説明

駆動伝達機構及びそれを備えた画像形成装置

【課題】交換ユニットを画像形成装置本体に対し容易に着脱可能であり、ギヤの噛み合い不良も防止できる駆動伝達機構及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】駆動出力ギヤ25、レールギヤ33、駆動入力ギヤ40は、回転軸25a、アイドルピン35、回転軸40aを結ぶ直線が略直角になるように配置されている。アイドルピン35はスライドレール30に対し径方向に移動可能に支持されているため、アイドルピン35の支持部30b側の端部35aは矢印A方向の力により装置本体フレーム23の第1係合部26の上角部に押し付けられ、軸受部34側の端部35bは、矢印A方向の力により定着ユニット13のカバー部材43に形成された第2係合部45の角部に押し付けられる。その結果、レールギヤ33の第1ギヤ部33a及び第2ギヤ部33bは、それぞれ駆動出力ギヤ25及び駆動入力ギヤ40と噛み合う位置に位置決めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体に対し着脱可能な交換ユニットに駆動力を伝達する駆動力伝達機構及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真プロセスを用いる画像形成装置においては、定着ユニット、ドラムユニット、現像ユニット、中間転写ユニット等は、通常は装置本体の寿命よりも耐用年数が短いため、定期的に交換する必要があった。従来、これらの交換ユニットはサービスマンにより交換され、画像形成装置内部の所定の位置にビス固定されていた。
【0003】
このような方式では、交換ユニットの交換時にその都度サービスマンに連絡しなければならず、効率的ではなかった。一方、一般のユーザにはドライバー等の工具を用いた交換ユニットの着脱作業は大きな負担となる。
【0004】
そこで、ユーザにより交換ユニットの交換作業を簡単に行う方法が提案されており、例えば特許文献1には、装置本体側のレールと外付けレールとの連結点を構成部品の複数のコロが同時に通過しないようにした、レールを用いた構成部品の着脱機構が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、像担持体を搭載する第1ユニットと、中間転写体を搭載する第2ユニットを結合および分離可能な構造とし、スライドレールにより画像形成装置本体に対し挿入及び引き出し可能として、寿命に大きな差がある像担持体と中間転写体をそれぞれ独立して容易に交換できるようにした画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−345218号公報
【特許文献2】特開2004−13031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、交換ユニットには画像形成装置本体内のモータからギヤやカップリング機構を介して駆動力を伝達する必要がある。そのため、交換ユニットの位置決め精度が重要となる。しかしながら、特許文献1及び2のようにレール部材に交換ユニットを載せ、画像形成装置本体内に押し込んで固定する方法では、ビス固定する方法に比べて交換ユニットの位置決め精度が低下し、ギヤの噛み合い不良が発生し易くなるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、交換ユニットを画像形成装置本体に対し容易に着脱可能であり、ギヤの噛み合い不良も防止できる駆動伝達機構及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、装置本体側に設けられた駆動出力ギヤと、前記装置本体に対し挿入及び引き出し可能に装着されるスライドレールに設けられ、前記スライドレールが前記装置本体に挿入された状態で前記駆動出力ギヤに噛み合うアイドルギヤと、前記スライドレール上に着脱可能に配置される交換ユニットに設けられ、前記交換ユニットが前記スライドレール上に装着された状態で前記アイドルギヤに噛み合う駆動入力ギヤと、を備え、前記装置本体から前記交換ユニットに駆動力を伝達する駆動伝達機構であって、前記交換ユニットが前記スライドレールと共に前記装置本体に挿入されたとき、前記駆動出力ギヤの回転軸と、前記アイドルギヤを支持するアイドルピンと、前記駆動入力ギヤの回転軸とを結ぶ直線が略直角になるように配置されるとともに、前記アイドルピンは、前記スライドレールに対し径方向に揺動自在に支持されており、前記アイドルピンは、前記駆動出力ギヤから伝達される駆動力により一端が前記装置本体側に形成された第1係合部に位置決めされ、他端が前記交換ユニット側に形成された第2係合部に位置決めされる駆動伝達機構である。
