説明

駐車支援装置

【課題】駐車スペースに自車両を一層適切に駐車させることができる駐車支援装置を提供する。
【解決手段】駐車支援装置では、自車両10と駐車スペースSとの相対位置関係が算出され、算出された相対位置関係に基づいて自車両10の前後方向10dが駐車スペースSの前後方向Sdに沿う方向となるように操舵制御が実施される。つまり、運転者の運転と強調させた自車両10の操舵制御が行われ、駐車スペースSの前後方向Sdに対し自車両10の前後方向10dが平行になるようにして駐車されることとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の自車両に用いられる駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の駐車支援装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。この駐車支援装置では、自車両の周囲の障害物の状況に応じて、2輪操舵による自動駐車制御と4輪操舵による自動駐車制御とを使い分けることが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−114274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、近年の駐車支援装置では、駐車スペースに自車両を一層適切に駐車させることが望まれる。この点、上記の駐車支援装置では、前述のように4輪操舵による自動駐車制御が行われるものの、未だ改善の余地は大きい。
【0005】
そこで、本発明は、駐車スペースに自車両を一層適切に駐車させることができる駐車支援装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る駐車支援装置は、自車両の駐車スペースへの駐車支援を行うための駐車支援装置であって、自車両と駐車スペースとの相対位置関係を算出する位置関係算出手段と、位置関係算出手段で算出した相対位置関係に基づいて駐車支援を実施する支援実施手段と、を備え、支援実施手段は、自車両の前後方向が駐車スペースの前後方向に沿う方向となるように操舵制御を実施することを特徴とする。
【0007】
この駐車支援装置では、自車両を駐車スペースに駐車させる際、自車両の前後方向が駐車スペースの前後方向に沿う方向となるよう操舵制御が実施される。つまり、運転者の運転と強調させた自車両の操舵制御が行われ、駐車スペースの前後方向に対し自車両の前後方向が平行になるようにして駐車されることとなる。その結果、駐車スペースに自車両を一層適切に駐車させることが可能となる。
【0008】
また、上記作用効果を好適に奏する構成として、具体的には、支援実施手段は、自車両の後輪に対して操舵制御を実施する構成が挙げられる。
【0009】
また、支援実施手段は、自車両と駐車スペースとの距離が所定距離以下の場合に、操舵制御を実施することが好ましい。この場合、自車両と駐車スペースとの距離が所定距離以下であると運転者の駐車意図が認められることから、運転者の意図に反して駐車支援が実施されるのを抑制することができる。
【0010】
また、支援実施手段は、自車両の前後方向と駐車スペースの前後方向との間の角度が所定角度以下の場合に、操舵制御を実施することが好ましい。この場合、自車両の前後方向と駐車スペースの前後方向との間の角度が所定角度以下であると運転者の駐車意図が認められることから、運転者の意図に反して駐車支援が実施されるのを抑制することができる。
【0011】
また、支援実施手段は、自車両と駐車スペースとの相対位置関係が操舵制御を実施可能な限界位置関係に達した場合に、前記操舵制御を実施することが好ましい。この場合、自車両の状況に応じた好適な駐車支援を実施することができる。
【0012】
また、支援実施手段は、自車両の駐車が完了する直前に車輪の向きを車両の前後方向へ戻す制御を実施する場合がある。
【0013】
このとき、支援実施手段は、自車両の周囲の障害物状況及び自車両の運転者の運転状況の少なくとも一方に応じて、車輪の向きを戻す制御を中断することが好ましい。この場合、安全性を一層向上させた駐車支援を実施することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、駐車スペースに自車両を一層適切に駐車させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る駐車支援装置を示すブロック図である。
【図2】図1の駐車支援装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】図1の駐車支援装置の動作を説明するための図である。
