説明

駆動装置及び電子機器

【課題】液晶表示パネルにおける実装領域の面積比率を下げ、面積比率が下がることにより大きくなるノイズの影響を少なくした駆動装置を提供する。
【解決手段】複数の駆動回路をカスケード接続し、画像データ及び該画像データの取り込みタイミング信号をカスケード接続した駆動回路を介して伝播させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直線若しくはマトリクス状に形成された素子に対して信号を与えるための装置に関し、たとえば液晶表示パネルやプラズマ表示パネルなどに用いられるゲート信号若しくはソース信号などの信号を駆動するための駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マトリクス状に形成された素子を用いた装置としては、たとえば液晶組成物とマトリクス状に配置したTFTとを組み合わせた液晶表示パネルが知られている。液晶表示パネルは、画素電極に電位を与えるためのTFTがマトリクス状に形成されており、該TFTに対してのゲート信号はゲートドライバーと呼ばれる駆動回路若しくは駆動装置により与えられ、該TFTに対してのソース信号は、ソースドライバーと呼ばれる駆動回路若しくは駆動装置により与えられる。また、液晶表示パネルの画素数の増加に伴い、ソースドライバーから駆動されるマルチプレクスされた信号をデマルチプレクサーで分配してソース信号としTFTに対して与える駆動方法がとられる場合がある。
【0003】
ゲートドライバー及びソースドライバーは、液晶表示パネル上の表示領域に隣接した領域に配置される。液晶表示パネルの外形サイズを変えずに表示領域を拡大することの要求は高く、ゲートドライバー及びソースドライバーの実装できる領域の液晶表示パネルにおける面積比率は小さくなる傾向にある。実装できる領域の面積比率が小さくなるとノイズ等の影響を受けやすくなる。特許文献1には、液晶表示パネルにおける駆動回路に小振幅差動信号で表示データを伝送する場合に、異なる位置に実装された駆動回路に対して同じ条件で伝送するために小振幅差動信号線を蛇行させて配線長を同じとすること、入力回路にレベルシフト回路を設けて入力信号が安定動作レベルになるようにすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−325820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では小振幅差動信号線を蛇行させることから、小振幅差動信号線を設ける領域を含めた駆動回路の実装領域の液晶表示パネルにおける面積の比率を下げることが難しいという課題がある。また、ノイズ等の対策として設けているレベルシフト回路も駆動回路の実装領域の液晶表示パネルにおける面積の比率を下げることを難しくしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した問題又は課題の少なくともひとつを解決するためになされたものであり、以下の適用例又は実施形態として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
本適用例にかかる駆動装置は、複数の駆動回路を含む駆動装置であって、前記駆動回路が、データ入力端子と、データ出力端子と、タイミング信号入力端子と、タイミング信号出力端子と、を有し、前記複数の駆動回路の中の第1の駆動回路における前記データ出力端子と前記複数の駆動回路の中の第2の駆動回路における前記データ入力端子とが接続され、前記第2の駆動回路における前記データ出力端子と前記複数の駆動回路の中の第3の駆動回路における前記データ入力端子とが接続され、前記第1の駆動回路における前記タイミング信号入力端子と前記第2の駆動回路における前記タイミング信号出力端子とが接続され、前記第2の駆動回路における前記タイミング信号入力端子と前記第3の駆動回路における前記タイミング信号出力端子とが接続されていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、第1の駆動回路におけるデータ出力端子と第2の駆動回路におけるデータ入力端子とが接続され、第2の駆動回路におけるデータ出力端子と第3の駆動回路におけるデータ入力端子とが接続され、第1の駆動回路におけるタイミング信号入力端子と第2の駆動回路におけるタイミング信号出力端子とが接続され、第2の駆動回路におけるタイミング信号入力端子と第3の駆動回路におけるタイミング信号出力端子とが接続されていることで、データ信号若しくはタイミング信号を伝達するための配線を短くすることができ、該配線を設けるための基板上の領域の面積を小さくすることが可能となる。一般的に駆動回路は略一列に基板上に配置される。複数の駆動回路はデータ信号及びタイミング信号を伝達する配線によりカスケード接続されることで、データ信号及びタイミング信号を伝達する配線が、略一列に配置された複数の駆動回路の隣り合った駆動回路の間を接続された配線として形成された駆動装置を提供することができる。
