説明

骨吸収抑制剤

【課題】 ケール加工物と大豆胚芽抽出物、スピルリナおよび/またはカルシウム含有物からなる骨吸収抑制剤、ならびに骨吸収抑制剤を含有する食品を提供する。
【解決手段】 ケール加工物と大豆胚芽抽出物、スピルリナおよび/またはカルシウム含有物からなる骨吸収抑制剤、ならびに骨吸収抑制剤を含有する食品を提供する。この骨吸収抑制剤ならびに骨吸収抑制剤を含有する食品は、優れた骨吸収抑制作用を有する。さらに、骨吸収抑制剤は嗜好性も高く、様々な食品への適用が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケール加工物と大豆胚芽抽出物、スピルリナおよび/またはカルシウム含有物からなる骨吸収抑制剤、ならびに骨吸収抑制剤を含有する食品に関する。
【背景技術】
【0002】
ケールは、キャベツなどと同じアブラナ科植物の1種であり、ビタミンCなどのビタミン類、ミネラル類、食物繊維、クロロフィルなどに富み、また、胃炎や胃潰瘍の予防、肝機能の改善や便秘に有効であるなど、人体の健康維持に適する健康食品素材として注目を浴びている。ケールは、種々の処理をされて、いわゆる青汁として販売されている。青汁の形態には、一般に、ケールの葉部および茎部をそのまま微粉砕して得られる液状物、あるいはその液状物を搾汁して得られる搾汁液、上記液状物あるいは搾汁を濃縮したペースト、上記液状物あるいは搾汁の乾燥物、およびケールの葉部および茎部をそのまま乾燥、粉末化したものがあり、乾燥物や粉末は、水、お湯、ミルクなどに溶解して飲用する形態で提供されている。
【0003】
また、大豆胚芽抽出物も、フラボノイド類であるイソフラボンに富み、更年期障害、骨粗鬆症、高血圧、高脂血症の予防作用を有するといわれ、健康食品素材として注目を浴びている。
【特許文献1】特開平6−169689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、大豆胚芽抽出物は、独特な風味を有し、摂取しにくいという問題点がある。さらに、その独特な風味により、食品への利用が容易でないという問題点がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、大豆胚芽抽出物を含有する食品の風味を改善して、大豆胚芽抽出物中とケールに含まれる成分の効率よい摂取とを可能とする骨吸収抑制剤、ならびに骨吸収抑制剤を含有する食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、大豆胚芽抽出物に含有される成分を効率よく摂取できる方法などについて鋭意検討したところ、ケール加工物とスピルリナと大豆胚芽抽出物を併用すれば、優れた骨吸収抑制作用を有するとともに、嗜好性も高い骨吸収抑制剤とすることができることを見出した。このため、様々な食品への適用も可能となることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、ケール加工物と大豆胚芽抽出物、スピルリナおよび/またはカルシウム含有物からなる骨吸収抑制剤に関する。
【0008】
また本発明は、前記骨吸収抑制剤を含有する、食品に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ケール加工物と大豆胚芽抽出物、スピルリナおよび/またはカルシウム含有物からなる骨吸収抑制剤、ならびに骨吸収抑制剤を含有する食品は、骨吸収作用を有し、かつその嗜好性が高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、下記の実施形態で制限されない。つまり、特許請求の範囲に記載されている内容の範囲内において、本発明は変更が可能である。
【0011】
(本発明の骨吸収抑制剤)
本発明の骨吸収抑制剤は、ケール加工物と大豆胚芽抽出物、スピルリナおよび/またはカルシウム含有物を用いている。以下、ケール加工物、大豆胚芽抽出物、スピルリナおよびカルシウム含有物について説明する。
【0012】
(ケール加工物)
本発明においてケール加工物とは、ケール乾燥粉末、ケールの細片化物およびその乾燥粉末、ケールの搾汁およびその乾燥粉末、ケールのエキスおよびその乾燥粉末など、ケールに何らかの加工を施したものをいう。
【0013】
