説明

駐車支援装置及び駐車支援方法

【課題】駐車の全体経路のイメージを保有したまま、見やすい画面表示を提供し、運転者が操舵すべき内容を容易に把握することが可能となる駐車支援装置を提供する。
【解決手段】駐車支援装置は、自車両周囲の映像を撮像する複数のカメラ装置11,12,13,14によって撮像された映像に基づいて、自車両の真上から撮像した映像に視点変換した俯瞰映像を画像処理コントローラ21によって作成する。画像処理コントローラ21は、作成した俯瞰映像上に、目標駐車位置に自車両を誘導するための駐車軌跡のうち、駐車の各段階毎に、次に自車両が移動すべき目標の停車位置と、当該停車位置までの駐車軌跡線とをディスプレイ22に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を所定の目標駐車位置に駐車させるために運転者に操作の支援となる情報を提示する駐車支援装置及び駐車支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自車両を所定の駐車領域に位置させるために運転者に操作の支援となる情報を提示する駐車支援装置が開発されている。例えば、特許文献1に記載の駐車補助装置は、自車両の側方及び後方に取り付けられたカメラ装置の映像を、あたかも自車両の真上に取り付けられたカメラ装置によって撮像したような俯瞰映像に視点変換し、その俯瞰映像上に、駐車を行う際の後退開始位置、目標駐車位置、途中で切り返すための駐車途中位置、ステアリング操舵に連動した線である操舵連動線、及び目標駐車位置に至る理想的な進路予想線(以下、理想進路予想線という。)を明示することにより、車両を適切に目標駐車位置に誘導可能とするものである。
【特許文献1】特開2004−114879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した特許文献1に記載された従来の技術においては、後退開始位置、目標駐車位置、駐車途中位置、操舵連動線、及び理想進路予想線の全てが俯瞰映像上に表示されることから、いずれの線に合わせて駐車行為を行えばよいのかを運転者が把握しにくく、当該運転者に混乱を与えるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、駐車の全体経路のイメージを保有したまま、見やすい画面表示を提供し、運転者が操舵すべき内容を容易に把握することが可能となる駐車支援装置及び駐車支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、自車両周囲の映像を撮像する複数の撮像手段によって撮像された映像に基づいて、自車両の真上から撮像した映像に視点変換した俯瞰映像を作成し、作成した俯瞰映像上に、目標駐車位置に自車両を誘導するための駐車軌跡のうち、駐車の各段階毎に、次に自車両が移動すべき目標の停車位置と、当該停車位置までの駐車軌跡線とを所定の表示手段に表示させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、駐車の全体経路のイメージを保有したまま、見やすい画面表示を提供することができ、運転者が操舵すべき内容を容易に把握することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の好適な実施形態としての駐車支援装置について具体的に説明する。
【0008】
[駐車支援装置の構成]
本発明の実施形態として示す駐車支援装置は、図1に示すように、自車両周囲の映像を撮像する複数のカメラ装置11,12,13,14と、これらカメラ装置11,12,13,14によって撮像された自車両周囲の映像を処理する画像処理コントローラ21と、この画像処理コントローラ21によって処理された映像を表示するディスプレイ22とを備える。
【0009】
カメラ装置11,12,13,14は、例えば小型で高画質の映像を撮像可能とされるCCD(Charge Coupled Devices)等を撮像素子として用いて構成され、自車両周囲360度の範囲を全て撮像できるように当該自車両に複数設けられる。具体的には、カメラ装置11,12,13,14は、例えば図2に示すように、自車両前方、自車両左右側方、及び自車両後方の4箇所に1台ずつ設けられ、当該自車両の前方、左右側方、及び後方の風景を撮像する。なお、カメラ装置11,12,13,14は、実際には非常に小型形状とされ、自車両の車体からはみ出ることなく、当該自車両内に複数設置又は車体等に組み込まれるようにして複数設置される。これらカメラ装置11,12,13,14によって撮像された映像は、電気信号として画像処理コントローラ21に供給される。また、駐車支援装置は、自車両周囲360度の範囲を全て撮像できるのであれば、4台以上のカメラ装置を設けるようにしてもよい。
【0010】
