説明

骨成長を促進する方法

以下の:
骨成長を刺激するための有効量の骨のリモデリング剤;及び
骨成長のために利用可能なカルシウム又はリンの量の不足を予防するための有効量のカルシウム及びリンを含む、栄養補助食品;
を患者に投与することを含む、骨成長を促進するために患者を治療する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨成長を促進する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
骨粗鬆症は、骨、特に脊椎、臀部及び手首の骨折の危険性の増加に導くかもしれない、骨密度の減少及び骨質の低下を含む、骨の進行性の薄弱化を特徴とする状態である。骨粗鬆症は、世界中で1億5千万人を超える女性を冒す世界的な問題である。
【0003】
食餌中のカルシウムの慢性的な不足が骨粗鬆症に導く1つの因子であると広く考えられている。Osteoporosis, Cause, Treatment, Prevention, U.S. Dept. of Health and Human Services, Public Health Service National Institutes of Health, Maryland 1987を参照のこと。カルシウム栄養補助食品は、骨粗鬆症の予防を助けることにおいて価値があるようである。
【0004】
骨粗鬆症の予防又は治療のために多数の治療法が利用可能である。多様な骨のリモデリング剤、例えば、典型的には食餌性のカルシウム補充とともに投与される、エストロゲン及びプロゲステロンなどのホルモン、アレンドロネート、リセドロネート、エディトロネート、チルドロネート及びクロドロネートなどのビスホスホネート、ラロキシフェンなどの選択的エストロゲン受容体調節剤、並びにカルシトニン及びカルシトリオールなどの他の剤、はそれぞれが骨密度を改善することが示された。例えば、Watts, Nelson B., Therapies to Improve Bone Mineral Density and Reduce Risk of Fracture, Journal of Reproductive Medicine, 0024-7758/02/4701-0082及びKleerkoper, Micheal, et al., Comparative Safety of Bone Remodeling Agents with a Focus on Osteoporosis Therapies, Journal of Clinical Pharmacology 2001:41:239-250を参照のこと。より最近には、副甲状腺ホルモンのN末端1−34断片(hPTH(1-34)又はテリパラタイドと呼ばれる)の皮下投与が、骨粗鬆症患者における骨形成を増加させることが示された。Neer, Robert M., et al., Effect of Parathyroid Hormone (1-34) on Fractures and Bone Mineral Density in Postmenopausal Women with Osteoporosis, The New England Journal Of Medicine, Volume 344, No. 19, pp 1434-1441を参照のこと。副甲状腺ホルモン(PTH)は、カルシウム吸収を促進することによって細胞外カルシウムホメオスタシスを制御する84アミノ酸のポリペプチドである。FORTEO(登録商標)((rDNA由来の)テリパラタイド注射剤、Eli Lilly and Company)は、原発性又は性機能低下性の骨粗鬆症を有する男性及び閉経後の女性、並びに骨折の危険性の高い人を含む骨粗鬆症患者の治療のために、米国食品医薬品局によって許可された。
【0005】
カルシウムに加えて、銅、マグネシウム及び亜鉛などの他のミネラル、並びにビタミンDなどの一定のビタミンも、骨の形成及び代謝に重要な役割を演じることが示唆された。例えば、Strause, L., et al., "The Role of Trace Elements in Bone Metabolism", Nutritional Aspects of Osteoporosis, New York, Raven Press, p.223-233, 1992を参照のこと。
【発明の開示】
【0006】
発明の要約
第一の側面において、本発明は、以下のステップ:
患者に以下の:
骨成長を刺激するための有効量の骨のリモデリング剤;及び
骨成長のために利用可能なカルシウム又はリンの量の欠乏を予防するための有効量
のカルシウム及びリンを含む栄養補助食品;
を投与するステップを含む、骨成長を促進するために患者を治療する方法を目的とする。
【0007】
発明の詳細な説明及び好ましい実施態様
本発明の骨のリモデリング剤成分としての使用に適した化合物は、治療的用量でヒト患者に投与されるものであり、該ヒト患者は骨密度の増加及び/又は骨折の危険性の減少を促進するためにそのような投与が指示される医学的状態を有する。好適な骨のリモデリング剤は、エストロゲン、プロゲステロン、副甲状腺ホルモン、副甲状腺関連ホルモンなどのホルモン、アレンドロネート、リセドロネート、エディトロネート、チルドロネート、及びクロドロネートなどのビスホスホネート、ラロキシフェンなどの選択的エストロゲン受容体調節剤、並びにカルシトニン及びカルシトリオールなどの他の剤を含む。
【0008】
1つの実施態様においては、本発明の骨のリモデリング剤成分は、ホルモン、ビスホスホネート、選択的エストロゲン受容体調節剤、カルシトニン及びカルシトリオールから選ばれる1つ以上の骨のリモデリング剤を含む。
