説明

駒式ボールねじ

【課題】正作動、逆作動共に作動効率を向上させ、かつ機械損失を低減させたボールねじを提供する。
【解決手段】外周面に螺旋状のねじ溝2が形成されたねじ軸1と、このねじ軸1に外嵌され、内周面に螺旋状のねじ溝4が形成されたナット3と、対向する両ねじ溝により形成される転動路に収容された複数のボール5と、ナット3の外周面に装着され、このナット3のねじ溝4を連結する連結溝8を有する駒部材7とを備えたボールねじにおいて、ボール径dに対するねじ軸1のねじ溝2の深さtの比率が、t/d=0.20〜0.30の範囲に設定されていると共に、ボール5とねじ溝2との初期接触角αが25〜40°の範囲に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電加工機やタッピングセンター等の各種工作機械、あるいは自動車の電動パワーステアリングやアクチュエータ等に使用されるボールねじに関し、特に、作動時の摩擦効率向上を図ったボールねじに関する。
【背景技術】
【0002】
ボールねじは、外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、このねじ軸に外嵌され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、対向する両ねじ溝により形成された転動路に収容された複数のボールと、転動路を周回経路とする循環機構とを備え、例えば、ナットを回転運動させることでねじ軸を直線運動させる運動変換機構として使用されている。
【0003】
一般的にボールねじは、ボールの循環機構が異なる種々の形式のものがあり、その一つに駒式と呼ばれるものがある。この駒式ボールねじは、ねじ溝の連結路を有し、転動路を周回経路とする循環用の駒部材がナットに装着されている。駒式ボールねじは構成が比較的簡素で、かつコンパクトに構成できる利点がある。
【0004】
この種のボールねじは、精度良く造られた場合には、ナットに負荷されるねじ軸に沿った荷重やねじ軸に負荷されるトルクに対して安定した作動特性を有する。然しながら、実際には、ボールねじの各溝を形成する円弧状の曲率半径や螺旋状に形成されたねじ溝のリード等々の誤差が組み合わさることで、ボールねじの転がり摩擦抵抗が変動する。そのため、ボールねじの位置決め精度や制御性の低下、あるいは摩擦による発熱等が生じ、ボールねじの寿命を低下させることがある。
【0005】
こうした問題を解決したものとして、図4に示すようなボールねじが知られている。このボールねじ51は、ねじ軸SとナットNと多数のボール52とを備えている。ねじ軸Sの外周面53とナットNの内周面54には、対向する螺旋状のねじ軸溝55とナット溝56が形成されている。ボール52は、これらねじ軸溝55とナット溝56にそれぞれ転接している。
【0006】
ねじ軸溝55とナット溝56は、断面がゴシックアーク形状に形成されている。ボールの半径をr、ねじ軸溝55の断面を形成する第1の円弧55a、55bの曲率半径をRs1、Rs2、これら第1の円弧55a、55bの曲率半径の中心Cs1、Cs2からボール52の中心Aを通るねじ軸Sに垂直な線Bまでのねじ軸Sの軸方向に沿う方向の距離をXcs1、Xcs2、ナット溝56の断面を形成する第2の円弧56a、56bの曲率半径をRn1、Rn2、これら第2の円弧56a、56bの曲率半径の中心Cn1、Cn2からボール52の中心Aまでのねじ軸Sの軸方向に沿う方向の距離をXcn1、Xcn2、ボール52の中心Aを通るねじ軸Sに垂直な線Bに対してねじ軸溝55とボール52の接点52sa、52sbがなす中心Aの角度(接触角)をαrs1、αrs2、ナット溝56とボール52の接点52na、52nbの接触角をαrn1、αrn2とすると、
sinαrs1=Xcs1/(Rs1−r)
sinαrs2=Xcs2/(Rs2−r)
sinαrn1=Xcn1/(Rn1−r)
sinαrn2=Xcn2/(Rn2−r)
この時、Rs1=Rs2=Rs、Xcs1=Xcs2=XcsRn1=Rn2=Rn、Xcn1=Xcn2=Xcnなので、αrs1=αrs2、αrn1=αrn2である。そして、−0.1≦{Xcs/(Rs−r)−Xcn/(Rn−r)}<0を満たすようにねじ軸溝55とナット溝56とが形成されている。
【0007】
