説明

飲料缶

【課題】開口を塞ぐ塞ぎ部材の離脱が起きにくい飲料缶を提供する。
【解決手段】塞ぎ部材300には、円形に形成され容器本体200の上部に形成された開口210を覆うとともに外周縁が容器本体200のカール部に接着される基部310が設けられている。また、基部310の外周縁から外側方向に突出するように設けられ塞ぎ部材300が容器本体200から剥がされる際にユーザにより把持される把持部320が設けられている。また塞ぎ部材300には、基部310の外周縁から外側方向に向かって突出するように設けられ容器本体200の外周面に対向配置されるとともにこの外周面に接着される接着部330が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料缶に関する。
【背景技術】
【0002】
金属缶のフランジカール部にアルミ箔蓋が接着されたアルミ箔シール缶が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平1−126928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飲料缶においては、飲み口となる開口を塞ぐ塞ぎ部材が設けられこの開口が塞がれることがある。ここで、内部の飲料が飲まれる際にはユーザがこの塞ぎ部材を剥がすこととなるが、塞ぎ部材が缶本体から離脱してしまうとこの塞ぎ部材がごみとなって散乱し周辺の環境を汚すおそれがある。
本発明の目的は、開口を塞ぐ塞ぎ部材の離脱が起きにくい飲料缶を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される飲料缶は、筒状に形成され、軸方向における一端部に設けられた環状の縁部の内側に開口が形成され、内部に飲料が収容される缶本体と、前記缶本体の前記一端部に接着され、当該缶本体に形成された前記開口を塞ぐ塞ぎ部材と、を備え、前記塞ぎ部材は、前記缶本体の前記環状の縁部に接着され、当該缶本体に形成された前記開口を覆う覆い片と、前記覆い片の外周縁から突出するように設けられ、当該覆い片が前記缶本体から剥がされる際にユーザにより操作される操作片と、前記覆い片の前記外周縁から突出するように設けられるとともに前記缶本体の外周面に対向するように配置され、且つ、当該外周面に接着された接着片と、を備える飲料缶である。
【0006】
ここで、前記接着片は、前記覆い片を挟み前記操作片が設けられている側とは反対側に設けられていることを特徴とすることができる。
また、前記接着片の根元の幅が当該接着片の先端の幅よりも小さいことを特徴とすることができる。
さらに、前記覆い片は円形に形成され、前記操作片は、円形に形成された前記覆い片の中心を通る仮想直線を挟んで相対する二つの領域のうちの一方の領域側に配置されるとともに、当該覆い片の一端部であって当該仮想直線と直交する方向における一端部に接続され、前記接着片は、前記二つの領域のうちの他方の領域側に配置されるとともに、当該覆い片の他端部であって前記仮想直線と直交する方向における他端部に接続され、前記塞ぎ部材は、前記仮想直線を対称軸として線対称となるように形成されていることを特徴とすることができる。
【0007】
他の観点から捉えると、本発明が適用される飲料缶は、筒状に形成され、軸方向における一端部に設けられた環状の縁部の内側に開口が形成され、内部に飲料が収容される缶本体と、前記缶本体の前記一端部に接着され、当該缶本体に形成された前記開口を塞ぐ塞ぎ部材と、を備え、前記塞ぎ部材は、一端を有するとともに、当該一端から一方向に向かって延びるように設けられ当該一方向における下流側に他端を有し、前記缶本体に形成された前記開口の少なくとも一部を覆うように設けられ、当該他端が位置する側に向かって当該一端が移動するようにユーザにより操作されることで当該開口が露出するようになる覆い片と、前記覆い片の前記他端に接続されるとともに、前記一方向とは反対方向に延びるように設けられ、前記缶本体の前記環状の縁部に接着された接着片と、を備える飲料缶である。
【0008】
ここで、前記接着片は、前記環状の縁部の径方向における一端部から当該環状の縁部の径方向における他端部にかけて設けられていることを特徴とすることができる。
また、前記接着片は、前記環状の縁部の径方向における一端部にて、前記覆い片の前記他端に接続されるとともに、当該環状の縁部の径方向における当該一端部から、当該環状の縁部の径方向における中央部にかけて配置されていることを特徴とすることができる。
さらに、前記接着片は、前記覆い片の脇を通過するように設けられるとともに当該覆い片の縁部に接するように設けられ、当該覆い片の当該縁部に沿うように設けられるとともに当該縁部に接する第1の辺と、当該第1の辺よりも当該縁部から離れた側に位置し当該第1の辺に沿うように設けられた第2の辺と、当該接着片の先端部に位置するとともに当該覆い片の当該縁部とのなす角度が鋭角となるように配置され当該第1の辺と当該第2の辺とを接続する第3の辺と、を備えていることを特徴とすることができる。
また、前記接着片は、前記缶本体の前記環状の縁部に接着されるとともに当該環状の縁部の内側に向かって延びるように配置され、前記覆い片がユーザにより操作されることによって、前記缶本体に形成された前記開口の一部が露出した際、当該開口の他の部分が前記接着片により覆われていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、開口を塞ぐ塞ぎ部材の離脱が起きにくい飲料缶を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態が適用される飲料缶を説明するための図である。
【図2】塞ぎ部材が容器本体に接着される直前の飲料缶の上面図および正面図である。
【図3】塞ぎ部材の変形例を示した図である。
【図4】飲料缶の他の構成例を示した図である。
【図5】飲料缶の他の構成例を示した図である。
【図6】容器本体へ塞ぎ部材を装着する際に用いる装着装置を示したである。
【図7】飲料缶の他の構成例を示した図である。
【図8】容器本体に塞ぎ部材が取り付けられる前の容器本体および塞ぎ部材を示した図である。
【図9】塞ぎ部材の変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態が適用される飲料缶100を説明するための図である。なお同図(A)は塞ぎ部材300が剥がされる前の飲料缶100の上面図および正面図であり、同図(B)は塞ぎ部材300が剥がされた後の飲料缶100の上面図および正面図である。また、図2は、塞ぎ部材300が容器本体200に接着される直前の飲料缶100の上面図および正面図である。なお図2における飲料缶100の正面図では、飲料缶100の上部を断面で表示している。
