説明

駆動制御装置、電気機器及び駆動制御方法

【課題】負荷特性に応じて電機機器の回転数を制御することができる駆動制御装置、電気機器及び駆動制御方法を提供する。
【解決手段】モータ20の出力に関する物理量を検出する物理量検出部71、モータ20の回転数が基底回転数以上であるか否かを判定する回転数判定部72、回転数判定部72での判定結果に応じて物理量に対する閾値を選択する閾値選択部73、検出した物理量及び選択した閾値の大小関係に応じて回転軸の回転数を制御する回転数制御部74などを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源の周波数を変換するインバータで駆動される電動機により回転する回転軸に取り付けられた回転体を有する電気機器を駆動制御する駆動制御装置、該駆動制御装置を備える電気機器及び駆動制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
環境汚染あるいは産業廃棄物の増加などの問題を解決するため、循環型社会の形成が益々重要になってきている。例えば、プラスチックに代表される合成樹脂を用いて成形品又は成形部品を製造する成形工場では、成形時に発生するスプルランナと称される不要部分あるいは成形不良品などを回収して樹脂素材の資源再利用率を向上させることが行われている。
【0003】
樹脂素材のリサイクルには、回収したスプルランナを粉砕機で所定の大きさの粉砕材にしてリサイクル原資としている。このような粉砕機は、投入ホッパから投入されたスプルランナ(被処理物)を粉砕刃に食い込み易くするため、一例として、まず粗砕刃で粗砕し、粗砕された材料を粉砕刃で所定の粒形状の粉砕材に粉砕している。粗砕刃及び粉砕刃などの回転刃を1つの回転軸に固定した1軸式の粉砕機は、回転軸を駆動する駆動部品が少なく構造もシンプルであるため、工場内リサイクルを目指す多くの事業所で利用されている。
【0004】
このような粉砕機では、投入される被処理物が多種多用であり、被処理物によっては、異なる大きさの粉砕片に粉砕したい場合がある。そこで、粉砕機の駆動モータの電流を検出し、検出した電流の大小に応じてインバータの周波数を変更し、駆動モータの回転数を変更することにより、所望の大きさの粉砕片に粉砕することができる粉砕機が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−70749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の粉砕機では、投入される被処理物の量も一定とは限らないため、負荷状態が大きく変動する場合がある。このため、粉砕機の駆動モータ、回転刃、回転軸などの駆動系は、最大トルクにかなりの余裕を含んで設計されている。また、粉砕機は、負荷変動を見込んで最大のトルクが常に得られるように定トルク特性で運転されるが、粉砕機の通常の運転では、最大トルク付近で運転されることは極めて少なく常に余裕を有して動作する設計になっている。このため、大容量(大定格)の駆動モータを低い負荷率で運転することになり、十分な省エネ運転になっていないという課題がある。また、このような多品種の負荷を扱う装置は、粉砕機に限らず産業機械に用いられる電気機器にも当てはまり、このような電気機器でも直面する課題である。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、負荷特性に応じて電機機器の回転数を制御することができる駆動制御装置、該駆動制御装置を備える電気機器及び駆動制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係る駆動制御装置は、交流電源の周波数を変換するインバータで駆動される電動機により回転する回転軸に取り付けられた回転体を有する電気機器を駆動制御する駆動制御装置において、前記電動機の出力に関する複数の物理量を検出する物理量検出部と、前記物理量に対する閾値を記憶する記憶部と、前記電動機の回転数が基底回転数以上であるか否かを判定する回転数判定部と、該回転数判定部での判定結果に応じて前記物理量に対する閾値を選択する選択部と、前記物理量検出部で検出した物理量及び前記選択部で選択した閾値の大小関係に応じて前記回転軸の回転数を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
第2発明に係る駆動制御装置は、第1発明において、前記物理量検出部は、前記電動機の出力を検出するようにしてあり、前記選択部は、前記電動機の回転数が基底回転数以上である場合、特定の電力閾値を選択するようにしてあり、前記制御部は、前記物理量検出部で検出した出力及び前記特定の電力閾値の大小関係に応じて前記回転軸の回転数を制御するように構成してあることを特徴とする。
【0010】
第3発明に係る駆動制御装置は、第1発明において、前記物理量検出部は、前記電動機のトルクに関連する特徴量を検出するようにしてあり、前記選択部は、前記電動機の回転数が基底回転数以上でない場合、特定のトルク量閾値を選択するようにしてあり、前記制御部は、前記物理量検出部で検出した特徴量及び前記特定のトルク量閾値の大小関係に応じて前記回転軸の回転数を制御するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
第4発明に係る駆動制御装置は、交流電源の周波数を変換するインバータで駆動される電動機により回転する回転軸に取り付けられた回転体を有する電気機器を駆動制御する駆動制御装置において、前記電動機のトルクに関連する特徴量を検出する物理量検出部と、前記特徴量に対する特徴量閾値を算出する閾値算出部と、前記電動機を基底回転数以上の回転数で動作させた場合に、前記物理量検出部で検出した特徴量及び前記閾値算出部で算出した特徴量閾値の大小関係に応じて前記回転軸の回転数を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0012】
第5発明に係る駆動制御装置は、第4発明において、前記インバータで変換した周波数を検出する周波数検出部を備え、前記閾値算出部は、前記周波数検出部で検出した周波数及び前記基底回転数に対応する基準閾値に基づいて特徴量閾値を算出するようにしてあり、前記制御部は、前記物理量検出部で検出した特徴量及び前記閾値算出部で算出した特徴量閾値の大小関係に応じて前記回転軸の回転数を制御するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
第6発明に係る駆動制御装置は、第4発明において、前記制御部は、前記電動機を基底回転数以上の回転数で動作させた場合に、前記物理量検出部で検出した特徴量が前記特徴量閾値より大きい場合、前記回転軸の回転数を下げるように構成してあることを特徴とする。
【0014】
第7発明に係る駆動制御装置は、第4発明において、前記制御部は、前記電動機を基底回転数以上の回転数で動作させた場合に、前記物理量検出部で検出した特徴量が前記特徴量閾値より小さい場合、前記回転軸の回転数を上げるように構成してあることを特徴とする。
【0015】
第8発明に係る駆動制御装置は、交流電源の周波数を変換するインバータで駆動される電動機により回転する回転軸に取り付けられた回転体を有する電気機器を駆動制御する駆動制御装置において、前記電動機の出力を検出する物理量検出部と、前記電動機の出力に対する電力閾値を算出する閾値算出部と、前記電動機を基底回転数以下の回転数で動作させた場合に、前記物理量検出部で検出した出力及び前記閾値算出部で算出した電力閾値の大小関係に応じて前記回転軸の回転数を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0016】
第9発明に係る駆動制御装置は、第8発明において、前記インバータで変換した周波数を検出する周波数検出部を備え、前記閾値算出部は、前記周波数検出部で検出した周波数及び前記基底回転数に対応する基準閾値に基づいて電力閾値を算出するようにしてあり、前記制御部は、前記物理量検出部で検出した出力及び前記閾値算出部で算出した電力閾値の大小関係に応じて前記回転軸の回転数を制御するように構成してあることを特徴とする。
【0017】
第10発明に係る駆動制御装置は、第8発明において、前記制御部は、前記電動機を基底回転数以下の回転数で動作させた場合に、前記物理量検出部で検出した出力が前記電力閾値より大きい場合、前記回転軸の回転数を下げるように構成してあることを特徴とする。
【0018】
第11発明に係る駆動制御装置は、第8発明において、前記制御部は、前記電動機を基底回転数以下の回転数で動作させた場合に、前記物理量検出部で検出した出力が前記電力閾値より小さい場合、前記回転軸の回転数を上げるように構成してあることを特徴とする。
【0019】
第12発明に係る駆動制御装置は、第1発明乃至第11発明のいずれか1つにおいて、交流電源の周波数を前記インバータにより該周波数よりも低い低周波数に変換させ、前記回転体で所要の処理を行って、該回転体による処理の可否を判定する判定部を備えることを特徴とする。
【0020】
第13発明に係る駆動制御装置は、第12発明において、前記物理量検出部で検出したトルクに関連する特徴量を収集して統計値を算出する統計値算出部を備え、前記判定部は、前記統計値算出部で算出した統計値に基づいて前記処理の可否を判定するように構成してあることを特徴とする。
【0021】
第14発明に係る電気機器は、交流電源の周波数を変換するインバータと、該インバータで駆動される電動機と、該電動機により回転する回転軸に取り付けられた回転体と、前述の発明のいずれか1つに係る駆動制御装置とを備え、該駆動制御装置は、前記回転軸の回転数を制御するように構成してあることを特徴とする。
【0022】
第15発明に係る駆動制御方法は、交流電源の周波数を変換するインバータで駆動される電動機により回転する回転軸に取り付けられた回転体を有する電気機器の駆動制御方法において、前記電動機の出力に関する複数の物理量を検出するステップと、前記物理量に対する閾値を記憶しておき、前記電動機の回転数が基底回転数以上であるか否かを判定するステップと、該判定ステップでの判定結果に応じて前記物理量に対する閾値を選択するステップと、検出された物理量及び選択された閾値の大小関係に応じて前記回転軸の回転数を制御するステップとを含むことを特徴とする。
【0023】
第16発明に係る駆動制御方法は、交流電源の周波数を変換するインバータで駆動される電動機により回転する回転軸に取り付けられた回転体を有する電気機器の駆動制御方法において、前記電動機のトルクに関連する特徴量を検出するステップと、前記特徴量に対する特徴量閾値を算出するステップと、前記電動機を基底回転数以上の回転数で動作させた場合に、検出された特徴量及び算出された特徴量閾値の大小関係に応じて前記回転軸の回転数を制御するステップとを含むことを特徴とする。
【0024】
第17発明に係る駆動制御方法は、交流電源の周波数を変換するインバータで駆動される電動機により回転する回転軸に取り付けられた回転体を有する電気機器の駆動制御方法において、前記電動機の出力を検出するステップと、前記電動機の出力に対する電力閾値を算出するステップと、前記電動機を基底回転数以下の回転数で動作させた場合に、検出された出力及び算出された電力閾値の大小関係に応じて前記回転軸の回転数を制御するステップとを含むことを特徴とする。
【0025】
第1発明及び第15発明にあっては、電動機の出力に関する複数の物理量を検出する物理量検出部と、物理量に対する閾値を記憶する記憶部と、電動機の回転数が基底回転数以上であるか否かを判定する回転数判定部と、回転数判定部での判定結果に応じて物理量に対する閾値を選択する選択部と、検出した物理量及び選択した閾値の大小関係に応じて回転軸の回転数を制御する制御部とを備える。電動機の出力に関する物理量は、例えば、電動機(モータ)のトルク、トルク電流、負荷電流又は出力電力(モータの出力)などである。物理量として、電動機のトルク電流又は電動機の負荷電流を検出する場合には、検出したトルク電流又は負荷電流をトルクに変換すればよい。基底回転数は、インバータから電動機へ出力する基底周波数(例えば、50Hz、60Hzなど)と、電動機の極数とによって決定される同期回転数である。電動機の基底回転数とインバータの基底周波数は一義的に決定されるので、回転数判定部で電動機の回転数が基底回転数以上であるか否かを判定することは、インバータの周波数が基底周波数以上であるか否かを判定することと同義である。
【0026】