画像処理コントローラ21は、複数のカメラ装置11,12,13,14によって撮像された映像情報に基づいて、あたかも自車両の真上に取り付けられた1台の仮想的なカメラ装置によって撮像したような映像に視点変換した俯瞰映像を作成する。このような機能を実現する画像処理コントローラ21は、画像処理のコアとなるDSP(Digital Signal Processor)を搭載し、特定用途向け集積回路であるASIC(Applicant Specific Integrated Circuit)として設計したり、FPGA(Field Programmable Gate Array)によって実現することができる。なお、画像処理コントローラ21は、自車両についてはカメラ装置11,12,13,14によって撮像することができないため、作成した俯瞰映像にCG(Computer Graphics)や写真等を重畳描画することによって当該自車両を表現する。また、画像処理コントローラ21は、作成した俯瞰映像の一部を拡大した俯瞰映像を作成することもできる。さらに、画像処理コントローラ21は、所定の目標駐車位置に駐車を行う際に、当該目標駐車位置に自車両を誘導するための駐車軌跡を算出し、作成した俯瞰映像上に、駐車を行う際の後退開始位置、目標駐車位置、途中で切り返すための駐車途中位置、ステアリング操舵に連動した線である操舵連動線、及び目標駐車位置に至る理想的な進路予想線(以下、理想進路予想線という。)等を重畳描画する。このような画像処理コントローラ21は、作成した映像をディスプレイ22に表示させる。
【0011】
ディスプレイ22は、例えば自車両のダッシュボード付近に取り付けられた車載用の液晶ディスプレイ等から構成される。なお、このディスプレイ22は、自車両のナビゲーションを行う際に地図情報等を表示するものと共用することができる。ディスプレイ22は、画像処理コントローラ21から供給された俯瞰映像を含む映像を表示画面に表示することにより、目標駐車位置に対する駐車を支援する情報を運転者に提示する。ここで、車載用のディスプレイ22は、通常、横長の表示画面を有するものが多いのに対して、画像処理コントローラ21によって作成される俯瞰映像は、前後方向に移動する自車両を表現するために縦長となる場合が多い。そのため、ディスプレイ22の表示領域は、例えば図3に示すように、俯瞰映像を表示する俯瞰映像表示領域31と、この俯瞰映像表示領域31以外の非俯瞰映像表示領域32とに大別される。そして、非俯瞰映像表示領域32には、自車両前方のカメラ装置11によって撮像された映像や自車両後方のカメラ装置14によって撮像された映像等を表示する。これにより、ディスプレイ22は、運転者にとって見やすく且つ駐車を行う際に必要な映像を表示することが可能となる。ただし、自車両の前進時に自車両前方のカメラ装置11によって撮像された映像を表示するとともに、自車両の後退時には、自車両後方のカメラ装置14によって撮像された映像に切り替えて表示する構成を考えると、これらカメラ装置11,14は、通常、自車両に対する取り付け高さや取り付け角度が同程度であることから、その映像が区別しにくいものとなることが多い。そのため、ディスプレイ22には、いずれの映像であるかを識別するための情報を表示するようにしてもよい。
【0012】
[駐車支援装置の動作]
このような各部を備える駐車支援装置は、作成した俯瞰映像上に、駐車を行う際の後退開始位置、目標駐車位置、駐車途中位置、操舵連動線、及び理想進路予想線等を重畳描画し、目標駐車位置に対する駐車を支援する情報を運転者に提示する。以下、縦列駐車を行う場合を例にとり、駐車支援装置の処理について説明する。
【0013】
図4に示すように、駐車開始位置41に自車両を停車させ、自車両左側に位置する目標駐車位置44に向かって縦列駐車を行う場合を考える。かかる縦列駐車を行うにあたっては、第1のステップとして、ある一定量ステアリングを回転操舵して、駐車開始位置41に位置する自車両の右側に半径R1の距離だけ離れた位置にある第1の回転中心45を中心とし、後退開始位置42に自車両を移動させる。続いて、自車両を後退開始位置42に移動させた後、第2のステップとして、ある一定量ステアリングを回転操舵して、後退開始位置42に位置する自車両の左側にある位置であって第1の回転中心45から半径R2の距離だけ離れた位置にある第2の回転中心46を中心とし、駐車途中位置43に自車両を移動させる。最後に、第3のステップとして、ある一定量ステアリングを回転操舵して、駐車途中位置43に位置する自車両の右側にある位置であって目標駐車位置44の左縁から半径R3の距離だけ離れた位置にある第3の回転中心47を中心とし、目標駐車位置44に自車両を移動させる。これにより、自車両は、縦列駐車を完了させることができる。
【0014】
