方向内側に突出する3つの突起46a〜46cを有している。これらの突起46a〜46cのうち、内周部42aの上方側にある突起46aは幅w11を有している。一方、内周部42aの下方側にある突起46b及び突起46cは、幅w21を有する同一の形状となるように形成されている。また、突起46bと突起46cとは、幅w31の間隔を間に空けて配置されている。尚、突起46aの幅w11は、突起46b及び突起46cの幅w21より大きい値となっている。また、突起46bの外側の端部と突起46cの外側の端部との間の距離(w21×2+w31)は、突起46aの幅w11より大きい値となっている。
【0026】
また、図9に示すように、放出口部材25の本体部25aは、周方向に沿って形成された環状溝29を外周部に有しており、この環状溝29とシュータ41の突起46a〜46c(図8参照)とが係合可能となっている。さらに、本体部25aの外周部における前方側には、シュータ41の突起46a〜46cを環状溝29内に受け入れるための3つの凹部29a〜29cが形成されている。これらの凹部29a〜29cのうち、下方側にある凹部29aは、シュータ41の突起46aの幅w11(図8参照)よりわずかに大きい幅w12を有しており、突起46aが凹部29a内を通過可能となっている。一方、上方側にある凹部29b及び凹部29cは、幅w22を有する同一の形状となるように形成されている。幅w22は、シュータ41の突起46b及び突起46cの幅w21(図8参照)よりわずかに大きくなっており、突起46b及び突起46cが凹部29b及び凹部29c内を通過可能となっている。
【0027】
以上より、シュータ41は、その突起46a〜46cを環状溝29内に係合させることによって、放出口部材25に対して回転可能に保持されるものとなっている。また、シュータ41を、放出側開口部43bが上方側を向くように回転させること、すなわち、突起46a〜46cの位置が凹部29a〜29cの位置にそれぞれ合うように回転させることによって、放出口部材25に対するシュータ41の着脱が可能となる。尚、上述したように、シュータ41は、放出口部材25を介してキャニスタ本体22の原料放出口22b(図4参照)に取り付けられている。したがって、シュータ41は、原料放出口22bに対して回転可能且つ着脱可能に設けられた状態となっており、シュータ41を原料放出口22bから取り外すことによって、閉塞部材51(図5参照)を容易に着脱することが可能となっている。
【0028】
次に、飲料の生成を行うためのミキシングユニット31の構成について説明する。
図3に示すように、ミキシングユニット31は、中空の容器であるミキシングケース32と、ミキシングケース32内に回転可能に設けられたインペラ33とを備えている。ミキシングケース32は、上方側に開口するケース本体34と、ケース本体34の上部に設けられたキャップ35とを有している。キャップ35は、ケース本体34に対して着脱可能となっており、キャップ35をケース本体34に取り付けることにより、上方側に開口した原料受容口31bが形成されている。また、原料受容口31bの内部にはシュータ41の案内部43が配置されている。すなわち、キャニスタ21から放出された粉末原料Pは、シュータ41によって原料受容口31bに案内されることにより、ミキシングユニット31内に供給されるようになっている。
【0029】
また、ミキシングユニット31の内部には、機械室8(図2参照)内から飲料生成室7内に延出する図示しない給水管と、ベース部材10に設けられた図示しない給水口とを介して、機械室8に貯留された水が供給されるようになっている。さらに、ミキシングケース32の後部には、飲料の生成時に余剰分となった水や発生した湯気を外部に排出するためのオーバーフロー排出口31cが形成されている。尚、ミキシングユニット31内で生成された飲料を外部に放出するための飲料放出口31aは、ケース本体34の底部に形成されている。
【0030】
インペラ33は、ミキシングケース32内に供給された粉末原料Pと水とを混合するための部材であって、円筒状の軸部33aを有している。軸部33aの上方側の端部には、円板状の連結部33bが一体として形成されており、連結部33bの内部には、環状の永久磁石33cが設けられている。また、連結部33bの上方側には、インペラ33を駆動するための攪拌用モータ36が配置されており、連結部33bと攪拌用モータ36の駆動軸36aとが、マグネットカップリング37を介して連結されている。尚、マグネットカップリング37は、連結部33bの永久磁石33cを磁力によって引き付けるものであり、攪拌用モータ36が作動すると、駆動軸36a、マグネットカップリング37及びインペラ33が一体として回転するようになっている。
【0031】
一方、軸部33aの下方側の端部には、円板状の混合部33dが一体として形成されており、混合部33dの下面には、粉末原料Pと水とを混合するための攪拌翼33eが形成されている。また、混合部33dの下面には、下方側に開口する凹部33fが中心部に形成されており、凹部33fの内部には、ケース本体34の底部に形成された凸部34aが挿入されている。すなわち、インペラ33は、その上方側の端部をマグネットカップリング37によって支持されるとともに、下方側の端部を凸部34aに支持されている。
【0032】
図10に示すように、ミキシングケース32のケース本体34は、側方に突出するフランジ部34bを両側部に有している。また、ベース部材10には、フランジ部34bを支持するためのホルダ12が設けられている。ホルダ12は、ベース部材10の下方側に突出するとともに、下方側の端部がL字状となるように屈折された保持部12aを有しており、この保持部12aのガイド面12b上にフランジ部34bが載置されることによって、ミキシングユニット31が上下方向に支持された状態となっている。また、図11(a)に示すように、ミキシングユニット31の原料受容口31bの内部にはシュータ41の案内部43が配置されており、案内部43によってミキシングユニット31の前後方向の移動が拘束された状態となっている。
【0033】
