説明

骨発生の調節方法

【課題】骨喪失に関する骨粗鬆症、骨形成不全、パジェット病、転移性骨癌、骨髄腫骨疾患、または骨折癒合や、増加した骨質量に関連する大理石骨病または線維性形成異常などの治療のための、骨発生を調節する方法、組成物および、化合物の同定法の提供。
【解決手段】骨発生を刺激するための、抗体、ペプチド模倣物、低分子、CD200タンパク質およびその断片、可溶性CD200、CD200受容体タンパク質およびその断片の使用と、骨発生を阻害するための、CD200受容体に対する抗体断片、低分子、ペプチド模倣物、ペプチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、骨発生を調節するための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
腫瘍壊死因子-関連活性化-誘導サイトカイン(tumor necrosis factor-related activation-induced cytokine:TRANCE)、オステオプロテゲリンリガンド(osteoprotegerin ligand)(OPGL-本明細書中で用いる命名法)および破骨細胞分化因子(osteoclast differentiation factor:ODF)ともいう核因子-カッパBリガンドの受容体アクチベーター(receptor activator of nuclear factor-kappaB ligand:RANKL)は、骨芽細胞および骨髄間質細胞で発現される膜貫通リガンドであって、T細胞によって生産される(1-4)(非特許文献1〜4)。RANK、破骨細胞の分化、活性化および生存に活動的な破骨細胞受容体への結合に続き、M-CSFに由来するシグナルと共働する経路において、OPGLは破骨細胞形成を誘導する(CD98)(5、6)(非特許文献5、6)。骨芽細胞および骨髄間質細胞によっても生産されるOPG(または骨芽細胞阻害因子、OCIF)は膜貫通ドメインを欠き、OPGLに対するデコイ受容体として作用し、OPGLのRANKとの結合を競合的に阻害し、従って、骨代謝を調節する(7)(非特許文献7)。骨代謝の調節においてOPGL/OPGによって果たされる非常に重要な役割は、これらの分子の発現が改変されたマウスにおける骨格表現型の極端(骨粗鬆症対大理石骨病)の知見、およびヒトにおけるオステオプロテゲリン遺伝子での多形が骨粗鬆症骨折に関連するという最近の報告によって支持される(43)(非特許文献8)。骨芽細胞および間質細胞からのOPGおよびOPGLの分泌は、しばしば逆様式で多数のホルモンおよびサイトカインによって調節される(8)(非特許文献9)。
【0003】
サイトカイン媒介調節の複雑な役割の例として、TNFαは、間質細胞-枯渇ラットの骨髄細胞培養での破骨細胞の発生においてOPGLと協働し(9)(非特許文献10)、およびインスリン様成長因子I(IGF-I)または骨形成骨形態タンパク質(BMP-2、-4および-6)によって提供されるシグナルの下流の段階で骨芽細胞分化およびオステオカルシン/骨小節形成を阻害する(10)(非特許文献11)の双方が記載されている。サイトカインTGFβ1はBMP-2誘導骨芽細胞発生を阻害するとも報告されており(11)(非特許文献12)、他方、対照的に、TGFβ2およびTGFβ3は、共に、転写因子SmadおよびCbfa1の改変された発現と関連して、OPGを増加させる(およびOPGLを減少させる)ことによって破骨細胞形成を阻害する(12)(非特許文献13)。増強されたIL-6生産(および増強されたOPGL)は、マウスにおける慢性アルコール摂取に続いての増大した破骨細胞形成および骨喪失を説明すると考えられており(13)(非特許文献14)、同様に、IL-4およびIL-13はヒト骨芽細胞において増殖を阻害し、IL-6形成を刺激する(14)(非特許文献15)。骨代謝回転における他のプロ炎症サイトカイン(IL-1を含む)に対する重要な役割もまたよく記載されている(15)(非特許文献16)。幾分驚くべきことには、恐らくは、IFNγ、炎症タイプのサイトカインは、RANKL-誘導骨芽細胞活性化に逆らうことによって骨芽細胞活性を増強させると報告されている(16)(非特許文献17)。
【0004】
骨代謝回転のホルモン調節の点で、エストロゲン(E2)は、鍵となる破骨細胞形成転写因子c-Fosおよびc-Junの核レベルを減少させるJun N-末端キナーゼ1(JNK1)の活性化を下降調節することによってOPGLによって誘導された破骨細胞の分化/活性化を修飾することが示されている(17)(非特許文献18)。エストロゲンの欠乏が破骨細胞形成を増強させるさらなるメカニズムはTNFαのT細胞生産のE2抑制の喪失を反映し得る(18)(非特許文献19)。副甲状腺ホルモン(PTH)は、少なくとも部分的にはOPGの誘導を阻害することによって破骨細胞形成を刺激する(19)(非特許文献20)。
【0005】
以前の研究において、本発明者らは、サイトカインの生産、特にサイトカインIL-6、TNFαおよびTGFβの生産に対する、単球骨髄系の細胞によって発現される、受容体:リガンド対、CD200:CD200受容体の相互作用の乱れの機能的効果につき報告した(Gorczynski, Europ. J. Immunol. 2001, 31:2331-2335(非特許文献21))。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Wooden, S. , Bennett, L. and Boone, T., Cell 89, 309-319,1997.
【非特許文献2】Lacey, D. L. , Timms, E. , Tan, H. L. , Kelly, M. J. , Dunstan, C. R., Burgress, T. , Elliott, R. , Colombero, A. , Elliott, G. and Scully, S., Cell 93,165-176, 1998.
【非特許文献3】Kong, Y. Y. , Yoshida, H. , Sarosi, I., Tan, H. L. , Timms, E. , Capparelli, C., Morony, S. , Oliveira-dos-Santos, A. J., Van, G. and Itie, A., Nature 397,315-323, 1999.
【非特許文献4】Takahashi, N. , Udagawa, N. and Suda, T., Biochem Biophys Res Commun 256,449-455, 1999.
【非特許文献5】Mori, K. , Miyamoto, N. , Higuchi, Y. , Nanba, K. , Ito, M. , Tsurudome, M., Nishio, M. , Kawano, M. , Uchida, A. and Ito, Y., Cell Immunol 207, 118-126, 2001.
【非特許文献6】Hofbauer, L. C. and Heufelder, A. E., J Molecular Med Jmm 79,243-253, 2001.
【非特許文献7】Khosla, S. , Endocrinology 142,5050-5055, 2001.
【非特許文献8】Langdahl, et al 2002, J. Bone Min. Res. 17 : 1245-1255.
【非特許文献9】Kostenuik, P. J. and Shalhoub, V., Curr Pharm Design 7,613-635, 2001.
【非特許文献10】Komine, M. , Kukita, A. , Kukita, T. , Ogata, Y. , Hotokebuchi, T. and Kohashi, O., Bone 28, 474-483, 2001.
【非特許文献11】Gilbert, L. , He, X. F., Farmer, P. , Boden, S. , Kozlowski, M. , Rubin, J. and Nanes, M. S., Endocrinology 141,3956-3964, 2000.
【非特許文献12】SpinellaJaegle, S. , RomanRoman, S. , Faucheu, C. , Dunn, F. W. , Kawai, S., Gallea, S. , Stiot, V. , Blanchet, A. M. , Courtois, B. , Baron, R. and Rawadi, G., Bone 29,323-330, 2001.
【非特許文献13】Thirunavukkarasu, K. , Miles, R. R., Halladay, D. L. , Yang, X. H. , Galvin, R. J. S. , Chandrasekhar, S. , Martin, T. J. and Onyia, J. E., J Biol Chem 276,36241- 36250,2001.
【非特許文献14】Dai, J. L. , Lin, D. L. , Zhang, J. , Habib, P. , Smith, P. , Murtha, J. , Fu, Z., Yao, Z. , Qi, Y. H. and Keller, E. T., J Clin Invest 106,887-895, 2000.
【非特許文献15】Frost, A. , Jonsson, K. B. , Brandstrom, H. , Ljunghall, S. , Nilsson, O. and Ljunggren, O., Bone 28,268-274, 2001.
【非特許文献16】Kon, T. , Cho, T. J. , Aizawa, T., Yamazaki, M. , Nooh, N. , Graves, D., Gerstenfeld, L. C. and Einhorn, T. A., J Bone Miner Res 16,1004-1014, 2001.
【非特許文献17】Takayanagi, H. , Ogasawara, K. , Hida, S. , Chiba, T. , Murata, S. , Sato, K., Takaoka, A. , Yokochi, T. , Oda, H. and Tanaka, K., Nature 408,600-605, 2000.
【非特許文献18】Srivastava, S. , Toraldo, G. , Weitzmann, M. N. , Cenci, S. , Ross, F. P. and Pacifici, R. , JBiol Chem 276,8836-8840, 2001.
【非特許文献19】Cenci, S. , Weitzmann, M. N. , Roggia, C. , Namba, N. , Novack, D., Woodring, J. and Pacifici, R. , J Clin Invest 106,1229-1237, 2000.
【非特許文献20】Halladay, D. L. , Miles, R. R., Thirunavukkarasu, K. , Chandrasekhar, S. , Martin, T. J. and Onyia, J. E., J Cell Biochem 84,1-11, 2002.