本発明のケール加工物の原料としては、例えば、キッチンケール、ツリーケール、ブッシュケール、マローケール、コラード、および緑葉カンランなどの様々な種類のケールを用いることができる。これらのケールは、収穫後直ちに処理されることが好ましい。処理までに時間を要する場合、ケールの変質を防ぐために低温貯蔵などの当業者が通常用いる貯蔵手段により貯蔵するのが好ましい。
【0014】
また、本発明においては、ケールの葉部および茎部のいずれの部分も適用することができる。
【0015】
ケールは、収穫後、水などで洗浄し、水気を切って、そのまま処理するか、あるいは適切な長さ(例えば5cm)に切断し、処理して用いられる。
【0016】
ケールを細片化してもよい。細片化は、当業者が通常使用するスライス、細断などの植物体を細片化する方法により行われ得る。細片化には、スラリー化も含まれる。スラリー化は、ミキサー、ジューサー、ブレンダーなどにより行われ、ケールは、どろどろした粥状(液体と固体の懸濁液)になる。細片化の後に搾汁して得られるケール搾汁もまた用いられ得る。搾汁は、細片化されたケールを遠心および/またはろ過することにより行われ得る。
【0017】
本発明においては、ケールおよび上記のようにして加工されたケールは、その中に含まれるGABAが増加するように加工してもよい。
【0018】
ケールをGABA富化処理する方法には、例えば、嫌気処理または保温処理を包含する方法が挙げられる。GABA富化処理は、上記洗浄の前に行ってもよい。
【0019】
嫌気処理とは、嫌気状態におくことをいい、ほとんど酸素を含まないまたは無酸素の気体で処理することを意味する。真空状態も含む。気体としては、二酸化炭素ガス、窒素ガスが好ましく用いられる。
【0020】
保温処理の方法は特に限定されない。温水処理、赤外線照射処理、温風処理、インキュベーター処理などが挙げられる。
【0021】
嫌気処理および/または保温処理の時間は、通常30分間〜24時間行われ得る。好ましくは、1時間〜6時間である。嫌気処理および/または保温処理の温度は、約25〜50℃が好ましく、約30〜45℃がより好ましく、40℃前後が最も好ましい。25℃に満たないか、50℃を超えるとGABAの含量が上がりにくい。
【0022】
また、ケールを、一定の温度(例えば、25〜50℃)の恒温室で保存、保管することもGABA処理に含まれる。
【0023】
嫌気処理および/または保温処理は、ケールが乾燥しないような条件が好ましいが、乾燥するような条件でもよい。
【0024】
このようにして得られたケールは、処理していないケールに比べてGABAの含量が高く、通常2倍以上、好ましくは3倍以上、より好ましくは5倍以上高められている。
【0025】
なお、上記のGABA富化処理の他に、ケールをグルタミン酸溶液に浸漬するか、あるいはケール細片化物または搾汁の溶液にグルタミン酸を添加することにより、GABAを富化処理することもできる。ケール由来の物質に内在している酵素の作用により、グルタミン酸がGABAに変化し、GABA含有量が増加するからである。
【0026】
グルタミン酸溶液は、グルタミン酸のみならず、グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、グルタミン酸カルシウムのようなグルタミン酸の塩を用いて作成することができる。また、グルタミン酸および/またはその塩を含有する食品素材によっても、グルタミン酸溶液を調製することができる。
【0027】
グルタミン酸および/またはその塩を含有する食品素材としては、例えば、昆布、ワカメなどの海藻、シイタケ、マイタケなどのキノコ類、かつお(かつお節を含む)、いわしなどの魚類、あさり、しじみなどの貝類、米、小麦、大豆(これらの胚芽を含む)、茶葉、桑葉、野菜(例えば、トマト)、柑橘類(中果皮、じょうのう膜)などが挙げられる。このように、グルタミン酸および/またはその塩を比較的高濃度に含む食品素材が好ましく用いられる。このような食品素材には、可食性タンパク質に酵素処理、加熱処理などを施してグルタミン酸を遊離または生成させたものなども含まれる。
【0028】
グルタミン酸および/またはその塩を含有する食品素材は、そのままの形態で、ケールの細片化物もしくは搾汁またはケールを浸漬する溶液に添加してもよく、必要に応じて細片化するか、あるいは食品素材を搾汁または水溶液として、ケールの細片化物もしくは搾汁または浸漬溶液に添加してもよい。また、これらの食品素材の乾燥粉末をケールの細片化物もしくは搾汁または浸漬溶液に添加してもよい。