すなわち、ミキシングユニット31はホルダ12に対して着脱可能となっており、図11(b)に示すように、案内部43が上方側となるようにシュータ41を回転させると、ミキシングユニット31を前方側に移動させてホルダ12(図10参照)から取り外すことが可能となる。逆に、ミキシングユニット31をホルダ12に挿入してフランジ部34bを保持部12aのガイド面12b上に載置し、次いで、案内部43が下方側となるようにシュータ41を回転させることにより、ミキシングユニット31をホルダ12に対して固定することが可能となる(図11(a)参照)。また、案内部43が上方側となるようにシュータ41を回転させると、案内部43の放出側開口部43bが露出した状態となるため、飲料の生成及び注出を行った後において、容易に閉塞部材51を取り付けることが可能となる(図5参照)。
【0034】
図3に戻って、原料放出用モータ27は、3つのキャニスタ21(図2参照)のそれぞれに対して1つずつ設けられている。同様に、攪拌用モータ36も、3つのミキシングユニット31のそれぞれに対して1つずつ設けられている。また、原料放出用モータ27及び攪拌用モータ36は、筐体2の前面扉2a(図1参照)に設けられた図示しない制御部に電気的に接続されている。制御部は、飲料ディスペンサ1の利用者による操作部3の操作に応じて原料放出用モータ27及び攪拌用モータ36の動作を制御するとともに、機械室8(図2参照)からミキシングユニット31内への水の供給を制御する。
【0035】
次に、この実施の形態1に係る飲料ディスペンサ1を用いて飲料の生成及び注出を行う際の動作を、図1〜3及び図11に基づいて説明する。尚、図3に示されるシュータ41には閉塞部材51が取り付けられているが、飲料の生成及び注出は、シュータ41から閉塞部材51が取り外された状態(図11(a)参照)で行われる。また、上述したように、飲料ディスペンサ1は3つのキャニスタ21(図2参照)を備えており、異なる3種類の飲料を注出可能となっているが、飲料の生成及び注出を行う際の動作は飲料の種類に関わらず共通である。
【0036】
まず、図1に示される前面扉2aに設けられた操作部3が飲料ディスペンサ1の利用者によって操作され、利用者が注出しようとする飲料の種類が選択される。飲料の種類が選択されると、図示しない制御部は、図3に示される原料放出用モータ27の作動を開始させる。原料放出用モータ27の作動が開始されると、その駆動力がカップリング28及び支持部材26を介して伝達されることにより、スクリュー24の回転が開始される。キャニスタ21内の粉末原料Pは、回転するスクリュー24の突起部24bによって原料放出口22bに順次送られ、それにより、粉末原料Pが原料放出口22bから放出される。
【0037】
図11(a)に示すように、原料放出口22bから放出された粉末原料Pは、放出口部材25の原料通路25c内を通り、次いで、シュータ41内の案内通路45に案内されてミキシングユニット31内に供給される。同時に、図3に示されるミキシングユニット31の内部には、機械室8内に貯留されている水が図示しない給水管を介して供給される。さらに、図示しない制御部が攪拌用モータ36の作動を開始させることにより、攪拌用モータ36の駆動軸36a、マグネットカップリング37及びインペラ33が一体として回転する。ミキシングユニット31内に供給された粉末原料Pと水とは、回転するインペラ33の攪拌翼33eによって混合され、それにより、ミキシングユニット31の内部で飲料が生成される。
【0038】
ここで、インペラ33が回転している間、ミキシングユニット31内の飲料は、攪拌翼33eによって径方向外側に押し出されるため、生成途中の飲料がミキシングユニット31の飲料放出口31aから漏れることはない。攪拌用モータ36の作動が開始されてから予め設定された所定時間が経過すると、図示しない制御部は攪拌用モータ36の作動を停止させ、それにより、インペラ33の回転も停止される。インペラ33の回転が停止すると、生成された飲料が飲料放出口31aからガイド部材11(図2参照)に放出される。ガイド部材11は、その飲料注出口11aからカップステージ5に載置された図示しない容器に注出される。
【0039】
以上のように動作する飲料ディスペンサ1において、例えば夜間や長期休暇の間等、長時間にわたって飲料の生成及び注出が行われない場合、シュータ41に閉塞部材51が取り付けられる。ここで、シュータ41は、放出口部材25に対して回転可能に取り付けられているため、飲料の注出が行われる状態、すなわち図11(a)に示される状態にあるシュータ41を回転させて案内部43を上方側とすることによって、放出側開口部43bが露出した状態、すなわち図11(b)に示される状態とすることが可能となっている。また、図5に示されるように、閉塞部材51は、放出側開口部43b側からシュータ41に取り付けることによって、放出側開口部43bを塞ぐようになっている。したがって、容易にキャニスタ21(図3参照)を密封することが可能となっており、粉末原料Pを狙った害虫がミキシングユニット31内に侵入すること及び粉末原料Pが外気中の水分を吸収することが防止される。
【0040】
また、図3に示すように、シュータ41に取り付けられている閉塞部材51の放熱部52は、キャニスタ本体22の原料放出口22bに対して、放出口部材25を間に挟んで対向する部位に配置されている。ここで、飲料ディスペンサ1の内部には、機械室8内に設けられた図示しない加熱装置や冷凍回路等、飲料の非注出時にも作動している装置が設けられており、これらの装置が発する熱により、飲料ディスペンサ1の内部温度は外気の温度より高くなっている。また、閉塞部材51は、樹脂等より熱伝導性の良い金属製となっているため、閉塞部材51をシュータ41に取り付けた際の原料放出口22b周辺の温度上昇が早められる。よって、飲料の非注出時に原料放出口22bに留まっている粉末原料Pに対する防湿効果をより高めることが可能となっている。尚、閉塞部材51が取り付けられたシュータ41は、案内部43が下方側となるように再度回転され、ミキシングユニット31の前後方向の移動を拘束する。
【0041】
一方、飲料の生成及び注出を再開する場合、閉塞部材51はシュータ41から取り外される。ここで、図8、9に示されるように、放出口部材25とシュータ41とは、放出口部材25の環状溝29内にシュータ41の突起46a〜46cを受け入れることによって取り付けられている。また、放出口部材25の本体部25aには、突起46a〜46cが通過可能な凹部29a〜29cが形成されており、シュータ41を、放出側開口部43bが上方側を向くように回転させること、すなわち、突起46a〜46cの位置が凹部29a〜29cの位置にそれぞれ合うように回転させることによって、放出口部材25に対するシュータ41の着脱が可能となっている。さらに、閉塞部材51は、第二屈折部53bに対する放熱部52の角度を元の角度θ(図6参照)に戻そうとする弾性力によって、案内通路45内に保持されている。したがって、シュータ41を回転させて放出口部材25から取り外し、シュータ41の導入側開口部42bを露出させれば、図5に示されるように、導入側開口部42bから挿入した指等で閉塞部材51を矢印Aで示される方向に押し出し、閉塞部材51を容易に取り外すことができる。
