説明

駆動装置及びこれを用いた画像形成装置

【課題】中間ギヤとこれに噛合する従動ギヤとの間の軸間距離の累積公差をなくす。
【解決手段】駆動装置20は、モータ軸26の周りに揺動可能な揺動板28と、この揺動板28に回動可能に支持されてモータ22からの駆動力を伝達する中間ギヤ36と、この中間ギヤ36を挟んで両側にそれぞれ回動可能に支持された従動ギヤ41,42とを有していて、揺動板28を揺動させて中間ギヤ36を従動ギヤ41,42に択一的に連結して駆動力の伝達経路を切換える。このため、モータ22を取付座24を介してモータ固定板21に取付け、このモータ固定板21とモータ22の取付面Aとの間の空隙部Lに揺動板28を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機,プリンター,ファクシミリ等の画像形成装置と、この画像形成装置に設けられた現像部を駆動する駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式の複写機,プリンター,ファクシミリ等の画像形成装置は、像担持体としての感光体ドラムの表面に形成された静電潜像が、現像装置によってトナー像が形成され、その像担持体の表面に形成されたトナー像をシート状の記録媒体(コピー用紙やプラスチックフィルム等)に転写した後、その記録媒体を分離手段によって像担持体の表面から分離し、その像担持体から分離した記録媒体を定着手段に送り込み、定着後の記録媒体を排出トレイや両面印刷用の中間トレイ等に排出するようになっている。
【0003】
このような画像形成装置における現像装置は、例えば駆動装置によりモータからの駆動力を入れたり切ったりして制御されている。このように制御するのは、例えばタンデム型のカラー画像形成装置において、モノクロ画像形成のみを行い、他のカラーの現像装置を回転させたくないような場合が考えられる。
【0004】
このような駆動装置として、例えば、図10に示すように、プリンタのX軸65a駆動とY軸66a駆動を1個のモータで行い、小型軽量化を図ったものがある。この従来例では、モータ軸60aと同軸心の中心孔67を有するギヤ支持板61に、ギヤ軸72を介して中間ギヤ63を取付け、また、ギヤ支持板61と中間ギヤ63間に装着したばね座金62により中間ギヤ63に回転抵抗を与えるようにしている。中間ギヤ63は、モータ軸60aに固定されたモータギヤ64に噛合していて、この中間ギヤ63の左右にX軸駆動ギヤ65とY軸駆動ギヤ66を配置している。
【0005】
そして、ギヤ支持板61が回転可能な状態で、モータ60を回転させると、モータギヤ64に噛合している中間ギヤ63は、ばね座金62によって回転抵抗を与えられているため、中間ギヤ63は殆ど自転することなく、ギヤ支持板61がモータ60と同方向に回転する。こうして、中間ギヤ63をX軸駆動ギヤ65とY軸駆動ギヤ66に択一的に噛合させることができる。なお、ギヤ支持板61の外周部に切欠溝68,68’を設け、この切欠溝68,68’に、モータ固定板71に枢着したストップレバー70を係合させて、ギヤ支持板61を停止させるようにしている。
【0006】
【特許文献1】実開平6−24950号公報(第1頁−第2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような駆動装置においては、ギヤ支持板61に支持されて揺動する中間ギヤ63の位置決め手段が、中間ギヤ63の回転中心から離れた位置にある切欠溝68,68’とストップレバー70とで構成されるようになっているため、中間ギヤ63の回転軸をストッパで位置決めする場合に比較して位置決め精度が低下するという問題を有していた。なお、この中間ギヤ63の位置決め精度が低下すると、X軸駆動ギヤ65やY軸駆動ギヤ66との軸間寸法精度(回転中心間の寸法精度)が低下し、中間ギヤ63とX軸駆動ギヤ65又はY軸駆動ギヤ66との正確な噛み合い状態を実現できず、歯の噛み合い不良に伴う、歯の早期摩耗や振動及び振動に伴う騒音の問題、回転ムラ等に起因する回転伝達精度の低下という問題が生じる。
【0008】
また、上述の駆動装置は、モータ60の正・逆回転によりギヤ支持板61を時計回り方向又は反時計回り方向に揺動させるようになっているため、使用できるモータが正・逆両方向に回転が切り換えられるものに限られるという設計上の制約があった。
【0009】
更に、このような駆動装置においては、モータ固定板71の表側に揺動するギヤ支持板61、モータギヤ64、中間ギヤ63、X軸駆動ギヤ65、Y軸駆動ギヤ66、ストップレバー70及びソレノイド69等が配置されているため、それら各構成部品が干渉しないように設計することが困難なばかりでなく、構造が複雑化するという問題を有していた。
【0010】
