説明

駆動モータ保持装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】組み付け精度を高く維持しつつ駆動モータを駆動モータ保持装置に組み付ける作業性を向上させること。
【解決手段】画像形成装置における駆動モータ保持装置100は、モータ本体部301を収容可能な収容部120と、モータ本体部301が収容部120に収容された状態における駆動モータ300の後端面303に対して、前後方向に所定の隙間をおいて位置されるように、形成された後端リブ部130と、円筒部304において収容部120側と反対の上側側面304aに接触可能に、後端リブ部130の先端部近傍から、後端リブ部130における収容部120側に延びる第1接触部142と、駆動モータ300の後端面303に接触可能に、後端リブ部130よりも収容部120側に位置するように後端リブ部130に形成された第2接触部146と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動モータ保持装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置は、一般的に、複数の像担持体(感光体ドラム)と、像担持体に形成された静電潜像をトナー画像に変換する現像器と、像担持体に形成されたトナー画像を用紙等の被転写材に転写する転写部と、被転写材に転写されたトナー画像を被転写材に定着させる定着部と、を備える。
【0003】
画像形成装置には、各種の駆動モータが設置されている。そして、各種の駆動モータは、画像形成装置の装置本体に設けられた駆動モータ保持装置によって保持されている。
【0004】
画像形成装置においては、高画質化や低価格化が要求されており、これらの要求に伴って、駆動モータ保持装置にも、駆動モータの組み付け寸法の精度を高く維持しつつ簡単に駆動モータを組み付けられる構造が求められる。
【0005】
従来、組み付け精度を高く維持するために、駆動モータ保持装置は、駆動モータ保持装置の所定箇所にビス止め穴を有し、駆動モータも、駆動モータの所定箇所にビス止め穴を有する。駆動モータは、両者のビス孔にビスを通して、駆動モータ保持装置に組み付けられる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−171411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
駆動モータを組み付ける作業においては、例えば、駆動モータの出力軸に設けられたウォーム歯車と、駆動モータ保持装置のベース部に回転可能に設けられたウォームホイール歯車とを噛合させるために、駆動モータのモータ本体部を、出力軸の周りに回転させることがある。しかし、特許文献1に記載の駆動モータ保持装置では、駆動モータの保持をビス止めだけで行っているので、ビスを緩めると、駆動モータの保持が解除される。したがって、駆動モータの保持を維持した状態で、駆動モータのモータ本体部を、出力軸の周りに回転させることがほとんどできないので、駆動モータを組み付ける作業の手間がかかる。
【0008】
本発明は、組み付け精度を高く維持しつつ駆動モータを駆動モータ保持装置に組み付ける作業性を向上させることができる駆動モータ保持装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、前記駆動モータ保持装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、モータ本体部と、前記モータ本体部の一方に配置された出力軸と、前記モータ本体部の他方の側面である後端面に形成された円筒状の円筒部とを備える駆動モータを保持する、画像形成装置における駆動モータ保持装置であって、ベース部と、前記ベース部に形成され、前記モータ本体部を収容可能な収容部と、前記モータ本体部が前記収容部に収容された状態における前記駆動モータの前記後端面に対して、前記出力軸の延びる前後方向に所定の隙間をおいて位置されるように、前記ベース部に形成された後端リブ部と、前記モータ本体部が前記収容部に収容された状態における前記円筒部において前記収容部側と反対の側面である上側側面に接触可能に、前記後端リブ部の先端部近傍から、前記前後方向において前記後端リブ部における前記収容部側に延びる第1接触部と、前記モータ本体部が前記収容部に収容された状態における前記駆動モータの前記後端面に接触可能に、前記前後方向において前記後端リブ部よりも前記収容部側に位置するように前記後端リブ部に形成された第2接触部と、を備える、画像形成装置における駆動モータ保持装置に関する。
【0011】
前記モータ本体部は、前記後端面の周囲に前記前後方向に延びるエッジ部を有し、前記所定の隙間は、前記前後方向において、前記エッジ部の長さより大きいことが好ましい。
【0012】
前記後端リブ部には、前記円筒部が挿通可能な挿通孔が形成されており、前記第1接触部は、前記挿通孔の開口近傍に形成されていることが好ましい。
【0013】
前記ベース部は、前記前後方向において前記後端リブ部の前記収容部側に形成された貫通孔を有することが好ましい。
【0014】
前記モータ本体部は、前記モータ本体部の一方の側面である前端面に形成された凹部を有し、前記駆動モータ保持装置は、さらに、前記ベース部における前記前後方向において前記収容部の前記後端リブ部とは反対側に形成された前端リブ部と、前記前端リブ部の前記前後方向において前記収容部側に形成され、前記モータ本体部が前記収容部に収容された状態における前記凹部に係合するフック部と、を備えることが好ましい。
【0015】
また、本発明は、表面に静電潜像が形成される1又は複数の像担持体と、前記1又は複数の像担持体に形成された静電潜像にトナー画像を現像する現像器と、前記像担持体に形成されたトナー画像を直接的又は間接的に被転写材に転写する転写部と、前記被転写材に転写されたトナー画像を前記被転写材に定着させる定着部と、上述の画像形成装置における駆動モータ保持装置と、を備える画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、組み付け精度を高く維持しつつ駆動モータを駆動モータ保持装置に組み付ける作業性を向上させることができる駆動モータ保持装置を提供することができる。
また、本発明によれば、前記駆動モータ保持装置を備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態であるプリンタ1の各構成要素の配置を説明するための図である。
【図2】図1に示すプリンタ1の装置本体Mに組み付けられる駆動モータ保持装置100の部分斜視図である。
【図3】図2に示した駆動モータ保持装置100の一部を断面にした部分斜視図である。
【図4】図3に示した駆動モータ保持装置100の一部断面の拡大図である。
【図5】図2に示した駆動モータ保持装置100の他の一部を拡大した部分斜視図である。
【図6】図2に示した駆動モータ保持装置100に駆動モータ300を組み付ける手順を説明する部分斜視図である。
【図7】図2に示した駆動モータ保持装置100に組み付けられる駆動モータ300の斜視図である。
【図8】本発明の駆動モータ保持装置の別の実施形態の部分斜視図である。
【図9】本発明の駆動モータ保持装置のさらに別の実施形態の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態を説明する。
