説明

飲料用容器および装着部材

【課題】陳列装置に縦置きに陳列する際に標記をランダムな方向に向けて置いても、標記
を所定の方向に向けることが可能な飲料用容器等を提供する。
【解決手段】容器20は、円盤状に形成された底部21と、底部21の外周縁から上方に
延びる側部22と、側部22の上部に取り付けられた蓋部24とを備え、円筒状に形成さ
れている。また容器20は、底部21に、容器20の外方に(底部21から離れる方向に
)向かって環状に突出した環状突出部211を備えている。さらに容器20には、外面の
一部である側部22の特定箇所に、商品名、商標名など他の商品と識別するための識別標
記23が付されている。さらに、容器20は、底部21に錘212を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用容器、および飲料容器に装着される装着部材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばコンビニエンスストアなどにおいては、飲料缶やペットボトルなど飲料が充填さ
れた容器が、例えば陳列ケースに収容された陳列装置に縦置きに載せられて販売される。
そしてこのような陳列装置は、例えば、容器自身の自重により陳列ケースの前方に容器が
移動するように傾斜した状態で配置される。そして、手前側(最前列)の1つの容器を抜
き取ると、後続の容器が自重で手前側に移動する。
ここで陳列装置の容器が載せられる箇所には、容器の滑りの良さから例えばプラスチッ
クの平板が設けられる。また、近年では回転可能なローラを多数配置した陳列装置が出回
っている(例えば、特許文献1参照)。また、容器の補充は陳列装置の後方側から行うの
が一般的であるが、手前側からの容器の投入を可能とするとともに、奥側に移動した容器
が、再度手前側に移動し陳列される陳列装置も提案されている(例えば、特許文献2参照
)。即ち、前方側から投入された容器がUターンして戻ってくる陳列装置が提案されてい
る。さらに、容器に関するものとして、缶底に形成された環状凸部の内周壁に、内側凹部
と縦リブとが円周方向に交互に形成された缶が提案されている(例えば、特許文献3参照
)。
【0003】
ところで、容器の外面には、商品名や商標名など他の商品と識別するための標記が設け
られるが、この標記が購入者の取り出し方向に向いていないと、商品の識別がしにくくな
るとともに、商品の陳列時の見栄えが悪くなる。このため、陳列される容器は、例えば前
方側など、標記が所定の方向に向いていることが好ましい。
【0004】
公報記載の従来技術として、容器が載せられる傾斜棚板の上面に、棚板傾斜方向に向け
て棒状のガイド凸条を設け、容器の底部に、標記の直下と標記が付された面とは反対側の
面の直下とを結ぶ凹状嵌合部を設け、このガイド凸条と凹状嵌合部とを用いて容器を陳列
する陳列方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この陳列方法では、標記が
前方側を向く姿勢で凹状嵌合部をガイド凸条に嵌合させ、複数の容器を前後に並べる。こ
の結果、標記が前方を向いた状態で容器の陳列が行われる。
【0005】
【特許文献1】特開平11−155701号公報
【特許文献2】米国特許第6502408号
【特許文献3】特開2000−211624号公報
【特許文献4】特開2006−288676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献4では、凹状嵌合部をガイド凸条に嵌合させ容器の陳列を行うことで、標
記を確実に前方に向けることが可能となる。しかしながら、かかる発明では、容器の投入
者は、容器を陳列装置に設置する度に凹状嵌合部をガイド凸条に嵌合させる必要があり、
容器の陳列作業が繁雑となる。また、標記が容器の一箇所にのみ形成されている場合には
、標記が後方側に向いた状態で陳列される陳列ミスの発生も懸念される。また、このコン
ビニエンスストアなどの多量の飲料を販売する店舗等では、向きを揃えて投入する作業が
非常に大掛かりとなる。
【0007】
本発明は、陳列装置に縦置きに陳列する際に標記をランダムな方向に向けて置いても、