【0012】
図1(A)に示すように、本実施形態における飲料缶100には、筒状に形成され清涼飲料などの飲料が内部に収容された容器本体(缶本体)200が設けられている。ここで、容器本体200は、上部に(軸方向における一端部に)円形の開口210を有するとともに下部に底部を有している。また、飲料缶100には、容器本体200の上部に位置する環状の縁部に接着され、この環状の縁部の内側に位置する開口210の全体を塞ぐ塞ぎ部材(シール部材)300が設けられている。なお本実施形態では、塞ぎ部材300と容器本体200との接着強度が一定の強度以上となっており、ユーザが意図して剥がそうとしない限り、塞ぎ部材300が容器本体200から剥がれないようになっている。
【0013】
ここで、容器本体200の上記環状の縁部には曲げ加工が施されており、この縁部には、図2に示すように、容器本体200の外側方向に向かって湾曲したカール部220が形成されている。ここで、このようにカール部220が形成されている場合、容器本体200の剛性が増す。また、カール部220を形成した場合、カール部220を形成しない場合に比べ、塞ぎ部材300と容器本体200との接着面積が増加するようになる。
【0014】
ここで本実施形態では、塞ぎ部材300は容器本体200のカール部220に対して接着される。なお、本実施形態では、塞ぎ部材300の裏面にヒートシール剤が予め塗られており、塞ぎ部材300は、いわゆる熱接着により容器本体200に取り付けられる。ここで、容器本体200は、胴部と底部とが一体で形成された2ピース缶とすることもできるし、別体で形成された胴部と底部とを組み付けることで形成することもできる。また、容器本体200の材質も特に限定されず、例えば、アルミニウムなどの金属や、耐水処理が施された紙などを用いることができる。
【0015】
本実施形態における塞ぎ部材300は、図2に示すように、容器本体200に形成された開口210を塞ぐとともに容器本体200のカール部220に接着される基部310を備えている。また塞ぎ部材300は、基部310の縁部311から外側方向に突出するように設けられ塞ぎ部材300が容器本体200から剥がされる際にユーザにより把持される把持部320を有している。さらに本実施形態における塞ぎ部材300には、縁部311の内側に位置しこの縁部311に沿うように設けられた第1スリット351、同じく縁部311の内側に位置しこの縁部311に沿うように設けられた第2スリット352が設けられている。
【0016】
ここで、第1スリット351は、一端351Aおよび他端351Bを有している。ここで第1スリット351のうちの一端351Aは、把持部320が設けられている側に位置し、第1スリット351の他端351Bは、把持部320が設けられている側とは反対側に位置している。さらに、第1スリット351の一端351A側は、把持部320の第1側辺321に連続するように形成されている。付言すると、本実施形態の把持部320は、把持部320の幅方向における両端に第1側辺321と第2側辺322とを有しており、第1スリット351の一端351A側は把持部320の第1側辺321に接続するように設けられている。
【0017】
また、第1スリット351は、基部310の中心を通る直線であって把持部320の中心(幅方向における中心)を通る直線(符号Lに示す直線)を挟んで相対する2つの領域のうちの一方の領域に配置されている。さらに、第1スリット351は、図2の上面図に示すように、容器本体200に形成された開口210と塞ぎ部材300(基部310)の縁部311との間に配置されている。なお、塞ぎ部材300のうち第1スリット351の他端351Bが位置する箇所に対しては円形の打ち抜き加工が施されている。これにより、第1スリット351以外の箇所にて塞ぎ部材300の破断が生じることが抑制されるようになる。
【0018】
また、第2スリット352も、第1スリット351と同様に、一端352Aおよび他端352Bを有している。ここで第2スリット352の一端352Aは、把持部320が設けられている側に位置し、第2スリット352の他端352Bは、把持部320が設けられている側とは反対側に設けられている。さらに、第2スリット352の一端352A側は、把持部320の第2側辺322に連続するように形成されている。また、第2スリット352は、基部310の中心を通る上記直線を挟んで相対する上記2つの領域のうちの他方の領域に配置されている。さらに、第2スリット352も、図2の上面図に示すように、開口210と縁部311との間に配置されている。なお、上記と同様、塞ぎ部材300のうちの第2スリット352の他端352Bが位置する箇所に対しては円形の打ち抜き加工が施されている。
【0019】
ここで本実施形態では、基部310のうち縁部311よりも内側に位置し縁部311に沿うように設けられた環状且つ帯状の領域が、容器本体200のカール部220に対して接着される。付言すると、上記帯状の領域が、容器本体200のカール部220に巻き付くようにこのカール部220に接着される。ここで本実施形態では、このようにカール部220に巻き付くように上記帯状の領域が接着され、また、把持部320の付け根もカール部220に接着されるため、この帯状の領域に接続して設けられ且つこの帯状の領域よりも外側に位置する把持部320が下方に垂れ下がるようになる(図1(A)参照)。
【0020】
ここで、把持部320が垂れ下がらない場合、飲料缶100の搬送時や店頭での陳列時に、把持部320が隣接する飲料缶100などに接触したりし、この把持部320が根元以外で折れ曲がる可能性がある。また、把持部320が垂れ下がらない場合、飲料缶100の搬送時や店頭での陳列時に、手や缶どうしが、把持部320に触れたり、または引っかけるなどして、把持部320に荷重が作用しやすくなり、塞ぎ部材300を剥がそうとする力が塞ぎ部材300に作用しやすくなる。本実施形態のように、把持部320が垂れ下がる場合、根元以外で把持部320が折れ曲がることや、塞ぎ部材300を剥がそうとする力が塞ぎ部材300に作用することが抑制される。
【0021】
