説明

骨の回復のための方法および装置

【課題】ヒトまたは動物の骨の解剖学的構造の回復のための、新規な医療用デバイスを提供する。
【解決手段】1つの所定の面2内での拡張が可能である、拡張可能な移植物1の骨への導入、この1つの所定の面を、骨回復面に対応させるように、この拡張可能な移植物を骨において配置する工程、およびこの骨回復面において、この拡張可能な移植物を展開する工程を包含し得る。第一の支持表面8および第二の支持表面9が、骨の内部の組織を広げる。また、この移植物の周囲に充填材料を注入する工程を包含し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本願は、2004年9月29日に出願された、米国特許出願番号10/951,766、および2004年6月9日に出願された、仏国特許出願番号0406211の利益を主張する。これらの両方の開示は、その全体が、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、外科手術および医療用移植物の分野に関し、そしてより特定すると、医療用骨移植物を使用して、ヒトまたは動物の骨の解剖学的構造を回復させるための、デバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
種々の原因が、骨の圧縮の本質であり得る。この原因とは、特に、骨粗鬆症(これは例えば、個体の体重の下での自然な椎骨の圧縮を引き起こす)および外傷であり、これらの2つの原因は、時々、組み合わせられる。このような骨の圧縮は、椎骨に影響を与え得、さらに、他の骨(例えば、橈骨および大腿骨)にもまた関係する。
【0004】
椎骨の矯正を行うため(すなわち、椎骨をその元の形状、またはその元の形状に類似の形状まで回復させるため)の、数種の椎骨形成技術が公知である。例えば、1つの技術は、膨張可能なバルーンを椎骨に導入し、次いで、この椎骨の皮質性のシェル(特に、椎骨の下側および上側の平らな面)に力を加えて、この椎骨の形状を圧力の影響下で矯正するために、このバルーンに圧力下で流体を導入することを包含する。この技術は、後弯形成術として公知である。一旦、骨の皮質性シェルが矯正されると、バルーンがしぼまされ、そしてこの皮質性シェルにセメントを注入し得るように、この椎骨から引き抜かれる。このセメントは、この矯正が十分な耐久時間を有するために十分な機械的抵抗を付与するように適合される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
後弯形成方法の顕著な欠点は、その多数の操作(特に、膨張)およびバルーンを患者の身体から引き出す必要性にある。さらに、このバルーンの拡張は、操作性が乏しい。なぜなら、このバルーンの体積は、多次元であるからである。これにより、しばしば、大きい圧力が、望ましくない方向で皮質性シェルに付与される。このような大きい圧力は、この皮質性シェル(特に、椎骨の下側および上側の平らな面を接続している、皮質性シェルの後ろの部分)の破裂の危険がある。
【0006】
椎骨内の空洞を充填するように適合された、他の椎骨移植物が存在する。しかし、このような移植物は、一般に、移植物の収縮の影響下での、移植物の長手方向軸に対して垂直な複数の尖端の形成によって得られる、半径方向の拡張の原理を採用する。このような移植物は、個々の尖端に対して、高すぎる圧力を付与し、これにより、これらの尖端が支持する材料を穿孔し得る。さらに、後弯形成術と同様に、非常に高い圧力は、組織または器官の壁(例えば、皮質性シェル)の破裂を引き起こし得る。さらに、いくつかの移植物の半径方向での拡張は、特定の拡張方向を優先させない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明の実施形態は、上で注目した欠点を減少させ、そして骨の回復のための先行技術のデバイスより優れたさらなる利点を提供する。より具体的には、本発明のいくつかの実施形態は、ヒトまたは動物の骨の解剖学的構造を回復させるための方法を包含し、この方法は、以下の工程のうちの1つ以上を包含する:
・拡張可能な移植物を、1つの規定された拡張面(この拡張面は、好ましくは、この移植物に固有である)に沿って骨に導入する工程、
・拡張面を骨の回復面と対応させるために、この拡張可能な移植物を、この骨の内部で位置決めする工程、
・この拡張可能な移植物を、骨の回復面内で展開する工程、ならびに
・この移植物の内部および/または周囲に充填材料を注入する工程。
【0008】
この方法は、本発明のいくつかの実施形態に従って、強化された構造体の作製が、固体の構造体を生じることを可能にする(すなわち、硬化した充填材料を組み込まれる移植物が、この移植物の拡張の原因である)。さらに、この充填材料は、比較的低い圧力下で注入され得る。なぜなら、この移植物が適所にあるままであり、これによって、この移植物の拡張により矯正される骨構造体の寸法が、保存され得るからである。
【0009】
本発明の1つの実施形態の別の特徴は、拡張可能な移植物が、所定の体積まで(最小の厚さ(例えば、あらゆる拡張の前の移植物の厚さ)と、最大の厚さ(例えば、最大の拡張後の移植物の厚さ)との間)、骨の回復面内で拡張/展開され得ることである。このような特徴により、この移植物の拡張体積が、例えば、所定の椎骨矯正について制御されることが可能になる。
【0010】
本発明の1つの実施形態の別の有利な特徴としては、対向する第一および/または第二のプレートを展開することによって拡張可能な移植物を展開し、骨に対する第一および第二の支持表面を(それぞれ)形成することが挙げられる。このような特徴は、この移植物によって、この移植物と接触する組織に付与される圧力が、これらの組織に対する接触表面または支持表面を増加させることにより低下することを可能にする。
【0011】