【0010】
また本発明は、上記構成の駆動伝達機構において、前記アイドルギヤは、前記駆動出力ギヤと噛み合う第1ギヤ部と、該第1ギヤ部の軸方向に隣接して形成され前記駆動入力ギヤと噛み合いながら前記第1ギヤ部と一体に回転する第2ギヤ部とを有することを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の駆動伝達機構を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の構成によれば、アイドルギヤに伝達される駆動力を利用してアイドルピンの一端と駆動出力ギヤの回転軸とのピッチ、アイドルピンの他端と駆動入力ギヤの回転軸とのピッチがそれぞれ所定距離となるように位置決めされるため、アイドルギヤを駆動出力ギヤ及び駆動入力ギヤと噛み合う位置に精度良く配置することができる。
【0013】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の駆動伝達機構において、アイドルギヤは、駆動出力ギヤと噛み合う第1ギヤ部と、該第1ギヤ部の軸方向に隣接して形成され駆動入力ギヤと噛み合いながら第1ギヤ部と一体に回転する第2ギヤ部とを有することにより、アイドルギヤがアイドルピン方向に長くなるため、アイドルピンの傾斜によるアイドルギヤの歯面の傾きを吸収して噛み合い不良を抑制することができる。
【0014】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の駆動伝達機構を搭載することにより、駆動出力ギヤの駆動力がアイドルギヤを介して駆動入力ギヤに円滑に伝達され、ギヤ間の噛み合い不良が解消されるため、交換ユニット或いは画像形成装置本体の振動や騒音の低減による静音化や画像品質の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示す概略断面図
【図2】図1における定着ユニット13付近の拡大図
【図3】装置本体フレーム23の定着ユニット13の挿入口周辺の部分斜視図
【図4】定着ユニット13が装着されるスライドレール30の端部付近の部分斜視図
【図5】スライドレール30の支持部30bを図4の裏面側から見た斜視図
【図6】スライドレール30のみが装置本体フレーム23に挿入された状態を示す部分斜視図
【図7】定着ユニット13が載置されたスライドレール30が装置本体フレーム23に挿入された状態を示す部分斜視図
【図8】定着ユニット13が所定位置に位置決めされた状態での駆動出力ギヤ25、レールギヤ33、及び駆動入力ギヤ40の位置関係を示す斜視図
【図9】図8の定着カバー43を取り外した状態を示す斜視図
【図10】駆動出力ギヤ25、レールギヤ33、及び駆動入力ギヤ40の位置関係を示す側面図
【図11】駆動出力ギヤ25とアイドルピン35との位置関係を示す側面図
【図12】駆動入力ギヤ40とアイドルピン35との位置関係を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラー画像形成装置について示している。カラープリンタ100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では左側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
【0017】
この画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、さらに駆動手段(図示せず)により図1において反時計回りに回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次一次転写されて重畳された後、二次転写ローラ9の作用によって記録媒体の一例としての用紙P上に二次転写され、さらに、定着ユニット13において用紙P上に定着された後、装置本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0018】
トナー像が転写される用紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラ12a及びレジストローラ対12bを介して二次転写ローラ9と後述する中間転写ベルト8の駆動ローラ11とのニップ部へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、二次転写ローラ9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナ19が配置されている。