ここで、飲料缶100の内部に収容された飲料が飲まれる際には、塞ぎ部材300に設けられた把持部320がユーザにより把持された後、この把持部320が上方に引き上げられる。なお、本実施形態では、容器本体200の外周面と把持部320との間に間隙が形成されており、付言すると、把持部320の先端部側が容器本体200の外周面に接着されておらず、把持部320の把持が行いやすくなっている。
【0022】
把持部320が上方に引き上げられると、第1スリット351および第2スリット352において塞ぎ部材300の破断が起こり、塞ぎ部材300のうち第1スリット351および第2スリット352よりも内側に位置する部位(以下、「内側部位」と称することがある)が上方に引き上げられる。そして、この引き上げがなされると、図1(B)に示すように、容器本体200の開口210が現れるようになる。
【0023】
付言すると、本実施形態にて塞ぎ部材300が剥がされる際には、覆い片の一例としての上記内側部位の一端(図2中左端)がこの内側部位の他端(図2中右端)に近づくようにユーザによって操作される。さらに説明すると、内側部位は、把持部320が設けられている側に一端を有するとともに、この一端から図中右方向に向かって延びるように設けられ、そしてこの右方向における下流側に他端を有している。塞ぎ部材300が剥がされる際には、内側部位のこの一端が持ち上げられるとともにこの一端が上記他端に近づくように、ユーザによる操作が行われる。これにより、第1スリット351および第2スリット352により囲まれた領域に開口210が現れるようになる。
【0024】
ここで、本実施形態では、容器本体200の開口210が現れた後も、上述の帯状領域の一部(接着片の一例)と容器本体200との接着が維持され、塞ぎ部材300が容器本体200に固定されたままとなる。付言すると、容器本体200の開口210が現れた後も、内側部位との接続部から図中左方向に向かって延びるように設けられた帯状領域の一部と、容器本体200との接着が維持され、塞ぎ部材300が容器本体200に固定されたままとなる。
【0025】
さらに説明すると、本実施形態では、容器本体200の開口210が現れた後、塞ぎ部材300のうちの第1スリット351よりも外側に位置する部位(以下、「第1外側部位」と称する場合がある)、および、塞ぎ部材300のうちの第2スリット352よりも外側に位置する部位(以下、「第2外側部位」と称する場合がある)が、容器本体200のカール部220に張り付いたままの状態となる。このため、本実施形態では、塞ぎ部材300がごみとなって散乱することが防止される。
【0026】
なお、本実施形態では、容器本体200の開口210が現れた際、ユーザの操作力(引っ張り力)が内側部位を介して第1外側部位および第2外側部位に作用する。具体的には、図1(B)において、図中右方向(図中の矢印1C参照)に向けて第1外側部位および第2外側部位を引っ張る力が第1外側部位および第2外側部位に作用する。ところで、この力は、第1外側部位、第2外側部位の一端部(図中右端部、符号1E参照)を他端部(図中左端部、符号1F参照)に向けて移動させる力(第1外側部位、第2外側部位を剥がそうとする力、矢印1Dに示す方向に作用する力)ではなく、一端部を他端部から遠ざけようとする力となる。さらに説明すると、本実施形態では、内側部位が引っ張られる方向(ユーザによる操作方向)とは反対方向(矢印1K参照)に向かって延びるように第1外側部位、第2外側部位が設けられている。このため第1外側部位、第2外側部位については容器本体200から剥がれにくくなっている。
【0027】
また、本実施形態では、上記内側部位が、容器本体200から剥がされるようになるため、開口210を露出させる際の塞ぎ部材300の操作荷重が小さくなる。付言すると、本実施形態では、塞ぎ部材300のうちの容器本体200に接着されている全ての部分を剥がす必要がなくなるために、塞ぎ部材300の操作荷重が小さくなる。より具体的に説明すると、カール部220に接着された上記帯状の領域の一部を剥がすこととなるために、塞ぎ部材300を剥がす際の操作荷重が小さくなる。
【0028】
なお、ユーザにもよるが、本実施形態における構成では、内部の飲料がユーザにより飲まれる際に把持部320が下方へ引っ張られ、図1(B)に示すように、塞ぎ部材300は折り曲げられる。これにより、容器本体200の開口210が塞ぎ部材300により再度覆われることが起きにくくなる。
【0029】
なお、上記では説明を省略したが、塞ぎ部材300は樹脂層および金属層が積層された積層構造となっている。また本実施形態では、塞ぎ部材300に含まれる金属層がアルミニウムにより形成されている。さらに本実施形態では、容器本体200もアルミニウムにより形成されている。ここで本実施形態のように、容器本体200を形成している材料と塞ぎ部材300に含まれる金属層を形成する材料が同じである場合、容器本体200と塞ぎ部材300とを分離することなく、飲料缶100を廃棄することができるようになる。付言すると、再利用のための分別を行うことなく飲料缶100を廃棄することができるようになる。
【0030】
なお、容器本体200に形成された開口210を、タブを有した金属製の缶蓋を用いて塞ぐ態様もあるが、この場合、本実施形態のような塞ぎ部材300に比べ、使用する材料が多くなる。一方で、本実施形態の構成では、缶蓋に比べ厚みが小さくなり、使用する材料が少なくて済む。そしてこの場合、環境への負荷が小さくなる。また本実施形態の塞ぎ部材300は、把持部320が設けられている部分が突出するものの塞ぎ部材300はほぼ円形となる(図2の上面図参照)。付言すると、本実施形態の塞ぎ部材300は外形が異形になりにくい。このため、原反(基材)から塞ぎ部材300を切り出す場合に端材が出にくくなり環境への負荷が小さくなる。
【0031】
なお、上記では、第1スリット351および第2スリット352が、塞ぎ部材300の厚み方向において塞ぎ部材300を貫通した状態で設けられた場合を一例に説明したが、このように貫通した状態で形成されていると、塞ぎ部材300を容器本体200に貼り付ける際に塞ぎ部材300の型崩れが起きる可能性がある。このため、第1スリット351および第2スリット352は、接続部と非接続部が交互に配置されたミシン目状に形成することもできる。また、第1スリット351および第2スリット352は、塞ぎ部材300を貫通した状態で設けず溝状に形成することもできる。
【0032】
図3は、塞ぎ部材300の変形例を示した図である。
