説明

飲料着色用カロテノイド粉末状組成物

本発明は、βカロテン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、シトラナキサンチン、リコペン及びルテインからなる群より選択される少なくとも1種のカロテノイドの粉末状組成物、それらの粉末状組成物の製造方法及びそれらの粉末状組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、βカロテン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、シトラナキサンチン、リコペン及びルテインからなる群より選択される少なくとも1種のカロテノイド粉末状組成物、それらの粉末状組成物の製造方法及びそれらの粉末状組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カロテノイドの物質の種類は、二つの主な群、即ちカロテン及びキサントフィルに分類される。例えば、βカロテン又はリコペンのような純粋なポリエン炭化水素であるカロテンとは異なり、キサントフィルには、ヒドロキシル基、エポキシ基及び/又はカルボニル基のような酸素官能基も存在する。後者の群の典型的な代表例は、特にアスタキサンチン、カンタキサンチン、ルテイン及びゼアキサンチンである。
【0003】
リコペンは、トマトやローズヒップを赤色にしている色素である。ルテインは、特にマリーゴールド(マンジュギク)の花弁に見られ、それから採取することができる橙黄色の色素である。
【0004】
合成により得ることができるだけでなく、天然源からも単離できるこれらのポリエンは、食品及び飼料の産業及び製薬分野にとって重要な色素及び活性化合物であり、アスタキサンチンも同様に、サケにおいてプロビタミンA活性を有する活性化合物である。
【0005】
カロテン及びキサントフィルの双方は水に不溶性であるが、脂肪及び油中における溶解度もごく低いことが知られている。この限られた溶解度及び酸化に対する高い感受性のため、上記物質は粗結晶の形態において保存中に安定していなく、また、着色結果が不良となるので、食品及び飼料を着色する際に、化学合成により得られる比較的粗粒の生成物を直接使用することができない。カロテノイドの実用化に不利となるこれらの影響は、特に水性媒質において現れる。
【0006】
食品を直接着色する際の着色率は、組成物中で活性物質が微粉化した形態で存在し、場合により、活性物質が保護コロイドによって酸化から保護されている、特別に製造した組成物を用いることによってのみ改善することができる。また、飼料においてこれらの組成物を使用することによって、カロテノイド、即ちカロテン又はキサントフィルの生体利用性はより高くなり、それによって、例えば卵黄又は魚類の染色において良好な着色効果が間接的に得られる。
【0007】
着色率を改善し、吸収性及び生体利用性を上昇させることに関して種々の方法が報告されており、それらの全ては、活性物質の結晶サイズを減少させ、粒径を10μm未満にすることを目的としている。
【0008】
多数の方法、特にChimia 21, 329 (1967)、国際公開第91/06292号及び国際公開第94/19411号に記載された方法では、コロイドミルを用いてカロテノイドを粉砕することによって2〜10μmの粒径が得られる。
【0009】
国際公開第2007/003543号には、スクロース又はグルコース及び加工デンプンの存在下でβカロテンを破砕することによって、懸濁物として約0.6μmの粒径にβカロテンを破砕した後、カロテノイドを含む懸濁物を乾燥粉末に変換する粉砕方法が記載されている。こうして得られた粉末では、マルチビタミン錠剤におけるβカロテンの良好な貯蔵安定性が得られる。
【0010】
またこの粉砕方法の他に、例えば、独国特許出願公開第1211911号明細書又は欧州特許出願公開第0410236号明細書に記載されているような、乳化/噴霧乾燥を組み合わせた多数の方法が存在する。
【0011】
欧州特許第0065193号明細書によれば、微粉化したカロテノイド粉末状調製物は、温度を上昇させ、場合により圧力を上昇させてカロテノイドを揮発性の水混和性有機溶剤に溶解させ、保護コロイドの水溶液と混合することによってカロテノイドを析出させ、次いで噴霧乾燥することによって製造する。
【0012】
微粉化したカロテノイド粉末状調製物を製造するための同様な方法は、欧州特許出願公開第0937412号明細書に記載されており、水非混和性溶剤が用いられる。
【0013】
米国特許第6,235,315号明細書には、保護コロイドとして魚類ゼラチン及び可塑剤としてグルコースを含む、貯蔵安定性を有するリコペン粉末状組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】国際公開第91/06292号
【特許文献2】国際公開第94/19411号
【特許文献3】国際公開第2007/003543号
【特許文献4】欧州特許出願公開第0410236号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第1211911号明細書