以上のように形成されたボールねじ51の接触角、すなわち、運動方向の変換過程において、ねじ軸溝55とナット溝56にそれぞれ転接しているボール52の接触角を変えることでその転がり摩擦が軽減され、作動効率が向上して耐久性に優れたボールねじ51を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−172425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
然しながら、この従来のボールねじ51において、直線運動を回転運動に変換する場合(以下、逆作動という)、また回転運動を直線運動に変換する場合(以下、正作動という)とで、ねじ軸SとナットNの接触角の組み合わせを変更する必要があり、両条件で作動効率を向上させることはできない。一般的に、ねじ軸とナットとでその接触角を変えた場合、正作動または逆作動のどちらか一方の作動効率が向上するが、他方の作動効率が逆に低下する。
【0010】
例えば、電動パワーステアリング用ボールねじの場合、ボールねじにはピニオンからの力とタイヤからの力が作用し、力の大きさや方向は路面状況やハンドル(ステアリングホイール)操作で常に異なっている。それに対し、ハンドルをどちらに切るかは運転手の判断による。すなわち、ねじ軸Sに作用する力の方向に対し、ナットNはどちらの方向にも回転する可能性があり、ボールねじ51には正作動と逆作動のどちらも作用することになる。したがって、こうした従来のボールねじ51において、ねじ軸SとナットNとでその接触角を変えることにより、正作動時、逆作動時において総合的な作動効率の向上を図ることは難しい。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、正作動、逆作動共に作動効率を向上させ、かつ機械損失を低減させたボールねじを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、このねじ軸に外嵌され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、対向する両ねじ溝により形成される転動路に収容された複数のボールと、前記ナットに装着され、前記転動路を周回経路とする循環部材とを備えたボールねじにおいて、前記ボール径dに対する前記ねじ軸のねじ溝の深さtの比率が、t/d=0.20〜0.30の範囲に設定された構成を採用した。
【0013】
このように、ボールねじにおいて、ボール径dに対するねじ軸のねじ溝の深さtの比率が、t/d=0.20〜0.30の範囲に設定されているので、ボールねじ全体の機械損失が低減でき、正作動時、逆作動時に係らず高効率のボールねじを提供することができる。また、それに伴いボールねじの位置決め精度や制御性の向上、さらに摩擦による発熱等の抑制を図ることができ、ボールねじの寿命を向上させることができる。
【0014】
また、請求項2に記載の発明は、前記循環部材が、前記ねじ軸におけるねじ溝の隣合う1周分同士を連結する連結溝を有する駒部材からなるので、例えば、ボールがねじ軸のねじ山を乗り越えて駒部材に移行する時の摩擦抵抗が低減し、ボールねじとしての機械損失が低減する。
【0015】
また、請求項3に記載の発明は、前記ボールとねじ溝との初期接触角が25〜40°に設定されているので、ボールの接触楕円が肩部を乗り上げるのを防止し、負荷容量の低下を防止する。
【0016】
また、請求項4に記載の発明は、前記ボール径dと前記ねじ溝のリードLとの関係が、d=0.75〜1.10Lに設定されているので、ボールの接触楕円の肩部乗り上げを防止すると共に、ボールねじの作動効率の向上および摩擦係数の低減を図ることができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明のように、前記ねじ軸のねじ溝が転造加工によって形成されていても良い。本発明に係るボールねじにおいては、従来のねじ溝よりも浅く設定されているので、ボールねじの生産性が一層向上し、低コスト化が図れる。
【0018】
