説明

骨−腱−骨インプラント

【課題】移植片の強力で剛性な固定を提供し、組織の内殖および再構築を支持し得るインプラントの設計を提供する。
【解決手段】軟部組織の損傷を修復するためのインプラント38、40が提供され、このインプラント38、40は、患者に移植されるべき軟部組織移植片44(例えば、腱、靱帯または他の軟部組織)を受容するための少なくとも1つのチャネルを備える。移植片44と共に組み立てられたインプラント38、40は、患者の骨32、42に形成された、骨の欠陥(例えば、移殖片のトンネル34、36)にフィットするように設計される。インプラント38、40は、生分解性であり得、そして、インプラント−移植片アセンブリは、患者の回復の間、毎日の使用に耐えるのに十分な引き出し強度を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2004年1月16日に出願された米国仮特許出願第60/537,214号(本明細書と矛盾しない程度に本明細書中に参考として援用される)に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
強い衝撃のスポーツにおいて、靱帯は、しばしば、膝をねじることによって、または、膝の側部への衝撃によって損傷される。主に、前十字靱帯(ACL)および後十字靱帯(PCL)が関与する。これらの靱帯を再構築するために、最も一般的な方法は、骨−膝蓋腱−骨(BTB)移植片を含み、これが、最も標準的なものと考えられる。BTB移植片は、90〜95%の成功率を有するが、その不利な点の1つは、腱の長さが、ACLの元々の長さに適合し得ないことである。ACL再構築のための他の選択肢は、アキレス腱、膝窩腱または膝の軟部組織移植片の使用であり、腱線維、自家移植片、同種移植片または異種移植片のうちの1つまたは2つが靱帯の再構築に使用される。欠陥(defect)が、膝にドリルで穴を開けられ、膝窩腱移植片がその骨のトンネルにねじ込まれ、そして、締まりねじまたはクロスピン(cross pin)を用いて移植片が固定される。市場調査は、2003年に、約325,000のACL/PCL手順が実施され、そのうち、65%がBTBであり、35%が軟部組織移植片であったことを示す。
【0003】
これらの移植片に関する懸念は、その長い回復時間であり、固定システムはしばしば、移植片の周りでの骨の適切な成長を促進しない。現在の固定ねじは、完全に高密度なものであり、そして、治癒を加速するための、宿主組織の内殖、または、生物活性因子の搭載のための格子を提供しない。靱帯を再構築するための現在の手順は、即時の完全な範囲の動き、強度、神経と筋肉との協調、および早期の体重負荷を伴う早期のリハビリテーションプロトコルを提唱している。例えば、患者がリハビリテーションの間の日常活動に耐えることを可能にするために適切な引き出し力の要件は、約400〜450Nであると考えられている(非特許文献1)。現在、外科医は、移植用の靱帯、腱または他の軟部組織が取り付けられ得るように、自家骨移植片、同種骨移植片または異種骨移植片を彫るか、または他の方法で成形しなければならない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Noyes,F.R.ら「Biomechanical analysis of human ligament grafts used in knee−ligament repairs and rexonstructions」J.Bone Joint Surg.(1984)(Am)66:p.344−352
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、移植片の強力で剛性な固定を提供し、組織の内殖および再構築を支持し得るインプラントの設計が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において参照されている全ての刊行物および特許出願は、本明細書と矛盾しない程度に本明細書中に参考として援用される。
(発明の要旨)