【特許文献6】欧州特許第0065193号明細書
【特許文献7】欧州特許出願公開第0937412号明細書
【特許文献8】米国特許第6,235,315号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Chimia 21, 329 (1967)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前記先行技術文献にはカロテノイド組成物が記載されているが、飲料産業では、改善した組成物、特に、水、特に冷水に容易に溶解し、高硬度の飲料で利用することもでき、出来上がった飲料において高い色強度を有し、又は安定なエマルジョンを形成し、さらにゼラチンを含まないリコペン又はルテインの粉末状組成物が引き続き求められている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の目的は、以下を含む粉末状組成物によって達成される:
1〜20重量%の、βカロテン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、シトラナキサンチン、リコペン及びルテインからなる群より選択される少なくとも1種のカロテノイド、
3〜60重量%の加工デンプン、
3〜60重量%のグルコース、
0.5〜10重量%の少なくとも1種の酸化防止剤、及び
0.5〜6.5重量%の残留水分、
ここで、重量パーセントは、残留水分を依然として含む乾燥粉末に関連し、カロテノイドと加工デンプンの重量比は1:3〜1:7、好ましくは1:3〜1:5である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の粉末状組成物は、1〜20重量%、好ましくは5〜15重量%、特に8〜13重量%の、βカロテン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、シトラナキサンチン、リコペン及びルテイン、好ましくは、リコペン及びルテインからなる群より選択されるカロテノイドを含む。特に、カロテノイドはリコペンである。
【0019】
また、本発明の粉末状組成物は、3〜60重量%、好ましくは20〜55重量%、特に好ましくは30〜50重量%、とりわけ35〜45重量%の加工デンプンを含む。
【0020】
加工デンプンは、化学的又は酵素的に製造した、デンプンの加工製品を意味する。その加工製品は、デンプンエーテル、デンプンエステル又はリン酸デンプンでありうる。この群の代表的なものとして、デンプンエステル、特にオクテニルコハク酸デンプン、例えば、National Starch 社製のCapsul(登録商標)(オクテニルコハク酸ナトリウムデンプン)又はPurity(登録商標)Gum 2000(オクテニルコハク酸ナトリウムデンプン)、特にオクテニルコハク酸ナトリウムデンプン、例えばPurity(登録商標)Gum 2000が好ましい。
【0021】
本発明の粉末状組成物は、3〜60重量%、好ましくは20〜55重量%、特に好ましくは30〜50重量%、とりわけ35〜45重量%のグルコースを含む。
【0022】
また、本発明の粉末状組成物は、0.5〜10重量%、好ましくは0.7〜5重量%、特に好ましくは0.8〜2.5重量%、とりわけて好ましくは1〜2重量%の少なくとも1種の酸化防止剤を含む。酸化防止剤は例えば、特にαトコフェロール、t-ブチル化ヒドロキシトルエン、t-ブチル化ヒドロキシアニソール、クエン酸、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル若しくはエトキシクイン又はこれらの混合物が適している。好ましい酸化防止剤は、αトコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル又はこれらの混合物である。とりわけ、αトコフェロールが酸化防止剤として好ましい。
【0023】
また、本発明の粉末状組成物は、0.5〜6.5重量%の残留水分を含む。
【0024】
微生物分解に対する粉末状組成物の安定性を増加させるためには、組成物安定化剤、例えば4-ヒドロキシ安息香酸メチル、4-ヒドロキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸もしくは安息香酸又はそれらの塩を添加することが適切である。
【0025】
本発明の粉末状組成物は、場合により、好ましくは分散物の製造の際のような限られた場合で用いる乳化剤も含むことができる。乳化剤は、例えばパルミチン酸アスコルビル、脂肪酸のポリグリセロールエステル、例えばポリグリセロール-3ポリリシノール酸エステル(PGPR 90)、脂肪酸のソルビタンエステル、例えばモノステアリン酸ソルビタン(span 60)、PEG(20)モノオレイン酸ソルビタン、脂肪酸のプロピレングリコールエステル又はリン脂質、例えばレシチンである。
【0026】