【0042】
以上に説明したように、シュータ41の案内通路45を閉塞部材51で塞ぐことによってキャニスタ21の原料放出口22bも塞いだため、キャニスタ21内の粉末原料Pが外気から遮断された状態となり、害虫がキャニスタ21内に侵入すること及び粉末原料Pが外気中の水分を吸収することが防止される。また、閉塞部材51はシュータ41に対して着脱可能となっており、取り外して洗浄を行うことが可能であるため、閉塞部材51を衛生的に保つことが容易である。さらに、閉塞部材51を金属製としたので耐久性が高く、且つ飲料ディスペンサ1の内部温度は外気の温度より高いため、閉塞部材51をシュータ41に取り付けた際の原料放出口22b周辺の温度上昇が早められ、飲料の非注出時に原料放出口22bに留まっている粉末原料Pに対する防湿効果がより高められる。以上より、飲料ディスペンサ1において、キャニスタ21内の粉末原料Pに対する防虫性及び防湿性が高められる。
【0043】
また、閉塞部材51は、案内通路45の内部に延びて原料放出口22bに対向する部位に配置される放熱部52を有しているため、放熱部52から発せられる熱を原料放出口22bに留まっている粉末原料Pに対して直接的に伝えることが可能となり、防湿効果がさらに高められる。
さらに、シュータ41を原料放出口22bに対して回転可能且つ着脱可能とすることによって案内通路45の放出側開口部43bを露出可能とするとともに、閉塞部材51を、放出側開口部43bから案内通路45に挿入することによってシュータ41に取り付けられるようにしたので、シュータ41への閉塞部材51の着脱が容易となる。
【0044】
実施の形態1に係る飲料ディスペンサ1を、キャニスタ21、ミキシングユニット31及びシュータ41をそれぞれ3つずつ備えたものとして説明したが、これらの部材の数は3つに限定されるものではなく、注出する飲料の種類に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 飲料ディスペンサ、21 キャニスタ、22b 原料放出口、31 ミキシングユニット、41 シュータ、43b 放出側開口部、45 案内通路、51 閉塞部材、52 放熱部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉末原料と水とを混合して飲料を生成する飲料ディスペンサの構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
利用者に飲料を提供する飲料ディスペンサの一例として、粉末原料と水(冷水または温水)とを混合して飲料を生成するものが挙げられる。例えば特許文献1に記載されているように、この種の飲料ディスペンサは、粉末原料を内部に収容するキャニスタと、粉末原料と水とを混合するミキシングユニット(混合容器)とを備えている。キャニスタの前面には粉末原料の放出口が形成されており、キャニスタ内に設けられたスクリューを回転させることによって粉末原料が放出口から放出される。放出された粉末原料は放出口キャップ及びシュータによってミキシングユニット内に案内され、ミキシングユニット内で水と混合されることによって飲料となる。このようにして生成された飲料は、ミキシングユニットの底部に形成された注出口を介して利用者に提供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−348330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の飲料ディスペンサではキャニスタの放出口が常時開放されているため、キャニスタ内の粉末原料と外気とが放出口を介して繋がった状態となっている。したがって、例えば夜間や長期休暇の間等、飲料の注出が長時間にわたって行われない場合、キャニスタ内の粉末原料を狙った害虫が放出口からキャニスタ内に侵入するという問題点が生じる。また、例えば梅雨時等、外気の湿度が高い状態で飲料の注出を長時間行わない場合、キャニスタ内の粉末原料が外気中の水分を吸収して固化することがある。この場合、固化した粉末原料がスクリューの回転不良を招き、次回の飲料注出時に粉末原料を放出できなくなるという問題点も生じる。
【0005】
この発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、キャニスタ内の粉末原料に対する防虫性及び防湿性を高めることを実現した飲料ディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る飲料ディスペンサは、粉末原料と水とを混合して飲料を生成する飲料ディスペンサであって、内部に収容された粉末原料を原料放出口から放出するキャニスタと、粉末原料と水とを混合して飲料を生成するミキシングユニットと、原料放出口から放出された粉末原料をミキシングユニットに案内する案内通路を有するシュータとを備え、シュータには、案内通路を塞ぐ金属製の閉塞部材が着脱可能に設けられることを特徴とするものである。
【0007】
シュータの案内通路を閉塞部材で塞ぐことによってキャニスタの原料放出口も塞がれるため、キャニスタ内の粉末原料が外気から遮断された状態となり、害虫がキャニスタ内に侵入すること及び粉末原料が外気中の水分を吸収することが防止される。また、閉塞部材はシュータに対して着脱可能となっており、取り外して洗浄を行うことが可能であるため、閉塞部材を衛生的に保つことが容易である。さらに、閉塞部材を金属製としたので耐久性が高く、且つ以下に述べるように粉末原料に対する防湿性をより高めることが可能となっている。通常、飲料ディスペンサは、その動作を制御する装置や水の冷却及び加熱を行う装置を内部に備えており、これらの装置が熱を発するため、飲料ディスペンサの内部温度は外気の温度より高くなっている。すなわち、閉塞部材を樹脂等より熱伝導性の良い金属製とすることにより、閉塞部材をシュータに取り付けた際の原料放出口周辺の温度上昇が早められる。よって、飲料の非注出時に原料放出口に留まっている粉末原料に対する防湿効果がより高められる。以上より、飲料ディスペンサにおいて、キャニスタ内の粉末原料に対する防虫性及び防湿性が高められる。