図1により、第1実施形態の画像形成装置としてのプリンタ1における全体構造を説明する。図1は、本発明の第1実施形態としてのプリンタ1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。
【0019】
以下の説明において、プリンタ1の前側に立ったユーザから見て、左右方向を矢印Xの方向とし、載置方向を矢印Zの方向とし、矢印X及び矢印Zと直角の方向を前後(奥行き)方向とする。
【0020】
<プリンタ>
図1に示すように、画像形成装置としてのプリンタ1は、装置本体Mと、所定の画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tにトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHとを有する。
【0021】
装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成されている。
【0022】
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2a、2b、2c、2dと、帯電部10a、10b、10c、10dと、露光ユニットとしてのレーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dと、現像器16a、16b、16c、16dと、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dと、トナー供給部6a、6b、6c、6dと、ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dと、除電器12a、12b、12c、12dと、中間転写ベルト7と、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dと、2次転写ローラ8と、対向ローラ18と、定着部9と、を備える。
【0023】
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラ対80と、複数のローラ又はローラ対と、排紙部50と、を備える。なお、搬送路Lは、後述するように、第1搬送路L1と、第2搬送路L2と、第3搬送路L3と、手差し搬送路Laと、戻り搬送路Lbとの集合体である。
【0024】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
<画像形成部>
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、画像形成時に感光体ドラム2a、2b、2c、2dが回転すると順に、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対して、帯電部10a、10b、10c、10dによる帯電、レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dによる露光、現像器16a、16b、16c、16dによる現像、中間転写ベルト7及び1次転写ローラ37a、37b、37c、37dによる1次転写、除電器12a、12b、12c、12dによる除電、及びドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dによるクリーニングが行われる。
【0025】
また、画像形成部GKにおいては、中間転写ベルト7、2次転写ローラ8及び対向ローラ18による2次転写、並びに定着部9による定着が行われる。
【0026】
感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、中間転写ベルト7の進行方向に対して直交する方向(前後方向)に延びる回転軸を中心に、図1に示した矢印の方向に回転可能に配置されている。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面には、静電潜像が形成され得る。
【0027】
帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置されている。帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を一様に正(プラス極性)に帯電させる。
【0028】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dは、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面から離間して配置されている。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成されている。
【0029】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれにより走査露光されることで、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面の露光された部分の電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に静電潜像が形成される。
【0030】
現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dにそれぞれ対応して設けられ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置されている。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成された静電潜像の帯電電荷が除去された箇所に各色のトナーを付着させて、カラーのトナー画像を感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの色に対応する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向配置された現像ローラ、トナー攪拌用の攪拌ローラ等を有して構成されている。
【0031】
トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対応して設けられており、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、イエローのトナー、シアンのトナー、マゼンタのトナー、ブラックのトナーを収容する。
【0032】
トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれは、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5d及び現像器16a、16b、16c、16dにそれぞれ対応して設けられており、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれに収容された各色のトナーを、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給する。トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれと現像器16a、16b、16c、16dそれぞれとは、トナー搬送装置(図示せず)によって結ばれている。