【0019】
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光装置5と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)等を除去するクリーニング部7a、7b、7c及び7dが設けられている。
【0020】
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a〜3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a〜4dから各現像装置3a〜3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0021】
そして、一次転写ローラ6a〜6dに所定の転写電圧を付与することにより、感光体ドラム1a〜1d上のイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナー等がクリーニング部7a〜7dにより除去される。
【0022】
中間転写ベルト8は、上流側のテンションローラ10と、下流側の駆動ローラ11とに掛け渡されており、駆動モータ(図示せず)による駆動ローラ11の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回りに回転を開始すると、用紙Pがレジストローラ12bから所定のタイミングで駆動ローラ11とこれに隣接して設けられた二次転写ローラ9とのニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、中間転写ベルト8上のフルカラー画像が用紙P上に転写される。トナー像が転写された用紙Pは用紙搬送路18を通過して定着ユニット13へと搬送される。
【0023】
定着ユニット13に搬送された用紙Pは、定着ローラ対13aにより加熱及び加圧されてトナー像が用紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。用紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラ15によって排出トレイ17に排出される。
【0024】
一方、用紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着ユニット13を通過した用紙Pは一旦排出ローラ15方向に搬送され、用紙Pの後端が分岐部14を通過した後に排出ローラ15を逆回転させるとともに分岐部14の搬送方向を切り換えることで、用紙Pの後端から両面搬送路20に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ニップ部に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラ9により用紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着ユニット13に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
【0025】
図2は、図1における定着ユニット13付近の拡大図である。図1と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。図2に示すように、定着ユニット13は、電磁誘導加熱方式の熱源を用いた定着方式であり、定着ローラ131及び加圧ローラ132から成る定着ローラ対13aと、定着ローラ131に隣接して配設される誘導加熱部133と、定着ローラ131表面の温度を検知するサーミスタ等からなる温度センサ134とを備えている。誘導加熱部133と温度センサ134は画像形成装置100本体に固定され、定着ローラ131と加圧ローラ132は画像形成装置100本体に回転可能に保持されている。
【0026】
定着ローラ131は、円筒型ステンレスからなる基材と、加圧ローラ132に圧接するニップ部Nへ弾性と離型性の向上のためにシリコンゴムスポンジからなる弾性層とを備え、基材と弾性層との間に、基材側から順に断熱層と誘導発熱層とを備える。
【0027】
加圧ローラ132は、円筒型ステンレスからなる基材と、ニップ部Nへ弾性を付与するために基材上に形成されるシリコンゴムからなる弾性層と、ニップ部Nで未定着トナー像を溶融定着する際の離型性を向上させるために弾性層の表面を覆うフッ素樹脂チューブからなる離型層とを備える。