【非特許文献21】Gorczynski, Europ. J. Immunol. 2001, 31:2331-2335
【発明の概要】
【0007】
発明の概要
本発明者らは、CD200受容体(CD200R)またはCD200の可溶性形態に対するいずれかの抗体の存在下での骨髄間質細胞のインキュベーションは、増大した骨代謝の種々のマーカーについてのmRNAの発現を増大させたことを示した。結果は、1つの点において、CD200Rアゴニストが、骨吸収を媒介する破骨細胞の成長および増殖を阻害することを示す。従って、CD200:CD200Rシグナリングカスケードは骨細胞および組織の発生で影響を与え、CD200:CD200R相互作用の調節を用いて治療および他の目的で操作することができる。
【0008】
従って、本発明は、有効量のCD200受容体を調節する物質をそれを必要とする細胞または動物に投与することを含む骨発生を調節する方法を提供する。
【0009】
1つの局面において、本発明は、有効量のCD200受容体アゴニストをそれを必要とする細胞または動物に投与することを含む骨発生を刺激する方法を提供する。好ましくは、CD200受容体アゴニストは、CD200タンパク質、またはCD200受容体に対する抗体である。
【0010】
もう1つの局面において、本発明は、有効量のCD200受容体アンタゴニストを投与することを含む骨発生を阻害する方法を提供する。
【0011】
さらにもう1つの局面において、本発明は、CD200受容体を調節することによって骨発生を調節することができる物質を同定するためのスクリーニング方法を含む。特に、前記方法は、CD200またはCD200受容体に結合し、その効果を増強させるかまたは減衰させることができる物質(すなわち、アゴニスト)を同定するのに用いることができる。または、前記方法は、CD200受容体に結合することができ、CD200またはCD200受容体の効果を阻害する物質(すなわち、アンタゴニスト)を同定するのに用いることができる。
【0012】
従って、本発明は、
(a)複合体の形成を可能とする条件下で、CD200受容体を発現する骨細胞および被検物質をインキュベートする工程、および
(b)CD200受容体および被検物質の複合体につき、遊離物質につき、および非複合体化CD200受容体につきアッセイする工程であって、前記複合体の存在は、被検物質がCD200受容体に結合することができることを示す工程
を含む、CD200受容体と結合する物質を同定する方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、
(a)CD200Rを発現する骨細胞と共に被検化合物をインキュベートする工程;および
(b)CD200受容体の活性または発現に対する前記化合物の効果を測定し、対照(すなわち、被検化合物の非存在下)と比較する工程であって、対照と比較したCD200受容体の活性または発現の変化が、被検化合物が骨発生を調節することができることを示す工程
を含む、CD200Rのアゴニストまたはアンタゴニストを同定するためのスクリーニングアッセイ法を含む。
【0014】
好ましい態様において、スクリーニング方法で用いられるCD200Rは、CD200での刺激に際して測定可能なマーカーを生じるCD200受容体を生産する骨細胞についてである。
【0015】
また、本発明は、骨発生の調節において用いられるCD200受容体を調節する前記分子のいずれかを含む薬学的組成物を含む。前記薬学的組成物は、好ましくは、CD200ペプチド、好ましくはCD200:Fc、またはCD200ペプチドをコードする核酸を含む。前記薬学的組成物は、さらに、適当な希釈剤または担体を含むことができる。
【0016】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な記載から明らかとなるであろう。しかしながら、本発明の精神および範囲内の種々の変形および修飾はこの詳細な記載から当業者に明らかであるので、本発明の好ましい態様を示す詳細な記載および具体的な例を説明のためだけに掲げることが理解されるべきである。
【0017】
本発明を図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】LPSを含むおよび含まない培養された間質細胞における骨関連mRNAの定量的発現を示す棒グラフである。
【図2】LPSを含むおよび含まない培養された間質細胞における異なったサイトカインの生産を示す棒グラフである。
【図3】抗CD200R mAb(10μg/ml)の存在下/非存在下でインキュベートされた間質細胞およびMC3T3の混合培養における対照(GAPDHにつき1.0)に対するmRNAの絶対濃度を示す棒グラフである。
【図4】ネズミCD200Fc(1mg/ml)の存在下/非存在下でインキュベートした、間質細胞およびMC3T3の混合培養における対照(GAPDHにつき1.0)に対するmRNAの絶対濃度を示す棒グラフである。
【図5】図3で示された培養上清における異なるサイトカイン/ケモカインの発現を示す棒グラフである。示された値は各時点についての3つの個々の試料に対する算術平均±SDを表す。ELISAアッセイ法は、組換え体サイトカイン/ケモカインを用いて定量した。
【図6】図4に示された培養上清における異なるサイトカイン/ケモカインの発現を示す棒グラフである。再度、示された全ての値は、各時点について3つの個々の試料に対する算術平均±SDを表す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
I.骨発生の調節
先に述べたように、本発明者は、CD200の可溶性形態、およびCD200受容体(CD200R)に対する抗体の双方が、骨代謝に関与する分子の発現を改変する効果を有することを証明した。1つの点において、前記したCD200Rアゴニストは、破骨細胞形成に関連する遺伝子の発現を阻害する効果を有し、従って、骨の吸収を担う破骨細胞の成長および増殖を阻害するのに有用である。もう1つの点において、これらのCD200Rアゴニストは、新しい骨の形成を担う、骨芽細胞の成長および増殖に関連するマーカーの評価ももたらす。
【0020】
従って、本発明は、有効量のCD200受容体を調節する物質をそれを必要とする細胞または動物に投与することによる骨発生を調節する方法を提供する。また、本発明は、有効量のCD200受容体を調節する物質の、骨発生を調節するための使用を提供する。本発明は、さらに、有効量のCD200受容体を調節する物質の、骨発生を調節するための薬剤の製造のための使用を提供する。
【0021】
本明細書中で用いる用語「CD200受容体」は、国際公開公報第00/70045号、国際公開公報第02/095030号またはGenBankアクセッション番号NM170780、NM138940、NM138939、NM138806、NT005612、XM293600、NM010818、AF497550、AF497549、AF497548、AF495380、に開示された受容体を含めた任意の種からのCD200受容体ファミリーの任意のメンバー、ならびに任意のCD200受容体のアナログおよびホモログを含む。
【0022】
用語「CD200受容体を調節する物質」は、受容体を刺激または活性化することができる任意の物質(例えば、CD200受容体アゴニスト)、ならびに受容体を阻害または抑制することができる任意の物質(例えば、CD200受容体アンタゴニスト)を含む。CD200受容体を調節する物質は、CD200とCD200受容体との相互作用を調節する物質を含む。CD200受容体モジュレーターの具体的な例は、セクションIIに掲げる。
【0023】
本明細書中で用いられる用語「骨発生を調節する」とは、間葉幹および先祖細胞を含めた、骨芽細胞、破骨細胞、骨細胞、軟骨芽細胞、軟骨細胞、軟骨吸収細胞または骨髄細胞のような骨組織または骨細胞の形成、分化または発生の阻害または抑制ならびに活性化または刺激をいう。
【0024】
本明細書中で用いる用語「有効量」は、所望の結果(例えば、骨発生の調節)を達成するのに必要な投与量における、かつそれに必要な期間における効果的な量を意味する。分子の有効量は、動物の疾患状態、年齢、性別、体重のような因子に従って変化し得る。投与計画は、最適な治療応答を提供するように調整することができる。例えば、いくつかの分割用量を毎日投与することができるか、あるいは前記用量は治療状況の急迫性によって示されるように比例して低下させることができる。
【0025】
本明細書中で用いる用語「動物」は、CD200を発現する動物界の全てのメンバー、好ましくはヒトを含む。
【0026】
用語「細胞」は単一の細胞ならびに複数の細胞または細胞の集団を含む。物質の細胞への投与は、インビトロおよびインビボ投与を共に含む。
【0027】
他の免疫調節分子を、サイトカイン、MD-1およびfg12(これらに限定されない)を含む骨発生を調節するためのCD200Rモジュレーターと共に用いることができる。好ましいサイトカインは、骨発生を調節するのに有用でもあるIL-11である。同様に、CD200Rモジュレーターは、PTH(1-84)のような副甲状腺ホルモンのような同化剤、およびPTH(1-34)を含めたアナログおよび活性断片、骨形態発生タンパク質(bone morphogenetic protein:BMP)、ならびにカルシトニン、ビスホスホネート、エストロゲンアナログおよび受容体モジュレーター等を含めた骨吸収阻害剤を含む、骨組織または組織代謝を調節するのに有用ないずれかの他の物質と組み合わせて用いることができる。加えて、破骨細胞に作用するビタミンD、またはM-CSF/CSFを共投与することができる。
【0028】
1つの局面において、本発明は、有効量のCD200受容体アゴニストをそれを必要とする細胞または動物に投与することを含む骨発生を刺激する方法を提供する。また、本発明は、骨発生を刺激するための、CD200受容体アゴニストの使用を含む。本発明は、さらに、CD200受容体アゴニストの、骨発生を刺激するための薬剤の製造のための使用を含む。
【0029】
本明細書中に記載されるスクリーニングアッセイ法に従って同定された、抗体、ペプチド模倣物、低分子、CD200タンパク質およびその断片、可溶性CD200、CD200Rタンパク質およびその断片、可溶性CD200Rおよびモジュレーター(これらに限定されない)を含めた、骨発生の刺激において有用な任意のCD200Rアゴニストを用いることができる。1つの態様において、CD200Rアゴニストは可溶性CD200タンパク質のようなCD200タンパク質である。もう1つの態様において、CD200Rアゴニストは、全抗CD200受容体免疫グロブリンのようなCD200受容体を架橋する抗体である。