【0033】
中間転写ベルト7には、感光体ドラム2a、2b、2c、2dに形成された各色のトナー画像が順次1次転写される。中間転写ベルト7は、従動ローラ35、駆動ローラとして機能する対向ローラ18、テンションローラ36等に掛け渡されている。テンションローラ36が中間転写ベルト7を内側から外側に付勢するため、中間転写ベルト7には所定の張力が与えられる。
【0034】
中間転写ベルト7を挟んで感光体ドラム2a、2b、2c、2dと反対の側には、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれが対向して配置されている。
【0035】
中間転写ベルト7は、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれと、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれとにより挟み込まれる。この挟み込まれた部分は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面に押し当てられる。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれと1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれとの間で、それぞれ1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dが形成されている。1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dそれぞれにおいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに形成された各色のトナー画像が中間転写ベルト7に順次1次転写される。これにより、中間転写ベルト7には、フルカラーのトナー画像が形成される。
【0036】
1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれには、不図示の1次転写バイアス印加部により、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに形成された各色のトナー画像を中間転写ベルト7に転写させるための1次転写バイアスが印加される。
【0037】
除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置されている。除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に光を照射することにより、1次転写が行われた後の感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を除電する(電荷を除去する)。
【0038】
ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置されている。ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に1次転写後に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
【0039】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる。2次転写ローラ8には、不図示の2次転写バイアス印加部により、中間転写ベルト7に形成されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに転写させるための2次転写バイアスが印加される。
【0040】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に対して当接したり離間したりする。具体的には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に当接される当接位置と中間転写ベルト7から離間する離間位置とに移動可能に構成されている。詳細には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7の表面に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる場合には当接位置に配置され、他の場合には離間位置に配置される。
【0041】
中間転写ベルト7における2次転写ローラ8とは反対側には、対向ローラ18が配置されている。中間転写ベルト7は、2次転写ローラ8と対向ローラ18とによって挟み込まれる。そして、用紙Tは中間転写ベルト7の外面(トナー画像が1次転写された面)に押し当てられる。中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間に2次転写ニップN2が形成されている。2次転写ニップN2において、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像が用紙Tに2次転写されている。
【0042】
定着部9は、用紙Tに2次転写されたトナー画像を構成する各色のトナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒータにより加熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟まれた状態で用紙Tが搬送されることによって、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧をされることで用紙Tに定着される。
【0043】
<給排紙部>
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する給紙カセット52が配置されている。給紙カセット52は、装置本体Mのケース体BDから水平方向に引き出し可能に構成されている。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置されている。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容されている。載置板60は、用紙Tの端部(図1において右側の端部)が後述する前送りコロ61に接触するよう、持ち上げられる。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52の用紙送り出し側の端部(図1において右側の端部)に配置されているカセット給紙部51により搬送路Lに送り出されている。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラ対81とからなる重送防止機構を備える。
【0044】
載置板60を持ち上げる駆動力を発揮する駆動モータ300については、後で詳述する。
【0045】