【0029】
また、これらの食品素材に含まれるグルタミン酸の成分を、必要に応じて加熱して溶出してもよい。あるいは、溶出した成分の乾燥粉末を、ケールの細片化物もしくは搾汁または浸漬溶液に添加してもよい。例えば、乾燥昆布を細片化してケールの細片化物もしくは搾汁または浸漬溶液に添加、攪拌することにより、効率的にGABAが増加する。
【0030】
グルタミン酸によるGABA富化処理中のケールの細片化物もしくは搾汁または浸漬溶液の温度については、グルタミン酸からGABAへの変換を触媒する酵素が失活されない範囲で行われるのが好ましく、通常20〜50℃、より好ましくは25〜40℃で行われる。
【0031】
グルタミン酸によるGABA富化処理中の細片化物もしくは搾汁または浸漬溶液のpHは、適宜調整してもよい。pHの調整は、GABA富化処理を促進させる目的と製品の色を鮮やかな緑色にする目的で行われる。pHの調整方法は、pH調整剤を用いる方法でよく、通常3.5〜9.0、好ましくは4.0〜7.0、より好ましくは5.0〜6.0である。また、pHをアルカリ性側に調整すれば、ケールを酸性で処理したものおよび未処理のものと比較して、鮮やかな緑色を呈するようになる。pHが4以下の条件で処理を行うと、GABA富化効率が低下する場合があることに加え、ケールが褐色になるため好ましくない。
【0032】
グルタミン酸によるGABAの富化処理の時間は、10分〜24時間行うのがよい。30分以上行えば、GABA含有量は飛躍的に増加する。
【0033】
グルタミン酸によるGABAの富化処理に用いられるグルタミン酸の量は、富化させるべきGABAの量に応じて、適宜調整すればよい。通常は、グルタミン酸もしくはその塩は、ケールの細片化物または搾汁の0.01〜40質量%、好ましくは0.2〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%添加するのがよい。
【0034】
グルタミン酸溶液にピリドキサールリン酸、食塩などの無機塩化物を添加するか、または、有機酸、ATPなどの阻害剤を反応系から取り除くことによって、GABA富化効率を高めることもできる。
【0035】
ケールを食品素材として用いる場合には、食品の変質(褪色などの変色を含む)を防ぐための処理(ブランチング処理)が行われる。ブランチング処理は、処理される形態に応じて種々の方法が用いられるが、これには例えば、熱水処理、蒸煮処理などが挙げられる。この処理により、ケール加工物は、褪色、風味の変化を生じなくなる。しかし、従来の熱水処理ではGABAが失われてしまうため、マイクロウェーブ処理のようなGABAが保持される処理が好ましい。
【0036】
マイクロウェーブ処理は、ケールの褪色に関与する酵素が失活し、かつ加熱によりケールの緑色が失われない範囲で行なえばよい。そのような範囲は、マイクロウェーブ照射装置の出力、マイクロウェーブの波長、照射時間などにより適宜調節できる。マイクロウェーブ処理することにより、ケール中のビタミン類、ミネラル類などの分解、溶出が防止され、比較的低温の乾燥により、乾燥粉末が得られ得る。
【0037】
熱水処理は、例えば、ケールを塩化ナトリウムおよび重曹を含有する熱水中に浸して行われる。熱水処理時に、このように塩化ナトリウムおよび重曹を単独であるいは組み合わせて適量添加することによって、緑色が鮮やかに保持されたケール加工物を得ることができる。
【0038】
1つの実施態様において、ケールの細片化物、搾汁、およびエキスは、常圧、または加圧下もしくは減圧下、80〜150℃にて2〜180秒間処理される。
【0039】
このようにして得られたケールの加工品は、そのままか、またはさらに細片化、搾汁、抽出して食品素材としてもよいし、あるいはさらに乾燥粉末化して食品素材としてもよい。
【0040】
乾燥粉末化は、水分量が10%以下、好ましくは5%以下となるように行われ、必要に応じてさらに粉砕して乾燥粉末を得ることができる。
【0041】
乾燥の方法は熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥など、あらゆる乾燥法を用いることができる。乾燥は、できるだけ低温で行うのが好ましく、加熱して乾燥する場合でも、例えば30〜60℃、好ましくは40〜55℃で行うのが好ましい。デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、マルトースなどの賦形剤などを添加した後、噴霧乾燥または凍結乾燥することもできる。
