説明

飲料用チューブ

【課題】チューブ内面における汚れ付着防止性と透明性の双方が良好である飲料用チューブを提供する。
【解決手段】少なくとも内層と外層とを含んで構成され、ポリエチレンとポリプロピレンとのランダム共重合体を含有する最内層と、オレフィン系エラストマーを含有する外層とを備える飲料用チューブである。チューブの最内層は平滑であり、算術平均荒さ(Ra)が0.3μm以下であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビールなどの飲料を搬送するための飲料用チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料を搬送するための飲料用チューブにおいては、飲料の風味を損なわず搬送することができ、且つ、衛生上の観点から飲料に含まれる種々の成分による汚れが付着しにくいものが求められている。飲料用チューブのなかでも、ビールを供給する装置に使用されるビール用チューブは、多数の製品が様々な環境で使用されており、その要求が強い。
ビールを供給する装置は、主として、ビールを貯蔵するビール樽と、ビールを飲料容器に注ぐためのサーバーと、該ビール樽及び該サーバーとを結合するビール用チューブとから構成される。ビール用チューブは、チューブ材の臭いがビールに移らないように、チューブ内層用材料としてポリエチレン等の臭いの少ないオレフィン系樹脂が汎用されている。
【0003】
ビール用チューブの最内層のビールに接触する面において、使用期間が経過していくにつれて、ビールに含まれる成分に起因して、徐々に汚れが発生してくる。汚れとしては、ビールに含まれる成分による最内層樹脂の着色や、ビールに接触するチューブ表面に野生酵母菌が付着し、繁殖していくことによって生じる汚れなどがある。ビール用チューブ内面の汚れは、食品衛生上好ましくなく、このため、定期的にビール用チューブを外して洗浄し、汚れを除去してから再使用することが必要とされる。
しかしながら、色素の吸着や酵母菌の付着による汚れを、チューブ内面を損傷することなく除去するのは困難であり、ビール用チューブの洗浄には膨大なコストがかかるため、コスト削減の観点から、洗浄回数を減らすことができる汚れにくいチューブ最内層を使用することが望まれている。
【0004】
また、ビール用チューブに求められる他の特性としては、強度、耐久性といった基本的な性能はもちろんのこと、ビールの状態やチューブ内面の汚れ状態に対する視認性の観点から、高い透明性が求められている。
【0005】
このような要求に対して、ビールチューブにおいて、チューブの構造を二層構造とし、肉厚の薄いポリプロピレンからなる内層とオレフィン系エラストマーからなる外層とを一体化させてなるビール用チューブが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。ポリプロピレンはビール色素の吸着及び汚れの付着防止にある程度の効果を奏するものの、強度が不充分であり、強度向上のため層を厚くすると透明性や柔軟性が低下するという問題がある。
【0006】
また、チューブ最内層として、フッ素樹脂を用いた樹脂層を有するチューブに係る技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。フッ素樹脂を含有する樹脂層は防汚性が良好であるものの、隣接する外層との接着性に劣るため、外層を構成する樹脂に制限があり、また、コストが高くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平3−41290号公報
【特許文献2】特許公報第3117931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記事情に鑑みてなされた、本発明の目的は、チューブ内面における汚れ付着防止性と透明性の双方が良好である飲料用チューブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 少なくとも内層と外層とを含んで構成され、エチレンとプロピレンとのランダム共重合体を含有する最内層と、オレフィン系エラストマーを含有する外層とを備える飲料用チューブである。
<2> 前記エチレンとプロピレンとのランダム共重合体におけるエチレンとプロピレンとの共重合比が、質量換算で5:95〜25:75の範囲にある前記<1>に記載の飲料用チューブである。
<3> 前記最内層表面の算術表面粗さ(Ra)が0.30μm以下である前記<1>又は<2>に記載の飲料用チューブである。
<4> 少なくとも2層を有し、前記最内層と前記最内層に隣接する層とが、共押出し成型により形成されている前記<1>から<3>のいずれか1つに記載の飲料用チューブである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、チューブ内面における汚れ付着防止性と透明性との双方が良好である飲料用チューブを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の飲料用チューブは、少なくとも内層と外層の2層を含んで構成され、ポリエチレンとポリプロピレンとのランダム共重合体を含有する最内層と、オレフィン系エラストマーを含有する外層とを備える。以下、「飲料用チューブ」を、単に「チューブ」と称することがある。