【0008】
閉塞部材は、案内通路の内部に延びる放熱部を有しており、放熱部は、原料放出口に対向する部位に配置されてもよい。放熱部から発せられる熱が原料放出口に留まっている粉末原料に対して直接的に伝わるため、防湿効果をさらに高めることが可能となる。
また、シュータは、原料放出口に対して回転可能且つ着脱可能に設けられており、案内通路は、シュータを原料放出口に対して回転させること及びシュータを原料放出口から取り外すことによって露出可能な放出側開口部を有し、閉塞部材は、放出側開口部から案内通路に挿入されることによって、シュータに取り付けられてもよい。シュータを原料放出口に対して回転させること及びシュータを原料放出口から取り外すことによって案内通路の開口部が露出するため、シュータへの閉塞部材の着脱が容易となる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、キャニスタ内の粉末原料に対する防虫性及び防湿性を高めることを実現した飲料ディスペンサを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係る飲料ディスペンサの外観を示す斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る飲料ディスペンサの内部の構成を示す斜視図である。
【図3】実施の形態1に係る飲料ディスペンサの要部の構成を示す部分拡大断面側面図である。
【図4】実施の形態1に係る飲料ディスペンサにおけるキャニスタ及びシュータを示す分解斜視図である。
【図5】実施の形態1に係る飲料ディスペンサにおけるシュータ及び閉塞部材を示す断面側面図である。
【図6】実施の形態1に係る飲料ディスペンサにおける閉塞部材を示す断面側面図である。
【図7】実施の形態1に係る飲料ディスペンサにおける閉塞部材を示す斜視図である。
【図8】図5のVIII−VIIIに沿った断面図である。
【図9】実施の形態1に係る飲料ディスペンサにおいて、シュータを原料放出口に対して回転可能且つ着脱可能とする構成を説明するための斜視図である。
【図10】実施の形態1に係る飲料ディスペンサにおけるミキシングユニット周辺の構成を説明するための斜視図である。
【図11】実施の形態1に係る飲料ディスペンサにおけるミキシングユニット周辺の構成を説明するための部分拡大断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態について添付図に基づいて説明する。
実施の形態1.
まず、図1及び図2を用いて、この実施の形態1に係る飲料ディスペンサ1の全体的な構成について説明する。尚、飲料ディスペンサ1は、粉末原料と水(冷水または温水)とを混合することによって生成した飲料を利用者に提供する装置である。また、飲料ディスペンサ1における前後方向及び上下方向は、図1、2等に示す各矢印によって規定されるものとする。
【0012】
図1に示すように、飲料ディスペンサ1は、前面扉2aを有する筐体2を備えている。前面扉2aは筐体2に対して回動可能となっており、前面扉2aを回動させることによって筐体2が開閉される。前面扉2aには、飲料の注出等を行う際に利用者によって操作される操作部3が設けられている。また、操作部3の下方には、利用者に飲料を提供するための空間である飲料注出部4が形成されている。飲料注出部4は筐体2の内部に設けられたカップステージ5によって区画されており、カップステージ5には、図示しないカップ等の容器が利用者によって載置される。次いで、利用者が操作部3を操作して所望する飲料を選択すると、選択された飲料が容器内に注出される。
【0013】
図2に示すように、筐体2(図1参照)の内部は仕切板6によって前方側と後方側とに区画されており、仕切板6の前方側には、飲料の生成及び注出が行われる飲料生成室7が形成されている。一方、仕切板6の後方側には、飲料を生成するための水の冷却及び加熱が行われるとともに、冷却及び加熱された水が貯留される機械室8が形成されている。機械室8内には、図示しない加熱装置によって加熱された温水を貯める貯湯タンク9や、図示しない冷凍回路によって冷却された冷水を貯める冷水タンク(図示されず)等が設けられている。
【0014】
飲料生成室7において、仕切板6には前方側に突出するベース部材10が固定されており、ベース部材10の上面10aには、粉末原料を内部に収容するキャニスタ21が載置されている。キャニスタ21の下方には、キャニスタ21から供給される粉末原料と、機械室8から供給される水とを混合して飲料を生成するためのミキシングユニット31が設けられている。また、キャニスタ21の前面における下方側には、キャニスタ21内の粉末原料をミキシングユニット31内に案内するためのシュータ41が設けられている。ミキシングユニット31の底部には飲料放出口31aが形成されており、ミキシングユニット31内で生成された飲料は、飲料放出口31aから放出される。
【0015】
ここで、飲料ディスペンサ1は、キャニスタ21、ミキシングユニット31及びシュータ41をそれぞれ3つずつ備えており、最大で3種類の飲料を生成可能となっている。3つのミキシングユニット31の下方側には、これらの飲料放出口31aから放出された飲料を受けるガイド部材11が設けられている。また、ガイド部材11の下方には、飲料注出部4(図1参照)を区画するカップステージ5が配置されている。ガイド部材11は、カップステージ5の内部に延びる飲料注出口11aを有しており、ガイド部材11が各ミキシングユニット31から受けた飲料は、飲料注出口11aを介してカップステージ5内の図示しない容器に注出される。
【0016】
次に、図3〜11を用いて、キャニスタ21、ミキシングユニット31及びシュータ41の構成について詳細に説明する。
図3に示すように、キャニスタ21は、上部開口22aを有する中空の容器であるキャニスタ本体22と、上部開口22aを塞ぐ蓋23とを備えている。蓋23は、キャニスタ本体22に対して回動可能に取り付けられており、蓋23を回動させて上部開口22aを開くことによって、キャニスタ本体22内に粉末原料Pを供給することが可能となる。尚、キャニスタ本体22及び蓋23は透明な樹脂から形成されており、蓋23を開けることを必要とせずに、粉末原料Pの残量を外部から視認することが可能となっている。