【図4】図3の続きを示す図である。
【図5】(a)は図4の続きを示す図であり、(b)は図5(a)の続きを示す図である。
【図6】図5(b)の続きを示す図である。
【図7】図6の続きを示す図である。
【図8】(a)は図7の続きを示す図であり、(b)は図8(a)の続きを示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る運転支援装置を示すブロック図である。
【図10】図9の運転支援装置の支援限界マップを示す図である。
【図11】図9の運転支援装置において認識される駐車スペースの後端位置の補正を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る駐車支援装置を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の駐車支援装置1は、自動車等の自車両10に搭載され、駐車スペースS(図3参照)への駐車支援を行うものである。本実施形態の自車両10は、4輪操舵システム(4WS:4Wheel Steering)を具備しており、運転者の操舵に応じて前輪と後輪との両方が転舵可能とされている。
【0018】
この駐車支援装置1は、カメラ2、運転操作部3、操舵アクチュエータ4及びECU(Electronic Control Unit)5を備えている。カメラ2は、駐車スペースSを認識するためのものである。ここでのカメラ2は、白線認識カメラとしてのバックカメラが用いられており、自車両10の後方側を撮像して白線11(図3参照)を認識する。運転操作部3は、自車両10の運転者が運転操作を行うためのものであり、例えばハンドル、アクセル、ブレーキ等を含んでいる。
【0019】
操舵アクチュエータ4は、前輪操舵アクチュエータ4a及び後輪操舵アクチュエータ4bを含んで構成されている。前輪操舵アクチュエータ4aは自車両10の前輪に操舵力を付与して該前輪を操舵する。後輪操舵アクチュエータ4bは、自車両10の後輪に操舵力を付与して該後輪を操舵する。ECU5は、カメラ2による白線11の認識結果に基づき自車両10と駐車スペースSとの相対位置関係を算出し、この相対位置関係に基づき操舵アクチュエータ4を制御し駐車支援を実施する(詳しくは、後述)。
【0020】
次に、上述した駐車支援装置1の動作について、自車両10を駐車スペースSに後退駐車する場合を例示して説明する。
【0021】
図2は、図1の駐車支援装置の動作を示すフローチャートであり、図3〜8は、図1の駐車支援装置の動作を説明するための図である。なお、図3〜8に示す例では、駐車スペースSは、平面視において矩形状外形を呈しており、その一辺部分(紙面上側)が出入口となっている。また、駐車スペースSは、該駐車スペースSを画成する駐車枠として白線11を有している。ここでの白線11は、駐車スペースSの両側(サイド)のそれぞれにて前後方向に延在し、その延在方向が駐車スペースSの前後方向Sdとなっている。
【0022】
図2に示すように、駐車支援装置1を用いて自車両10が駐車スペースSに後退駐車される場合、まず、自車両10の後退に伴ってカメラ2により白線11が認識され(S1:図3参照)、そして、駐車支援が開始される(S2)。この上記S2では、例えばHMI装置上のメインS/Wが押されたことが条件とされ、手動で駐車支援が開始される場合がある。又は、例えば以下に示すように、自動で駐車支援が開始される場合がある。
【0023】
すなわち、駐車スペースSと自車両10との距離Lが一定距離(所定距離)よりも大きいとき、自車両10の挙動が運転者の意図的な操作と判断され、駐車支援が開始されない。他方、駐車スペースSと自車両10との距離Lが一定距離以下のとき、駐車スペースSへの駐車意図があると判断され、駐車支援が開始される(図4参照)。
【0024】
或いは、駐車スペースSの前後方向Sdと自車両10の前後方向10dとの間の角度αが一定角度(所定角度)よりも大きいとき(角度αが深いとき)、自車両10の挙動が運転者の意図的な操作と判断され、駐車支援が開始されない(図5(a)参照)。他方、前後方向Sdと前後方向10dとの間の角度αが一定角度以下のとき(角度αが浅いとき)、駐車スペースSへの駐車意図があると判断され、駐車支援が開始される(図5(b)参照)。
【0025】
続いて、ECU5により、白線11の認識結果に基づき白線11と自車両10との相対位置関係が算出される(S3)。その後、ECU5により、自車両10の前後方向10dが駐車スペースSの前後方向Sdに対し平行(沿う方向)となるように、後輪操舵アクチュエータ4bにおける制御値の補正値が算出される(S3,S4)。
【0026】