【0030】
CD200Rアゴニストでの骨発生の刺激は、骨の生成を増加させるのが望まれるいずれの疾患も含めた広い範囲の治療的適用において用途を有する。そのような疾患は、限定されるものではないが、骨粗鬆症、骨形成不全、骨減少症、パジェット病、転移性骨癌、骨髄腫骨疾患、および骨折癒合、骨移植修復のような、炎症性状態、感染、損傷、遺伝的障害および老化に関連する、増大した破骨細胞形成によって引き起こされる障害または骨喪失を含み、骨格状態に関連する障害のみならず、歯の状態に関連する障害を含む。
【0031】
もう1つの局面において、本発明は、有効量のCD200受容体アンタゴニストを投与することを含む骨発生を阻害する方法を提供する。また、本発明は、CD200Rアンタゴニストの、骨発生を阻害するための薬剤の製造のための使用を含む。
【0032】
CD200Rアンタゴニストは、CD200受容体に対する抗体断片、低分子、ペプチド模倣物、ペプチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドのような、CD200Rの活性化または刺激をブロックすることができるいずれの物質でもあり得る。1つの態様において、アンタゴニストは、CD200受容体に結合するが、前記受容体を活性化または架橋しない抗体断片である。特別な態様において、抗体断片はF(ab')2またはFab断片である。
【0033】
骨発生を予防するのが望まれる多くの疾患がある。好ましくは、大理石骨病および線維性骨形成異常ならびに遺伝的および結合組織骨化過剰疾患を含めた、減少した破骨細胞形成、または炎症性状態、感染、悪性疾患、損傷、遺伝的障害および老化に関連する増大した骨質量によって引き起こされた障害である。
【0034】
II.CD200Rモジュレーター
CD200受容体を調節することができ、骨発生を調節することができるいずれの物質も本発明の方法および組成物で用いることができる。いくつかのCD200Rモジュレーターをさらに以下に記載する。
【0035】
(a)CD200またはCD200受容体
CD200タンパク質またはCD200受容体分子は、CD200受容体モジュレーターとして用いることができる。CD200タンパク質は、CD200受容体アゴニストとして作用し、他方、CD200Rタンパク質は、CD200受容体アンタゴニストとして作用することができる。CD200またはCD200Rタンパク質は公知の源から得ることができるか、あるいは組換えDNA技術を用いて調製することができる。(以前はOX-2として知られた)CD200の配列は、GenBankから得ることができる(ヒト、M17226、X0523;ラット、X01785;マウス、AF029214)。いくつかのCD200受容体の配列は、国際公開公報第00/70045号および国際公開公報第02/095030号で提供され、またGenBankから得ることもできる(NM170780、NM138940、NM138939、NM138806、NT005612、XM293600、NM010818、AF497550、AF497549、AF497548、AF495380)。
【0036】
骨発生を調節するのに用いられるCD200またはCD200Rタンパク質は、可溶性融合タンパク質として調製することができる。融合タンパク質は、当技術分野において知られた技術を用いて免疫グロブリン(Ig)Fc領域に連結したCD200またはCD200R分子の細胞外ドメインを含むことができる。一般に、CD200またはCD200R分子の細胞外ドメインをコードするDNA配列は、IgのFcをコードするDNA配列に連結され、融合タンパク質が生産される適当な発現系で発現される。CD200:Fc融合タンパク質の調製は、その全体を参照として本明細書に組み入れられる1999年5月20日に公開された国際公開公報第99/24565号に記載されている。
【0037】
CD200またはCD200Rペプチドは、骨発生を調節するペプチドの能力を変化させないアミノ酸置換、挿入および/または欠失を含むように修飾することもできる。保存されたアミノ酸置換は、アミノ酸配列の一つまたは複数のアミノ酸を同様な電荷、サイズおよび/または疎水性特徴のアミノ酸で置き換えることを含む。保存された置換のみがなされる場合、得られるアナログは、CD200またはCD200Rペプチドを機能的に同等なはずである。非保存的置換は、アミノ酸配列の一つまたは複数のアミノ酸を、似ていない電荷、サイズおよび/または疎水性特徴を保有する一つまたは複数のアミノ酸で置き換えることを含む。
【0038】
CD200またはCD200Rタンパク質は、それをより治療的に効果的または適切なものとするように修飾することができる。例えば、前記タンパク質またはそのペプチドは、環化することができる。というのは、環化はペプチドがより好都合な立体配座を採ることを可能とするからである。ペプチドの環化は、当技術分野において知られた技術を用いて達成することができる。特に、遊離スルフヒドリル基を有する2つの適切な間隔の成分の間にジスルフィド結合を形成することができる。前記結合は、アミノ酸の側鎖、非アミノ酸成分または2つの組合せの間で形成することができる。加えて、本発明のCD200またはCD200Rタンパク質またはペプチドは、塩酸、硫酸、臭化水素酸、リン酸等を含めた無機酸、またはギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸およびトルエンスルホン酸を含めた有機酸を反応させることによって薬学的塩に変換することができる。
【0039】
(b)抗体
CD200またはCD200受容体タンパク質に対する抗体は、CD200受容体モジュレーターとして用いることができる。CD200に対する抗体は、受容体に結合するCD200の能力をブロックすることによってCD200受容体アンタゴニストとして作用することができる。CD200受容体に対する全抗体は、受容体を架橋させることによってCD200Rアゴニストとして作用することができ、他方、CD200受容体に対する抗体断片は、受容体に結合するCD200の能力をブロックすることによってCD200Rアンタゴニストとして作用することができる。
【0040】
CD200またはCD200Rタンパク質またはペプチドに結合する抗体は、当技術分野において知られた技術を用いて調製することができる。従来の方法を用いて抗体を調製することができる。例えば、CD200またはCD200受容体のペプチドを用いることによって、ポリクローナル抗血清またはモノクローナル抗体は標準的な方法を用いて作成することができる。動物(例えば、マウス、ハムスターまたはウサギ)は、哺乳動物において抗体応答を誘導するペプチドの免疫原性形態で免疫化することができる。CD200およびCD200Rについてのアミノ酸配列は当技術分野において知られており、パート(a)に記載したようにGenBankから得ることができる。免疫原性をペプチドに付与するための技術は、担体へのコンジュゲーション、または当技術分野において良く知られた他の技術を含む。例えば、タンパク質またはペプチドはアジュバントの存在下で投与することができる。免疫化の進行は、血漿または血清において抗体力価の検出によってモニターすることができる。標準ELISAまたは他の免疫アッセイ手法を抗原としての免疫原で用いて、抗体のレベルを評価することができる。免疫化に続き、抗血清を得ることができ、所望ならば、血清からポリクローナル抗体を単離することができる。
【0041】
モノクローナル抗体を生産するためには、抗体生産細胞(リンパ球)を免疫化動物から回収し、標準的な体細胞融合手法によって骨髄腫細胞と融合させることができ、従って、これらの細胞を不滅化し、ハイブリドーマ細胞が得られる。そのような技術は当技術分野において周知である(例えば、KohlerおよびMilsteinによって元来開発されたハイブリドーマ技術(Nature 256、495-497(1975))ならびにヒトB細胞ハイブリドーマ技術のような他の技術(Kozborら、Immunol. Today 4、72(1983))、ヒトモノクローナル抗体を生産するためのEBV-ハイブリドーマ技術(Coleら、Monoclonal Antibodies in Cancer Therapy(1985)Allen R. Bliss、Inc.,77〜96頁)、およびコンビナトリアル抗体ライブラリーのスクリーニング(Huseら、Science 246、1275(1989))。ハイブリドーマ細胞は、前記ペプチドと特異的に反応する抗体の生産用に免疫組織学的に操作することができ、モノクローナル抗体を単離することができる。従って、本発明では、モノクローナル抗体をCD200またはCD200Rについての特異性でもってモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ細胞も考えられる。
【0042】
本明細書中で用いる用語「抗体」は、やはりCD200、CD200Rまたはそのペプチドと特異的に結合するその断片を含めることを意図する。抗体は従来の技術を用いて断片化することができ、前記断片は、前記したのと同様な方法で利用性につきスクリーニングすることができる。例えば、F(ab')2断片は抗体をペプシンで処理することによって生じさせることができる。得られたF(ab')2断片を処理して、ジスルフィドブリッジを還元し、Fab'断片を生じさせることができる。
【0043】
キメラ抗体誘導体、すなわち、非ヒト動物可変領域およびヒト定常領域を組み合わせた抗体分子もやはり本発明の範囲内で考えられる。キメラ抗体分子は、例えば、ヒト定常領域を持つ、マウス、ラットまたは他の種の抗体からの抗原結合ドメインを含むことができる。従来の方法を用いて、本発明のCD200R抗原の遺伝子産物を認識する免疫グロブリン可変領域を含むキメラ抗体を作成することができる(例えば、Morrisonら、Proc. Natl Acad. Sci. U.S.A. 81、6851(1985);Takedaら、Nature 314、452(1985)、Cabillyら、米国特許第4,816,567号;Bossら、米国特許第4,816,397号;Tanaguchiら、欧州特許公開第EP171496号;欧州特許公開第0173494号、英国特許第GB 2177096B号参照)。キメラ抗体は、対応する非キメラ抗体よりもヒト対象において免疫原性が低いであろうと予測される。