装置本体Mの右側面(図1において右側)には、手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされている用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの右側面の一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端が給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に組み付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置されている。給紙コロ66は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
【0046】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から2次転写ニップN2までの第1搬送路L1と、2次転写ニップN2から定着部9までの第2搬送路L2と、定着部9から排紙部50までの第3搬送路L3と、手差し給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を下流側から上流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻り搬送路Lbと、を備える。
【0047】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
【0048】
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻り搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、戻し搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部である。
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と2次転写ニップN2との間)には、用紙Tを検出するための用紙検出センサ(図示せず)と、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とタイミングを合わせるためのレジストローラ対80とが配置されている。前記用紙検出センサは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラ対80の直前(搬送方向における上流側)に配置されている。レジストローラ対80は、前記用紙検出センサからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
【0049】
第1搬送路L1における第1合流部P1と第2合流部P2との間には、中間ローラ対82が配置されている。中間ローラ対82は、給紙ローラ対81に関して用紙搬送方向の下流側に配置され、給紙ローラ対81より搬送されている用紙Tを挟持して、レジストローラ対80へ搬送する。
【0050】
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(未印刷面)を中間転写ベルト7に対向させるために設けられた搬送路である。戻し搬送路Lbによって、第1分岐部Q1から排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第1搬送路L1に戻して、2次転写ローラ8の上流側に配置されたレジストローラ対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、2次転写ニップN2において未印刷面に対してトナー画像が転写されている。
【0051】
第1分岐部Q1には、整流部材58が設けられている。整流部材58は、定着部9から搬出され第3搬送路L3を上流側から下流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、排紙部50に向かう方向に整流すると共に、排紙部50から第3搬送路L3を下流側から上流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、戻し搬送路Lbに向かう方向に整流する。
【0052】
第3搬送路L3における端部には、排紙部50が形成されている。排紙部50は、装置本体Mの上部に配置されている。排紙部50は、装置本体Mの左側面側(図1において左側)に向けて開口している。排紙部50は、用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50は、排出ローラ対53を有している。排出ローラ対53によって、第3搬送路L3を上流側から下流側に搬送されている用紙Tを装置本体Mの外部に排紙すると共に、排紙部50において用紙Tの搬送方向を反転させて用紙Tを第3搬送路L3の上流側に向けて搬送することができる。
【0053】
排紙部50の開口側には、排紙集積部M1が形成されている。排紙集積部M1は、装置本体Mの上面(外面)に形成されている。排紙集積部M1は、装置本体Mの上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mの上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定のトナー画像が形成され排紙部50から排紙された用紙Tが積層して集積される。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサ(不図示)が配置されている。
【0054】
<プリンタ1の動作の説明>
次に、図1を参照して、第1実施形態のプリンタ1の動作について、簡単に説明する。
まず、給紙カセット52に収容された用紙Tに片面印刷を行う場合について説明する。
給紙カセット52に収容された用紙Tは、前送りコロ61及び給紙ローラ対81によって第1搬送路L1に送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、中間ローラ対82により、レジストローラ対80に搬送される。
【0055】
レジストローラ対80においては、用紙Tのスキュー補正や、画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とのタイミング調整が行われる。
【0056】
レジストローラ対80から排出された用紙Tは、第1搬送路L1を介して中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間(2次転写ニップN2)に導入される。そして、用紙Tには、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間において、トナー画像が転写される。
【0057】
その後、用紙Tは、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間から排出され、第2搬送路L2を介して、定着部9における加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間の定着ニップに導入される。そして、定着ニップにおいてトナーが溶融し、トナーが用紙Tに定着される。
【0058】
次いで、用紙Tは、第3搬送路L3を通して排紙部50に搬送され、排出ローラ対53により排紙部50から排紙集積部M1に排出される。
【0059】
このようにして、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷が完了する。