好ましくは、請求項6に記載の発明のように、前記ねじ溝の表面に超仕上げ加工が施され、その表面粗さがRa0.1以下、または転走方向のうねりが2μm以下に規制されていれば、単に良好な表面粗さが得られるだけでなく、ねじ溝のボールとの接触点における真円度、また、そのうねり成分が改善され、ボールねじの作動効率向上と摩擦係数を一層低減させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るボールねじは、外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、このねじ軸に外嵌され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、対向する両ねじ溝により形成される転動路に収容された複数のボールと、前記ナットに装着され、前記転動路を周回経路とする循環部材とを備えたボールねじにおいて、前記ボール径dに対する前記ねじ軸のねじ溝の深さtの比率が、t/d=0.20〜0.30の範囲に設定されているので、ボールねじ全体の機械損失が低減でき、正作動時、逆作動時に係らず高効率のボールねじを提供することができる。また、それに伴いボールねじの位置決め精度や制御性の向上、さらに摩擦による発熱等の抑制を図ることができ、ボールねじの寿命を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は、本発明に係るボールねじの実施形態を示す平面図である。 (b)は、同上、縦断面図である。 (c)は、同上、駒部材を示す斜視図である。
【図2】(a)は、ねじ溝とボールとの関係を示した説明図である。 (b)は、同上、ねじ溝の深さを小さくした場合を示す説明図である。 (c)は、同上、ボール径を大きくした場合を示す説明図である。
【図3】(a)は、初期接触角と肩部乗り上げとの関係を示す説明図である。 (b)は、同上、初期接触角を小さくした場合を示す説明図である。
【図4】従来のボールねじを示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、このねじ軸に外嵌され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、対向する両ねじ溝により形成される転動路に収容された複数のボールと、前記ナットに装着され、このナットのねじ溝を連結する連結溝を有する駒部材とを備えたボールねじにおいて、前記ボール径dに対する前記ねじ軸のねじ溝の深さtの比率が、t/d=0.20〜0.30の範囲に設定されていると共に、前記ボールとねじ溝との初期接触角が25〜40°の範囲に設定されている。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るボールねじの実施形態を示し、(a)は平面図、(b)は縦断面図、そして(c)は循環部材となる駒部材の斜視図である。
ねじ軸1は螺旋状のねじ溝2が外周に形成され、このねじ軸1に外嵌されるナット3の内周には、ねじ溝2に対応する螺旋状のねじ溝4が形成されている。そして、両ねじ溝2、4の間に多数のボール5が収容されている。
【0023】
円筒状のナット3の胴部には、内外の周面に貫通してねじ溝4の一部を切欠く楕円状の駒窓6が穿設され、この駒窓6に楕円状の駒部材7が嵌合されている。駒部材7の内方には、ねじ溝4の隣合う1周分同士を連結する連結溝8が形成され、この連結溝8とねじ溝4の略1周の部分とでボール5の転動路を構成している。転動路内の内外のねじ溝2、4間に介在された多数のボール5はねじ溝2、4に沿って転動し、駒部材7の連結溝8に案内され、ねじ軸1のねじ山を乗り越えて隣接するねじ溝4に戻り、再びねじ溝2、4に沿って転動する。
【0024】
駒部材7の連結溝8は、ナット3の隣接するねじ溝4間を滑らかに接続するように、S字状に湾曲して形成されているため、その両端開口縁8aを、ナット3の隣接するねじ溝4の窓開口縁部6aに合致するようにして、駒部材7の連結溝8がねじ溝4に接続されている。
【0025】
ボールねじの効率は一般的に以下の式で表わされるが、リード角βあるいは初期接触角αを大きくすることで作動効率が向上するとされている。正作動時の作動効率(以下、正効率という)をEp、逆作動時の作動効率(以下、逆効率という)をEn、初期接触角をα、正作動時の機械損失をμp、逆作動時の機械損失をμnとした時、
Ep=(sinα−μp×tanβ)/(sinα+μp/tanβ)
En=(sinα−μn/tanβ)/(sinα+μn×tanβ)
しかし、これら作動効率の式内には機械損失μp、μnが含まれる。実際にはこの機械損失μp、μnは、ねじ溝2、4とボール5同士の摩擦のような単純な摩擦係数だけでなく、例えば、駒式のボールねじにおいては、駒部材7内の無負荷領域でボール5が前のボール5を押す時に生じる力のロスやボール5がねじ溝2を乗り越える時のロスも含めた、所謂ボールねじ全体としての機械損失となる。そこで本出願人は、ボール径dに対するねじ溝の深さtの比率に着目し、これを小さくすることによりボール5がねじ溝2を乗り越える時のロスを低減させることを検証した。