ここで、操舵連動線や理想進路予想線を含む駐車開始位置41から目標駐車位置44に至る駐車経路と、後退開始位置42、駐車途中位置43、及び目標駐車位置44を示す枠線とを全て俯瞰映像上に表示しようとすると、駐車に必要な経路が全て把握できる反面、多数の線が表示されてしまい、特に駐車が不得手な運転者にとっては非常にわかりにくくなるという問題が生じる。
【0015】
そこで、駐車支援装置においては、各駐車位置について、次に移動すべき目標の停止位置と、そこに到達するための目標舵角とを俯瞰映像上に表示し、駐車の支援を簡便に行うとともに、運転者が容易に経路を理解可能とする情報を提示する。
【0016】
[第1のステップにおける表示内容]
まず、上述した第1のステップとして駐車開始位置41に位置する自車両を前進させて後退開始位置42に移動させる際に、ディスプレイ22に表示する線について説明する。
【0017】
このとき、画像処理コントローラ21は、目標駐車位置44に自車両を誘導するための駐車軌跡を算出すると、例えば図5に示すように、次に移動すべき目標の停車位置である後退開始位置42の枠線と、この後退開始位置42に至る理想進路予想線51と、自車両のステアリング舵角に連動した操舵連動線52とを、俯瞰映像上に表示させるように、これらの情報を作成する。なお、図5においては、ステアリングが中立の状態であり、操舵連動線52が自車両前方に直線状に延びている様子を示しているが、この直線状の操舵連動線52は、ステアリングの操舵とともに変化する。すなわち、画像処理コントローラ21は、ステアリングの操舵に応じて、操舵連動線52を算出する。自車両は、この図5に示す状態から、運転者がステアリングを右方向に操舵して、操舵連動線52が理想進路予想線51に重なった状態でステアリングを固定して前進すると、後退開始位置42に向かって適切に移動することができる。
【0018】
駐車支援装置においては、第1のステップの場合には、このような情報をディスプレイ22に表示させることにより、ステアリングをどの程度操舵すればよいのか、及び、どの位置が後退開始位置42になるのかといった駐車の支援となる情報を、運転者に明確に把握させることができる。
【0019】
なお、目標駐車位置44については、駐車の全体経路を運転者にイメージさせるためには必要な枠線であるが、常に他の線と同時に表示されていると、運転者に次に移動すべき目標の停車位置の枠線と紛らわしく感じさせることもある。そこで、駐車支援装置においては、画像処理コントローラ21の制御のもとに、自車両停止中は目標駐車位置44の枠線をディスプレイ22に表示する一方で、自車両移動中は当該目標駐車位置44の枠線をディスプレイ22に表示させない等、表示の切り替えを行うようにしてもよい。
【0020】
また、画像処理コントローラ21は、図5に示すような理想進路予想線51及びステアリング操舵に連動した操舵連動線52の表示に代えて、図6に示すように、後退開始位置42に至る理想的なタイヤの切れ角を示す理想タイヤ切れ角線61と、ステアリング操舵に連動したタイヤの切れ角を示すタイヤ切れ角連動線62とを、俯瞰映像上に表示させるように、これらの情報を作成するようにしてもよい。これにより、駐車支援装置においては、表示する線の長さが図5に示した場合に比べて短くて済み、必要な情報をシンプルに運転者に見せることができる。
【0021】
さらに、図5では、自車両の後輪の軌跡が変化する様子を表示するものとして説明したが、画像処理コントローラ21は、自車両前端の角度の軌跡や矢印等のアイコン表示により、ステアリングの切れ角を表現するようにしてもよい。
【0022】
すなわち、駐車支援装置においては、後退開始位置42に至るまでにステアリングをどの程度操舵すればよいのか、及び、現在ステアリングをどの程度操舵しているのかといった情報を運転者に把握させることができ、且つ、自車両が前方に移動することを運転者に把握させることができる表示内容であれば、任意の情報をディスプレイ22に表示させればよい。
【0023】
[第2のステップにおける表示内容]
つぎに、上述した第2のステップとして後退開始位置42に位置する自車両を後退させて駐車途中位置43に移動させる際に、ディスプレイ22に表示する線について説明する。
【0024】
このとき、画像処理コントローラ21は、例えば図7に示すように、次に移動すべき目標の停車位置である駐車途中位置43の枠線と、この駐車途中位置43に至る理想進路予想線71と、自車両のステアリング舵角に連動した操舵連動線72とを、俯瞰映像上に表示させるように、これらの情報を作成する。このとき、画像処理コントローラ21は、自車両前進時に表示した、先に図5に示したような理想進路予想線51及び操舵連動線52を表現するマークとは異なるマークを用いて、理想進路予想線71及び操舵連動線72を俯瞰映像上に表示させるように、これらの情報を作成する。なお、図7においては、自車両が後退開始位置42に停車した状態であり、ステアリングがある一定量右方向に操舵されていることから、操舵連動線72は右方向に弧を描くように表示されている様子を示しているが、この弧状の操舵連動線72も、ステアリングの操舵とともに変化する。すなわち、画像処理コントローラ21は、ステアリングの操舵に応じて、操舵連動線72を算出する。自車両は、この図7に示す状態から、操舵連動線72が理想進路予想線71に重なるように運転者がステアリングを左方向に操舵して、これら操舵連動線72と理想進路予想線71とが重なった状態でステアリングを固定して後退すると、駐車途中位置43に向かって適切に移動することができる。
