説明

飼料・肥料及びその製造方法

【課題】 生餌を飼料とする場合に生ずる不都合を解消すると共に、摂餌誘引効果を有するイカ肝臓を飼料として有効利用でき、天然赤色色素のアスタキサンチンを含有する飼料を容易に得る。
【解決手段】乾燥オカラを主原料とする発酵処理床(第一原料)に、バチルス属が主成分で低温菌と好熱菌を含む耐熱性の複合菌である種菌を植え付け、魚介類の加工残渣、魚介類、繭玉を取り除いた後の蛹、その他の発酵処理対象物(第二原料)を所定量加え、所定時間強制空気供給を行わずに混合攪拌して好気発酵処理し、発酵処理後に所定の乾燥を行って製出する。特に第二原材料として、イカワタ、紅鮭、えび、沖アミ、甲殻類の殻等のアスタキサンチンを含む物質を使用すると、天然のアスタキサンチンを多量に含有する飼料(肥料としても効果を備える)となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オカラを利用した養魚用や家畜用の飼料・肥料及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オカラは高たんぱくの食品加工残渣であり、養魚用飼料や畜産飼料として広く採用されている。
【0003】
具体的には特開昭62−143649号公報(特許文献1)や特開平2−186949号公報(特許文献2)には、乾燥オカラを水分調整剤(吸水性の改善)として生餌と混合してペレット配合飼料とすることが開示されている。また特許3626922号公報(特許文献3)には、乾燥オカラを主原料としてこれに給水崩壊性がある崩壊剤を混合して乾燥圧縮した魚用乾燥固形餌が開示されている。
【0004】
更に特開平11−289994号公報(特許文献4)には、オカラを繊維分解酵素枯草菌で予備発酵させて脱水乾燥させ、これに他の原料を添加混合する混合飼料が開示されている。
【0005】
ところでイカ肝臓が摂餌誘引効果を有することが知られているが、生のまま乾燥配合飼料として利用されることは無く、一旦粉末状に形成した後に配合飼料の原料として使用している。また特許3023534号公報(特許文献5)には、他の配合原料との混合物を混練、加熱、加圧処理して製出する魚類飼料が開示されている。
【0006】
また繭玉を取り除いた大量の蛹は、そのまま或いは乾燥粉砕品として、養魚用飼料として使用されている。
【0007】
また特許3314302号公報(特許文献6)には好熱性みろく菌種を海産物残渣等の有機素材に添加し好気性条件下高温発酵させることを特徴とした飼料添加物、液状飼料添加物、飼料およびそれらの製造方法が開示されており、特開2003−219864号公報(特許文献7)には、好熱性種菌PTA−1773をエビ及び/またはカニの残渣等の有機素材に添加し、好気条件下かつ50乃至90℃で発酵させることによって得られる生態環境改良資材が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開昭62−143649号公報。
【特許文献2】特開平2−186949号公報。
【特許文献3】特許3626922号公報。
【特許文献4】特開平11−289994号公報。
【特許文献5】特許3023534号公報。
【特許文献6】特許3314302号公報。
【特許文献7】特開2003−219864号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
乾燥オカラを飼料として利用する手段について上記したように生餌と一緒に使用する場合には、生餌を飼料とする場合に生ずる不都合は全く解消されない。即ち養殖場に散布すると、生餌の腐敗沈殿が生ずると共に、養殖魚の排泄物による水質汚染も生ずる。勿論前記の蛹飼料を使用した場合も一般の生餌と同様に水質汚染の問題が生ずる。
【0010】
また特許文献4記載のようなオカラ発酵物の利用においては、飼料に対する添加量が少なくオカラを有効利用した飼料とはいえない。
【0011】
更にイカ肝臓を飼料として採用する場合には、粉末化その他の加工が必要となり、高コストによる製造費のアップが免れない。
【0012】
また特許文献6,7に開示されている海産物残渣の発酵処理においては、おから成分が使用しておらず、使用菌種はバチルス属の好熱菌のみであり、低温で発酵が進行するための低温菌は含まれていない
【0013】
そこで本発明は、前記の課題を解決する低温菌と好熱菌を含む耐熱複合菌によって好気発酵を行うことを特徴とした乾燥オカラを使用した飼料(肥料としても使用できる)及びその製造方法を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明(請求項1,13)に係る飼料・肥料及びその製造方法は、乾燥オカラを主原料とする発酵処理床(第一原料)に、バチルス属が主成分で低温菌と好熱菌を含む耐熱性の複合菌である種菌を植え付け、魚介類加工残渣、魚介類、繭玉を取り除いた蛹、その他の発酵処理対象物(第二原料)を所定量加え、所定時間強制空気供給を行わずに混合攪拌して好気発酵処理し、発酵処理後に所定の乾燥を行って製出することを特徴とするものであり、更に前記の手段で製出した粉末体、又は粉末体を適宜な繋ぎ材を添加して所望大きさに造粒したものである。
【0015】