【0012】
〔飲料用チューブの層構成〕
本発明の飲料用チューブは少なくとも搬送される飲料と接触する内層(最内層)と、これを保護するための外層の2層を含んで構成されていればよく、本発明の効果を損なわない限りにおいて、さらに任意の他の層を積層した3層以上の多層構造としてもよい。例えば、外層と中間層と内層とを有する3層構造が挙げられる。
本発明において、「最内層」とは、飲料用チューブのうち、飲料、特には、ビールと接する層をいう。例えば、本発明の飲料用チューブが2つの層で構成される2層構造である場合には前記内層が、また、3層構造を有する場合には中間層の内側に位置する前記内層が、各々「最内層」に相当する。また、飲料用チューブの最内層の表面のうち、ビールなどの飲料と接する面を「内面」と称する。
【0013】
〔最内層〕
本発明の飲料用チューブの最内層は、エチレンとプロピレンとのランダム共重合体(以下、適宜、エチレン/プロピレン共重合体と称する)を含有する。飲料用チューブの最内層にエチレン/プロピレン共重合体を用いることによって、飲料用チューブの内面の撥水性が増し、色素や酵母菌が付着しにくくなる。
【0014】
本発明に用いられるエチレン/プロピレン共重合体は、ランダム共重合体であることを要し、同じエチレン/プロピレン共重合体であっても、ブロック共重合体の場合には、本発明の優れた効果が得難く、好ましくない。
前記エチレンとプロピレンとのランダム共重合体におけるエチレンとプロピレンとの共重合比は、質量換算で5:95〜25:75の範囲にあることが好ましい。
共重合体におけるエチレンとプロピレンとの共重合比は、各磁気共鳴スペクトル(C−NMR)法により測定することができる。
本発明に係るエチレン/プロピレン共重合体は公知の方法により合成することができる。
本発明に係るエチレン/プロピレン共重合体の分子量は、5万〜10万であることが好ましい。
エチレン/プロピレン共重合体の分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定することができる。なお、本明細書中の重合体の分子量はGPC法を用いて測定したものを採用している。
【0015】
エチレン/プロピレン共重合体を用いて形成されたチューブ最内層の表面を平滑とすることで、汚れ付着防止性がより向上する。具体的には、最内層の断面を電子顕微鏡にて観察した際に、最内層の表面が、微細な凹凸を有しない平滑な面状を有するか、あるいは、凹凸を有する場合は、凹凸がなだらかな曲面であって隣接する曲面の最高部(頂部)同士の間隔が10μm以上離れている形状であること好ましい。
さらに、JIS B 0601(1994年)に準拠して測定した算術表面粗さ(Ra)が0.30μm以下であることが好ましい。
表面に頂部の間隔が10μm未満であるような、或いは、算術表面粗さ(Ra)が0.3μmを超えるような、微細な凹凸が存在すると、色素や菌類が付着しやすくなるため、好ましくない。
【0016】
本発明の飲料用チューブの最内層の製造方法に特に制限はなく、一般に使用されるチューブの形成方法であればいずれも用いることができる。通常は、押し出し成型法により形成される。以下に詳述するように、外層とともに共押出成型により形成されることが好ましい。
【0017】
飲料用チューブの最内層の厚みは、目的に応じて適宜選択されるが、強度、柔軟性とともに透明性を確保するといった観点からは、0.1mm〜0.3mmであることが好ましく、0.1mm〜0.2mmの範囲であることがより好ましい。
【0018】
〔外層〕
本発明の飲料用チューブの外層はオレフィン系エラストマーを含有する。
オレフィン系の熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン部分構造を有するエラストマーから選択され、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(EEA)などが挙げられ、透明性と柔軟性、さらには、内層との接着性が良好なであることから、EVAが好ましい。
本発明における外層として好適に用いられるオレフィン系エラストマーは市販品としても入手可能であり、例えば、三井・デュポン・ポリケミカル社製のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂である、エバフレックス(EVAFLEX:登録商標) EV46LX、EV40LX、P−2805、P−1905、P−1903等を好適に用いることができる。
本発明に係るオレフィン系エラストマーの分子量は2.0万〜7.0万の範囲であることが好ましく、オレフィン系エラストマーとしてEVAを用いる場合には、分子量は3.0万〜4.0万のものを用いることが好ましい。
【0019】
外層にオレフィン系エラストマーを含有することで、飲料用チューブに耐傷性や耐摩耗性が付与され、物理的な破損が防止されるため好ましい。エラストマー材料は、柔軟性、耐屈曲性が良好であり、飲料用チューブを折り曲げてもチューブ内のビールの流動性を損うことがなく、好ましい。