手差しトレイ65に載置された用紙Tに片面印刷を行う場合には、手差しトレイ65に載置された用紙Tは、給紙コロ66によって手差し搬送路Laに送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、レジストローラ対80に搬送される。それ以降の動作は、前述した、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷の動作と同様であり、説明を省略する。
【0060】
<両面印刷を行う場合のプリンタ1の動作の説明>
次に、両面印刷を行う場合のプリンタ1の動作について説明する。
片面印刷の場合には、前述した通り、片面印刷がされた用紙Tが、排紙部50から排紙集積部M1に排出されて印刷動作が完了する。
【0061】
これに対し、両面印刷を行う場合には、片面印刷がされた用紙Tが、戻し搬送路Lbを介して、片面印刷時とは表裏反転して、レジストローラ対80に再度搬送されることにより、用紙Tに両面印刷が施される。
【0062】
詳述すると、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラ対53により排紙部50から排出されるまでは、前述した片面印刷の動作と同様である。而して、両面印刷の場合には、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラ対53により保持されている状態において、排出ローラ対53の回転を停止させ、逆方向に回転させる。このように排出ローラ対53を逆方向に回転させると、排出ローラ対53に保持されている用紙Tは、第3搬送路L3を逆方向(排紙部50から第1分岐部Q1に向かう方向)に搬送される。
【0063】
前述したように、用紙Tが、第3搬送路L3を逆方向に搬送されると、整流部材58により、用紙Tは、戻し搬送路Lbへ整流され、その後、第2合流部P2を介して、第1搬送路L1に合流する。ここで、用紙Tは、片面印刷時とは表裏反転している。
【0064】
さらに、用紙Tは、レジストローラ対80により前記補正又は前記調整が行われ、第1搬送路L1を介して、2次転写ニップN2に導入される。用紙Tは、戻し搬送路Lbを経由することにより、未印刷面が中間転写ベルト7に対向するので、未印刷面にトナー画像が転写され、その結果、両面印刷が施される。
【0065】
<駆動モータ保持装置>
次に、図1から図7を参照して、駆動モータ保持装置100及び駆動モータ保持装置100に保持される駆動モータ300の詳細について、説明する。
図2は、図1に示すプリンタ1の装置本体Mに組み付けられる駆動モータ保持装置100の部分斜視図である。図3は、図2に示した駆動モータ保持装置100の一部を断面にした部分斜視図である。図4は、図3に示した駆動モータ保持装置100の一部断面の拡大図である。図5は、図2に示した駆動モータ保持装置100の他の一部を拡大した部分斜視図である。図6は、図2に示した駆動モータ保持装置100に駆動モータ300を組み付ける手順を説明する部分斜視図である。図7は、図2に示した駆動モータ保持装置100に組み付けられる駆動モータ300の斜視図である。
【0066】
以下の説明では、図7に示すように、駆動モータ300の出力軸308の延びる方向において、モータ本体部301の出力軸308側を前方向Fとし、前方向Fとは反対の方向を後方向Bとする。図3に示すように、モータ本体部301を組み付ける方向を組み付け方向Dとし、組み付け方向Dとは反対方向を取り外し方向Uとする。また、前方向Fと後方向Bとを併せて前後方向とし、組み付け方向Dと取り外し方向Uとを併せて着脱方向とする。
【0067】
図1に示すように、駆動モータ保持装置100は、装置本体Mにおける載置板60の下方(矢印Zの方向)に配置されている。駆動モータ保持装置100は、駆動モータ300を取り外し可能に保持する。駆動モータ300は、装置本体Mにおける載置板60を持ち上げるように、作動する。
【0068】
図2から図4に示すように、駆動モータ保持装置100は、ベース部110と、収容部120と、後端リブ部130と、第1接触部142と、第2接触部146と、前端リブ部180と、フック部190とを備える。ベース部110には、貫通孔170が形成されている。
【0069】
<駆動モータ>
まず、駆動モータ保持装置100に組み付けられて保持される駆動モータ300について説明する。
図7に示すように、駆動モータ300は、モータ本体部301と、出力軸308と、円筒部304(図6参照)とを備える。モータ本体部301は、円筒外周面305と、モータ本体部301の一方(前方向F側)の側面である前端面302と、モータ本体部301の他方(後方向B側)の側面である後端面303と、エッジ部306(図6参照)と、凸部309と、凹部310とを備える。
【0070】
モータ本体部301は、略円柱形状を有する。モータ本体部301においては、一方(前方向F側)の側面を前端面302とし、他方(後方向B側)の側面を後端面303とする。
【0071】
円筒外周面305は、前端面302と後端面303との間の高さが寸法Lmの円柱形状に形成されている。
【0072】
エッジ部306は、後端面303の周囲から後方向Bに延びる形状を有する。エッジ部306は、モータ本体部301の円柱側面の外径と略同一の外径の円筒形状を有する。
【0073】
凸部309は、前端面302の中央に円柱形状に形成されている。凸部309の中央からは、出力軸308が延びている。
凹部310は、モータ本体部301の一方の側面である前端面302に形成されている。凹部310は、モータ本体部301が駆動モータ保持装置100の収容部120に載置された状態(後述)において、フック部190に係合するように形成されている。
【0074】
出力軸308は、モータ本体部301の一方(前方向F側)に配置されている。
出力軸308には、ウォームギア307が相対的回転不能に組み付けられている。
ウォームギア307は、モータ本体部301が駆動モータ保持装置100の収容部120に収容された状態において、ウォームホイール401(後述)に噛合するように出力軸308に組み付けられている。
【0075】
円筒部304は、後端面303の中央に後方向Bに延びる円筒形状を有する。円筒部304において、モータ本体部301が収容部120に収容された状態における円筒部304の収容部120側と反対の側面(取り外し方向U側の側面)を、上側側面304a(図4参照)とする。
【0076】
<駆動モータ保持装置の各構成>
次に、駆動モータ保持装置100の各構成について説明する。
<ベース部>
ベース部110について説明する。
図2に示すように、ベース部110は、基礎となる板状部111、板状部111を補強する複数のリブ部112、複数のウォームホイール401等をそれぞれ回転可能に支持する複数の支持部113等を備える。ベース部110は、例えば、弾性を有する樹脂材料で一体的に形成されている。
【0077】
また、ベース部110が樹脂材料で形成されている場合、駆動モータ300を取り付ける作業の際における組立工数を減らすために、ベース部110は、駆動モータ300のモータ本体部301を保持するスナップフィット部(図示せず)を有してもよい。
【0078】
<収容部>
次に、収容部120について説明する。
図2に示すように、収容部120は、モータ本体部301を収容することができるように、ベース部110に形成されている。