【0026】
本発明に係るボールねじにおいては、ボール5が駒部材7内を通過して循環するが、この時ボール5は、図2に示すように、ねじ溝2、2間のランド部2aを乗り越える。従来のボールねじでは、作動効率や負荷容量等を考慮し、ボール5の直径dに対するねじ溝2の深さtの比率t/dが、0.36〜0.38になっている。これに対し、本実施形態では、このボール5の直径dに対するねじ溝2の深さtの比率を、t/d=0.20〜0.30の範囲に設定して種々検証を行った。
【0027】
ボール5の直径dに対するねじ溝2の深さtの比率を従来よりも小さく、t/d=0.20〜0.30にするには、ねじ溝2の深さtを浅くするか、ボール5の直径dを大きくする。または、ねじ溝2の深さtを浅く、かつボール5の直径dを大きくすることが考えられる。ここで、ねじ溝2の深さtを単に小さくすると、ボール5の接触楕円が肩部を乗り上げ、負荷容量が低下する恐れがあるため、ねじ溝2の深さtとの関係において、ボール5の直径dを大きくすることで負荷容量の低下を防止することができる。
【0028】
また、ねじ溝2の深さtとボール径dとの関係において、ボール5とねじ溝2との初期接触角αを小さく設定することによりボール5の接触楕円が肩部を乗り上げるのを防止することができる(図3参照)。すなわち、初期接触角αを従来の45°に変え、α=25〜40°の範囲に設定することにより、ボール5の接触楕円が肩部を乗り上げるのを防止する。
【0029】
実際に本出願人は、ボール径dに対するねじ溝2の深さtの比率t/dを小さく設定したサンプルと従来品との作動効率を比較検証し、表1、表2の結果を得た。なお、測定は、スラスト荷重5.5kN、ナットの回転数360rpmで実施し、その結果の代表的なものを示す。また、表1は正効率の測定結果、表2は逆効率の測定結果をそれぞれ示している。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
作動効率の一般式より、従来は初期接触角αおよびリード角βを変更することにより効率向上を図っていたが、例えば、初期接触角αを45°から本実施形態のように25〜40°の範囲に変更すると作動効率は逆に低下してしまう。本実施形態は、リード角βを変更せずに、初期接触角αおよびボール径dに対するねじ溝2の深さtの比率t/dを小さくすることにより、作動効率向上だけでなく摩擦係数、すなわちボールねじの機械損失が低減することが判った。
【0033】
また、本実施形態では、ボール5の直径dとねじ溝2のリードLとの関係が、d=0.75〜1.10Lになるように設定されている。d<0.75Lの場合、作動効率の向上および摩擦係数の顕著な低減が認められず、一方、d>1.10Lの場合、ボール5の接触楕円の肩部乗り上げの危険性が増大するので好ましくない。
【0034】
また、本実施形態では、ねじ軸1の外周に転造加工によってねじ溝2が形成されているが、従来のボールねじに比べねじ溝2の深さtがボール径dに対して小さく設定されているので、一層生産性が向上し、低コスト化が達成でできる。さらにこのねじ溝2の表面に超仕上げ加工を施すことにより、ボールねじの摩擦係数が低減できることが判った。これは、従来の転造品の表面粗さRa1.5〜2.0μmに比べ、超仕上げ加工によりその表面粗さがRa1.0μm以下の良好な表面粗さが単に得られるだけでなく、ねじ溝2のボール5との接触点における真円度、また、そのうねり成分も改善されたためと考えられる。なお、ねじ溝2は、ゴシックアーチ形状であってもボール5とサーキュラコンタクトする円弧状の形状であっても良い。
【0035】
このように、本発明に係るボールねじは、従来よりもボール径dに対するねじ溝2の深さtの比率t/dを小さく設定することにより、ボールねじ全体の機械損失が低減でき、正効率、逆効率に係らず高効率のボールねじを提供することができる。また、それに伴いボールねじの位置決め精度や制御性の向上、さらに摩擦による発熱等の抑制を図ることができ、ボールねじの寿命を向上させることができる。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係るボールねじは、自動車の電動パワーステアリング等、使用中に正作動と逆作動ともに発生する用途に用いられるボールねじに適用できる。また、循環部材は駒部材に限らず、リターンチューブやエンドプレート等、あらゆるボール循環方式のボールねじに適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1・・・・・・・・・・ねじ軸