標記を所定の方向に向けることが可能な飲料用容器等を提供することを主たる目的とする

【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的のもと、本発明が適用される飲料用容器は、載置面と接触する接触部を有し
た底部と、底部の上方に設けられ、所定箇所に他の商品と識別するための識別標記が付さ
れた側部と、を備え、底部の接触部は、第1の摩擦係数を有する第1の領域と、識別標記
が設けられている側とは反対側に設けられ第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数を
有する第2の領域と、を有することを特徴とする。
【0009】
ここで、第1の領域および第2の領域は、第1の領域および第2の領域の少なくとも一
方に、摩擦係数を異ならせる物質が塗布されることで形成されていることを特徴とするこ
とができる。また、第1の領域および第2の領域は、第1の領域および第2の領域の少な
くとも一方に、摩擦係数を異ならせるシール又はテープが貼付されることで形成されてい
ることを特徴とすることができる。さらに、第1の領域および第2の領域は、少なくとも
第2の領域に凹凸部が付与されることで形成されていることを特徴とすることができる。
【0010】
他の観点から捉えると、本発明が適用される飲料用容器は、底部と、底部の上部に配置
され、他の商品と識別するための識別標記が付された側部と、を有し、底部が水平面に載
置された際の重心が識別標記側に位置するように構成される。
【0011】
ここで、飲料用容器は、部材が別途取り付けられることで、重心が識別標記側に位置す
るように構成されていることを特徴とすることができる。また、部材は、底部を構成する
材料および側部を構成する材料よりも比重が大きいことを特徴とすることができる。さら
に、部材は、飲料用容器の底部に取り付けられていることを特徴とすることができる。
【0012】
さらに他の観点から捉えると、本発明が適用される飲料用容器は、陳列装置に設けられ
る傾斜面を下方に向かってスライドし陳列される飲料用容器であって、底部と、他の商品
と識別するための識別標記が付される側部とを有し、飲料が注がれる飲料用容器本体と、
底部が傾斜面に対して接触した状態にて飲料用容器本体が傾斜面を下方に向かってスライ
ドする際に、識別標記が下方側を向くように飲料用容器本体を回転させる回転手段と、を
含む。
【0013】
ここで、回転手段は、飲料用容器本体に取り付けられ、飲料用容器本体の重心を識別標
記が付された側に設定する設定部材により構成されていることを特徴とすることができる
。また、設定部材は、飲料用容器本体を構成する材料よりも比重が大きいことを特徴とす
ることができる。さらに、設定部材は、飲料用容器本体の底部に取り付けられていること
を特徴とすることができる。また、底部は、傾斜面と接触する箇所に摩擦係数が互いに異
なる第1の領域および第2の領域を有し、回転手段は、底部が有する第1の領域および第
2の領域により構成されていることを特徴とすることができる。
さらに他の観点から捉えると本発明が適用される飲料用容器は、ICタグを装着したことを特徴とすることができる。
【0014】
また、本発明を装着部材と捉えた場合、本発明が適用される装着部材は、底部と、底部
の上部に配置され他の商品と識別するための識別標記が付された側部と、を有した飲料容
器に装着される装着部材であって、飲料容器と所定の位置関係を有した状態で飲料容器に
装着された場合に、飲料容器の重心を識別標記が付された側に変位させる。
【0015】
ここで、装着部材は、飲料容器の上部側又は底部側に被せられる筒状の本体部と、本体
部の重心を本体部の軸心から変位させる変位部材とから少なくとも構成されていることを
特徴とすることができる。また、変位部材は、筒状に形成された本体部の内側に設けられ
ていることを特徴とすることができる。
【0016】
他の観点から捉えると、本発明が適用される装着部材は、底部と、底部の上部に配置さ
れ他の商品と識別するための識別標記が付された側部と、を有した飲料容器の底部側に装
着される装着部材であって、底部側に装着される側とは反対側に、第1の摩擦係数を有す