そこで、本発明は、互いに噛合する動力伝達手段の回転ムラや騒音の発生を防止可能な駆動装置及びこれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、駆動手段の出力軸の周りに揺動可能な揺動板と、該揺動板に回動可能に支持され前記駆動手段からの駆動力を伝達する第1の動力伝達手段と、該第1の動力伝達手段を挟んで両側にそれぞれ回動可能に支持された第2と第3の動力伝達手段とを有し、前記揺動板を揺動させて前記第1の動力伝達手段を前記第2と第3の動力伝達手段に択一的に連結して駆動力の伝達経路を切換え可能とした駆動装置において、
前記駆動手段を、スペーサを介して固定板に取付け、該固定板と前記駆動手段の取付面との間に空隙部を形成し、
該空隙部に前記揺動板を装着したことを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の駆動装置において、前記固定板に貫通穴を形成し、前記揺動板から立設されて前記第1の動力伝達手段を支持する支持軸を、前記貫通穴から前記出力軸と平行に突出し、
前記揺動板が揺動することにより、前記支持軸が前記貫通穴の端面に当接して前記支持軸の過回転を防止することを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、
駆動手段と、
この駆動手段によって回転駆動される出力軸と、
この出力軸に揺動可能に支持された揺動板と、
この揺動板の表面側から突出する前記出力軸に一体回動可能に取り付けられた出力ギヤと、
この揺動板に回動可能に支持されて前記出力ギヤと噛み合う駆動ギヤと、
前記揺動板が前記出力軸を揺動中心軸として一方向に所定角度揺動すると、前記駆動ギヤに噛み合って前記駆動手段の回転を第1の動力伝達系に伝達する第1の従動ギヤと、
前記揺動板が前記出力軸を揺動中心軸として他方向に所定角度揺動すると、前記駆動ギヤに噛み合って前記駆動手段の回転を第2の動力伝達系に伝達する第2の従動ギヤと、
を備えた駆動装置であって、
前記駆動手段が固定板の裏面にスペーサを介して取り付けられることにより、前記固定板の裏面と前記駆動手段との間に空隙部が形成され、
前記揺動板が前記固定板の裏面と前記駆動手段との間の前記空隙部に配置され、
前記出力ギヤ、前記駆動ギヤ、前記第1の従動ギヤ及び前記第2の従動ギヤが前記固定板の表面側に配置されたことを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明の画像形成装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の駆動装置と、像担持体の表面に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像部を有する画像形成部と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、駆動手段を取り付ける固定板と駆動手段の取付面との間に形成した空隙部に、揺動板を揺動可能に装着すると共に、固定板に貫通穴を形成し、揺動板から立設された第1の動力伝達手段の支持軸を貫通穴から出力軸と平行に突出したことにより、第1の動力伝達手段と第2又は第3の動力伝達手段の中心間の距離のばらつきは、第1の動力伝達手段の支持軸から固定板の貫通穴端面までの公差で決定されるため、互いに噛合する動力伝達手段の回転ムラや騒音の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
(画像形成装置の概略構成)
図1は、画像形成装置1を模式的に示した概略構成図である。この画像形成装置1は、画像形成装置本体2内にプリント用紙、プラスチックフィルム等のシート材Pを給紙トレイ3から送り出すピックアップローラ4と、このピックアップローラ4から送り出されたシート材Pをシート搬送路Rに沿って搬送するシート搬送部5と、このシート搬送部5によって搬送されたシート材Pに画像を形成する画像形成部6と、この画像形成部6によってシート材に形成された画像を定着させる定着装置7と、この定着装置7で画像が定着されたシート材Pを排紙トレイ8へ排出するシート排出部9と、を備えて大略構成されている。
(画像形成部の構成)
次に、画像形成部6の構成について簡単に説明する。画像形成部6は、ドラム型の感光体ドラム(像担持体)10と、その周囲に配置された帯電器11と、感光体ドラム10における帯電器11よりも回転方向下流側の位置にレーザ照射を行う露光器12A及び反射ミラー12B等からなるスキャンユニット12と、現像部13と、転写部14と、除電器15と、感光体ドラム10の表面からシート材Pを分離させるシート分離手段18と、クリーニング装置19と、を備えて大略構成されている。
【0017】
感光体ドラム10は、図示しない駆動手段によって所定のプロセススピード(周速度)で矢印A方向に回転駆動される。そして、感光体ドラム10は、帯電器11によって表面が均一に所定の極性・電位で帯電される。
