説明

駆動伝達構造及びそれを用いた画像形成装置

【課題】 駆動源に連結された駆動側回転軸と、回転駆動力を伝達される被駆動側部材との連結に対して、連結点でのブレ、振動や騒音を低減し、長寿命化をはかる駆動伝達構造及びそれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 駆動源と連結された駆動側回転軸25と、駆動側回転軸25に連結される嵌合部24を有する感光体20と、を備え、駆動側回転軸25は、軸方向に垂直な断面でルーローの三角形を形成し、嵌合部24は、軸方向に垂直な断面でルーローの三角形が内接する正三角形を形成することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源からの回転駆動力を駆動側回転軸から着脱可能な被駆動側部材に伝達する駆動伝達構造及びそれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動源からの回転駆動力を駆動側回転軸から着脱可能な被駆動側部材に伝達する構造として、複数の角部を有する非円形のねじれた穴と、断面が複数の角部を有する非円形のねじれた突起を有し、その穴と突起が嵌合する構造が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2875203号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、嵌合部の作用点は、点接触であるので、衝撃が多くなり振動や騒音の原因となっていた。また、ねじれた穴と突起の嵌合では、任意の断面では、すべての角で接触していても連続断面を取ると線接触にならない不安定な構造となる可能性が高い。
【0004】
本発明は上記課題を解決し、駆動源に連結された駆動側回転軸と、回転駆動力を伝達される被駆動側部材との連結に対して、連結点でのブレ、振動や騒音を低減し、長寿命化をはかる駆動伝達構造及びそれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決する駆動伝達構造であって、駆動源と連結された駆動側回転軸と、前記駆動側回転軸に連結される嵌合部を有する被駆動側部材と、を備え、前記駆動側回転軸は、軸方向に垂直な断面でルーローの三角形を形成し、前記嵌合部は、軸方向に垂直な断面で前記ルーローの三角形が内接する正三角形を形成することを特徴とするので、駆動側回転軸と被駆動側部材との嵌合が容易になると共に、駆動側回転軸と被駆動側部材が当接する際の衝撃が軽減され、振動や騒音を低減することができる。また、面接触となるため頂点への応力集中が低減され、寿命を延ばすことができる。
【0006】
また、前記駆動側回転軸は、軸方向に垂直な断面で常に前記ルーローの三角形を形成し、先端に向かって小さくなる先端部を有し、前記嵌合部は、軸方向に垂直な断面で前記先端部の形成する前記ルーローの三角形が内接する正三角形を形成する三角錐形状の先端嵌合部を有することを特徴とするので、回転方向と軸方向の両方に一定の安定した力を発生し、回転時における軸方向ブレを低減することができる。
【0007】
また、前記嵌合部は樹脂からなり、前記駆動側回転軸は、前記嵌合部より高硬度の部材からなることを特徴とするので、駆動側回転軸が嵌合部をなめらかな曲面で押すような状態となり、駆動側回転軸と被駆動側部材が当接する際の衝撃がさらに軽減され、振動や騒音を低減することができる。
【0008】
さらに、本発明は上記課題を解決する駆動伝達構造を用いた画像形成装置であって、本体と、本体に対して着脱可能な画像を担持する像担持体と、を備え、前記像担持体は、前記被駆動側部材からなることを特徴とするので、回転時の振動が低減され、駆動伝達構造の振動による画像の乱れを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、画像形成装置に適用した駆動伝達装置について説明する。
【0010】
図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置を構成する主要構成要素を示す図、図2は画像形成装置の制御ユニットの構成を示したブロック図、図3は画像形成装置のイエローの像形成部を示す断面図、図4は画像形成装置のタンデム構造の像形成ユニット部分である。図1において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)からなる各色に対し、同じ構成要素については、各色を表すY、M、C、Kをそれぞれに付して同一番号を用いている。そのうち、イエロー(Y)の構成を示したのが図3である。
【0011】