【0009】
[適用例2]
上記適用例にかかる駆動装置において、前記駆動回路は、データレジスターと前記データレジスターに対応するタイミングレジスターとを有し、前記タイミング信号入力端子から入力されたタイミング信号が前記タイミングレジスターに保持されているときに、前記データ入力端子から入力されたデータが前記データレジスターに保存されることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、タイミング信号がタイミングレジスターに保持されているときにデータレジスターにデータが保存されることで、カスケード接続された複数の駆動回路のデータの伝達方向における最後段の駆動回路から順次データを保存していくことができる。これにより、データが保持された駆動回路に対してはデータを出力する必要がないことから、データ伝達方向における最後段の一つ前の駆動回路から順次データ出力端子の駆動を停止することができることになり消費電力の低減を図ることができる。また、同様にタイミング信号出力端子の駆動も、データ伝達方向における最後段の駆動回路から順次タイミング信号出力端子の駆動を停止することが可能であり、更なる消費電力の低減化を図ることができる。
【0011】
[適用例3]
上記適用例にかかる駆動装置において、前記駆動回路は、更に、制御クロック入力端子と、制御クロック出力端子と、を有し、前記第1の駆動回路における前記制御クロック出力端子は前記第2の駆動回路における前記制御クロック入力端子に接続され、前記第2の駆動回路における前記制御クロック出力端子は前記第3の駆動回路における前記制御クロック入力端子に接続され、前記タイミングレジスターは1ビットのレジスターであり、前記タイミング信号は1ビットの情報であり、前記制御クロック入力端子から入力されるクロックに基づいて生成されるタイミングにより、前記タイミング信号が複数の前記タイミングレジスター間をシフトされることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、制御クロック入力端子から入力されたクロックを元に生成されるタイミングによりタイミング信号を複数のタイミングレジスター間においてシフトさせることで、複数のデータレジスター各々に対してのデータの保持タイミングを制御することができる。
【0013】
[適用例4]
上記適用例にかかる駆動装置において、前記データ入力端子は差動信号を入力する端子であり、前記データ出力端子は差動信号を出力する端子であり、前記タイミング信号が前記第3の駆動回路から前記第2の駆動回路に伝播された後に、前記第2の駆動回路における前記データ出力端子からの前記差動信号の駆動が停止され、前記タイミング信号が前記第2の駆動回路から前記第1の駆動回路に伝播された後に、前記第1の駆動回路における前記データ出力端子からの前記差動信号の駆動が停止されることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、入力データの伝播に差動信号を用いることによりノイズ等の影響を低減することができると共に、データの保存が終了した駆動回路に対してのデータ信号の駆動を停止させることで省電力化を図ることができる。
【0015】
[適用例5]
上記適用例にかかる駆動装置において、前記データ入力端子及び前記データ出力端子を用いてカスケード接続された前記複数の駆動回路において、前記データの伝播方向における1段目の前記駆動回路における前記データ入力端子のインピーダンスは、2段目以降の前記駆動回路における前記データ入力端子のインピーダンスよりも低いことが好ましい。
【0016】
この構成によれば、カスケード接続された駆動回路のデータ伝達方向における1段目の駆動回路のデータ入力端子のインピーダンスを2段目以降の駆動回路のデータ入力端子のインピーダンスよりも低くすることで、1段目の駆動回路のデータ入力端子に接続される配線長を2段目以降の駆動回路間の配線長よりも長くすることができる。これにより、駆動装置に対してデータを出力する回路の配置の自由度を高めることができる。
【0017】
[適用例6]
上記適用例にかかる駆動装置において、前記カスケード接続された前記複数の駆動回路において、前記データ出力端子のインピーダンスと前記データ出力端子が接続された前記データ入力端子のインピーダンスとが、インピーダンスマッチングがとられていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、データを出力する駆動回路のデータ出力端子と、該データを入力する駆動回路のデータ入力端子との間のインピーダンスマッチングが取られることにより、信号の伝達効率をよくすることができる。
【0019】
[適用例7]