外層は主として(質量で50%超)オレフィン系エラストマーを含有するが、強度や透明性を損なわない限りにおいて、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン樹脂などの他の熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。
【0020】
〔その他の層〕
本発明の飲料用チューブは3層以上の多層構造としてもよく、3層以上の層構成を有する場合、前記最内層及び外層以外の他の層については、層の材質、厚みなどには特に制限されず、本発明の効果を損なわない限度において、種々の材料を用いることができる。その他の層としては、例えば、最内層と外層との間に設けられる中間層が挙げられる。
ここで、前記最内層と外層との間に中間層を設けて3層構造とする場合、中間層を構成する樹脂としては、オレフィン系ポリマー(ポリオレフィン)、シリコーン系樹脂、ポリスチレン、ポリウレタン、塩化ビニル樹脂、ポリアミド、及び、ポリエステル等から適宜選択して層を形成すればよい。
中間層が最内層と外層との接着性向上を目的として設けられる場合には、内層に含まれるエチレン/プロピレン共重合体及び外層に含まれるオレフィン系エラストマーの双方と親和性が良好で接着しやすい、前記EVAや酸変性ポリオレフィンが挙げられ、なかでも分子量2.0万〜5.0万のEVAが好ましい。
また、内層に用いられるエチレン/プロピレン共重合体と、外層を構成する樹脂との接着性が困難である材料同士を組み合わせて用いる場合には、接着性改良効果に優れた樹脂、例えば、三井化学社製の接着性ポリオレフィン アドマー(商品名)などの樹脂が、中間層の材料として好適に用いられる。
また、チューブの物理的強度をさらに向上する目的で、飲料用チューブの構成材料として、補強糸、金属スプリングなどを併用してもよい。
【0021】
本発明の飲料用チューブは、少なくとも内層、外層の2層を含んで構成される多層構造をとるが、これを成形する場合、前記最内層に隣接する層、例えば、前記2層構造における外層や、前記3層構造における中間層は、透明性、柔軟性、共押し出しで最内層との接着性がある材料で形成すること好ましい。
最内層との親和性が良好な材料としては、例えば、前記EVAや酸変性ポリオレフィンが挙げられ、なかでも分子量2.0万〜5.0万のEVAが好ましい。
【0022】
また、最内層と最外層との間に補強糸を編み上げた層を設けたり、飲料用チューブに金属スプリングを巻きつけてなる補強層を設けたりして、飲料用チューブの強度、耐久性を向上させることも好ましい態様である。飲料用チューブの補強のための補強糸を編み上げた繊維層や、金属スプリングを巻きつけた金属補強層は、飲料用チューブ全体に設けてもよいし、チューブの一部、例えば、摩耗や屈曲の著しい箇所、或いは、タンクやサーバーなどとの接続部位の周辺のみに設けてもよい。
【0023】
飲料用チューブの最内層の厚さは、透明性の観点から、0.1mm〜0.3mmであることが好ましい。
本発明の飲料用チューブを構成する全層の厚さ(最内層及び外層の厚さを含む)は、チューブの柔軟性と成型性とを両立する観点から、2.0mm〜3.0mmであることが好ましい。
また、本発明の飲料用チューブの内径は、チューブの柔軟性と成型性とを両立する観点から、4.0mm〜10.0mmであることが好ましい。
【0024】
〔飲料用チューブの成形〕
本発明の飲料用チューブは、既述の各層を構成する材料を押し出し成型等することにより作製することができる。成型は一層ずつ順次行ってもよいが、隣接する層同士を共押し出し成形により同時に形成することが2つの層間の接着性向上の観点から好ましい。
即ち、本発明の飲料用チューブが最内層(内層)と外層のみを有する2層構造である場合には、内層と、内層に隣接する外層とを共押し出し成型により形成することが好ましい。
例えば、最内層の材料がエチレン/プロピレンランダム共重合体であり、外層の材料がEVAである2層構造の飲料用チューブを製造するときは、エチレン/プロピレンランダム共重合体とEVAとを共押し出し成型する。
また、最内層(内層)と外層との間に中間層を設けて3層とする場合には、接着性を確保する目的で、内層と中間層と外層との3層を同時に共押し出し成形することが好ましい。
【0025】
本発明の飲料用チューブは、複数の飲料用チューブを、継ぎ手を介して直列に又は並列に結合して用いてもよい。
本発明の飲料用チューブをビール用チューブとして用いる場合の具体的な使用態様について述べれば、本発明のビール用チューブの一端をビール樽に接続し、他端をサーバー接続して用いればよい。継ぎ手を介して結合することにより、ビール樽とサーバーの間に距離がある場合、或いは、1つのビール樽から複数のサーバーに接続する場合などにも好適に使用される。
本発明の飲料用チューブは、強度と透明性に優れ、汚れの付着が効果的に抑制されることから、洗浄などのメンテナンスを行うことなく、長期間に亘って連続的に使用しうるとともに、使用時の飲料の流れ状態を外観上確認することができ、且つ、チューブ内面に汚れが発生した場合にもいち早く検知しうるという利点をも有するものである。
【実施例】
【0026】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0027】
〔飲料用チューブの製造〕
(実施例1)