【0025】
駐車支援装置においては、第2のステップの場合には、自車両前進時には次に移動すべき目標の停車位置の枠線と操舵連動線及び理想進路予想線とを所定のマークを用いてディスプレイ22に表示させ、自車両後退時には次に移動すべき目標の停車位置の枠線と操舵連動線及び理想進路予想線とを、前進時とは異なるマークを用いてディスプレイ22に表示させることにより、画面表示をシンプルに構成することができ、且つ、駐車途中位置43に至るまでの駐車の経路を運転者が想起しやすい情報を提示することができる。また、駐車支援装置においては、前進と後退との区別や、ステアリングをどの程度操舵しているのかといった駐車の支援となる情報を、運転者に明確に把握させることができる。
【0026】
また、画像処理コントローラ21は、図7に示すような理想進路予想線71及びステアリング操舵に連動した操舵連動線72の表示に代えて、特に図示しないが、先に図6に示したような理想タイヤ切れ角線やタイヤ切れ角連動線を俯瞰映像上に表示させるように、これらの情報を作成するようにしてもよい。
【0027】
さらに、図7では、自車両の後輪の軌跡が変化する様子を表示するものとして説明したが、画像処理コントローラ21は、自車両後端の角度の軌跡や矢印等のアイコン表示により、ステアリングの切れ角を表現するようにしてもよい。
【0028】
[第3のステップにおける表示内容]
最後に、上述した第3のステップとして駐車途中位置43に位置する自車両を後退させて目標駐車位置44に移動させる際に、ディスプレイ22に表示する線について説明する。
【0029】
このとき、画像処理コントローラ21は、図7を用いて説明した表示内容と略同様の表示内容となるように情報を作成する。すなわち、画像処理コントローラ21は、例えば図8に示すように、次に移動すべき目標の停車位置である目標駐車位置44の枠線と、この目標駐車位置44に至る理想進路予想線81と、自車両のステアリング舵角に連動した操舵連動線82とを、俯瞰映像上に表示させるように、これらの情報を作成する。このとき、画像処理コントローラ21は、自車両前進時に表示した、先に図5に示したような理想進路予想線51及び操舵連動線52を表現するマークとは異なるマークを用いて、理想進路予想線81及び操舵連動線82を俯瞰映像上に表示させるように、これらの情報を作成する。なお、図8においては、自車両が駐車途中位置43に停車した状態であり、ステアリングがある一定量左方向に操舵されていることから、操舵連動線82は左方向に弧を描くように表示されている様子を示しているが、この弧状の操舵連動線82も、ステアリングの操舵とともに変化する。すなわち、画像処理コントローラ21は、ステアリングの操舵に応じて、操舵連動線82を算出する。
【0030】
自車両は、この図8に示す状態から、図9(a)に示すように、操舵連動線82が理想進路予想線81に重なるように運転者がステアリングを右方向に操舵して、これら操舵連動線82と理想進路予想線81とが重なった状態で、図9(b)に示すように、ステアリングを固定して後退すると、図9(c)に示すように、目標駐車位置44に向かって移動し、最終的には図9(d)に示すように、目標駐車位置44に到達することになる。
【0031】
なお、画像処理コントローラ21は、図9(d)に示すように、自車両の位置を示すマークと目標駐車位置44とが略重複すると、目標駐車位置44を消去する。このように目標駐車位置44を消去するのは、目標駐車位置44の前後には他車両が停止している可能性があることや、現実の地面上に白線が描画されている可能性があることに起因して、目標駐車位置44を表示する必要性が低いためである。
【0032】
駐車支援装置においては、第3のステップの場合には、このような情報をディスプレイ22に表示させることにより、画面表示をシンプルに構成することができ、且つ、目標駐車位置44に至るまでの駐車の経路を運転者が想起しやすい情報を提示することができる。また、駐車支援装置においては、前進と後退との区別や、ステアリングをどの程度操舵しているのかといった駐車の支援となる情報を、運転者に明確に把握させることができる。
【0033】
なお、画像処理コントローラ21は、上述したように、図8に示すような理想進路予想線81及びステアリング操舵に連動した操舵連動線82の表示に代えて、特に図示しないが、先に図6に示したような理想タイヤ切れ角線やタイヤ切れ角連動線を俯瞰映像上に表示させるように、これらの情報を作成するようにしてもよい。