前記の発酵処理は、発酵処理対象物(第二原料)が発酵床(第一原料)によって脱水されると共に混合攪拌で粉砕され、攪拌によって露出した表面のみが空気接触して好気発酵が行われ、特に強制空気供給による温度低下を免れることができるので、高温を維持しての高速発酵処理がなされる。勿論発酵床の蛋白質や炭水化物も発酵処理される。この結果所定の温度まで上昇させ(発酵を進行させ)、発酵を終了させるように乾燥を行うと、第一原料(発酵床)と第二原料(発酵処理対象物)は、混然一体となった粉末状となるもので、そのまま飼料や肥料として使用したり、適宜造粒することでペレット状の飼料としたり、他の配合飼料の原材料や、配合肥料の原料として使用できる。
【0016】
また本発明(請求項4,15)に係る飼料・肥料は、特に第二原料として、甲殻類等のキチン・キトサンを含む発酵処理対象物を使用してなることを特徴とするもので、キチン・キトサン含有量の大きい飼料・肥料を得ることができるものである。
【0017】
この発酵処理によって、甲殻類は容易に分解され吸収効率の良いキチン・キトサンを得ることができ、農作物一般の成長に効果があり、稲は茎が太くなり、成長が早くなり、収穫量が伸びる等、米や野菜や観葉植物等に適した肥料となる。特にトマト、ナス、ジャガイモ等の茄子科植物の連作障害を速やかに回避する効果が絶大である。
【0018】
また本発明(請求項7,15)は、紅ズワイ蟹の殻等の甲殻を主材料とする発酵処理対象物を使用し、約80℃以上まで発酵させて製出するもので、キトサンの一部がグルコサミンとなり、従前手段であるアルカリ処理後に濃塩酸かエタノール処理等を必要とせずにグルコサミン含有の飼料・肥料を得ることができる。
【0019】
また本発明(請求項8,16)に係る飼料は、イカワタ、紅鮭、えび、沖アミ、甲殻類の殻等のアスタキサンチンを含む物質を使用し、特にイカワタを主材料とした場合には70℃以下で発酵を終了させて製出し、紅ズワイ蟹の殻等の甲殻を主材料とする場合には約80℃で発酵を抑止して製出することを特徴とするものである。
【0020】
また本発明(請求項9,17)に係る肥料は、紅鮭、えび、沖アミ、甲殻類の殻等のアスタキサンチンを含む物質を使用し、特にイカワタを主材料とした場合には70℃以下で発酵を終了させて製出し、紅ズワイ蟹の殻等の甲殻を主材料とする場合には約80℃で発酵を抑止して製出することを特徴とするものである。
【0021】
前記のアスタキサンチンを含む第二原料を採用することで、天然のアスタキサンチンが破壊されることなく多量に含有する飼料となり、鮭属や真鯛の養殖用の飼料として最適となるものである。
【0022】
また本発明(請求項5,)に係る飼料・肥料は、前記の第二原料として適宜な発酵対象物を採用し、特に90〜95℃で発酵を終了して製出したことを特徴とするものである。
【0023】
前記の高温発酵によってアスタキサンチンや、ビタミン等は分解するが、蛋白質の分解が促進され、各種アミノ酸を多量に得ることができ、アミノ酸の抽出によって、飼料添加物(サプリメント)として使用することができる。
【0024】
また本発明(請求項12,22)は、第二原料として卵殻、豚骨、マグロ頭部等のCa成分を多量に含有した発酵処理対象物を使用して製出するもので、アミノ酸・カルシュウムを含有すると共に、発酵されずに残った骨成分も粉状となり、有機骨粉も含有する飼料を得ることができる。
【0025】
更に本発明(請求項6,24)は、第二原料として、繭玉を取り除いた後の蛹又は前記蛹の粉砕品を使用するもので、飼料として採用されていた蛹を、効率的に魚体に吸収され、また食いつきの良い飼料とすることができたものである。
【0026】
また本発明(請求項13)は、第二原料に、蜜蜂の巣の一部であるプロポリス抽出滓を発酵処理対象物の0.14〜0.2%(以下全重量に対とする当該分の重量比を示す)添加して製出するもので、プロポリス抽出滓を添加しない製出品は、含水率10%以下まで乾燥しておかないと再発酵の虞があるが、プロポリス抽出滓の添加によって高含水率(20%程度)でも再発酵を抑止する。
【0027】
尚本発明でいう低温菌とは、低温(0℃以下)で増殖する細菌のことを意味し、通常の温度(20〜30℃)にさらされると生存できない好冷菌(生育増殖上限温度が約20℃)と、常温でも生育可能な低温菌の両方を含み、また、好熱菌とは高い温度を好んで生育・増殖する細菌のことを意味し、生育至適温度が50〜105℃で30℃以下ではほとんど増殖しない細菌群をいう。この中には55℃〜75℃を最適生育温度とする中程度好熱菌や75℃以上が生育温度である高度好熱菌、生育至適温度が25℃〜40℃で50℃以上では生育し難い中温菌も含まれる。なお、耐熱性細菌とは高温でも低温でも生育可能な細菌のことを意味するものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、乾燥オカラを主原料とする発酵処理床(第一原料)に魚介類、蛹、その他の適宜な発酵処理対象物(第二原料)を加え、バチルス属が主成分で低温菌と好熱菌を含む耐熱性の複合菌である種菌を添加して好気発酵処理したもので、魚介類加工残渣や廃棄する必要のある魚介類を容易に粉末化して飼料として有効利用でき、第一原料のオカラの植物蛋白を含む高たんぱく飼料を提供できると共に、発酵処理によって蛋白の一部がアミノ酸やペプチドに分解されており、養魚や家畜に置ける吸収率が良く、特に魚類に使用した場合には、従前の蛹飼料や生餌のように水質汚染の虞が無い飼料としたものである。また植物に肥料として与えても、相応の生育効果が認められる。