本発明は、軟部組織移植片が、容易にインプラントに取り付けられ得るように設計された、合成のオフザシェルフ(off−the−shelf)のインプラントを提供する。このインプラントは、患者に移植されるべき軟部組織移植片を受容するための少なくとも1つのチャネルを備える。「チャネル」とは、本明細書中で記載される場合、溝または開口部であり得る。軟部組織移植片は、移植用の腱、靱帯または他の軟部組織(例えば、自家、同種または異種の、移植用の半腱様もしくは薄筋の移植片、同種移植用の脛骨移植片、自家もしくは異種の膝窩腱など)である。骨プラグが、骨トンネル内に固定され得るという事実から、骨−腱−骨移植片(自家、同種または異種)が、一般に、靱帯の再構築手順に好ましい。この型の構造を、骨塊(bone block)を生得的に持たない腱(例えば、膝窩腱または脛骨の腱)で置き換えるためには、骨塊が取り付けられる必要がある。これらの骨塊は、調達、加工および管理をして、適切な安全性および品質を保証することが困難であり得る。本発明のインプラントは、これらの問題を解決し、そして、骨塊を生得的に持たない腱の使用を可能にする。
【0007】
用語「自源性の」もしくは「自家の」移植片または「自家移植片」とは、患者自身の身体から採取された移植片組織を指す。用語「同種間の」もしくは「自家の(autologous)」移植片または「同種移植片」とは、別の人(例えば、肝臓ドナーまたは人の死体)から採取された移植片を指す。用語「異種の」もしくは「外因性の」移植片、または「異種移植片」とは、当該分野で公知の別の種(例えば、ブタ)から採取された移植片を指す。
【0008】
インプラントは、好ましくは、患者の骨内に形成された骨の欠陥(例えば、移植片のトンネル)にフィットするように設計される。インプラントはまた、少なくとも部分的に軟骨内に形成された移植片のトンネル内に配置され得、そして、この場合、インプラントは、代表的に、骨が機械的により強いという事実から、骨に固定される。
【0009】
軟部組織移植片をインプラントに固定するための手段がまた提供され得る。このような手段としては、縫合糸穴、縫合糸、ねじ、クリップ、リベット、ピン、ワイヤ、ステープル、犬くぎ、および当該分野で公知の他の固定手段からなる群より選択される構成要素を備える。1つの実施形態において、インプラントは、移植片が配置される溝(本明細書中でチャネルとも呼ばれる)を備える内側部分、および組み立てられた内側部分と移植片材料の周りにフィットして、移植片材料を適所に保持する外側カラーを備える。
【0010】
インプラントは、多孔性もしくは部分的に多孔性であり得る。または、インプラントは、完全に高密度であり得る。用語「部分的に多孔性」とは、インプラント内部への組織の成長を促進するため、および軟部組織の完全な治癒を加速するために多孔性の外側部分、ならびにあまり多孔性でない内側部分を有するインプラントを含む。この内側部分は、外側部分よりも多孔性でない(より少ないおよび/または小さな孔を有する)か、または、必要に応じて、インプラントに機械的強度を与えるために完全に高密度であり得る。多孔性の外側部分は、多孔性の外側層であり得、かつあまり多孔性でないかもしくは完全に高密度な内側部分は、層であり得るか、または、インプラントは、外側の多孔性部分から内側のあまり多孔性でないかもしくは完全に高密度な部分へと連続的な勾配を有し得る。好ましくは、より多孔性の部分は、インプラントの直径の約1/4〜約1/2を構成する。例えば、直径10mmのインプラントは、デバイスの全周の周りに、約1mm〜約5mm、好ましくは、約1mm〜約3mmの厚みの多孔性部分を有し得る。
【0011】
組織の内殖を助長し、機械的強度を提供するための、多孔性および完全に高密度な材料は、当該分野で公知の技術に従って作製され得、これらの技術としては、米国特許第号6,514,286号;同第6,511,511号;同第6,344,496号;同第6,203,573号;同第6,156,068号;同第6,001,352号;同第5,977,204号;同第5,904,658号;同第5,876,452号;同第5,863,297号;同第5,741,329号;同第5,716,413号;および同第5,607,474号(本明細書と矛盾しない程度に本明細書中に参考として援用される)の技術が挙げられる。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、インプラントのより多孔性の部分または層の平均孔サイズは、約10ミクロンと約2000ミクロンとの間、または約50ミクロンと約900ミクロンとの間、または約100ミクロンと約600ミクロンとの間であり得る。