上記にて説明した塞ぎ部材300では、塞ぎ部材300のうちの第1スリット351よりも外側に位置する部位(第1外側部位)が、把持部320が設けられている一端部側からこの一端部側とは反対側の他端部側にかけて設けられていた。また、第2スリット352よりも外側に位置する部位(第2外側部位)についても、塞ぎ部材300の一端部側から他端部側にかけて設けられていた。付言すると、開口210を取り囲む容器本体200の環状の縁部のうちの、径方向における一端部から他端部にかけて設けられていた。
【0033】
ところで、このような態様に限られず、例えば図3(A)に示すように、第1外側部位および第2外側部位の長さを小さくすることができる。より具体的には、塞ぎ部材300の一端部側から他端部側にかけて第1外側部位および第2外側部位を設けるのではなく、同図(A)に示すように、塞ぎ部材300の一端部と他端部との間に位置する中間箇所から塞ぎ部材300の他端部にかけて、第1外側部位および第2外側部位を設けることができる。付言すると、開口210(図2参照)を取り囲む容器本体200の環状の縁部のうちの、径方向における中央部から他端部にかけて設けることができる。
【0034】
図1、図2にて説明した実施形態の方が図3にて示す実施形態よりも、容器本体200と塞ぎ部材300との接着強度は増すが、必要以上に接着強度を大きくする必要もない。接着強度を一定の強度以上で確保できる場合には、本実施形態のように、容器本体200と塞ぎ部材300との接着面積を減らすことができる。
【0035】
また本実施形態の構成の場合、ユーザが内部の飲料を飲む際にユーザの口が接する箇所から外れるように第1外側部位および第2外側部位が設けられることとなり、ユーザが内部の飲料を飲む際に、第1外側部位および第2外側部位に対してユーザの口が触れにくくなる。このため本実施形態では、ユーザは、内部の飲料をより飲みやすくなる。付言すると、ユーザは、違和感をあまり感じることなく内部の飲料を飲むことができるようになる。なお、本実施形態では、第1外側部位、第2外側部位の長さを図1、図2にて示した長さの半分としたが、半分に限らず、第1外側部位、第2外側部位の長さは、接着強度などに応じて変更することができる。
【0036】
また、図3(B)に示すように、第1外側部位の端部(図中左端部)と基部310との間、および、第2外側部位の端部と基部310との間にくさび状の領域を設けることもできる。詳細に説明すると、同図(B)では、第1外側部位の端部に位置する辺315を、同図(B)のように、円形に形成された基部310の径方向に沿うように配置せず、径方向に対して傾斜するように配置している。さらに説明すると、同図(B)では、辺315を傾斜させ、この辺315が基部310の縁部311に対峙(対向)するようにしている。
【0037】
さらに説明すると、本実施形態では、第1外側部位が、基部310の脇を通過するように設けられるとともに基部310の縁部311に接するように設けられている。また、第1外側部位には、基部310の縁部311に沿うように設けられるとともにこの縁部311に接する第1の辺371、この第1の辺371よりも縁部311から離れた側に位置し且つ第1の辺371に沿うように設けられた第2の辺372が設けられている。また本実施形態では、第1の辺371と第2の辺372とが、第3の辺の一例としての辺315により接続された構成となっている。そして本実施形態では、この辺315と縁部311とのなす角度が鋭角となるように辺315が配置されている。なお、第2外側部位における辺316も同様であり、この辺316と基部310の縁部311とのなす角度が鋭角となるように辺316は形成されている。
【0038】
ここで第1スリット351、第2スリット352により囲まれた内側部位を上方に引き上げた際に、第1外側部位および第2外側部位がこの内側部位に付随して移動してしまうと、塞ぎ部材300の全体が剥がれてしまう。上記のように、第1外側部位の先端部に位置する辺315および第2外側部位の先端部に位置する辺316と、基部310の縁部311とのなす角度を鋭角とした場合、第1外側部位と内側部位との境界での塞ぎ部材300の分断、および、第2外側部位と内側部位との境界での塞ぎ部材300の分断がより確実に起こるようになる。そして場合は、内側部位とともに第1外側部位および第2外側部位が容器本体200から剥がれることが起きにくくなる。
【0039】
図4は、飲料缶100の他の構成例を示した図である。なお同図(A)は、塞ぎ部材300が剥がされる前の飲料缶100の上面図および正面図であり、同図(B)は、塞ぎ部材300が剥がされた後の飲料缶100の上面図および正面図であり、同図(C)は塞ぎ部材300が容器本体200に接着される直前の飲料缶100を上方から眺めた場合の図である。
【0040】
上記にて説明した実施形態では、塞ぎ部材300における基部310の縁部311に沿うように第1スリット351および第2スリット352を形成した。付言すると、上記の実施形態では、第1スリット351および第2スリット352を曲線で形成した。一方、本実施形態では、第1スリット351および第2スリット352を直線状に形成している。付言すると、本実施形態では、2本の第1スリット351および第2スリット352を略平行に配置している。
【0041】
また本実施形態では、上記と同様、塞ぎ部材300のうちの把持部320が設けられた一端部側からこの把持部320が設けられている側とは反対側である他端部側にかけて、第1スリット351および第2スリット352を形成している。また上記と同様、第1スリット351は、一端部351A側が把持部320の第1側辺321に接続するように設けられ、第2スリット352は、一端部352A側が把持部320の第2側辺322に接続するように設けられている。なお、第1スリット351および第2スリット352を通じての内部の飲料の漏れ出しを防ぐため、本実施形態における第1スリット351および第2スリット352は、塞ぎ部材300を貫通した状態で設けず溝状に形成している。
【0042】
ここで、本実施形態では、上記と同様、把持部320がユーザによって把持され内側部位が上方へ移動するように把持部320が持ち上げられることで、この内側部位が、容器本体200から剥がれるようになる。これにより、同図(B)に示すように、飲料缶100の上部には、略矩形状の開口110が形成されるようになる。
【0043】