この移植物の長さは、骨における第一の支持表面および第二の支持表面のうちの少なくとも1つと、実質的に等しいサイズにされ得る。このような特徴により、(組織に対する)支持長さ対この移植物の長さの比の最適化が可能になる。この比が1に近付くほど、この移植物は、必要とされる長さを小さくして適所で実施可能である。さらに、この特徴はまた、低い注入圧力での充填材料の導入を可能にする。低い注入圧力は、充填材料が不適切な組織(例えば、血管壁)に注入されることを回避するために、好ましい。
【0012】
本発明の別の実施形態において、第一のプレートと第二のプレートとの各々は、複数の円筒形支持表面を形成し得、この支持表面の一部は、拡張可能な移植物の長手方向軸に対して平行であり得る。円筒形の(湾曲した)支持表面は、この移植物が組織に付与する力を拡散させ得る。
【0013】
本発明の別の実施形態において、この移植物の第一のプレートおよび第二のプレートの展開は、これらのプレートの下方の1つ以上の支持体を利用する。このような特徴は、支持表面の長さ対移植物の長さの比を、可能な限り1に近付くように増加させることを可能にする(上記を参照のこと)。さらに、この特徴は、押し付ける力が、片持ち梁を減少させるためにプレートの下方でより等しく分配されることを可能にする。
【0014】
この移植物の内部および/または周囲に注入されて、骨の回復においてこの移植物に付随する圧縮付加を補助し得る、充填剤セメントとしては、イオン性セメントが挙げられ、特に、リンカルク(phosphocalcic)セメント、アクリルセメント、またはアクリルセメントの化合物が挙げられる。従って、移植物とセメントとの組み合わせは、建造物の構築における、鋼で補強されたコンクリート構造体とは類似しない。
【0015】
本発明の別の実施形態において、骨の回復のための拡張可能な移植物は、この移植物に固有の1つの拡張面を備える。この1つの拡張面は、骨の回復面に対応する。この移植物はまた、対向する第一のプレートおよび第二のプレートを備え得、これらのプレートは、それぞれ、骨のための第一の負担表面および第二の負担表面を形成する。これらの第一のプレートおよび第二のプレートは、(例えば、移植物の拡張の際に)1つの拡張面に沿って、互いから離れるように移動するように、配置される。この移植物はまた、第一の負担表面および第二の負担表面のうちの1つ以上のための、第一の支持体および第二の支持体を備え得、そして好ましくは、プレートのいずれかまたは両方(それぞれ)の下方に提供される。この移植物はまた、この移植物の拡張を制御するための手段を備え得る。このような手段は、各支持体と対応するプレートとの間に提供される材料ウェブを備え得、この材料ウェブは、所定の厚さを有する。
【0016】
本発明の他の実施形態において、拡張を制御するための手段は、移植物のあらゆる拡張の前の移植物の最小の厚さと、移植物の最大の拡張後の移植物の最大の厚さとの間の圧縮値を制御する。
【0017】
この移植物はまた(好ましくは)、この移植物の拡張面を骨の回復面に対応させるために、この拡張可能な移植物を骨の中で位置決めするための手段を備え得る。このような手段は、この移植物の、長手方向軸の周りでの角配向を可能にする係合手段(例えば、螺合係合)を備え得、そして移植物のキャリアに取り付けるための、(例えば)この移植物の端部における1つ以上の平坦な表面を備え得る。
【0018】
本発明のなお別の実施形態は、骨の回復のためのシステムに関し、このシステムは、少なくとも1つの拡張可能な移植物を備え得、この拡張可能な移植物は、骨の回復面に対応するための1つの拡張面を有する(1つ以上の移植物が、1つの骨において使用されて、より対称的な骨の回復を生じ得る;図37を参照のこと)。このシステムはまた、回復するための骨の外側表面に隣接して配置されるための第一の管、およびこの骨の内側の遠位端に固定するためのねじ切りされた端部を有する第一の棒を備え得る(この第一の棒は、この第一の管の内部に受容され得る)。このシステムはまた、第一の管を内部に受容するための第二の管、およびこの第二の管を受容するための第三の管を備え得る。この第三の管は、骨の外側表面にこの第三の管を係留するための、1つ以上の係合手段を備え得る。このシステムは、骨の側部に細長開口部を作製するためのドリルをさらに備え得、このドリルは、第一の棒によって案内され得る。さらに、このシステムは、拡張可能な移植物を患者に挿入するための、医療用挿入デバイスをさらに備え得る。
【0019】
本発明のなおさらに別の実施形態において、拡張可能な移植物を患者に挿入するための、医療用挿入デバイスが開示される。このデバイスは、中心ボアを有する把持部分、この中心ボアに収容される第一の管、およびこの第一の管に収容されるねじ切りされた棒を備え得、このねじ切りされた棒は、患者への挿入のために移植物を受容するための遠位端を備え得る。このデバイスはまた、把持部分および/または移植物キャリアに取り付けられたハンドル、ならびにこの移植物の拡張を決定するためのゲージを備え得る。
【0020】
本発明のなお他の特徴、利点、実施形態および目的は、添付の図面および以下の詳細な説明を参照すると、さらにより明瞭になる。図面の簡単な説明は、以下に記載される。
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
骨の回復のための拡張可能な移植物であって、以下:
上記移植物に固有の、1つの拡張面であって、上記1つの拡張面は、骨の回復面に対応する、拡張面;
上記骨のための、第一の負担表面および第二の負担表面をそれぞれ形成する、対向する第一のプレートおよび第二のプレートであって、上記第一のプレートおよび第二のプレートは、上記移植物の拡張の際に、上記1つの拡張面に沿って互いから離れて移動するために適している、第一のプレートおよび第二のプレート;
上記第一の負担表面および第二の負担表面の各々のための、第一の支持体および第二の支持体であって、それぞれ、第一のプレートおよび第二のプレートの下方に位置する、第一の支持体および第二の支持体;ならびに