【0013】
インプラントは、治癒の間に移植片を適所に保持するだけでなく、患者が、損傷部位を迅速に回復し、可能な限りその元の状態近くまで戻すことを可能にするために必要な機械的強度も提供する。
【0014】
いくつかの実施形態において、インプラントは、少なくとも1つの突出部を備え、この周りに軟部組織移植片が巻き付けられ得る。例えば、図7を参照のこと。
【0015】
インプラントはまた、インプラントを周囲の組織に固定するための手段を備え得る。このような手段としては、縫合糸穴、および、溝、棟、バーブもしくはねじ切りのような表面形状が挙げられる。
【0016】
本発明はまた、上記のように、軟部組織移植片と共に使用するために組み立てられたインプラントを備える移植片アセンブリを包含し、この移植片アセンブリにおいて、軟部組織移植片は、インプラントの周りを覆っており、そのチャネルを通してねじ切りされるか、または、その溝の中に配置され、そして、必要に応じて、上記のようにインプラントに固定される。
【0017】
本発明はまた、腱、靱帯および他の構造組織からなる群より選択される軟部組織への損傷を修復するための方法を提供し、上記方法は、軟部組織移植片を提供する工程;上記のようなインプラントを提供する工程;軟部組織移植片とインプラントとを組み立てて、移植片アセンブリを形成する工程;移植片アセンブリを、骨内の欠陥に挿入する工程;および、必要に応じて、締まりねじ、タック、リベット、クロスピン、縫合糸を用いて、または、インプラントを適所に保持する棟、バーブ、もしくはねじ切りのような表面形状を有するインプラントを用いて、欠陥内に移植片アセンブリを固定する工程を包含する。インプラントはまた、インプラントが、骨のトンネルより幾分大きく、そして、インプラントが欠陥内に配置されるときにわずかに圧縮する場合に、適所にプレス嵌め(本明細書中で「締まりばめ」とも呼ばれる)され得る。
【0018】
例えば、軟部組織移植片の一方の端部が、インプラントに取り付けられ、軟部組織移植片のもう一方の端部が、第2のインプラントに取り付けられ、そして、各インプラントが、骨内の移植片トンネル欠陥に挿入され;そして必要に応じて、欠陥内部に固定される。
患者の前十字靱帯の置き換えの場合、ACL損傷は、本発明の方法を用いて、患者のACLを、移植用の靱帯または腱または他の軟部組織で置き換えることによって、修復され得る。この方法は、2つの端部を有する前十字靱帯のための移植用交換品を提供する工程;上記のような本発明の2つのインプラントを提供する工程;靱帯の一方の端部を、一方のインプラントに取り付ける工程;靱帯のもう一方の端部をもう一方のインプラントに取り付ける工程;一方のインプラントを受容するために大腿骨に欠陥を作製する工程;もう一方のインプラントを受容するために脛骨に別の欠陥を作製する工程;大腿骨の欠陥に一方のインプラントを挿入する工程;および、脛骨の欠陥にもう一方のインプラントを挿入する工程を包含する。代表的に、脛骨用のインプラントは、より大きな脛骨の骨トンネルにフィットするために大腿骨用のインプラントよりも幾分大きい。インプラントは、インプラント上の表面形状によってか、または、本明細書中に記載されるような、インプラントを周囲の骨に係留するための他の手段によって、のいずれかで、欠陥内に固定されるべきである。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
患者に移植されるべき軟部組織移植片を受容するための少なくとも1つのチャネルを備える、インプラント。
(項目2)
前記軟部組織移植片をデバイスに固定するための手段もまた備える、項目1に記載のインプラント。
(項目3)
前記軟部組織移植片をデバイスに固定するための手段が、縫合糸穴、縫合糸、ねじ、クリップ、リベット、ピン、ワイヤ、犬くぎ、およびステープルからなる群より選択される構成要素を備える、項目2に記載のインプラント。
(項目4)
前記軟部組織移植片が、自家軟部組織、同種軟部組織または異種軟部組織からなる群より選択される、項目1に記載のインプラント。
(項目5)
骨の欠陥に移植されるように設計された、項目1に記載のインプラント。