付言すると、本実施形態では、容器本体200の上部に形成された開口210の全てが現れるようになるではなく、塞ぎ部材300の一部が剥がされることで、開口210の一部が現れるようになる。更に説明すると、本実施形態では、第1スリット351よりも外側に位置する第1外側部位および第2スリット352よりも外側に位置する第2外側部位が、容器本体200の環状の縁部に接着されるのみではなく、第1外側部位および第2外側部位が、この環状の縁部の内側に向かって延びるようになっている。そして、本実施形態では、塞ぎ部材300がユーザにより操作され開口210の一部が現れた際に、開口210の他の部分が、この第1外側部位および第2外側部位により覆われるようになっている。
【0044】
ここで、容器本体200に形成された開口210の大きさにもよるが、開口210の全てが現れるようになると、ユーザの口と開口210の縁部との間に大きな隙間が生じるようになる。そしてこのような大きな間隙が生じると、間隙が小さい場合に比べ、内部の飲料がこぼれやすくなる。本実施形態のように、開口210の一部が現れ開口210の他の部分が塞ぎ部材300により覆われる場合、内部の飲料がこぼれにくくなる。
【0045】
また本実施形態のように、容器本体200の上記環状の縁部の内側の全てが開口210となっている場合、塞ぎ部材300を剥がす際の飲料缶100の揺れによって内部の飲料がこぼれやくなる。ここで本実施形態の構成の場合は、第1外側部位および第2外側部位によって開口210が部分的に覆われるようになるため、内部の飲料がこぼれにくくなる。なお、本実施形態でも、上記と同様、塞ぎ部材300のうちの容器本体200に接着されている全ての部分を剥がす必要がなくなるため、塞ぎ部材300の操作荷重は小さくなる。
【0046】
図5は、飲料缶100の他の構成例を示した図である。
図5(A)に示す飲料缶100の塞ぎ部材300では、塞ぎ部材300の他端部側にて、第1スリット351と第2スリット352との離間距離を、塞ぎ部材300の一端部側から他端部側に向かうに従い拡げている。付言すると、本実施形態では、第1スリット351および第2スリット352のうち、塞ぎ部材300の一端部側に位置する部位については、上記と同様に、直線状且つ互いに平行となるように配置している。その一方で、第1スリット351および第2スリット352のうち、塞ぎ部材300の他端部側に位置する部位については、他端部側に向かって第1スリット351および第2スリット352が進行するに従い第1スリット351と第2スリット352との離間距離が次第に大きくなっている。
【0047】
また、図5(B)では、塞ぎ部材300の一端部側にて、第1スリット351と第2スリット352との離間距離を拡げている。また、この一端部側では、第1スリット351と第2スリット352との離間距離を、塞ぎ部材300の一端部側から他端部側に向かうに従い次第に狭めるようにしている。付言すると、本実施形態では、第1スリット351および第2スリット352のうち、塞ぎ部材300の他端部側に位置する部位については、上記と同様に、直線状且つ互いに平行となるように形成している。その一方で、第1スリット351および第2スリット352のうち、塞ぎ部材300の一端部側に位置する部位については、その離間距離が上記他端部側に向かって進行するに従い次第に小さくなっている。
【0048】
ここで図5(A)に示す態様では、ユーザの口が接する部分において(把持部320が位置する側において)、第1スリット351と第2スリット352との離間距離が小さくなっているため、内部の飲料がこぼれにくくなっている。その一方で、図5(A)に示す形態では、ユーザの口が接しない部分において、第1スリット351と第2スリット352との離間距離が大きくなっており、この部分においては、形成される開口の面積が大きくなる。
【0049】
ここでこの本実施形態では、開口の面積が大きくなる箇所(塞ぎ部材300の他端部側に形成される開口)を通じて、飲料缶100の内部への空気の導入が行われる。付言すると、飲料がユーザによって飲まれることで減少した飲料の体積分の空気を、この開口の面積が大きくなる箇所を通じて飲料缶100の内部へ導入する。ここで本実施形態では、このように、飲料缶100の内部への空気の導入が行われる開口の面積が大きくなっており、飲料缶100の内部への空気の導入が円滑に行なわれる。そしてこの場合は、飲料缶100からスムースに飲料が排出されるようになり、ユーザは飲料缶100の内部の飲料を飲みやすくなる。
【0050】
また、図5(B)に示す態様では、ユーザが内部の飲料を飲む際の飲みやすさを確保しつつ、飲料のこぼれを生じにくくさせている。具体的には、図5(B)に示す態様では、ユーザの口が接する部分における開口の面積が大きいため、飲料の吐出量を十分に確保でき、ユーザはストレスを感じることなく内部の飲料を飲むことができるようになる。また本実施形態では、内部の飲料の漏れ出しが生じる可能性のある、ユーザの口が接する部分以外の部分については、塞ぎ部材300により覆われる形となっており、内部の飲料の漏れ出しが生じにくくなっている。
【0051】
図6は、容器本体200へ塞ぎ部材300を装着する際に用いる装着装置を示したである。なお同図(A)は装着装置の構成を説明するための図であり、同図(B)〜(E)は、装着装置の動作を示した図である。
【0052】
同図(A)に示すように、本実施形態の装着装置600には、図中上下方向に沿って進退可能なロッド611を備えたシリンダ610と、ロッド611の先端に取り付けられたホルダ620とが設けられている。ここでこのホルダ620の内側には、塞ぎ部材300を過熱および押圧し塞ぎ部材300を容器本体200に接着させるシーラー630が設けられている。また、このシーラー630とホルダ620との間には、スプリング640が設けられている。
【0053】
ここで、シーラー630の内部には、電熱線により構成されたヒータ631と、温度センサ(不図示)とが設けられており、本実施形態では、温度センサによる検知結果に基づきヒータ631のオン/オフが制御され、シーラー630が予め定められた温度に保たれている。なお、シーラー630は、発泡ゴムにより形成され変形可能となっている。
【0054】
また、シーラー630は、筒状に形成されるとともに円錐台状に形成され、容器本体200が位置する側に容器本体200が入り込む凹部632を有している。ここで凹部632の内面は、テーパー状に形成され図中上部に向かうに従いその直径が次第に小さくなる。また、凹部632の内面には、シーラー630の軸方向に沿った溝633が形成されている。またシーラー630の外周面も、テーパー状に形成されており、図中上方に向かうに従い直径が次第に小さくなる。
【0055】