上記適用例にかかる駆動装置において、前記複数の駆動回路は、ガラス基板上に形成されていることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、複数の駆動回路をガラス基板上に形成することで、液晶表示パネルにおけるガラス基板の一部を駆動装置の一部として用いることができ、液晶表示パネルの構成部品を少なくすることができる。また、駆動装置を実装する領域を狭くすることが可能であることからガラス基板の小型化を図ることができる。
【0021】
[適用例8]
上記適用例にかかる駆動装置において、前記駆動回路は、前記データレジスター及び前記タイミングレジスターを、いずれも複数個有し、複数の前記タイミングレジスターは、カスケード接続されていることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、駆動回路において、複数のデータレジスターと複数のタイミングレジスターとを有し、複数のタイミングレジスターがカスケード接続されていることで、駆動回路内の複数のタイミングレジスター間においてタイミング信号をシフトさせることができ、これにより複数のデータレジスターに対するデータ保持タイミングを規定することができる。
【0023】
[適用例9]
上記適用例にかかる駆動装置において、前記駆動回路は、更に、前記データレジスターの出力を保持する第1のラッチと、前記第1のラッチの出力をアナログ信号に変換するDA変換部と、前記アナログ信号を出力するアナログ信号出力端子と、を有し、前記DA変換部は、複数の前記第1のラッチの出力を時分割でDA変換を行い、前記アナログ信号を生成することが好ましい。
【0024】
この構成によれば、データレジスターに保持されたデータが第1のラッチに保持され、複数の第1のラッチの出力を時分割でDA変換器によりアナログ信号に変換し、該アナログ信号をアナログ信号出力端子から出力することで、アナログ信号への変換を行いながら次のデータをデータレジスターに保存することができる。
【0025】
[適用例10]
本適用例に係る電子機器は、上記の適用例に係る駆動装置を用いることが好ましい。
【0026】
この構成によれば、液晶表示パネルにおける駆動回路の実装領域の面積比率を小さくすることができ、液晶表示パネルにおける表示領域の面積比率を高めた電子機器を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】液晶表示パネルのブロック図。
【図2】第1実施形態の駆動回路の構成要素の一部のブロック図。
【図3】第1実施形態の駆動回路のタイムチャート。
【図4】表示モジュールの概観図の例及び電子機器の例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。尚、以降の説明において出てくる16進数は、数値の後にhをつけて記載することとする。たとえば、10進数における“16”は、“10h”と記載される。
【0029】
図1は、本発明を適用したソース信号駆動装置20を含む液晶表示パネル1における構成要素の一部のブロック図を示したものである。液晶表示パネル1は、ソース信号駆動装置20以外に、表示領域10、デマルチプレクサー12、ゲート信号駆動装置30及びパネル制御部40を含む。ソース信号駆動装置20及びゲート信号駆動装置30は、表示領域10が形成されるガラス基板に配置されている。
【0030】
ソース信号駆動装置20は、第2画像データ信号61及び第1タイミング信号63によりカスケード接続された複数個のソースドライバー21(駆動回路)を含む。第1タイミング信号63は、第1画像データ信号41若しくは第2画像データ信号61により伝播されたデータから生成される1画素分のデータを取り込むためのタイミングを指示する保存タイミング信号を伝播させるためのものである。ソースドライバー21が駆動する表示データ信号65は、取り込まれた1画素分のデータに基づいて生成されるアナログ信号である。第2画像データ信号61によるデータ伝播方向におけるカスケード接続の1段目のソースドライバー21は、第1タイミング信号63による保存タイミング信号伝播方向におけるカスケード接続の最終段目のソースドライバー21に当たる。保存タイミング信号の伝播は、データ保存開始指示信号43の指示により開始される。尚、図1において、第1画像データ信号41及び第2画像データ信号61が一本の太線で描かれているが、これは複数のデータが並行して伝播されることを示すものである。第1画像データ信号41若しくは第2画像データ信号61は、複数の信号線から構成されるものとなる。
【0031】