【0034】
また、図8及び図9では、自車両の後輪の軌跡が変化する様子を表示するものとして説明したが、画像処理コントローラ21は、自車両後端の角度の軌跡や矢印等のアイコン表示により、ステアリングの切れ角を表現するようにしてもよい。
【0035】
このように、駐車支援装置においては、駐車の各段階毎に、次に移動すべき目標の停車位置と、操舵連動線及び理想進路予想線を俯瞰映像上に表示することにより、いずれの線に合わせてステアリングを操舵したり自車両を移動させたりすればよいのかを運転者が容易に把握することができる。そのため、駐車支援装置においては、駐車の全体経路のイメージを保有したまま、見やすい画面表示を提供し、且つ、前進と後退との区別やステアリングの操舵状態を運転者に明確且つ容易に把握させることができる。特に、駐車支援装置においては、全ての線を同時にディスプレイ22に表示しないことから、当該ディスプレイ22上での障害物の見え方に大きな歪みが生じたり、理想進路予想線や操舵連動線等の駐車軌跡線や駐車位置の枠線等が非常に小さくなったりして、視認しにくくなるのを防止することができる。
【0036】
また、駐車支援装置においては、画像処理コントローラ21の制御のもとに、俯瞰映像上に表示する理想進路予想線や操舵連動線を示すマークを、自車両前進時と後退時とで異なるように表示させることにより、俯瞰映像表示領域31に表示される俯瞰映像が固定であり、また、非俯瞰映像表示領域32に表示される映像が自車両前方のカメラ装置11によって撮像されたものであるか自車両後方のカメラ装置14によって撮像されたものであるかを区別しにくい場合であっても、現在自車両が前進しているのか後退しているのかを運転者が瞬時に判断することができる。
【0037】
なお、上述の実施形態では、自車両左側に位置する目標駐車位置44に向かって縦列駐車を行う場合について説明したが、駐車支援装置は、自車両右側に位置する目標駐車位置に向かって縦列駐車を行う場合にも同様に適用することができ、また、自車両の左側又は右側に位置する目標駐車位置に向かって並列駐車を行う場合にも同様に適用することができる。
【0038】
また、駐車支援装置においては、駐車を容易に行わせるために、画像処理コントローラ21の制御のもとに、俯瞰映像上に表示する枠線を、後退開始位置42と駐車途中位置43とについては、自車両の車幅よりも広い幅でディスプレイ22に表示し、目標駐車位置44については、自車両の車幅と同幅でディスプレイ22に表示するのが望ましい。後退開始位置42及び駐車途中位置43を自車両の車幅よりも広い幅でディスプレイ22に表示するのは、次に移動すべき目標の後退開始位置42及び駐車途中位置43に自車両を移動させる際に、自車両と同幅の枠線に一致するように停止させるよりも、枠線内に停車させる方が運転者にとってわかりやすいためである。一方、目標駐車位置44を自車両の車幅と同幅でディスプレイ22に表示するのは、目標駐車位置44は駐車位置の設定時にも利用するものであり、自車両と同幅にしないと運転者にとってわかりにくいためである。また、かかる表示を行う理由としては、後退開始位置42及び駐車途中位置43に自車両を移動させる場合には、現実の地面上に描画されている枠線や周囲の他車両をターゲットとして自車両を移動させることができず、その位置に自車両を移動させるまで、後退開始位置42及び駐車途中位置43を示す枠線を表示し続けなければならないのに対して、目標駐車位置44に自車両を移動させる場合には、現実の地面上に描画されている枠線や周囲の他車両をターゲットとして自車両を移動させることができるため、その位置に自車両が近付いた場合には周囲との位置関係をわかりやすくした方が駐車を行いやすくなり、目標駐車位置44を示す枠線の表示を消去してもよいためである。
【0039】
さらに、駐車支援装置においては、自車両のシフト信号と車速Vとに応じて、表示内容を変更するようにしてもよい。具体的には、画像処理コントローラ21は、シフト信号がリバース(後退)以外であり、車速がV>0の場合には、次に移動すべき目標の停車位置の枠線と、ステアリング操舵に連動した操舵連動線やタイヤ切れ角連動線等の駐車軌跡線とをディスプレイ22に表示させ、車速がV=0の場合には、これら情報に加えて目標駐車位置の枠線をディスプレイ22に表示させる。また、画像処理コントローラ21は、シフト信号がリバースであり、車速がV>0の場合には、次に移動すべき目標の停車位置の枠線と、ステアリング操舵に連動した操舵連動線やタイヤ切れ角連動線等の駐車軌跡線とをディスプレイ22に表示させ、車速がV=0の場合には、これら情報に加えて、目標駐車位置の枠線と、理想進路予想線や理想タイヤ切れ角線等の操舵指示の軌跡線とをディスプレイ22に表示させる。このように、駐車支援装置においては、車速がV=0の場合に目標駐車位置44の枠線をディスプレイ22に表示させることにより、現在自車両が駐車経路のどの段階にいるのかを運転者に把握させやすくすることができる。また、画像処理コントローラ21は、車速VがV=0からV>0に遷移して自車両が移動を開始した場合には、目標駐車位置44の枠線をディスプレイ22に所定時間だけ表示させた後、消去するのが望ましい。これにより、駐車支援装置においては、自車両の移動開始後すぐに目標駐車位置44の枠線がディスプレイ22から消えてしまうことによる運転者の混乱を防止することができる。
