説明

高いバイオアベイラビリティーを有するフェノフィブレート医薬組成物及びそれを調製するための方法

【課題】高いバイオアベイラビリティーを有するフェノフィブレート医薬組成物及びそれを調製することを目的とする。
【解決手段】本発明は、(a)20μm未満の大きさを有する微粉化形態の活性フェノフィブレートと、(a)全体の少なくとも20重量%を構成する親水性ポリマーと、任意に界面活性剤と、を含む少なくとも1の層でコートされた不活性水溶性担体と;(b)任意に、1又は複数の外部相又は層と、を含む即時放出性のフェノフィブレート組成物に関する。本発明は、その調製の方法にも関する。さらに、本発明は、親水性ポリマー及び任意に界面活性剤の溶液中の、20μm未満の大きさを有する微粉化形態のフェノフィブレートの懸濁液に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶解度が改善されることにより高いバイオアベイラビリティーを有する新規の医薬組成物、及びそれを調製するための方法に関する。本発明は、より詳しくは、経口投与による投与のための医薬組成物であって、水溶解度の乏しい活性成分を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の活性成分が、水性媒体中で溶解度が低く、これにより不十分な溶解プロフィールを有し、結果として経口投与後の生物内でのバイオアベイラビリティーが乏しいという欠点を有している。これにより、投与に必要とされる治療投与量は、この欠点を未然に防ぐために増加されなければならない。これは、特に、多数の低脂肪化活性成分、例えばフィブレートファミリーに属するものに適用される。
【0003】
フェノフィブレートは、種々の投与量(100及び300mgの、例えばSecalip(登録商標))で市販されるが、活性成分のバイオアベイラビリティーの乏しい、形態であるフィブレートのファミリーからの公知の低脂肪化剤である。実際、その乏しい水溶解度のため、フェノフィブレートは、ほとんど消化管に吸収されず、結果としてそのバイオアベイラビリティーは不完全かつ不規則であり、しばしばヒトにより変わる。
【0004】
フェノフィブレート及びそのバイオアベイラビリティーの溶解プロフィールを改良し、それにより投与に、必要とされる量を減少させるため、100%に近いレベルを得るためにその溶解度を増加させることが役に立つであろう。
【0005】
更に、患者を楽にするため、1日に数回、投与するのと同じ効果を与えながら1日1回、薬剤が投与されることのみを要求する投与形態を見つけることが有利である。
【0006】
EP−A−0330532は、フェノフィブレートのバイオアベイラビリティーを改善するための方法を開示する。この特許は、フェノフィブレート溶解度を改善し、それによりそのバイオアベイラビリティーを増加させるために、フェノフィブレートを、界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムと一緒に微粒化する効果を記述する。この特許は、フェノフィブレートを固体界面活性剤と共に微粉化することが、界面活性剤を加えることにより、又は単にフェノフィブレートのみを微粉化することにより、又は別個に微粉化されたフェノフィブレート及び界面活性剤を観察に混合することにより得られるであろう改善よりかなり大きくフェノフィブレートのバイオアベイラビリティーを改善することを教授する。用いる溶解方法は、慣用的な回転ブレード技術(ヨーロッパ薬局方(European Pharmacopoeia))であり:製品溶解速度は、標準化された装置により撹拌した固定容量の溶解媒体において測定され;テストは、連続フローセル法を用いて、European Pharmacopoeiaにかわる技術でも行った。
【0007】
EP−A−0330532の方法は、固体界面活性剤と共に微粉化された活性成分が改良されたフェノフィブレート溶解を有し、これによりバイオアベイラビリティーを増加させ、所定レベルの有効性で薬剤の1日の投与量を減少させる(100mg及び300mgのかわりに各々67mg及び200mg)ことを可能にする新しい投与形態を導く。
【0008】