【0042】
粉砕は当業者が通常用いる方法に従い、例えば、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などを用いて行うことができる。
【0043】
上記のようにして得られたケールは、さらに、必要に応じて、例えば、マイクロウェーブ処理、加熱処理などの当業者に公知の任意の技術により殺菌され得る。
【0044】
(大豆胚芽抽出物)
本発明に用いる大豆胚芽抽出物とは、大豆の胚芽部分から抽出したものをいう。大豆の種類は、抽出方法は問わない。
【0045】
大豆胚芽抽出物の配合量は、特に制限はないが、ケール加工物の乾燥物1質量部に対して、好ましくは0.001〜1質量部、より好ましくは0.005〜0.8質量部、さらに好ましくは0.01〜0.5質量部配合される。
【0046】
(スピルリナ)
本発明に用いるスピルリナは、スピルリナ属に属する藍藻類である。これには、例えば、スピルリナ・ゲイトレリ、スピルリナ・プラテンシス、スピルリナ・マキシマ、スピルリナ・メイヤー、スピルリナ・ラキシシマ、スピルリナ・アルダリアが挙げられる。スピルリナは、クロロフィル、カロチン、ビタミンB群、カリウム、マグネシウムなどのミネラルに富む。
【0047】
スピルリナは、本発明の食品もしくは骨吸収抑制剤に配合される場合、どのような形態でもよく、液体培地中で培養した藻体であっても良く、乾燥藻体であっても良い。
【0048】
スピルリナの配合量は、特に制限はないが、ケール加工物の乾燥物1質量部に対して、好ましくは0.005〜0.5質量部、より好ましくは0.01質量部〜0.2質量部配合される。
【0049】
(カルシウム含有物)
本発明に用いるカルシウム含有物は、カルシウムが含有されている組成物であればよい。例えば、卵殻カルシウム、貝殻カルシウム、ドロマイト、サンゴカルシウムや真珠末などを挙げることができ、これらのカルシウム含有物は焼成された状態でも、未焼成の状態でもよい。
【0050】
カルシウム含有物の配合量は、特に制限はないが、ケール加工物の乾燥物1質量部に対して、好ましくは0.001〜0.5質量部、より好ましく0.005〜0.2質量部配合される。
【0051】
(本発明の食品)
本発明の食品は、骨吸収抑制剤を含有する。骨吸収抑制剤の配合量は、その形態や剤形によって適宜調製されればよく、例えば、食品に対して、骨吸収抑制剤の乾燥質量が30質量%以上、好ましくは40質量%以上、100質量%以下、好ましくは80質量%以下となるように配合されればよい。
【0052】
なお、本発明の骨吸収抑制剤を含有する食品には、必要に応じて、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、他の食品原料、調味料、医薬品原料などを添加してもよい。さらに、本発明の抗肥満剤を含有する食品は、用途に応じて、顆粒、錠剤などの形態に成形されてもよい。また、本発明の成分を添加した食品の剤形については、必要に応じてハードカプセル、ソフトカプセルなどのカプセル剤、錠剤、もしくは丸剤などに、あるいは粉末状、顆粒状、茶状、ティーバッグ状、もしくは飴状などの形態に成形したり、そのまま飲料として用いたりすることができる。これらの形状または好みに応じて、そのまま食してもよく、あるいは水、湯、牛乳などに溶いて飲んでも良い。また、粉末化してティーバッグ状などの場合、成分を浸出させてから飲んでも良い。
【0053】
本発明の骨吸収抑制剤を含有する食品に添加可能な食品原料としては、例えば、ローヤルゼリー、プロポリス、ビタミン類(A、C、D、E、K、葉酸、パントテン酸、ビオチン、これらの誘導体など)、ミネラル(鉄、マグネシウム、亜鉛など)、セレン、α−リポ酸、レシチン、ポリフェノール(フラボノイド類、これらの誘導体など)、カロテノイド(リコピン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテインなど)、キサンチン誘導体(カフェインなど)、脂肪酸、タンパク質(コラーゲン、エラスチンなど)、ムコ多糖類(ヒアルロン酸など)、アミノ糖(グルコサミン、アセチルグルコサミン、ガラクトサミン、アセチルガラクトサミン、ノイラミン酸、アセチルノイラミン酸、ヘキソサミン、それらの塩など)、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、環状オリゴ糖など)、リン脂質及びその誘導体(フォスファチジルコリン、スフィンゴミエリン、セラミドなど)、含硫化合物(アリイン、セパエン、タウリン、グルタチオン、メチルスルホニルメタンなど)、糖アルコール、リグナン類(セサミンなど)、これらを含有する動植物抽出物、根菜類(ウコン、ショウガなど)、麦若葉末などのイネ科植物の緑葉、ホウレンソウなどのアカザ科植物の緑葉などが挙げられる。