【0040】
さらにまた、駐車支援装置においては、自車両が次に移動すべき目標の停車位置に近付くにしたがって、画像処理コントローラ21の制御のもとに、操舵連動線の長さを短くしてディスプレイ22に表示させるようにしてもよい。これにより、駐車支援装置においては、次に移動すべき目標の停車位置との距離を測ることができるとともに、表示される操舵連動線の表示を単純化することによって運転者に煩雑な感を与えるのを防止することができる。
【0041】
また、駐車支援装置においては、画像処理コントローラ21の制御のもとに、次に自車両が移動すべき目標の停車位置又は目標駐車位置44に自車両が近付いている旨を音又は映像以外の手段によって運転者に報知させるのが望ましい。これにより、駐車支援装置においては、周囲状況を運転者自身が目視によって確認している場合であっても、現在自車両が駐車経路のどの段階にいるのかを運転者に判断させることができる。
【0042】
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態として示した駐車支援装置においては、画像処理コントローラ21の制御のもとに、複数のカメラ装置11,12,13,14によって撮像された映像に基づいて、自車両の真上から撮像した映像に視点変換した俯瞰映像を作成し、作成した俯瞰映像上に、目標駐車位置44に自車両を誘導するための駐車軌跡のうち、駐車の各段階毎に、次に自車両が移動すべき目標の停車位置と、当該停車位置までの駐車軌跡線とをディスプレイ22に表示させる。これにより、この駐車支援装置においては、駐車の全体経路のイメージを保有したまま、見やすい画面表示を提供することができ、運転者が操舵すべき内容を容易に把握することが可能となる。
【0043】
また、この駐車支援装置においては、画像処理コントローラ21の制御のもとに、駐車軌跡線として、ステアリング操舵に連動した線である操舵連動線と、次に自車両が移動すべき目標の停車位置に至る理想的な進路予想線である理想進路予想線とをディスプレイ22に表示させることにより、いずれの線に合わせてステアリングを操舵したり自車両を移動させたりすればよいのかを運転者が容易に把握することができる。
【0044】
さらに、この駐車支援装置においては、画像処理コントローラ21の制御のもとに、駐車軌跡線として、ステアリング操舵に連動したタイヤの切れ角を示すタイヤ切れ角連動線と、次に自車両が移動すべき目標の停車位置に至る理想的なタイヤの切れ角を示す理想タイヤ切れ角線とをディスプレイ22に表示させることにより、ディスプレイ22に表示する線の長さが短くて済み、必要な情報をシンプルに運転者に見せることができる上、次に自車両が移動すべき目標の停車位置とステアリングの操舵量とを運転者が明確に把握することができ、駐車行為を容易にさせることができる。
【0045】
さらにまた、この駐車支援装置においては、画像処理コントローラ21の制御のもとに、自車両のシフト信号がリバース以外であり、車速VがV>0の場合には、次に自車両が移動すべき目標の停車位置と、ステアリング操舵に連動した駐車軌跡線とをディスプレイ22に表示させ、車速VがV=0の場合には、次に自車両が移動すべき目標の停車位置と、ステアリング操舵に連動した駐車軌跡線と、目標駐車位置44とをディスプレイ22に表示させる。また、この駐車支援装置においては、画像処理コントローラ21の制御のもとに、自車両のシフト信号がリバースであり、車速VがV>0の場合には、次に自車両が移動すべき目標の停車位置と、ステアリング操舵に連動した駐車軌跡線とをディスプレイ22に表示させ、車速VがV=0の場合には、次に自車両が移動すべき目標の停車位置と、操舵指示の駐車軌跡線と、目標駐車位置44とをディスプレイ22に表示させる。これにより、この駐車支援装置においては、車速がV=0の場合に目標駐車位置44の枠線をディスプレイ22に表示させることにより、現在自車両が駐車経路のどの段階にいるのかを運転者に把握させやすくすることができる。
【0046】
また、この駐車支援装置においては、画像処理コントローラ21の制御のもとに、車速VがV=0からV>0に遷移して自車両が移動を開始した場合には、目標駐車位置44をディスプレイ22に所定時間だけ表示させた後、消去することにより、自車両の移動開始後すぐに目標駐車位置44の枠線がディスプレイ22から消えてしまうことによる運転者の混乱を防止することができる。