る第1の領域と、第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数を有する第2の領域と、を
有する。また、他の観点から捉えると、本発明が適用される装着部材は、ICタグを装着したことを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
陳列装置に縦置きに陳列する際に標記をランダムな方向に向けて置いても、標記を所定
の方向に向けることが可能な飲料用容器等を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明す
る。
―第1の実施形態―
図1は、本発明の実施形態に係る陳列装置の概略構成を示した図である。
同図(A)に示すように本実施形態における陳列装置30は、飲料が内部に充填された
容器(飲料容器)20が載せられる載置部(載置面)31と、容器20の移動経路(搬送
経路)を形成するとともに容器20の移動を案内するガイド32とを備えている。また、
一部が透明に形成されるとともに載置部31の一側辺に沿って配置され、容器20の移動
を停止させる規制板34を備えている。ここでガイド32は、例えば、その両端部が載置
部31に形成された開口33に差し込まれることにより載置部31に固定される。また、
容器20には、円筒状の缶を例示しているが、所謂ペットボトルなどの樹脂製の容器やキ
ャップを有した所謂ボトル缶なども用いることができる。
【0019】
陳列装置30は、同図(B)に示すように、コンビニエンスストア、スーパーマーケッ
トなどに設置される陳列ケース10の内部に収納される。この陳列ケース10は、直方体
状に形成されたケース本体部10Aと、このケース本体部10Aに対して開閉可能に設け
られたドア10Bとにより主要部が構成されている。
ここで陳列装置30は、陳列ケース10に設けられた棚(不図示)の上に載せられる。
この際、陳列装置30は、規制板34が設けられた側がドア10B側に位置するように設
置される。また、規制板34が設けられた側が、規制板34が設けられた側とは反対側よ
りも下方に位置するように配置される。このため、陳列装置30における載置部31は、
陳列ケース10の後方側から容器20が取り出される前方側(取り出し部側)に向かって
下り傾斜した状態で配置される。
【0020】
ここで本実施形態における陳列ケース10は、後方側にもドアが設けられ(不図示)、
後方側も開放可能となっている。そしてこの後方側より陳列装置30に容器20が投入さ
れる。即ち、陳列ケース10の後方側および陳列装置30の後方側に容器20の投入部が
設けられた構成となっている。そして、投入された容器20は載置部31上をドア10B
側に向かって移動(スライド)する。即ち、容器20を購入する購入者側に向かって移動
する。なお、本明細書では、ドア10B側を前方側(前方)と称しドア10Bとは反対側
を後方側(後方)と称する場合がある。また、陳列ケース10の幅方向(容器20が移動
する方向に直交する方向)を横方向、幅方向と称する場合がある。
【0021】
ここで図2は、本実施形態における容器20を説明するための図である。
同図(A)に示す容器20は、円盤状に形成された底部21と、底部21の外周縁から
上方に延びる側部22と、側部22の上部に取り付けられた蓋部24とを備え、円筒状に
形成されている。また容器20は、底部21に、容器20の外方に(底部21から離れる
方向に)向かって環状に突出した環状突出部211を備えている。さらに容器20には、
外面の一部である側部22の特定箇所に、商品名、商標名など他の商品と識別するための
識別標記23が付されている。さらに、容器20は、底部21に、錘212を有している
。なお底部21および側部22は、飲料が注がれる飲料用容器本体として捉えることがで
きる。また錘212は、この飲料用容器本体の重心を識別標記23が付された側に設定す
る設定部材として捉えることができる。
【0022】
なお、容器20の材質は、ビールなどのアルコール類、ジュースなどのソフトドリンク
類に使用可能なものであれば特に制限されない。例えば、アルミニウム、スチールなどの