まず、画像形成装置について図1乃至図4を参照して説明する。
【0012】
本実施形態は画像形成装置としてプリンタ10を例としている。プリンタ10は、像形成部15Y,15M,15C,15K、中間転写体の一例としての中間転写ベルト70、一次転写ユニット60、バックアップローラ65Y,65M,65C,65K、二次転写ユニット80、定着ユニット90、ユーザーへの報知手段をなし液晶パネルからなる表示ユニット95、及び、これらのユニット等を制御し、プリンタとしての動作を司る制御ユニット100を有している。
【0013】
像形成部15Y,15M,15C,15Kは、像担持体の一例としての感光体20Y,20M,20C,20K上に潜像やトナー像を形成し、画像を担持する機能を有している。これら4つの像形成部15Y,15M,15C,15Kは、所定の方向に列状に配置されている。ここで、像形成部15Yの潜像担持体の一例としての感光体20Yが、4つの感光体20Y,20M,20C,20Kのうちの中間転写ベルト70の回転方向上流側において、二次転写部C1から最も離れており、像形成部15Kの感光体20Kが、4つの感光体のうちの中間転写ベルト70の回転方向上流側において、二次転写部C1に最も近い。
【0014】
そして、像形成部15Y,15M,15C,15Kの構成は同様であるので、以下においては、4つの像形成部15Y,15M,15C,15Kのうちの像形成部15Yを例に挙げて説明する。像形成部15Yは、図3に示すように、感光体20Yの回転方向に沿って、帯電ユニット30Y、露光ユニット40Y、現像ユニット50Y、感光体クリーニングユニット75Y等を有している。
【0015】
感光体20Yは、円筒状の基材(具体的には、アルミ材)とその外周面に形成された感光層を有し、該感光層の表面に潜像を担持する。この感光体20Yは、その軸方向の両端部がプリンタ本体11に回転可能に支持されており、本実施の形態においては、図1中の矢印で示すように時計回りに回転する。
【0016】
帯電ユニット30Yは、感光体20Yを帯電するための装置である。帯電ユニット30Yは、図3に示すように、感光体20Yに対向し該感光体20Yを帯電するための帯電ローラ31Yと、帯電ローラ31Yに当接して該帯電ローラ31Yの表面をクリーニングするためのクリーニングローラ35Yと、を有している。そして、帯電バイアス供給部121(図2)から直流電圧と交流電圧が重畳された帯電バイアスが帯電ローラ31Yに供給されると、該帯電ローラ31Yと感光体20Yとの間で放電が生じ、その結果、感光体20Yが帯電する。
【0017】
帯電ローラ31Yは、金属の軸の表面に導電性の塗料が塗布された構成となっている。また、帯電ローラ31Yは、その軸方向の両端部に感光体20Yに当接するテープ(不図示)が取り付けられている。このテープの外径は、帯電ローラ31Yの中央部の外径よりも大きいので、該中央部と感光体20Yとの間に間隙が形成されている。このため、帯電ローラ31Yは、いわゆる非接触帯電方式にて感光体20Yを帯電する。
【0018】
露光ユニット40Yは、レーザーを照射することによって帯電された感光体20Y上に潜像を形成する装置である。この露光ユニット40Yは、例えば、半導体レーザー、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザーを帯電された感光体20Y上に照射する。
【0019】
イエロー現像ユニット50Yは、感光体20Y上に形成された潜像を、現像部A1にて現像剤の一例であるイエロー(Y)トナーを用いてイエロートナー像として可視化するための装置である。このイエロー現像ユニット50Yは、図3に示すように、イエロートナーを収容するためのトナー収容部51Yと、該イエロートナーを担持して感光体20Y上の潜像を現像するための現像剤担持体の一例としての現像ローラ52Yと、トナー収容部51Yのトナーを現像ローラ52Yに供給するための供給ローラ53Yと、現像ローラ52Yに担持されたイエロートナーを帯電させる(本実施形態においては、トナーを負帯電させる)ための規制ブレード(不図示)と、を有している。
【0020】
そして、現像ローラ52Yは感光体20Yと空隙を介して対向しており、現像バイアス供給部122(図2)より直流電圧と交流電圧が重畳された現像バイアスが現像ローラ52Yに供給されると、現像ローラ52Yと感光体20Yとの間に電界が形成され、感光体20Y上の潜像が現像される。
【0021】