ここで、装着装置600による塞ぎ部材300の装着が行われる際には、同図(A)に示すように、容器本体200の上にシート状の塞ぎ部材300が載せられる。なおこの状態では、シリンダ610のロッド611が引き込まれており、シーラー630およびホルダ620は上方に退避している。
その後、本実施形態では、シリンダ610のロッド611が容器本体200に向かって進出する。これにより、ホルダ620およびシーラー630が容器本体200に向かって進出し、同図(B)に示すように、シーラー630に形成された凹部632の内部に容器本体200の上部が入り込む。また、シーラー630の凹部632の底面634(同図(A)参照)が塞ぎ部材300を介して容器本体200に接触し、シーラー630によって塞ぎ部材300が容器本体200に向けて押圧されるとともに、シーラー630によって塞ぎ部材300が加熱される。
【0056】
なお本実施形態では、シーラー630に形成された凹部632のうち容器本体200が入り込む入口側の直径(内径)は、塞ぎ部材300の基部310(図2参照)の直径(外径)よりも大きくなっている。このため本実施形態では、シーラー630の凹部632に対して塞ぎ部材300が入り込む際(同図(A)、(B)参照)、塞ぎ部材300がシーラー630の内部にスムースに入り込む。
【0057】
ここで、シーラー630に形成された凹部632の上記入口側の直径が、塞ぎ部材300の基部310の直径(外径)よりも小さい場合、凹部632の内部に塞ぎ部材300が入り込む際に、塞ぎ部材300の位置ずれが起きやすくなる。本実施形態の構成では、上記のとおり、凹部632の上記入口側の直径が塞ぎ部材300の基部310の直径よりも大きくなっているため、凹部632の内部に塞ぎ部材300が入り込む際に生じうる塞ぎ部材300の位置ずれが生じにくくなっている。
【0058】
ここで本実施形態では、シーラー630が容器本体200に向かって移動している際、シーラー630の内周面がテーパー状に形成されているために、シーラー630が進出するに従い、塞ぎ部材300の基部310の縁部311(図2参照)がシーラー630の内周面により下方に向けて押圧される。さらに説明すると、本実施形態では、塞ぎ部材300の基部310の縁部311が、シーラー630の内周面によって図6における下方向に向けて押圧され、この縁部311が下方に引っ張られる。
【0059】
また本実施形態では、凹部632の底面634が塞ぎ部材300を介して容器本体200に接触し塞ぎ部材300が底面634により押圧された状態となると、同図(B)に示すように、基部310の縁部311(図2参照)の内側に位置し基部310の周方向に沿って配置された上述の帯状領域が、下方に向かって曲げられた状態となる。またこの帯状領域の下方への曲げによって、把持部320も下方に垂れ下がるようになる。なお本実施形態では、上記にて説明したように、シーラー630が下降する際に、基部310の縁部311が下方に引っ張られる。このため本実施形態では、同図(B)に示す状態において、塞ぎ部材300に皺があまり発生していない状態となる。
【0060】
その後、本実施形態では、ロッド611の更なる進出が行われ、同図(C)に示すように、シーラー630に対してホルダ620が進出し、シーラー630とホルダ620との間に位置するスプリング640を介して、シーラー630がホルダ620により押圧される。これにより、塞ぎ部材300がシーラー630によりさらに押圧され、塞ぎ部材300が容器本体200にさらに押し付けられる。
【0061】
また、ロッド611の更なる進出が行われると、同図(C)に示すように、ホルダ620の内部にシーラー630が入り込むようになるが、この際に、テーパー状に形成されたシーラー630の外周面がホルダ620の内周面により押圧される。これにより円錐台状に形成されたシーラー630の内側への変形が起こり、塞ぎ部材300のうちのカール部220(図2参照)よりも外側に位置する部位(カール部220の外周面に対峙する部位)が、シーラー630により押圧および加熱される。
【0062】
なお、本実施形態では、シーラー630の内部に容器本体200が入り込む際(図6(A)、(B)参照)、塞ぎ部材300の把持部320は、シーラー630の凹部632の内周面に形成された溝633に入り込む。このため、上記のように、円錐台状に形成されたシーラー630の内側への変形が起こり、塞ぎ部材300が容器本体200に向けて押圧されたとしても、把持部320の容器本体200への押し付けはなされない。そしてこの場合、把持部320の容器本体200への接着が避けられる。
【0063】
ここで、上記では説明を省略したが、本実施形態における塞ぎ部材300は、シート状の基材に対してローラを用いてヒートシール剤を塗った後に打ち抜き加工が施し形成する。このため、本実施形態では、ヒートシール剤(接着剤)が塞ぎ部材300の裏面の全体に塗られている。このため、上記のような溝633を設けず、把持部320をシーラー630で容器本体200に押し付けてしまうと、把持部320が容器本体200へ接着されてしまう。そしてこのような接着がなされると、塞ぎ部材300を容器本体200から剥がしにくくなってしまう。このため、本実施形態では、シーラー630に溝633を設けることで、把持部320の容器本体200への接着がなされないようにしている。
【0064】
なお本実施形態では、シーラー630とホルダ620との間にスプリング640が配置されているが、このスプリング640を省略し、シリンダ610で直接シーラー630を押圧することもできる。ところでこの場合、装置の破損などを防ぐため、シリンダ610に供給する圧縮空気の圧力を下げる必要が生じる。そしてこの場合、シリンダ610の動作速度が遅くなってしまう。
【0065】
このため、本実施形態では、シリンダ610とシーラー630の間にスプリング640を設け、スプリング640を介してシーラー630を押圧するようにしている。この場合、圧縮空気の圧力を高い値に設定しておくことができ、シリンダ610の動作速度を速めることができる。なお、シーラー630が塞ぎ部材300を押圧する際の押圧力の変更は、スプリング640を変更することにより行なうことができる。
【0066】
図6(C)にて示した動作が終了した後、本実施形態では、同図(D)に示すように、シリンダ610の駆動が行われロッド611の上方への退避が行われる。これにより、まず、同図に示すように、シーラー630による容器本体200の外周面の押圧が解除される。なおこのとき、容器本体200の上部に対してシーラー630が上方から押し当てられた状態にあり、容器本体200の倒れが生じにくくなっている。その後、同図(E)に示すように、ロッド611の上方への退避がさらに行われる。これにより、塞ぎ部材300からシーラー630が離れるようになる。これにより、塞ぎ部材300の加熱が終了し、溶融した接着剤の硬化が開始される。