続いて、算出された補正値と運転操作部3による運転操作とが互いに協調するように操舵制御が実施される(S5)。その結果、運転者の運転と強調させた自車両10の操舵制御(ヨー角制御)が行われる。つまり、図6に示すように、自車両10の後輪13Rが適宜操舵され、前後方向Sd,10dが互いに平行になるようにして自車両10が後退される。そして、図7に示すように、後輪13Rが適宜制御され、前後方向Sd,10dが互いに平行のままで自車両10が後退されることとなる。
【0027】
続いて、自車両10の駐車完了の直前にて、自車両10を停車させるべく運転者がブレーキを作動させたとき、車輪13F,13Rの向きを自車両10の前後方向10dへ戻す制御が実行される(S6)。具体的には、車輪13F,13Rの向きが前後方向10dとなる距離分ゆっくり後退されつつ該車輪13F,13Rの向きが前後方向10dとなるよう操舵された後、停止される(図8(a),(b)参照)。
【0028】
このとき、自車両10の周囲の障害物状況及び自車両の運転者の運転状況の少なくとも一方に応じて、車輪13F,13Rの向きを戻す上記制御が中断される。例えば、バックソナーによって障害物が近距離に位置すると判断されたときや、停車の際のブレーキ操作が急であったとき、車輪13F,13Rの向きをそのままにして運転者のブレーキ操作に従って停止される。
【0029】
以上、本実施形態では、自車両10を駐車スペースSに駐車させる際、自車両10の前後方向10dが駐車スペースSの前後方向Sdに沿う方向となるよう操舵制御が実施される。つまり、運転者の運転と強調させた自車両10の操舵制御が行われ、駐車スペースSの前後方向Sdに対し自車両10の前後方向10dが平行になるようにして、自車両10が駐車スペースS内に綺麗に且つ精度よく駐車されることとなる。
【0030】
従って、駐車スペースSに自車両10を一層適切に駐車させることができる。また、運転者と強調して(運転者の介入を容易にして)駐車支援を行うことができ、初期設定の煩雑さもない。よって、操作性の高い駐車支援を実施することが可能となる。
【0031】
なお、本実施形態にあっては、駐車時に駐車スペースS(駐車枠)が認識され、駐車全体だけでなく駐車スペースSに特に注力され、駐車スペースSに合うような駐車支援が行われるものともいえる。
【0032】
また、本実施形態では、上述したように、自車両10と駐車スペースSとの距離Lが一定距離以下の場合、又は、自車両10の前後方向10dと駐車スペースSの前後方向Sdとの間の角度αが一定角度以下の場合、駐車支援としての操舵制御が開始され実施される。よって、運転者の意図に反して駐車支援が実施されるのを抑制することができる。その結果、運転者の意図的な操作(例えば、隣の駐車スペースへの駐車)に対し、駐車支援が誤作動してしまうのを防止できる。なお、ここでの一定距離及び一定角度は、例えば人間工学等に基づき予め求められ設定された所定値とされている。
【0033】
また、本実施形態では、上述したように、自車両10の駐車の完了直前に、車輪13R,13Lの向きを自車両10の前後方向10dへ戻す制御が実施される(上記S6)。よって、駐車後の自車両10の発進時において、自車両10を好適に前進させることができる。
【0034】
ここで、この上記S6においては、上述したように、車輪13R,13Lの向きを戻す制御が自車両10の周囲の障害物状況及び運転者の運転状況に応じて中断される。そのため、安全性を一層向上させた駐車支援を実施することが可能となる。
【0035】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、上記第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0036】
図9は、本発明の第2実施形態に係る運転支援装置を示すブロック図であり、図10は、図9の運転支援装置における支援限界マップを示す図である。図9に示すように、本実施形態の運転支援装置50にあっては、通常の前輪操舵システム(2WS:2Wheel Steering)が搭載され前輪が転舵可能な自車両60に搭載されている。つまり、本実施形態の操舵アクチュエータ4は、前輪操舵アクチュエータ4aのみで構成されている。
【0037】
また、本実施形態では、上記S2において、自車両60の駐車スペースSに対する相対位置関係が、上記操舵制御によって自車両60の前後方向を駐車スペースSの前後方向10dと平行にさせ得る限界の位置関係(以下、「支援限界位置関係」という)になったとき、駐車支援が開始される。
【0038】
具体的には、支援限界位置関係に関する距離L及び角度αについての支援限界マップM(図10参照)が、ECU5に記憶されている。そして、上記S2において、支援限界マップMにおける曲線状の支援限界線51よりも角度α及び距離Lが上方に位置するとき、運転支援が開始されず待機状態となる一方、角度α及び距離Lが支援限界線51に位置したとき、運転支援が開始され、上記S3に移行される。