中間転写ベルト70は、4つの感光体20Y,20M,20C,20Kに担持された互いに色が異なるトナー像(トナー)を媒体(紙、フィルム、布等)に転写して該媒体に画像を形成する際の中間媒体であり、トナー像を担持した状態で図1の矢印の示す方向に回転して該トナー像を移動させる。また、中間転写ベルト70は、該中間転写ベルト70の回転方向に沿って設けられた感光体20Y,20M,20C,20Kに当接しており、中間転写ベルト70と該感光体20Y,20M,20C,20Kとの当接部には、該感光体上のトナー像が中間転写ベルト70に転写される一次転写部B1,B2,B3,B4が形成されている。
【0022】
一次転写ユニット60は、バックアップローラ65Y,65M,65C,65Kと協働して、感光体20Y,20M,20C,20Kに形成されたトナー像を中間転写ベルト70に転写(以下、一次転写ともいう)するための装置である。この一次転写ユニット60は中間転写ベルト70に当接しており、電圧供給部123の一次転写ユニット60を介して転写電圧である一次転写バイアスを中間転写ベルト70に供給する。
【0023】
ここで、一次転写バイアスは、感光体20Y,20M,20C,20K上のトナーを一次転写部B1,B2,B3,B4にて中間転写ベルト70へ向かわせるための電圧である。また、この一次転写バイアスは、感光体20Y,20M,20C,20K上のトナーの帯電極性(マイナスの極性)とは逆極性の電圧である。そして、中間転写ベルト70に一次転写バイアスが供給されると、一次転写部B1,B2,B3,B4において、感光体20Y,20M,20C,20Kと中間転写ベルト70との間に電界が形成される。
【0024】
バックアップローラ65Y,65M,65C,65Kは、4つの像形成部15Y,15M,15C,15Kの各々の感光体20Y,20M,20C,20Kに中間転写ベルト70を介して当接する。そして、バックアップローラ65Y,65M,65C,65Kが中間転写ベルト70を介して感光体20Y,20M,20C,20Kに当接し、かつ、上述したように、一次転写部B1,B2,B3,B4において、該感光体20Y,20M,20C,20Kと中間転写ベルト70との間に電界が形成されると、一次転写部B1,B2,B3,B4において、感光体20Y,20M,20C,20K上にトナー像が順次中間転写ベルト70に一次転写される。これにより、中間転写ベルト70にフルカラートナー像が形成される。
【0025】
感光体クリーニングユニット75Yは、一次転写ユニット60によって中間転写ベルト70上にトナー像が転写された後に、感光体20Y上に残されたトナーを除去して回収するための装置である。この感光体クリーニングユニット75Yは、感光体クリーニングブレード76Yを有している。この感光体クリーニングブレード76Yは、その先端が感光体20Yの表面に当接して、中間転写ベルト70に転写されずに感光体20Y上に残されたトナー像(トナー)を除去する。
【0026】
二次転写ユニット80は、中間転写ベルト70上に形成された単色トナー像やフルカラートナー像を媒体に転写(以下、二次転写ともいう)するための装置である。二次転写ユニット80は、中間転写ベルト70に離当接可能な二次転写部材の一例としての二次転写ローラ82は、中間転写ベルト70の回転に伴い、二次転写部C1に移動したトナー像(トナー)を媒体に転写するためのものである。具体的には、二次転写ローラ82に二次転写バイアス供給部124(図2)から二次転写バイアスが供給されると、二次転写部C1において、中間転写ベルト70と二次転写ローラ82との間に電界が形成され、中間転写ベルト70上のトナー像が媒体に二次転写される。
【0027】
定着ユニット90は、媒体上に転写された単色トナー像やフルカラートナー像を、加熱加圧して媒体に融着させて永久像とするための装置である。定着ユニット90は、定着ローラ90aと、加圧ローラ90bを有している。定着ローラ90aは、媒体上のトナー像を加熱して、該トナー像を媒体に融着させるためのものである。加圧ローラ90bは、定着ローラ90aと協働して、媒体上のトナー像を加圧するためのものである。
【0028】
また、プリンタ10の下部から上部にわたって、給紙トレイ92の媒体を排紙トレイ98まで搬送するための媒体搬送経路13が形成されている。この媒体搬送経路13は、多数のガイド部材によって構成されている。また、媒体搬送経路13上には、それぞれ媒体を搬送する機能を有する。給紙ローラ94a、レジローラ94b及び排紙ローラ94c等の複数のローラが配置されている。
【0029】
制御ユニット100は、図2に示すようにメインコントローラ101と、ユニットコントローラ102とで構成され、メインコントローラ101には画像信号及び制御信号が入力され、この画像信号及び制御信号に基づく指令に応じてユニットコントローラ102が前記各ユニット等を制御して画像を形成する。
【0030】