加工デンプンの他に、本発明の水性懸濁物及びそれから製造される粉末状組成物はさらに、保護コロイドを含むことができる。例えば以下の物質が考慮される:
ウシ、ブタ又は魚のゼラチン、特に酸又は塩基下で分解し、0〜250のブルーム数を有するゼラチン、とりわけて好ましくはゼラチンA100、A200、A240、B100及びB200、並びにブルーム数0及び分子量15000〜25000Dを有する、酵素で分解された低分子量ゼラチン種、例えば、 Collagel A及びGelitasol P(Stoess社、Eberbach)、並びにこれらのゼラチン種の混合物。
【0027】
デンプン、デキストリン、ペクチン、アラビアゴム、リグニンスルホン酸塩、キトサン、ポリスチレンスルホン酸塩、アルギン酸塩、カゼイン、カゼイン酸塩、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース又はこれらの保護コロイドの混合物。
【0028】
植物性タンパク質は、例えばダイズ、コメ及び/又はコムギタンパク質であり、これらの植物性タンパク質は、部分分解した形態又は分解していない形態でも存在しうる。
【0029】
本発明の粉末状組成物において、加工デンプンとグルコースの重量比は、好ましくは4:1〜1:3、特に1.5:1〜1:1.5である。
【0030】
上記の本発明の粉末状組成物は、調製の際のカロテノイドの含有量が8〜13重量%、カロテノイドと加工デンプンの重量比が1:3〜1:5、及び加工デンプンとグルコースの重量比が1.5:1〜1:1.5であることが好ましい。
【0031】
本発明の粉末状組成物において、カロテノイドはナノ微粒子として存在することが好ましい。
【0032】
ナノ微粒子は、Fraunhofer回折により決定される平均粒径D[4.3]が0.02〜100μm、好ましくは0.05〜50μm、特に好ましくは0.05〜20μm、とりわけて好ましくは0.05〜5μm、特に0.05〜1μmである粒子を意味する。D[4.3]という用語は、体積加重平均直径を表す (Handbook for Malvern Mastersizer S, Malvern Instruments Ltd., UKを参照のこと)。
【0033】
本発明の粉末状組成物中のカロテノイドは、0.07〜0.7μmの平均粒径D[4.3]を有することが好ましい。
【0034】
本発明はさらに、以下を含む上記の粉末状組成物を製造する方法に関する:
1〜20重量%の、βカロテン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、シトラナキサンチン、リコペン及びルテインからなる群より選択される少なくとも1種のカロテノイド、
3〜60重量%の加工デンプン、
3〜60重量%のグルコース、
0.5〜10重量%の少なくとも1種の酸化防止剤、及び
0.5〜6.5重量%の残留水分、
ここで、重量パーセントは残留水分を依然として含む乾燥粉末に関連し、カロテノイドと加工デンプンの重量比は1:3〜1:7であり、以下の工程を含む:
a1)水混和性有機溶剤又は水及び水混和性有機溶剤の混合液に30℃より高い温度でカロテノイドを溶解させる工程、又は
a2)水非混和性有機溶剤にカロテノイドを溶解させる工程、
b) a1)又はa2)により得られた溶液と、グルコース及び加工デンプンを混合した分子分散水溶液(aqueous molecularly disperse solution)又はコロイド分散水溶液とを混合する工程であって、カロテノイドの疎水性相がナノ分散相として形成される、前記工程、
c)水及び場合により追加で用いた溶剤の大部分を分離し、乾燥することによって、その生成した分散液を乾燥粉末に変換する工程。
【0035】
構成成分であるカロテノイド、加工デンプン、グルコース及び酸化防止剤並びにそれらの使用量に関する好ましい実施態様は、前記説明において理解することができる。
【0036】
本発明の方法の工程a1)において用いる水混和性溶剤は、特に、炭素、水素及び酸素のみを含み、水混和性、熱安定性である揮発性の溶剤、例えばアルコール、エーテル、エステル、ケトン又はアセタールである。便宜的には、少なくとも10%の水混和性であって、200℃未満の沸点を有し、及び/又は10個未満の炭素を有する溶剤が用いられる。特に、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、1,2-ブタンジオール 1-メチルエーテル(1-メトキシブタン-2-オール)、1,2-プロパンジオール 1-n-プロピルエーテル(1-プロポキシプロパン-2-オール)、テトラヒドロフラン又はアセトンが好ましい。
【0037】
「水非混和性有機溶剤」という用語は、本発明の目的として、大気圧下で10%未満の水への溶解度を有する有機溶剤である。考えられる溶剤は、特に、ハロゲン化脂肪族炭化水素、例えば塩化メチレン、クロロホルム及び四塩化炭素、カルボン酸エステル、例えば炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸プロピレン、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル又は酢酸イソプロピル、並びにエーテル、例えばメチルtert-ブチルエーテルである。水非混和性有機溶剤は、炭酸ジメチル、炭酸プロピレン、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル及びメチルtert-ブチルエーテルからなる群より選択される化合物が好ましい。