上記移植物の拡張を制御するための手段であって、上記手段は、各支持体と対応するプレートとの間に提供される材料ウェブを備え、上記移植物の拡張を制御する所定の厚さを有する、手段、
を備える、拡張可能な移植物。
(項目2)
各材料ウェブに隣接して位置する溝をさらに備え、上記溝は、各支持体とそれぞれのプレートとの間のクリアランスを可能にするための所定の幅を有する、項目1に記載の拡張可能な移植物。
(項目3)
各支持体の長さが互いに実質的に等しい、項目1に記載の拡張可能な移植物。
(項目4)
上記プレートのうちの少なくとも一方の、少なくとも1つの第一の支持体の長さが、対応する第二の支持体より短く、その結果、上記移植物の拡張の際に、上記第一のプレートおよび第二のプレートが、互いに対してある角度で移動する、項目1に記載の拡張可能な移植物。
(項目5)
上記第一の支持体および第二の支持体が、1対の第一の支持体および第二の支持体を備える、項目1に記載の拡張可能な移植物。
(項目6)
拡張可能な移植物を患者に挿入するための、医療用挿入デバイスであって、以下:
中心ボアを有する把持部分;
上記中心ボアに収容される第一の管;
上記第一の管に収容されるねじ切りされた棒であって、上記患者への挿入のために、移植物を受容するための遠位端を有する、ねじ切りされた棒;
上記把持部分および/または上記移植物キャリアに取り付けられた、ハンドル;ならびに上記移植物の拡張を決定するためのゲージ、
を備える、デバイス。
(項目7)
上記把持部分の近位端と上記第一の管の近位端とが、同一面にある、項目6に記載のデバイス。
(項目8)
上記ハンドルが、上記把持部分と上記第一の管との、いずれかまたは両方の近位端に取り付けられている、項目6に記載のデバイス。
(項目9)
上記ハンドルが、上記把持部分および/または上記第一の管に対して自由に回転する、項目8に記載のデバイス。
(項目10)
上記ハンドルが、ねじ山を有する開口部を備え、上記ねじ山のねじ山ピッチが、上記ねじ切りされた棒のねじ山ピッチに対応する、項目6に記載のデバイス。
(項目11)
上記ゲージが、上記把持部分内の、上記ねじ切りされた棒の一部を受容するための開口部を備える、項目6に記載のデバイス。
(項目12)
上記窓に隣接して位置する第一のマークをさらに備え、上記第一のマークは、上記窓内に表示される、上記ねじ切りされた棒の一部に提供された第二のマークに関連し、上記ねじ切りされた棒の回転が、上記第一のマークと第二のマークとの間の相対的な移動を引き起こす、項目11に記載のデバイス。
(項目13)
上記ねじ切りされた棒が回転することを実質的に止めるロックデバイスをさらに備える、項目6に記載のデバイス。
(項目14)
骨の回復のためのシステムであって、以下:
少なくとも1つの拡張可能な移植物であって、骨の回復面に対応する1つの拡張面を有する、拡張可能な移植物;
回復させる骨の外側表面に隣接して位置するための、第一の管;
上記骨の内部の遠位端に固定するためにねじ切りされた端部を有する第一の棒であって、上記第一の棒は、上記第一の管に受容される、第一の棒;
上記第一の管を内部に受容するための第二の管;
上記第二の管を受容するための第三の管であって、上記第三の管は、上記第三の管を上記骨の外側表面に係留するための1つ以上の係合部材を備える、第三の管;
上記骨の側面に細長開口部を作製するためのドリルであって、上記ドリルは、上記第一の棒によって案内される、ドリル;および
拡張可能な移植物を患者に挿入するための、医療用挿入デバイス、
を備える、システム。
(項目15)
上記医療用挿入デバイスが、以下:
中心ボアを有する把持部分;
上記中心ボアに収容される第四の管;
上記第一の管に収容される第二の棒であって、上記第二の棒は、上記患者への挿入のために移植物を受容するための遠位端を有し、そしてねじ切りされている、第二の棒;
上記把持部分および/または上記移植物キャリアに取り付けられた、ハンドル;ならびに上記移植物の拡張を決定するためのゲージ、
を備える、項目14に記載のシステム。
(項目16)
ヒトまたは動物の骨の解剖学的構造を回復させるための方法であって、以下:
1つの拡張面を有する拡張可能な移植物を、骨に導入する工程;
上記1つの所定の面を骨の回復面と一致させるように、上記拡張可能な移植物を、上記骨の内部で位置決めする工程;
上記骨の回復面内で上記移植物を拡張させる工程であって、第一の支持表面および第二の支持表面が、上記骨の内部の組織を広げる、工程;ならびに
上記移植物の周囲に充填材料を注入する工程、
を包含する、方法。
(項目17)
上記注入する工程が、イオン性セメントを注入する工程を包含する、項目16に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】図1Aは、休止位置にある、本発明の1つの実施形態による拡張可能な移植物の1つの実施形態の斜視図を図示する。
【図1B】図1Bは、展開/拡張した位置にある、図1Aの例を図示する。
【図2A】図2Aは、休止位置にある、本発明の別の実施形態による拡張可能な移植物の別の実施形態の側面図を図示する。
【図2B】図2Bは、展開/拡張した位置にある、図2Aの例を図示する。
【図2C】図2Cは、図2Aの例を図示する。
【図3】図3は、図1Aによる例の側面図を図示する。
【図4】図4は、図3の線I−Iに沿った断面図を図示する。
【図5】図5は、図3の線II−IIに沿った断面図を図示する。
【図6】図6は、図1Aによる例のFに従う端面図を図示する。
【図7】図7は、図1Aによる例の上からの図を図示する。
【図8】図8は、休止位置にある、本発明の別の実施形態による拡張可能な移植物の第二の実施形態の斜視図を図示する。
【図9】図9は、展開位置にある、図8の例を図示する。
【図10】図10は、図8による例の側面図を図示する。
【図11】図11は、図10の線III−IIIに沿った断面図を図示する。
【図12】図12は、図10の線IV−IVに沿った断面図を図示する。
【図13】図13は、図10の線V−Vに沿った断面図を図示する。