【0018】
帯電後の感光体ドラム10は、スキャンユニット12によって静電潜像が形成される。スキャンユニット12の露光器12Aは、図示しない画像処理部から入力された画像情報に基づいてON/OFF制御されるレーザ光を発生させ反射ミラー12Bで反射させて、帯電後の感光体ドラム10の表面に照射し、レーザ光照射部分の電荷を除去して画像情報に応じた静電潜像を形成する。そして、感光体ドラム10の表面に形成された静電潜像は、現像部13によって、電荷を有するトナーが静電的に付着されてトナー像として現像される。このトナーとしては、一般に、合成樹脂製の粉体が使用される。なお、図示しないが、スキャンユニット12は例えばポリゴンミラー等の各種の光学系を備えている。
【0019】
こうして、感光体ドラム10の表面に形成されたトナー像は、給紙トレイ3から供給されるシート材Pに転写される。給紙トレイ3内に収納されたシート材Pは、ピックアップローラ4や、図示しない搬送ローラや、レジストローラ対17によって、感光体ドラム10と転写部14との間の転写ニップ部に供給される。この際、シート材Pは、レジストローラ対17によって、感光体ドラム10の表面に形成されているトナー像とタイミングを合わせるようにして転写ニップ部に供給される。この転写ニップ部に供給されたシート材Pは、転写ニップ部によって挟持搬送されながら、感光体ドラム10の表面のトナー像が、転写部14によって静電的に表面に転写される。
【0020】
そして、トナー像が転写されたシート材Pは、感光体ドラム10から分離して定着装置7に搬送される。なお、転写後のシート材Pが感光体ドラム10から分離していない場合は、シート材Pがシート分離手段18にて強制的に感光体ドラム10から分離されて定着装置7に搬送されるようになっている。また、トナー像転写後の感光体ドラム10は、転写時にシート材Pに転写されないで表面に残ったトナー(残留トナー)がクリーニング装置19によって除去され、次の画像形成に供される。
【0021】
定着装置7は、図示しないヒータを内蔵する定着ローラ7Aと、この定着ローラ7Aに圧接される加圧ローラ7Bとを備え、これら定着ローラ7Aと加圧ローラ7Bは、装置フレーム7Cに軸支されている。
(駆動装置の構成)
図2乃至図4は、図1に示した画像形成装置の各構成のうち、例えば現像部13を駆動するための駆動装置20を示すものである。この駆動装置20は、モータ(駆動手段)22の取付基部22Aが固定されたモータ固定板21を有し、このモータ固定板21が、画像形成装置1の図示しないフレームに取り付けられている。モータ22は、モータ軸26に軸受ボス23が形成されている。また、モータ固定板21は、中央に軸受ボス23と略同径の穴25が設けられ、この穴25の周囲4カ所から裏面側(モータ側)に向けて取付座(スペーサ)24が突設されている。モータ22は、モータ固定板21の穴25に軸受ボス23が嵌合され、かつこの穴25からモータ軸26が突出している。
【0022】
また、モータ22は、モータ固定板21への固定面A(図3参照)が、モータ固定板21から突設した取付座24に当接された状態で、4個のネジ27によりモータ固定板21に固定されている。モータ22が取付座24に固定された状態では、取付座24がモータ固定板21の裏面側に突出量Lだけ出張っているから、モータ22の固定面Aとモータ固定板21の裏面間に空隙部L(図3参照)が形成される。
【0023】
尚、取付座24は、モータ固定板21を板金加工して張り出させたものでもよく、また、モータ固定板21とは別に形成したもの(別部品)を溶接や接着でモータ固定板21に固定されたものでもよい。また、取付座24は、モータ固定板21に固定せず、モータ固定板21の裏面側に突出するねじに外嵌させるようにしてもよい。また、取付座24は、特に材料について限定されるものではないが、ゴムで形成すれば、モータ22の振動や動力伝達時のトルク変動に起因する振動等を制振又は吸収できる。また、取付座24は、摩擦摺動抵抗の小さな樹脂材料で形成すれば、揺動板28の振動運動がより一層円滑化する。
【0024】
そして、この空隙部Lに揺動板28を装着することで、該揺動板28は軸受ボス23の周りを揺動可能となっている。この揺動板28は、モータ22の軸受ボス23と同径の中心孔30を穿設した円板31を有し、この円板31の中心から逆方向にそれぞれ長プレート32と短プレート33が延びている。この揺動板28は、その中心孔30を軸受ボス23に嵌合した状態で、空隙部L内で揺動可能となっている。また、短プレート33から、ギヤ軸34が、モータ軸26と平行にモータ固定板21の表面側に立設されている。このギヤ軸34には、モータ固定板21から突出した位置に中間ギヤ(第1の動力伝達手段)36が装着されている。そして、この中間ギヤ36は、モータ軸26に嵌着(又はモータ軸26に直接形成)されたモータギヤ37に噛合されている。