【0044】
本明細書中で記載された本発明のタンパク質と特異的に反応するモノクローナル抗体またはキメラ抗体は、さらに、可変領域の部分、特に、抗原-結合ドメインの保存されたフレームワーク領域がヒト起源であって、超可変領域のみが非ヒト領域であるヒト定常領域キメラを生産することによってさらにヒト化することができる。そのような免疫グロブリン分子は当技術分野において公知の技術によって作成することができる(例えば、Tengら、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、80, 7308-7312(1983);Kozborら、Immunology Today, 4, 7279(1983);Olssonら、Meth. Enzymol.、92, 3-16(1982))、および国際公開公報第92/06193号またはEP 0239400)。ヒト化抗体は商業的に生産することもできる(Scotgen Limited, 2 Holly Road, Twickenham, Middlesex, Great Britain)。
【0045】
CD200またはCD200Rタンパク質に対して反応性である、特異的抗体または抗体断片は、CD200またはCD200Rの核酸分子から生産されたペプチドにて、細菌で発現される免疫グロブリン遺伝子またはその部分をコードする発現ライブラリーをスクリーニングすることによって生じさせることもできる。例えば、完全なFab断片、VH領域およびFV領域は、ファージ発現ライブラリーを用いて細菌で発現させることができる(例えば、Wardら、Nature 341,544-546:(1989);Huseら、Science 246,1275-1281(1989);およびMcCaffertyら、Nature 348,552-554(1990)参照)。または、SCID-huマウス、例えば、Genpharmによって開発されたモデルを用いて、抗体またはその断片を生産することができる。
【0046】
(c)アンチセンスオリゴヌクレオチド
CD200またはCD200Rの発現および/または活性を調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドもCD200受容体モジュレーターである。そのようなアンチセンスオリゴヌクレオチドはCD200受容体アンタゴニストとして作用することができる。
【0047】
本明細書中で用いる用語「アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、その標的に対して相補的なヌクレオチド配列を意味する。
【0048】
用語「オリゴヌクレオチド」とは、天然に生じる塩基、糖、および糖間(骨格)結合からなるヌクレオチドまたはヌクレオチドモノマーのオリゴマーまたはポリマーをいう。前記用語は、同様に機能する、非天然モノマーまたはその部分を含む修飾されたまたは置換されたオリゴマーも含む。そのような修飾されたまたは置換されたオリゴヌクレオチドは、増強された細胞摂取、またはヌクレアーゼの存在下での増大した安定性のような特性のため天然に生じる形態よりも好ましいであろう。前記用語は2つまたはそれ以上の化学的に区別される領域を含むキメラオリゴヌクレオチドも含む。例えば、キメラオリゴヌクレオチドは、有益な特性(例えば、増大したヌクレアーゼ抵抗性、増大した細胞への摂取)を付与する修飾されたヌクレオチドの少なくとも1つの領域を含むことができるか、または本発明の2つまたはそれ以上のオリゴヌクレオチドを連結してキメラオリゴヌクレオチドを形成することができる。
【0049】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、リボ核酸またはデオキシリボ核酸であってよく、アデニン、グアニン、シトシン、チミジンおよびウラシルを含めた天然に生じる塩基を含むことができる。オリゴヌクレオチドはキサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、6-メチル、2-プロピルおよび他のアルキルアデニン、5-ハロウラシル、5-ハロシトシン、6-アザウラシル、6-アザシトシンおよび6-アザチミン、シュードウラシル、4-チオウラシル、8-ハロアデニン、8-アミノアデニン、8-チオールアデニン、8-チオアルキルアデニン、8-ヒドロキシルアデニンおよび他の8-置換アデニン、8-ハログアニン、8-アミノグアニン、8-チオールグアニン、8-チオアルキルグアニン、8-ヒドロキシルグアニンおよび他の8-置換グアニン、他のアザおよびデアザウラシル、チミジン、シトシン、アデニン、またはグアニン、5-トリフルオロメチルウラシルおよび5-トリフルオロシトシンのような修飾された塩基を含むこともできる。
【0050】
本発明の他のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、リン酸骨格中の修飾されたリン、酸素ヘテロ原子、短鎖アルキルまたはシクロアルキル糖間結合または短鎖へテロ原子または複素環糖間結合を含むことができる。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドはホスホロチオエート、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、およびホスホロジチオエートを含むことができる。本発明の態様において、4〜6の3'-末端塩基の間にホスホロチオエート結合リンクがある。もう1つの態様において、ホスホロチオエート結合は全てのヌクレオチドを連結させる。
【0051】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、治療または実験試薬として良好に適するであろうヌクレオチドアナログを含むこともできる。オリゴヌクレオチドアナログの例は、DNA(またはRNA)中のデオキシリボース(またはリボース)リン酸骨格が、ペプチドで見出されるのと同様なポリアミド骨格で置き換えられたペプチド核酸(PNA)である(P.E. Nielsenら、Science 1991,254,1497)。PNAアナログは、酵素による分解に対して抵抗性であって、インビボおよびインビトロで延長された寿命を有することが示されている。PNAは、PNA鎖およびDNA鎖の間の電荷排斥の欠如のため相補的DNA配列に対してより強く結合する。他のオリゴヌクレオチドはポリマー骨格、環状骨格、または非環式骨格を含むヌクレオチドを含むことができる。例えば、前記ヌクレオチドはモルホリノ骨格構造を有することができる(米国特許第5,034,506号)。オリゴヌクレオチドはレポーター基、オリゴヌクレオチドの薬物動態学的特性を改良するための基、またはアンチセンスオリゴヌクレオチドの薬物動力学特性を改良するための基のような基を含むこともできる。アンチセンスオリゴヌクレオチドも糖模倣物を有することもできる。
【0052】
アンチセンス核酸分子は、当技術分野において知られた手法を用いる化学合成および酵素連結反応を用いて構築することができる。本発明のアンチセンス核酸分子またはその断片は、天然に生じるヌクレオチド、あるいは分子の生物学的安定性を増大させるように、またはmRNAもしくは天然遺伝子、例えばホスホロチオエート誘導体およびアクリジン置換ヌクレオチドとで形成された二本鎖の物理的安定性を増大させるように設計された種々に修飾されたヌクレオチドを用いて、化学的に合成することができる。アンチセンス配列は、組換えプラスミド、ファージミドまたは弱毒化ウィルスの形態で細胞に導入された発現ベクターを用いて生物学的に製造することができ、アンチセンス配列は高効率調節領域の制御下で生産され、その活性は、ベクターが導入される細胞型によって決定することができる。
【0053】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ベクター(レトロウィルスベクター、アデノウィルスベクターおよびDNAウィルスベクター)またはマイクロインジェクションのような物理的技術を含めた当前記分野における技術を用いて、組織または細胞に導入することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドを直接インビボで投与することができるか、またはそれを用いてインビトロで細胞をトランスフェクトすることができ、次いで、それをインビボで投与する。1つの態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、リポソーム製剤にて、マクロファージおよび/または内皮細胞に送達することができる。
【0054】
(d)ペプチド模倣物
CD200またはCD200受容体タンパク質のペプチド模倣物は、CD200Rモジュレーターとして調製することもできる。そのようなペプチドは競合阻害剤、エンハンサー、ペプチド模倣物等を含むことができる。これらのペプチドならびにこれらのペプチドと実質的な相同な、相補的な、またはそうでなければそれと機能的にまたは構造的に同等な分子の全てを、本発明の目的で用いることができる。
【0055】
「ペプチド模倣物」は、分子間の相互作用においてペプチドに対する代替物として働く構造である(総説については、Morganら(1989)、Ann. Reports Med. Chem. 24: 243-252参照)。ペプチド模倣物は、アミノ酸および/またはペプチド結合を含んでも含まなくてもよいが、本発明のペプチド、またはエンハンサーもしくは阻害剤の構造的および機能的特徴を保有する合成構造を含む。ペプチド模倣物はペプトイド、オリゴペプトイド(Simonら(1972)Proc. Natl. Acad, Sci USA 89:9367);および本発明のペプチドに対応するアミノ酸の全ての可能な配列を表す設計された長さのペプチドを含むペプチドライブラリーも含む。
【0056】