インバータで制御される電動機の出力特性は、基底回転数以下の回転数(基底周波数以下の周波数)では定トルク特性を有し、基底回転数以上の回転数(基底周波数以上の周波数)では定出力特性(定出力電力特性)を有する。すなわち、回転数判定部は、電動機が定トルク領域で動作しているのか、定出力領域で動作しているのかを判定する。選択部は、回転数判定部での判定結果に応じて物理量に対する閾値を選択する。例えば、電動機の回転数が基底回転数以上であると判定された場合(電動機が定出力領域で動作していると判定された場合)、電動機の出力電力(物理量)に対する電力閾値を選択する。電動機が定出力領域で動作している場合には、電動機の出力電力は一定であるので、特定(一定値)の電力閾値を用いることができる。また、電動機の回転数が基底回転数以上でないと判定された場合(電動機が定トルク領域で動作していると判定された場合)、電動機のトルク(物理量)に対するトルク閾値を選択する。電動機が定トルク領域で動作している場合には、電動機のトルクは一定であるので、特定(一定値)のトルク閾値を用いることができる。
【0027】
制御部は、検出した物理量及び選択した閾値の大小関係に応じて電気機器の回転軸の回転数を制御する。すなわち、電動機が定出力領域で動作している場合には、物理量として電動機の出力電力(出力)を検出し、検出した出力電力と電力閾値との大小関係に応じて電動機の回転数を制御する。電動機のトルクTmは、Tm=a×Pw/Vfで表すことができる。ここで、aは電動機の構造によって決定される係数、Pwは電動機の出力電力、Vfは電動機のモータ軸の回転数である。定出力領域で動作している電動機のトルクが負荷状態により変動した場合には、電動機の回転数が変化しないとすると電動機の出力電力が変動することになる。そこで、検出した出力電力(出力)が電力閾値より小さい場合、軽負荷であるので電気機器の回転軸の回転数を上げて粉砕処理能力を高める。また、検出した出力電力が電力閾値より大きい場合、重負荷であるので回転数を下げることによりトルクを増やし過負荷停止を防止する。
【0028】
一方、電動機が定トルク領域で動作している場合には、物理量として電動機のトルク(又はトルクに関連するトルク電流又は負荷電流など)を検出し、検出したトルクとトルク閾値との大小関係に応じて電気機器の回転軸の回転数を制御する。なお、電気機器の回転軸の回転数を制御することは、インバータの出力電圧の周波数を制御すること、あるいは電動機のモータ軸の回転数を制御することと同義である。
【0029】
上述のように、電動機を基底回転数以上の回転数で動作させる場合、負荷の状態に応じて電気機器の回転軸の回転数を制御する際に、検出した出力電力(物理量)と電力閾値との大小関係を比較するだけで電動機の回転数を負荷に応じて制御することができるので、例えば、インバータが電動機の出力電力だけを出力するような比較的低コストのインバータを用いて電気機器の回転数制御を行うことが可能となる。また、電動機の定出力領域におけるトルク値は回転数に応じて変化するので、検出したトルクと閾値とを比較する場合、電動機の回転数に応じて異なる閾値を用いる必要がある。このため、電動機の回転数制御を行う際には、回転数に応じた閾値を計算する必要があり、計算処理に伴う構成の追加によりコスト高となってしまう。検出した出力電力(物理量)と電力閾値との大小関係を比較することにより、トルクの閾値の計算が不要となり、コスト低減を図ることができ、簡便な構成で負荷特性に応じて電機機器の回転数を制御することができる。
【0030】
第2発明にあっては、物理量検出部は、電動機の出力(出力電力)を検出し、電動機の回転数が基底回転数以上である場合(すなわち、電動機が定出力領域で動作している場合)、選択部は、特定(一定値)の電力閾値を選択する。制御部は、検出した出力電力及び特定の電力閾値の大小関係に応じて回転軸の回転数を制御する。電動機を基底回転数以上の回転数で動作させる場合、負荷の状態に応じて回転数を制御する際に、検出した出力電力(物理量)と特定の電力閾値との大小関係を比較するだけで電動機の回転数を負荷に応じて制御することができるので、閾値の計算が不要となり、簡便な構成で負荷特性に応じて電機機器の回転数を制御することができる。
【0031】
第3発明にあっては、電動機のトルクに関連する特徴量を検出する。トルクに関連する特徴量とは、トルク、トルク電流又は負荷電流などである。電動機の回転数が基底回転数以上でない場合(すなわち、電動機が定トルク領域で動作している場合)、特定(一定値)のトルク量閾値を選択する。制御部は、検出した特徴量及び特定のトルク量閾値の大小関係に応じて回転軸の回転数を制御する。電動機を基底回転数以下の回転数で動作させる場合、負荷の状態に応じて回転数を制御する際に、検出したトルクに関連する特徴量(物理量)と特定のトルク閾値との大小関係を比較するだけで電動機の回転数を負荷に応じて制御することができるので、閾値の計算が不要となり、簡便な構成で負荷特性に応じて電機機器の回転数を制御することができる。
【0032】
第4発明及び第16発明にあっては、電動機のトルクに関連する特徴量を検出する物理量検出部と、特徴量に対する特徴量閾値を算出する閾値算出部と、電動機を基底回転数以上の回転数で動作させた場合に、検出した特徴量及び特徴量閾値の大小関係に応じて回転軸の回転数を制御する制御部とを備える。トルクに関連する特徴量は、例えば、電動機(モータ)のトルク自身、トルク電流又は負荷電流などである。特徴量として、電動機のトルク電流又は電動機の負荷電流を検出する場合には、検出したトルク電流又は負荷電流をトルクに変換すればよい。基底回転数は、インバータから電動機へ出力する基底周波数(例えば、50Hz、60Hzなど)と、電動機の極数とによって決定される同期回転数である。すなわち、電動機のモータ軸の基底回転数とインバータの周波数は一義的に決定される。
【0033】
インバータで制御される電動機の出力特性は、基底回転数以下の回転数では定トルク特性を有し、基底回転数以上の回転数では定出力特性(定出力電力特性)を有する。制御部は、電動機を基底回転数以上の回転数で動作させた場合、すなわち、定出力領域で動作させた場合、検出したトルクに関連する特徴量及び特徴量閾値(例えば、トルク閾値、トルク電流閾値、負荷電流閾値など)の大小関係に応じて回転軸の回転数を制御する。例えば、検出したトルクに関連する特徴量が特徴量閾値より小さい場合、軽負荷であるので回転数を上げて粉砕処理能力を高める。また、検出したトルクに関連する特徴量が特徴量閾値より大きい場合、重負荷であるので回転数を下げることによりトルクを増やし過負荷停止を防止する。これにより、負荷特性に応じたトルク特性を実現し、かつ最大の処理能力を得ることができ、負荷変動に応じてトルクを変更することができるので、予め大容量(大定格)の電動機を設ける必要がなく、また大容量の電動機を低い負荷率で動作させる必要もないので、低価格で低容量の電動機を用いることができるとともに省エネを図ることができる。また、負荷特性に応じて電機機器の回転数を制御することができる。
【0034】
第5発明にあっては、閾値算出部は、インバータで変換した周波数及び基底回転数に対応する基準閾値に基づいて特徴量閾値を算出する。基底回転数(基底周波数)に対応する基準閾値Tcとは、定トルク領域での一定のトルク閾値である。インバータで変換された周波数をFとすると、周波数Fでの特徴量閾値Tfは、Tf=Tc×基底周波数/F、の式により算出することができる。すなわち、基底周波数(例えば、50Hz、60Hz)以上の周波数における特徴量閾値は、周波数の増加に伴い減少し、定出力領域での電動機のトルク曲線に沿った閾値を求めることができる。制御部は、検出した特徴量及び算出した特徴量閾値の大小関係に応じて回転軸の回転数を制御する。電動機のトルク曲線に沿った閾値を求めることができるので、負荷変動に応じて電気機器の回転軸の回転数が変化した場合でも、負荷変動に応じた閾値を使用することができ、電気機器の回転軸の回転数を最適にしつつ最適なトルクを出力して運転することができる。
【0035】
第6発明にあっては、制御部は、電動機を基底回転数以上の回転数で動作させた場合、すなわち、電動機を定出力領域で動作させた場合、検出した特徴量が特徴量閾値より大きい場合、回転軸の回転数を下げる。例えば、負荷変動により検出したトルク(特徴量)が特徴量閾値を超えた場合、回転軸の回転数を下げることによりトルクを増加させる。これにより、重負荷になった場合でも、必要なトルクが得られ、負荷変動に対応させて過負荷停止を防止することができる。
【0036】
第7発明にあっては、制御部は、電動機を基底回転数以上の回転数で動作させた場合、すなわち、電動機を定出力領域で動作させた場合、検出した特徴量が特徴量閾値より小さい場合、回転軸の回転数を上げる。例えば、負荷変動により検出したトルク(特徴量)が特徴量閾値を下回る場合、回転軸の回転数を上げることによりトルクを減少させる。これにより、軽負荷になった場合でも、必要なトルクを維持しつつ回転数を増やすことができ、負荷変動に対応させて粉砕処理能力を高めることができる。
【0037】
第8発明及び第17発明にあっては、電動機の出力(出力電力)を検出する物理量検出部と、電動機の出力に対する電力閾値を算出する閾値算出部と、電動機を基底回転数以下の回転数で動作させた場合に、検出した出力及び電力閾値の大小関係に応じて回転軸の回転数を制御する制御部とを備える。基底回転数は、インバータから電動機へ出力する基底周波数(例えば、50Hz、60Hzなど)と、電動機の極数とによって決定される同期回転数である。すなわち、電動機のモータ軸の基底回転数とインバータの周波数は一義的に決定される。
【0038】
インバータで制御される電動機の出力特性は、基底回転数以下の回転数では定トルク特性を有し、基底回転数以上の回転数では定出力特性(定出力電力特性)を有する。制御部は、電動機を基底回転数以下の回転数で動作させた場合、すなわち、定トルク領域で動作させた場合、検出した出力電力(出力)及び電力閾値の大小関係に応じて回転軸の回転数を制御する。電動機のトルクTmは、Tm=a×Pw/Vfで表すことができる。ここで、aは電動機の構造によって決定される係数、Pwは電動機の出力電力(出力)、Vfは電動機のモータ軸の回転数である。定トルク領域で動作している電動機のトルクが負荷状態により変動した場合には、電動機の回転数が変化しないとすると電動機の出力電力が変動することになる。
【0039】
そこで、例えば、検出した出力電力が電力閾値より小さい場合、軽負荷であるので回転数を上げて粉砕処理能力を高める。また、検出した出力電力が電力閾値より大きい場合、重負荷であるので回転数を下げることによりトルクを増やし過負荷停止を防止する。これにより、負荷特性に応じたトルクを得るとともに、最適な回転数にして最大の処理能力を得ることができるので、予め大容量(大定格)の電動機を設ける必要がなく、また大容量の電動機を低い負荷率で動作させる必要もないので、低価格で低容量の電動機を用いることができるとともに省エネを図ることができる。また、負荷特性に応じて電機機器の回転数を制御することができる。
【0040】
第9発明にあっては、閾値算出部は、インバータで変換した周波数及び基底回転数に対応する基準閾値に基づいて電力閾値を算出する。基底回転数(基底周波数)に対応する基準閾値Pcとは、定出力領域での一定の電力閾値である。インバータで変換された周波数をFとすると、周波数Fでの電力閾値Pfは、Pf=Pc×F/基底周波数、の式により算出することができる。すなわち、基底周波数(例えば、50Hz、60Hz)以下の周波数における電力閾値は、周波数の増加に伴い増加し、定トルク領域での電動機の出力電力曲線に沿った閾値を求めることができる。制御部は、検出した出力電力及び算出した電力閾値の大小関係に応じて回転軸の回転数を制御する。電動機の出力電力曲線に沿った閾値を求めることができるので、負荷変動に応じて電気機器の回転軸の回転数が変化した場合でも、負荷変動に応じた閾値を使用することができ、電気機器の回転軸の回転数を最適にしつつ最適なトルクを出力して運転することができる。
【0041】
第10発明にあっては、制御部は、電動機を基底回転数以下の回転数で動作させた場合、すなわち、電動機を定トルク領域で動作させた場合、検出した出力電力が電力閾値より大きい場合、回転軸の回転数を下げる。例えば、負荷変動により検出した出力電力が電力閾値を超えた場合、回転軸の回転数を下げることによりトルクを増加させる。これにより、重負荷になった場合でも、必要なトルクが得られ、負荷変動に対応させて過負荷停止を防止することができる。
【0042】
第11発明にあっては、制御部は、電動機を基底回転数以下の回転数で動作させた場合、すなわち、電動機を定トルク領域で動作させた場合、検出した出力電力が電力閾値より小さい場合、回転軸の回転数を上げる。例えば、負荷変動により検出した出力電力が電力閾値を下回る場合、回転軸の回転数を上げることによりトルクを減少させる。これにより、軽負荷になった場合でも、必要なトルクを維持しつつ回転数を増やすことができ、負荷変動に対応させて粉砕処理能力を高めることができる。
【0043】
第12発明にあっては、交流電源の周波数をインバータにより当該周波数よりも低い低周波数に変換させ、回転体で所要の処理を行って、回転体による処理の可否を判定する判定部を備える。低周波数域は、例えば、数Hzから20Hz程度の周波数である。好ましくは交流電源(商用周波数、50Hz、60Hz)の10%程度であり、5Hz又は6Hz±数Hzとすることができる。電気機器が、1又は複数の回転軸を有する粉砕機である場合、所要の処理とは、回転刃で被粉砕物を粉砕することである。なお、粉砕機に限定されるものではない。