【0025】
図4及び図5に示すように、中間ギヤ36を回転可能に支持しているギヤ軸34は、モータ固定板21の2つの取付座24の中間に形成された貫通穴35から、モータ軸26と平行にモータ固定板21の表面側に突出している。この貫通穴35は、揺動板28の揺動量が大きすぎると、ギヤ軸34が過回転して中間ギヤ36と従動ギヤ41,42(後述する)間のバックラッシがなくなるのを避けるため、ギヤ軸34の当て止めとしている。
【0026】
次に、図6及び図7に示すように、中間ギヤ36に対し、左右対称に2本のギヤ軸38,40が、モータ固定板21からモータ軸26と平行に立設されている。一方のギヤ軸38には従動ギヤ(第2の動力伝達手段)41が回転可能に支持され、他方のギヤ軸40には従動ギヤ(第3の動力伝達手段)42が回転可能に支持されている。そして、揺動板28を揺動させると、中間ギヤ36が従動ギヤ41又は42に択一的に噛合されるようになっている。
【0027】
更に、図8に示すように、揺動板28の長プレート32の先端部には、孔46が穿設されていて、この孔46に、ソレノイド43のプランジャ44に連結されたピン45が嵌合している。このピン45は、モータ固定板21に穿設された長孔47からモータ固定板21の表面側に突出している。なお、ソレノイド43は、モータ固定板21の裏面側に取り付けられている。プランジャ44は、このソレノイド43への通電により本体内に引込んだり(図8実線参照)、又は通電の遮断により例えばばね(不図示)の力で前方に突出(図8破線参照)するようになっている。
(駆動装置の動作)
図2に示した状態では、プランジャ44は、ソレノイド43への通電により引込んだ状態であり、揺動板28は図の反時計方向に揺動して、中間ギヤ36はこの従動ギヤ41と噛合している。なお、プランジャ44の引込み量が大きく、揺動板28が大きく揺動してギヤ軸34が過回転すると、中間ギヤ36と従動ギヤ41との間のバックラッシがなくなるため、ギヤ軸34が貫通穴35の端面に当接してこれを防止するようになっている。
【0028】
また、ソレノイド43への通電を遮断すると、不図示のばね力でプランジャ44は前方に突出し、揺動板28は図の時計方向に揺動して、中間ギヤ36は従動ギヤ42と噛合する。なお、プランジャ44の押し出し量が大きく、揺動板28が大きく揺動してギヤ軸34が過回転すると、中間ギヤ36と従動ギヤ42との間のバックラッシがなくなるため、ギヤ軸34が貫通穴35の端面に当接してこれを防止するようになっている。このように、モータ22の駆動力の伝達経路を簡単に切り換えることができる。
【0029】
なお、以上は、1個のソレノイド43を用いて、揺動板28を突出位置と引込み位置の2位置で停止させる場合を例示したが、2個のソレノイド43,43’(図9参照)を用いて、揺動板28を突出位置・引込み位置・中立位置の3位置に停止させることもでき、この中立位置では、中間ギヤ36は従動ギヤ41、42と噛合しない。
【0030】
例えば図9に示すように、揺動板28に溝29を設け、この溝29に、モータ固定板21に一端を軸着した停止レバー48の爪48aを係合させ、この停止レバー48の他端を別のソレノイド43’のプランジャ44’に連結する。この停止レバー48は、ばね49によって爪48aと溝29が係合する方向に付勢されている。
【0031】
そして、2つのソレノイド43,43’への通電を遮断すると、停止レバー48の爪48aはばね49の付勢力で溝29に係合する。すると、この係合した位置が中立位置となる。また、揺動板28を突出位置又は引込み位置に停止させるには、ソレノイド43’に通電して爪48aを溝29から抜いた状態で、図8で説明したと同様にソレノイド43に通電又は通電を遮断すればよい。なお、これ以外でも、例えばモータと扇形ギヤを用いて、揺動板28を3位置に停止させることができる。
【0032】
本実施の形態によれば、従動ギヤ41(又は従動ギヤ42)と中間ギヤ36の中心間の距離のバラツキは、中間ギヤ36のギヤ軸34とモータ固定板21の貫通穴35間の公差で決定されるため、従来例と違ってギヤ中心間の距離の公差が累積されることはない。これにより、互いに噛合するギヤの回転ムラや騒音の発生を防止することができる。
【0033】
なお、この駆動装置20を画像形成装置の現像部13の駆動に用いた場合、例えばカラー画像形成装置では、モノクロプリント時は高速化のため他のカラーの現像部13の駆動を回避したいが、このような場合、駆動装置20を用いてモータ22の駆動力を現像部13に入れたり切ったりする。この点、クラッチを3個使用すれば同様の動作を行うことができるが、これではコスト的にもスペース的にも余裕がないので、駆動装置20のような機構で逃げることができる。これにより、特定のユニットを停止したり駆動したりすることができる。