金属、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂、ガラスなどを用いることがで
きる。
また、容器20の形状や種類も特に限定されない。容器20には、例えば、いわゆるツ
ーピース缶(DI缶)、スリーピース缶、ペットボトル、ガラス瓶、ネジ付缶(いわゆる
ボトル缶)を挙げることができる。
【0023】
ここで錘212には、鉛等の金属など、容器20の材料(例えばアルニウム)よりも比
重が大きいものが用いられている。また、錘212は、環状突出部211の内側の側面に
接するように設けられている。また、錘212は、容器20の重心(中心)に対し偏心し
た位置に設けられている。また、錘212は、識別標記23が設けられた側と同じ側に設
けられている。このため、本実施形態における容器20は、水平面に載置された際の重心
が識別標記23側に位置するように構成されている。なお、錘212は、例えば接着によ
り容器20に取り付けることができる。
【0024】
ここで図2(B)を用い、陳列装置30での容器20の動作について説明する。
陳列装置30の後方に置かれ前方への移動を開始した容器20は、底部21に錘212
が取り付けられているため、実線2Aに示すように、錘212側が先行するように回転を
行う。そして容器20は、この回転を継続しながらさらに前方へ移動する(破線2B参照
)。その後、容器20は、錘212が前方側に位置する状態となると回転を停止する(破
線2C参照)。なお、錘212と識別標記23は上記の通り、容器20の同じ側に設けら
れているため、錘212が前方側に位置すると、識別標記23も前方側に位置するように
なる。即ち、識別標記23が前方を向くようになる。その後、容器20は、識別標記23
が前方を向いた状態を維持したままさらに前方まで移動する(破線2D参照)。このため
、取り出し部に達した容器20は、識別標記23が前方を向いた状態で陳列されることと
なる。なお、図2(B)では、載置部31に回転可能なロール状部材が複数設けられた陳
列装置30を例示している。
【0025】
図3は、容器20の他の形態を示したものである。
錘212は、例えば同図(A)に示すように、容器20の底部21であって、環状突出
部211の外側に設けることができる。また錘212は、例えば同図(B)に示すように
、容器20の側部22に取り付けることもできる。さらに錘212は、例えば同図(C)
に示すように、蓋部24に取り付けることもできる。なお、錘212の取り付け位置によ
っては容器20の外観を損なうおそれがある。このため、錘212は、容器20の底部2
1に取り付けることが最も好ましい。
また本実施形態では図示を省略するが、容器20を構成する材料を識別標記23側によ
り多く配置することで、容器20の重心を識別標記23側に位置させることもできる。即
ち錘212などを別途設けることなく容器20の形状を変えることで、容器20の重心を
識別標記23側に位置させることができる。例えば、容器20の製造段階(形成段階)に
おいて、曲げ加工などを適宜施し、識別標記23側により多くの材料が配置されるように
容器20を形成する。この場合、識別標記23が配置された側により多くの材料が配置さ
れ、容器20の重心が識別標記23側に位置するようになる。
【0026】
なお錘212の容器20への取り付けは、上記形態に限られない。例えば、容器20に
装着される装着部材を介し、容器20に錘212を取り付けることができる。
ここで図4は、容器20および装着部材を説明する図である。
錘212は、例えば同図(A)に示すように、容器20の上部に装着され(被せられ)
容器20の上部を覆う装着部材40に取り付けることができる。なお、この装着部材40
は、同図(A)、(B)に示すように、円筒状に形成され容器20に装着される第1筒状
部41と、第1筒状部41の内側に配置され同じく円筒状に形成された第2筒状部43と
を備える。また、装着部材40は、第1筒状部41の一端側を塞ぐ円盤状の蓋部42を備
えている。そして錘212は、第1筒状部41と第2筒状部43との間に配置されている
。付言すれば第1筒状部41の内側に配置されている。ここで、第1筒状部41および蓋