【0067】
図7は、飲料缶100の他の構成例を示した図である。なお同図(A)は塞ぎ部材300が剥がされる前の飲料缶100の上面図および正面図であり、同図(B)は塞ぎ部材300が剥がされた後の飲料缶100の上面図および正面図である。なお同図(A)における飲料缶100の正面図では、飲料缶100の上部を断面で表示している。
【0068】
同図(A)に示すように、本実施形態における飲料缶100には、上記と同様、上部に円形の開口210を有するとともに下部に底部を有し且つ筒状に形成され、清涼飲料などの飲料が内部に収容された容器本体(缶本体)200が設けられている。また、飲料缶100には、上記と同様、容器本体200の上部に位置する環状の縁部に接着され容器本体200の開口210の全体を塞ぐ塞ぎ部材300が設けられている。
【0069】
図8は、容器本体200に塞ぎ部材300が取り付けられる直前の容器本体200および塞ぎ部材300を示した図である。
本実施形態における塞ぎ部材300には、上記と同様、円形に形成され容器本体200の上部に形成された開口210を覆うとともに、外周縁が容器本体200のカール部220に接着される覆い片の他の一例としての基部310が設けられている。また、基部310の縁部(外周縁)311から外側方向に突出するように設けられ塞ぎ部材300が容器本体200から剥がされる際にユーザにより把持(操作)される把持部320が設けられている。また本実施形態における塞ぎ部材300では、図7にも示すように、基部310の縁部311から外側方向に向かって突出するように設けられ容器本体200の外周面に対向配置されるとともにこの外周面に接着される接着片の他の一例としての接着部330が設けられている。なお、この接着部330は、基部310を挟み把持部320が設けられている側とは反対側に設けられている。
【0070】
本実施形態でも、基部310の縁部311の内側に位置する帯状の領域が容器本体200のカール部220に対して接着される。また、本実施形態では、上記帯状の領域のカール部220への接着により、把持部320および接着部330が下方に垂れ下がる。さらに、下方に垂れ下がった状態の接着部330と容器本体200の外周面とが接着される。これにより、図7(A)にて示した飲料缶100が完成する。なお、本実施形態における塞ぎ部材300も、上記にて説明した装着装置600によって容器本体200へ接着される。
【0071】
ここで、飲料缶100の内部に収容された飲料が飲まれる際には、操作片の一例としての把持部320がユーザにより把持された後に、この把持部320が上方に引き上げられる。なお、本実施形態でも、容器本体200の外周面と把持部320との間に間隙が形成されており、付言すると、把持部320の先端側が容器本体200の外周面に接着されておらず、把持部320の把持が行いやすくなっている。そして把持部320が上方に引き上げられると、塞ぎ部材300のうちの容器本体200に接着された部位であって把持部320に近い側に位置する部位が、容器本体200から剥がれるようになる。
【0072】
その後、塞ぎ部材300の容器本体200からの剥がれが、把持部320が設けられている側から接着部330が設けられている側へ進行する。そして、塞ぎ部材300の容器本体200からの剥がれが終了すると、図7(B)に示すように、容器本体200の上部に形成された円形の開口210が露出するようになる。付言すると、本実施形態では、円形の開口210の全てが現れるようになる。
【0073】
なお本実施形態でも、塞ぎ部材300が容器本体200から剥がされた後、容器本体200の缶胴面に固着された、接着部330によって、塞ぎ部材300が容器本体200に取り付いたままの状態となる。このため、本実施形態でも、塞ぎ部材300がごみとなって散乱することが防止される。ここで、容器本体200の径が小さい場合、塞ぎ部材300と容器本体200との接着面積を確保しにくくなるが、本実施形態の構成のように、容器本体200の外周面に対して塞ぎ部材300を接着する場合、接着面積を確保しやすくなる。
【0074】
なお、ユーザにもよるが、内部の飲料がユーザにより飲まれる際に把持部320が下方へ引っ張られる。そしてこの場合は、図7(B)に示すように、基部310と接着部330との接続部あたりにて、塞ぎ部材300は折り曲げられる。これにより、容器本体200の開口210が塞ぎ部材300により再度覆われることが起きにくくなる。なお、本実施形態では、上記にて説明した第1スリット351と第2スリット352は設けられておらず、上記にて説明した実施形態に比べ、塞ぎ部材300を剥がす際に要する操作荷重は大きくなる。
【0075】
図9は、塞ぎ部材300の変形例を示した図である。なお、図9では容器本体200も併せて表示している。
同図(A)に示す塞ぎ部材300では、接着部330の幅Wを、図7、図8で示した接着部330の幅よりも大きくしている。付言すると、容器本体200の周方向に沿って容器本体200の外周面に接着される接着部330のこの周方向における幅Wを、図7、図8で示した接着部330の幅よりも大きくしている。ここで、このように接着部330の幅を大きくした場合、容器本体200と塞ぎ部材300との分離が更に起きにくくなる。
【0076】
なお同図(A)の態様では、基部310と接着部330とを接続する接続部340を設けるとともに、この接続部340の幅を、接着部330の幅よりも小さくしている。付言すると、本実施形態では、接着部330の根元の幅が接着部330の突出方向における先端の幅よりも小さくなっている。ここで、幅が小さいこの接続部340を設けない場合(幅の広い接着部330が直接、基部310に接続されている場合)、容器本体200から剥がした後の基部310を曲げにくくなる。付言すると、接着部330の延長線上に基部310が配置されやすくなり、飲料を飲む者の鼻がこの基部310に触れやすくなる。このため、本実施形態では、上記のように接続部340の幅を小さくすることで、塞ぎ部材300の剛性を部分的に弱め、基部310を倒れやすくしている。
【0077】
なお、接着部330を大きくする手法の他に、接着剤を変更し、塞ぎ部材300と容器本体200との付着強度を高めることによっても、容器本体200と塞ぎ部材300との分離が起きにくくなる。ところでこの場合、基部310と容器本体200との付着強度も大きくなり、基部310を容器本体200から剥がしにくくなってしまう。このため本実施形態では、接着部330と容器本体200との接着面積を大きくすることで、容器本体200と塞ぎ部材300との分離を起きにくくしている。