次に、このように構成されたプリンタ10のカラー画像形成動作について、他の構成要素にも言及しつつ説明する。
【0031】
まず、不図示のホストコンピュータからの画像信号及び制御信号がインターフェイス(I/F)112を介してプリンタ10のメインコントローラ101に入力されると、このメインコントローラ101からの指令に基づくユニットコントローラ102の制御により感光体20Y,20M,20C,20K、現像ユニット50Y,50M,50C,50Kに備えられた現像ローラ52Y,52M,52C,52K及び中間転写ベルト70等が回転する。
【0032】
感光体20Y,20M,20C,20Kは、回転しながら、帯電位置において帯電ユニット30Y,30M,30C,30K(詳しくは、帯電バイアスが供給された帯電ローラ31Y,31M,31C,31K)により順次帯電される。感光体20Y,20M,20C,20Kの帯電された領域は、感光体20Y,20M,20C,20Kの回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット40Y,40M,40C,40Kによって、イエローY、マゼンダM、シアンC、ブラックKの画像情報に応じた潜像が該領域に形成される。
【0033】
感光体20Y,20M,20C,20K上に形成された潜像は、感光体20Y,20M,20C,20Kの回転に伴って現像部A1,A2,A3,A4に至り、現像ユニット50Y,50M,50C,50K(詳しくは、現像ローラ52Y,52M,52C,52K)によってトナー像として現像される。これにより、感光体20Y,20M,20C,20K上に単色トナー像が形成される。なお、現像の際、現像ローラ52Y,52M,52C,52Kには、現像バイアスが供給される。
【0034】
感光体20Y,20M,20C,20K上に形成された単色トナー像は、感光体20Y,20M,20C,20Kの回転に伴って、一次転写部B1,B2,B3,B4に至り、一次転写ユニット60とバックアップローラ65Y,65M,65C,65Kとによって、中間転写ベルト70に一次転写される。この際、中間転写ベルト70には、一次転写バイアスが供給される。この結果、各々の感光体20Y,20M,20C,20K上に形成された4色のトナー像は、中間転写ベルト70に順次重なり合うように一次転写され、中間転写ベルト70上にはフルカラートナー像が形成される。
【0035】
中間転写ベルト70上に形成されたフルカラートナー像は、中間転写ベルト70の回転に伴って、二次転写部C1に至り、二次転写ユニット80の二次転写ローラ82によって媒体に二次転写される。なお、媒体は、給紙トレイ92から、給紙ローラ94a、レジストローラ94bを介して二次転写部C1へ搬送された媒体を挟持するとともに、該二次転写ローラ82に二次転写バイアスが供給される。
【0036】
フルカラートナー像が二次転写された媒体は、定着ユニット90内へ搬送されると、定着ローラ90aと加圧ローラ90bの間を、該定着ローラ90aと加圧ローラ90bに挟持された状態で通過する。この際、定着ローラ90a及び加圧ローラ90bが媒体上のフルカラートナー像を加熱加圧することにより、該フルカラートナー像は、媒体に融着される。そして、フルカラートナー像が融着された媒体は、排紙ローラ94cを介して、排紙トレイ98へ搬送される。
【0037】
一方、一次転写部B1,B2,B3,B4にて中間転写ベルト70に一次転写されずに感光体20Y,20M,20C,20K上に残留するトナーは、感光体クリーニングブレード76Y,76M,76C,76Kによって除去される。
【0038】
次に、制御ユニット100の構成について、図2を参照に説明する。制御ユニット100のメインコントローラ101は、インターフェイス112を介してホストコンピュータと接続され、このホストコンピュータから入力された画像信号を記憶するための画像メモリ113を備えている。
【0039】
ユニットコントローラ102は、装置本体11の各ユニット(感光体20Y,20M,20C,20K、帯電ユニット30Y,30M,30C,30K、露光ユニット40Y,40M,40C,40K、現像ユニット50Y,50M,50C,50K、一次転写ユニット60、中間転写ベルト70、感光体クリーニングユニット75Y,75M,75C,75K、二次転写ユニット80、定着ユニット90、表示ユニット95)と電気的に接続され、それらが備えるセンサからの信号を受信することによって、各ユニットの状態を検出しつつ、メインコントローラ101から入力される信号に基づいて、各ユニットを制御する。
【0040】