ペプチド模倣物は、D-アミノ酸によるL-アミノ酸の全体的置換、異なる電子特性を有する基での側鎖の置換、およびアミド結合置換でのペプチド結合の全体的置換によって得られる情報に基づいて設計することができる。局所立体配座の拘束もまた候補ペプチド模倣物の活性についての立体配座要件を決定するために導入することができる。模倣物は、逆ターン立体配座を安定化し、または促進し、および分子を安定化させるのを助けるための等電子アミド結合、またはD-アミノ酸を含むことができる。環状アミノ酸アナログを用いて、アミノ酸残基を特定の立体配座状態に拘束することができる。模倣物は阻害剤ペプチド二次構造の模倣物を含むこともできる。これらの構造は、タンパク質の公知の二次立体配座へのアミノ酸残基の三次元配向をモデル化することができる。N-置換アミノ酸のオリゴマーであって、新規な分子の化学的に多様なライブラリーの生成用のモチーフとして用いることができるペプトイドを用いることもできる。
【0057】
CD200またはCD200受容体イソ型に由来するペプチドを用いて、薬物開発のためのリード化合物を同定することもできる。本明細書中に記載されたペプチドの構造は、NMRおよびX線結晶学のような多数の方法によって容易に決定することができる。配列が同様であるが、それが標的分子において誘発する生物学的活性が異なるペプチドの構造比較は、標的の構造活性の関係についての情報を提供することができる。構造-活性関係の検査から得られた情報を用いて、修飾されたペプチド、または他の低分子もしくはリード化合物いずれかを設計することができ、それを、標的分子に関連する予測される特性につき試験することができる。リード化合物の活性は、本明細書中に記載されたのと同様なアッセイ法を用いて評価することができる。
【0058】
構造活性関係についての情報は、共結晶化実験から得ることもできる。これらの実験において、所望の活性を持つペプチドを標的分子と会合させて結晶化させ、複合体のX線構造を決定する。次いで、前記構造を天然状態の標的分子の構造と比較することができ、そのような比較からの情報を用いて保有することが予測される化合物を設計することができる。
【0059】
(e)スクリーニングアッセイ法
また、本発明は、CD200受容体を調節し、かつ骨発生の調節において有用な物質を同定するためのスクリーニングアッセイ法も含む。調節する物質は、CD200受容体を刺激する物質(CD200Rアゴニスト)およびCD200受容体を阻害する物質(CD200Rアンタゴニスト)を含む。
【0060】
1つの態様によると、本発明は、CD200受容体の活性を調節するその能力につき候補化合物をスクリーニングする方法を可能とする。前記方法は、CD200受容体シグナリングの結果をアッセイするためのアッセイ系を提供し、候補または被検化合物の存在下または非存在下でシグナリング活性をアッセイし、次いで、前記化合物が増大したまたは低下したCD200受容体シグナリングを有するか否かを決定することを含む。
【0061】
従って、本発明は、
(a)CD200受容体を発現する骨細胞と共に被検化合物をインキュベートする工程;および
(b)CD200受容体の活性または発現に対する前記化合物の効果を測定し、対照(被検化合物の非存在)と比較する工程であって、対照と比較したCD200受容体活性または発現の変化が、被検化合物が骨発生を調節することができることを示す工程
を含む骨発生を調節する化合物を同定する方法を提供する。
【0062】
CD200受容体活性の変化は、受容体を通じてのシグナリングの変化、または骨細胞中の受容体を通じてのシグナリングに関連する機能の変化を含む。例えば、本明細書中に記載するように、CD200受容体の刺激の結果、骨代謝に関連する分子のmRNAの増加した発現、ならびに骨発生に関連するサイトカインの放出がもたらされる。従って、サイトカインレベルおよび/またはある種の分子のmRNAレベルを測定して、CD200受容体活性が被検化合物によって調節されるか否かを決定することができる。インビボモデルを用いることもできる。例えば、CD200:CD200Rモジュレーターの効果を、骨粗鬆症の卵巣摘除ラットモデルで評価することができる。プロトコルの十分な記載は、参照として本明細書に組み入れられる、Rixonら、J. Bone & Mineral Research 9, 1179-1189, 1994およびWhitfieldら、Calcif. Tissue Int. 58, 81-87, 1996に記載される。簡単に述べれば、正常なSham-OVX(卵巣摘除)、およびOVX スプラーグ・ドーリー(Sprague-Dawley)ラット(三月齢;255〜260g)を群にランダム化する。前記動物に1日1回の6つの注射/週を与え、OVXから第2週の最後に開始し、OVXから第8週の最後に終了する(すなわち、36注射)。Sham-OVXおよびOVX対照ラットには溶剤(0.001N HClを含有する0.15M NaCl)の36注射を与え、他方、OVXラットには選択された用量の溶剤中の物質を与える。OVXから第8週後の最後に、大腿部を摘出し単離し、洗浄し、中央-骨幹で半分に切断し、基部側半分を捨てる。骨端を除去した後、各半分の大腿部を長さ方向に2つの部分に割り、骨髄をフラッシュする。
【0063】
被検化合物の骨形成能力は、種々に処理した動物からの末端側半分の大腿部における小柱の平均厚み(面積/周囲)の変化から評価する。平均小柱厚みを測定するためには、各ラットからの2つの脱ミネラル化半分の大腿部を脱水し、パラフィンに埋め込む。各骨の中央面からの長手方向10-μm断面を切断し、次いで、サンダーソン(Sanderson)の迅速な骨染料で染色する。平均小柱厚みはイメージング系を用いて測定する。薬物処理群についての小柱厚みについての値の増大。
【0064】
骨発生に対する被検化合物の効果を試験するためにインビトロアッセイ法を用いることもできる。例えば、Millenium Biologixによって「オステオロジックディスクス(Osteologic Disks)」として市販されているアッセイ法を用いることができる。このアッセイ法は、破骨細胞を平板培養するのに用いる場合、破骨細胞による吸収を明らかにするリン酸カルシウム(ヒドロキシアパタイト)材料の薄膜を提供する。従って、平板培養した破骨細胞と共にスライドガラスを用いて、物質が存在しない対照に対する、前記膜中に破骨細胞が作り出す数または面積の減少として明らかにされる、破骨細胞-媒介吸収を阻害する物質を同定することができる。
【0065】
1つの態様において、本発明のスクリーニングアッセイ法を用いて、CD200受容体アゴニストを同定することができる。本明細書中で用いられる用語「CD200受容体アゴニスト」は、CD200受容体に結合し、それを架橋させ、またはそれを連結することができるいずれの物質、および前記受容体の刺激の結果も意味する。CD200受容体の刺激は、受容体を通じてのシグナリングの刺激、または受容体を通じてのシグナリングに関連する骨細胞の機能の刺激を含む。例えば、アゴニストによる受容体の刺激の結果、破骨細胞形成の低下、および破骨細胞によって媒介される結果としての骨吸収の低下による、骨発生の正味の増加がもたらされる。
【0066】
従って、本発明は、
(a)CD200Rを発現する骨細胞と共に被検化合物をインキュベートする工程;および
(b)CD200Rを被検化合物が刺激するか否かを測定する工程であって、CD200Rの刺激は、被検化合物が骨発生を刺激することにおいて有用であり得るCD200Rアゴニストであることを示す工程
を含む、骨発生の刺激において有用なCD200Rアゴニストの同定方法を提供する。
【0067】
具体的なアッセイ法において、骨細胞に対する、CD200Rに結合する被検化合物の能力を試験することができる。従って、本発明は、
(a)複合体の形成を可能とする条件下で、CD200受容体を発現する骨細胞および被検化合物をインキュベートする工程、および
(b)CD200受容体および被検化合物の複合体につき、遊離化合物につき、および非複合体化CD200受容体につきアッセイする工程であって、複合体の存在は、被検化合物がCD200受容体に結合することができることを示す工程
を含む、CD200受容体と結合する化合物を同定する方法を提供する。
【0068】
もう1つの態様において、スクリーニングアッセイ法を用いて、CD200受容体アンタゴニストを同定することができる。本明細書中で用いる用語「CD200受容体アンタゴニスト」は、CD200受容体の活性化または刺激を阻害することができる任意の物質を意味する。CD200受容体の阻害は、受容体を通じてのシグナリングの阻害、および受容体に関連する細胞の機能の阻害を含む。
【0069】
従って、本発明は、
(a)CD200受容体と共に被検化合物をインキュベートする工程;および
(b)被検化合物がCD200受容体を阻害するか否かを測定する工程であって、CD200Rの阻害は、前記化合物がCD200Rアンタゴニストであって、骨発生を阻害するのに有用であり得ることを示す工程
を含む、骨発生の阻害において有用なCD200受容体のアンタゴニストを同定するスクリーニングアッセイ法を提供する。
【0070】
当業者であれば、多くの方法を用いて、被検化合物がCD200Rを阻害し、骨発生を阻害することが出来るか否かを測定することができることを認識するであろう。
【0071】
もう1つの態様において、骨細胞でのCD200RアゴニストおよびCD200Rの相互作用に対する被検化合物の効果につき試験することによって骨発生のモジュレーターを同定するためのアッセイ法を開発することができる。従って、本発明は、
(a)CD200受容体を有する骨細胞と共に被検化合物をインキュベートする工程;
(b)CD200受容体アゴニストを添加する工程;および
(c)被検化合物が骨発生を調節するか否かを測定する工程
を含む、骨発生のモジュレーターを同定するスクリーニングアッセイ法を提供する。
【0072】
当業者であれば、多くの方法を用いて、骨発生に対する被検化合物の効果を試験することができるのを認識するであろう。1つの態様において、処理骨細胞におけるOPG:OPGL、TRAP、RANK、BSP、OCおよびCbfa-1のような骨発生と関連する一つまたは複数の分子のmRNAレベルを測定することができる。また、IL-1、IL-6、TFGβおよびTNFαのような培養基中の一つまたは複数のサイトカインのレベルを測定することもできる。mRNAおよびサイトカインレベルを測定するための方法は実施例1でより詳細に記載する。
【0073】
前記スクリーニングアッセイ法の全てにおいて、被検化合物は、限定されるものではないが、タンパク質、ペプチド、(RNA、DNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ペプチド核酸を含めた)核酸、炭水化物、有機化合物、低分子、天然産物、ライブラリー抽出物、体液、その他CD200受容体のモジュレーターにつき試験したい他の試料を含めた、試験することを望むいずれの化合物とすることもできる。