【0029】
また特にキトサンを含有する第二原料の採用によって、キトサン・キチンを含有する飼料や、グルコサミンを含有する飼料を容易に提供できたものである。
【0030】
更に、第二原料(発酵処理対象物)としてアスタキサンチンを含む魚介類を使用することで、多量の天然アスタキサンチンを含有する飼料を得ることができ、従前使用している石油合成アスタキサンチンの混合飼料に代えて、本発明飼料を給餌することで、安全な赤色を呈す養殖魚を得ることができる。
【0031】
また第二原料として骨を多量に含有した発酵処理対象物を使用することで、アミノ酸やカルシュウムを含有すると共に、有機骨粉も含有する飼料を提供できたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に本発明の実施の形態について説明する。本発明は、図1に例示した発酵槽1を使用するもので、発酵槽1は内部に攪拌羽根2を備え、モータ3で駆動され、パイプ状の通気部4を備えた蓋体5を被冠し、前記通気部4には外部の送風機6を接続するようにしているものである。
【0033】
飼料の製出の第一段階は、前記の発酵槽1に、所定の発酵床(第一原料)、及び発酵処理対象物(第二原料)、及び発酵を行う種菌(必要に応じて各種の酵母を付加しても良い)を入れ、所定時間攪拌混合を連続的に実施して発酵処理を行うものである。
【0034】
発酵床(第一原料)は、乾燥オカラ(水分4.5〜7%程度:以下の実施例においては豆腐オカラを使用した。特に魚の飼料を使用目的とする場合に、豆腐オカラや、無調整豆乳オカラ等添加物の無い純粋なオカラを使用する必要があるが、家畜の飼料や植物の肥料などに使用する場合には、多少の添加物が混入している調整豆乳オカラを使用しても良い)を主原料とするもので、副原料として脱脂大豆ミール、米ぬか、ふすま等を使用するもので、乾燥オカラは少なくとも40%以上とし、全体として水分が8%以下となるようにしたものである。尚副原料の組み合わせは任意である。
【0035】
発酵処理対象物(第二原料)は、各種の魚介類の加工残渣(生のもの)や、魚体そのままでも良く、特に細断したりする前処理を必要としない。また繭玉を取り除いた後の蛹一般に乾燥しているので、そのままでも良いし或いは粉砕品としたものでも良い。そして発酵床との混合比率は、重量比で概ね発酵床40〜50%、発酵処理対象物60〜50%とする。
【0036】
前記の発酵床と発酵処理対象物と、適宜なバチルス属が主成分で低温菌と好熱菌を含む耐熱性の複合菌である種菌や酵母を加えて、前記発酵槽1に、攪拌羽根2の上方の一部が露出する程度に収納し、蓋体5を被冠し、通気部4からの自然換気のみで、夏期においては約7時間、冬季においては約10時間連続して攪拌混合するものである。尚前記の発酵時間は、室温・使用する第二原料並びに設定した発酵終了時温度によって異なることはいうまでも無い。
【0037】
本発明に使用する種菌や酵母混合物は、種菌として生ごみ処理用(生ごみ分解用)に環境菌という名称で市販されているものを所定の温度で発酵して得た低温菌や好熱菌を含む耐熱性の複合菌を用いるもので、必要に応じて酵母、乳酸菌群及びグラム陰性菌群を添加して、〇℃以下の低温より順次発酵を促進して処理を行ったものである。この種菌は低温菌から好熱菌までさまざまな温度で働く菌種が含まれるバチルス属が主成分の耐熱性の複合菌であるため、発酵が低温(−5℃)からでも開始され、加熱装置がなくとも発酵過程の発熱のみで発酵槽が所定温度まで加熱される。したがって各温度帯でそれに応じた菌種が働くことで発酵過程が進行するものであり、煩雑な操作や装置を必要としない。
【0038】
更に種菌として、低温時発酵において炭酸ガスを発生させる菌や、嫌気的に有機鉄や有機マグネシュウムを還元させる菌も含まれており、通常は発酵時の脂肪の酸化が問題となるが、本発明は、発酵時間の短さ(7−9時間)や前記の菌群の活動により発酵物の酸化が防がれる。特に酸化して脂やけ臭の強い蛹を発酵させた場合、8時間後の発酵を終えた製品の臭いは、蚕糸を取った後の乾燥蛹のような脂やけ臭のしない製品を製出できる。
【0039】
また本発明の発酵処理において、製出品に応じて70〜75℃の最終発酵温度とするために、低温発酵に介在した菌はほぼ死滅するが、生成された酵素、アミノ酸は残るため、例えば好熱菌のバチルス納豆菌類のみの発酵による飼料では魚類の成長を妨げるが、本発明の発酵菌体群による製出品は、そのような弊害が生じない。
【0040】
また本発明の発酵過程においては、種菌に含まれる低温菌による低温発酵が主体であり、好熱菌の働く温度帯では低温菌の大部分は死滅する。前記事項は、菌の同定作業によって確認され、バチルス納豆菌のみの生存が確認された。
【0041】
前記の発酵処理は、発酵処理対象物が発酵床によって脱水されると共に混合攪拌によって粉砕され、更に発酵処理対象物の粉砕物と発酵床の組成物が、攪拌によって露出した表面が空気と接触し、好気発酵が行われる。特に強制空気供給を行わずに自然換気による好気発酵としたために、強制空気供給による温度低下を免れることができ、高温を維持しての高速発酵処理がなされる。所定温度以下で発酵を継続させる場合には、強制空気供給を制御して発酵槽内温度の維持を図るものである。
【0042】