【0009】
1つの実施態様においては、上記骨のリモデリング剤は、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン断片、又はヒト副甲状腺関連ホルモンの1つ以上を含む。
【0010】
副甲状腺ホルモンは、骨の塩を溶解し、そしてそれらの腎臓からの排出を防ぐことによってカルシウムレベルを上昇させるポリペプチドホルモンである。ヒト副甲状腺関連ホルモン1−34(hPTH(1-34))は、ヒト副甲状腺ホルモンのN−末端断片1−34である。研究により、hPTH(1-34)が、骨形成の刺激において完全な副甲状腺ホルモンと同じ生物学的性質を有することが示された。
【0011】
hPTH(1-34)の全体構造は、N-末端へリックス(残基3−11)及びC-末端へリックス(残基21−33)の間の残基12及び21の間に位置する15°の曲げ角度の屈曲を有する、わずかに曲がったヘリックスとして特徴付けられた。Jin Lei et al. Crystal Structure of Human Parathyroid Hormone 1-34 at 0.9 angstrom Resolution, J. Biol. Chem. Vol. 275, No. 35, pp.27238-27244を参照のこと。
【0012】
1つの実施態様においては、骨成長の刺激に有効なホルモンの量は、1日あたり約20〜約40マイクログラム(μg)のhPTH(1-34)である。1つの実施態様においては、hPTH(1-34)の有効量は、皮下投与される。20μg又は40μgのhPTH(1-34)の毎日の皮下投与は、閉経後の女性における骨密度を増加させることが見出された。上記のNeer et alを参照のこと。
【0013】
1つの実施態様においては、本発明の栄養補助食品組成物は、リン1重量部(pbw)あたり約1〜約4、より典型的には約1〜約3重量部のカルシウムを含む。
【0014】
1つの実施態様においては、カルシウムの有効量は、1日あたり約500〜約2000、より典型的には約1000〜約1800ミリグラム(mg)のカルシウムであり、そして、リンの有効量は、1日あたり約200〜約1600、より典型的には約400〜約1200mgのリンである。
【0015】
1つの実施態様においては、本発明の栄養補助食品組成物のカルシウム成分は、例えばアミノ酸カルシウムキレートなどの1つ以上のカルシウムキレート、及び例えば炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、又はリン酸二カルシウム二水和物又はリン酸二カルシウム無水物、クエン酸マレイン酸カルシウムなどのカルシウム塩の1つ以上を含む。
【0016】
1つの実施態様においては、本発明の栄養補助食品組成物のリン成分は、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、リン酸二カルシウム無水物、リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウム及びリン酸カリウムなどのリン酸塩、並びに大豆タンパク質及びホエータンパク質などのタンパク質の1つ以上を含む。
【0017】
1つの実施態様においては、本発明の栄養補助食品組成物のリン成分及び一部のカルシウム成分は、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、リン酸二カルシウム無水物、リン酸一カルシウムなどのリン酸カルシウム塩として供給される。
【0018】
1つの実施態様においては、本発明の栄養補助食品組成物は、リン酸二カルシウム無水物、リン酸三カルシウム、及び炭酸カルシウムを含む。
【0019】
1つの実施態様においては上記栄養補助食品組成物は、ビタミン、或いはカルシウム又はリン以外のミネラルの栄養補助食品的量(dietary supplemental amount)をさらに含む。非常に好ましい実施態様においては、栄養補助食品組成物は、骨形成及び/又は骨代謝に役割を果たす、ビタミンD、ビタミンB6などのビタミン;葉酸及びビタミンB12、1つ以上のイソフラボンなどのフィトエストロゲン、ラクトバシラス・アシドフィラスなどの1つ以上のプロバイオティクス及びプレバイオティクス、イヌリン又は他のポリサッカライド並びに例えばホウ素、銅、亜鉛、マグネシウム、マンガン及び亜鉛などのカルシウム又はリン以外のミネラルの1つ以上をさらに含む。或いは、本発明の栄養補助食品組成物は、マルチビタミン及びミネラル栄養補助食品組成物の成分として含まれることができる。
【0020】
本発明の栄養補助食品組成物は、場合により、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの防腐剤、レシチン、プロピレングリコールエステルなどの食品グレードの乳化剤、並びに結合剤、充填剤、潤滑剤、溶解補助剤などの薬剤として許容可能な担体及び賦形剤などを含む、食品添加物としての使用に安全であることが一般に認識されている他の成分を含むことができる。
【0021】
本発明の栄養補助食品組成物は、カルシウム及びリン成分、並びにいずれかの任意の成分を所望の相対量で併合すること、そして、実質的に均一な混合物を製造するための既知の方法にしたがって上記成分を混合することによって作られる。
【0022】