(項目6)
多孔性または部分的に多孔性である、項目1に記載のインプラント。
(項目7)
多孔性の外側部分およびあまり多孔性でない内側部分を有する、項目6に記載のインプラント。
(項目8)
完全に高密度である、項目1に記載のインプラント。
(項目9)
生分解性ポリマーから作製される、項目1に記載のインプラント。
(項目10)
項目9に記載のインプラントであって、該インプラントが配置される欠陥の治癒に必要とされる期間にわたって完全に分解するように設計された、インプラント。
(項目11)
少なくとも1つの突出部を備え、前記軟部組織移植片が該突出部の周りに巻き付けられ得る、項目1に記載のインプラント。
(項目12)
項目1に記載のインプラントであって、該インプラントを周囲の組織に固定するための手段もまた備える、インプラント。
(項目13)
項目1に記載のインプラントおよび軟部組織移植片を備える、移植片アセンブリ。
(項目14)
少なくとも約400Nの引き出し強度を有する、項目13に記載の移植片アセンブリ。
(項目15)
腱および靱帯からなる群より選択される軟部組織に対する傷害を修復するための方法であって、該方法は、以下:
軟部組織移植片を提供する工程;
項目1に記載のインプラントを提供する工程;
該軟部組織移植片と該インプラントとを組み立てて、移植片アセンブリを形成する工程;および、
該移植片アセンブリを骨内の欠陥に挿入する工程
を包含する、方法。
(項目16)
項目15に記載の方法であって、
締まりねじ、リベット、くさび、ワイヤ、クロスピンもしくは縫合糸、または、棟、ねじ切りおよびバーブからなる群より選択される表面形状によってか、または、プレス嵌めによって、前記移植片アセンブリを前記欠陥内に固定する工程
もまた包含する、方法。
(項目17)
前記軟部組織移植片の一方の端部が、前記インプラントに取り付けられる、項目15に記載の方法であって、該方法はまた、以下:
項目1に記載の第2のインプラントを提供する工程;
該軟部組織移植片のもう片方の端部を、該第2のインプラントに取り付けて、第2の移植片アセンブリを形成する工程;および
該第2の移植片アセンブリを、骨内の第2の欠陥に挿入する工程
を包含する、方法。
(項目18)
項目17に記載の方法であって、
締まりねじ、リベット、くさび、ワイヤ、クロスピン、縫合糸、または、棟、ねじ切りおよびバーブからなる群より選択される表面形状によってか、あるいは、プレス嵌めによって、前記第1の移植片アセンブリおよび前記第2の移植片アセンブリを前記欠陥内に固定する工程
もまた包含する、方法。
(項目19)
前十字靱帯を軟部組織移植片で置き換えるための方法であって、該方法は、以下:
2つの端部を有する軟部組織移植片を提供する工程;
項目1に記載の2つのインプラントを提供する工程;
該靱帯の一方の端部を、該一方のインプラントに取り付ける工程;
該靱帯のもう一方の端部を、該もう一方のインプラントに取り付ける工程;
該一方のインプラントを受容するために大腿骨に欠陥を作製する工程;
該もう一方のインプラントを受容するために脛骨に別の欠陥を作製する工程;
該大腿骨の欠陥に該一方のインプラントを挿入する工程;および
該脛骨の欠陥に該もう一方のインプラントを挿入する工程
を包含する、方法。
(項目20)
項目19に記載の方法であって、
締まりねじ、リベット、くさび、ワイヤ、クロスピン、縫合糸、または、棟、ねじ切りおよびバーブからなる群より選択される表面形状によってか、あるいは、プレス嵌めによって、前記インプラントを前記欠陥内に固定する工程
もまた包含する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、中央チャネルを有するインプラントの斜視図であり、このチャネルを通って、軟部組織移植片が通過し得る。
【図2】図2は、より多孔性インプラント材料の外側部分と、あまり多孔性でないインプラント材料の内側部分を示す、図1の断面である。
【図3】図3は、移植片トンネル内への挿入を簡単にするために、面取りされた先端を有するインプラントの斜視図である。
【図4】図4は、2部分インプラントの斜視図である。
【図5】図5は、一方の端部が可撓性の膜ヒンジにより連結された部分を有する、2部分インプラントの斜視図である。