【0047】
さらに、この駐車支援装置においては、画像処理コントローラ21の制御のもとに、次に自車両が移動すべき目標の停車位置を、当該自車両の車幅よりも広い幅でディスプレイ22に表示させ、目標駐車位置44を、当該自車両の車幅と同幅でディスプレイ22に表示させることにより、運転者にとって極めてわかりやすい画面表示を提供することができる。
【0048】
さらにまた、この駐車支援装置においては、画像処理コントローラ21の制御のもとに、次に自車両が移動すべき目標の停車位置が目標駐車位置44である場合には、当該目標駐車位置44に自車両が近付いたときに、ディスプレイ22に表示されている当該目標駐車位置44を消去することにより、現実の地面上に描画されている枠線や周囲の他車両と自車両との位置関係を運転者に明確に把握させることができ、駐車行為を容易にさせることができる。
【0049】
また、この駐車支援装置においては、画像処理コントローラ21の制御のもとに、次に自車両が移動すべき目標の停車位置に当該自車両が近付くにしたがって、駐車軌跡線のうち、ステアリング操舵に連動した線である操舵連動線の長さを短くしてディスプレイ22に表示させることにより、次に移動すべき目標の停車位置との距離を測ることができるとともに、表示される操舵連動線の表示を単純化することによって運転者に煩雑な感を与えるのを防止することができる。
【0050】
さらに、この駐車支援装置においては、画像処理コントローラ21の制御のもとに、次に自車両が移動すべき目標の停車位置又は目標駐車位置44に当該自車両が近付いている旨を音又は映像以外の手段によって運転者に報知することにより、周囲状況を運転者自身が目視によって確認している場合であっても、現在自車両が駐車経路のどの段階にいるのかを運転者に判断させることができる。
【0051】
また、この駐車支援装置においては、画像処理コントローラ21の制御のもとに、駐車軌跡線を表現するマークを自車両の前進時と後退時とで異なるようにディスプレイ22に表示させるので、前進と後退との区別を運転者に明確且つ容易に把握させることができる。
【0052】
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施の形態に限定されることはなく、この実施の形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態として示す駐車支援装置の構成について示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態として示す駐車支援装置におけるカメラ装置の自車両に対する取り付け例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態として示す駐車支援装置におけるディスプレイの表示例を示す図である。
【図4】自車両左側に位置する目標駐車位置に向かって縦列駐車を行う場合に本発明の実施形態として示す駐車支援装置において算出される駐車軌跡の例を示す図である。
【図5】駐車開始位置に位置する自車両を前進させて後退開始位置に移動させる際にディスプレイに表示される表示例を示す図である。
【図6】駐車開始位置に位置する自車両を前進させて後退開始位置に移動させる際にディスプレイに表示される他の表示例を示す図である。
【図7】後退開始位置に位置する自車両を後退させて駐車途中位置に移動させる際にディスプレイに表示される表示例を示す図である。
【図8】駐車途中位置に位置する自車両を後退させて目標駐車位置に移動させる際にディスプレイに表示される表示例を示す図である。
【図9】図8に示す状態において、自車両の移動にともなって変化する理想進路予想線の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
11,12,13,14 カメラ装置
21 画像処理コントローラ
22 ディスプレイ
31 俯瞰映像表示領域
32 非俯瞰映像表示領域
41 駐車開始位置
42 後退開始位置
43 駐車途中位置
44 目標駐車位置
45 第1の回転中心
46 第2の回転中心
47 第3の回転中心
51,71,81 理想進路予想線
52,72,82 操舵連動線
61 理想タイヤ切れ角線
62 タイヤ切れ角連動線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両を所定の目標駐車位置に駐車させるために運転者に操作の支援となる情報を提示する駐車支援装置において、
前記自車両周囲の映像を撮像する複数の撮像手段と、