【図14】図14は、図10の線VI−VIに沿った断面図を図示する。
【図15】図15は、図8による例のGに従う端面図を図示する。
【図16】図16は、図8による例の上からの図を図示する。
【図17】図17〜29は、本発明による、骨の回復のための方法の1つの実施形態の様々な工程を概略的に図示する。
【図18】図17〜29は、本発明による、骨の回復のための方法の1つの実施形態の様々な工程を概略的に図示する。
【図19】図17〜29は、本発明による、骨の回復のための方法の1つの実施形態の様々な工程を概略的に図示する。
【図20】図17〜29は、本発明による、骨の回復のための方法の1つの実施形態の様々な工程を概略的に図示する。
【図21】図17〜29は、本発明による、骨の回復のための方法の1つの実施形態の様々な工程を概略的に図示する。
【図22】図17〜29は、本発明による、骨の回復のための方法の1つの実施形態の様々な工程を概略的に図示する。
【図23】図17〜29は、本発明による、骨の回復のための方法の1つの実施形態の様々な工程を概略的に図示する。
【図24】図17〜29は、本発明による、骨の回復のための方法の1つの実施形態の様々な工程を概略的に図示する。
【図25】図17〜29は、本発明による、骨の回復のための方法の1つの実施形態の様々な工程を概略的に図示する。
【図26】図17〜29は、本発明による、骨の回復のための方法の1つの実施形態の様々な工程を概略的に図示する。
【図27】図17〜29は、本発明による、骨の回復のための方法の1つの実施形態の様々な工程を概略的に図示する。
【図28】図17〜29は、本発明による、骨の回復のための方法の1つの実施形態の様々な工程を概略的に図示する。
【図29】図17〜29は、本発明による、骨の回復のための方法の1つの実施形態の様々な工程を概略的に図示する。
【図30】図30〜32は、本発明による、骨の回復のための方法の別の実施形態の工程を概略的に図示する。
【図31】図30〜32は、本発明による、骨の回復のための方法の別の実施形態の工程を概略的に図示する。
【図32】図30〜32は、本発明による、骨の回復のための方法の別の実施形態の工程を概略的に図示する。
【図33】図33は、本発明の別の実施形態による、患者の骨への移植物の挿入のための移植物キャリアデバイスの斜視図を図示する。
【図34】図34は、図33の移植物キャリアデバイスの上面図を図示する。
【図35】図35は、図33および図34に示される移植物キャリアのための、拡張ゲージを図示する。
【図36】図36は、図33および図34に示される移植物キャリアを使用する、開示される実施形態に従う移植物のための拡張値の図を図示する。
【図37】図37は、本発明の別の実施形態による移植物の一部の使用を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施形態の詳細な説明)
図1A〜図7に示される拡張可能な移植物1(および他の実施形態)は、以下のうちの1つ以上を備え得る:
・その移植物に固有であり得る、1つの所定の拡張面2、
・拡張可能な移植物を位置決めして、拡張面を骨の回復面に対応させるための手段3、・1つの拡張面2において、拡張可能な移植物を展開するための手段4、
・移植物のあらゆる拡張の前の移植物の最小の厚さAと、移植物の最大の拡張後の移植物の最大の厚さBとの間で、所定の拡張値を制御するための手段5、ならびに
・骨においてそれぞれ第一の支持表面8および第二の支持表面9を形成し得る、対向する第一のプレート6および第二のプレート7であって、これらのプレートは、移植物1の拡張の間、1つの拡張面2に沿って互いから離れて移動するように適合されている、プレート。
【0023】
図1Aおよび図1Bに示されるように、移植物1は、横断方向の円形外側断面を有する、円筒形の形状を備え得、そして生体適合性材料(例えば、チタン)から、管状本体24に、旋盤加工技術、レーザー技術、および/または電気浸食製造技術を使用して、作製され得る(鋳造製造もまた、使用され得る)。移植物1はまた、第一の端部20および第二の端部21を備え得、これらの端部は、それぞれ、管状本体24の横断面の形状を呈する。これらの端部は、好ましくは、図1Bおよび図2Bに示されるように、この移植物の展開/拡張を可能にするように、互いの方へと動くように適合される。
【0024】
従って、2つの端部20、21は、第一の直線アーム22および第二の直線アーム23によって互いに接続され、これらのアームは、この移植物が展開されていない場合に、平行である。これらのアームは、管状本体24において、長手軸方向に形成され得る。すなわち、端部20および21が互いの方へと近付く際に折り畳まれ得、これはまた、管状本体の長手方向軸10から、対向する第一のプレート6および第二のプレート7の距離をとらせる。
【0025】
図2A〜図2Bは、図1Aおよび図1Bに開示される実施形態と類似であるが、支持体のセット(例えば、4バーの連結)を加えた、移植物の1つの実施形態を図示する。より具体的には、図2A〜図2Bの移植物は、支持体13A、13B、14A、14B、15A、15B、16Aおよび16Bを備え、上のプレートと下のプレートとの各々に対して、2対の支持体を備える。さらなる支持体は、この移植物のためにさらなる剛性を提供し得、そして/またはプレート6および7が、実質的に平行かつ/または等間隔の様式で展開することを確実にし得る。
【0026】
図4〜図5に示されるように、アーム22および23が(管状本体24の長手方向軸10を通る)1つの面2内で展開するために、アーム22および23は、好ましくは、正反対側にある。この点に関して、アーム22および23は、管状本体24の横断凹部40から形成され得、この管状本体全体を横断し、そして移植物1の2つの端部20および21との間での、管状本体の長さにわたって延びる。図5に示されるように、アーム22、23は、それぞれ2つの端部20および21を接続し、管状本体24の外側表面の円弧26によって境界を定められる横断面を呈する。弦27は、円弧26を規定し、そして凹部40を形成するための壁25を備え得る。凹部40は、長手方向軸10に関して対称的であり得る。