ゲート信号駆動装置30は、第2タイミング信号64によりカスケード接続された複数個のゲートドライバー31を含む。ライン走査開始指示信号44が接続されたゲートドライバー31がカスケード接続の1段目である。ゲート信号52は、該1段目のゲートドライバー31から順次駆動される。ゲートドライバー31は、ゲート信号52の駆動タイミングを規定するゲートタイミング信号を保持する複数のレジスターを内部に有する(図示せず)。該複数のレジスターは、ゲート信号駆動装置30においてシフトレジスターを形成する。ゲートタイミング信号は、ライン走査開始指示信号44の指示で伝播が開始され、定められた時間間隔でカスケード接続されたゲートドライバー31内をシフトする。該定められた時間間隔は、例えば表示領域10のライン数により定められる時間間隔である。
【0032】
表示領域10には、{TFT及び画素電極}11がマトリクス状に配置されている。{TFT及び画素電極}11は、ゲートドライバー31により駆動されるゲート信号52により制御され、デマルチプレクサー12により駆動されるソース信号53の電位を保持する。また、{TFT及び画素電極}11は、共通電極信号51に接続されている。デマルチプレクサー12は、ソースドライバー21内部でマルチプレクスされた表示データ信号65を複数のソース信号53に分配し駆動する回路である。尚、本実施形態の説明は、1画素が{TFT及び画素電極}11に対応するものとして行う。
【0033】
パネル制御部40は、液晶表示パネル1内部の制御を司る部分である。パネル制御部40には、液晶表示パネル1内部のいくつかの制御信号を生成するために必要な外部信号(例えば垂直同期信号、水平同期信号及び画像データなどの信号、図示せず)が入力される。これらの外部信号を基にして生成された信号は、データ保存開始指示信号43、ライン走査開始指示信号44、第1制御クロック信号42及び第1画像データ信号41を介して、ソース信号駆動装置20並びにゲート信号駆動装置30に伝播される。
【0034】
第1制御クロック信号42により伝播されるクロック信号は、更に第2制御クロック信号62により伝播される。第1制御クロック信号42若しくは第2制御クロック信号62は、第1画像データ信号41若しくは第2画像データ信号61で伝播されるデータをサンプリングするためのクロック信号である。サンプリングされたデータは、1画素分のデータにまとめられ、上述した保存タイミング信号で指定される所定のレジスターに取り込まれる。尚、第1画像データ信号41、第2画像データ信号61、第1制御クロック信号42及び第2制御クロック信号62は、差動信号である。伝播される信号は、NRZI信号でもNRZ信号でもどちらでもよいが、以降はNRZ信号で伝播されていることとして説明を行う。
【0035】
尚、ソース信号駆動装置20及びゲート信号駆動装置30において、カスケード接続に用いられる信号の送信素子と受信素子とではインピーダンスマッチングがとられている。また、パネル制御部40とソースドライバー21との間の素子におけるインピーダンスは、ソースドライバー21間のインピーダンスよりも低く設定されている。
【0036】
(第1実施形態)
図2に、本実施形態におけるソースドライバー21のブロック図の一部を示す。ソースドライバー21は、複数の表示データ生成部100、クロック生成部140、第1データ変換部150、第2データ変換部160、差動レシーバー部170及び差動ドライバー部180を含む。尚、本実施形態においては、第1画像データ信号41及び第2画像データ信号61により、8画素分のデータが並行してソースドライバー21に伝達されるものとして構成した。また、1画素のデータは、8ビットからなるものとする。図2の画像データ信号91は、図1の第1画像データ信号41若しくは第2画像データ信号61に対応する。図2の画像データ信号92は、図1の第2画像データ信号61に対応する。図2の制御クロック信号93は、図1の第1制御クロック信号42若しくは第2制御クロック信号62に対応する。図2の制御クロック信号94は、図1の第2制御クロック信号62に対応する。図2のタイミング信号95は、図1の第1タイミング信号63に対応する。図2のタイミング信号96は、図1の第1タイミング信号63若しくはデータ保存開始指示信号43に対応する。
【0037】
差動レシーバー部170は、入力される差動信号を受信し、シングルエンド信号に変換する部分である。上述したが、本実施形態における差動信号は、第1画像データ信号41、第2画像データ信号61、第1制御クロック信号42及び第2制御クロック信号62である。第1画像データ信号41若しくは第2画像データ信号61は、差動レシーバー部170によって変換され、S1データ信号72として伝播される。また、第1制御クロック信号42若しくは第2制御クロック信号62は、差動レシーバー部170によって変換され、シングルエンド信号である内部1クロック信号81として伝播される。
【0038】
クロック生成部140は、内部1クロック信号81から後述するデータ保持部101で用いられる内部2クロック信号82を生成する部分である。データ保持部101における処理は、1画素単位で実行される処理である。また、内部1クロック信号81は、S1データ信号72をサンプリングするクロックとしても用いられる。本実施形態においては1画素分のデータが8ビットであることから、データ保持部101で用いられる内部2クロック信号82の周波数は、少なくとも内部1クロック信号81の周波数の8分の1であればよい。