しかしながら、この特許の調製方法は、それが活性成分の完全なバイオアベイラビリティーを導かないので完全に満足いくものではなく、いくつかの欠点を有する。フェノフィブレートと固体界面活性剤と共に微粉化する技術は、それが本当なら、活性成分の溶解度を改善するが、この溶解度は完全ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これにより、極めて短い時間で、100%近いレベル(又はいずれかの場合、次の限界超である:75rpmのブレード回転速度で、2% Polysorbate 80を加えた1200mlの水、又は0.025Mラウリル硫酸ナトリウムを加えた1000mlの水からなる培体中、5分で10%、10分で20%、20分で50%、そして30分で75%)を得るために、フェノフィブレートバイオアベイラビリティーを改善する必要があり、これは低い界面活性剤成分を有する溶解媒体を用いる場合でさえそうである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願人は、驚くことに、活性成分の懸濁液を不活性水溶性担体に噴霧することにより医薬組成物を調製するための新規方法によりこの問題を解決することが可能であることを見出した。本発明は、これにより調製された医薬組成物にも関する。
【0011】
その使用は、最大10重量%で、0.5〜5重量%の濃度の錠剤を製造するためのポリビニルピロリドンのようなポリマーとして既に知られている。この場合、ポリビニルピロリドンはバインダーとして用いられる。同様に、粒化バインダーとしてのヒドロキシメチルプロピルメチルセルロースのようなポリマーの使用は周知である。これにより、欧州特許出願0,519,144は、流動床グラニュレーターにおいて不活性ペレット上に、前記ポリマーを含む溶液中の活性成分の分散液又は懸濁液を噴霧することにより得られたほとんど溶けない物質、オメプラゾルのペレットを開示する。しかしながら、そのポリマー(HPMC及びHPC)は、活性成分の重量で約50重量%の量で粒化バインダーとしてのみ用いられる。このことは、大きなサイズ(約700μm)の不活性ペレットの存在及び全体の最終的な重量が、最終的カバーされたペレットの重量に基づいてわずか数パーセントのオーダーの極めて低い最終的活性成分及びポリマー成分を導くことが思い浮かぶ。最後に、この文献における不活性ペレットのサイズはかなり大きく、フェノフィブレートの場合、直ちに口に投与するには大きすぎる容量を有する最終製剤を導くであろう。
【0012】
“固体分散液”を製造するためのポリビニルピロリドンのようなポリマーの使用も周知であり、一般に、同時沈殿、同時融合又は液相混合の後の乾燥により得られる。我々が本明細書に記述するのは、固体の乏しい湿潤及び粒子の再凝集の問題を避ける、ポリビニルピロリドン上の単離された微粒子内の活性成分の固定化である。Kuchikiら(Yakuzaigaku,44 No.1,31〜37(1984))による記事“Stable Solid Dispersion System Against Humidity”は、ポリビニルピロリドンを用いて固体分散液を調製するための技術を記載する。ここでのPVPの量は極めて高く、活性成分とPVPとの比は、1/1〜1/20の間で含まれる。しかしながらその場合、不活性担体はない。
【0013】
WO−A−9601621は、更に、疎水性ポリマーとの混合物として活性成分を含み、活性成分/ポリマーの重量比が10/1〜1/2の間に含まれ、活性成分/不活性コアの重量比が5/1〜1/2の重量比である層で、徐放特性を与える外層と共にコートされた不活性コア(全ての例においてシリカ)を含む徐放性組成物を開示する。これらの組成物は圧縮することができる。親水性ポリマーはポリビニルピロリドンであり得る。この文献は、前記組成物を調製するための方法も開示し;例えば流動床グラニュレーター内で、不活性コア上にポリマー溶液中の活性成分の分散物をスプレーするであろう。この文献は、単に徐放性組成物に関し、その解決すべき技術的問題は、徐放特性を与える外層の損傷なく圧縮することである。
【0014】
しかしながら、この技術分野で、本発明を教示し、示唆するものは何もない。
これにより、本発明は、
(a)20μm未満のサイズを有する微粉化形態のフェノフィブレート活性成分、親水性ポリマー、及び任意に界面活性剤を含む少なくとも1の層で被包された不活性水溶性担体であって、該親水性ポリマーが(a)の少なくとも20重量%を構成する不活性水溶性担体;並びに
(b)任意に、1又は複数の外部相又は層
を含む、即時放出性フェノフィブレート組成物を供する。
【0015】
一実施形態において、界面活性剤は、活性成分及び親水性ポリマーと共に存在する。
本発明は、2重量%のポリソルベート80を含む水により構成される溶解媒体中、又は0.025Mラウリル硫酸ナトリウムを含む水により構成される溶解媒体中で、European Pharmacopeiaに従って75rpmで回転ブレード法を用いて測定して、少なくとも、5分で10%、10分で20%、20分で50%、そして30分で75%の溶解度を有するフェノフィブレートを含む組成物も供する。
【0016】
(a)親水性ポリマー及び任意に界面活性剤の溶液中に、20μm未満の粒径を有する微粉化形態のフェノフィブレート懸濁液を調製し、