【0027】
各アーム22、23は、3つの連続的な剛性部分に分割され得、これらの剛性部分は、(例えば)以下のように、端部20および21に関連して、一緒に関節運動し得る。上側のアーム22に関して、第一の剛性部分28は、関節29によって、一端にて端部20に接続される。剛性部分28の他端は、関節31によって、第二の隣接する剛性部分30の第一の端部に接続される。第二の剛性部分30は、関節33によって、第三の剛性部分32の第二の端部に接続され得る。第三の剛性部分32の他端は、関節34によって、端部21に接続され得る。好ましくは、関節29、31、33および34は、回転の1の自由度を有し得、それぞれ、拡張面2に対して垂直な軸の周りで作用する。好ましくは、関節29、31および33は、図1A〜図3に示されるように、関連する関節運動ゾーンにおいて、アームを形成する壁を薄くすることにより、形成される(例えば、参照番号5および81を参照のこと)。
【0028】
各アーム22、23は、展開され得、その結果、中心剛性部分30が、移植物の長手方向軸10から離れるように移動し、移植物の端部20および21互いの方へと動かされる場合に、2つの隣接する剛性部分28および32によって押される。図3により具体的に示されるように、端部20および21が互いの方へと動かされる場合に、アームの動きを正しい方向に制限する目的で、アームの種々の部分の適切な回転接続を確立することが好ましい。
【0029】
従って、上側のアーム22の端部28、32の剛性部分は、それぞれ、これらの剛性部分を形成する材料ウェブの下部において、端部20および21上で関節運動され得る。端部28、32の剛性部分はまた、剛性部分28、32を形成する材料ウェブの上側部分において、中心剛性部分30に対して関節運動され得る。端部20および21に力が付与されてこれらの端部をこの移植物の長手方向軸10に沿って一緒に動かす場合、関節運動の移動は、端部28および21の剛性部分の回転連結を確立する。この移動は、中心剛性部分30が長手方向軸10から離れて移動する結果として、剛性部分32を、移植物の外側の方へと旋回させる傾向がある。
【0030】
下側アーム23は、上側アームと類似の様式で構成され得、そして好ましくは、長手方向軸10を通る拡張面2に対して垂直な面に関して、上側アーム22と対称的である。
【0031】
従って、本発明のいくつかの実施形態によれば、上側アーム22および下側アーム23の関節は、好ましくは、溝81によって提供される弱化ゾーンによって形成される。これらの溝は、管状本体24を形成する材料の薄いウェブ(すなわち、31、33における材料の厚さ)を規定し、この厚さは、この材料が破壊されることなく弾性変形することを可能にするように、(図に示されるように)溝81の深さによって決定され得る。具体的には、1つの実施形態によれば、上側アーム22のアーム28および32の剛性部分、ならびに下側アーム23におけるそれらに対称な部分は、過剰拡張と称される位置を呈し得、ここで、端部20および21が互いの方へと動く際に(端部21は、その最大拡張能力まで開く)、意図される剛性部分は、移植物1の長手方向軸10に対して垂直であり、対応する材料の可塑性変形を生じる。溝81の幅は、好ましくは、上側アームおよび下側アームの対のクリアランスを可能にするように、そしてまた、この材料の破壊なしで可塑性変形を確実にするために、ウェブの適切な曲率半径を与えるように、予め決定される。
【0032】
対向する第一のプレート6および第二のプレート7は、上側アーム22および下側アーム23に形成され得る。上側アーム22に関して、例えば、剛性プレート6は、中心剛性部分30によって、そしてこの部分の両側から延びる材料延長部(端部28および32)によって、形成され得る。剛性プレートを作製するために、端部28および32は、1対の横断スロット35および36を使用して、上側アーム22から分離される。これらの横断スロットは、各それぞれの端部の長さにわたって長手軸方向に延びる(図3〜4を参照のこと)。関節31および33、ならびに端部28および32は、それぞれ、第一のプレート6のための第一の支持体12および第二の支持体13を形成する。同じことが、対称にすることによって、第二のプレート7に対して適用される。
【0033】
従って、図示される実施形態によれば、第一のプレート6および第二のプレート7は、それぞれ、第一の片持ち梁ウィング16、18、および第二の片持ち梁ウィング17、19を備え得、これらのそれぞれの取り付けゾーンは、第一の支持体12、14および第二の支持体13、15と同じ高さに位置する。図1A〜3に示されるように、第一の片持ち梁ウィング16、18および第二の片持ち梁ウィング17、19は、1つの拡張面2における、第一のプレート5または第二のプレート7の一方の最大の移動値に実質的に対応する長さを有し得る。
【0034】
第一のプレート6および第二のプレート7は、それぞれ、第一の支持表面8および第二の支持表面9を形成し、各々が、移植物の長さに実質的に等しくあり得る長さを有し、そして拡張の間、長手方向軸10に対して垂直に配置され得る。本発明の1つの実施形態によれば、移植物1は、管状本体24として形成されるので、第一のプレート6および第二のプレート7は、それぞれ、湾曲した表面を形成し、これらの表面は、それぞれ、長手方向軸10に対して平行である。
【0035】
拡張可能な移植物を骨において位置決めして、拡張面2を骨の回復面に対応させるための手段3は、係合手段を備え得、この係合手段は、この移植物の、長手方向軸10の周りでの角配向を可能にする。例えば、このような手段は、第一の表面37、38を備え得、これらの表面は、端部の円形セクション20を有する円筒形表面上に形成され、これは、移植物1の回転係合を可能にし得る。拡張可能な移植物を、1つの拡張面2において展開するための手段4は、上側アーム22の端部28および32、ならびに下側アーム23の、対応する対称な端部を備え得、上側プレート6および下側プレート7の展開を可能にする。