【0038】
本発明の方法では、工程a1)において、水混和性有機溶剤又は水及び水混和性有機溶剤の混合液にカロテノイドを、30℃を超える温度、好ましくは50℃〜240℃、特に100〜200℃、特に好ましくは140℃〜180℃の温度で、場合により加圧下で溶解させて行うことが好ましい。
【0039】
高温の作用は、一定の状況下でカロテノイド(特にリコペン又はルテイン)の所望される高い全トランス異性体率を減少させることがあるので、カロテノイド(1種又は数種)の溶解はできるだけ迅速に、例えば数秒、例えば0.1〜10秒、特に好ましくは1秒未満で行われる。分子分散溶液を迅速に製造するためには、例えば20バール〜80バール、好ましくは30〜60バールの圧力に上昇させることが有利となりうる。
【0040】
続いて工程b)では、得られた分子分散溶液と、場合により冷却した、グルコース及び加工デンプンを混合した分子分散水溶液又はコロイド分散水溶液とを混合するが、その際、カロテノイドの疎水性相がナノ分散相として形成される。工程b)では、約35〜80℃の混合温度を設定することが好ましい。
【0041】
工程a1)の溶剤成分は、この場合水相中に移行し、カロテノイド(1種又は数種)の疎水性相はナノ分散相として形成される。
【0042】
上記分散に関する方法及び装置のより詳細な説明については、現在のところ欧州特許第0 065 193号明細書が参照される。
【0043】
本発明の方法において、工程c)では、水及び場合により追加で用いた溶剤の大部分を分離し、乾燥することによって、生成した分散液を乾燥粉末に変換する。
【0044】
乾燥粉末への変換は、特に、噴霧乾燥、噴霧冷却、改変した噴霧乾燥、凍結乾燥又は流動床における乾燥によって、場合によりコーティング剤の存在下で行うことができる。コーティング剤は、特に、コーンスターチ、シリカその他リン酸三カルシウムが適している。
【0045】
工程c)では、生成した分散液を、水及び追加で含まれる任意の溶剤の大部分を蒸留により分離することによって、約20〜35重量%の固形分濃度に濃縮し、濃縮した分散液を噴霧乾燥機中で乾燥粉末に変換することが好ましい。
【0046】
本発明の方法の工程c)では、統合型流動床及び/又はダウンストリーム型外部流動床(downstream external fluidized bed)を有する噴霧乾燥機中で乾燥を行うことが特に好ましい。この場合、凝集粒子を有する粉末状組成物が形成されることが好ましい。こうして得られた凝集粒子は、使用する装置に応じて、タマネギ状、ラズベリー状、詰まった塊状又は緩い塊状の構造を有することが好ましい。これらの凝集構造の種類、得られた粉末特性及び凝集挙動については、例えば、Ejnar Refstrupによる“Zeitschrift fur Lebensmitteltechnologie”, ZFL 43 (1992), 10, pages 576 to 582中の“Recent Advances in Agglomeration during Spray Drying”に記載されている。本発明の粉末状組成物の凝集粒子は、特に好ましくは、ラズベリー状又は詰まった塊状もしくは緩い塊状、とりわけ詰まった塊状又は緩い塊状の構造を有する。
【0047】
本発明の乾燥粉末は、活性化合物が1μm未満の粒径で一様に微細分布するように、水性系において確実な方法で再分散し得る。この場合、本発明の乾燥粉末は、冷水中で非常に速く再分散し、長時間安定で高濃色の分散物を形成し得ることに留意しうる。
【0048】
本発明の粉末状組成物は、特に、例えば飲料等の食品を着色する際に用いる食品組成物への添加剤として、医薬組成物及び化粧用組成物を製造する手段として、また食品補助調製物、例えばヒト及び動物におけるマルチビタミン調製物の製造のために適している。好ましくは、粉末状組成物は飲料への添加剤として適している。
【0049】
従って、本発明はさらに、動物飼料、食品、食品補助品又は医薬組成物への添加剤、特に飲料への添加剤としての、本発明の上記粉末状組成物の使用に関する。
【0050】
同様に、本発明は、本発明の粉末状組成物を含む、動物飼料、食品、食品補助剤又は医薬組成物、特に飲料に関する。
【0051】
本発明は、以下の実施例によって説明されるが、それによって限定されるものではない。
【実施例1】
【0052】