部42は、容器20の上部に被せられる筒状の本体部として捉えることができる。また、
錘212は、この本体部の重心を本体部の軸心から変位させる変位部材として捉えること
ができる。
【0027】
ここで装着部材40の容器20への装着は、識別標記23と錘212との位置合わせを
行ったうえで行う。具体的には、同図(A)に示すように、識別標記23が付与されてい
る側に錘212を位置させたうえで容器20に装着部材40を装着する。この結果、上記
同様、容器20の重心が識別標記23側に位置するようになる。付言すれば、装着部材4
0は、容器20と所定の位置関係を有した状態で容器20に装着された場合に、容器20
の重心を識別標記23が付された側に変位させる。
なお、本実施形態では、装着部材40を容器20に装着する際、装着部材40における
第2筒状部43の端部が容器20に突き当たる構成となっている(同図(A)参照)。こ
のため、装着部材40に対する容器20の過度の入り込みが規制される。また、本実施形
態の装着部材40は、容器20と蓋部42との間(第2筒状部43の内部)に、景品等を
収容するスペースが形成される構成となっている。なお、装着部材40は、容器20の上
部のみならず、図4(C)に示すように、容器20の下部に取り付けることもできる。
【0028】
―第2の実施形態―
図5は、第2の実施形態における容器20を示した図である。なお同図(A)は、容器
20の側面図であり、同図(B)は容器20の底面21を示した図である。また同図(C
)は、容器20の動作を説明する図である。
【0029】
同図(A)、(B)に示すように本実施形態における容器20にも環状突出部211が
設けられている。そして本実施形態では、この環状突出部211の頂部の一部に、テープ
Tが貼付されている。なお、テープTが貼付されている箇所は、識別標記23が設けられ
た側とは反対側となっている。付言すれば、容器20の周方向において、識別標記23と
テープTは位相が180°ずれた状態で配置されている。
【0030】
陳列装置30の後方に投入された容器20は、テープTの表面の摩擦係数とテープTが
設けられていない他の箇所の摩擦係数とが異なるために回転を行う。詳細には、容器20
は、テープTと載置部31との摩擦力(摩擦抵抗)が、テープTが設けられていない他の
箇所と載置部31との摩擦力よりも大きくなるため、前方への移動を行いつつ回転を行う
。付言すれば、テープTが設けられた箇所に対し、載置部31から抵抗力がより大きく作
用する状態となる。これにより、テープTが設けられていない箇所が先行するように回転
を行う。
この結果、同図(C)の実線5Aの状態で投入された容器20は、破線5Bに示すよう
に、テープTが設けられた側が後方側に移動するように回転を行い、破線5Cに示す状態
となる。即ち、容器20は、テープTが設けられた側が後方側に位置するとなるとともに
識別標記23が前方に位置する状態となる。そして識別標記23が前方に位置した状態で
破線5Dに示す位置まで移動していく。このため、本実施形態においても、取り出し部に
達した容器20は、識別標記23が前方を向いた状態で陳列されることとなる。
【0031】
なお載置部31には、回転可能なロール状部材や球状部材を複数設けることができる。
ところで本実施形態のように摩擦力の差を利用して容器20の回転を行う場合は、図5(
C)に示すように、載置部31の一部(容器20の回転を行う領域)に、平滑な領域を設
けることが好ましい。即ち、ロール状部材等を設けず、容器20と接触する箇所を平滑な
状態にしておくことが好ましい。具体的には、例えば表面が平滑な塩化ビニル製の板状部
材や、ベークライトにより形成され表面が平滑な板状部材を用いることが好ましい。なお
、容器20による擦過傷の発生をより防止するためには、ベークライトを用いることがよ
り好ましい。また、本実施形態では、テープTにより相対的に滑りにくい領域(相対的に
摩擦係数が大きい領域)を形成したが、テープTにより相対的に滑りやすい領域(相対的
に摩擦係数が小さい領域)を形成し、容器20に回転力を付与することもできる。
【0032】