【図6】図6は、軟部組織移植片の腱を受容するためのチャネルを有するインプラントの斜視図である。
【図7】図7は、軟部組織移植片を受容するための複数のチャネルを有するインプラントの斜視図である。
【図8】図8は、テーパー状の中央部分およびカラーを備える、2部分インプラントの斜視図である。
【図9】図9は、軟部組織移植片を受容するための螺旋状のチャネルを有するインプラントの斜視図である。
【図10】図10は、本発明のインプラントのいずれかの端部に取り付けられた、移植された前十字靭帯を有する膝関節の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(詳細な説明)
本発明は、移植片の周囲の骨の良好かつ迅速な成長を促進し、そして、治癒の間の適切な剛性および強度を保証するために移植片をしっかりと係留することによる強固な固定を提供する、軟部組織移植片と共に使用するためのインプラントを提供する。これらのインプラントは、治癒期間の間に、移植片に約400N以上の引き出し強度を提供する。本発明のインプラント設計は、移植用の腱、靱帯または他の軟部組織が、インプラントの周りを覆うか、または、他の方法でインプラントに取り付けられることを可能にする。この移植片アセンブリ(インプラントおよび軟部組織移植片を備える)は、次いで、患者の移植片トンネル内へと押し込まれ、そして、インプラントに対して隣接し、かつ平行に挿入された締まりねじ、または、類似の固定手段(例えば、リベット、くさび、ワイヤ、クロスピンおよび縫合糸)または棟、溝、ねじ切りもしくはバーブのような表面形状によって直接固定され得る。インプラントはまた、適所にプレス嵌めされることによって固定され得る。
【0021】
1つの実施形態において、本発明の骨−腱−骨インプラントは、膝の靱帯を修復するために有用であり、そして、他の可動関節の軟部組織による修復および固定の要件を満たすために有効に使用され得る。本発明の骨−腱−骨インプラントは、軟部組織を覆うための滑らかなチャネルを提供し、そして、腱または他の移植片組織が二分もしくは損傷されることを防止する。このインプラントはまた、すべりを防止するように、組織移植片をインプラントに縫合するための小さなドリル穴を備え得る。
【0022】
インプラントは、米国特許第6,511,511号および同第6,783,712号、ならびに米国特許出願第10/931,474号に詳述されるような繊維で強化されたマトリクスを備え得る。この繊維およびマトリクスの組み合わせは、好ましくは、複合足場の機械的特性が、最適な性能に合うように選択される。
【0023】
インプラントはまた、米国特許第5,741,329号に詳述されるような緩衝に適した、または、PCT特許公報WO 00/41711に詳述されるような二峰性の分解を達成するのに適した、または、米国特許第6,344,496号に詳述されるような増加した機械的特性を得るのに適した、セラミック性の構成要素もまた備え得る。
【0024】
当該分野で公知の生分解性ポリマーは、本発明のインプラントを形成するために使用され得る。いくつかの例は、αポリヒドロキシ酸(ポリグリコリド(PGA)、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド))、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(β−ヒドロキシブチレート)(PHB)、ポリ−4−ヒドロキシブチレート(P4HB)、ポリ(β−ヒドロキシ吉草酸塩)(PHVA)、ポリ(p−ジオキサノン)(PDS)、ポリ(オルトエステル)、チロシン誘導化ポリカーボネート、ポリペプチドおよび上記のコポリマーである。あるいは、インプラントは、当該分野で公知の永続的な非分解性の材料(例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、アセタール、チタン、ステンレス鋼および架橋シリコーン)から作製され得る。
【0025】
インプラントは、インプラントが配置される欠陥の治癒のために必要とされる期間にわたって、完全に分解するように、当該分野で周知の原理に従って、設計され得る。例えば、一般的に、ACL移植片は、最初の固定に約6〜10週間、そして、完全な一体化に約3〜6ヶ月の期間を要する。当該分野で公知の増殖因子およびその類似物(例えば、BMP2)を加えた生分解性のインプラント足場を使用することにより、治癒が有意に加速され得る。