(b)ステップ(a)からの懸濁液を不活性水溶性担体に適用し、
(c)任意に、1又は複数の相又は層で、得られた粒子をコーティングする
ことを含む医薬組成物を調製するための方法も供する。
【0017】
ステップ(b)は、好ましくは、流動床グラニュレーター内で行われる。
その方法は、ステップ(b)又は(c)から得られた製品が更なる賦形剤あり又はなしで圧縮されるステップを含み得る。
【0018】
本発明は、親水性ポリマー及び任意に界面活性剤の溶液中の、10μm未満のサイズを有する微粉化形態のフェノフィブレートの懸濁液も供する。
【0019】
本発明は、添付の図面を引用して以下により詳細に記載されよう。
本発明における“微粉化形態”との表現は、その粒子の直径が約20μm未満又はそれに等しい粒状形態の物質を意味する。
【0020】
有利には、この直径は10μm未満又はそれに等しい。
本発明の範囲内で、“不活性水溶性担体”とは、用いる作業条件下で化学反応をおこさせず、水性媒体、特に胃酸媒体中で可溶性である粒状形態の一般に親水性の、医薬的に不活性の、結晶性の又はアモルファスのいずれかの賦形剤を意味する。このような賦形剤の例は、糖の誘導体、例えばラクトース、サッカロース、加水分解したデンプン(マルト−デキストラン)等である。混合物も適している。不活性水溶性担体の個々の粒径は、例えば、50〜500ミクロンであり得る。
【0021】
本発明における“親水性ポリマー”との表現は、水に溶解してゲルを形成するのに十分な水に対するアフィニティーを有するいずれかの高分子量物質(例えば300超)を意味するとして理解されるべきである。このようなポリマーの例は、ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン等である。ポリマー混合物も適している。
【0022】
好ましい親水性ポリマーはポリビニルピロリドン(PVP)である。本発明に用いるPVPは、例えば、10,000〜100,000、好ましくは、例えば20,000〜55,000の間に含まれる分子量を有する。
【0023】
用語“界面活性剤”は、本発明においてその慣用的な意味で用いられる。それが両性、非イオン性、カチオン性又はアニオン性であろうと、いずれの界面活性剤も適している。このような界面活性剤の例は、ラウリル硫酸ナトリウム、モノオレエート、モノラウレート、モノパルミテート、モノステアレート、又は他の、ポリオキシエチレンソルビタン、ナトリウムジオクチルスルホスクシネート(DOSS)、レシチン、ステアリン酸アルコール、セトステアリン酸アルコール、コレステロール、ポリオキシエチレンリシン油、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド、poloxamer(登録商標)等のエステルである。界面活性剤の混合物も適している。
【0024】
好ましい界面活性剤はフェノフィブレートと一緒に微粉化することができるラウリル硫酸ナトリウムである。
【0025】
本発明による組成物は、その活性成分と適合可能である医薬及び化学分野に慣用的に用いられるいずれかの賦形剤、例えばバインダー、充填剤、色素、分解剤、滑剤、加湿剤、緩衝液等を更に含み得る。例として、本発明に用いることができる賦形剤は、微結晶性セルロース、ラクトース、デンプン、コロイド状シリカ、タルク、グリセロールエステル、ナトリウムステアリルフマレート、二酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、架橋ポリビニルピロリドン(AC DI SOL(登録商標))、カルボキシメチルデンプン(Explotab(登録商標)、Primojel(登録商標))、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン等である。
【0026】
ここで、表現“外部相又は層”とは、要素(a)の活性成分でのいずれかのコーティング(“コア”を形成する)を意味する。実際、そのコートされたコアの頂上に利用できる1又は複数の相又は層を有することが有用であり得る。これにより、本発明は、1層を有する単一コアばかりでなく、相内に複数のコアをも包含し、相と混合された複数の“コア”から形成された錠剤の場合も含む。
【0027】
この外部層は、慣用的な賦形剤を含む。
錠剤の製造のために、添加物を含む層を供することも可能である。この実施形態において、外部層は、分解剤及び例えば滑剤を含み;これにより、カバーされ混合された粒子は、直ちに圧縮され、水中で容易に分解され得る。
【0028】