【0034】
また、この駆動装置20を応用すれば、駆動系列を2系統(例えば正転と逆転)に切り換えることができるし、正逆できないモータでもこの機構を用いて正逆切り換えることができる。更に、ギヤ列を変えることで、速度を高速、低速の2系統に切り換えることもできる。また、上述の駆動装置20は、画像形成装置1の現像部13を駆動するものとして例示したが、これに限られず、シート搬送部5や定着装置7にも適用できる。また、上述の駆動装置20を、画像形成装置1に適用した場合について例示したが、それ以外の一般機械の動力伝達部にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この発明は、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等の画像形成装置に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の駆動装置の正面図である。
【図3】同上のA1−A1断面図である。
【図4】駆動装置の背面側の分解斜視図である。
【図5】駆動装置の要部拡大正面図である。
【図6】駆動装置を正面側から見た中間ギヤ取付前の斜視図である。
【図7】駆動装置を正面側から見た中間ギヤ取付後の斜視図である。
【図8】駆動装置を背面側からみた斜視図である。
【図9】駆動装置を背面側からみた他の実施の形態の斜視図である。
【図10】従来の駆動装置の正面図である。
【符号の説明】
【0037】
1……画像形成装置、10……感光体ドラム、13……現像部、20……駆動装置、21……モータ固定板、22……モータ、24……取付座、26……モータ軸、28……揺動板、34……ギヤ軸、35……貫通穴、36……中間ギヤ、41……従動ギヤ、42……従動ギヤ、L……空隙部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動手段の出力軸の周りに揺動可能な揺動板と、該揺動板に回動可能に支持され前記駆動手段からの駆動力を伝達する第1の動力伝達手段と、該第1の動力伝達手段を挟んで両側にそれぞれ回動可能に支持された第2と第3の動力伝達手段とを有し、前記揺動板を揺動させて前記第1の動力伝達手段を前記第2と第3の動力伝達手段に択一的に連結して駆動力の伝達経路を切換え可能とした駆動装置において、
前記駆動手段を、スペーサを介して固定板に取付け、該固定板と前記駆動手段の取付面との間に空隙部を形成し、
該空隙部に前記揺動板を装着した、
ことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記固定板に貫通穴を形成し、前記揺動板から立設されて前記第1の動力伝達手段を支持する支持軸を、前記貫通穴から前記出力軸と平行に突出し、
前記揺動板が揺動することにより、前記支持軸が前記貫通穴の端面に当接して前記支持軸の過回転を防止する、
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
駆動手段と、
この駆動手段によって回転駆動される出力軸と、
この出力軸に揺動可能に支持された揺動板と、
この揺動板の表面側から突出する前記出力軸に一体回動可能に取り付けられた出力ギヤと、
この揺動板に回動可能に支持されて前記出力ギヤと噛み合う駆動ギヤと、
前記揺動板が前記出力軸を揺動中心軸として一方向に所定角度揺動すると、前記駆動ギヤに噛み合って前記駆動手段の回転を第1の動力伝達系に伝達する第1の従動ギヤと、
前記揺動板が前記出力軸を揺動中心軸として他方向に所定角度揺動すると、前記駆動ギヤに噛み合って前記駆動手段の回転を第2の動力伝達系に伝達する第2の従動ギヤと、
を備えた駆動装置であって、
前記駆動手段が固定板の裏面にスペーサを介して取り付けられることにより、前記固定板の裏面と前記駆動手段との間に空隙部が形成され、
前記揺動板が前記固定板の裏面と前記駆動手段との間の前記空隙部に配置され、
前記出力ギヤ、前記駆動ギヤ、前記第1の従動ギヤ及び前記第2の従動ギヤが前記固定板の表面側に配置されたことを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の駆動装置と、像担持体の表面に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像部を有する画像形成部と、を備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−145965(P2006−145965A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−337431(P2004−337431)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】