【0044】
インバータの出力周波数を商用周波数(50Hz又は60Hz)にして動作させ、所要の処理、例えば、被粉砕物を粉砕した場合、過渡的な過負荷が発生し、回転刃(回転軸)には大きな負荷がかかる。回転軸に比べて高速で回転するモータ軸(電動機軸)の慣性が大きいので、回転軸に過負荷が加わった場合、高速で回転しているモータ軸の大きな慣性により、電動機のトルク(電動機の駆動電流により出力するトルク)を遥かに上回る慣性付加トルク(慣性モーメントと角加速度の乗算値)が生じ、実トルク(実際に負荷に与えるトルク)は、電動機のトルクと慣性付加トルクの合計値となる。すなわち、インバータを商用周波数で動作させた場合、実トルクは、電動機のトルクだけではなく、電動機のトルクに慣性付加トルクが加わった大きなトルクになる。このため、従来のように、電動機のトルクが許容範囲内にあるか否かで被粉砕物の粉砕の可否を判定した場合、実際には予期しない大きなトルクが負荷に与えられているため、実トルクが許容範囲を超えている事態が起こり得る。
【0045】
一方、負荷に与えるトルク(実トルク)、すなわち被粉砕物を切断する力は、回転軸(回転刃)の回転数(インバータの出力周波数)の大小関係にかかわらず同じである。そこで、インバータを、出力周波数が低周波数域内にある状態で動作させて、モータ軸の回転数を小さくして(下げて)、慣性付加トルクの影響を極力少なくすることで、電動機のトルクが実トルクに近づく状態で被粉砕物を粉砕させる。この場合に電動機のトルクが許容範囲内であるか否か判定することで、当該被粉砕物を粉砕した場合に、実トルクが許容範囲内であるかを近似的に判定することができる。これにより、インバータの出力周波数を商用周波数、商用周波数以上又は商用周波数以下にした場合であっても、実トルクが許容範囲内にあるか否かを判定しているので、過渡的な過負荷が発生した場合でも実トルクが許容範囲を超えることがなく、当該被粉砕物の粉砕が可能であるか否かを確実に判定することができる。なお、電動機のトルクに代えて、電動機のトルク電流又は負荷電流などを用いることもできる。
【0046】
第13発明にあっては、検出したトルクに関連する特徴量を収集して統計値を算出する統計値算出部を備え、判定部は、算出された統計値に基づいて処理の可否を判定する。トルクに関連する特徴量は、例えば、電動機のトルクの他、電動機のトルク電流又は負荷電流などである。統計値は、例えば、特徴量(例えば、トルクなど)のピーク値を複数回検出し、検出したピーク値の平均値あるいは最大値などとすることができる。判定部は、算出した特徴量の統計値が許容範囲内(例えば、許容トルク範囲内)であるか否かに応じて所要の処理、例えば、粉砕の可否を判定する。特徴量として、電動機のトルク電流又は負荷電流を検出する場合には、検出したトルク電流又は負荷電流をトルクに変換すればよい。統計値を用いることにより、被粉砕物の粉砕、破砕状態によって変化する特徴量(例えば、トルクなど)のバラツキを考慮した上で、特徴量が許容範囲内であるか否かを判定するので、被粉砕物の粉砕が可能であるか否かを確実に判定することができる。
【0047】
第14発明にあっては、交流電源の周波数を変換するインバータと、インバータで駆動される電動機と、電動機により回転する回転軸に取り付けられた回転体と、前述の駆動制御装置とを備える。駆動制御装置は、電気機器の回転軸の回転数を制御する。これにより、負荷特性に応じて回転軸の回転数を制御することができる。また、低価格で低容量の電動機を用いることができるとともに省エネを図ることができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、負荷特性に応じて電機機器の回転数を制御することができる。また、低価格で低容量の電動機を用いることができるとともに省エネを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施の形態1に係る駆動制御装置を備える粉砕機の設置例の概要を示す外観斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る粉砕機本体の一例を示す要部平面図である。
【図3】実施の形態1の粉砕機の回路構成の一例を示すブロック図である。
【図4】インバータの出力電流波形の一例を示すタイムチャートである。
【図5】従来の粉砕機の回転軸の回転数とインバータの周波数との関係を示す説明図ある。
【図6】従来のインバータ制御されたモータの出力特性の一例を示す説明図である。
【図7】実施の形態1の粉砕機のモータの出力特性の一例を示す説明図である。
【図8】実施の形態1の粉砕機の閾値の選択例を示す説明図である。
【図9】実施の形態2の粉砕機の回路構成の一例を示すブロック図である。
【図10】実施の形態2の粉砕機のトルク閾値の一例を示す説明図である。
【図11】実施の形態2の粉砕機のモータの出力特性の一例を示す説明図である。
【図12】電動機の負荷率と力率との関係を示す説明図である。
【図13】実施の形態2の粉砕機の動作時の特性の一例を示す説明図である。
【図14】実施の形態3の粉砕機の回路構成の一例を示すブロック図である。
【図15】実施の形態3の粉砕機の電力閾値の一例を示す説明図である。
【図16】実施の形態4の粉砕機の回路構成の一例を示すブロック図である。
【図17】インバータの出力周波数が6Hzの場合の定格トルクに対する負荷率の実測値の一例を示す説明図である。
【図18】インバータの出力周波数が20Hzの場合の定格トルクに対する負荷率の実測値の一例を示す説明図である。
【図19】インバータの出力周波数が40Hzの場合の定格トルクに対する負荷率の実測値の一例を示す説明図である。
【図20】インバータの出力周波数が60Hzの場合の定格トルクに対する負荷率の実測値の一例を示す説明図である。
【図21】インバータの出力周波数と負荷率との対応関係の一例を示す説明図である。
【図22】トルク値の補正の一例を示す説明図である。
【図23】実施の形態5の粉砕機本体の一例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は実施の形態1に係る駆動制御装置を備える粉砕機100の設置例の概要を示す外観斜視図である。以下では、電気機器として粉砕機100を例として説明する。なお、電気機器は、粉砕機100に限定されるものではない。粉砕機100は、筐体を備える粉砕機本体50、50Hz又は60Hzなどの商用電源から供給される交流電源の周波数(基底周波数)を変換し、変換した周波数の交流電圧を出力するインバータ40、インバータ40が出力する交流電圧により駆動されるモータ(電動機)20、モータ20のモータ軸の回転数を減速する減速機30、粉砕機100の動作を制御する駆動制御装置としての制御部70などを備える。粉砕機100は、筐体内に横置きされた回転軸を有し、回転軸は、減速機30で減速された回転数で回転する。粉砕機100は、筐体内の回転軸に取り付けられた回転刃と筐体内に配置された固定刃との協働により被処理物を粉砕する。なお、以下の説明では、駆動制御装置としての制御部70が電気機器としての粉砕機に組み込まれた構成としているが、制御部70を別個の装置として粉砕機から分離した構成とすることもできる。
【0051】
粉砕機本体50は、上側と下側が開口した筐体を備える。粉砕機本体50は、中央部が開口した金属製の支持台1にボルト等で固定されている。支持台1の下側には、粉砕機本体50の下部に取り付けられた材料受部が配置されている。
【0052】
粉砕機本体50の上方には、略S字状の投入ホッパ60を設けている。投入ホッパ60の下側縁部には、開閉用の軸(不図示)を設けてあり、軸回りに約90度投入ホッパ60を回転させることにより、粉砕機本体50の上方を開放することができる。投入ホッパ60の内部は開放され、投入口61から投入された被処理物(スプルランナ)は粉砕機本体50へ供給される。
【0053】
図2は実施の形態1に係る粉砕機本体50の一例を示す要部平面図である。図2に示すように、支持台1の上面には、適長離隔した1対の金属製の固定側壁2、2を対設してあり、固定側壁2、2の両側部には、1対の金属製の揺動側壁3、3が固定側壁2、2で挟まれるように配置してあり、固定側壁2、2、及び揺動側壁3、3により筐体を構成している。そして、粉砕機本体50の筐体は、上側及び下側が開口している。
【0054】
一方の固定側壁2の略中央部には、軸受10が取り付けられてあり、他方の固定側壁2には、モータ20、減速機30を取り付けてある。なお、図2においてインバータ40、制御部70は省略している。減速機30は、ピニオン及びホイール(ギア)などを備え、モータ20のモータ軸の回転数を減速し、減速した回転数で粉砕機本体50の回転軸(不図示)を回転させる。回転軸は、固定側壁2、2の間に横置きに配置されている。これにより、モータ20のモータ軸に連動して粉砕機本体50の回転軸が回転する。
【0055】
固定側壁2、2、及び揺動側壁3、3で囲まれる空間には、回転軸に嵌装された回転刃としての粗砕刃4、4、及び粉砕刃6、6、6が収容される。粗砕刃4、4は、回転軸の周面から円弧状に突出している。すなわち、粗砕刃4、4は、回転方向に向かって先端部(刃先部)が湾曲したアーム状をなし回転軸の軸方向に適長離隔して配置されている。粉砕刃6、6、6は、固定側壁2と粗砕刃4との間、及び粗砕刃4、4の間に配置され、回転軸方向に所定の間隔で環状溝が形成され、隣接する環状溝間の環状突起部の外周面を鋸歯状に形成している。
【0056】
揺動側壁3、3は、回転軸に平行な揺動軸(不図示)の回りに揺動可能であり、揺動側壁3、3を開くことにより、筐体内部が上向きに開放される。一方の揺動側壁3の内側には、各粗砕刃4、及び各粉砕刃6との協働により被処理物(スプルランナ)を粉砕するための矩形の板状の第1固定刃7a、…、及び第2固定刃7bで構成される固定刃7が、内側に向かって下方向に傾斜するように固定されている。
【0057】
第1固定刃7aは、長手方向の寸法が粉砕刃6の軸方向の寸法と略同一であり、長辺側の一方の縁部は、粉砕刃6の刃先と噛み合うように凹凸状に形成された歯部を有し、ボルト9、…で揺動側壁3の内側に固定されている。また、第1固定刃7aの短辺側であって粗砕刃4と近接する縁部には、粗砕刃4との協働により被処理物を粉砕する歯部を形成している。
【0058】
第2固定刃7bは、長手方向の寸法が揺動側壁3の軸方向の寸法と略同一であり、長辺側の一方の縁部であって、粗砕刃4と近接する箇所には、粗砕刃4との協働により被処理物を粉砕する歯部を形成している。第2固定刃7bは、ボルト(不図示)により第1固定刃7a、…の長辺側の他方の縁部に当接するように揺動側壁3の内側に固定されている。
【0059】
揺動側壁3の内側であって固定刃7の下側には、粗砕刃4、4で粗砕され、所定の大きさに粉砕されていない被処理物が排出されることを防止するため、粗砕刃カバー(不図示)が設けられている。粗砕刃カバーは、粗砕刃4、4の回転軌道を覆うように内側に円弧状の溝加工が施されている。
【0060】
他方の揺動側壁3の内側には、粉砕刃6、6、6で所定の大きさ(粒形状)に粉砕された粉砕材を掻き落とし、筐体の下側の材料受部へ排出するための略矩形の板状のスクレーパ5が、ボルト8、8、8により内側に向かって下方向に傾斜するように固定されている。
【0061】
スクレーパ5は、粗砕刃4、4が回転する部分に矩形状の切り込みを形成してあり、長辺側の一方の縁部であって、粉砕刃6、6、6と近接する箇所には、粉砕刃6の刃先と噛み合うように凹凸状に形成された掻き落とし部を形成している。
【0062】
揺動側壁3の内側であってスクレーパ5の下側には、粗砕刃4、4で粗砕され、未だ所定の大きさに粉砕されていない被処理物が排出されることを防止するため、粗砕刃カバーが設けられている。粗砕刃カバーは、粗砕刃4、4の回転軌道を覆うように内側に円弧状の溝加工が施されている。両方の揺動側壁3、3を閉じた場合、各粗砕刃カバーは、一端部でお互いに当接して、粗砕刃4、4の回転軌道を覆う空間を形成し、未粉砕の被処理物が排出されることを防止する。
【0063】
各固定側壁2、及び各揺動側壁3で構成される筐体の4隅には、揺動側壁3、3を固定側壁2、2に固定するため一面がテーパ状のロック部材13、…が取り付けられるようになっており、テーパ状の一面で固定側壁2、揺動側壁3の端部を挟み込み、ロック部材13に螺合したレバー12を締め付けることにより、揺動側壁3、3を固定側壁2、2に固定する。各揺動側壁3は、揺動側壁3に固定されたハンドル14を持って開閉することができる。
【0064】
被処理物を粉砕する場合、レバー12を締め付けることにより、揺動側壁3、3を固定側壁2、2に固定する。筐体の上部に配置された投入ホッパ60に被処理物を投入し、インバータ40の電源をオンにすると、回転軸が所定の回転数で回転し、粗砕刃4、粉砕刃6が回転する。回転方向は、粗砕刃4、及び粉砕刃6が上側から下側に向かって固定刃7と噛み合うとともに、下側から上側に向かってスクレーパ5と噛み合う方向である。