【0028】
また、加圧ローラ132は、モータ等の駆動源(図略)によって回転駆動させられ、さらに定着ローラ131に対してその中心方向に加圧する。これにより、加圧ローラ132が定着ローラ131に圧接し、加圧ローラ132が回転すると、定着ローラ131が加圧ローラ132に対して逆方向に従動回転する。
【0029】
温度センサ134は、定着ローラ131表面において軸方向(幅方向)の中央部の通紙領域と、B5やA4縦等の幅の狭い用紙が通紙された時に非通紙領域となる軸方向の両端部とに対向するように配置され、夫々の領域の温度を検知する。温度センサ134により検知された温度に基づいて、誘導加熱部133の電源が制御され、定着ローラ131表面が所定の温度に保持される。
【0030】
誘導加熱部133は、励磁コイル133aとコア133bとを備え、電磁誘導により定着ローラ131を加熱するものである。銅線からなる励磁コイル133aは、ホビン(図示せず)に巻回され、コア133bの中央部の周りを軸方向に周回するように、定着ローラ131の外周面の一部に対向配置されている。また励磁コイル133aは、図示しない高圧電源に接続されていて、高圧電源から供給される高周波電流により磁束を発生させる。誘導加熱部133から発せられる磁束は、図2の紙面に平行な方向に発せられ、定着ローラ131の誘導発熱層を貫通する。誘導発熱層の磁束の周りには渦電流が生じ、渦電流が流れると、誘導発熱層内の電気抵抗によってジュール熱が発生して、誘導発熱層が発熱することになる。
【0031】
定着ローラ131が誘導加熱部133によって所定の温度となるように、温度センサ134の検知する温度に基づいて電源の電力を制御している。そして、定着ローラ131が加熱され所定の温度に昇温すると、ニップ部Nで挟持された用紙Pが加熱されるとともに、加圧ローラ132にて加圧されることにより、用紙P上の粉体状態のトナーが溶融定着される。
【0032】
図3は、装置本体フレームの定着ユニット13の挿入口周辺の部分斜視図であり、図4は、定着ユニット13が装着されるスライドレールの端部付近の部分斜視図、図5は、スライドレールの支持部を図4の裏面側から見た斜視図である。なお、図3〜図5では、図1の装置奥側の装置本体フレーム23及びスライドレール30の構成について説明するが、図1の装置前側の構成についても、装置本体フレーム23は駆動出力ギヤ25及び本体側カップリング27が設けられていない以外は図3と同様の構成であり、スライドレール30はレールギヤ33が設けられていない以外は図4及び図5と同様の構成である。
【0033】
図3に示すように、装置本体フレーム23の内側には、スライドレール30(図4参照)を支持するガイドレール24が設けられている。また、ガイドレール24の下方には、駆動モータ(図示せず)の駆動力を出力する駆動出力ギヤ25と、スライドレール30側に設けられたレールギヤ33のアイドルピン35(図4参照)が係合する第1係合部26が設けられている。
【0034】
さらに、駆動出力ギヤ25の下方には、中間転写ベルト8を回動可能に支持する中間転写ユニット(図示せず)側のカップリングに係合して駆動力を伝達する本体側カップリング27が配置されている。
【0035】
スライドレール30は、定着ユニット13を載置する平坦部30aと、平坦部30aの両端部から略垂直に立設されガイドレール24に当接する一対の支持部30bとで構成される側面視略コ字状の部材である。支持部30bの内側面には案内溝31が形成されており、定着ユニット13の凸部を案内溝31の上端から導入することで定着ユニット13が平坦部30aの所定の位置に載置される。
【0036】
また、支持部30bの下部にはレールギヤ33が配置されている。レールギヤ33は、支持部30bの内側に配置される第1ギヤ部33aと、平坦部30a上に露出する第2ギヤ部33bとが一体に連結された構成であり、支持部30bと軸受部34とで支持されるアイドルピン35に回転自在に外挿されるアイドルギヤである。
【0037】
アイドルピン35は、支持部30b側の端部が断面円形状、軸受部34側の端部が断面D形状であり、それぞれ支持部30b側の円形の軸受孔36aと軸受部34側のD形状の軸受孔36bに係合している。また、アイドルピン35と軸受孔36a、36bとの間には所定の隙間が設けられている。この構成により、アイドルピン35はスライドレール30に対し回転せず、且つ、所定範囲で径方向に移動可能に支持される。
【0038】