【0039】
表示データ生成部100は、並列に入力される画素数分のデータを時系列にマルチプレクスした表示データ信号71を生成し、デマルチプレクサー12に出力する部分である。表示データ信号71はアナログ信号であり、本実施形態では8画素分をマルチプレクスした信号として生成される。表示データ生成部100は、データ保持部101、タイミングレジスター105及びデジタル−アナログ変換部106(以降DA変換部106と呼ぶ)を有する。更に、データ保持部101は、時分割スイッチ102と第1ラッチ103と第1レジスター104とを含む。ひとつのデータ保持部101において、1画素分のデータが扱われる。ひとつの表示データ生成部100は8個のデータ保持部101を有する。
【0040】
タイミングレジスター105は、第1レジスター104に表示データを保存することを許可する意味の信号を保持するレジスターであり、上述した保存タイミング信号が保持される。保存タイミング信号がタイミングレジスター105に保持されているときに、第1データ変換部150においてサンプリングされた1画素分のデータが第1レジスター104に保存される。タイミングレジスター105は、他の表示データ生成部100に含まれるタイミングレジスター105と共に、保存タイミング信号をシフトさせるためのシフトレジスターを構成する。保存タイミング信号は、データ保存開始指示信号43により伝播が開始され、データ保存開始指示信号43が入力されたソースドライバー21から、内部2クロック信号82で規定されるタイミングで複数のタイミングレジスター105間においてシフトされる。また、第1レジスター104に保存された1画素分のデータは、上述したゲートタイミング信号がシフトされる所定の時間間隔に略同期して第1ラッチ103に保存される。
【0041】
また、ひとつの表示データ生成部100に含まれる複数の時分割スイッチ102の各々は、時分割で排他的にオン状態となる。オン状態となった時分割スイッチ102に接続される第1ラッチ103の出力がDA変換部106に伝達され、表示データ信号71として出力される。時分割スイッチ102が排他的にオンになることにより、8画素分のデータが時系列にマルチプレクスされたアナログ信号である表示データ信号71が生成される。表示データ信号71は図1における表示データ信号65に対応する。
【0042】
第1データ変換部150は、差動レシーバー部170から出力されるS1データ信号72を内部1クロック信号81によりサンプリングし、パラレルデータであるP1データ信号73を生成する部分である。P1データ信号73は、8ビットのパラレルデータであり、1画素分のデータを構成することができる。上述したように、P1データ信号73は、データ保持部101の入力となる。また、P1データ信号73は、第2データ変換部160においてシリアルデータであるS2データ信号74に変換され、差動ドライバー部180において差動信号に変換され、画像データ信号92として後段のソースドライバー21に出力される。尚、図2において、第1データ変換部150の内部に、S1データ信号72からP1データ信号73への変換イメージを容易にするものとして8ビットのシフトレジスターを示しているが、実際の回路構成はこれに限られるものではない。第2データ変換部160に関しても同様である。
【0043】
次に、具体的な動作について、図3のタイムチャートを用いて説明する。示している波形は概略波形であり、必要なセットアップタイム、ホールドタイムは確保されているものとする。尚、並行して入力される8画素の各々は同様の動作となることから、動作の説明はひとつの表示データ生成部100あたり1画素について図3に示し行うこととする。図3に示したタイムチャートは、内部1クロック信号81、内部2クロック信号82、S1データ信号72、タイミングレジスター105の値及び第1レジスター104の値の変化を模式的に示したものである。タイミングレジスター105の値及び第1レジスター104の値は、タイミングレジスター105の接続において連続する3個の表示データ生成部100に含まれるものついて示している。図で示した3個のデータ保持部101は、保存タイミング信号が伝播される方向において最前段となる表示データ生成部100におけるデータ保持部101をデータ保持部(n+1)、最後段となる表示データ生成部100におけるデータ保持部101をデータ保持部(n−1)、間に配置される表示データ生成部100におけるデータ保持部101をデータ保持部(n)として示した。時間の経過は図の左から右方向となる。S1データ信号72は、内部1クロック信号81によりサンプリングされている。
【0044】