【0017】
キャニスタ本体22の前面における下方側には、粉末原料Pを外部に放出するための原料放出口22bが形成されている。また、キャニスタ本体22の内部における下方側には、粉末原料Pを原料放出口22bに送るためのスクリュー24が設けられている。スクリュー24は、略円筒状の軸部24aと、軸部24aの外周面に形成された螺旋状の突起部24bとを有しており、軸部24aの前方側の端部は、原料放出口22bに取り付けられた放出口部材25によって回転可能に支持されている。一方、軸部24aの後方側の端部は、キャニスタ本体22の後部に回転可能に設けられた支持部材26に接続されており、支持部材26は、ベース部材10に固定された原料放出用モータ27の駆動軸27aにカップリング28を介して連結されている。
【0018】
図4に示すように、キャニスタ本体22の原料放出口22bは、前方側に突出した円筒状の部位として形成されている。一方、原料放出口22bに取り付けられる放出口部材25は略円筒状の本体部25aを有しており、本体部25aの外周面を原料放出口22bの内周面に嵌め合わせることによって、放出口部材25が原料放出口22bに取り付けられる。また、放出口部材25は、本体部25aの両側部から突出する一対の係合部25bを有している。係合部25bは略T字となるように形成された板状の部位であって、原料放出口22bの両側部に形成された凹部22cに係合部25bを係合させることによって、放出口部材25がスクリュー24とともに回転することが防止される。
【0019】
放出口部材25の本体部25aは、前後方向に貫通した孔である3つの原料通路25cを内部に有しており、キャニスタ本体22の原料放出口22bから放出された原料が原料通路25c内を流通するようになっている。また、粉末原料Pをミキシングユニット31(図3参照)に案内するためのシュータ41は、放出口部材25を介して原料放出口22bに取り付けられる。シュータ41は略円筒状の本体部42を有しており、本体部42の内周面を放出口部材25の外周面に嵌め合わせることによって、シュータ41が放出口部材25に取り付けられる。また、シュータ41は、本体部42の下部から突出する案内部43と、本体部42の前面に形成された把持部44とを有している。後述するように、シュータ41は放出口部材25に対して、すなわち原料放出口22bに対して回転可能且つ着脱可能となっている。把持部44は、シュータ41を回転及び着脱させる際に把持するための部位である。
【0020】
図5に示すように、シュータ41の案内部43は、矩形断面を有する筒状の部位として形成されている。案内部43の内周部43aは本体部42の内周部42aに接続されており、これらの内周部42a及び内周部43aが、シュータ41における案内通路45を構成している。案内通路45は、キャニスタ21の原料放出口22b(図3参照)から放出された粉末原料Pを、ミキシングユニット31(図3参照)内に案内するための通路である。シュータ41の本体部42には、その内部に粉末原料Pを導入するための導入側開口部42bが形成されている。一方、シュータ41の案内部43には、導入側開口部42bから導入された粉末原料Pを放出するための放出側開口部43bが形成されている。
【0021】
以上のように構成されるシュータ41には、案内通路45を塞ぐ閉塞部材51が取り付けられており、キャニスタ21内の粉末原料P(図3参照)が、閉塞部材51によって外気から遮断された状態となっている。また、以下に説明するように、閉塞部材51はシュータ41に対して着脱可能に取り付けられており、シュータ41に対する閉塞部材51の着脱を選択的に行うことが可能となっている。すなわち、飲料の生成及び注出が行われる場合、閉塞部材51をシュータ41から取り外すことにより、ミキシングユニット31(図3参照)内への粉末原料Pの供給が可能となる。一方、例えば夜間や長期休暇の間等、長時間にわたって飲料の生成及び注出が行われない場合、シュータ41に閉塞部材51を取り付けてキャニスタ21(図3参照)内を密封することによって、粉末原料Pを狙った害虫がミキシングユニット31内に侵入すること及び粉末原料Pが外気中の水分を吸収することの防止が可能となる。
【0022】
閉塞部材51は金属製のプレートから形成された部材であって、平板状の放熱部52と、放熱部52の下部でコ字状に屈折された保持部53とを有している。閉塞部材51がシュータ41に取り付けられた状態において、放熱部52は案内部43内から本体部42内に延出しており、案内部43内の前部壁面43cと本体部42内の前部壁面42cとに当接している。一方、保持部53は、放熱部52の下端部で屈折された第一屈折部53aと、第一屈折部53aの先端側をさらに屈折させた第二屈折部53bとを有しており、第二屈折部53bと案内部43内の後部壁面43dとが当接している。また、保持部53は、第一屈折部53aが案内部43の内周部43aの断面形状と同様の矩形となるように屈折されている。すなわち、閉塞部材51は、案内部43の放出側開口部43bから挿入されることによってシュータ41に取り付けられており、第一屈折部53aによって放出側開口部43bが塞がれている。
【0023】
ここで、図6に示すように、シュータ41から取り外された状態の閉塞部材51において、放熱部52は保持部53の第二屈折部53bに対して平行となるように形成されておらず、例えば5°程度の角度θで下方側から上方側に向かって広がっている。また、放熱部52は、図5に示されるようにシュータ41に取り付けられると、第二屈折部53bに対して平行となるように、内側の方向(図6の矢印Bで示される方向)に弾性変形された状態となっている。すなわち、閉塞部材51は、第二屈折部53bに対する放熱部52の角度を元に戻そうとする弾性力によって、案内部43の前部壁面43cと後部壁面43dとの間に保持されている。したがって、シュータ41の本体部42における導入側開口部42bから指等を挿入し、閉塞部材51を矢印Aで示されるように案内部43の放出側開口部43b側に向かって押し出すことによって、シュータ41から閉塞部材51を取り外すことが可能となる。
【0024】