前記の発酵時間を経過すると、発酵槽1内の物質は、設定した発酵温度に達するので、その時点から送風機6を駆動し、強制通気(攪拌混合は継続)を8〜10時間行うことで、発酵槽内物質の乾燥処理をなす。尚低水分製品を必要とする時は、温気を送って乾燥させる。
【0043】
製出した発酵槽内物質は、粉末状でありそのまま飼料・肥料として利用することもできる。また必要に応じてα化デンプンを15%程度添加して、水分を加えて所望の大きさに造粒して粒状としても良いし、異なる第二原料を使用して製出した粉末体を適宜混合して、そのまま或いは粒状化したり、水溶きして(主として肥料として使用する場合など)使用するものである。
【0044】
<実施例A> 第一原料(発酵床)の組成を、乾燥オカラを70%として、残り30%を副原料(米糠、脱脂大豆ミール、粉砕トウモロコシの混合物)とし、第二原料(発酵処理対象物)として、なまず(魚体そのまま)を前記の条件で発酵処理(発酵停止時温度72℃)して製出した。製出した飼料の成分分析は図2の通りである。
【0045】
<実施例B> 第一原料(発酵床)の組成を、乾燥オカラを70%として、残り30%を米糠とし、第二原料(発酵処理対象物)として、イカワタを採用し、70℃以下で発酵を終了させて乾燥処理を行って製出した。製出した飼料の成分分析は図3の通りである。特にカドミウムの含有率が少なく安全な飼料として提供できる。
【0046】
実施例Aと実施例Bの飼料を3:1で混合して造粒し、虹鱒に3カ月間の投与で、市販の配合飼料と比較して体重増が30%以上と認められた。更に、魚身自体の赤色についても、石油合成アスタキサンチン含有の飼料で育成した魚身と比較しても、自然な感じの赤色を呈していた。
【0047】
実施例Aの造粒品を採卵用の市販の飼料に1:1の割合で混合して鶏に与えたところ、産卵量が20〜30%増大したことが認められ、鶏舎の臭いが激減した。また鶏糞は特別に処理することなく、そのまま肥料として使用できた。
【0048】
また実施例Aの造粒品を通常の餌に30%程度混合して豚に与えたところ、摂餌30日位から排便臭が激減し、排便も下痢をせずに豚舎全体が少し酸味を帯びた柔らかな匂いになり、60日後には誰でも豚舎に入れるようになった。また飼料効果が20%向上し生体より枝肉での歩留まりは20〜25%向上した。
【0049】
また一般の飼料製造法で定められているビタミン、ミネラルの添加は一切行っていない本実施品による摂餌で、肉質の著しい改善が認められた。例えばロース、肩ロースの肉質が霜降りとなり、煮ても硬くならず灰汁が出ず、しゃぶしゃぶでは1kg近く泳がせても灰汁は取る必要がなく、取り残した肉もやわらかく美味であった。
【0050】
実施例Aの粉末体を畝形成時に混入してレタスを栽培したところ、有機質肥料を採用した畝で栽培したレタスと、化学肥料を採用した畝で栽培したレタスに比較して、長雨でも内部が腐れることがなく、また収穫後の保存性も著しく向上したものである。
【0051】
特に実施例Aを肥料として使用した場合には、茄子科植物の連作障害を予防し、トマト、キュウリ、メロン等のハウス栽培において、青枯れ病や、メロンの茎葉の枯れる連作障害を著しく抑止する効果が認められた。
【0052】
また前記の実施例A・Bにおいて、発酵停止温度を90〜95℃に設定して処理したところ得られた発酵物は、各種アミノ酸を多量に含んでいるので、アミノ酸の選択的抽出によって、飼料・肥料の添加物(サプリメント)として使用することができる。
【0053】
<実施例C> 第一原料(発酵床)の組成を、前記実施例Bと同様にして、第二原料(発酵処理対象物)として、茹で紅ズワイ蟹の剥き殻を採用し、80℃で発酵を終了させて乾燥処理を行って製出した。製出した飼料の成分分析は図4の通りである。
【0054】
特にアスタキサンチンの含有量が、0.48mg/100gで、イカワタを第二原料として使用して製出した実施例Bと比較して、倍の含有量である。また従前においては、キチンをアルカリ処理した後に、キトサンを濃塩酸かエタノール処理を行って得ていたグルコサミンを、発酵処理によって容易に得ることができたものである。
【0055】
前記の実施例C(実施例A・Bも含めて)の製出物は、家畜・養魚の飼料として直接使用できる。また実施例A・Cは、植物に対しても、そのまま使用することができ、土中の放線菌を増加させ、糸状菌の繁殖を防ぎ、うどん粉病や糸状菌を原因とする病気を抑制できるものである。
【0056】
また前記の実施例Cの製出品を、実施例Aの製出品を適宜添加混合することで、豊富なアミノ酸を含有する肥料となり、且つキチン・キトサンも含むものであり、肥料効果が長期間続き、特に燐酸分も多く含むので、糖度を増した野菜や果実を収穫できる。
【0057】
さらに実施例Bの製出品に実施例Cの製出品を数%添加混合し、これを500〜600倍に希釈して、上澄み液を「もやし」の水耕栽培の液肥として使用したところ、根が腐らずに、丈の生育も大幅にのび、白く糖度の強い製品を得ることができた。具体的には従来の液肥を使用したものに比較して、平均として丈が38.5%、糖度が26%増加し、更に100gの豆から12.3%増の収穫が得られた。またこれらの収穫物からは、O−157や大腸菌などの病原性の食中毒菌は検出されなかった。
【0058】
このように本発明の実施品を肥料として使用した場合、特に水耕栽培で問題とされていた糖度不足を解消する液肥となるものである。従ってこのように発芽に対して効果的であるので、例えば「もみ」の発芽に前記水耕液を使用し、育苗時の肥料として本発明品を使用することで、従前において化学肥料に頼っていた育苗過程の全てを有機肥料に置換することが可能であり、稲作の完全有機化を実現できることになる。