【0036】
移植物キャリア71(図23を参照のこと)は、骨内に配置される場合に、この移植物の端部20および21が一緒に動くことを可能にするために、使用され得る。移植物キャリア71は、移植物の端部20を支持することによって、例えば、端部21が端部20の方へと引かれること、またはその逆(例えば、端部21が支持され、そして端部20が端部21の方に押される)を可能にする。この目的で、例えば、遠位端21は、移植物キャリア71(これは、対応するねじ切りされた部分を備える)の係合を可能にするための、長手方向軸10に沿ってねじ切りされたか移行部39を備える。近位端20は、移植物キャリア71のコアが遠位端21まで通ることを可能にするための、長手方向軸10に沿って、ボア80を備え得る。
【0037】
制御手段5は、移植物キャリアによって提供され得、この手段は、端部20および21を一緒に動かすための、ミリメートルでの制御手段を備え得る。この制御は、好ましくは、螺合係合によってなされ、この拡張を、あらゆる瞬間において、必要に応じて停止させる。他方で、これらの制御手段はまた、アーム22および23の関節運動によって、より具体的には、各アームを規定する材料ウェブの厚さ(例えば、31、33)が、可塑性領域において変形し、アームの所定の展開位置を実質的に保存すること(事実上無視できる弾性収縮を除く)によって、提供される。
【0038】
移植物のプレート6および7の拡張、およびそれらの安定性は、一旦展開されると、プレート6および7をこれらのプレートによって骨の幾何学的形状に適合させることによって、達成され得る。本発明のいくつかの実施形態においては、プレート6および7は、平行な配置で展開されるが、本発明の他の実施形態は、この移植物のプレート6および7が、必要に応じて、平行ではない(例えば、骨の解剖学的構造の関数として)移動で展開さえることを可能にする。例えば、プレート6および7の拡張は、個々の支持アームの長さが異なる場合には、平行ではないかもしれない。例えば、支持体12および14が、支持体13および15より長い場合(図1A〜図2Bを参照のこと)、この移植物の展開は、プレート6および7を、強制的に、次第に互いから離す。図1A〜図2Bにおいて、このことは、プレート6および7が、端部21において、端部20においてよりも互いから離れる結果となる。当業者が理解するように、構成に依存して、1つのみの代表的な支持体が、特定の角度を得るために、延長/短縮される必要がある。
【0039】
同様に、図2A〜図2Cに示されるように、支持体12A、12B、13A、13B、14A、14B、14Aおよび14Bを備える4バーの連結が、示されるように、等しい長さである場合(すなわち、12Aの長さ=13Aの長さ、12Bの長さ=13Bの長さ、など)、この移植物の拡張の際に、平行四辺形が生じる(平行四辺形は、線分ADとBCとの間に形成される)。L1およびL2の長さを改変することによって、4バーの連結は、拡張の際に平行四辺形を生じず、むしろ、プレート6と8との間に角度が生じる。形成される角度はまた、端部20と21と外貨に接近して互いの近くに引かれるかに依存し得る。移植物が展開されると、この角度は、次第に増加する。
【0040】
図8〜図16は、拡張可能な移植物101の第二の実施形態に関し、この移植物の要素は、図1〜図7に図示された移植物の実施形態の対応する要素と機能的に類似である。さらに、図8〜図16における対応する図は、図1〜図7に図示される実施形態に関連して、100を加えられたそれぞれ同じ参照番号を有し、従って、さらに記載されない。
【0041】
示される移植物101は、図9により具体的に示されるように、プレート106および107にウィング部が存在しないことが、移植物1と異なる。移植物101は、平行四辺形のシステム141を、アーム122および123の各々の端部128または132のうちの一方に備える。図示される実施例において、平行四辺形のシステムは、上側アーム122の端部128に提示され、端部120に接続され、そして対応するシステムが、下側アーム123に提示される。これらの平行四辺形のシステムは、アーム122および123の各々のプレートの、移植物の長手方向軸110に対して平行な移動を確実にするために、使用され得る。図に示されるように、アーム122の端部128は(対応するアーム123と同様に)、移植物の中心部分130および端部120にわたって(それぞれ)関節131および129と同様に分離しており、これによって、対応するプレートの移動の間に変形可能な平行四辺形を形成する。
【0042】
変形可能な平行四辺形141の関節運動は、図8〜16に示されるように、アーム122の他の関節131、133、134と同じ様式で生じ得る。上で説明され、そして図11〜14に表されるような、開示される幾何学的形状は、アームの種々の部分129、130、132に対する力の結合を確立する。このことは、移植物101の端部120および121を一緒に動かす場合に、所望の移動を可能にする。
【0043】
変形可能な平行四辺形141を得る目的で、アームの端部128は、好ましくは、3つの長手軸方向レバー(2つの横方向レバー142および1つの中心レバー143)に分割される。これらのレバーは、変形可能な平行四辺形141の2辺を形成する。この平行四辺形の残りの2つの辺は、アーム122の中心部分の延長部144(これは、中心レバー143の延長軸内に配置される)、および端部120の二重の延長部145(これは、移植物の長手方向軸110に対して平行に延び、そして2つの横方向レバー142の延長軸内に配置される)によって形成され得る(図8を参照のこと)。
【0044】