【0065】
これにより、被処理物は、まず粗砕刃4と固定刃7との協働により粗砕され、粉砕刃6に食い込み易い大きさに細断される。粗砕された被処理物は、粉砕刃6と第1固定刃7aとの協働により所定の大きさの粉砕材に粉砕され、粉砕刃6の回転に伴って筐体の下側に送られ、材料受部に排出される。また、所定の大きさに粉砕された粉砕材のうち、静電気で粉砕刃6の側面に付着したものは、粉砕刃6とスクレーパ5との協働によりスクレーパ5の下面で掻き落とされ、材料受部に排出される。
【0066】
粗砕刃4により粗砕された被処理物の一部は、粗砕刃4の回転により固定刃7の下側に送られるが、粗砕刃カバーで受け止められ、再び各粉砕刃6の上側に送られるとともに、材料受部に誤って排出されることを防止する。
【0067】
図3は実施の形態1の粉砕機100の回路構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、インバータ40は、50Hz又は60Hzの交流電圧を所要の周波数に変換し、変換した出力電圧をモータ20へ供給する。モータ20は、例えば、誘導電動機であり、インバータ40から供給された交流電圧に応じて駆動される。モータ20のモータ軸の回転数は減速機30で減速され、粉砕機本体50の回転軸は減速機30により減速された回転数で回転する。
【0068】
インバータ40は、モータ20の出力に関する物理量を取得し、取得した物理量を制御部70へ出力する。モータ20の出力に関する物理量は、例えば、モータ20のトルク(駆動トルク)、トルク電流、負荷電流又は出力電力などである。物理量として、モータ20のトルク電流又は電動機の負荷電流を検出する場合には、検出したトルク電流又は負荷電流をトルクに変換すればよい。インバータ40は、上述の物理量のすべてを出力する必要はなく、トルク、トルク電流、負荷電流又は出力電力の少なくとも1つを含んでいればよい。また、以下の説明では、トルクに関連する特徴量は、モータ20のトルク、トルク電流又はモータの負荷電流などである。
【0069】
インバータ40は、モータ20へ出力する出力電流によりモータ20のトルクを取得することができる。より具体的には、インバータ40の出力電流は、モータ20のトルクに応じたトルク電流(有効電流)成分とトルクに寄与しない無効電流成分との合計であるので、出力電流から無効電流成分を減算したトルク電流に基づいてモータ20のトルクを求めることができる。
【0070】
図4はインバータ40の出力電流波形の一例を示すタイムチャートである。図4において、横軸は時間を示し、縦軸はインバータ40の出力電流を示す。インバータ40の出力電流は、粉砕機本体50が被処理物を粉砕していない無負荷の状態での無効電流と、被処理物を粉砕している負荷状態のトルク電流(有効電流)との合計で表すことができる。図4の例では、トルク電流が時間の経過とともに変動しており、被処理物が粉砕される過程で生じるトルクが変動している様子がわかる。なお、出力電流の波形は一例であって、図4の例に限定されるものではない。
【0071】
インバータ40の出力周波数とモータ軸の回転数との関係は、Vf=120×F/Sで表すことができる。ここで、Vfはモータ20のモータ軸の回転数で、Sはモータ20極数で、Fはインバータ40の出力周波数である。例えば、モータ20が4極であり、インバータ40の出力周波数Fが50Hzの場合、モータ軸の回転数Vfは1500rpmとなり、インバータ40の出力周波数Fが60Hzの場合、モータ軸の回転数Vfは1800rpmとなる。
【0072】
減速機30の減速比は、例えば、1/160であり、従来の減速機の減速比(例えば、1/80)よりも減速の割合を大きくしている。
【0073】
次に、インバータ制御されたモータの出力特性について説明する。図5は従来の粉砕機の回転軸の回転数とインバータの周波数との関係を示す説明図であり、図6は従来のインバータ制御されたモータの出力特性の一例を示す説明図である。図5に示すように、従来、減速機の減速比は、1/80程度のものが用いられていた。インバータの出力電圧の基底周波数を50Hzとした場合、4極のモータのモータ軸の回転数(基底回転数)は1500rpmとなり、減速比1/80で減速された粉砕機の回転軸の回転数は、18.75rpmである。また、インバータの出力電圧の基底周波数を60Hzとした場合、4極のモータのモータ軸の回転数(基底回転数)は1800rpmとなり、減速比1/80で減速された粉砕機の回転軸の回転数は、22.5rpmである。
【0074】
図6において、横軸はインバータの周波数及び粉砕機の回転軸の回転数を示し、縦軸はモータの出力トルク及び出力電力を示す。図6に示すように、インバータの周波数を60Hz(基底周波数)としたときのモータのモータ軸の基底回転数が1800rpmに対応する粉砕機の回転軸の回転数である22.5rpmを境にしてモータの出力特性が変わる。基底周波数、すなわち基底回転数(回転軸の回転数22.5rpmに相当)以下では、定トルク特性となり、基底回転数以上では定出力特性となる。
【0075】
図6中、実線で示すモータのトルク曲線(トルク特性)のように、モータのトルクは、定トルク領域では一定となり、定出力領域ではインバータの周波数が大きくなるにつれて徐々に小さくなる。定出力領域におけるモータのトルク曲線上ではモータの出力電力が一定となる。
【0076】
また、図6中、破線で示すモータの電力曲線(出力電力特性)のように、モータの出力電力は、定トルク領域ではインバータの周波数が大きくなるにつれて徐々に大きくなり、定出力領域では一定となる。定出力領域ではインバータの周波数が大きくなるにつれて徐々に小さくなる。定トルク領域におけるモータの電力曲線上ではモータのトルクが一定となる。
【0077】
従来の粉砕機にあっては、粉砕処理能力を高めるために回転軸の回転数をある程度以上維持しつつ、多種多様な負荷による負荷変動に対応するため、十分な大きさのトルクが得られるように減速機の減速比を1/80程度のものとしていた。減速比を仮にさらに大きくした場合(すなわち、減速の割合をさらに大きくした場合)には、モータの基底回転数に対応する粉砕機の回転軸の回転数が小さくなり、定トルク特性が得られる周波数範囲が狭くなるとともに、回転軸の回転数を上げたときには、定出力特性となって十分なトルクが得られないという事態になるからである。
【0078】
図7は実施の形態1の粉砕機100のモータ20の出力特性の一例を示す説明図である。図7において、横軸はインバータ40の周波数及び粉砕機100の回転軸の回転数を示し、縦軸はモータ20の出力トルク及び出力電力を示す。図7中、実線は実施の形態1の粉砕機100のモータ20のトルク曲線(トルク特性)を示し、破線は粉砕機100のモータ20の電力曲線(出力電力特性)を示す。また、細破線は図6で例示した従来の粉砕機のモータのトルク曲線(トルク特性)を示す。
【0079】
図7中の細破線で示すように、従来の粉砕機のモータは、粉砕機の回転軸の回転数が22.5rpm以下では定トルク特性であり、22.5rpm以上では定出力特性となり、トルクは回転数の増加に伴って減少する。従来の粉砕機は、負荷変動を見込んで最大のトルクが常に得られるように定トルク特性で運転されるが、粉砕機の通常の運転では、最大トルク付近で運転されることは極めて少なく常に余裕を有して動作する設計になっている。このため、大容量(例えば、0.75kW)のモータを低い負荷率で運転することになり、十分な省エネ運転になっていない。
【0080】
一方、図7中の実線で示すように、実施の形態1の粉砕機100のモータ20は、減速機30の減速比が、従来の1/80より大きい1/160であるので、インバータ40の基底周波数60Hzでモータ20のモータ軸が1800rpmの基底回転数で回転した場合、粉砕機100の回転軸の回転数は11.25rpmとなる。すなわち、実施の形態1の粉砕機100のモータ20は、粉砕機100の回転軸の回転数が11.25rpm以下では定トルク特性であり、従来の粉砕機と同じトルクを出力することができ、回転数が11.25rpm以上では定出力特性となり、トルクは回転数の増加に伴って減少する。また、実施の形態1のモータ20の容量(定格)は0.4kWであり、従来の粉砕機で用いられたモータの容量よりも小さい。なお、モータ20の容量(定格)は一例であって、0.4kWに限定されるものではない。
【0081】
制御部70は、モータ20の出力に関する物理量を検出する物理量検出部71、モータ20のモータ軸の回転数が基底回転数以上であるか否かを判定する回転数判定部72、回転数判定部72での判定結果に応じて物理量に対する閾値を選択する閾値選択部73、インバータ40が出力する交流電源の周波数を制御することにより、粉砕機本体50の回転軸の回転数を制御する回転数制御部74、物理量に対する閾値などの所定の情報を記憶する記憶部75などを備える。
【0082】
物理量検出部71は、インバータ40が出力する物理量を検出する。物理量は、例えば、モータ20のトルク(駆動トルク)、トルク電流、負荷電流又は出力電力などである。なお、物理量検出部71は、モータ20のトルク、トルク電流、負荷電流又は出力電力の少なくとも1つを検出すればよい。なお、インバータ40が物理量を出力しない構成である場合には、物理量検出部71は、インバータ40以外(例えば、モータ20など)から物理量を検出するようにすればよい。
【0083】
回転数判定部72は、モータ20のモータ軸の回転数が基底回転数以上であるか否かを判定する。基底回転数は、インバータ40がモータ20へ出力する基底周波数(例えば、50Hz、60Hzなど)と、モータ20の極数とによって決定される同期回転数である。モータ20の基底回転数とインバータ40の基底周波数は一義的に決定されるので、回転数判定部72でモータ20の回転数が基底回転数以上であるか否かを判定することは、インバータ40の周波数が基底周波数以上であるか否かを判定することと同義である。
【0084】
図7で例示したように、インバータ40で制御されるモータ20の出力特性は、基底回転数以下の回転数(基底周波数以下の周波数)では定トルク特性を有し、基底回転数以上の回転数(基底周波数以上の周波数)では定出力特性(定出力電力特性)を有する。すなわち、回転数判定部72は、モータ20が定トルク領域で動作しているのか、定出力領域で動作しているのかを判定する。
【0085】
なお、基底回転数(基底周波数)以上であるか否かの判定は、基底回転数(基底周波数)自身を境界として判定する場合だけでなく、基底回転数(基底周波数)を中心にして所定の許容幅を設け、許容幅の境界よりも大きいか、あるいは小さいかで判定してもよい。例えば、基底周波数が60Hzである場合、60Hz以上であるか否かで判定する方法、60Hz−20Hz=40Hz以上であるか否かで判定する方法、60Hz+20Hz=80Hz以上であるか否かで判定する方法など、いずれの方法を採用してもよい。
【0086】
閾値選択部73は、回転数判定部72での判定結果に応じて物理量に対する閾値を選択する。
【0087】
図8は実施の形態1の粉砕機100の閾値の選択例を示す説明図である。図8に示すように、例えば、モータ20の回転数が基底回転数以上(インバータ40の周波数が基底周波数以上)であると判定された場合(モータ20が定出力領域で動作していると判定された場合)、モータ20の出力電力(物理量)に対する電力閾値を選択する。モータ20が定出力領域で動作している場合には、モータ20の出力電力は一定であるので、一定値(特定)の電力閾値を用いることができる。
【0088】
また、モータ20の回転数が基底回転数以上(インバータ40の周波数が基底周波数以上)でないと判定された場合(モータ20が定トルク領域で動作していると判定された場合)、モータ20のトルク(物理量)に対するトルク閾値を選択する。モータ20が定トルク領域で動作している場合には、モータ20のトルクは一定であるので、一定値(特定)のトルク閾値を用いることができる。なお、電力閾値及びトルク閾値は、予め記憶部75に記憶しておく。
【0089】
回転数制御部74は、物理量検出部71で検出した物理量及び閾値選択部73で選択した閾値の大小関係に応じて粉砕機本体50の回転軸の回転数を制御する。すなわち、モータ20が定出力領域で動作している場合には、物理量としてモータ20の出力電力を検出し、検出した出力電力と電力閾値との大小関係に応じてモータ20の回転数を制御する。
【0090】
なお、インバータ40の出力電圧の周波数、モータ20のモータ軸の回転数及び粉砕機本体50の回転軸の回転数は一義的に決定され、いずれか1つを変更した場合、他も連動して変化するので、回転数制御部74が、粉砕機本体50の回転軸の回転数を制御することは、インバータ40の出力電圧の周波数を制御すること、あるいはモータ20のモータ軸の回転数を制御することと同義である。本実施の形態では、粉砕機本体50の回転軸の回転数を制御すること、インバータ40の出力電圧の周波数を制御すること、及びモータ20のモータ軸の回転数を制御することは同じものとする。