【0059】
<実施例D> 第一原料(発酵床)の組成を、前記実施例Bと同様にして、第二原料(発酵処理対象物)として、割れ鶏卵、卵殻、豚骨(大きい背骨は軽く粉砕する)、鮪の頭部・背骨、大型魚類の骨などのCa成分の大きい発酵対象物を使用したもので、発酵停止時温度を75〜80℃に設定して発酵処理(夏期において約10時間)を行う。
【0060】
発酵処理された製出品は、アミノ酸及びカルシュウム、バチルス納豆菌、酵素等を含み、病原性細菌に対する抵抗力を著しく高め、動植物に吸収されやすい有機カルシュウムを大量に得ることができる。更に卵殻発酵物から得られる肥料は、果実等の糖度を高める効果が著しい。
【0061】
<実施例E> 第一原料(発酵床)の組成を、乾燥オカラを70%として、残り30%を副原料とし、第二原料(発酵処理対象物)として、蛹の乾燥粉砕品を第一原料と同程度混合し、他所の水分を加えて発酵させる。また第二原料が粒蛹の場合には水に浸漬した後、第一原料より僅かに少なめにして発酵させる。この発酵処理は70℃に達したら強制通気を行って乾燥させて製出した。
【0062】
また第二原料として、繭玉を取り除いた後の蛹を使用する場合には、70〜75℃以下で発酵を終了させ、乾燥処理を行う。特に発酵に際して蛹の臭いが強いので、発酵時の自然排気や強制通気による乾燥排気において、水のシャワー内を通過させたり、石灰水中に放出する等の適宜な脱臭装置を介して排気を行う。
【0063】
前記実施例Cの飼料は、従前の蛹飼料を用いた釣り餌に比較して、鯉科の魚以外のボラ・黒鯛などの海水魚の食い付きが非常に良く、釣り餌として優れているものであり、また蛋白質が分解された餌なので、排泄物はバクテリアによって容易に分解されるので、釣堀等の魚密度が高い池における水質汚染問題が解消されるものである。また観賞魚の水槽飼育においても、臭いの発生が著しく低下し、飼料の食いつきが良く成長が安定し、水槽の水替えの周期も大幅に延長される等の利点を有するものである。
【0064】
<実施例F> 第一原料(発酵床)の組成を、乾燥オカラを70%として、残り30%を副原料とし、第二原料(発酵処理対象物)として卵殻、雑魚、カニ殻・剥きエビ殻を用いて80〜85℃で発酵を終了させ、次に乾燥処理を行ってそれぞれ卵殻発酵品、魚発酵品、カニ殻発酵品を得た。魚発酵品を40〜60%、卵殻発酵品を30〜40%、カニ殻発酵品を5〜10%それぞれ任意量で混合し、300〜500倍になるように水で希釈して育成土に添加した。その結果、図5Aに示すように散布後2日程度で葉の緑色が増し生育促進効果が見られた(同図Bは、非散布の2日後の状態)。
【0065】
<実施例G> 第一原料(発酵床)の組成を、乾燥オカラを50%(適宜米糠を添加した)として、第二原料(発酵処理対象物)としてエノキ茸廃菌床(木質オガ屑を含まないコーンコプが主体)として、70〜75℃で発酵を終了させ、次に乾燥処理を行って発酵品を得た。前記発酵品を市販のトウモロコシ資料に70%混入させて、豚に出荷前60日間与えたところ、実施例A・Bと同様の効果があり、獣臭のしない素晴らしい肉質となった。しかも食品残渣の利用によって飼育コストは大幅に低下した。また特にエノキ茸廃菌床を養豚飼料として大量使用できる画期的な飼料製造技術を提供できたものである。
【0066】
前記した各実施例の製出品は、含水率10%以下に乾燥させておかないと、再発酵が生ずる虞があり、含水率が大きい場合には脱酸素可能な容器での保存が必要となる。
【0067】
そこで第二原料に、蜜蜂の巣の一部であるプロポリス抽出滓を発酵処理対象物の0.14〜0.2%添加して製出するもので、プロポリス抽出滓を添加しない製出品は、含水率10%以下まで乾燥しておかないと再発酵の虞があるが、プロポリス抽出滓の添加によって高含水率(20%程度)でも再発酵を相当期間抑止することが確認できた。
【0068】
以上のように、本発明は、第一原料(発酵床)に乾燥オカラを採用することで蛋白質(アミノ酸・ペプチド)を多量に含んだ飼料となり、養殖魚の成長や家畜の成長に多大な効果があり、第二原料(発酵処理対象物)の前処理を必要とせず、例えば秋鮭産卵後の廃棄魚体、ブラックバスのような駆除魚体等の安価な原料を使用でき、且つ製造が容易である。
【0069】
特に本発明は、魚粉の使用という観点からみた場合、現在魚粉が枯渇傾向で価格が高騰しているため、各飼料メーカーは代替魚粉への切りかえや価格上昇をせざるを得ない状況であるが、そのような中で、本発明の実施品は魚粉使用率を20%以下に押さえているにも関わらず市販品(市販品は50〜70%程度)と同等以上の品質を維持しており、低魚粉飼料としてだけでなく代替魚粉(代替たんぱく質)としても最適である。
【0070】
また代替魚粉として脱脂大豆ミールが使用されているが、市販飼料に含まれる配合割合は最大約20%までが限界であり、これ以上では発育不良や斃死をおこしてしまう。一方で本発明の実施品は脱脂大豆ミールの30%程度含んでいるにも関わらず、脱脂大豆ミールの含有率10%程度が限度である虹鱒などの発育に悪影響がほとんどないだけでなく、生臭さや、魚油臭さが消えその食味も向上している。このように脱脂大豆ミールを多く配合した飼料は特に養魚用餌として適している。