図6に示すように、収容部120は、モータ本体部301をベース部110における取り外し方向U側の位置から収容できるように、取り外し方向U側が開口している開口部を備える。
【0079】
図6に示すように、収容部120は、モータ本体部301の円柱側面の外径とほぼ同じ大きさの内径を有する円筒内側面121を備える。収容部120の円筒内側面121は、モータ本体部301を収容部120に収容した状態において、モータ本体部301の円筒外周面305の下側(組み付け方向D側)と略面接触するように、ベース部110を有する。
図3に示すように、収容部120は、円筒内側面121の底部の後端リブ部130側(後方向B側)に、着脱方向(組み付け方向D及び取り外し方向U)に貫通する貫通孔170が形成されている。
【0080】
<後端リブ部>
次に、後端リブ部130について説明する。
図3に示すように、後端リブ部130は、ベース部110から取り外し方向Uに延びる板形状の基部131と、基部131の先端近傍に一体的に形成された規制部140とを有する。後端リブ部130の先端近傍には、前後方向(前方向F及び後方向B)に貫通する挿通孔160が形成されている。後端リブ部130の基部131は、後端リブ部130における収容部120側(前方向F側)に内側面132を有する。規制部140は、後端リブ部130において収容部120側(前方向F側)に形成されている。
【0081】
<第1接触部>
次に、第1接触部について説明する。
図4に示すように、第1接触部142は、挿通孔160の一部を構成している。すなわち、第1接触部142は、挿通孔160の内側面の取り外し方向U側に形成される。
第1接触部142は、前後方向(前方向F及び後方向B)に延びる円筒側面形状を形成している。第1接触部142の内径は、円筒部304の外径よりも大きくなるように構成されている。したがって、第1接触部142は、モータ本体部301が収容部120に収容された状態における円筒部304の上側側面304aに接触可能に形成されている。
第1接触部142は、後端リブ部130の先端部近傍(基部131の先端側(取り外し方向U側)近傍及び規制部140の組み付け方向D側近傍)から、後端リブ部130における収容部120側(前方向F側)に延びている。すなわち、第1接触部142は、後端リブ部130の基部131と、基部131の先端部近傍に形成された規制部140とに形成されている。
【0082】
<第2接触部>
次に、第2接触部について説明する。
図4に示すように、第2接触部146は、規制部140の収容部120側(前方向F側)に形成されている。
第2接触部146は、モータ本体部301が収容部120に収容された状態における駆動モータ300の後端面303に接触可能に形成されている。具体的には、第2接触部146は、前後方向(前方向F及び後方向B)において後端リブ部130よりも収容部120側(前方向F側)に位置するように、後端リブ部130の規制部140に形成されている。
後端リブ部130の内側面132は、駆動モータ300の後端面303に対して、後方向Bに所定の隙間δを置くように形成されている。所定の隙間δは、駆動モータ300のエッジ部306の前後方向における長さhよりも大きくされている。したがって、後端リブ部130の内側面132は、モータ本体部301が収容部120に収容された状態における駆動モータ300の後端面303及びエッジ部306に接触しない。
【0083】
<前端リブ部>
次に前端リブ部について説明する。
図6に示すように、前端リブ部180は、ベース部110における前後方向(前方向F及び後方向B)において収容部120の後端リブ部130とは反対側(前方向F)に形成されている。前端リブ部180と後端リブ部130とは、ベース部110において取り外し方向U側に延びるように一体的に形成されている。
前端リブ部180は、内側面184と、スリット182と、フック部190とを備える。
図3に示すように、内側面184は、モータ本体部301が収容部120に収容された状態において、モータ本体部301の前端面302と接触するように形成されている。内側面184は、後端リブ部130の第2接触部146から寸法Wの位置に形成されている。寸法Wは、モータ本体部301の高さLm(図7参照)と略等しい。
図6に示すように、スリット182は、前端リブ部180の前後方向(前方向F及び後方向B)を貫通し、かつ、取り外し方向U側に開口する形状を有する。
図3に示すように、モータ本体部301が収容部120に収容された状態において、スリット182は、前端リブ部180の取り外し方向U側に凸部309が入り込むことができるように形成されている。
【0084】
<フック部>
次に、フック部190について説明する。
図6に示すように、フック部190は、前端リブ部180の前後方向において収容部120側(後方向B側)に形成されている。フック部190は、モータ本体部301が収容部120に収容された状態における凹部310に係合するように、前端リブ部180に形成されている。したがって、凹部310及びフック部190は、それぞれ、位置決め穴及びボスとして作用する。
【0085】
<駆動モータの組み付け手順>
次に、駆動モータ保持装置100に駆動モータ300を組み付けて保持させる手順を説明する。組み付け手順は、まず、駆動モータ300のモータ本体部301に載置する載置ステップを行い、次に、モータ本体部301を出力軸308の周りに若干回転させる回転ステップを行う。以下、駆動モータの組み付け手順を詳細に説明する。
【0086】
<モータ本体部301を収容部に収容する前の状態>
まず、図6に示すように、作業者は、駆動モータ300をベース部110の収容部120における取り外し方向U側の位置に配置する。このとき、作業者は、モータ本体部301の後方向B側が若干下がった状態になるように、モータ本体部301を保持する。
次に、作業者は、モータ本体部301を収容部120の側(組み付け方向D側)に略平行に動かす。このとき、モータ本体部301は、モータ本体部301の後方向B側が若干下がっているので、まず、モータ本体部301の後方向B側にあるエッジ部306が、貫通孔170の取り外し方向U側の開口に接触する。
このとき、エッジ部306の組み付け方向D側の一部が貫通孔170の内部に入るので、着脱方向(組み付け方向D及び取り外し方向U)におけるモータ本体部301の円筒部304の位置は、挿通孔160の位置より若干低い位置になる。そして、前後方向(前方向F及び後方向B)における円筒部304の先端の位置は、挿通孔160の前方向F側の開口近傍に位置する。
【0087】
<モータ本体部301を収容部120に載置させているときの状態(載置ステップ)>
さらに、作業者は、モータ本体部301を組み付け方向Dに移動させると、モータ本体部301の後方向B側及び前方向F側は、以下に説明するような状態になる。
【0088】
<モータ本体部301の後方向B側の状態>
モータ本体部301の後方向B側では、円筒部304の先端が挿通孔160の中に挿入されると共に、後端面303が第2接触部146に接触する。以下に詳細に説明する。
後方向B側が下がっていたモータ本体部301は、モータ本体部301が収容部120に対して略平行になるように、傾く。すなわち、着脱方向(組み付け方向D及び取り外し方向U)において、モータ本体部301の前方向F側の端部の位置が、後方向B側の端部の位置と同じになるように、下がる。