【0054】
もちろん、本発明の骨吸収抑制剤を含有する食品に、糖液や糖アルコールまたは調味料などを加えて甘味を強くすることもできる。
【実施例】
【0055】
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。なお、実施例の記載により、本発明を限定して解釈すべきではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内において、本発明は種々の変更が可能である。
【0056】
(実施例1、比較例1:粉末の調製)
ケール乾燥粉末と大豆胚芽抽出物(イソフラボン40質量%含有;フジッコ株式会社)、スピルリナ(大日本インキ化学工業株式会社)、サンゴ未焼成カルシウム(マリーンバイオ株式会社)を用いて、表1に示す配合量で粉末1〜4を調製した。
【0057】
【表1】

【0058】
(実施例2:嗜好性の評価)
実施例1で調製した粉末1〜4の各5gを、各々100mLの水に懸濁させたものを調製し、この飲料をパネラー20人に飲用させ、以下のアンケートに回答してもらい(複数回答不可)、平均点を求めた。結果を表2に示す。
<アンケート内容>
美味しく飲用することができる 4点
違和感なく飲用することができる 3点
えぐ味があるが飲用することができる 2点
えぐ味が強くて飲用が困難である 1点
【0059】
【表2】

【0060】
表2の結果、ケール乾燥粉末と大豆胚芽抽出物、スピルリナを組合わせた粉末1と粉末2は、ケール乾燥物が除かれた粉末3と比べ、大豆胚芽抽出物特有のえぐ味をマスキングし、嗜好性を高めていることがわかる。
【0061】
(実施例3:骨吸収抑制作用の評価)
実施例1および比較例1で調製した粉末1と粉末4を用いて、以下に示す方法で骨吸収抑制作用を評価した。
【0062】
31歳〜70歳の中高年女性37人について、表3のようなスケジュールを設け、摂取期間の開始時および終了時における尿中のデオキシピリジノリン量を、体外診断用医薬品(オステオリンクス DPD;住友製薬バイオメディカル株式会社)で測定した。尿中デオキシピリジノリンは、骨吸収と呼ばれる骨破壊時に尿中に排泄されるため、骨吸収の状態の指標として用いられる。なお、摂取期間中は粉末1もしくは粉末4を、1日あたり3包を特に時間を指定せずに摂取してもらった。結果を表4に示す。
【0063】
【表3】

【0064】
【表4】

【0065】
表4の結果、本発明のケール乾燥粉末と大豆胚芽抽出物、スピルリナを組合わせた粉末1では、摂取前と比較して、尿中デオキシピリジノリン量が有意に低下していた。一方、粉末4では変化がなかった。粉末1を摂取した場合、摂取前のよりも尿中デオキシピリジノリン量が低下したということは、骨吸収すなわち骨破壊が抑制されていることを示す。従って、本発明の骨吸収抑制剤は、優れた骨吸収抑制作用を有し、骨の代謝改善効果が期待できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明のケール加工物と大豆胚芽抽出物、スピルリナおよび/またはカルシウム含有物からなる骨吸収抑制剤は、優れた骨吸収抑制作用を有し、また嗜好性も高いため有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケール加工物と大豆胚芽抽出物、スピルリナおよび/またはカルシウム含有物からなる骨吸収抑制剤。
【請求項2】
請求項1に記載の骨吸収抑制剤を含有する、食品。

【公開番号】特開2007−99664(P2007−99664A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−290663(P2005−290663)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【出願人】(398028503)株式会社東洋新薬 (182)
【Fターム(参考)】