内層(厚み0.1mm)であるエチレン/プロピレンランダム共重合体(1)〔プライムポリマー製、B257MA、GPC法により測定した重量平均分子量:8万〜9万〕と、外層である、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)〔三井・デュポン・ポリケミカル社製、エバフレックスP−1403〕とを、共押出し成型して、厚み2.5mm、内径5.0mmの2層構造の実施例1の飲料用チューブを得た。
【0028】
(実施例2)
内層の形成に、エチレン/プロピレンランダム共重合体(2)〔日本ポリプロ(株)製、WFX4、GPC法により測定した重量平均分子量:8万〜9万〕を用いた他は、実施例1と同様にして、実施例2の飲料用チューブを得た。
【0029】
(比較例1)
内層の形成に、ポリエチレン〔日本ポリエチレン社製、カーネル KF380〕を用いた他は、実施例1と同様にして、比較例1の飲料用チューブを得た。
(比較例2)
内層の形成に、エチレン/メタクリル酸共重合体(以下、適宜、EMAAと称する)〔三井・デュポン・ポリケミカル製、ニュークレル N0903HC〕を用いた他は、実施例1と同様にして、比較例2の飲料用チューブを得た。
【0030】
(1.性能評価)
1−1.耐汚れ性(拡がり長さ)
得られた各飲料用チューブと同じ材料を用い、内層と外層と同じ厚みを有する2層からなる積層体を作製した。該積層体の内層に相当する層の表面に、メスピペットを使用して、1cmの高さから人工汚れ(アルコール系顔料:シャチハタ製スタンプインキの10%エタノール溶液)を0.05ml滴下し、常温(25℃)において10分間及び24時間放置し、それぞれ表面の画像を撮影し、滴下して人工汚れの拡がり(単位:mm)を計測した。拡がりが小さいほど、汚れが付着し難いと判定する。測定は場所を変えて3回行い、その平均値を記載した。結果を下記表1に示す。
1−2.汚れ拭き取り性
得られた各飲料用チューブを切断し、最内層を露出させた試験片を作製し、最内層表面に、メスピペットを使用して、1cmの高さから人工汚れ〔アルコール可溶性染料:寺西化学工業(株)製、マジックインキの10%エタノール溶液)を0.05ml滴下し、常温(25℃)において72時間放置した。その後、表面を、エタノールを染み込ませた不織布で拭き取り、汚れ落ちの状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。結果を下記表1に示す。表1には「拭き取り性」と記載した。
○:汚れが拭き取れており、汚れ残りがない
×:拭き取った後も、染料汚れが残る
【0031】
1−3.透明性
得られた各飲料用チューブの透明性(全光線透過率:%)を、JIS K7361−1(2006年)に準拠して、濁度計 NDH2000〔日本電色工業(株)製、光源:D65)を用いて測定した。測定は場所を変えて3回行い、その平均値を下記表1に記載した。
【0032】
1−4.破壊強度(破壊圧力試験)
得られた各飲料用チューブの両端に、適用口径が同じ液圧ホースアセンブリ口金を加締めて装着する。飲料用チューブに内圧を加え、圧力を徐々に上げてゆき、飲料用チューブが破裂する圧力を記録して、チューブの強度とした。測定は場所を変えて3回行い、その平均値を下記表1に記載した。
1−5.表面粗さ
得られた各飲料用チューブの最内層について、JIS B 0601(1994年)に準拠して、算術表面粗さ(Ra)を測定した。測定は場所を変えて3回行い、その平均値を下記表1に記載した。
【0033】
【表1】

【0034】
前記表1から明らかなように、本発明に係る実施例1〜2の飲料用チューブは、強度に優れ、最内層表面に汚れが付着し難く、汚れが付着した場合も容易に落とすことができ、透明性も良好であることがわかる。
他方、最内層にポリエチレンやEMAAを用いた比較例1〜2では、最内層表面の耐汚れ性に劣り、汚れが付着した場合にも落とし難いことがわかる。また、比較例の飲料用チューブはいずれも、強度が実施例の飲料用チューブに比べて低いことがわかる。
以上のことから、本発明の飲料用チューブは、実用上十分な強度を備えるとともに、汚れの付着防止性と透明性とが高いレベルで両立されることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも内層と外層とを含んで構成され、エチレンとプロピレンとのランダム共重合体を含有する最内層と、オレフィン系エラストマーを含有する外層とを備える飲料用チューブ。
【請求項2】
前記エチレンとプロピレンとのランダム共重合体におけるエチレンとプロピレンとの共重合比が、質量換算で5:95〜25:75の範囲にある請求項1に記載の飲料用チューブ。
【請求項3】
前記最内層表面の算術表面粗さ(Ra)が0.3μm以下である請求項1又は請求項2に記載の飲料用チューブ。
【請求項4】
少なくとも2層を有し、前記最内層と前記最内層に隣接する層とが、共押出し成型により形成されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の飲料用チューブ。

【公開番号】特開2012−17841(P2012−17841A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157322(P2010−157322)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】