図7に示すように、放熱部52の先端部52aは円形となるように形成されており、閉塞部材51がシュータ41に取り付けられると、先端部52aの外周部が本体部42の内周部42a(図5参照)に沿って配置されるようになっている。すなわち、図3に示されるように、閉塞部材51の放熱部52は、キャニスタ本体22の原料放出口22bに対して、放出口部材25を間に挟んで対向する部位に配置される。ここで、飲料の生成及び注出が行われていない場合、スクリュー24は回転を停止しており、キャニスタ21内の粉末原料Pは原料放出口22bの周辺に留まっている。したがって、閉塞部材51の放熱部52と、原料放出口22bの周辺に留まっている粉末原料Pとが、互いに対向した状態となっている。
【0025】
次に、シュータ41を放出口部材25に対して回転可能且つ着脱可能とするための構成について説明する。
図8に示すように、シュータ41は、本体部42の内周部42aから径方向内側に突出する3つの突起46a〜46cを有している。これらの突起46a〜46cのうち、内周部42aの上方側にある突起46aは幅w11を有している。一方、内周部42aの下方側にある突起46b及び突起46cは、幅w21を有する同一の形状となるように形成されている。また、突起46bと突起46cとは、幅w31の間隔を間に空けて配置されている。尚、突起46aの幅w11は、突起46b及び突起46cの幅w21より大きい値となっている。また、突起46bの外側の端部と突起46cの外側の端部との間の距離(w21×2+w31)は、突起46aの幅w11より大きい値となっている。
【0026】
また、図9に示すように、放出口部材25の本体部25aは、周方向に沿って形成された環状溝29を外周部に有しており、この環状溝29とシュータ41の突起46a〜46c(図8参照)とが係合可能となっている。さらに、本体部25aの外周部における前方側には、シュータ41の突起46a〜46cを環状溝29内に受け入れるための3つの凹部29a〜29cが形成されている。これらの凹部29a〜29cのうち、下方側にある凹部29aは、シュータ41の突起46aの幅w11(図8参照)よりわずかに大きい幅w12を有しており、突起46aが凹部29a内を通過可能となっている。一方、上方側にある凹部29b及び凹部29cは、幅w22を有する同一の形状となるように形成されている。幅w22は、シュータ41の突起46b及び突起46cの幅w21(図8参照)よりわずかに大きくなっており、突起46b及び突起46cが凹部29b及び凹部29c内を通過可能となっている。
【0027】
以上より、シュータ41は、その突起46a〜46cを環状溝29内に係合させることによって、放出口部材25に対して回転可能に保持されるものとなっている。また、シュータ41を、放出側開口部43bが上方側を向くように回転させること、すなわち、突起46a〜46cの位置が凹部29a〜29cの位置にそれぞれ合うように回転させることによって、放出口部材25に対するシュータ41の着脱が可能となる。尚、上述したように、シュータ41は、放出口部材25を介してキャニスタ本体22の原料放出口22b(図4参照)に取り付けられている。したがって、シュータ41は、原料放出口22bに対して回転可能且つ着脱可能に設けられた状態となっており、シュータ41を原料放出口22bから取り外すことによって、閉塞部材51(図5参照)を容易に着脱することが可能となっている。
【0028】
次に、飲料の生成を行うためのミキシングユニット31の構成について説明する。
図3に示すように、ミキシングユニット31は、中空の容器であるミキシングケース32と、ミキシングケース32内に回転可能に設けられたインペラ33とを備えている。ミキシングケース32は、上方側に開口するケース本体34と、ケース本体34の上部に設けられたキャップ35とを有している。キャップ35は、ケース本体34に対して着脱可能となっており、キャップ35をケース本体34に取り付けることにより、上方側に開口した原料受容口31bが形成されている。また、原料受容口31bの内部にはシュータ41の案内部43が配置されている。すなわち、キャニスタ21から放出された粉末原料Pは、シュータ41によって原料受容口31bに案内されることにより、ミキシングユニット31内に供給されるようになっている。
【0029】
また、ミキシングユニット31の内部には、機械室8(図2参照)内から飲料生成室7内に延出する図示しない給水管と、ベース部材10に設けられた図示しない給水口とを介して、機械室8に貯留された水が供給されるようになっている。さらに、ミキシングケース32の後部には、飲料の生成時に余剰分となった水や発生した湯気を外部に排出するためのオーバーフロー排出口31cが形成されている。尚、ミキシングユニット31内で生成された飲料を外部に放出するための飲料放出口31aは、ケース本体34の底部に形成されている。
【0030】
インペラ33は、ミキシングケース32内に供給された粉末原料Pと水とを混合するための部材であって、円筒状の軸部33aを有している。軸部33aの上方側の端部には、円板状の連結部33bが一体として形成されており、連結部33bの内部には、環状の永久磁石33cが設けられている。また、連結部33bの上方側には、インペラ33を駆動するための攪拌用モータ36が配置されており、連結部33bと攪拌用モータ36の駆動軸36aとが、マグネットカップリング37を介して連結されている。尚、マグネットカップリング37は、連結部33bの永久磁石33cを磁力によって引き付けるものであり、攪拌用モータ36が作動すると、駆動軸36a、マグネットカップリング37及びインペラ33が一体として回転するようになっている。
【0031】
一方、軸部33aの下方側の端部には、円板状の混合部33dが一体として形成されており、混合部33dの下面には、粉末原料Pと水とを混合するための攪拌翼33eが形成されている。また、混合部33dの下面には、下方側に開口する凹部33fが中心部に形成されており、凹部33fの内部には、ケース本体34の底部に形成された凸部34aが挿入されている。すなわち、インペラ33は、その上方側の端部をマグネットカップリング37によって支持されるとともに、下方側の端部を凸部34aに支持されている。
【0032】