【0091】
モータ20のトルクTrは、Tr=a×Pw/Vfで表すことができる。ここで、aはモータ20の構造によって決定される係数、Pwはモータ20の出力電力、Vfはモータ20のモータ軸の回転数である。定出力領域で動作しているモータ20のトルクが負荷状態により変動した場合には、モータ20の回転数が変化しないとするとモータ20の出力電力が変動することになる。そこで、検出した出力電力が電力閾値より小さい場合、軽負荷であるので粉砕機本体50の回転軸の回転数を上げて粉砕処理能力を高める。また、検出した出力電力が電力閾値より大きい場合、重負荷であるので回転数を下げることによりトルクを増やし過負荷停止を防止する。
【0092】
一方、モータ20が定トルク領域で動作している場合には、物理量としてモータ20のトルク(又はトルクに関連するトルク電流又は負荷電流など)を検出し、検出したトルクとトルク閾値との大小関係に応じて粉砕機本体50の回転軸の回転数を制御する。
【0093】
上述のように、モータ20を基底回転数以上の回転数で動作させる場合、負荷の状態に応じて回転数を制御する際に、検出した出力電力(物理量)と電力閾値との大小関係を比較するだけでモータ20の回転数を負荷に応じて制御することができるので、例えば、インバータがモータ20の出力電力だけを出力するような比較的低コストのインバータを用いて電気機器の回転数制御を行うことが可能となる。また、モータ20の定出力領域におけるトルク値は回転数に応じて変化するので、検出したトルクと閾値とを比較する場合、モータ20の回転数に応じて異なる閾値を用いる必要がある。このため、モータ20の回転数制御を行う際には、回転数に応じた閾値を計算する必要があり、計算処理に伴う構成の追加によりコスト高となってしまう。検出した出力電力(物理量)と電力閾値との大小関係を比較することにより、トルクの閾値の計算が不要となり、コスト低減を図ることができ、簡便な構成で負荷特性に応じて電機機器の回転数を制御することができる。
【0094】
閾値選択部73で選択する閾値は一定値(特定)を選択することができる。すなわち、物理量検出部71は、モータ20の出力電力を検出し、モータ20の回転数が基底回転数以上である場合(すなわち、モータ20が定出力領域で動作している場合)、閾値選択部73は、一定値の電力閾値を選択する。回転数制御部74は、検出した出力電力及び一定値の電力閾値の大小関係に応じて粉砕機本体50の回転軸の回転数を制御する。モータ20を基底回転数以上の回転数で動作させる場合、負荷の状態に応じて回転数を制御する際に、検出した出力電力(物理量)と一定値の電力閾値との大小関係を比較するだけでモータ20の回転数を負荷に応じて制御することができるので、閾値の計算が不要となり、簡便な構成で負荷特性に応じて電機機器の回転数を制御することができる。
【0095】
また、物理量検出部71は、モータ20のトルクに関連する特徴量を検出する。トルクに関連する特徴量とは、トルク、トルク電流又は負荷電流などである。モータ20の回転数が基底回転数以上でない場合(すなわち、モータ20が定トルク領域で動作している場合)、閾値選択部73は、一定値のトルク量閾値を選択する。回転数制御部74は、検出した特徴量及び一定値のトルク量閾値の大小関係に応じて粉砕機本体50の回転軸の回転数を制御する。モータ20を基底回転数以下の回転数で動作させる場合、負荷の状態に応じて回転数を制御する際に、検出したトルクに関連する特徴量(物理量)と一定値のトルク閾値との大小関係を比較するだけでモータ20の回転数を負荷に応じて制御することができるので、閾値の計算が不要となり、簡便な構成で負荷特性に応じて電機機器の回転数を制御することができる。
【0096】
(実施の形態2)
図9は実施の形態2の粉砕機120の回路構成の一例を示すブロック図である。実施の形態1の粉砕機100との相違点は、回転数判定部72、閾値選択部73に代えてトルク閾値算出部76を備える点である。実施の形態1では、閾値を選択する構成であったが、実施の形態2では、トルク閾値を算出する。
【0097】
物理量検出部71は、モータ20のトルクに関連する特徴量を検出する。トルクに関連する特徴量は、例えば、モータ20のトルク自身、トルク電流又は負荷電流などである。特徴量として、モータ20のトルク電流又は電動機の負荷電流を検出する場合には、検出したトルク電流又は負荷電流をトルクに変換すればよい。
【0098】
回転数制御部74は、モータ20を基底回転数以上の回転数で動作させた場合に、検出した特徴量及び特徴量閾値の大小関係に応じて粉砕機本体50の回転軸の回転数を制御する。
【0099】
インバータ40で制御されるモータ20の出力特性は、基底回転数以下の回転数では定トルク特性を有し、基底回転数以上の回転数では定出力特性(定出力電力特性)を有する。回転数制御部74は、モータ20を基底回転数以上の回転数で動作させた場合、すなわち、定出力領域で動作させた場合、検出したトルクに関連する特徴量及び特徴量閾値(例えば、トルク閾値、トルク電流閾値、負荷電流閾値など)の大小関係に応じて粉砕機本体50の回転軸の回転数を制御する。なお、トルク閾値は、一定の幅で示される電気機器の回転体の慣性を含めた最大瞬間出力可能トルクと連続出力可能トルクの間で設定することができる。
【0100】
例えば、検出したトルクに関連する特徴量が特徴量閾値より小さい場合、軽負荷であるので粉砕機本体50の回転軸の回転数を上げて粉砕処理能力を高める。また、検出したトルクに関連する特徴量が特徴量閾値より大きい場合、重負荷であるので回転数を下げることによりトルクを増やし過負荷停止を防止する。これにより、負荷特性に応じたトルク特性を実現し、かつ最大の処理能力を得ることができ、負荷変動に応じてトルクを変更することができるので、予め大容量(大定格)の電動機を設ける必要がなく、また大容量の電動機を低い負荷率で動作させる必要もないので、低価格で低容量の電動機を用いることができるとともに省エネを図ることができる。また、負荷特性に応じて電機機器の回転数を制御することができる。
【0101】
図10は実施の形態2の粉砕機120のトルク閾値の一例を示す説明図である。図10において、横軸は粉砕機120の回転軸の回転数を示し、縦軸はモータ20の出力トルクを示す。図10中実線は、モータ20の連続出力可能トルク特性を示し、いわゆる定格(100%)でのトルク特性を表す。また、図10中一点鎖線は、短時間であれば出力可能な電気機器の回転体の慣性を含めた最大瞬間出力可能トルク特性を示し、例えば、定格の200%程度の出力である。また、破線はトルク閾値を示し、例えば、定格の120%〜200%程度の値を設定することができる。トルク閾値は、トルク閾値算出部76で算出することができるが、予め算出した値を記憶部75に記憶しておくこともできる。
【0102】
また、図10に例示するトルク閾値は、1つの曲線(直線)で示されるが、これに限定されるものではなく、上限トルク閾値と、当該上限トルク閾値よりも小さい下限トルク閾値を算出し、検出したトルクが上限トルク閾値と下限トルク閾値との間になるように粉砕機本体50の回転軸の回転数を制御することもできる。
【0103】
トルク閾値算出部76は、インバータ40で変換した周波数及び基底回転数に対応する基準閾値Tcに基づいてトルク閾値(特徴量閾値)を算出する。基底回転数(基底周波数)に対応する基準閾値Tcとは、定トルク領域での一定のトルク閾値である。インバータ40で変換された周波数をFとすると、周波数Fでのトルク閾値Tfは、Tf=Tc×基底周波数/F、の式により算出することができる。すなわち、基底周波数(例えば、50Hz、60Hz)以上の周波数におけるトルク閾値は、周波数の増加に伴い減少し、定出力領域でのモータ20のトルク曲線に沿った閾値を求めることができる。なお、図10の例では基底周波数を60Hzとしている。
【0104】
回転数制御部74は、検出したトルク(特徴量)及び算出したトルク閾値(特徴量閾値
の大小関係に応じて粉砕機本体50の回転軸の回転数を制御する。モータ20のトルク曲線に沿った閾値を求めることができるので、負荷変動に応じて粉砕機本体50の回転軸の回転数が変化した場合でも、負荷変動に応じた閾値を使用することができ、電気機器の回転軸の回転数を最適にしつつ最適なトルクを出力して運転することができる。
【0105】
トルク閾値の算出は、上述のように算出する方法の他、以下のようにして求めることもできる。
【0106】
例えば、トルク閾値算出部76は、モータ20を基底回転数以下の回転数で動作させた場合に、すなわち定トルク領域で動作させた場合に、所定時間の間に物理量検出部71で検出したトルクに基づいてトルク閾値を算出する。所定時間は、例えば、1分、2分、5分など適宜設定することができる。所定時間に亘ってトルクを検出することにより、負荷の変動特性を把握することができる。回転数制御部74は、物理量検出部71で検出したトルク及び算出したトルク閾値の大小関係に応じて粉砕機本体50の回転軸の回転数を制御する。負荷変動に応じたトルク閾値を算出することができるので、負荷変動を予め予測して最適な回転数及びトルクで運転することができる。
【0107】
より具体的には、トルク閾値算出部76は、所定時間(例えば、1分、2分、5分など)の間に物理量検出部71で検出したトルクの最大値をトルク閾値として算出する。例えば、トルク電流のピーク値に対応するトルク値をトルク閾値とすることができる。これにより、負荷に応じた最適かつ最大の回転数で運転することができる。
【0108】
また、トルク閾値算出部76は、所定時間(例えば、1分、2分、5分など)の間に物理量検出部71で検出したトルクの統計値に基づいてトルク閾値を算出することもできる。統計値は、平均値でもよく、あるいは極大値の平均値でもよい。これにより、負荷に応じた最適かつ最大の回転数で運転することができる。
【0109】
また、モータ20の定出力領域において、一定値のトルク閾値(例えば、定トルク領域での一定値のトルク閾値と同一の閾値など)を設定しておき、定出力領域でモータ20を動作させた場合のインバータ40の周波数と物理量検出部71で検出したトルクに基づいて、検出したトルクを補正し、補正後のトルクと一定値のトルク閾値との大小関係を比較することもできる。例えば、インバータ40の周波数をF、検出したトルクをTmとすると、補正後のトルクTmaは、Tma=Tc×F/基底周波数の式で求めることができる。ここで、基底周波数は、例えば、50Hz又は60Hzであり、Tcは定トルク領域での定格トルクである。すなわち、インバータ40の周波数が基底周波数より大きくなると、検出されるトルクは、定格トルクに比べて徐々に減少するので、補正後のトルクTmaを、検出したトルクよりも大きくして、一定値のトルク閾値と比較する。
【0110】
図11は実施の形態2の粉砕機120のモータ20の出力特性の一例を示す説明図である。図11において、横軸はインバータ40の周波数と粉砕機100の回転軸の回転数を示し、縦軸はモータ20の出力トルクを示す。図11中、実線は実施の形態2の粉砕機120のモータ20の出力特性を示し、破線は図6で例示した従来の粉砕機のモータの出力特性を示す。なお、図11のモータ20の出力特性は、図7、図8に例示したモータ20の出力特性と同等である。
【0111】
図11中の破線で示すように、従来の粉砕機のモータは、粉砕機の回転軸の回転数が22.5rpm以下では定トルク特性であり、22.5rpm以上では定出力特性となり、トルクは回転数の増加に伴って減少する。従来の粉砕機は、負荷変動を見込んで最大のトルクが常に得られるように定トルク特性で運転されるが、粉砕機の通常の運転では、最大トルク付近で運転されることは極めて少なく常に余裕を有して動作する設計になっている。このため、大容量(例えば、0.75kW)のモータを低い負荷率で運転することになり、十分な省エネ運転になっていない。
【0112】
一方、図11中の実線で示すように、実施の形態2の粉砕機120のモータ20は、減速機30の減速比の度合が、従来の1/80より大きい1/160であるので、インバータ40の基底周波数60Hzでモータ20のモータ軸が1800rpmの基底回転数で回転した場合、粉砕機120の回転軸の回転数は11.25rpmとなる。すなわち、実施の形態2の粉砕機120のモータ20は、粉砕機120の回転軸の回転数が11.25rpm以下では定トルク特性であり、従来の粉砕機と同じトルクを出力することができ、回転数が11.25rpm以上では定出力特性となり、トルクは回転数の増加に伴って減少する。また、実施の形態2のモータ20の容量(定格)は0.4kWであり、従来の粉砕機で用いられたモータの容量よりも小さい。
【0113】