このとき、図3及び図4に示すように、モータ本体部301の円筒部304の先端が後端リブ部130の挿通孔160の中に挿入されると共に、モータ本体部301の後端面303が後方向Bに若干移動し、やがては、後端面303が第2接触部146に接触する。つまり、円筒部304が挿通孔160に挿通されると、モータ本体部301は、着脱方向には、移動不能であるが、回転可能に、後端リブ部130に保持された状態になる。
また、このとき、作業者は、収容部120を着脱方向(組み付け方向D及び取り外し方向U)に貫通している貫通孔170を介して、円筒部304が挿通孔160に挿通されている状態を視認することができる。また、駆動モータ300の作動により円筒部304近傍で生じた熱は、貫通孔170を介して、ベース部110の組み付け方向Dに逃げていく。
【0089】
<モータ本体部301の前方向F側の状態>
モータ本体部301の前方向F側では、凸部309が、スリット182の間に配置される。以下に詳細に説明する。
後方向B側が下がっていたモータ本体部301が収容部120に対して略平行になるように傾くと、モータ本体部301の前端面302に形成されている凸部309は、組み付け方向D側に移動してくる。そして、図3に示すように、凸部309は、前端リブ部180に形成されているスリット182の間に配置される。これにより、凸部309は、スリット182の開放している方向(取り外し方向U)に直角の方向(着脱方向及び前後方向に直角の方向)にはほとんど移動できない。しかし、モータ本体部301は、出力軸308の周りを回転することができる。つまり、モータ本体部301は出力軸308の周りに回転可能に保持される。したがって、凸部309がスリット182の間に配置されることにより、前端リブ部180に対する凸部309の位置決めがされる。
【0090】
<載置後のモータ本体部301の状態(回転ステップ)>
次に、作業者は、駆動モータ300を出力軸308の周りに回転させる。これにより、モータ本体部301に形成されている凹部310が出力軸308を中心とする円上を移動し、やがては、前端リブ部180のフック部190が凹部310に入り込む。これにより、モータ本体部301の出力軸308の周りの回転が規制され、駆動モータ300は、駆動モータ保持装置100に保持される。
このとき、所定の隙間δがエッジ部306の高さhよりも大きいので、エッジ部306の先端は、第2接触部146には接触しない。このため、作業者は、出力軸308の周りのモータ本体部301の回転を容易に行うことができる。
また、モータ本体部301の前後方向の寸法の誤差や、後端リブ部130の形成位置の誤差がある場合がある。そのような場合は、モータ本体部301の後端面303と後端リブ部130との間の所定の隙間δがほとんどない。しかし、後端リブ部130は、前後方向(前方向F及び後方向B)に弾性変形するので、モータ本体部301の前後方向(前方向F及び後方向B)の誤差を吸収する。
【0091】
上述の駆動モータ保持装置100によれば、ベース部110と、モータ本体部301を収容可能な収容部120と、駆動モータ300の後端面303に対して、出力軸308の延びる前後方向(前方向F及び後方向B)に所定の隙間δをおいて位置されるように、ベース部110に形成された後端リブ部130と、円筒部304において収容部120側と反対の側面である上側側面304aに接触可能に、後端リブ部130の先端部近傍から、前後方向において後端リブ部130における収容部120側に延びる第1接触部142と、駆動モータ300の後端面303に接触可能に、前後方向において後端リブ部130よりも収容部120側に位置するように後端リブ部130に形成された第2接触部146と、を備える。このため、駆動モータ300の上側側面304a及び後端面303がそれぞれ、第1接触部142及び第2接触部146に接触するので、モータ本体部301の位置決めの精度を高く維持できる。
【0092】
また、モータ本体部301は、後端面303の周囲に前後方向に延びるエッジ部306を有している場合であっても、所定の隙間δは、前後方向において、エッジ部306の長さより大きいので、エッジ部306が第2接触部146に接触することがない。したがって、作業者は、出力軸308の周りのモータ本体部301の回転を容易に行うことができる。
【0093】
また、後端リブ部130には、円筒部304が挿通可能な挿通孔160が形成されており、第1接触部142は、挿通孔160の開口近傍に形成されているので、モータ本体部301は、着脱方向には、移動不能であるが、回転可能に、後端リブ部130に保持される。
【0094】
また、ベース部110は、前後方向において後端リブ部130の収容部120側(前方向F側)に形成された貫通孔170を有するので、作業者は、収容部120を着脱方向に貫通している貫通孔170を介して、円筒部304が挿通孔160に挿通されている状態を視認することができる。また、駆動モータ300の作動により円筒部304の近傍で生じた熱を、貫通孔170を介して、ベース部110組み付け方向Dに逃がすことができる。
【0095】
駆動モータ保持装置100は、さらに、ベース部110における前後方向において収容部120の後端リブ部130とは反対側に形成された前端リブ部180と、前端リブ部180の前後方向において収容部120側(後方向B側)に形成され、モータ本体部301が収容部120に収容された状態における凹部310に係合するフック部190と、を備える。このため、モータ本体部301を出力軸308の周りに回転させると、やがて、前端リブ部180のフック部190が凹部310に入り込む。これにより、モータ本体部301は、出力軸308の周りの回転が規制され、駆動モータ300を、駆動モータ保持装置100に組み付け、保持することができる。
【0096】
<別の駆動モータ保持装置>
次に、別の駆動モータ保持装置100aについて説明する。
図8は、本発明の駆動モータ保持装置の別の実施形態の部分斜視図である。
図8に示すように、別の駆動モータ保持装置100aは、後端リブ部130aの形状が、駆動モータ保持装置100の後端リブ部130の形状と異なる以外は、駆動モータ保持装置100と同一であるので、以下、相違点のみを説明する。
後端リブ部130aは、基部131の先端近傍に規制部140aを有する。規制部140aは、収容部120側の側面147に、複数の凸部148を有する。複数の凸部148は、截頭四角錐形状を有する。凸部148の頂部は、後端面303に略線接触(小さい面積で接触)が可能な形状を有する。凸部148は、挿通孔160の開口近傍に規制部140aと一体的に形成されている。
【0097】
次に、駆動モータ保持装置100aに駆動モータ300を組み付ける際(載置ステップ)の駆動モータ保持装置100aの状態を説明する。
作業者がモータ本体部301を後端リブ部130a側である後方向Bに移動させると、モータ本体部301の後端面303が、複数の凸部148の頂部に略線接触する。したがって、複数の凸部148の頂部は、第2接触部として作用する。
このように、複数の凸部148の頂部が後端面303に、略線接触するので、モータ本体部301の回転抵抗が小さくてすむ。このため、作業者は、小さい力で、モータ本体部301を回転させることができるので、駆動モータの組み付け作業を容易にすることができる。
【0098】
<さらに別の駆動モータ保持装置>
次に、さらに別の駆動モータ保持装置100bについて説明する。