本発明の栄養補助食品組成物は、懸濁液又はスラリーなどの液体剤型及び錠剤、バルク散剤、またはソフト咀嚼剤などの経口固体剤型を含むいかなる経口剤型で投与されることもできる。本明細書において使用されるとおり、「錠剤」という用語は、一般に錠剤、咀嚼錠、キャプレット、ソフトゼラチンカプセルを含むカプセル、及びロゼンジを指し、「ソフト咀嚼剤」という用語は、カルシウム及びリン成分がソフトで咀嚼可能なキャンディベース中で提供される剤型を指す。
【0023】
1つの実施態様においては、本発明の栄養補助食品組成物は、錠剤の形態で投与される。錠剤は本分野において知られた方法で作られ、そしてさらに本分野で知られている好適な結合剤、潤滑剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、フレーバー剤、流動誘導剤(flow-inducing agent)、融解剤を含むことができる。場合により、経口固体剤型は、水分、酸素及び光のうちの1つ以上から栄養補助食品組成物の成分を保護するため又はいかなる望ましくない味または外観もマスクするためのフィルムコーティングを有する。好適なコーティング剤は、例えば、セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。
【実施例】
【0024】
患者に、1日あたりhPTH(1-34)を20μgの用量で皮下投与し、及び1つあたり600mgのカルシウム及び266mgのリンを含む栄養補助食品錠剤を2つの用量で経口投与する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨成長を促進するために患者を治療する方法であって、以下の:
骨成長を刺激するための有効量の骨のリモデリング剤;及び
骨成長のために利用可能なカルシウム又はリンの量の欠乏を予防するための有効量のカルシウム及びリンを含む、栄養補助食品;
を上記患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
上記骨のリモデリング剤が、ホルモン、ビスホスホネート、選択的エストロゲン受容体調節剤、カルシトニン、及びカルシトリオールから選ばれる1つ以上の骨のリモデリング剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記骨のリモデリング剤が、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン断片、又はヒト副甲状腺関連ホルモンの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記骨のリモデリング剤が、ヒト副甲状腺関連ホルモン1−34を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
骨成長を刺激するためのホルモンの上記有効量が、1日あたり約20〜約40マイクログラムのヒト副甲状腺関連ホルモン1−34である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
上記栄養補助食品が、リン1重量部あたり約1〜約4重量部のカルシウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
カルシウムの上記有効量が、1日あたり約500〜約2000ミリグラムのカルシウムであり、リンの上記有効量が、1日あたり約200〜約1600ミリグラムのリンである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
上記栄養補助食品が、カルシウムキレート及びカルシウム塩から選ばれる1つ以上の化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
上記栄養補助食品が、リン酸塩及びタンパク質から選ばれる1つ以上の化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
上記栄養補助食品の上記リン成分及び一部の上記カルシウム成分が、リン酸カルシウム塩として供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
上記栄養補助食品が、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム二水和物、リン酸二カルシウム無水物及びリン酸一カルシウムから選ばれる1つ以上の化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
上記栄養補助食品が、リン酸二カルシウム無水物、リン酸三カルシウム及び炭酸カルシウムから選ばれる1つ以上の化合物をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記栄養補助食品が、ビタミン、及びカルシウム又はリン以外のミネラルから選ばれる1つ以上の化合物の栄養補助食品的量をさらに含む、請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2007−501241(P2007−501241A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522647(P2006−522647)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2004/024792
【国際公開番号】WO2005/016265
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(598109291)ローディア インコーポレイティド (41)
【Fターム(参考)】