図10に示すように、ミキシングケース32のケース本体34は、側方に突出するフランジ部34bを両側部に有している。また、ベース部材10には、フランジ部34bを支持するためのホルダ12が設けられている。ホルダ12は、ベース部材10の下方側に突出するとともに、下方側の端部がL字状となるように屈折された保持部12aを有しており、この保持部12aのガイド面12b上にフランジ部34bが載置されることによって、ミキシングユニット31が上下方向に支持された状態となっている。また、図11(a)に示すように、ミキシングユニット31の原料受容口31bの内部にはシュータ41の案内部43が配置されており、案内部43によってミキシングユニット31の前後方向の移動が拘束された状態となっている。
【0033】
すなわち、ミキシングユニット31はホルダ12に対して着脱可能となっており、図11(b)に示すように、案内部43が上方側となるようにシュータ41を回転させると、ミキシングユニット31を前方側に移動させてホルダ12(図10参照)から取り外すことが可能となる。逆に、ミキシングユニット31をホルダ12に挿入してフランジ部34bを保持部12aのガイド面12b上に載置し、次いで、案内部43が下方側となるようにシュータ41を回転させることにより、ミキシングユニット31をホルダ12に対して固定することが可能となる(図11(a)参照)。また、案内部43が上方側となるようにシュータ41を回転させると、案内部43の放出側開口部43bが露出した状態となるため、飲料の生成及び注出を行った後において、容易に閉塞部材51を取り付けることが可能となる(図5参照)。
【0034】
図3に戻って、原料放出用モータ27は、3つのキャニスタ21(図2参照)のそれぞれに対して1つずつ設けられている。同様に、攪拌用モータ36も、3つのミキシングユニット31のそれぞれに対して1つずつ設けられている。また、原料放出用モータ27及び攪拌用モータ36は、筐体2の前面扉2a(図1参照)に設けられた図示しない制御部に電気的に接続されている。制御部は、飲料ディスペンサ1の利用者による操作部3の操作に応じて原料放出用モータ27及び攪拌用モータ36の動作を制御するとともに、機械室8(図2参照)からミキシングユニット31内への水の供給を制御する。
【0035】
次に、この実施の形態1に係る飲料ディスペンサ1を用いて飲料の生成及び注出を行う際の動作を、図1〜3及び図11に基づいて説明する。尚、図3に示されるシュータ41には閉塞部材51が取り付けられているが、飲料の生成及び注出は、シュータ41から閉塞部材51が取り外された状態(図11(a)参照)で行われる。また、上述したように、飲料ディスペンサ1は3つのキャニスタ21(図2参照)を備えており、異なる3種類の飲料を注出可能となっているが、飲料の生成及び注出を行う際の動作は飲料の種類に関わらず共通である。
【0036】
まず、図1に示される前面扉2aに設けられた操作部3が飲料ディスペンサ1の利用者によって操作され、利用者が注出しようとする飲料の種類が選択される。飲料の種類が選択されると、図示しない制御部は、図3に示される原料放出用モータ27の作動を開始させる。原料放出用モータ27の作動が開始されると、その駆動力がカップリング28及び支持部材26を介して伝達されることにより、スクリュー24の回転が開始される。キャニスタ21内の粉末原料Pは、回転するスクリュー24の突起部24bによって原料放出口22bに順次送られ、それにより、粉末原料Pが原料放出口22bから放出される。
【0037】
図11(a)に示すように、原料放出口22bから放出された粉末原料Pは、放出口部材25の原料通路25c内を通り、次いで、シュータ41内の案内通路45に案内されてミキシングユニット31内に供給される。同時に、図3に示されるミキシングユニット31の内部には、機械室8内に貯留されている水が図示しない給水管を介して供給される。さらに、図示しない制御部が攪拌用モータ36の作動を開始させることにより、攪拌用モータ36の駆動軸36a、マグネットカップリング37及びインペラ33が一体として回転する。ミキシングユニット31内に供給された粉末原料Pと水とは、回転するインペラ33の攪拌翼33eによって混合され、それにより、ミキシングユニット31の内部で飲料が生成される。
【0038】
ここで、インペラ33が回転している間、ミキシングユニット31内の飲料は、攪拌翼33eによって径方向外側に押し出されるため、生成途中の飲料がミキシングユニット31の飲料放出口31aから漏れることはない。攪拌用モータ36の作動が開始されてから予め設定された所定時間が経過すると、図示しない制御部は攪拌用モータ36の作動を停止させ、それにより、インペラ33の回転も停止される。インペラ33の回転が停止すると、生成された飲料が飲料放出口31aからガイド部材11(図2参照)に放出される。ガイド部材11は、その飲料注出口11aからカップステージ5に載置された図示しない容器に注出される。
【0039】
以上のように動作する飲料ディスペンサ1において、例えば夜間や長期休暇の間等、長時間にわたって飲料の生成及び注出が行われない場合、シュータ41に閉塞部材51が取り付けられる。ここで、シュータ41は、放出口部材25に対して回転可能に取り付けられているため、飲料の注出が行われる状態、すなわち図11(a)に示される状態にあるシュータ41を回転させて案内部43を上方側とすることによって、放出側開口部43bが露出した状態、すなわち図11(b)に示される状態とすることが可能となっている。また、図5に示されるように、閉塞部材51は、放出側開口部43b側からシュータ41に取り付けることによって、放出側開口部43bを塞ぐようになっている。したがって、容易にキャニスタ21(図3参照)を密封することが可能となっており、粉末原料Pを狙った害虫がミキシングユニット31内に侵入すること及び粉末原料Pが外気中の水分を吸収することが防止される。
【0040】
また、図3に示すように、シュータ41に取り付けられている閉塞部材51の放熱部52は、キャニスタ本体22の原料放出口22bに対して、放出口部材25を間に挟んで対向する部位に配置されている。ここで、飲料ディスペンサ1の内部には、機械室8内に設けられた図示しない加熱装置や冷凍回路等、飲料の非注出時にも作動している装置が設けられており、これらの装置が発する熱により、飲料ディスペンサ1の内部温度は外気の温度より高くなっている。また、閉塞部材51は、樹脂等より熱伝導性の良い金属製となっているため、閉塞部材51をシュータ41に取り付けた際の原料放出口22b周辺の温度上昇が早められる。よって、飲料の非注出時に原料放出口22bに留まっている粉末原料Pに対する防湿効果をより高めることが可能となっている。尚、閉塞部材51が取り付けられたシュータ41は、案内部43が下方側となるように再度回転され、ミキシングユニット31の前後方向の移動を拘束する。