図3−(a)において、保存タイミング信号(ハイレベルで図示)がデータ保持部(n+1)を有する表示データ生成部100のタイミングレジスター105に保持される。内部1クロック信号81によりサンプリングされたS1データ信号72は、P1データ信号73に変換され、図3−(b)の内部2クロック信号82の立ち上がりのタイミングでデータ保持部(n+1)の第1レジスター104に保持される。このときのP1データ信号73の値は“9Ah”である。また、保存タイミング信号は内部2クロック信号82によりシフトされ、データ保持部(n)を有する表示データ生成部100のタイミングレジスター105に保持される。
【0045】
その後、内部1クロック信号81によりサンプリングされたS1データ信号72は、P1データ信号73に変換され、図3−(c)の内部2クロック信号82の立ち上がりのタイミングでデータ保持部(n)の第1レジスター104に保持される。このときのP1データ信号73の値は“56h”である。保存タイミング信号は内部2クロック信号82によりシフトされ、データ保持部(n−1)を有する表示データ生成部100のタイミングレジスター105に保持される。
【0046】
その後、内部1クロック信号81によりサンプリングされたS1データ信号72は、P1データ信号73に変換され、図3−(d)の内部2クロック信号82の立ち上がりのタイミングでデータ保持部(n−1)の第1レジスター104に保持される。このときのP1データ信号73の値は“23h”である。保存タイミング信号は内部2クロック信号82によりシフトされ、データ保持部(n−1)を有する表示データ生成部100の次の段の表示データ生成部100におけるタイミングレジスター105に保持される。
【0047】
上述した動作により、ソース信号駆動装置20を構成するソースドライバー21に含まれるすべてのデータ保持部101の第1レジスター104にデータが保持されると、すべての第1レジスター104の値は、上述したようにゲートタイミング信号がシフトされる所定の時間間隔に略同期して第1ラッチ103に保持される。第1ラッチ103に保持されたデータは、時分割スイッチ102を介してDA変換部106に伝播され、アナログ信号に変換されて表示データ信号71として駆動され、デマルチプレクサー12より分配され、ソース信号53として{TFT及び画素電極}11に対して駆動される。
【0048】
また、カスケード接続されたソースドライバー21への画像データの格納は、第2画像データ信号61によるデータの伝播方向において最後段のソースドライバー21から行われる。従って、データの格納が済んだソースドライバー21に対する差動ドライバー部180の出力信号の駆動を停止させることにより、消費電力の低減を図ることができる。尚、差動ドライバー部180の出力信号の停止は、第2画像データ信号61と第2制御クロック信号62とで別々に制御してもよい。
【0049】
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態における内部2クロック信号82に対応するクロックをパネル制御部40から供給を受ける形態である。第1実施形態における内部1クロック信号81の生成と同様な構造若しくは方法により内部2クロック信号82に対応するクロックが供給される。第1実施形態との違いはこの点だけなので、特に本実施形態におけるブロック図の図示は行わない。
【0050】
(第3実施形態)
本実施形態は、本発明を適用した液晶表示パネルを用いた電子機器を示すものである。図4−(a)及び(b)に本発明を適用した液晶表示パネルを用いた電子機器の例を示す。いずれにおいても、液晶表示パネルの面積に対する表示領域の面積比率が従来の液晶表示パネルよりも大きいことにより、外形に対しての表示領域が従来よりも大きい電子機器を構成することができる。
【符号の説明】
【0051】
1…液晶表示パネル、10…表示領域、11…{TFT及び画素電極}、12…デマルチプレクサー、20…ソース信号駆動装置、21…ソースドライバー、30…ゲート信号駆動装置、31…ゲートドライバー、40…パネル制御部、41…第1画像データ信号、42…第1制御クロック信号、43…データ保存開始指示信号、44…ライン走査開始指示信号、51…共通電極信号、52…ゲート信号、53…ソース信号、61…第2画像データ信号、62…第2制御クロック信号、63…第1タイミング信号、64…第2タイミング信号、65…表示データ信号、71…表示データ信号、72…S1データ信号、73…P1データ信号、74…S2データ信号、81…内部1クロック信号、82…内部2クロック信号、91…画像データ信号、92…画像データ信号、93…制御クロック信号、94…制御クロック信号、95…タイミング信号、96…タイミング信号、100…表示データ生成部、101…データ保持部、102…時分割スイッチ、103…第1ラッチ、104…第1レジスター、105…タイミングレジスター、106…DA変換部、140…クロック生成部、150…第1データ変換部、160…第2データ変換部、170…差動レシーバー部、180…差動ドライバー部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駆動回路を含む駆動装置であって、