【0026】
インプラントはまた、組織の内殖および材料の生体適合性をさらに高めるために、界面活性剤(約1重量%)も含み得る。生分解性ポリマーの大半は、生来疎水性であるので、流体は、容易には吸着および浸透しない。界面活性剤は、後処理が必要とされず、そして、多孔性構造の製造作業または作製に感知できるほどの影響を及ぼさないように、製造時に、材料のマトリクスに組み込まれる。米国特許出願第60/542,640号および同第60/632,060号、ならびに、これらに対して優先権を主張するその後の特許出願を参照のこと。
【0027】
インプラントは、生物活性因子(例えば、増殖因子、抗生物質、ホルモン、ステロイド、抗炎症剤、および麻酔薬)を種々の方法で送達するために使用され得る。これらの生物活性因子はまた、骨形成性および/または軟骨形成性の模倣増殖因子も含み得る。増殖因子、模倣増殖因子またはペプチドは、オフザシェルフ製品(米国特許第6,013,853号および同第5,876,452号(本明細書と矛盾しない程度に本明細書中に参考として援用される)に記載されるような、仕立てられた(tailored)徐放プロフィールを有するインプラントを含む)を供給するための製造の間に、インプラント内に組み込まれ得るか、吸着によってインプラント内に染み込まれ得るか、または、インプラントに吸着され得る。または、生物活性因子は、外科手術の直前にインプラントに加えられ得る。インプラントはまた、移植前に、自家細胞または細胞を含む培地に予め播種され得る。細胞および増殖因子を加えることによって、所望の組織または器官の型の形成が、治癒時間および修復の質の観点から、有意に改善され得る。
【0028】
図1に示されるように、本発明の1つの実施形態は、中心チャネル14を有する円筒型のインプラント10であり、このチャネル14を通って、移植用の腱または靱帯または他の軟部組織が通過し得る。インプラントはまた、このインプラントを適所に縛るか、または縫合するための縫合糸穴12を備える。
【0029】
図2は、インプラント材料の多孔性の外側部分28およびインプラント材料のより多孔性の内側部分30を有する、図1のインプラント10の断面である。
【0030】
図3に示されるインプラントの別の実施形態は、移植片のトンネル内への挿入を簡単にするために先端24に面取り16を有する、インプラント10である。
【0031】
図4に示されるさらなる実施形態は、外科手術台またはインサイチュで組み立てられるように設計された、第1の部分9および第2の部分11を有する2部分(two−part)インプラントである。縫合糸穴12は、インプラントの別個の部分が、組織に対して適所に、縫合もしくは縛られるか、および/または、互いに対して縫合もしくは縛られることを可能にする。
【0032】
図5の実施形態は、一端で、可撓性膜のヒンジ26によって連結された部分(9および11)を有する、2部分インプラントである。この膜は、例えば、米国特許第6,514,286号に記載されるような生分解性ポリマーフィルム、またはインプラント表面に接着された当該分野で公知の他の膜であり得る。このインプラントはまた、移植用の腱、靱帯または他の軟部組織を受容するためのチャネル18も備える。
【0033】
図6の実施形態は、移植用の腱、靱帯または他の軟部組織を受容するために、インプラントの先端24の全周囲にチャネル18を有するインプラント10である。これは、移植片からの締まりなしで、インプラント10の外周部分との骨−インプラントの接触を可能にする。
【0034】
移植用の腱、靭帯または他の軟部組織を受容するための複数のチャネル18を有するインプラント10が、図7に示される。例示されるように、インプラントを使用するためには、半腱性または膝窩腱の移植片は、この移植片をインプラントの側部にあるチャネル18の1つに横たえ、そして、テーパー状の先端24を覆って、インプラントの反対側にあるチャネルへと巻き付けることによってインプラントに固定され得る。この移植片はさらに、縫合糸穴12を通して、そして移植片を通して縫合糸を通過させることによってインプラントに固定され得る。
【0035】