【0071】
本発明は、ゴミ処理などに使用される菌体が作り出す発酵物とは著しい効果の差異があり、特に本代替魚粉は脂肪の酸化が少なく、養魚に使用しても甲状腺ホルモンの分泌異常以上を引き起こす虞がなく、他の高温発酵物からなる代替魚粉と大きく異なるものである。
【0072】
さらに養魚用餌として使用する場合には、副原料として脱脂大豆ミールを主に用いるのが特に好ましい。本発明の実施品を鯉の餌付けから稚魚の育成まで使用してもコイヘルペスなどの感染病を患うことなく健康に生育している。また魚の養殖において本発明の実施品を餌として与えた場合稚魚が健康的に育つため、様々な系統固体同士を交配することで肉質がよくおいしい個体種を容易に作出できるという利点も有する。
【0073】
また本発明の大きな特徴は、第一原料や第二原料を選択することで、所望の成分を含有する飼料・肥料を得ることができるものである。
【0074】
例えば第二原料としてアスタキサンチンを含む魚介類を使用することで、多量の天然アスタキサンチンを含有する飼料を得ることができ、従前使用している石油合成アスタキサンチンの混合飼料に代えることで、自然な赤色を呈する養殖魚を得ることができるものである。
【0075】
また第二原料として甲殻類を採用すると、キチン・キトサンや、グルコサミンを含有する製品を得ることができ、また卵殻や豚骨等を使用すると、カルシュウムや有機骨粉を含有する飼料・肥料が得られる。
【0076】
前記の甲殻類の採用に際して、紅ズワイ蟹などの深海性の甲殻類を用いた場合、殻由来のカロチノイドの一種であるアスタキサンチンを含み、更にノストキサンチンを産出するGNR菌も存在し、低温(10℃)から発酵製造した飼料を与えた鶏の卵の黄身は、赤みを帯び色合いが良くなる。
【0077】
第一原料(発酵床)に脱脂大豆ミールを含み第二原料(発酵処理対象物)としてイカワタを用いた場合には、製出した発酵物はタウリンを含んだ非常に優れた飼料原料となる。
【0078】
第二原料(発酵処理対象物)として海産雑魚、アメリカナマズやキノコ類の廃菌床(エノキダケ廃菌床など)、ホタテのウロなどを用いることもできる。
【0079】
更に第二原料として繭玉を取り除いた後の蛹を使用することで、従来の蛹を材料とした釣り餌に比較して、食い付きの良い釣り餌を提供できたものである。
【0080】
また第一原料の副資材として脱脂大豆ミールやトウモロコシを採用すると、製出された発酵品は、脱脂大豆ミールに本発酵菌体群と15〜20%の水を加え非加熱発酵させ製出された発酵大豆ミールを含むことになり、前記の発酵大豆ミールは、フィチン酸が発酵前の40%程度に減り、またトウモロコシにおいては20%に減り、イノシトールが生成される。これらは植物の種皮に含まれるフィチン酸を発酵によりイノシトールに変化させるもので、穀物中に含まれるリンやカルシューム、ペプチド鉄などを吸収できる画期的な技術である。
【0081】
また本発明は、発酵終了温度(発酵停止温度)の設定によって製出品の成分調整が可能であり、発酵終了温度(発酵停止温度)70〜72℃とすると、第二原料に含まれるビタミン類やカロチノイド色素を破壊しないし、原料の蛋白質を発酵処理でアミノ酸やペプチドに分解することになるので、養魚や家畜に吸収しやすく、特に魚の養殖においては、生餌を与えた場合には排泄物が水質を悪化させ、沈殿物からはメタンガスが発生し、また乾燥オカラに代えて米糠を使用した飼料を与えた場合には水が白濁して消化不良を呈するが、本発明の飼料を提供すると、排泄物が少なく水質汚染がなく、沈殿排泄物はメタンガスを発生させず、土中で分解され、水草や海草等の肥料となる。
【0082】
更に発酵終了温度(発酵停止温度)を高く設定すると、ビタミンやアスタキサンチン等が分解するが、各種アミノ酸を多量に含む発酵処理品が得られる。
【0083】
このように本発明は、発酵床として乾燥オカラを採用したもので、原料が豊富に存在し、水分4.5〜8%の範囲では、糖質が多くバクテリアの繁殖に適し、現在発酵床として多用されている米糠に比べて食物繊維が柔らかく、タンパク含量も3倍近くあり、アミノ酸の生成量も多く、しかも低温(−5℃)でも発酵が開始し、発酵開始後平均7〜9時間という短時間で発酵処理が終了できる大きな利点を備えているものである。
【0084】
特に乾燥オカラと脱脂大豆ミールの発酵物は水産飼料として用いた場合、含まれる脂肪分が淡水、開会の白濁を防ぎ、環境破壊につながることなく、安心して使用できるものである。
【0085】
そして前記の各手段で製出された発酵処理品(飼料・肥料)は、そのまま使用することもできるし、他の飼料・肥料に添加したり、また水で希釈して使用したり、或いは特定物質を抽出するなど種々の形態で使用することができるものである。例えば前記の発酵処理途中や、発酵終了後で得られた菌群を抽出し、或いは発酵床の一部を種菌とし、乾燥オカラ以外の粉砕トウモロコシ、脱脂大豆ミール、米糠に加水したもの主成分とした発酵床(第一原料)とし、各種の第二原材を使用する単独発酵処理も可能であり、特に前記したとおり穀物中の燐分に付着するフィチン酸をイノシトールに変化させ、家畜の飼料として優れた効果(成育効果・排泄物消臭効果)を有するものとなるものである。
【0086】
更にイカ肝臓と脱脂大豆ミールを4対6で混合し、前記の抽出菌群を使用して75℃発酵を停止後、加温乾燥して水分10%程度に製出したものは、魚類の飼料原料として魚粉に代わる働きをし、魚類も順調に成育することが確認できた。