【0078】
図9(B)を参照し、塞ぎ部材300の他の変形例を説明する。
本図における塞ぎ部材300では、接着部330の形状と把持部320の形状とが同じとなるように接着部330および把持部320が形成されている。さらに説明すると、基部310を挟んだ一方側に接着部330が配置され、基部310を挟んだ他方側に把持部320が配置されている。さらに説明すると、把持部320は、円形に形成された基部310の中心を通る仮想直線9Bを挟んで相対する二つの領域のうちの一方の領域側に配置されるとともに、基部310の一端部であって仮想直線9Bと直交する方向における一端部に接続されている。また、接着部330は、上記二つの領域のうちの他方の領域側に配置されるとともに、基部310の他端部であって上記仮想直線9Bと直交する方向における他端部に接続されている。また本実施形態では、上記仮想直線9Bを対称軸として、塞ぎ部材300は線対称となるように形成されている。
【0079】
図9(B)に示すこの塞ぎ部材300も、図6にて示した装着装置600によって、容器本体200に固定されるが、この際、塞ぎ部材300の位置(位相)が180°ずれていても、この塞ぎ部材300は容器本体200へ接着可能となる。このため本実施形態の構成では、管理項目の削減、および、作業ミスの軽減が期待できる。そしてこの場合、コストの削減が実現できる。
【符号の説明】
【0080】
9B…仮想直線、100…飲料缶、200…容器本体、210…開口、300…塞ぎ部材、310…基部、311…縁部、315…辺、320…把持部、330…接着部、371…第1の辺、372…第2の辺

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成され、軸方向における一端部に設けられた環状の縁部の内側に開口が形成され、内部に飲料が収容される缶本体と、
前記缶本体の前記一端部に接着され、当該缶本体に形成された前記開口を塞ぐ塞ぎ部材と、
を備え、
前記塞ぎ部材は、
前記缶本体の前記環状の縁部に接着され、当該缶本体に形成された前記開口を覆う覆い片と、
前記覆い片の外周縁から突出するように設けられ、当該覆い片が前記缶本体から剥がされる際にユーザにより操作される操作片と、
前記覆い片の前記外周縁から突出するように設けられるとともに前記缶本体の外周面に対向するように配置され、且つ、当該外周面に接着された接着片と、
を備える飲料缶。
【請求項2】
前記接着片は、前記覆い片を挟み前記操作片が設けられている側とは反対側に設けられていることを特徴とする請求項1記載の飲料缶。
【請求項3】
前記接着片の根元の幅が当該接着片の先端の幅よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の飲料缶。
【請求項4】
前記覆い片は円形に形成され、
前記操作片は、円形に形成された前記覆い片の中心を通る仮想直線を挟んで相対する二つの領域のうちの一方の領域側に配置されるとともに、当該覆い片の一端部であって当該仮想直線と直交する方向における一端部に接続され、
前記接着片は、前記二つの領域のうちの他方の領域側に配置されるとともに、当該覆い片の他端部であって前記仮想直線と直交する方向における他端部に接続され、
前記塞ぎ部材は、前記仮想直線を対称軸として線対称となるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の飲料缶。
【請求項5】
筒状に形成され、軸方向における一端部に設けられた環状の縁部の内側に開口が形成され、内部に飲料が収容される缶本体と、
前記缶本体の前記一端部に接着され、当該缶本体に形成された前記開口を塞ぐ塞ぎ部材と、
を備え、
前記塞ぎ部材は、
一端を有するとともに、当該一端から一方向に向かって延びるように設けられ当該一方向における下流側に他端を有し、前記缶本体に形成された前記開口の少なくとも一部を覆うように設けられ、当該他端が位置する側に向かって当該一端が移動するようにユーザにより操作されることで当該開口が露出するようになる覆い片と、
前記覆い片の前記他端に接続されるとともに、前記一方向とは反対方向に延びるように設けられ、前記缶本体の前記環状の縁部に接着された接着片と、
を備える飲料缶。
【請求項6】
前記接着片は、前記環状の縁部の径方向における一端部から当該環状の縁部の径方向における他端部にかけて設けられていることを特徴とする請求項5記載の飲料缶。
【請求項7】
前記接着片は、前記環状の縁部の径方向における一端部にて、前記覆い片の前記他端に接続されるとともに、当該環状の縁部の径方向における当該一端部から、当該環状の縁部の径方向における中央部にかけて配置されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の飲料缶。
【請求項8】
前記接着片は、前記覆い片の脇を通過するように設けられるとともに当該覆い片の縁部に接するように設けられ、当該覆い片の当該縁部に沿うように設けられるとともに当該縁部に接する第1の辺と、当該第1の辺よりも当該縁部から離れた側に位置し当該第1の辺に沿うように設けられた第2の辺と、当該接着片の先端部に位置するとともに当該覆い片の当該縁部とのなす角度が鋭角となるように配置され当該第1の辺と当該第2の辺とを接続する第3の辺と、を備えていることを特徴とする請求項5乃至7の何れかに記載の飲料缶。
【請求項9】
前記接着片は、前記缶本体の前記環状の縁部に接着されるとともに当該環状の縁部の内側に向かって延びるように配置され、
前記覆い片がユーザにより操作されることによって、前記缶本体に形成された前記開口の一部が露出した際、当該開口の他の部分が前記接着片により覆われていることを特徴とする請求項5乃至8の何れかに記載の飲料缶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−18497(P2013−18497A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151151(P2011−151151)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000186854)昭和アルミニウム缶株式会社 (155)
【Fターム(参考)】