1.7gのαトコフェロール及び130gのイソプロパノールの溶液に、10 gの結晶性リコペンを懸濁させた。この懸濁液を460 gの熱イソプロパノール(輸送速度2.6 kg/h)に、輸送速度1.5 kg/h、50バールの系圧で混合することで、170℃の溶液を得た。この溶液を、6450 gの水に70.4gのPurity Gum 2000(National Starch社)及び80.4 gグルコースを溶解させた溶液と共に、混合チャンバー中で攪拌して混合した。続いて、このリコペン分散液から真空蒸発機によりイソプロパノールを除去し、分散液を噴霧乾燥によって粉末にした。粉末中のリコペン含有量は10.9%であり、リコペン粒子の平均粒径は307 nmであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む粉末状組成物:
1〜20重量%の、βカロテン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、シトラナキサンチン、リコペン及びルテインからなる群より選択される少なくとも1種のカロテノイド、
3〜60重量%の加工デンプン、
3〜60重量%のグルコース、
0.5〜10重量%の少なくとも1種の酸化防止剤、及び
0.5〜6.5重量%の残留水分、
ここで、重量パーセントは残留水分を依然として含む乾燥粉末に関連し、カロテノイドと加工デンプンの重量比は1:3〜1:7である。
【請求項2】
カロテノイドがリコペンである、請求項1に記載の粉末状組成物。
【請求項3】
加工デンプンがオクテニルコハク酸デンプンである、請求項1又は2に記載の粉末状組成物。
【請求項4】
酸化防止剤がαトコフェロールである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉末状組成物。
【請求項5】
加工デンプンとグルコースの重量比が4:1〜1:3である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉末状組成物。
【請求項6】
組成物中のカロテノイドの含有量が8〜13重量%であり、カロテノイドと加工デンプンの重量比が1:3〜1:5であり、加工デンプンとグルコースの重量比が1.5:1〜1:1.5である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉末状組成物。
【請求項7】
以下を含む粉末状組成物の製造方法:
1〜20重量%の、βカロテン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、シトラナキサンチン、リコペン及びルテインからなる群より選択される少なくとも1種のカロテノイド、
3〜60重量%の加工デンプン、
3〜60重量%のグルコース、
0.5〜10重量%の少なくとも1種の酸化防止剤、及び
0.5〜6.5重量%の残留水分、
ここで、重量パーセントは残留水分を依然として含む乾燥粉末に関連し、カロテノイドと加工デンプンの重量比は1:3〜1:7であって、
以下の工程を含む:
a1)水混和性有機溶剤又は水及び水混和性有機溶剤の混合液に30℃より高い温度でカロテノイドを溶解させる工程、又は
a2)水非混和性有機溶剤にカロテノイドを溶解させる工程、
b) a1)又はa2)により得られた溶液と、グルコース及び加工デンプンを混合した分子分散水溶液又はコロイド分散水溶液とを混合する工程であって、カロテノイドの疎水性相がナノ分散相として形成される、前記工程、
c)水及び必要に応じて追加で用いた溶剤の大部分を分離し、乾燥することによって、生成した分散液を乾燥粉末に変換する工程。
【請求項8】
工程c)において、生成した分散液を、水及び追加で含まれる溶剤の大部分を蒸留により分離することによって約20〜35重量%の固形分濃度に濃縮し、濃縮した分散液を噴霧乾燥機中で乾燥粉末に変換する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程c)における乾燥が、統合型及び/又はダウンストリーム型外部流動床を有する噴霧乾燥機中で行われる、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
動物飼料、食品、食品補助剤又は医薬組成物の添加剤としての、請求項1〜6のいずれか1項に記載の粉末状組成物の使用。
【請求項11】
飲料への添加物としての請求項1〜6のいずれか1項に記載の粉末状組成物の使用。
【請求項12】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の粉末状組成物を含む、動物飼料、食品、食品補助剤又は医薬組成物。
【請求項13】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の粉末状組成物を含む飲料。

【公表番号】特表2011−505125(P2011−505125A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535324(P2010−535324)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065285
【国際公開番号】WO2009/068432
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】