図5は本発明の実施形態に係る駆動伝達構造の連結前の状態を示す正面図である。図中、20は被駆動側部材の一例としての感光体、21は感光体ドラム、22は被駆動側回転軸の一例としての感光体回転軸、23はケース、24は嵌合部、25は駆動側回転軸である。
【0041】
感光体20は、感光体ドラム21と、感光体ドラム21と一体に回転する被駆動側部材回転軸の一例としての感光体回転軸22と、軸受け等を介して感光体ドラム21を支持するケース23と、感光体ドラム21に設けられ、樹脂等からなり、駆動側回転軸25を嵌合する嵌合部24と、を有する。
【0042】
図6は駆動側回転軸を示す斜視図、図7は軸部を示す断面図、図8は先端部を示す斜視図である。駆動側回転軸25は、図示しない駆動源に連結され、金属又は感光体20の嵌合部24より高硬度の樹脂等からなり、軸部25a、先端部25bを有する。
【0043】
軸部25aは、辺A,B,Cからなり、軸方向に垂直な断面で、頂点A,B,C及び円弧AB,BC,CAを有し、図7に示すように、ルーローの三角形を形成する。ルーローの三角形は、正三角形の頂点A,B,Cを中心に、半径がその正三角形の1辺の長さrとなる円弧AB,BC,CAで結んでできる形である。
【0044】
先端部25bは、図8に示すように、頂点A,B,C,D、辺DA,DB,DC及び円弧AB,BC,CAを有し、軸方向に垂直な断面でルーローの三角形を形成する。
【0045】
図9は感光体20の嵌合部24を示す図である。嵌合部24は、駆動側回転軸25の軸部25aと嵌合する軸嵌合部24aと、駆動側回転軸25の先端部25bと嵌合する先端嵌合部24bとを有する。軸嵌合部24aは、辺A',B',C'からなり、軸方向に垂直な断面で、頂点A',B',C'及びこれら頂点を結んだ辺A'B',B'C',C'A'からなる断面正三角形状の穴で形成される。また、先端嵌合部24bは、頂点A',B',C',D'及びこれら頂点を結んだ辺A'B',B'C',C'A',D' A',D'B',D'C'からなる三角錐又は正三角錐の穴で形成される。
【0046】
このような構成の駆動伝達構造における駆動側回転軸25と嵌合部24との嵌合状態について説明する。図10は嵌合状態の駆動伝達構造における駆動側回転軸と嵌合部を示す斜視図、図11は嵌合状態の駆動伝達構造における軸部と軸嵌合部を示す断面図、図12は嵌合状態の駆動伝達構造における先端部と先端嵌合部を示す断面図である。
【0047】
図10に示すように、駆動側回転軸25は、嵌合部24に挿入され、嵌合される。嵌合部24の軸嵌合部24aは、軸方向に垂直な断面で軸部25aを形成するルーローの三角形が内接する正三角形を形成する。
【0048】
この状態では、軸部25aの辺A,B,Cが軸嵌合部24aの辺A'とB'の間の面,辺B'とC'の間の面,辺C'とA' の間の面に当接線s,t,uで当接する。すなわち、図11に示すように、軸方向に垂直な断面で表すと、軸部25aの頂点A,B,Cが、それぞれ軸嵌合部24aの辺A'B',B'C',C'A'に当接点s,t,uで当接する。
【0049】
また、駆動側回転軸25は、軸方向に垂直な断面で常にルーローの三角形を形成し、先端に向かって小さくなる先端部25bを有し、嵌合部24は、軸方向に垂直な断面で先端部25bの形成するルーローの三角形が内接する正三角形を形成する三角錐又は正三角錐形状の先端嵌合部24bを有する。
【0050】
したがって、先端部25bの辺DA,DB,DCが、それぞれ先端嵌合部24bの面A'B'D'、面B'C'D'、面C'A'D'に当接線S,T,Uで当接する。すなわち、図12に示すように、軸方向に垂直な断面で表すと、先端部25bの頂点DA,DB,DCが、それぞれ軸嵌合部24aの辺A'B',B'C',C'A'に当接点S,T,Uで当接する。
【0051】
ここで、駆動側回転軸25は、金属又は感光体20の嵌合部24より高硬度の樹脂等からなるので、当接線s,t,u及びS,T,Uでは、駆動側回転軸25が感光体20の嵌合部24をなめらかな曲面で押すような状態となる。
【0052】
このように、駆動源と連結された駆動側回転軸25と、駆動側回転軸25に連結される嵌合部24を有する感光体20と、を備え、駆動側回転軸25は、軸方向に垂直な断面でルーローの三角形を形成し、嵌合部24は、軸方向に垂直な断面でルーローの三角形が内接する正三角形を形成するので、駆動側回転軸25と感光体20との嵌合が容易になると共に、駆動側回転軸25と感光体20が当接する際の衝撃が軽減され、振動や騒音を低減することができる。また、頂点への応力集中が低減され、寿命を延ばすことができる。
【0053】