図9は、本発明の駆動モータ保持装置のさらに別の実施形態の部分斜視図である。
図9に示すように、さらに別の駆動モータ保持装置100bは、後端リブ部130bの形状が、駆動モータ保持装置100の後端リブ部130の形状と異なる以外は、駆動モータ保持装置100と同一であるので、以下、相違点のみを説明する。
後端リブ部130bは、基部131の先端近傍に規制部140bを有する。規制部140bは、収容部120側の側面147に、U字形状の凸部148bを有する。U字形状の凸部148bの前後方向(前方向F及び後方向B)の断面形状は、台形形状を有する。U字形状の凸部148の頂部は、後端面303に略線接触(小さい面積で接触)が可能な形状を有する。U字形状の凸部148bは、挿通孔160の開口近傍に規制部140bと一体的に形成されている。
【0099】
次に、駆動モータ保持装置100bに駆動モータ300を組み付ける際(載置ステップ)の駆動モータ保持装置100bの状態を説明する。
作業者がモータ本体部301を後端リブ部130b側である後方向Bに移動させると、モータ本体部301の後端面303が、凸部148bの頂部に略線接触する。したがって、凸部148bの頂部は、第2接触部として作用する。
このように、凸部148bが後端面303に略線接触するので、モータ本体部301の回転抵抗が小さくてすむ。このため、作業者は、小さい力で、モータ本体部301を回転させることができるので、駆動モータの組み付け作業を容易にすることができる。
さらに、凸部148bが後端面303に接触した部分の形状は、円筒部304の外形よりも大きい半円形状となっているので、接触の安定度を確保することができる。
【0100】
<他の実施形態>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されていることなく、種々の形態を採用することができる。
本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、コピー機、プリンタ、ファクシミリ、又はこれらの複合機等であってもよい。
本発明の駆動モータ保持機構が保持する駆動モータは、載置板60を上下動させるモータとして説明したが、これに限定されず、給紙ローラ対81、感光体ドラム2a、2b、2c、2d、レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4d、現像器16a、16b、16c、16d、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5d、トナー供給部6a、6b、6c、6d、ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11d、除電器12a、12b、12c、12d、中間転写ベルト7、1次転写ローラ37a、37b、37c、37d、中間転写ベルト7、2次転写ローラ8、加熱回転体9a、又は、加圧回転体9bを回転駆動させるモータであってもよいし、これら以外の部材を回転駆動させるモータであってもよい。
【符号の説明】
【0101】
1……プリンタ(画像形成装置)、100、100a、100b……駆動モータ保持装置、110……ベース部、120……収容部、121……円筒内側面、130、130a、130b……後端リブ部、131……基部、132……後端リブ部の内側面、140、140a、140b……規制部、142……第1接触部、146……第2接触部、148、148b……凸部(第2接触部を有する凸部)、160……挿通孔、170……貫通孔、180……前端リブ部、190……フック部、300……駆動モータ、301……モータ本体部、302……前端面、303……後端面、304……円筒部、304a……上側側面、305……円筒外周面、306……エッジ部、308……出力軸、309……凸部、310……凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ本体部と、前記モータ本体部の一方に配置された出力軸と、前記モータ本体部の他方の端面である後端面に形成された円筒状の円筒部とを備える駆動モータを保持する、画像形成装置における駆動モータ保持装置であって、
ベース部と、
前記ベース部に形成され、前記モータ本体部を収容可能な収容部と、
前記モータ本体部が前記収容部に収容された状態における前記駆動モータの前記後端面に対して、前記出力軸の延びる前後方向に所定の隙間をおいて位置されるように、前記ベース部に形成された後端リブ部と、
前記モータ本体部が前記収容部に収容された状態における前記円筒部において前記収容部側と反対の側面である上側側面に接触可能に、前記後端リブ部の先端部近傍から、前記前後方向において前記後端リブ部における前記収容部側に延びる第1接触部と、
前記モータ本体部が前記収容部に収容された状態における前記駆動モータの前記後端面に接触可能に、前記前後方向において前記後端リブ部よりも前記収容部側に位置するように前記後端リブ部に形成された第2接触部と、を備える、画像形成装置における駆動モータ保持装置。
【請求項2】
前記モータ本体部は、前記後端面の周囲に前記前後方向に延びるエッジ部を有し、
前記所定の隙間は、前記前後方向において、前記エッジ部の長さより大きい、請求項1に記載の画像形成装置における駆動モータ保持装置。
【請求項3】
前記後端リブ部には、前記円筒部が挿通可能な挿通孔が形成されており、
前記第1接触部は、前記挿通孔の開口近傍に形成されている、請求項1又は2に記載の画像形成装置における駆動モータ保持装置。
【請求項4】
前記ベース部は、前記前後方向において前記後端リブ部の前記収容部側に形成された貫通孔を有する、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置における駆動モータ保持装置。
【請求項5】
前記モータ本体部は、前記モータ本体部の一方の側面である前端面に形成された凹部を有し、
前記駆動モータ保持装置は、さらに、前記ベース部における前記前後方向において前記収容部の前記後端リブ部とは反対側に形成された前端リブ部と、
前記前端リブ部の前記前後方向において前記収容部側に形成され、前記モータ本体部が前記収容部に収容された状態における前記凹部に係合するフック部と、を備える請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置における駆動モータ保持装置。
【請求項6】
表面に静電潜像が形成される1又は複数の像担持体と、
前記1又は複数の像担持体に形成された静電潜像にトナー画像を現像する現像器と、
前記像担持体に形成されたトナー画像を直接的又は間接的に被転写材に転写する転写部と、
前記被転写材に転写されたトナー画像を前記被転写材に定着させる定着部と、
請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置における駆動モータ保持装置と、を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−248105(P2011−248105A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121404(P2010−121404)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】