本発明による組成物は、一般に、外部相又は層を除く全組成物重量に基づいて、10〜80重量%、好ましくは20〜50重量%を構成する不活性水溶性担体、5〜50重量%、好ましくは20〜45重量%を構成するフェノフィブレート、20〜60重量%、好ましくは25〜45重量%を構成する親水性ポリマー、0〜10重量%、好ましくは0.1〜3重量%を構成する界面活性剤を含む。
【0029】
外部層又は相は、存在するなら、全重量の80重量%まで、好ましくは50重量%までを構成し得る。
親水性ポリマーは、好ましくは、(a)の重量に基づいて25重量%超を構成する。
【0030】
フェノフィブレート/親水性ポリマーの重量比は、例えば、1/10〜4/1の間、好ましくは例えば1/2〜2/1の間に含まれ得る。
【0031】
界面活性剤を用いる場合、界面活性剤/親水性ポリマーの重量比は、例えば1/500〜1/10の間、例えば1/100〜5/1000の間に含まれ得る。
【0032】
一実施形態において、本発明による組成物は、錠剤の形態をとる。
この錠剤は、好ましくは、外部相と一緒の(粒子の形態下での)要素(a)の圧縮から生ずる。
【0033】
他の実施形態において、本発明の組成物は、カプセル内、例えばゼラチン内又はバッグの中に包含された粒子の形態をとる。
本発明の組成物は、経口投与により活性成分を投与するのに特に適する。
【0034】
本発明による組成物は、親水性ポリマー及び任意に界面活性剤の溶液中の微粉化形態の活性成分の懸濁液を不活性コアに噴霧することを含む新規方法により調製される。
【0035】
界面活性剤が存在するなら、活性成分は、界面活性剤と一緒に微粉化することができる。次に、EP−A−0330532の技術を有利に用いられるであろう。
【0036】
本発明による方法は、改良された溶解プロフィールを、これにより上昇したバイオアベイラビリティーを達成するために、流動床粒化原理を、特定の出発材料で用いることからなる。特に、本発明は、親水性ポリマー及び任意に界面活性剤の溶液中の微粉化活性成分の懸濁液を用いる。
【0037】
流動床粒化技術は、カプセル又は錠剤を調製するための医薬工業において広く用いられる。慣用的には、先行技術によれば、粉末又は粉末の混合物(活性成分−賦形剤)はグラニュレーター内の流動床内の懸濁液に入られ、バインダー及び任意に界面活性剤を含む溶液をこの床に噴霧して粒子を形成する。流動床粒化技術は当業者に公知であり、標準的な研究、例えば“Die Tablette”(Ritschel,Ed.Cantor Aulendorf,pages 211〜212)を参照のこと。
【0038】
本発明は、上述の通り、親水性ポリマーと共に微粉化された活性成分の懸濁液を、不活性担体に噴霧することを含む。粒化の後、形成された粒状物は、単離された(又はスプレー溶液と一緒に塊状になった)、例えばラクトースの結晶、並びにその結晶表面に付着した活性成分及びPVPの粒子からなる。その粒状物は、塊状になったコートされた結晶、又はコーティングされた塊状物から構成される。
【0039】
本発明による組成物は、他の方法により、例えば微粉化活性成分の溶液を水溶性不活性担体に噴霧することによっても調製することができる。
【0040】
これにより得られた粒状物には、必要に応じて、外部コーティングが供され、又は錠剤に圧縮され、又は塊状になる。
【0041】
外部層又は複数の層は、慣用的なコーティング技術、例えばパン又は流動床コーターでのコーティングを用いて適用される。
【0042】
得られた粒状物は、(後にコートされるか否かにかかわらず)圧縮されて錠剤を形成し、このステップは、適切ないずれかの慣用技術を用いて、例えば反復又は回転圧縮装置を用いて行うことができる。
【0043】
有意な出発製品は活性成分の懸濁液である。この懸濁液は、微粉化活性成分を、溶媒中の溶液中の親水性ポリマー及び任意に界面活性剤を含む溶液中の懸濁液に入れることにより調製される。界面活性剤を用いるなら、それは溶媒中の溶液に入る(ビーカー+磁石又はファンスターラー)。次に、親水性ポリマーは、先に得られた溶液中で撹拌しながら分散させられる。ポリマーの溶解度により、これは、溶液に溶けるか、又は種々の濃度を有するゲル又は懸濁液を形成する。なお撹拌しながら、微粉化活性成分は、微細なシャワーの形態で上述の溶液又は懸濁液に分散されて均一な懸濁液を形成する。これらのステップの順序は逆でもよい。用いる溶媒は、水性でも有機性(例えばエタノール)でもよい。例えば脱塩水を用いることができる。
【0044】
懸濁液中の活性成分の濃度は1〜40重量%、好ましくは10〜25重量%である。
懸濁液中の親水性ポリマーの濃度は5〜40重量%、好ましくは10〜25重量%である。
懸濁液中の界面活性剤濃度は0〜10重量%、好ましくは5%未満である。
本発明は、この新規懸濁液も包含する。
【0045】