【0074】
CD200受容体は、前記アッセイ法において骨細胞の表面に発現される。スクリーニングアッセイ法で用いられる骨細胞は、CD200Rを発現するいずれの骨細胞、またはCD200Rでトランスフェクトされている骨細胞とすることもできる。用いることができる骨細胞のタイプは、限定されるものではないが、間葉幹および先祖細胞を含めた、骨芽細胞先祖細胞、骨芽細胞、破骨細胞、骨細胞、軟骨芽細胞、軟骨細胞、軟骨吸収細胞、または骨髄細胞を含めた新鮮な培養細胞または細胞系を含む。加えて、限定されるものではないが、MC3T3-E1細胞、MG-63細胞、U2OS細胞、UMR-106細胞、ROS 17/2.8細胞およびSaOS-2細胞を含めた多数の骨細胞系が商業的に入手できる(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection:ATCC)カタログ参照)。
【0075】
本発明のスクリーニング方法はハイスループットスクリーニング適用を含む。例えば、本発明による方法のいずれかを含むハイスループットスクリーニングアッセイ法を用いることができ、ここに、CD200受容体でトランスフェクトされた骨細胞のアリコットを、マルチ-ウェルプレートの異なるウェル内の複数の被検化合物に暴露する。さらに、本発明によるハイスループットスクリーニングアッセイ法は、いずれかの種類の小型化アッセイ系において複数の候補因子に暴露されるトランスフェクトされた細胞のアリコットを含む。ハイスループットスクリーニングアッセイ法のもう1つの態様は、トランスフェクトされた細胞の集団を同時に複数の被検化合物に暴露することを含むことができよう。
【0076】
本発明の方法は、限定されるものではないが、プレート当り24、48、96または384-ウェルのようなマルチ-ウェルプレート、マイクロ-チップまたはスライドを含めた小型化のいずれの許容される方法を通じてのアッセイ系においても「小型化」することができる。前記アッセイ法をサイズを低下させて、有利には、少量の試薬および他の物質を含むマイクロ-チップ支持体で行うことができる。ハイスループットスクリーニングに導かれるプロセスのいずれの小型化も本発明の範囲内である。
【0077】
本発明は、骨発生の調節において有用な本発明のスクリーニング方法を用いて同定されたCD200受容体のいずれかの化合物またはモジュレーターまで拡大される。
【0078】
また、本発明は、適当な希釈剤または担体と混合した、本発明のスクリーニング方法を用いて同定されたCD200受容体のモジュレーターを含む薬学的組成物を含む。本発明は、さらに、本発明のスクリーニングアッセイ法に従って同定されたCD200受容体のモジュレーターを適当な希釈剤または担体と混合することを含む、骨発生の調節において用いられる薬学的組成物の調製法を含む。
【0079】
また、本発明は、薬物発見ビジネスを行うことを含めた本発明のスクリーニングアッセイ法の全てのビジネス適用も含む。従って、本発明は、
(a)CD200受容体のモジュレーターを同定するための一つまたは複数のアッセイ系を提供する工程;
(b)工程(a)で同定されたモジュレーター、またはそのさらなるアナログを、動物における効率および毒性につき治療的プロファイリングを行う工程;および
(c)許容される治療的プロファイルを有するものとして工程(b)で同定された一つまたは複数のモジュレーターを含む薬学的製剤を処方する工程
を含む、薬物発見ビジネスを行う方法も提供する。
【0080】
ある態様において、本発明の方法は、販売のために薬学的製剤を配布するための配布システムを確立する工程を含むこともでき、任意で、薬学的製剤をマーケティングするための販売グループを確立することも含むことができる。
【0081】
また、本発明は、
(a)CD200受容体のモジュレーターを同定するための一つまたは複数のアッセイ系を提供する工程;
(b)(任意で)工程(a)で同定されたモジュレーターの治療的プロファイリングを、動物における効率および毒性につき行う工程、および
(c)さらなる薬物開発および/または工程(a)で同定されたモジュレーター、またはそのアナログについての販売に対する権利を第三者にライセンスする工程
を含む、標的発見ビジネスを行う方法も提供する。
【0082】
III.薬学的組成物
本発明は、CD200Rの一つまたは複数のモジュレーターを含有する薬学的組成物を含む。従って、本発明は、適当な希釈剤または担体と混合した、有効量のCD200Rモジュレーターを含む骨発生の調節において用いられる薬学的組成物を提供する。
【0083】
1つの態様において、本発明は、適当な希釈剤または担体と混合された、有効量のCD200Rアゴニストを含む、骨発生の刺激において用いられる薬学的組成物を提供する。
【0084】
もう1つの態様において、本発明は、適当な希釈剤または担体と混合された、有効量のCD200Rアンタゴニストを含む、骨発生の阻害において用いられる薬学的組成物を提供する。
【0085】
そのような薬学的組成物は、病巣内、静脈内、局所、直腸、非経口、局所性、吸入剤または皮下、皮内、筋肉内、鞘内、減腹腔、経口および脳内使用とすることができる。前記組成物は、液体、固体または半固体形態、例えば、丸剤、錠剤、クリーム剤、ゼラチンカプセル剤、カプセル剤、坐剤、ソフトゼラチンカプセル剤、ゲル剤、膜剤、チュベレット剤、液剤または懸濁剤とすることができる。CD200受容体またはリガンドは、好ましくは、静脈内、腹腔内または皮下にて生理食塩水中で注射される。または、かつ全身送達よりはむしろ局所送達のためには、例えば、骨折の治療のためには、および歯適用のためには、ヒドロキシアパタイトのような骨適合性マトリックス材料を用いて、選択された治療剤をペーストとしてまたは硬化されたセメントとして処方することができ、一般に、その適用の前または後いずれかに、骨折またはボイドのような骨部位に凝固するいずれのリン酸カルシウム材料とすることもできる。室温で凝固するセメントは、選択された療法を変質するような条件が回避されるので好ましい。
【0086】
本発明の薬学的組成物は、ヒトまたは動物への投与を意図することができる。投与すべき投与量は、個々の必要性、所望の効果、および選択された投与経路に依存する。
【0087】
薬学的組成物は、患者に投与することができる薬学的に許容される組成物を製造するための自体公知の方法によって、かつ有効量の活性物質が薬学的に許容される溶剤と混合して組み合わされるように調製することができる。適当な溶剤は、例えば、Remington's Pharmaceuitical Sciences(Remington's Pharmaceutical Scienices, Mack Publishing Companies, Easton, Pa., USA 1985)に記載されている。
【0088】
これに基づき、薬学的組成物は、専らそうというのではないが、一つまたは複数の薬学的に許容される溶剤または希釈剤と組み合わせた、かつ適当なpHおよび等浸透圧を用い、生理学的流体を含む緩衝溶液に含有された活性化合物または物質を含む。薬学的組成物は、加えて、他の免疫調節剤を含有することができる。
【0089】
本発明の核酸分子を含む薬学的組成物は、骨発生を調節するために遺伝子治療で用いることができる。本発明のCD200またはCD200R分子をコードする核酸配列を含む組換え分子、またはその断片は、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクターおよびDNAウイルスベクターのような送達溶剤を用いて、インビボにて細胞または組織に直接導入することができる。それらは、マイクロインジェクションおよびエレクトロポレーションのような物理的技術、または共沈殿およびDNAのリポソームへの取込みのような化学的方法を用いてインビボにて細胞に導入することもできる。組換え分子は、エアロゾルの形態にて、または洗浄によって送達することもできる。本発明の核酸分子は、細胞への直接的注射によるように細胞外適用することもできる。CD200またはCD200R分子をコードする核酸分子は、好ましくは、免疫グロブリン(Ig)Fc領域をコードする核酸分子との融合として調製される。それ自体、CD200またはCD200R分子は、可溶性融合タンパク質としてインビボで発現される。
【0090】
前記薬学的組成物は、サイトカイン、MD-1またはfg12のような他の免疫調節分子を含むこともできる。
【0091】
以下の非限定的実施例は、本発明を例示するものである。
【実施例】
【0092】
実施例1
材料および方法
マウス:IL-1rまたはTNFαr(p55,75)の相同欠失(KO)によって構築されたマウスの繁殖動物対と共にC57BL/6マウスはJackson Laboratories,Bar Harbour、Maineから購入した。雄マウス(6〜8週齢)を全体を通じて細胞ドナーとして用いた。
【0093】
細胞培養: 間質細胞は、対照またはKOマウスからの骨髄の5日間培養から得られ、1×102 MC3T3骨芽細胞/ウェルを注意深く添加し、または添加することなく、骨学スライド(Millenium Biologix, Kingston, カナダ)中で培養した(1×104細胞/ウェル)。培養された骨芽細胞系における遺伝子発現は、cDNAアレイ分析によって測定されるように、培養中に経時的に変化し(21)、潜在的には、より古い骨芽細胞における骨再生の減少の原因である変化を反映することに注意されたい。従って、本明細書中で報告する全ての実験は、P24において凍結されたMC3T3細胞を用いて行い、解凍および新鮮な培地への移動から7日以内に用いた。
【0094】
幾つかの実験においては、骨細胞発生を修飾する手段として、外因性CD200Fc(22)、または抗CD200R(23)の存在下で細胞をインキュベートした。培地を2日間隔で変更し、それは、M-CSF、デキサメタゾン(10-8M)、アスコルベート(75μg/ml)、リン酸グリセロール(10mM)および0.5%正常マウス血清を含んだ。ほとんどの実験において、回収に2日先立って、LPS注射マウス(24時間前に10mg/マウス腹腔内注射)からの0.5%血清で細胞をパルスした。明細書中で述べた実験においては、骨学スライド上の細胞を湿潤化CO2インキュベーター中でインキュベートして、(ELISA(後記参照)によるサイトカインタンパク質分析のための)培養上清への接近を可能とした。全てのスライドをRNA中にて10日後に固定し(Ambion)、mRNAをトリゾール溶液中に回収し、リアルタイムPCRを用い、粉砕されたおよびシミュレートされた微小重力培養の間で比較を行った。