2、4・・・・・・・・ねじ溝
2a・・・・・・・・・ランド部
3・・・・・・・・・・ナット
5・・・・・・・・・・ボール
6・・・・・・・・・・駒窓
6a・・・・・・・・・窓開口縁部
7・・・・・・・・・・駒部材
8・・・・・・・・・・連結溝
8a・・・・・・・・・開口縁部
51・・・・・・・・・ボールねじ
52・・・・・・・・・ボール
52sa、52sb・・ねじ軸溝とボールとの接点
52na、52nb・・ナット溝とボールとの接点
53・・・・・・・・・ねじ軸の外周面
54・・・・・・・・・ナットの内周面
55・・・・・・・・・ねじ軸溝
56・・・・・・・・・ナット溝
55a、55b・・・・ねじ軸溝のゴシックアークを形成する円弧
56a、56b・・・・ナット溝のゴシックアークを形成する円弧
A・・・・・・・・・・ボールの中心
B・・・・・・・・・・ボール中心Aを通るねじ軸に垂直な線
L・・・・・・・・・・リード
N・・・・・・・・・・ナット
S・・・・・・・・・・ねじ軸
d・・・・・・・・・・ボールの直径
r・・・・・・・・・・ボールの半径
t・・・・・・・・・・ねじ溝の深さ
Ep・・・・・・・・・正効率
En・・・・・・・・・逆効率
Rs1・・・・・・・・円弧55aの曲率半径
Rs2・・・・・・・・円弧55bの曲率半径
Rn1・・・・・・・・円弧56aの曲率半径
Rn2・・・・・・・・円弧56bの曲率半径
Cs1・・・・・・・・曲率半径Rs1の中心
Cs2・・・・・・・・曲率半径Rs2の中心
Cn1・・・・・・・・曲率半径Rn1の中心
Cn2・・・・・・・・曲率半径Rn2の中心
Xcs1・・・・・・・Cs1とB間の距離
Xcs2・・・・・・・Cs2とB間の距離
Xcn1・・・・・・・Cn1とB間の距離
Xcn2・・・・・・・Cn2とB間の距離
αrs1・・・・・・・ねじ軸溝とボール接点52saとの接触角
αrs2・・・・・・・ねじ軸溝とボール接点52sbとの接触角
αrn1・・・・・・・ナット溝とボール接点52naとの接触角
αrn2・・・・・・・ナット溝とボール接点52nbとの接触角
α・・・・・・・・・・初期接触角
β・・・・・・・・・・リード角
μp・・・・・・・・・正作動時の機械損失
μn・・・・・・・・・逆作動時の機械損失

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、このねじ軸に外嵌され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、対向する両ねじ溝により形成される転動路に収容された複数のボールと、前記ナットに装着され、前記転動路を周回経路とする循環部材とを備えたボールねじにおいて、
前記ボール径dに対する前記ねじ軸のねじ溝の深さtの比率が、t/d=0.20〜0.30の範囲に設定されていることを特徴とするボールねじ。
【請求項2】
前記循環部材が、前記ねじ軸におけるねじ溝の隣合う1周分同士を連結する連結溝を有する駒部材からなる請求項1に記載のボールねじ。
【請求項3】
前記ボールとねじ溝との初期接触角が25〜40°に設定されている請求項1または2に記載のボールねじ。
【請求項4】
前記ボール径dと前記ねじ溝のリードLとの関係が、d=0.75〜1.10Lに設定されている請求項1乃至3いずれかに記載のボールねじ。
【請求項5】
前記ねじ軸のねじ溝が転造加工によって形成されている請求項1乃至4いずれかに記載のボールねじ。
【請求項6】
前記ねじ溝の表面に超仕上げ処理が施され、その表面粗さがRa0.1以下、または転走方向のうねりが2μm以下に規制されている請求項1乃至5いずれかに記載のボールねじ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−137555(P2011−137555A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87931(P2011−87931)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【分割の表示】特願2004−68550(P2004−68550)の分割
【原出願日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】