アーム122および123は、移植物101の長手方向軸110を通る延長面102に対して実質的に垂直な面に関して、対称であり得、これによって、この移植物の拡張の間、2つのプレート106および107の移動は、長手方向軸110に対して平行な様式であることに注目することは、価値がある。
【実施例】
【0045】
(骨の回復の実施例)本発明の1つの実施形態に従って、拡張可能な移植物を使用して、ヒトの骨を回復させるための方法の第一の例を、ここで図17〜29を参照して記載する。この実施例は、より具体的には、骨折の整復を伴う、後外側の経路を介しての椎骨の骨回復のための方法に関する。従って、この方法は、以下の工程のうちの1つ以上(そして好ましくは、全て)を包含し得る。当業者は、本発明のこのような実施形態に従う移植物が、骨の内部の組織を押し/分割し、その結果、移植物の負担表面が、好ましくは、回復のための骨組織と接触することを理解する。
【0046】
1つの規定された面2において(好ましくは)拡張可能である、拡張可能な移植物が、椎骨60に導入され、この椎骨の形状が、回復される。この操作を行うためには、棒/ピン61(例えば、Kirschnerピン型)が、後外側経路を介して皮下に配置され、その結果、ねじ切りされた端部62が、ピンで貫通される皮質骨64の反対側で、皮質骨63内に固定され得る(例えば、ねじ込まれ得る)(図17)。ピン61は、第一の管65の端部が皮質骨64の外側表面と接触する(例えば、支持され得る)まで、第一の拡大管65内に受容される(図18)。
【0047】
第一の拡大管65は、第二の管66の端部が皮質骨64の外側表面に接触する(例えば、支持される)まで、第二の拡大管66によって受容される(図19)。第二の拡大管は、第三の拡大管67によってさらに受容され、この第三の拡大管は、皮質骨64の外側表面に接触する(例えば、支持される)(図20)。第三の拡大管67の端部の歯68が、皮質骨64内にこの管を係留する。
【0048】
次いで、第一の拡大管65および第二の拡大管66は、図21に示されるように、取り外され、管67によって囲まれるピン61のみを残し、これらは、管状スペーサー68によって、互いから分離される。次いで、近位皮質骨64および海綿質70は、図22に示されるように、(例えば)ピン61によって案内されるドリル69によって穿孔される。1つの実施形態において、この海綿質は、(およそ)最も遠位の3分の1が穿孔され、次いで、ドリル69は、引き抜かれ得る(ピン61が同様に引き抜かれ得る)。
【0049】
移植物1の近位端は、(好ましくは)移植物キャリア71の中空コアの遠位端に取り外し可能に取り付けられ、このキャリアは、次いで、図23に示されるように、管67のコアに導入される。この移植物は、(例えば)螺合係合を介して、移植物キャリアに取り外し可能に固定され得る。移植物キャリア71のコアの内部には、遠位端を有する棒3316が挿入され得る。この遠位端は、移植物の遠位端を係合するための係合手段を備える(そしてまた、棒の直径より大きい拡張した近位端を備え得る)。移植物キャリアへの移植物の固定と同様に、この移植物へのこの棒の係合手段は、螺合係合を介し得る。
【0050】
移植物キャリア71は、図33に示されるように、(例えば)この移植物キャリアに対する棒の動きを制御するための、ハンドリング手段3310を備える。このハンドリング手段は、中心ボアを有する把持ブロック3312を備え得、この中心ボアを通して、移植物キャリア71が配置され、そして少なくとも回転可能であるが好ましくは回転可能かつ線形運動可能に、適所に保持される。この点に関して、把持部材の近位端および移植物キャリアの近位端は、好ましくは、同一面にある。ハンドル3314は、本発明の1つの実施形態によれば、把持部材および移植物キャリアのいずれかまたは両方の近位端に取り付けられ得るが、好ましくは、時計回り方向および反時計回り方向のいずれかまたは両方で、これらに対して自由に回転する。本発明のなお別の実施形態において、このハンドルは、把持ブロックおよび移植物キャリアのいずれかにも両方にも取り付けられないかもしれない。このハンドルは、中心開口部を備え得、この開口部は、好ましくは、所定のねじ山ピッチのめねじのねじ山を備える。
【0051】
移植物キャリアの内部に受容される棒3316は、好ましくは、ハンドル3314のねじ山ピッチに対応するおねじを備える。ロックデバイス3311は、把持ブロックに対してスライドし、そしてピン3321を備え得る。このピン3321は、棒3316と摩擦により干渉して、この棒を適所にロックする(すなわち、回転運動しない)。
【0052】
棒のねじ山は、好ましくは、少なくともこの棒の長さの大部分に沿って提供される。本発明の1つの実施形態によれば、棒、移植物キャリア、把持ブロックおよびハンドルは、予め組み立てられ得る。この棒のねじ切りされた遠位端を、移植物の近位端の中心の開口部に挿入し、次いで、この棒は、この移植物の遠位端の中心の、対応するねじ切りされた部分に受容され得る。次いで、移植物と移植物キャリア/ハンドリング手段とのアセンブリの遠位端(すなわち、移植物の位置)は、拡大管67に挿入され得る。
【0053】
図34は、移植物キャリアの別の図を図示し、そして移植物の拡張の量を示す(例えば、棒3316の回転の量の決定)ために使用され得る、ゲージ3320を備える。このゲージは、棒3316に対する窓を備え得る。図35に示されるように、本発明の1つの実施形態によれば、棒の見える部分は、ねじ山を備えないかもしれない。むしろ、棒のこのセクションは、マーク3322を備え得、このマークが、拡張の百分率を示す。窓に隣接して提供されるさらなるマーク3324は、使用者が、拡張の百分率を、2つのマークの間の相対運動から測ることを可能にする。
【0054】