図11中のAで示す領域内のように重負荷で大きいトルクを必要とする場合、すなわち、物理量検出部71で検出したトルクがトルク閾値より大きい場合、回転数制御部74は、インバータ40の周波数を小さくすることにより粉砕機本体50の回転軸の回転数を下げる。例えば、負荷変動により検出したトルクがトルク閾値を超えた場合、回転軸の回転数を下げることによりトルクを増加させる。これにより、重負荷になった場合でも、必要なトルクが得られ、負荷変動に対応させて粉砕処理能力を高めることができる。
【0114】
また、図11中のBで示す領域内のように軽負荷で大きいトルクを必要としない場合、すなわち、物理量検出部71で検出したトルクがトルク閾値より小さい場合、回転数制御部74は、インバータ40の周波数を大きくすることにより粉砕機本体50の回転軸の回転数を上げる。例えば、負荷変動により検出したトルクがトルク閾値を下回る場合、回転軸の回転数を上げることによりトルクを減少させる。これにより、軽負荷になった場合でも、必要なトルクを維持しつつ回転数を増やすことができ、負荷変動に対応させて粉砕処理能力を高めることができる。また、本実施の形態では、インバータ40として周波数可変の汎用のインバータを用いることができる。
【0115】
回転数制御部74は、物理量検出部71で検出したトルクがトルク閾値より大きい場合、検出したトルクがトルク閾値以下になるまで、所定の減速勾配で回転数を下げる。所定の減速勾配は、例えば、1秒間でインバータの周波数を5Hzだけ減少させたときの回転軸の回転数とすることができる。なお、回転数は、時間変化に対応して連続的に変化させてもよく、離散的(段階的)に変化させてもよい。これにより、回転軸の回転数を急激ではなく徐々に下げることができる。なお、減速勾配は、上述の5Hzに限定されるものではない。
【0116】
回転数制御部74は、所定時間の間、物理量検出部71で検出したトルクがトルク閾値より小さい場合、所定の加速勾配で回転数を上げる。所定時間は、例えば、10分、5分など予め設定しておくことができる。また、所定の加速勾配は、例えば、1秒間でインバータの周波数を5Hzだけ増加させたときの回転軸の回転数とすることができる。なお、回転数は、時間変化に対応して連続的に変化させてもよく、離散的(段階的)に変化させてもよい。これにより、回転軸の回転数を急激ではなく徐々に上げることができる。なお、加速勾配は、上述の5Hzに限定されるものではない。
【0117】
図11の破線で示すように、従来の粉砕機にあっては、減速機の減速比を、例えば、1/80程度にすることにより、モータの基底回転数が1800rpm(インバータの基底周波数が60Hz)では粉砕機の回転軸の回転数が22.5rpm程度まで定トルク特性が得られるようにしていた。また、モータの基底回転数が1500rpm(インバータの基底周波数が50Hz)では粉砕機の回転軸の回転数が18.75rpm程度まで定トルク特性が得られるようにしていた。
【0118】
実施の形態2では、減速機30の減速比の度合を従来のものより大きくし(例えば、1/160など)、モータ20を基底回転数の回転数で動作させた場合、粉砕機100の回転軸の回転数が18rpm以下となるようにする。なお、図11の例では、インバータ40の基底周波数が60Hzの場合、モータ20の基底回転数での粉砕機120の回転軸の回転数は、11.25rpmとなり、インバータ40の基底周波数が50Hzの場合、モータ20の基底回転数での粉砕機120の回転軸の回転数は、9.375rpmとなり、いずれも18rpm以下である。
【0119】
これにより、モータ20の定トルク領域の範囲を従来のものより狭くし、定出力領域の範囲を広くすることができ、負荷変動に対応して広い範囲で回転数及びトルクの調整を行うことができるので、より大きな負荷変動に対応することができる。なお、モータ20の基底回転数での粉砕機120の回転軸の回転数は、図11に例示する11.25rpmに限定されるものではなく、18rpm以下であれば、従来に比べて回転軸の回転数の広い範囲で定出力特性を活用することができる。
【0120】
また、回転数制御部74は、モータ20を基底回転数以下の回転数で動作させた場合に、すなわち定トルク範囲でモータ20を動作させた場合に、物理量検出部71で検出したトルクがトルク閾値より大きい場合、回転数制御を行うことなくモータ20を停止させる。定トルク範囲のトルク値は、定出力範囲のトルク閾値よりも大きい値となるので、このような大きなトルク閾値を超えるようなトルクが発生した場合には、回転体などに予期せぬ金属片などが混入したと判断してモータ20を停止させることにより、電気機器の破損を防止することができ、電気機器の保護を図ることができる。
【0121】
図12は電動機の負荷率と力率との関係を示す説明図である。従来のモータ及び実施の形態2のモータ20は、図12に示す一般の電動機が有する特性と同様の特性を有する。すなわち、負荷率が小さいほど力率が小さくなり効率は低下する。図6及び図11で例示したように、従来のモータは、負荷変動に対応するため、大容量(例えば、0.75kW)のモータを低い負荷率で運転することになり、力率が小さくなり効率が低下するため、十分な省エネ運転になっていない。実施の形態2のモータ20は、小さい容量(例えば、0.4kW)にすることにより負荷率を上げて力率を大きくすることができるので、粉砕機120をモータ20の定トルク特性で運転する場合でも省エネを図ることができる。
【0122】
図13は実施の形態2の粉砕機120の動作時の特性の一例を示す説明図である。図13では、比較のため従来の粉砕機の場合を比較例として挙げている。本実施例も比較例も同一の負荷状態(同じ被処理物を同量粉砕した状態)で運転した場合を示す。本実施例では、インバータ40の周波数は120Hz、モータ20の定格は0.4kW、減速機30の減速比は1/160で力率が0.43、消費電力は98.3Wであった。これに対し比較例では、インバータの周波数は60Hz、モータの定格は0.75kW、減速機の減速比は1/80で力率が0.23、消費電力は155.2Wであった。本実施例の方が比較例よりも36.7%省エネであることがわかる。
【0123】
トルクに関連する特徴量として、モータ20のトルクを検出する構成に代えて、モータ20のトルク電流Ir又はモータ20の負荷電流Iなどを用いることもできる。すなわち、物理量検出部71は、モータ20のトルク電流Irを検出する構成でもよく、あるいはモータ20の負荷電流を検出する構成でもよく、いずれもモータ20のトルクの代用特性としての特徴量を検出するものである。
【0124】
モータ20の入力電圧と入力電流との位相角をθとすると、トルク電流Ir=負荷電流I×cosθの関係がある。cosθは力率である。力率cosθは、負荷状態に応じて、例えば、20%〜80%程度の値を用いることができる。
【0125】
また、トルクTmとトルク電流Irとの関係は、例えば、Tm=k×Pw/Vf、Pw=V×Ir×ηと関係付けることができる。ここで、kはモータ20により決定される定数、Pwは出力電力、Vfはモータ20の回転数、Vは入力電圧、ηは効率である。すなわち、モータ20のトルク電流Ir又はモータ20の負荷電流Iを検出することにより、モータ20のトルクを求めることができる。
【0126】
(実施の形態3)
図14は実施の形態3の粉砕機140の回路構成の一例を示すブロック図である。実施の形態1の粉砕機100との相違点は、回転数判定部72、閾値選択部73に代えて電力閾値算出部77を備える点である。実施の形態1では、閾値を選択する構成であったが、実施の形態2では、モータ20の電力閾値(出力電力閾値)を算出する。
【0127】
物理量検出部71は、モータ20の出力電力(出力)を検出する。
【0128】
回転数制御部74は、モータ20を基底回転数以下の回転数で動作させた場合に、検出した出力電力及び電力閾値の大小関係に応じて粉砕機本体50の回転軸の回転数を制御する。
【0129】
インバータ40で制御されるモータ20の出力特性は、基底回転数以下の回転数では定トルク特性を有し、基底回転数以上の回転数では定出力特性(定出力電力特性)を有する。回転数制御部74は、モータ20を基底回転数以下の回転数で動作させた場合、すなわち、定トルク領域で動作させた場合、検出した出力電力及び電力閾値の大小関係に応じて回転軸の回転数を制御する。モータ20のトルクTmは、Tm=a×Pw/Vfで表すことができる。ここで、aはモータ20の構造によって決定される係数、Pwはモータ20の出力電力、Vfはモータ20のモータ軸の回転数である。定トルク領域で動作しているモータ20のトルクが負荷状態により変動した場合には、モータ20の回転数が変化しないとするとモータ20の出力電力が変動することになる。
【0130】
そこで、例えば、検出した出力電力が電力閾値より小さい場合、軽負荷であるので粉砕機本体50の回転数を上げて粉砕処理能力を高める。また、検出した出力電力が電力閾値より大きい場合、重負荷であるので粉砕機本体50の回転軸の回転数を下げることによりトルクを増やし過負荷停止を防止する。これにより、負荷特性に応じたトルクを得るとともに、最適な回転数にして最大の処理能力を得ることができるので、予め大容量(大定格)の電動機を設ける必要がなく、また大容量の電動機を低い負荷率で動作させる必要もないので、低価格で低容量の電動機を用いることができるとともに省エネを図ることができる。また、負荷特性に応じて電機機器の回転数を制御することができる。
【0131】
図15は実施の形態3の粉砕機140の電力閾値の一例を示す説明図である。図15において、横軸は粉砕機140の回転軸の回転数を示し、縦軸はモータ20の出力電力を示す。図15中実線は、モータ20の連続出力可能電力特性を示し、いわゆる定格(100%)での出力電力特性を表す。また、破線は電力閾値を示し、例えば、定格の120%〜200%程度の値を設定することができる。電力閾値は、電力閾値算出部77で算出することができるが、予め算出した値を記憶部75に記憶しておくこともできる。
【0132】
また、図15に例示する電力閾値は、1つの曲線(直線)で示されるが、これに限定されるものではなく、上限電力閾値と、当該上限電力閾値よりも小さい下限電力閾値を算出し、検出した出力電力が上限電力閾値と下限電力閾値との間になるように粉砕機本体50の回転軸の回転数を制御することもできる。
【0133】
電力閾値算出部は、インバータ40で変換した周波数及び基底回転数に対応する基準閾値Pcに基づいて電力閾値を算出する。基底回転数(基底周波数)に対応する基準閾値Pcとは、定出力領域での一定の電力閾値である。インバータ40で変換された周波数をFとすると、周波数Fでの電力閾値Pfは、Pf=Pc×F/基底周波数、の式により算出することができる。すなわち、基底周波数(例えば、50Hz、60Hz)以下の周波数における電力閾値は、周波数の増加に伴い増加し、定トルク領域でのモータ20の出力電力曲線に沿った閾値を求めることができる。なお、図15の例では基底周波数を60Hzとしている。
【0134】
回転数制御部74は、検出した出力電力及び算出した電力閾値の大小関係に応じて粉砕機本体50の回転軸の回転数を制御する。モータ20の出力電力曲線に沿った閾値を求めることができるので、負荷変動に応じて粉砕機本体50の回転軸の回転数が変化した場合でも、負荷変動に応じた閾値を使用することができ、電気機器の回転軸の回転数を最適にしつつ最適なトルクを出力して運転することができる。
【0135】
回転数制御部74は、モータ20を基底回転数以下の回転数で動作させた場合、すなわち、モータ20を定トルク領域で動作させた場合、検出した出力電力が電力閾値より大きい場合、粉砕機本体50の回転軸の回転数を下げる。例えば、負荷変動により検出した出力電力が電力閾値を超えた場合、粉砕機本体50の回転軸の回転数を下げることによりトルクを増加させる。これにより、重負荷になった場合でも、必要なトルクが得られ、負荷変動に対応させて過負荷停止を防止することができる。
【0136】
また、回転数制御部74は、モータ20を基底回転数以下の回転数で動作させた場合、すなわち、モータ20を定トルク領域で動作させた場合、検出した出力電力が電力閾値より小さい場合、粉砕機本体50の回転軸の回転数を上げる。例えば、負荷変動により検出した出力電力が電力閾値を下回る場合、粉砕機本体50の回転軸の回転数を上げることによりトルクを減少させる。これにより、軽負荷になった場合でも、必要なトルクを維持しつつ回転数を増やすことができ、負荷変動に対応させて粉砕処理能力を高めることができる。
【0137】
なお、モータ20の定トルク領域において、一定値の電力閾値(例えば、定出力領域での一定値の電力閾値と同一の閾値など)を設定しておき、定トルク領域でモータ20を動作させた場合のインバータ40の周波数と物理量検出部71で検出した出力電力に基づいて、検出した出力電力を補正し、補正後の出力電力と一定値の電力閾値との大小関係を比較することもできる。例えば、インバータ40の周波数をF、検出した出力電力をPwとすると、補正後の出力電力Pwaは、Pwa=Pwc×F/基底周波数の式で求めることができる。ここで、基底周波数は、例えば、50Hz又は60Hzであり、Pwcは定出力領域での定格出力電力である。すなわち、定トルク領域において、インバータ40の周波数が大きくなると、検出される出力電力は、定格出力電力に向かって徐々に増加するので、補正後の出力電力Pwaは、検出した出力電力よりも大きくして、一定値の電力閾値と比較する。