前記駆動回路が、
データ入力端子と、
データ出力端子と、
タイミング信号入力端子と、
タイミング信号出力端子と、を有し、
前記複数の駆動回路の中の第1の駆動回路における前記データ出力端子と前記複数の駆動回路の中の第2の駆動回路における前記データ入力端子とが接続され、
前記第2の駆動回路における前記データ出力端子と前記複数の駆動回路の中の第3の駆動回路における前記データ入力端子とが接続され、
前記第1の駆動回路における前記タイミング信号入力端子と前記第2の駆動回路における前記タイミング信号出力端子とが接続され、
前記第2の駆動回路における前記タイミング信号入力端子と前記第3の駆動回路における前記タイミング信号出力端子とが接続されていることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記駆動回路は、データレジスターと前記データレジスターに対応するタイミングレジスターとを有し、
前記タイミング信号入力端子から入力されたタイミング信号が前記タイミングレジスターに保持されているときに、前記データ入力端子から入力されたデータが前記データレジスターに保存されることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記駆動回路は、更に、制御クロック入力端子と、制御クロック出力端子と、を有し、
前記第1の駆動回路における前記制御クロック出力端子は前記第2の駆動回路における前記制御クロック入力端子に接続され、
前記第2の駆動回路における前記制御クロック出力端子は前記第3の駆動回路における前記制御クロック入力端子に接続され、
前記タイミングレジスターは1ビットのレジスターであり、
前記タイミング信号は1ビットの情報であり、
前記制御クロック入力端子から入力されるクロックに基づいて生成されるタイミングにより、前記タイミング信号が複数の前記タイミングレジスター間をシフトされることを特徴とする請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記データ入力端子は差動信号を入力する端子であり、
前記データ出力端子は差動信号を出力する端子であり、
前記タイミング信号が前記第3の駆動回路から前記第2の駆動回路に伝播された後に、前記第2の駆動回路における前記データ出力端子からの前記差動信号の駆動が停止され、
前記タイミング信号が前記第2の駆動回路から前記第1の駆動回路に伝播された後に、前記第1の駆動回路における前記データ出力端子からの前記差動信号の駆動が停止されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記データ入力端子及び前記データ出力端子を用いてカスケード接続された前記複数の駆動回路において、前記データの伝播方向における1段目の前記駆動回路における前記データ入力端子のインピーダンスは、2段目以降の前記駆動回路における前記データ入力端子のインピーダンスよりも低いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記カスケード接続された前記複数の駆動回路において、前記データ出力端子のインピーダンスと前記データ出力端子が接続された前記データ入力端子のインピーダンスとが、インピーダンスマッチングがとられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記複数の駆動回路は、ガラス基板上に形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記駆動回路は、前記データレジスター及び前記タイミングレジスターを、いずれも複数個有し、
複数の前記タイミングレジスターは、カスケード接続されていることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記駆動回路は、更に、
前記データレジスターの出力を保持する第1のラッチと、
前記第1のラッチの出力をアナログ信号に変換するDA変換部と、
前記アナログ信号を出力するアナログ信号出力端子と、を有し、
前記DA変換部は、複数の前記第1のラッチの出力を時分割でDA変換を行い、前記アナログ信号を生成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の駆動装置を用いた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−2840(P2012−2840A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134787(P2010−134787)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】