ここで本発明者は、図5(A)に示した容器20を用いて実験を行い、容器20の回転
性能等について調査した。なおこの実験では、テープTの幅B(同図(B)参照)を約2
mmとした。また、テープTの長さL(環状突出部211の周方向に沿った長さ、同図(
B)参照)を約2.5mmとした。また、載置部31のうち容器20が接触する箇所には
、塩化ビニル製であり表面が乾燥状態且つ表面が平滑な板を設けた。さらに、載置部31
の傾斜角度は、12°とした。結果について説明すると、容器20は、上記の説明のとお
り、テープTが設けられた側が後方側に移動するように回転を行った。そして容器20は
、最終的に、同図(C)の破線5Cに示したように、識別標記23が前方を向いた状態と
なった。
【0033】
さらにテープTの貼付等に限られず、例えば塗装によって摩擦力が異なる領域(摩擦係
数が異なる領域)を形成することもできる。言い換えると、摩擦係数を異ならせる物質の
塗布によって摩擦力が異なる領域(摩擦係数が異なる領域)を形成することもできる。ま
た例えば、サンドブラスト等により容器20に凹凸を付与することで摩擦力が異なる領域
(摩擦係数が異なる領域)を形成することもできる。
ここで図6は、摩擦力が異なる領域を塗装により形成した例を示した図である。
例えば図6(A)、(B)に示すように、環状突出部211の頂部(載置部31と接触
する接触部の一例)に、第1の摩擦係数を有する第1の領域211aと、この第1の摩擦
係数よりも大きい第2の摩擦係数を有する第2の領域211bとを、塗装により形成する
ことができる。ここで本形態では、第2の領域211bが、識別標記23が位置する側と
は反対側に設けられている。また第1の領域211aは、第2の領域211b以外の領域
に設けられている。
【0034】
なお、上記第1の領域211aや第2の領域211bは、例えば容器20の製造段階に
おいて形成することができる。ここで容器20は、製造された後、飲料の充填工程等にお
いて底部21側が下方となる状態で搬送される。即ち、底部21が載置面と接触した状態
で搬送される。ところで、上記第1の領域211aや第2の領域211bが形成されてい
ると、容器20が円滑にスライドしにくくなり円滑な搬送が困難となるおそれがある。こ
のため、第1の領域211aと第2の領域211bを形成した後に、この第1の領域21
1aおよび第2の領域211bを覆うシールなどを貼付する工程を設けることが好ましい
。これにより、飲料の充填工程等において容器20を円滑に移動(スライド)させること
ができる。なおこのシールは、飲料が充填された容器20を出荷する際や、飲料が充填さ
れた容器20を陳列装置30に設置する際に除去される。なお、上記では、容器20に、
第1の領域211aおよび第2の領域211bの2つの領域を形成した例を説明したが、
第2の領域211bのみを形成することもできる。
【0035】
また、第1の領域211a、第2の領域211bは、容器20に直接形成する場合に限
られず、図7(容器20および装着部材40を説明する図)に示すように、容器20の底
部21側に装着される装着部材40に形成することもできる。
ここで、装着部材40は、図4と同様に、円筒状に形成された第1筒状部41と、第1
筒上部41の内側に配置され同じく円筒状に形成された第2筒状部43とを備えている。
また、第1筒状部41の一端側を塞ぐ円盤状の蓋部42を備えている。また、本形態にお
ける装着部材40は、蓋部42に、装着部材40の外方に(容器20が装着される側とは
反対側に)且つ環状に突出する環状突出部44を備えている。そして、本形態では、この
環状突出部44の頂部の一部に上記第1の領域211aが形成され、他の一部に上記第2
の領域211bが形成されている。付言すれば、容器20に装着される側とは反対側に、
第1の領域211aおよび第2の領域211bが形成されている。
【0036】
ここで図8は、装着部材40の他の形態を示した図である。なお、図8(A)は、容器
20および装着部材40の一部断面図であり、図8(B)は、装着部材40を底面側から
眺めた場合の図である。
図7では、装着部材40の蓋部42に環状突出部44が設けられた場合を一例に説明し