【0087】
以上のように本発明の発酵システムは、マイナス5〜90℃を越える温度帯の発酵を非加熱で促進させる画期的バッチ式発酵システムで、低温域でのスターターとなりえる乳酸桿菌、その他炭酸ガスを発生させる菌の働きにより補助され、嫌気的に酸化脂肪、酸化鉄酸化マグネシウム等を還元する菌、またカロチノイド(ノストキサンチン)や有用酵素を生成する菌群は、30℃を越える領域で順次死滅し、胞子化し、その役目を終えるもので、その後バチルス属菌の働きにより、好気的に発酵を繰り返し、90℃超まで非加熱で発酵を繰り返すものである。現に低中温域で活動した菌群は70℃以上で発酵を終え、製出品からは検出されない。
【0088】
尚本発酵では、タンパク質の含有量の低い粉砕トウモロコシや蟹足殻等の場合には、発酵が遅延し、バクテリアの繁殖に必要な栄養素が少ない物での発酵処理に際しては、補助的に糖質の補給が欠かせない。また低温域での使用菌群は多数あるが、有用で代表的なものを例示すると「Sphingompnas paucimobilis」「Shewanella putrifaciens」が挙げられる。
【0089】
以上の本発明の実施品を飼料、肥料として用いる場合、例えば第二原料として魚介類、卵殻、イカワタ(肥料として使用する場合には適用されない)、紅ズワイ蟹を用いたものを個別に発酵品(飼料・肥料原料)として製造し、それらを任意の割合で混合することもできるし、発酵品の種類や混合割合を変えることによって、養魚用や家畜用、野菜・果実用肥料などそれぞれの用途に適した飼料、肥料を容易に作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施装置の簡易な説明図。
【図2】同実施例A飼料の分析表。
【図3】同実施例B飼料の分析表。
【図4】同実施例C飼料の分析表。
【図5】同実施例F肥料の施肥効果の説明図。
【符号の説明】
【0091】
1 発酵槽
2 攪拌羽根
3 モータ
4 通気部
5 蓋体
6 送風機
A 肥料液散布2日後の状態の植物の説明図。
B 肥料非散布の2日後の状態の植物の説明図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥オカラを主原料とする発酵処理床に、バチルス属が主成分で低温菌と好熱菌を含む耐熱性の複合菌である種菌を植え付け、その他の発酵処理対象物を所定量加え、所定時間強制空気供給を行わずに混合攪拌して好気発酵処理し、前記発酵処理後に所定の乾燥を行ってなることを特徴とする飼料及び肥料の製造方法。
【請求項2】
発酵処理床が、大豆ミール、米ぬか、ふすま等の副原料を一種又は適宜組み合わせ、少なくとも乾燥オカラが重量比で30%以上を含んで構成した請求項1記載の飼料及び肥料の製造方法。
【請求項3】
発酵処理対象物が、魚介類加工残渣やその他の魚介類である請求項1または2記載の飼料及び肥料の製造方法。
【請求項4】
甲殻類等のキチン・キトサンを含む発酵処理対象物を使用してなる請求項3記載の飼料及び肥料の製造方法。
【請求項5】
適宜な発酵処理対象物を使用して90〜95℃で発酵を終了してなる請求項3記載の飼料及び肥料の製造方法。
【請求項6】
発酵処理対象物が、繭玉を取り除いた蛹である請求項1または2記載の飼料及び肥料の製造方法。
【請求項7】
乾燥オカラを主原料とする発酵処理床に、バチルス属が主成分で低温菌と好熱菌を含む耐熱性の複合菌である種菌を植え付け、紅ズワイ蟹の殻等の甲殻を主材料とする発酵処理対象物を所定量加え、所定時間強制空気供給を行わずに混合攪拌し、80℃以上まで発酵させる好気発酵処理し、前記発酵処理後に所定の乾燥を行ってなることを特徴とする飼料及び肥料の製造方法。
【請求項8】
乾燥オカラを主原料とする発酵処理床に、バチルス属が主成分で低温菌と好熱菌を含む耐熱性の複合菌である種菌を植え付け、イカワタ、紅鮭、えび,沖アミ、甲殻類の殻等のアスタキサンチンを含む発酵処理対象物を所定量加え、所定時間強制空気供給を行わずに混合攪拌して好気発酵処理し、発酵処理後に所定の乾燥を行ってなることを特徴とする飼料の製造方法。
【請求項9】
乾燥オカラを主原料とする発酵処理床に、バチルス属が主成分で低温菌と好熱菌を含む耐熱性の複合菌である種菌を植え付け、紅鮭、えび,沖アミ、甲殻類の殻等のアスタキサンチンを含む発酵処理対象物を所定量加え、所定時間強制空気供給を行わずに混合攪拌して好気発酵処理し、発酵処理後に所定の乾燥を行ってなることを特徴とする肥料の製造方法。
【請求項10】
乾燥オカラを主原料とする発酵処理床に、バチルス属が主成分で低温菌と好熱菌を含む耐熱性の複合菌である種菌を植え付け、イカワタを主材料とするアスタキサンチンを含む発酵処理対象物を所定量加え、所定時間強制空気供給を行わずに混合攪拌して好気発酵処理し、70℃以下で発酵を終了させ、前記発酵処理後に所定の乾燥を行ってなることを特徴とする飼料の製造方法。
【請求項11】
乾燥オカラを主原料とする発酵処理床に、バチルス属が主成分で低温菌と好熱菌を含む耐熱性の複合菌である種菌を植え付け、紅ズワイ蟹の殻等の甲殻を主材料とするアスタキサンチンを含む発酵処理対象物を所定量加え、所定時間強制空気供給を行わずに混合攪拌して好気発酵処理し、約80℃で発酵を抑止し、前記発酵処理後に所定の乾燥を行ってなることを特徴とする飼料及び肥料の製造方法。