【0041】
一方、飲料の生成及び注出を再開する場合、閉塞部材51はシュータ41から取り外される。ここで、図8、9に示されるように、放出口部材25とシュータ41とは、放出口部材25の環状溝29内にシュータ41の突起46a〜46cを受け入れることによって取り付けられている。また、放出口部材25の本体部25aには、突起46a〜46cが通過可能な凹部29a〜29cが形成されており、シュータ41を、放出側開口部43bが上方側を向くように回転させること、すなわち、突起46a〜46cの位置が凹部29a〜29cの位置にそれぞれ合うように回転させることによって、放出口部材25に対するシュータ41の着脱が可能となっている。さらに、閉塞部材51は、第二屈折部53bに対する放熱部52の角度を元の角度θ(図6参照)に戻そうとする弾性力によって、案内通路45内に保持されている。したがって、シュータ41を回転させて放出口部材25から取り外し、シュータ41の導入側開口部42bを露出させれば、図5に示されるように、導入側開口部42bから挿入した指等で閉塞部材51を矢印Aで示される方向に押し出し、閉塞部材51を容易に取り外すことができる。
【0042】
以上に説明したように、シュータ41の案内通路45を閉塞部材51で塞ぐことによってキャニスタ21の原料放出口22bも塞いだため、キャニスタ21内の粉末原料Pが外気から遮断された状態となり、害虫がキャニスタ21内に侵入すること及び粉末原料Pが外気中の水分を吸収することが防止される。また、閉塞部材51はシュータ41に対して着脱可能となっており、取り外して洗浄を行うことが可能であるため、閉塞部材51を衛生的に保つことが容易である。さらに、閉塞部材51を金属製としたので耐久性が高く、且つ飲料ディスペンサ1の内部温度は外気の温度より高いため、閉塞部材51をシュータ41に取り付けた際の原料放出口22b周辺の温度上昇が早められ、飲料の非注出時に原料放出口22bに留まっている粉末原料Pに対する防湿効果がより高められる。以上より、飲料ディスペンサ1において、キャニスタ21内の粉末原料Pに対する防虫性及び防湿性が高められる。
【0043】
また、閉塞部材51は、案内通路45の内部に延びて原料放出口22bに対向する部位に配置される放熱部52を有しているため、放熱部52から発せられる熱を原料放出口22bに留まっている粉末原料Pに対して直接的に伝えることが可能となり、防湿効果がさらに高められる。
さらに、シュータ41を原料放出口22bに対して回転可能且つ着脱可能とすることによって案内通路45の放出側開口部43bを露出可能とするとともに、閉塞部材51を、放出側開口部43bから案内通路45に挿入することによってシュータ41に取り付けられるようにしたので、シュータ41への閉塞部材51の着脱が容易となる。
【0044】
実施の形態1に係る飲料ディスペンサ1を、キャニスタ21、ミキシングユニット31及びシュータ41をそれぞれ3つずつ備えたものとして説明したが、これらの部材の数は3つに限定されるものではなく、注出する飲料の種類に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 飲料ディスペンサ、21 キャニスタ、22b 原料放出口、31 ミキシングユニット、41 シュータ、43b 放出側開口部、45 案内通路、51 閉塞部材、52 放熱部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末原料と水とを混合して飲料を生成する飲料ディスペンサであって、
内部に収容された前記粉末原料を原料放出口から放出するキャニスタと、
前記粉末原料と前記水とを混合して前記飲料を生成するミキシングユニットと、
前記原料放出口から放出された前記粉末原料を前記ミキシングユニットに案内する案内通路を有するシュータと
を備え、
前記シュータには、前記案内通路を塞ぐ金属製の閉塞部材が着脱可能に設けられることを特徴とする飲料ディスペンサ。
【請求項2】
前記閉塞部材は、前記案内通路の内部に延びる放熱部を有しており、
前記放熱部は、前記原料放出口に対向する部位に配置される請求項1に記載の飲料ディスペンサ。
【請求項3】
前記シュータは、前記原料放出口に対して回転可能且つ着脱可能に設けられており、
前記案内通路は、前記シュータを前記原料放出口に対して回転させること及び前記シュータを前記原料放出口から取り外すことによって露出可能な放出側開口部を有し、
前記閉塞部材は、前記放出側開口部から前記案内通路に挿入されることによって、前記シュータに取り付けられる請求項1または2に記載の飲料ディスペンサ。
【請求項1】
粉末原料と水とを混合して飲料を生成する飲料ディスペンサであって、
内部に収容された前記粉末原料を原料放出口から放出するキャニスタと、
前記粉末原料と前記水とを混合して前記飲料を生成するミキシングユニットと、
前記原料放出口から放出された前記粉末原料を前記ミキシングユニットに案内する案内通路を有するシュータと
を備え、
前記シュータには、前記案内通路を塞ぐ金属製の閉塞部材が着脱可能に設けられることを特徴とする飲料ディスペンサ。
【請求項2】
前記閉塞部材は、前記案内通路の内部に延びる放熱部を有しており、
前記放熱部は、前記原料放出口に対向する部位に配置される請求項1に記載の飲料ディスペンサ。
【請求項3】
前記シュータは、前記原料放出口に対して回転可能且つ着脱可能に設けられており、
前記案内通路は、前記シュータを前記原料放出口に対して回転させること及び前記シュータを前記原料放出口から取り外すことによって露出可能な放出側開口部を有し、
前記閉塞部材は、前記放出側開口部から前記案内通路に挿入されることによって、前記シュータに取り付けられる請求項1または2に記載の飲料ディスペンサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−115574(P2012−115574A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269769(P2010−269769)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】
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