装置本体フレーム23内への定着ユニット13の装着手順について説明すると、先ず、スライドレール30の支持部30bに形成された案内溝31に沿って定着ユニット13を平坦部30a上に装着する。そして、定着ユニット13が装着されたスライドレール30を装置本体フレーム23内に挿入する。
【0039】
図6は、スライドレール33のみが装置本体フレーム23に挿入された状態を示す部分斜視図であり、図7は、定着ユニット13が載置されたスライドレール33が装置本体フレーム23に挿入された状態を示す部分斜視図である。図7に示すように、定着ユニット13の位置決めボス13aを装置本体フレーム23の位置決め溝37に挿入し、スライドレール30の支持部30bを装置本体フレーム23のガイドレール24に当接させて、スライドレール30と共に定着ユニット13を装置本体フレーム23内に挿入していくと、定着ユニット13が装置本体フレーム23内の所定位置に位置決めされる。
【0040】
次に、駆動出力ギヤ25及び駆動入力ギヤ40に対するレールギヤ33の位置決め機構について説明する。図8は、定着ユニット13が所定位置に位置決めされた状態での駆動出力ギヤ25、レールギヤ33、及び駆動入力ギヤ40の位置関係を示す斜視図であり、図9は、図8の定着カバー43を取り外した状態を示す斜視図、図10は、駆動出力ギヤ25、レールギヤ33、及び駆動入力ギヤ40の位置関係を示す側面図、図11は、駆動出力ギヤ25とアイドルピン35との位置関係を示す側面図、図12は、駆動入力ギヤ40とアイドルピン35との位置関係を示す側面図である。
【0041】
定着ユニット13が装置本体フレーム23内の所定位置に位置決めされたとき、図11に示すように、レールギヤ33の第1ギヤ部33a側に位置するアイドルピン35の端部35aは装置本体フレーム23の第1係合部26内に挿入されている。また、レールギヤ33の第2ギヤ部33b側に位置するアイドルピン35の端部35bの斜め上方には定着ユニット13のカバー部材43に形成された第2係合部45が近接配置されている。
【0042】
ここで、図10に示すように、駆動出力ギヤ25、レールギヤ33、駆動入力ギヤ40は、回転軸25a、アイドルピン35、回転軸40aを結ぶ直線が略直角になるように配置されている。そのため、駆動出力ギヤ25からレールギヤ33を介して駆動入力ギヤ40に駆動力が伝達されるとき、レールギヤ33には反作用により駆動出力ギヤ25及び駆動出力ギヤ40から逃げようとする方向(矢印A方向)の力が作用する。
【0043】
前述したように、アイドルピン35はスライドレール30に対し所定範囲で径方向に移動可能に支持されているため、アイドルピン35の支持部30b側の端部35aは矢印A方向の力により装置本体フレーム23の第1係合部26の上角部に押し付けられる。回転軸25aと第1係合部26は、いずれも装置本体フレーム23上の所定位置に配置されているため、アイドルピン35の端部35aと駆動出力ギヤ25の回転軸25aとのピッチd1も所定距離となる。その結果、レールギヤ33の第1ギヤ部33a(図9参照)は駆動出力ギヤ25と噛み合う位置に位置決めされる。
【0044】
一方、図12に示すように、アイドルピン35の軸受部34側の端部35bは、矢印A方向の力により定着ユニット13のカバー部材43に形成された第2係合部45の角部に押し付けられる。回転軸40aと第2係合部45は、いずれも定着ユニット13上の所定位置に配置されているため、アイドルピン35の端部35bと駆動入力ギヤ40の回転軸40aとのピッチd2も所定距離となる。その結果、レールギヤ33の第2ギヤ部33b(図9参照)は駆動入力ギヤ40と噛み合う位置に位置決めされる。
【0045】
なお、部材の寸法公差等により、装置本体フレーム23への定着ユニット13の挿入時における第1係合部26と第2係合部45との位置関係に誤差が生じ、アイドルピン35が傾斜することがある。そこで、第1ギヤ部33aと第2ギヤ部33bから構成されるレールギヤ33を使用し、駆動出力ギヤ25を第1ギヤ部33aに、駆動入力ギヤ40を第2ギヤ部33bに連結している。この構成によれば、レールギヤ33が回転軸(アイドルピン35)方向に長くなり、アイドルピン35の傾斜によるレールギヤ33の歯面の傾きを吸収することができる。
【0046】
さらに、駆動出力ギヤ25、駆動入力ギヤ40が、第1係合部26と第2係合部45に位置決めされたアイドルピン35の端部35a、端部35bに近い位置で第1ギヤ部33a及び第2ギヤ部33bに噛み合うため、レールギヤ33と駆動出力ギヤ25、駆動入力ギヤ40との間のピッチの変動も抑制することができる。
【0047】