【0095】
リアルタイムPCR: プライマー対は、全ての場合、対象となる遺伝子についての〜100bpアンプリコンを検出するように設計した。リアルタイムPCRにおける遺伝子発現を、3つのハウスキーピング遺伝子(GAPDH、トランスフェリンrおよびβ-アクチン)の幾何平均発現の複合性に対して正規化して、ハウスキーピング遺伝子においてでさえ発現の100倍を超える変動を占めた(図面参照)。
【0096】
サイトカイン分析: 培養上清(50μl)は、培養の完了時に骨学スライドの個々のウェルから回収し、ELISAアッセイ法およびPharmingen(San Diego,CA)から得られた市販のサイトカイン特異的mAbを用いてIL-1、IL-6、TGFβ、TNFαおよびIL-1raレベルにつき評価した。プレートを捕獲抗体(100ng/ml)でプレコートし、50ng/mlのビオチニル化展開抗体で展開した。適当な基質と共にストレプトアビジン結合アルカリ性ホスファターゼを用いて、アッセイを展開し、組換え体マウスサイトカイン(Endogen, San Diego, CA)を用いてアッセイを定量した。以下の抗体を用いた。IL-1βについてはPM425B1およびMM425BB;IL-1raについてはヤギポリクローナルIg、Q19、およびビオチニル化M20(Santa Cruz Biotechnology Inc.,Santa Cruz,CA);IL-6についてはMP5-20F3およびMP5-32C11;IFNγについてはR4-6A2およびXMG1.2、TNFαについてはG281-2626およびMP6-XT3。
【0097】
結果
血清サイトカインによる破骨細胞活性化についての骨培養におけるmRNA発現
予備実験において、本発明者は、(培養の最後の48時間における)LPS処理マウスの血清の存在下でのサイトカイン混合物での処理に続き、骨芽細胞先祖細胞MC3T3の存在下/非存在下で増殖させた骨髄間質細胞における骨代謝の調節に関連する分子の双方の定常状態mRNAレベルを調べた。これらの培養の上清におけるサイトカイン生産も評価した。
【0098】
図1および図2に示すように、LPS処理は、そのような培養における破骨細胞形成に関連するmRNAの顕著な増大した発現(増大したTRAP、RANK、減少したOPG:OPGL-表1参照)、および骨芽細胞形成のマーカーにおける対応する降下(BSP、OCおよびCbfa1-図1参照)、に導いた。サイトカインを測定すると、IL-1、IL-6およびTNFαの増大した発現は対照培養に対して最も顕著であり、IL-1ra:IL-1比率は減少した(表1)。
【0099】
抗CD200Rの存在下/非存在下における骨培養でのmRNA発現の比較
次に、発明者は、再度、LPS処理マウス(増大した破骨細胞活性を誘導することが知られているサイトカインの源-図1参照)からの血清を含む培養の最後の48時間の間に刺激された細胞と共に、CD200Fcまたは抗CD200R mAbの存在下/非存在下で増殖させた骨髄間質細胞における骨代謝の調節に関連する種々の分子およびサイトカインの定常状態mRNAレベルを評価した。サイトカイン、種々のより骨特異的なmRNA(例えば、BSP、OC、OPG等)は、内部標準として種々のmRNAの複合体を用い、ELISAまたはリアルタイムPCRによって材料および方法に記載したように定量した。3つのそのような実験のうちの1つにおけるmRNA発現についての比較データを図3および図4(各々、抗CD200R、CD200Fc)に示す。加えて、これらの同培養から上清を回収し、ELISAによって、IL-1、IL-6、TGFβ1、TNFαおよびMCP-1をアッセイした(図5および図6)。
【0100】
これらの実験より、抗CD200RまたはCD200Fcいずれかの存在下でのインキュベーションは、(対照(図1参照)に対して)これらの培養での破骨細胞形成のマーカーについてのmRNAの増大した発現を停止させることが明らかであり、これは、今や、増大した骨シアロタンパク質およびオステオカルシン、ならびに(骨芽細胞)転写因子Cbaf1に対する証拠である。これらの知見と合致して、表1に示すように、抗CD200RおよびCD200Fc双方の存在下でOPG:OPGLの比率は顕著に上昇した(減少したOPGLに関してOPGの最小の変化)。RANK mRNA発現の同時減少に関しては、これらの変化の結果、減少した破骨細胞形成がもたらされると予測される。減少したTRAP mRNA発現は、同様に、この仮説に合致する。
【0101】
抗CD200R刺激骨髄間質細胞からのサイトカインタンパク質生産の比較
図3および図4で記載した培養上清におけるサイトカイン/ケモカインタンパク質生産を分析するデータを図5および図6に示す(再度、3つの実験のうちの1つ)。
【0102】
考察
OPG:OPGLによる骨代謝/分化の調節について多数の最近の総説がある(6、24、25)。これらは、OPGを介するインビボでのOPGLでの阻害が、骨破壊および局所的骨吸収を減少させることを確認している。増加したOPG:OPGLの条件下では、TRAP mRNAはほとんど検出されず、これは、恐らくは、骨破壊が一般的には少なくとも部分的にOPGLによって活性化されたOCの作用によるという事実を反映する。今度は、これらのデータは、各々、OPG(OPGL)ノックアウトマウスからの証拠と合致し、これは、齧歯類におけるコラーゲン誘導関節炎モデルでの実験からの、(各々)大理石骨病/骨粗鬆症に対する増大した罹患性を示す。従って、後者の点において、Fc-オステオプロトゲリン融合タンパク質(Fc-OPG)をCIAの誘導に続いてラットに注入し、パラフィン包埋関節を、組織形態計測によって評価した隣接骨と共に組織学的に分析した。TRAP染色を用いてOCを同定し、OPGおよびRANKLについてのmRNAの発現をインサイチューハイブリダイザーションによって同定した。短期間Fc-OPGは、CIAの炎症局面に対してインパクトを有しないにもかかわらず、関節破壊を効果的に妨げ、関節炎関節において、OCの数は75%を超えて減少し、Fc-OPGによると、骨侵食スコアは60%を超えた(26)。
【0103】
OCまたはデンドライト細胞(DC)への骨髄における骨髄系前駆体の分化の逆調節は、各々、多数の他のサイトカイン、神経ホルモン、および内分泌学的因子と組み合わせた、各々、M-CSFまたはGM-CSFによって媒介される(27)。また、c-Fosが分化の初期段階において発現されるとDC成熟も阻害され(28)、これは、c-FosがOCとDCの間の系列コミットメントの鍵となるメディエーターであることを示唆する。OC分化のプログラミングに続く他の転写により活性化された遺伝子の中には、恐らくは、骨代謝回転の部位へのOCの化学走性の調節に関与する多数のケモカイン受容体をコードするものがある。OCによって発現される支配的なケモカイン受容体は、CCR1であり、続いて、CCR3およびCX3CR1である(29)。対照的に、CCR2およびCCR5を含めた、マクロファージで発現され、かつ炎症応答に関連した多数の受容体がRANKLによって下降調節された。CCR1を通じて作用するCCL9は、これらの実験では、やはりCCR1を通じて作用し、OCに対して化学走性であるCCL3/MIP-1αに応答して観察されるのと同様に、細胞質移動およびOCにおける分極を刺激することが観察された。
【0104】
骨髄系細胞がDCに発生すると、T細胞とDCの間の相互作用を調節するにおけるOPGおよびそのリガンドについての機能的に重要な役割に対する証拠がある。DCはRANKを発現し、他方、T細胞はRANKLを発現し、RANKLによるRANKの連結はT細胞およびDCを共に活性化することができる。B細胞およびDCは共にOPGを分泌し、この分泌はCD40受容体によって調節されるという証拠がある(30)。OPG(-/-)マウスはB細胞発生の欠陥を有し、加えて、これらのマウスから単離されたDCは、抗原をインビトロでより効果的に提示し、インビトロでLPSまたは可溶性RANKLで刺激すると、上昇した量の炎症サイトカインを分泌する。
【0105】
前記したように、副甲状腺ホルモン(PTH)、PGE2、炎症(および他の)サイトカイン、および1,25(OH)(2)-ビタミンD-3を含めた多数の他の因子は、骨分化を調節することが知られている。しかしながら、PGE-受容体ノックアウトマウスに由来する細胞でのOC/OB分化の検査は、事実、野生型およびEP2-/-またはEP4-/-細胞双方において、同様に、PTHはRANKLおよびIL-6を増加させ、OPG mRNAレベルを減少させることを示し、EP2またはEP4受容体いずれかを欠く動物におけるPGEに対する応答での主な欠陥(2)は、基礎および刺激RANKLレベルにおける低下である(31)。IL-4は、NF-カッパB(32)のSTAT6-依存性阻害を介して破骨細胞形成をなくし、他方、IL-11は、部分的にはPGE2に依存し、IL-4、IL-13およびOPGによる阻害に対して感受性であって、RANKLおよびOPGの増大した発現と関連するメカニズムによって、マウス頭骸冠において破骨細胞吸収を刺激する(33)。独立して、Brandstrom(34)は、ヒト骨髄間質細胞からのOPG分泌が、PGE2およびDEXによって減少するが、IL-1およびTNFαによって増加し、引き続いて、OC分化の調節が伴うことを示している。
【0106】
マウスOBにおけるOPGLの遺伝子発現の刺激は、Toll様受容体に作用するLPSによって活性化される(35)。この点に関し、骨髄培養の開始から存在する場合、CpG ODN(TLR-9に対するリガンド)は、RANKL誘導破骨細胞形成を阻害するが、RANKL-予備処理細胞においてはRANKL-誘導破骨細胞形成を増加させたのは関心対象である。CpG ODNは(IL-1raを介さずに)IL-1βおよびTNFα、ならびにTNFαまたはTNFr-タイプ1に対する抗体の発現を増強し、RANKL-予備処理培養においてCpG ODN-誘導破骨細胞形成をブロックした(36)。興味深いことに、CpG ODNは、OC分化の開始の間に重要なことが知られているM-CSF受容体の発現を低下させた。これらのデータは、M-CSF受容体の下降調節を介して、CpG ODNはOC分化の初期工程を阻害することができるが、TNFαの誘導を通じて、それは、OC分化経路を侵す細胞において破骨細胞形成を同時に支持することができることを示唆する。