たが、図8に示すように、装着部材40の蓋部42は平坦状に形成することができる。そ
して、この平坦状に形成された蓋部42の一部に、例えば蓋部42の表面の摩擦係数より
も大きい摩擦係数を有し、載置部31との摩擦力を増加させるシールSを貼付することが
できる。なお、本形態における装着部材40は、同図(A)に示すように、識別標記23
が設けられた側とは反対側にシールSが位置するように、容器20に装着される。なお、
本図では、シールSにより摩擦力を増加させる例を説明したが、例えばシールSの表面粗
さを蓋部42の表面粗さよりも小さくし、シールSによって摩擦力を相対的に減じること
もできる。なおこの場合の装着部材40は、識別標記23が設けられた側にシールSが位
置するように、容器20に装着される。
【0037】
在庫あるいは、販売の数量を含めた商品管理に最近ICタグが使用されているが、本発明の容器20にこれを組み込み、陳列システムの中の付加機能の一つとして利用できる。例えば、本システムを使用する装置、容器を用いれば容器の取出し口において、標記23に対応する位置に容器方向を向かせることができるので、ICタグの位置を標記と一定関係の位置に置けば近接した陳列装置の位置にリーダ・ライタを置くことができる。これにより、顧客の出し入れのリアルタイムでの動きを把握することができる。
【0038】
ICタグは、例えばペットボトルのような場合は、フィルムのような包装体に事前に接着したものを容器20の側面に巻き付け、あるいはキャップ内部に挿入することが出来る。また、缶のような容器では、側面に貼付したり、タブ部分に埋め込む等の方法にていずれも各容器一個ごとに装着することができる。また、装着部材を用いて陳列する場合は、装着部材40が筒状のものは、その内部あるいは側面に、必要な場合は、標記23との位置関係を考慮に入れた位置に合わせ組み込むことができる。
リーダ・ライタは、取出し口付近の一定位置に置けば、本システムを使用した場合、ほぼ定位置に容器20の標記23が向くので標記と一定関係部分にICタグを設置することで、リーダ・ライタを固定設定することができオンラインで容器の動きが手作業をすることなく把握できる。
【0039】
リーダ・ライタからのデータ情報は、ホストコンピューターにて一括処理・管理され販売・在庫等の管理データとして活用される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態に係る陳列装置の概略構成を示した図である。
【図2】本実施形態における容器を説明するための図である。
【図3】容器の他の形態を示したものである。
【図4】容器および装着部材を説明する図である。
【図5】第2の実施形態における容器を示した図である。
【図6】摩擦力が異なる領域を塗装により形成した例を示した図である。
【図7】容器および装着部材を説明する図である。
【図8】装着部材の他の形態を示した図である。
【符号の説明】
【0041】
20…容器、21…底部、22…側部、23…識別標記、40…装着部材、41…第1筒
状部、42…蓋部、211…環状突出部、211a…第1の領域、211b…第2の領域
、212…錘、S…シール、T…テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面と接触する接触部を有した底部と、
前記底部の上方に設けられ、所定箇所に他の商品と識別するための識別標記が付された
側部と、を備え、
前記底部の前記接触部は、第1の摩擦係数を有する第1の領域と、前記識別標記が設け
られている側とは反対側に設けられ当該第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数を有
する第2の領域と、を有することを特徴とする飲料用容器。
【請求項2】
前記第1の領域および前記第2の領域は、当該第1の領域および当該第2の領域の少な
くとも一方に、摩擦係数を異ならせる物質が塗布されることで形成されていることを特徴
とする請求項1記載の飲料用容器。
【請求項3】
前記第1の領域および前記第2の領域は、当該第1の領域および当該第2の領域の少な
くとも一方に、摩擦係数を異ならせるシール又はテープが貼付されることで形成されてい