2部分のインプラント10が図8に示される。このインプラントは、カラー20内にフィットするように設計されたテーパー状の中央部分22を備える。移植用の腱、靭帯または他の軟部組織は、溝18内に置かれ、中央部分22の周りに巻き付けられ、そして、カラー20を通して延びる。中央部分22のテーパー付けは、カラーが、移植用の腱または靭帯、および中央部分の周りにぴったりとフィットし、こうして、移植片をインプラントに固定することを可能にする。
【0036】
図9に示される別の型のインプラント10は、移植用の腱または靭帯を受容するための螺旋状のチャネル18を有する。
【0037】
図10は、大腿骨32、半月板46および頸骨42、ならびに前十字靭帯(ACL)移植片44を示す、膝関節の正面図である。ALC移植片44の一方の端部に取り付けられた第1のインプラント38が、大腿骨32の第1の移植片トンネル34内に挿入され、そして、ACL移植片44のもう一方の端部に取り付けられた第2のインプラント40が、頸骨42の第2の移植片トンネル36内に挿入されている。
【0038】
腱、靭帯または他の軟部組織移植片は、自家であっても、肝臓ドナーもしくは死体からの同種であっても、異種であってもよい。一旦自家、同種または異種の移植片が収集されると、これらは、インプラントに取り付けられる必要がある。インプラントは、移植片を配置するために少なくとも1つの溝(チャネルとも呼ばれる)を備える。インプラントは、インプラントの幅全体または長さ全体を横切る、数個のチャネルを提供して、固定を提供し得る。移植片は、インプラントの周りに巻き付けられ、そして、縫合糸、または他の機械的な取り付け手段(例えば、リベットまたはピン)を用いて固定され得る。インプラントは、次いで、患者の骨に形成された移植片のトンネル内に押し込まれ、ねじまたは他の取り付け手段によって固定される。インプラントの表面は、骨のトンネル内への挿入を簡単にするために、滑らかであり得るか、または、インプラントは、その引き出し強度を増すために、溝、棟もしくはバーブのような表面形状を有し得る。バーブもしくは棟は、表面上に約0.2mm〜約1mmもしくは約2mm突出しているべきである。これらは、欠陥内に挿入されているインプラントの側部が、挿入を簡単にするように滑らかであるが、引き出しの際の抵抗を増す、鋭利もしくは平らな障害となる形状を提供するような形状であり得る。インプラントの表面が滑らかである場合、インプラントを骨トンネル内に固定するさらなる手段(例えば、締まりねじ)が必要とされ得る。
【実施例】
【0039】
BTBインプラントを、腱をインプラントの周りに巻きつけ、No.5編みこみポリエステル縫合糸を用いてこの腱をインプラントに固定することによって、移植片調製台の上で、死体の脛骨の腱の上に組み立てる。このインプラントを、標準的な外科手術の技術を用いて、死体の膝に置き、そして、締まりねじによって適所に固定する。
【0040】
膝のサンプルを、高速硬化エポキシ化合物を用いる、試験固定物(testing fixture)に入れる。一旦エポキシが硬化すると、このサンプルを、ねじ型機械式試験機器に置く。移植片の構造が壊れるまで、試料を張力状態に置く。インプラント移植片アセンブリは、400N以上の引き出し強度を有することが分かる。
【0041】
本発明は、特定の実施形態に関して例示および記載されてきたが、当業者に理解されるように、等価な構造および方法が使用され得、そして、これらは、添付の特許請求の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−15973(P2011−15973A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169865(P2010−169865)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【分割の表示】特願2006−549650(P2006−549650)の分割
【原出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(505316358)オステオバイオロジックス, インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】