以上説明したように、本発明の構成によれば、レールギヤ33に作用する力を利用することで、レールギヤ33を駆動出力ギヤ25及び駆動入力ギヤ40と噛み合う位置に確実に配置することができる。従って、駆動出力ギヤ25の駆動力がレールギヤ33を介して駆動入力ギヤ40に円滑に伝達され、ギヤ間の噛み合い不良が解消されるため、定着ユニット13或いは画像形成装置100本体の振動や騒音の低減による静音化や画像品質の改善が見込める。
【0048】
また、定着ユニット13の交換にドライバー等の工具を必要としないため、定着ユニット13の容易且つ迅速な交換が可能となり、作業性が向上する。
【0049】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば上記実施形態においては、装置本体フレーム23に着脱される定着ユニット13の駆動伝達機構を例に挙げて説明したが、ドラムユニットや現像ユニット、中間転写ユニット等、スライドレールに装着した状態で着脱される他の交換ユニットの駆動伝達機構にも全く同様に適用できるのはもちろんである。
【0050】
また、本発明は図1に示したようなタンデム型のカラープリンタに限らず、モノクロ複写機やデジタル複合機、ファクシミリやレーザプリンタ等、スライドレールを介して装置本体に対し着脱可能な交換ユニットを備えた種々の画像形成装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、交換ユニットを駆動入力ギヤの回転軸と垂直な方向に着脱する画像形成装置の駆動伝達機構に利用可能である。本発明の利用により、駆動出力ギヤと駆動入力ギヤとの間に配置されるアイドルギヤを駆動出力ギヤ及び駆動入力ギヤと噛み合う位置に精度良く配置することができ、交換ユニットを画像形成装置本体に対し容易に着脱可能であり、ギヤの噛み合い不良も防止できる駆動伝達機構となる。
【符号の説明】
【0052】
Pa〜Pd 画像形成部
13 定着ユニット
23 装置本体フレーム
25 駆動出力ギヤ
25a (駆動出力ギヤの)回転軸
26 第1係合部
30 スライドレール
31 側面フレーム
33 レールギヤ(アイドルギヤ)
33a 第1ギヤ部
33b 第2ギヤ部
35 アイドルピン
40 駆動入力ギヤ
40a (駆動入力ギヤの)回転軸
43 定着カバー
45 第2係合部
100 カラープリンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体側に設けられた駆動出力ギヤと、
前記装置本体に対し挿入及び引き出し可能に装着されるスライドレールに設けられ、前記スライドレールが前記装置本体に挿入された状態で前記駆動出力ギヤに噛み合うアイドルギヤと、
前記スライドレール上に着脱可能に配置される交換ユニットに設けられ、前記交換ユニットが前記スライドレール上に装着された状態で前記アイドルギヤに噛み合う駆動入力ギヤと、を備え、
前記装置本体から前記交換ユニットに駆動力を伝達する駆動伝達機構であって、
前記交換ユニットが前記スライドレールと共に前記装置本体に挿入されたとき、前記駆動出力ギヤの回転軸と、前記アイドルギヤを支持するアイドルピンと、前記駆動入力ギヤの回転軸とを結ぶ直線が略直角になるように配置されるとともに、前記アイドルピンは、前記スライドレールに対し径方向に揺動自在に支持されており、
前記アイドルピンは、前記駆動出力ギヤから伝達される駆動力により一端が前記装置本体側に形成された第1係合部に位置決めされ、他端が前記交換ユニット側に形成された第2係合部に位置決めされることを特徴とする駆動伝達機構。
【請求項2】
前記アイドルギヤは、前記駆動出力ギヤと噛み合う第1ギヤ部と、該第1ギヤ部の軸方向に隣接して形成され前記駆動入力ギヤと噛み合いながら前記第1ギヤ部と一体に回転する第2ギヤ部とを有することを特徴とする請求項1に記載の駆動伝達機構。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の駆動伝達機構を備えた画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2012−113158(P2012−113158A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262704(P2010−262704)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリュ−ションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】