【請求項12】
乾燥オカラを主原料とする発酵処理床に、バチルス属が主成分で低温菌と好熱菌を含む耐熱性の複合菌である種菌を植え付け、必要に応じて適宜な水分調整を行ってなる卵殻、豚骨、マグロ頭部等のCa成分を多量に含有した発酵処理対象物を所定量加え、所定時間強制空気供給を行わずに混合攪拌して好気発酵処理し、発酵処理後に所定の乾燥を行ってなることを特徴とする飼料及び肥料の製造方法。
【請求項13】
蜜蜂の巣の一部であるプロポリス抽出滓を発酵処理対象物の0.14〜0.2%添加してなる請求項1乃至12記載のいずれかの飼料及び肥料の製造方法。
【請求項14】
乾燥オカラを主原料とする発酵処理床に、バチルス属が主成分で低温菌と好熱菌を含む耐熱性の複合菌である種菌を植え付け、魚介類加工残渣、魚介類、その他の発酵処理対象物を所定量加え、所定時間強制空気供給を行わずに混合攪拌して好気発酵処理し、前記発酵処理後に所定の乾燥を行って製出した粉末体からなることを特徴とする飼料及び肥料。
【請求項15】
甲殻類等のキトサンを含む発酵処理対象物を使用して製出した粉末体からなる請求項14記載の飼料及び肥料。
【請求項16】
乾燥オカラを主原料とする発酵処理床に、バチルス属が主成分で低温菌と好熱菌を含む耐熱性の複合菌である種菌を植え付け、紅ズワイ蟹の殻等の甲殻を主材料とする発酵処理対象物を所定量加え、所定時間強制空気供給を行わずに混合攪拌し、約80℃以上まで発酵させる好気発酵処理し、前記発酵処理後に所定の乾燥を行って製出した粉末体からなることを特徴とする飼料及び肥料。
【請求項17】
乾燥オカラを主原料とする発酵処理床に、バチルス属が主成分で低温菌と好熱菌を含む耐熱性の複合菌である種菌を植え付け、イカワタ、紅鮭、えび、沖アミ、甲殻類の殻等のアスタキサンチンを含む発酵処理対象物を所定量加え、所定時間強制空気供給を行わずに混合攪拌して好気発酵処理し、発酵処理後に所定の乾燥を行って製出した粉末体からなることを特徴とする飼料。
【請求項18】
乾燥オカラを主原料とする発酵処理床に、バチルス属が主成分で低温菌と好熱菌を含む耐熱性の複合菌である種菌を植え付け、紅鮭、えび、沖アミ、甲殻類の殻等のアスタキサンチンを含む発酵処理対象物を所定量加え、所定時間強制空気供給を行わずに混合攪拌して好気発酵処理し、発酵処理後に所定の乾燥を行って製出した粉末体からなることを特徴とする肥料。
【請求項19】
乾燥オカラを主原料とする発酵処理床に、バチルス属が主成分で低温菌と好熱菌を含む耐熱性の複合菌である種菌を植え付け、イカワタを主材料とするアスタキサンチンを含む発酵処理対象物を所定量加え、所定時間強制空気供給を行わずに混合攪拌して好気発酵処理を行い、70℃以下で発酵を終了させ、前記発酵処理後に所定の乾燥を行って製出した粉末体からなることを特徴とする飼料及び肥料。
【請求項20】
乾燥オカラを主原料とする発酵処理床に、バチルス属が主成分で低温菌と好熱菌を含む耐熱性の複合菌である種菌を植え付け、紅ズワイ蟹の殻等の甲殻を主材料とするアスタキサンチンを含む発酵処理対象物を所定量加え、所定時間強制空気供給を行わずに混合攪拌して好気発酵処理し、約80℃で発酵を抑止し、前記発酵処理後に所定の乾燥を行って製出した粉末体からなることを特徴とする飼料及び肥料。
【請求項21】
乾燥オカラを主原料とする発酵処理床に、バチルス属が主成分で低温菌と好熱菌を含む耐熱性の複合菌である種菌を植え付け、紅ズワイ蟹の殻等の甲殻を主材料とする発酵処理対象物を所定量加え、所定時間強制空気供給を行わずに混合攪拌して好気発酵処理し、90〜95℃で発酵を終了して、前記発酵処理後に所定の乾燥を行って製出した粉末体からなることを特徴とする飼料及び肥料。
【請求項22】
乾燥オカラを主原料とする発酵処理床に、バチルス属が主成分で低温菌と好熱菌を含む耐熱性の複合菌である種菌を植え付け、卵殻、豚骨、マグロ頭部等のCa成分を多量に含有した発酵処理対象物を所定量加え、所定時間強制空気供給を行わずに混合攪拌して好気発酵処理し、発酵処理後に所定の乾燥を行って製出した粉末体からなることを特徴とする飼料及び肥料。
【請求項23】
請求項14乃至21記載の粉末体を適宜選択して混合してなる飼料及び肥料。
【請求項24】
乾燥オカラを主原料とする発酵処理床に、バチルス属が主成分で低温菌と好熱菌を含む耐熱性の複合菌である種菌を植え付け、繭玉を取り除いた後の蛹又は前記蛹の粉砕品である発酵処理対象物を所定量加え、所定時間強制空気供給を行わずに混合攪拌して好気発酵処理し、発酵処理後に所定の乾燥を行って製出した粉末体からなることを特徴とする飼料。
【請求項25】
製出した粉末体を適宜な繋ぎ材を添加して所望の大きさに造粒した請求項12乃至20記載のいずれかの飼料及び肥料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−113652(P2008−113652A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75871(P2007−75871)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(501204422)
【出願人】(505188814)
【出願人】(506343759)日本アフセップ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】