ることを特徴とする請求項1記載の飲料用容器。
【請求項4】
前記第1の領域および前記第2の領域は、少なくとも当該第2の領域に凹凸部が付与さ
れることで形成されていることを特徴とする請求項1記載の飲料用容器。
【請求項5】
底部と、
前記底部の上部に配置され、他の商品と識別するための識別標記が付された側部と、を
有し、
前記底部が水平面に載置された際の重心が前記識別標記側に位置するように構成された
飲料用容器。
【請求項6】
前記飲料用容器は、部材が別途取り付けられることで、前記重心が前記識別標記側に位
置するように構成されていることを特徴とする請求項5記載の飲料用容器。
【請求項7】
前記部材は、前記底部を構成する材料および前記側部を構成する材料よりも比重が大き
いことを特徴とする請求項6記載の飲料用容器。
【請求項8】
前記部材は、前記飲料用容器の前記底部に取り付けられていることを特徴とする請求項
6又は7に記載の飲料用容器。
【請求項9】
陳列装置に設けられる傾斜面を下方に向かってスライドし陳列される飲料用容器であっ
て、
底部と、他の商品と識別するための識別標記が付される側部とを有し、飲料が注がれる
飲料用容器本体と、
前記底部が前記傾斜面に対して接触した状態にて前記飲料用容器本体が当該傾斜面を前
記下方に向かってスライドする際に、前記識別標記が当該下方側を向くように当該飲料用
容器本体を回転させる回転手段と、
を含む飲料用容器。
【請求項10】
前記回転手段は、前記飲料用容器本体に取り付けられ、当該飲料用容器本体の重心を前
記識別標記が付された側に設定する設定部材により構成されていることを特徴とする請求
項9記載の飲料用容器。
【請求項11】
前記設定部材は、前記飲料用容器本体を構成する材料よりも比重が大きいことを特徴と
する請求項10記載の飲料用容器。
【請求項12】
前記設定部材は、前記飲料用容器本体の前記底部に取り付けられていることを特徴とす
る請求項10又は11に記載の飲料用容器。
【請求項13】
前記底部は、前記傾斜面と接触する箇所に摩擦係数が互いに異なる第1の領域および第
2の領域を有し、
前記回転手段は、前記底部が有する前記第1の領域および前記第2の領域により構成さ
れていることを特徴とする請求項9記載の飲料用容器。
【請求項14】
底部と、当該底部の上部に配置され他の商品と識別するための識別標記が付された側部
と、を有した飲料容器に装着される装着部材であって、
前記飲料容器と所定の位置関係を有した状態で当該飲料容器に装着された場合に、当該
飲料容器の重心を前記識別標記が付された側に変位させる装着部材。
【請求項15】
前記装着部材は、前記飲料容器の上部側又は前記底部側に被せられる筒状の本体部と、
当該本体部の重心を当該本体部の軸心から変位させる変位部材とから少なくとも構成され
ていることを特徴とする請求項14記載の装着部材。
【請求項16】
前記変位部材は、筒状に形成された前記本体部の内側に設けられていることを特徴とす
る請求項15記載の装着部材。
【請求項17】
底部と、当該底部の上部に配置され他の商品と識別するための識別標記が付された側部
と、を有した飲料容器の当該底部側に装着される装着部材であって、
前記底部側に装着される側とは反対側に、第1の摩擦係数を有する第1の領域と、当該
第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数を有する第2の領域と、を有する装着部材。
【請求項18】
ICタグを装着したことを特徴とする請求項1乃至13記載の容器。
【請求項19】
ICタグを装着したことを特徴とする請求項14乃至17記載の装着部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−143636(P2010−143636A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−326290(P2008−326290)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【出願人】(000186854)昭和アルミニウム缶株式会社 (155)
【Fターム(参考)】