前記複数の撮像手段によって撮像された映像に基づいて、前記自車両の真上から撮像した映像に視点変換した俯瞰映像を作成し、作成した前記俯瞰映像上に、前記目標駐車位置に自車両を誘導するための駐車軌跡のうち、駐車の各段階毎に、次に前記自車両が移動すべき目標の停車位置と、当該停車位置までの駐車軌跡線とを所定の表示手段に表示させる画像処理制御手段と
を備えることを特徴とする駐車支援装置。
【請求項2】
前記画像処理制御手段は、前記駐車軌跡線として、ステアリング操舵に連動した線である操舵連動線と、次に前記自車両が移動すべき目標の停車位置に至る理想的な進路予想線である理想進路予想線とを前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記画像処理制御手段は、前記駐車軌跡線として、ステアリング操舵に連動したタイヤの切れ角を示すタイヤ切れ角連動線と、次に前記自車両が移動すべき目標の停車位置に至る理想的なタイヤの切れ角を示す理想タイヤ切れ角線とを前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記画像処理制御手段は、
前記自車両のシフト信号がリバース以外であり、車速VがV>0の場合には、次に前記自車両が移動すべき目標の停車位置と、ステアリング操舵に連動した駐車軌跡線とを前記表示手段に表示させ、車速VがV=0の場合には、次に前記自車両が移動すべき目標の停車位置と、ステアリング操舵に連動した駐車軌跡線と、前記目標駐車位置とを前記表示手段に表示させ、
前記自車両のシフト信号がリバースであり、車速VがV>0の場合には、次に前記自車両が移動すべき目標の停車位置と、ステアリング操舵に連動した駐車軌跡線とを前記表示手段に表示させ、車速VがV=0の場合には、次に前記自車両が移動すべき目標の停車位置と、操舵指示の駐車軌跡線と、前記目標駐車位置とを前記表示手段に表示させること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記画像処理制御手段は、車速VがV=0からV>0に遷移して前記自車両が移動を開始した場合には、前記目標駐車位置を前記表示手段に所定時間だけ表示させた後、消去することを特徴とする請求項4記載の駐車支援装置。
【請求項6】
前記画像処理制御手段は、次に前記自車両が移動すべき目標の停車位置を、当該自車両の車幅よりも広い幅で前記表示手段に表示させ、前記目標駐車位置を、当該自車両の車幅と同幅で前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項記載の駐車支援装置。
【請求項7】
前記画像処理制御手段は、次に前記自車両が移動すべき目標の停車位置が前記目標駐車位置である場合には、当該目標駐車位置に前記自車両が近付いたときに、前記表示手段に表示されている当該目標駐車位置を消去することを特徴とする請求項1乃至請求項6のうちいずれか1項記載の駐車支援装置。
【請求項8】
前記画像処理制御手段は、次に前記自車両が移動すべき目標の停車位置に当該自車両が近付くにしたがって、前記駐車軌跡線のうち、ステアリング操舵に連動した線である操舵連動線の長さを短くして前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1乃至請求項7のうちいずれか1項記載の駐車支援装置。
【請求項9】
前記画像処理制御手段は、次に前記自車両が移動すべき目標の停車位置又は前記目標駐車位置に当該自車両が近付いている旨を音又は映像以外の手段によって運転者に報知させることを特徴とする請求項1乃至請求項7のうちいずれか1項記載の駐車支援装置。
【請求項10】
前記画像処理制御手段は、前記駐車軌跡線を表現するマークを、前記自車両の前進時と後退時とで異なるように前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1乃至請求項9のうちいずれか1項に記載の駐車支援装置。
【請求項11】
自車両を所定の目標駐車位置に駐車させるために運転者に操作の支援となる情報を提示する駐車支援方法において、
前記自車両周囲の映像を撮像する複数の撮像手段によって撮像された映像に基づいて、前記自車両の真上から撮像した映像に視点変換した俯瞰映像を作成する俯瞰映像作成工程と、
前記俯瞰映像作成工程にて作成された前記俯瞰映像上に、前記目標駐車位置に自車両を誘導するための駐車軌跡のうち、駐車の各段階毎に、次に前記自車両が移動すべき目標の停車位置と、当該停車位置までの駐車軌跡線とを所定の表示手段に表示させる表示工程と
を有することを特徴とする駐車支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−298178(P2009−298178A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−151473(P2008−151473)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】