【0039】
ここで、本実施形態において認識される駐車スペースSの後端位置(以下、単に「後端位置」という)は、駐車スペースSの輪留めの有無によって次のように補正される。すなわち、図11のフローチャートに示すように、駐車行動が開始され、サイドの白線11がカメラ2により認識された場合、該白線11の前端位置に基づいて後端位置が予測され決定される(S11〜S13)。
【0040】
続いて、後方の白線がカメラ2により認識された場合、該白線内に自車両60が収まるよう後端位置が推定され決定される(S14,S15)。そして、輪留めがカメラ2により認識されるまで上記S12〜S14が繰り返される一方、輪留めが認識された場合、この輪留めの位置が後端位置とされる(S16,S17)。なお、このような後端位置の補正は、上記第1実施形態に適用することも可能である。
【0041】
以上、本実施形態においても、駐車スペースSに自車両60を一層適切に駐車させるという上記作用効果が奏される。
【0042】
また、本実施形態では、上述したように、駐車スペースSに対する自車両60の相対位置関係が限界位置関係に達したときに操舵制御が実施される。よって、自車両60の状況に応じた好適な駐車支援を実施することができる。
【0043】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明に係る駐車支援装置は、実施形態に係る上記駐車支援装置1,50に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0044】
例えば、上記S2において駐車支援が開始される条件は、上述したものに限定されるものではなく、例えば、運転者がシフトをバックギア(R:Revers)に入れてハンドルを切ったときに駐車支援が開始される場合もある。なお、かかる駐車支援は、上述したように自動で開始されてもよいし、開始可能であることが運転者に報知されてもよい。
【0045】
以上において、カメラ2及びECU5が位置関係算出手段を構成し、ECU5が支援実施手段を構成する。
【符号の説明】
【0046】
1,50…駐車支援装置、2…カメラ(位置関係算出手段)、5…ECU(位置関係算出手段,支援実施手段)、10,60…自車両、10d…自車両の前後方向、13F…前輪(車輪)、13R…後輪(車輪)、L…距離、S…駐車スペース、Sd…駐車スペースの前後方向、α…角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の駐車スペースへの駐車支援を行うための駐車支援装置であって、
前記自車両と前記駐車スペースとの相対位置関係を算出する位置関係算出手段と、
前記位置関係算出手段で算出した前記相対位置関係に基づいて前記駐車支援を実施する支援実施手段と、を備え、
前記支援実施手段は、前記自車両の前後方向が前記駐車スペースの前後方向に沿う方向となるように操舵制御を実施することを特徴とする駐車支援装置。
【請求項2】
前記支援実施手段は、前記自車両の後輪に対して前記操舵制御を実施することを特徴とする請求項1記載の駐車支援装置。
【請求項3】
前記支援実施手段は、前記自車両と前記駐車スペースとの距離が所定距離以下の場合に、前記操舵制御を実施することを特徴とする請求項1又は2記載の駐車支援装置。
【請求項4】
前記支援実施手段は、前記自車両の前後方向と前記駐車スペースの前後方向との間の角度が所定角度以下の場合に、前記操舵制御を実施することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載の駐車支援装置。
【請求項5】
前記支援実施手段は、前記駐車スペースに対する前記自車両の相対位置関係が前記操舵制御を実施可能な限界位置関係に達した場合に、前記操舵制御を実施することを特徴とする請求項1記載の駐車支援装置。
【請求項6】
前記支援実施手段は、前記自車両の駐車が完了する直前に前記車輪の向きを前記車両の前後方向へ戻す制御を実施することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項記載の駐車支援装置。
【請求項7】
前記支援実施手段は、前記自車両の周囲の障害物状況及び前記自車両の運転者の運転状況の少なくとも一方に応じて、前記車輪の向きを戻す制御を中断することを特徴とする請求項6記載の駐車支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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