【0107】
OB細胞系(例えば、MC3T3-E1)での細胞培養実験、および/またはこれらの細胞と造血系先祖細胞との共培養実験は、OC/OB分化の複雑性を探究するための通常の手段であった。従って、骨芽細胞分化はノッチ(Notch)によって正に調節されることが示されており(37)、これは、骨粗鬆症を調節するにおけるこの分子での潜在的な予期せぬ新規な役割を意味する。MC3T3-E1細胞はBMP-2、BMP-4およびBMP-7を構成的に発現することが知られており、他方、ノッジン(Noggin)、特異的なBMP阻害剤は、OB分化に関連するアスコルベート-誘導遺伝子発現を可逆的にブロックし、これは、MC3T3-E1細胞によるBMP生産が分化に必要なことを示す(20)。事実、オステオカルシン(OCN)および骨シアロタンパク質(BSP)mRNAまたはOCNプロモーター活性を刺激する外因的に添加されたBMP-2、BMP-4またはBMP-7の能力は、細胞外マトリックスを能動的に合成する(すなわち、アスコルベートの存在下で増殖された-(38)も参照)細胞において相乗的に増加した。他の実験において、BMP-2は、OB分化マーカーアルカリ性ホスファターゼ(ALP)およびオステオカルシン(OC)の発現を誘導し、または増強させた。対照的に、TGFβ1はこれらのマーカーを誘導することができないのみならず、BMP-2-媒介OC遺伝子発現、ALP活性、およびMC3T3-E1ミネラル化を誘導するBMP-2の能力を阻害し、その阻害剤の機能の全ては、Osf2/Cbfal遺伝子発現から独立していた(11)。
【0108】
OPGおよびTGFβは造血細胞/OB共培養においてOC形成を阻害したが、その作用のキネティクスは異なった。また、TGFβは、OPGノックアウトマウス(opg(-/-))に由来する細胞の共培養において破骨細胞形成を阻害した。TGFβは培養されたOBにおけるRANKLメッセンジャーRNA(mRNA)発現を減少させ、外因性RANKLの、opg(-/-)細胞のTGFβ-阻害共培養への添加は、破骨細胞を部分的に回復させた。これらのデータは、TGFβの阻害作用が、主として、RANKLの減少したOB生産によって媒介されることを示唆する。対照的に、OBの非存在下では、TGFβは、RANKLまたはTNFα単独によって最大刺激により達成することができるレベルを何倍も超えて、造血細胞の、またはRAW 264.7マクロファージ様細胞でさえの組換え体RANKL‐またはTNFα-刺激培養においてOC形成を増加させ、これは、TGFβがOC前駆体への作用を通じてOC形成を増加させることを意味する(39)。
【0109】
同様に、脾臓-OB共培養における1,25(OH)(2)ビタミンD-3-刺激OC形成は、少なくとも部分的には、Obにおける増強されたIL-1αおよびRANKL生産によって間接的に媒介される(40)。OB分化に対する1,25(OH)(2)-ビタミンD-3のこれらの効果は、さらに、BMP7(抑制的)およびTGFβ1(増強的)によって反対に調節される(41)。
【0110】
Kimおよび共同研究者による最近の研究(42)は、インビトロでの骨発生のさらなる調節におけるCD200:CD200R相互作用についての役割を記載する先に報告された仕事を思い出させる。このグループは、OC-関連レポーター(OSCAR)を、特異的にOCで発現された白血球受容体複合体(LRC)コードファミリーの新規なメンバーとして特徴付けた。LRCは、先天的および適応免疫応答双方の調節において重要な役割を演じることが報告されている免疫グロブリン(Ig)様表面受容体を生産することが知られている。しかしながら、LRC複合体の他のメンバーとは異なり、OSCAR発現はプレ破骨細胞または成熟したOCに制限される。その推定リガンド(OSCAR-L)は、主として、OBおよび/または間質細胞で発現される。図2に示されたのと平行した実験において、破骨細胞と共培養したOSCARの可溶性形態の添加は、骨吸収因子の存在下で骨髄前駆体細胞からのOCの形成を阻害し、これは、OSCARがOC分化の骨特異的レギュレーターであり得ることを示唆する。
【0111】
現在好ましい実施例であると考えられるものを引用して本発明を記載してきたが、本発明は開示された実施例に限定されることはないと理解されるべきである。対照的に、本発明は、添付の請求の範囲の精神および範囲内に含まれる種々の修飾および同等な配置を含むことを意図する。
【0112】
全ての刊行物、特許および特許出願を、各個々の刊行物、特許または特許出願がその全体が参照として本明細書に組み入れられるように、が具体的かつ個々に示されるのと同程度に、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0113】
(表1)LPS処理マウス由来の血清および抗CD200R/CD200Fcを含む/含まない、種々の条件下でインキュベートされた間質細胞培養(+MC3T3)におけるOPG:OPGL(RT-PCR)、およびIL-1ra:IL-1(ELISA)比率

脚注:
a.データは培養された細胞(すなわち、MC3T3細胞を含む間質)、および(LPS処理マウス由来の血清、および+抗CD200RまたはCD200Fcの存在下/非存在下で刺激された)培養の条件をいう。
b.実験/データの詳細な記載を見出すことができる図面をいう。全ての場合、SD<25%である。
* 対照培養(LPS処理マウスからの血清無し)と比較してp<0.05。
【0114】
明細書中で言及された文献の完全な引用





【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨発生を調節するための、有効量のCD200受容体を調節する物質の使用。
【請求項2】
骨発生を刺激するための、有効量のCD200受容体アゴニストの請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記CD200受容体アゴニストが、抗体、ペプチド模倣物、低分子、CD200タンパク質およびその断片、可溶性CD200、CD200受容体タンパク質およびその断片、ならびにその可溶性CD200受容体からなる群より選択される、請求項2記載の使用。
【請求項4】
前記CD200受容体アゴニストがCD200タンパク質またはその断片である、請求項2記載の使用。
【請求項5】
前記CD200受容体アゴニストがCD200受容体を架橋させる抗体である、請求項2記載の使用。
【請求項6】
増大した破骨細胞形成または骨喪失に関連した状態または疾患の治療または予防のための、請求項2〜5のいずれか一項記載の使用。
【請求項7】
前記骨喪失が、炎症性状態、感染、損傷、遺伝的障害および老化に関連する、請求項6記載の使用。
【請求項8】
前記疾患または状態が、骨粗鬆症、骨形成不全、パジェット病、転移性骨癌、骨髄腫骨疾患、または骨折癒合である、請求項6または7記載の使用。
【請求項9】
骨発生を阻害するための、有効量のCD200受容体アンタゴニストの、請求項1記載の使用。
【請求項10】
前記アンタゴニストが、CD200受容体に対する抗体断片、低分子、ペプチド模倣物、ペプチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドからなる群より選択される、請求項9記載の使用。
【請求項11】
減少した破骨細胞形成または増加した骨質量に関連する疾患または状態の治療または予防のための、請求項9または10記載の使用。
【請求項12】
前記疾患または状態が大理石骨病または線維性形成異常に関連する、請求項11記載の使用。
【請求項13】
(a)CD200受容体を発現する骨細胞と共に被検化合物をインキュベートする工程;および
(b)CD200受容体活性または発現に対する該化合物の効果を測定し、対照と比較する工程であって、対照と比較したCD200受容体の活性または発現の変化が、該被検化合物が骨発生を調節し得ることを示す工程
を含む、骨発生を調節する化合物を同定する方法。
【請求項14】
(a)CD200Rを発現する骨細胞と共に被検化合物をインキュベートする工程;および
(b)該被検化合物がCD200Rを刺激するか否かを測定する工程であって、該CD200Rの刺激が、該被検化合物が骨発生を刺激するのに有用であり得るCD200Rアゴニストであることを示す工程
を含む、骨発生を刺激するのに有用なCD200Rアゴニストを同定する方法。
【請求項15】
(a)CD200受容体と共に被検化合物をインキュベートする工程;および
(b)該被検化合物がCD200受容体を阻害するか否かを測定する工程であって、該CD200Rの阻害が、該化合物がCD200Rアンタゴニストであって、骨発生を阻害するのに有用であり得ることを示す工程
を含む、骨発生を阻害するのに有用なCD200受容体のアンタゴニストを同定する方法。
【請求項16】
(a)CD200受容体を有する骨細胞と共に被検化合物をインキュベートする工程;
(b)CD200受容体アゴニストを添加する工程;および
(c)該被検化合物が骨発生を調節するか否かを測定する工程
を含む、骨発生のモジュレーターを同定する方法。
【請求項17】
(a)複合体を形成させる条件下で、CD200受容体を発現する骨細胞および被検物質をインキュベートする工程;および
(b)CD200受容体および被検物質の複合体につき、遊離物質につき、および非複合体化CD200受容体につきアッセイする工程であって、該複合体の存在が、該被検物質がCD200受容体に結合することができることを示す工程
を含む、CD200受容体に結合する物質を同定する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−155843(P2010−155843A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6754(P2010−6754)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【分割の表示】特願2004−510828(P2004−510828)の分割
【原出願日】平成15年6月6日(2003.6.6)
【出願人】(503185736)トリリウム セラピューティクス インコーポレーティッド (2)
【Fターム(参考)】