【0138】
(実施の形態4)
図16は実施の形態4の粉砕機160の回路構成の一例を示すブロック図である。実施の形態1〜3の粉砕機との相違点は、判定部78、トルク値算出部79、負荷率特定部80、トルク値補正部81、操作部82、表示部83などを備える点である。
【0139】
判定部78は、交流電源の周波数(例えば、定格周波数であり、商用周波数とすることができる)をインバータ40により当該周波数よりも低い低周波数域に変換させ、被粉砕物を実際に粉砕して、モータ20の許容トルク範囲内での当該被粉砕物の粉砕の可否を判定する。許容トルクは、例えば、モータ20の連続出力可能トルクから、短時間出力可能な最大瞬間出力可能トルクまでの範囲内の所望のトルク閾値以下であれば、許容範囲内とすることができる。
【0140】
インバータ40の定格周波数は、例えば、50Hz又は60Hzであり、低周波数域は、例えば、数Hzから20Hz程度の周波数である。好ましくは定格周波数の10%程度であり、5Hz又は6Hz±数Hzとすることができる。以下、粉砕可否の判定方法について具体的に説明する。
【0141】
図17はインバータ40の出力周波数が6Hzの場合の定格トルクに対する負荷率の実測値の一例を示す説明図であり、図18はインバータ40の出力周波数が20Hzの場合の定格トルクに対する負荷率の実測値の一例を示す説明図であり、図19はインバータ40の出力周波数が40Hzの場合の定格トルクに対する負荷率の実測値の一例を示す説明図であり、図20はインバータ40の出力周波数が60Hzの場合の定格トルクに対する負荷率の実測値の一例を示す説明図である。
【0142】
図17〜図20において、横軸は、被粉砕物(例えば、厚みが3mmのポリプロピレンの板片である)の粉砕時間を示し、縦軸はモータ20の定格トルクに対する負荷率を示す。定格トルクに対する負荷率は、実トルクT(実際に負荷に与えるトルク)に対するトルクTmの割合である。なお、図17〜図20において、被粉砕物は同一のものを使用した。図17〜図20に示すように、インバータ40の出力周波数が大きく(高く)なるに応じて、負荷率は小さくなる。
【0143】
図21はインバータ40の出力周波数と負荷率との対応関係の一例を示す説明図である。図21において、横軸はインバータ40の出力周波数を示し、縦軸はモータ20の定格トルクに対する負荷率を示す。図21は、図17〜図20に示す実測値を平均化してプロットしたものである。
【0144】
図21から分かることは、同一の負荷を与えた場合でも、インバータ40の出力周波数が大きく(高く)なると、すなわち被粉砕物の切断速度が増加すると、回転軸等の慣性による追加慣性トルク成分J×dw/dt(モータ20が慣性で出力するトルク)が増加し、モータ20のトルクTmの実トルクTに占める割合が減少する。すなわち、モータ20の定格トルクに対する負荷率が減少する。そして、実トルクTは、T=(J×dw/dt)+Tmで表すことができる。ここで、Jは回転軸等の慣性モーメントであり、wは回転軸の角速度である。したがって、(dw/dt)は回転軸等の角加速度である。
【0145】
すなわち、モータ20の定格トルク(実トルク)Tに対する負荷率Lとインバータ40の出力周波数Fとの間に図21に示すような対応関係が存在する。例えば、図21に示す対応関係は、L=87−1.2×Fで近似することができる。なお、図21に示す対応関係は一例であって、被粉砕物の形状又は材質で変動する。例えば、硬材質の場合、軟質材に比べて対応関係を示す直線(又は曲線)は、傾きが大きくなるとともに低周波数域の負荷率が大きくなる。
【0146】
図21において、インバータ40の出力周波数が60Hzの場合、負荷率Lが20%で近似することができたとすると、物理量検出部71で検出したトルクTmが実トルクTに占める割合が20%ということであり、実際にモータ20が負荷に与える実トルクTは、トクルTmの4倍の大きさであることがわかる。そして、従来は、追加慣性トルクがモータ20の駆動電流に現れてこないので、この実トルクTを検出することができず、トルクTmが負荷に与えるトルクであると考えられてきたのである。
【0147】
つまり、インバータ40の出力周波数を定格周波数(50Hz又は60Hz)にしてインバータ40を動作させ、被粉砕物を粉砕した場合、過渡的な過負荷が発生し、回転刃(回転軸)には大きな負荷がかかる。粉砕機本体50の回転軸に比べて高速で回転するモータ20のモータ軸の慣性が大きいので、粉砕機本体50の回転軸に過負荷が加わった場合、高速で回転しているモータ軸の大きな慣性により、モータ20のトルク(モータの駆動電流により出力するトルク)を遥かに上回る慣性付加トルク(慣性モーメントと角加速度の乗算値)が生じ、実トルク(実際に負荷に与えるトルク)は、モータ20のトルクと慣性付加トルクの合計値となる。すなわち、インバータ40を、例えば、定格周波数で動作させた場合、実トルクは、モータ20のトルクだけではなく、トルクに慣性付加トルクが加わった、トルクよりも大きなトルクになる。このため、従来のように、トルクが許容範囲内にあるか否かで被粉砕物の粉砕の可否を判定した場合、実際には予期しない大きなトルクが負荷に与えられているため、実トルクが許容範囲を超えている事態が起こり得る。
【0148】
一方、負荷に与えるトルク(実トルク)T、すなわち被粉砕物を切断する力は、回転軸(回転刃)の回転数(インバータ40の出力周波数)の大小関係にかかわらず同じである。そこで、インバータ40を、出力周波数が低周波数域内にある状態で動作させて、モータ軸の回転数を小さくして(下げて)、慣性付加トルクの影響を極力少なくすることで、トルクが実トルクTに近づく状態で被粉砕物を粉砕させる。この場合にトルクTmが許容範囲内であるか否か判定することで、当該被粉砕物を粉砕した場合に、実トルクTが許容範囲内であるかを近似的に判定することができる。
【0149】
これにより、インバータ40の出力周波数を定格周波数、定格周波数以上又は定格周波数以下にした場合であっても、実トルクTが許容範囲内にあるか否かを判定しているので、過渡的な過負荷が発生した場合でも実トルクTが許容範囲を超えることがなく、当該被粉砕物の粉砕が可能であるか否かを確実に判定することができる。
【0150】
トルク値算出部79は、物理量検出部71で検出したトルクを収集して統計値を算出する。統計値は、例えば、図17〜図20に示すような、トルクのピーク値を複数回検出し、検出したピーク値の平均値あるいは最大値などとすることができる。
【0151】
判定部78は、トルク値算出部79で算出したトルクの統計値が許容トルク範囲内であるか否かに応じて粉砕の可否を判定する。統計値を用いることにより、被粉砕物の粉砕、破砕状態によって変化するトルクのバラツキを考慮した上で、トルクが許容範囲内であるか否かを判定するので、被粉砕物の粉砕が可能であるか否かを確実に判定することができる。
【0152】
図21に示すような対応関係は、種々の材料についてデータを収集して予め定めておくことができる。そして、記憶部75にインバータ40の出力周波数とモータ20のトルクとの対応関係を材料毎に記憶しておくことができる。
【0153】
トルク値補正部81は、記憶部75に記憶した対応関係に基づいて、物理量検出部71で検出したトルクを補正する。なお、この場合、いずれの材料についてトルクを補正するかをユーザが設定することができるようにすればよい。インバータ40の出力周波数が大きく(高く)なるに応じて、モータ軸の回転数が大きく(高く)なるので、実トルクTに占める慣性付加トルクの割合が大きくなる。すなわち、実トルクTに占めるトルクTmの割合(モータの定格トルクに対する負荷率と称する)が小さくなる。そこで、対応関係として、インバータ40の出力周波数に対する負荷率(モータの定格トルクに対する負荷率)を記憶しておき、検出したトルクTmが実トルクTとほぼ同程度になるように、検出したトルクを補正する。これにより、モータ20の駆動電流値には現れないモータ軸の慣性による慣性付加トルクを加味した実トルクTを補正トルク値として求めることができる。
【0154】
なお、インバータ40の出力周波数と負荷率との対応関係を記憶部75に記憶する構成に代えて、対応関係をリアルタイムで特定することもできる。
【0155】
負荷率特定部80は、インバータ40を低周波数域から定格周波数付近までの間で動作させて、物理量検出部71で検出したトルクに基づいて、インバータ40の出力周波数とモータ20のトルクとの対応関係(周波数毎の負荷率)を特定する。
【0156】
なお、負荷率特定部80は、インバータ40を低周波数域から定格周波数付近までの間で動作させて、対応関係を特定する方法に代えて、別の方法を用いることもできる。
【0157】
例えば、インバータ40を低周波数域の任意の一の周波数で動作させて、物理量検出部71で検出したトルクを収集する。収集したトルクを用いてトルク値算出部79でトクルの統計値(例えば、平均値、中央値、最頻値など)を算出する。算出した統計値に基づいて、負荷率特定部80は、インバータ40の出力周波数(前述の一の周波数以外の他の周波数)に対するモータ20のトルクを推定して、インバータ40の出力周波数とモータ20のトルクとの対応関係(周波数毎の負荷率)を特定する。
【0158】
より具体的には、例えば、予めインバータ40の出力周波数に対するモータ20の負荷率との関係が直線近似(又は曲線近似)され、当該直線の傾き又は曲線の近似式等が分かっている場合に、近似した直線又は曲線が、収集した統計値に対応する座標を通るように直線又は曲線を補正し、補正した直線又は曲線の点(座標)をインバータ40の出力周波数に対するモータ20のトルクとして求めることができる。
【0159】
トルク値補正部81は、負荷率特定部80で特定した対応関係に基づいて、物理量検出部71で検出したトルクを補正する。対応関係として、インバータ40の出力周波数に対する負荷率(モータの定格トルクに対する負荷率)を特定し、検出したトルクTmが実トルクTとほぼ同程度になるように、検出したトルクTmを補正する。これにより、モータ20の駆動電流値には現れないモータ軸の慣性による慣性付加トルクを加味した実トルクTを補正トルク値として求めることができる。
【0160】
図22はトルク値の補正の一例を示す説明図である。図22において、横軸はインバータ40の出力周波数fを示し、縦軸は補正した補正トルク値(補正駆動トルク値)K(f)×Tmを示す。図22に示すように、低周波数域(例えば、6Hz)でのトルクをTmとすると、任意の周波数fにおける補正トクルは、K(f)×Tmで求めることができる。ここでK(f)は、周波数fを変数とする関数であり、周波数fが大きくなるに応じて補正トルク値は、トクルTmより大きくなる。なお、K(f)>1である。これにより、モータ20の駆動電流値には現れないモータ軸の慣性による慣性付加トルク成分に応じて、トルクTmを実トルクTに近似する補正をすべての周波数域で行うことができる。
【0161】
回転数制御部74は、補正トルク及び所定のトルク閾値の大小関係に応じて、インバータ40の周波数を制御して粉砕機本体50の回転軸の回転数を制御する。ここで、モータ20のモータ軸は、減速機30を介して回転軸に繋がっているので、回転軸の回転数を制御することは、インバータ40の出力周波数を変えて、モータ20のモータ軸の回転数を制御することと同義である。
【0162】
また、回転数制御部74は、物理量検出部71で検出したトルクに基づいて、あるいは自身の周波数の指令でモータ20が定トルク特性で動作しているか定出力特性で動作しているかを予測することができる。
【0163】
回転数制御部74は、例えば、モータ20を基底回転数以上の回転数で動作させた場合に、補正トルク及び所定のトルク閾値の大小関係に応じて、粉砕機本体50の回転軸の回転数を制御する。インバータ40で制御されるモータ20の出力特性は、基底回転数以下の回転数では定トルク特性を有し、基底回転数以上の回転数では定出力特性を有する。回転数制御部74は、モータ20を基底回転数以上の回転数で動作させた場合、すなわち、定出力領域で動作させた場合、補正トルク及び所定のトルク閾値の大小関係に応じて粉砕機本体50の回転軸の回転数を制御する。
【0164】
例えば、補正トルクがトルク閾値より小さい場合、軽負荷であるので粉砕機本体50の回転軸の回転数を上げてトルクを減らし粉砕処理能力を高める。また、補正トルクがトルク閾値より大きい場合、重負荷であるので回転数を下げることによりトルクを増やし過負荷停止を防止する。これにより、負荷特性に応じたトルク特性を実現し、かつ最大の処理能力を得ることができ、負荷変動に応じてトルクを変更することができるので、予め大容量(大定格)のモータを設ける必要がなく、また大容量のモータを低い負荷率で動作させる必要もないので、低価格で低容量のモータを用いることができるとともに省エネを図ることができる。
【0165】