また、駆動側回転軸25は、軸方向に垂直な断面で常にルーローの三角形を形成し、先端に向かって小さくなる先端部25bを有し、嵌合部24は、軸方向に垂直な断面で先端部25bの形成するルーローの三角形が内接する正三角形を形成する三角錐形状の先端嵌合部24bを有することを特徴とするので、回転方向と軸方向の両方に一定の安定した力を発生し、回転時における軸方向ブレを低減することができる。
【0054】
また、嵌合部24は樹脂からなり、駆動側回転軸25は、嵌合部24より高硬度の部材からなることを特徴とするので、駆動側回転軸25が嵌合部24をなめらかな曲面で押すような状態となり、駆動側回転軸25と感光体20が当接する際の衝撃がさらに軽減され、振動や騒音を低減することができる。
【0055】
さらに、本発明は上記課題を解決する駆動伝達構造を用いた画像形成装置であって、本体11と、本体11に対して着脱可能な画像を担持する像担持体20と、を備え、像担持体20は、感光体20からなることを特徴とするので、回転時の振動が低減され、駆動伝達構造の振動による画像の乱れを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態の駆動伝達装置を備えた画像形成装置を示す図である。
【図2】本実施形態の画像形成装置の制御ユニットの構成を示した図である。
【図3】本実施形態の画像形成装置の像形成部を示す図である。
【図4】本実施形態の画像形成装置のタンデム構造の像形成ユニット部分を示す図である。
【図5】駆動伝達構造の連結前の状態を示す正面図である。
【図6】駆動側回転軸を示す斜視図である。
【図7】軸部を示す断面図である。
【図8】先端部を示す斜視図である。
【図9】感光体の嵌合部を示す図である。
【図10】嵌合状態の駆動伝達構造における駆動側回転軸と嵌合部を示す斜視図である。
【図11】嵌合状態の駆動伝達構造における軸部と軸嵌合部を示す断面図である。
【図12】嵌合状態の駆動伝達構造における先端部と先端嵌合部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0057】
10…プリンタ、11…プリンタ本体、20Y,20M,20C,20K…感光体,像担持体(被駆動側部材)、21…感光体ドラム、22…感光体回転軸(被駆動側回転軸)、23…ケース、24…嵌合部、24a…軸嵌合部、24b…先端嵌合部、25…駆動側回転軸、25a…軸部、25b…先端部、30Y,30M,30C,30K…帯電ユニット、40Y,40M,40C,40K…露光ユニット、50Y,50M,50C,50K…現像ユニット、52Y,52M,52C,52K…現像ローラ(現像剤担持体)、60…一次転写ユニット、70…中間転写ベルト(中間転写体)、80…二次転写ユニット、90…定着ユニット、100…制御ユニット、130…センサユニット(検知手段)、134…位置決め部材(位置決め手段)、135…バネ(付勢手段)、140…センサユニット支持部材(支持手段)、170…ベルトユニット(中間転写ユニット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と連結された駆動側回転軸と、前記駆動側回転軸に連結される嵌合部を有する被駆動側部材と、を備え、前記駆動側回転軸は、軸方向に垂直な断面でルーローの三角形を形成し、前記嵌合部は、軸方向に垂直な断面で前記ルーローの三角形が内接する正三角形を形成することを特徴とする駆動伝達構造。
【請求項2】
前記駆動側回転軸は、軸方向に垂直な断面で常に前記ルーローの三角形を形成し、先端に向かって小さくなる先端部を有し、前記嵌合部は、軸方向に垂直な断面で前記先端部の形成する前記ルーローの三角形が内接する正三角形を形成する三角錐形状の先端嵌合部を有することを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達構造。
【請求項3】
前記嵌合部は樹脂からなり、前記駆動側回転軸は、前記嵌合部より高硬度の部材からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の駆動伝達構造。
【請求項4】
本体と、本体に対して着脱可能な画像を担持する像担持体と、を備え、前記像担持体は、前記被駆動側部材からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の駆動伝達構造を用いた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−309867(P2008−309867A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155243(P2007−155243)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】