棒3316の所定のねじ山ピッチおよびねじ山の方向に依存して、ハンドルの回転は、棒3316を移植物キャリアに対して、ある方向に線状に移動させる。好ましくは、これらのねじ山は、ハンドルの時計回りの回転が、この棒を外向きに移動させて、移植物が拡張される領域(移植領域)から離すように、提供される。例えば、M5のねじについて、0.8mmのピッチが使用され得る。しかし、当業者は、(例えば)約0.5mmと約1.0mmとの間のねじ山ピッチが使用され得ることを理解する。図36は、3つの特定のサイズの移植物についての、この棒の回転の回数による、本発明の実施形態の1つによる移植物の、付加のない拡張を図示する図である。
【0055】
従って、上記実施形態を考慮して、一旦、移植物が拡大管内に配置されると、この管の内部に沿ってスライドされ、椎骨60の内部に配置される。この移植物は、好ましくは、1つの拡張面2が、望ましい骨の回復面に対応するように位置決めされる(図24)。この移植物の位置は、任意の公知の画像化技術(例えば、X線および超音波が挙げられる)を使用して、確認され得る。
【0056】
次いで、ハンドル3314は、回転されて、この棒を移植領域から「引き」離す。移植物の近位端は、移植物キャリアに突き当たるので、この棒を引くことにより、この移植物の遠位端は、近位端の方へと移動する(またはその逆である)。この結果として、移植物の端部は、互いの方へと引かれ、これにより、移植物を開く。より具体的には、対向するプレート6および7が展開され、それぞれ、第一の支持表面8および第二の支持表面9を、椎骨60の内部に有利に形成し、これらの表面は、それらの長さにわたって連続的であり得、この長さは、移植物1の長さに実質的に等しくあり得る(図25)。この拡張の経過において、骨折の整復の制御がなされる。
【0057】
従って、椎骨内での移植物の拡張は、プレートの下方の支持体によって達成され、押し付ける力が、この支持体の下方のプレートの長さにわたって分配される。従って、十分な長さのプレートが提供され得、一方で、撓みに抵抗するために、このプレートの厚さの過剰の寸法が制限される。本発明のいくつかの実施形態による移植物は、長さの空間的要件(非拡張)対上昇プレートの長さの、極度に最適化される比を呈し、例えば、骨折の整復の観点で、制限された骨内空間の好ましい使用を可能にすることが、当業者によって理解される。
【0058】
棒3316はまた、本発明の実施形態の1つによれば、脱係合手段を備え得、この手段は、この棒の近位端3318の内部六角形を備え得る。これにより、一旦、この移植物が展開されると、この棒を移植物から脱係合させることが可能になり得る。あるいは、ハンドルが、把持ブロックおよび/または移植物キャリアに取り付けられない場合、このハンドルは、逆方向に回転され得(すなわち、棒が移植物から離れる方向に移動しないように回転され得)、その結果、このハンドルは、把持ブロックおよび移植物キャリアの同一面部分から離れるように移動し、その結果、このハンドルは、この棒の近位端に係合する。このハンドルをさらに(移植物の展開後に)逆回転させると、この棒は、このハンドルと同じく逆回転し、これによって、この棒が、この移植物から脱係合する。所定のねじ山ピッチに依存して、このような脱係合は、任意の回転数(例えば、1回転以下)でなされ得る。図26もまた参照のこと。
【0059】
好ましくは、この棒が取り外された後に、充填材料74が、移植物の周囲に注入される。この充填材料は、例えば、イオン性セメントを含有し得、特に、移植物の内部および周囲を充填する観点から、リンカルクセメント、アクリルセメント、またはアクリルセメントの化合物を含有し得る。このことを達成するために、注入器73の針が、この針の端部が移植物1の遠位オリフィス39に達するまで、管67に沿ってスライドされる(図27)。次いで、この充填材料は、この針を介して注入される。逆方向の様式での連続注入は、椎骨60の近位オリフィス64までなされ得る(図28)。次いで、この注入器の針は、管67から引き抜かれ得る(図29)。
【0060】
本発明の実施形態による、ヒトの骨の解剖学的構造の回復のための方法の第二の例が、ここで図30〜図32を参照して記載される。この実施例は、一般に、骨折の整復を伴う、経茎経路による、椎骨の骨回復のための方法に関する。
【0061】
この第二の実施例は、第一の実施例と類似であり、そして椎骨60内への移植物の経茎経路が、第一の実施形態とは異なる。この経路は、ここで、第一の方法において使用された後外側経路の代わりに、経茎の様式(図30)で達成される。従って、移植物1を椎骨に導入するために使用される異なる経路を示すために、第二の方法のうちのいくつかの工程のみが、図30〜図32に提供される。図30から図32について、第一の方法の実施例の要素と同じ要素は、同じ参照番号を有し、そしてこれらの図は、それぞれ、第一の方法の実施例の図24、図25、および図28の工程に対応する。図32に示される工程に関して、後者は、注入器73の針を、図32において、移植物の遠位端のより近くに配置することにより、図28とはわずかに異なる。
【0062】
従って、本発明は、先行する記載から明らかになる目的を達成することが分かる。特定の変化が、本発明の範囲から逸脱することなくなされ得るので、上記説明に含まれるか、または添付の図面に示される全ての事項は、例示として解釈され、そして文字通りの意味では解釈されない(従って、限定されない)ことが、意図される。当業者は、本明細書中に図示および記載された方法、デバイスおよびシステムの構成が、本発明の範囲に入る複数の可能なシステム構成の例であることを認識する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2013−78639(P2013−78639A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−286471(P2012−286471)
【出願日】平成24年12月28日(2012.12.28)
【分割の表示】特願2010−174886(P2010−174886)の分割
【原出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(506405851)
【Fターム(参考)】