また実トルクに相当する補正トルクを用いて回転数の制御を行うので、被粉砕物の粉砕、破砕状態によって過渡的な過負荷が発生した場合でも、回転刃、固定刃、回転軸、ギア又は減速機などの破損を防止することができる。
【0166】
操作部82は、被粉砕物の粉砕の可否を判定する判定運転及び実運転などの操作を受け付ける。表示部83は、判定運転の結果を表示する。
【0167】
実施の形態4においても、図11に例示したのと同様の作用効果を奏する。また、物理量検出部71は、モータ20のトルク電流Irを検出する構成でもよく、あるいはモータ20の負荷電流を検出する構成でもよく、いずれもモータ20のトルクの代用特性としての特徴量を検出するものである。
【0168】
(実施の形態5)
上述の実施の形態1〜4では、いわゆる1軸式の粉砕機を例に挙げて説明したが、粉砕機は1軸式に限定されるものではなく、複数の回転軸と、各回転軸に回転刃が設けられた粉砕機であってもよい。
【0169】
図23は実施の形態5の粉砕機本体200の一例を示す要部断面図である。実施の形態1〜4との相違点は、回転刃が固定された回転軸を2つ備える点である。図23において、シャーシ170の内側に横向きに2つの回転軸151、161を平行に配設してある。なお、回転軸151、161それぞれに減速機、モータ(不図示)を備えてもよく、あるいは、1つのモータ及び減速機で2つの回転軸151、161を回転するようにしてもよい。なお、回転軸151、161は、図23中の矢印で示す向きに同一速度で同期回転する。
【0170】
回転軸151には、複数枚の大径の回転刃153が、回転軸151の軸方向に沿って所定の離隔寸法を設けて並べて嵌着されている。隣り合う回転刃153の間には、小径のカラー152を固定してある。回転刃153の周囲には、回転方向に向かって先端部(刃先部)が湾曲したアーム状をなした刃部154を突設してある。
【0171】
また、同様に、回転軸161には、複数枚の大径の回転刃163が、回転軸161の軸方向に沿って所定の離隔寸法を設けて並べて嵌着されている。隣り合う回転刃163の間には、小径のカラー162を固定してある。回転刃163の周囲には、回転方向に向かって先端部(刃先部)が湾曲したアーム状をなした刃部164を突設してある。
【0172】
シャーシ170の内壁には、案内壁156、166が設けられている。案内壁156の下側にはスクレーパ155を設けてある。スクレーパ155は、カラー152の外周と摺動可能に当接してあり、回転刃153の回転軌道に合わせて先端が櫛形状をなす。また、案内壁166の下側にはスクレーパ165を設けてある。スクレーパ165は、カラー162の外周と摺動可能に当接してあり、回転刃163の回転軌道に合わせて先端が櫛形状をなす。
【0173】
実施の形態5の粉砕機本体200は、図3、図9、図14又は図16で示した場合と同様の構成により稼働させることができる。
【0174】
シャーシ170上方の開口部171から被粉砕物を投入した場合、回転中の回転刃153、163、刃部154、164により被粉砕物をシャーシ170の中央部に引き込むことができ、被粉砕物を刃部154、164により粉砕(切断)することができる。粉砕された粉砕片は、回転刃153、163の回転に伴ってシャーシ170の下方へ排出される。
【0175】
回転刃153、163の回転に伴って一緒に上方へ移動する粉砕片は、スクレーパ155、165により下方へ掻き落すことができる。
【0176】
上述の実施の形態では、電気機器の例として粉砕機について説明したが、電気機器は粉砕機に限定されるものではなく、多品種の負荷を扱う装置であれば、粉砕機に限らず産業機械に用いられる電気機器にも適用することができる。すなわち、特許請求の範囲に記載の電動機駆動トルク制御装置における電気機器は、粉砕機に限定されるものではなく、他の電気機器も含む。このような電気機器としては、回転軸に回転体を備えるものであり、例えば、工作機械、圧延機、フォーミング加工機、鉄鋼機械、エレベータ、巻き上げクレーンなどである。
【0177】
上述の実施の形態では、モータとは別個の減速機を用いる構成について説明したが、減速機は必須の構成ではなく、例えば、ギヤードモータなどを用いることもできる。
【符号の説明】
【0178】
20 モータ(電動機)
30 減速機
40 インバータ
50 粉砕機本体
70 制御部
71 物理量検出部
72 回転数判定部
73 閾値選択部(選択部)
74 回転数制御部(制御部)
75 記憶部
76 トルク閾値算出部(閾値算出部)
77 電力閾値算出部(閾値算出部)
78 判定部
79 トルク値算出部(統計値算出部)
80 負荷率特定部
81 トルク値補正部
82 操作部
83 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源の周波数を変換するインバータで駆動される電動機により回転する回転軸に取り付けられた回転体を有する電気機器を駆動制御する駆動制御装置において、
前記電動機の出力に関する複数の物理量を検出する物理量検出部と、
前記物理量に対する閾値を記憶する記憶部と、
前記電動機の回転数が基底回転数以上であるか否かを判定する回転数判定部と、
該回転数判定部での判定結果に応じて前記物理量に対する閾値を選択する選択部と、
前記物理量検出部で検出した物理量及び前記選択部で選択した閾値の大小関係に応じて前記回転軸の回転数を制御する制御部と
を備えることを特徴とする駆動制御装置。
【請求項2】
前記物理量検出部は、
前記電動機の出力を検出するようにしてあり、
前記選択部は、
前記電動機の回転数が基底回転数以上である場合、特定の電力閾値を選択するようにしてあり、
前記制御部は、
前記物理量検出部で検出した出力及び前記特定の電力閾値の大小関係に応じて前記回転軸の回転数を制御するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項3】
前記物理量検出部は、
前記電動機のトルクに関連する特徴量を検出するようにしてあり、
前記選択部は、
前記電動機の回転数が基底回転数以上でない場合、特定のトルク量閾値を選択するようにしてあり、
前記制御部は、
前記物理量検出部で検出した特徴量及び前記特定のトルク量閾値の大小関係に応じて前記回転軸の回転数を制御するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の駆動制御装置。
【請求項4】
交流電源の周波数を変換するインバータで駆動される電動機により回転する回転軸に取り付けられた回転体を有する電気機器を駆動制御する駆動制御装置において、
前記電動機のトルクに関連する特徴量を検出する物理量検出部と、
前記特徴量に対する特徴量閾値を算出する閾値算出部と、
前記電動機を基底回転数以上の回転数で動作させた場合に、前記物理量検出部で検出した特徴量及び前記閾値算出部で算出した特徴量閾値の大小関係に応じて前記回転軸の回転数を制御する制御部と
を備えることを特徴とする駆動制御装置。
【請求項5】
前記インバータで変換した周波数を検出する周波数検出部を備え、
前記閾値算出部は、
前記周波数検出部で検出した周波数及び前記基底回転数に対応する基準閾値に基づいて特徴量閾値を算出するようにしてあり、
前記制御部は、
前記物理量検出部で検出した特徴量及び前記閾値算出部で算出した特徴量閾値の大小関係に応じて前記回転軸の回転数を制御するように構成してあることを特徴とする請求項4に記載の駆動制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記電動機を基底回転数以上の回転数で動作させた場合に、前記物理量検出部で検出した特徴量が前記特徴量閾値より大きい場合、前記回転軸の回転数を下げるように構成してあることを特徴とする請求項4に記載の駆動制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記電動機を基底回転数以上の回転数で動作させた場合に、前記物理量検出部で検出した特徴量が前記特徴量閾値より小さい場合、前記回転軸の回転数を上げるように構成してあることを特徴とする請求項4に記載の駆動制御装置。
【請求項8】
交流電源の周波数を変換するインバータで駆動される電動機により回転する回転軸に取り付けられた回転体を有する電気機器を駆動制御する駆動制御装置において、
前記電動機の出力を検出する物理量検出部と、
前記電動機の出力に対する電力閾値を算出する閾値算出部と、
前記電動機を基底回転数以下の回転数で動作させた場合に、前記物理量検出部で検出した出力及び前記閾値算出部で算出した電力閾値の大小関係に応じて前記回転軸の回転数を制御する制御部と
を備えることを特徴とする駆動制御装置。
【請求項9】
前記インバータで変換した周波数を検出する周波数検出部を備え、
前記閾値算出部は、
前記周波数検出部で検出した周波数及び前記基底回転数に対応する基準閾値に基づいて電力閾値を算出するようにしてあり、
前記制御部は、
前記物理量検出部で検出した出力及び前記閾値算出部で算出した電力閾値の大小関係に応じて前記回転軸の回転数を制御するように構成してあることを特徴とする請求項8に記載の駆動制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記電動機を基底回転数以下の回転数で動作させた場合に、前記物理量検出部で検出した出力が前記電力閾値より大きい場合、前記回転軸の回転数を下げるように構成してあることを特徴とする請求項8に記載の駆動制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記電動機を基底回転数以下の回転数で動作させた場合に、前記物理量検出部で検出した出力が前記電力閾値より小さい場合、前記回転軸の回転数を上げるように構成してあることを特徴とする請求項8に記載の駆動制御装置。
【請求項12】
交流電源の周波数を前記インバータにより該周波数よりも低い低周波数に変換させ、前記回転体で所要の処理を行って、該回転体による処理の可否を判定する判定部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の駆動制御装置。
【請求項13】
前記物理量検出部で検出したトルクに関連する特徴量を収集して統計値を算出する統計値算出部を備え、
前記判定部は、
前記統計値算出部で算出した統計値に基づいて前記処理の可否を判定するように構成してあることを特徴とする請求項12に記載の駆動制御装置。
【請求項14】
交流電源の周波数を変換するインバータと、該インバータで駆動される電動機と、該電動機により回転する回転軸に取り付けられた回転体と、請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の駆動制御装置とを備え、
該駆動制御装置は、
前記回転軸の回転数を制御するように構成してあることを特徴とする電気機器。
【請求項15】
交流電源の周波数を変換するインバータで駆動される電動機により回転する回転軸に取り付けられた回転体を有する電気機器の駆動制御方法において、
前記電動機の出力に関する複数の物理量を検出するステップと、
前記物理量に対する閾値を記憶しておき、
前記電動機の回転数が基底回転数以上であるか否かを判定するステップと、
該判定ステップでの判定結果に応じて前記物理量に対する閾値を選択するステップと、
検出された物理量及び選択された閾値の大小関係に応じて前記回転軸の回転数を制御するステップと
を含むことを特徴とする駆動制御方法。
【請求項16】
交流電源の周波数を変換するインバータで駆動される電動機により回転する回転軸に取り付けられた回転体を有する電気機器の駆動制御方法において、
前記電動機のトルクに関連する特徴量を検出するステップと、
前記特徴量に対する特徴量閾値を算出するステップと、
前記電動機を基底回転数以上の回転数で動作させた場合に、検出された特徴量及び算出された特徴量閾値の大小関係に応じて前記回転軸の回転数を制御するステップと
を含むことを特徴とする駆動制御方法。
【請求項17】
交流電源の周波数を変換するインバータで駆動される電動機により回転する回転軸に取り付けられた回転体を有する電気機器の駆動制御方法において、
前記電動機の出力を検出するステップと、
前記電動機の出力に対する電力閾値を算出するステップと、
前記電動機を基底回転数以下の回転数で動作させた場合に、検出された出力及び算出された電力閾値の大小関係に応じて前記回転軸の回転数を制御するステップと
を含むことを特徴とする駆動制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−55746(P2013−55746A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191038(P2011−191038)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000146054)株式会社松井製作所 (70)
【Fターム(参考)】