特定の理論に結びつけるつもりはないが、出願人は、この新規方法は、親水性ポリマー溶液中の微粉化活性成分懸濁液の使用により、その活性成分が非再塊形成形態である新規組成物を得ることを可能にすると確信する。
以下の例はそれを限定することなく本発明を詳述する。
【実施例】
【0046】
実施例1:本発明によるフェノフィブレートの医薬組成物の調製
要素として、a)、微粉化フェノフィブレート、Plasdone(登録商標)、Capsulac(登録商標)及びラウリル硫酸ナトリウムを含む組成物を調製した。
【0047】
微粉化フェノフィブレートは、Coulterカウンターを用いて測定して約5μmの粒径を有していた。
【0048】
Plasdone K25(登録商標)は、ポリビニルピロリドンPVP ISPに相当し、Capsulac 60(登録商標)は粗結晶ラクトース−水和物(Meggle)(100〜400μmの粒径)に相当する。
【0049】
ラウリル硫酸ナトリウム(7g)を水(脱塩水、1750g)に溶かし、その微粉化フェノフィブレート(350g)を(例えば10分、300rpmでヘリックススターラーを用い、次に10分、10,000rpmでUltraturrax撹拌機を用いて)得られた混合物中の懸濁液に入れる。この後、PVP(350g)を撹拌しながら加え、その撹拌(ヘリックススターラー)を、後者が溶けるまで(30分)続ける。それを全てふるい(350μm)に通して可能な限り塊を除去する。
【0050】
別個に、ラクトール(400g)を(Glatt(登録商標)GPCG1−Top Spray type又は等価物の)流動空気床グラニュレーター内の懸濁液に入れ、40℃の温度に加熱する。
【0051】
フェノフィブレート懸濁液をラクトースに噴霧する。このステップは、次の条件下で行う:2.1bar、空気スループット70m3/h、空気入口温度:45℃;空気出口温度:33℃;製品温度34℃;噴霧の時間:3時間。
【0052】
これにより得られた粒状物は、カプセル内に入れ、又は錠剤に変換することができる。このような投与形態を調製するためのいずれの適切な慣用技術も用いることができる。
【0053】
錠剤形態への変換のため、(例えばミキサー−グラインダー型混合装置、プラネタリーミキサー又はターン・オーバーミキサーを用いて)得られた粒状物191gを以下の組成を有する外部層と混合するであろう。
【0054】
−56gのPolyplasdone XL(登録商標)(crospovidoneの名前でUSA Pharmacopoeia“USP−NF”に記載される架橋ポリビニルピロリドンISP、平均分子量>1,000,000);
−88gのAvicel(登録商標)PH200(微結晶性セルロース);
−3.5gのナトリウムステアリルフマレート(Mendell,U.S.A.);及び
−2gのAerosil(登録商標)200(コロイド状シリカ)
架橋ポリビニルピロリドン、微結晶性セルロース、ナトリウムステアリルフマレート及びコロイド状シリカは各々分解剤、バインダー、滑剤及び流動増強剤である。
【0055】
錠剤は、反復圧縮機(例えばKorsch EKO)又は回転機(例えばFette Perfecta 2)で行うことができる。
【0056】
これにより、以下の組成(mg)を有する錠剤を得る:
−要素(a):
微粉化フェノフィブレート 100.0
PVP 100.0
ラクトース 114.3
ナトリウムラウリルスルフェート 2.0
−外部相(又は層):
架橋PVP 92.7
微結晶性セルロース 145.7
ナトリウムステアリルフマレート 5.8
コロイド状シリカ 3.3
【0057】
実施例2:本発明による組成物及び先行技術による組成物の溶解
a)溶解媒体及び溶解度を測定するための手順
識別する溶解媒体、即ち胃液内で極めて異なる溶解プロフィールを有する2つの製品が極めて異なる溶解曲線を有するであろうものを捜す。
【0058】
このため、Polysorbate 80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)である界面活性剤を含む水性媒体を用いる。この界面活性剤は、種々の供給元から直ちに利用でき、Pharmacopoeiasにおけるモノグラフの目的物であり、これにより操作が容易である(水溶性溶液製品でもある)。他の界面活性剤も用いることができる。
【0059】
回転プレード法(European Pharmacopocia)を以下の条件下で用いる:媒体の容量:1200ml;媒体温度:37℃;ブレード回転速度:78rpm;サンプル採取:2.5分毎。溶解した量の測定を分光光度計により行う。テストを6回にわたってくり返す。
【0060】
b)結果
本発明による組成物は、実施例1に従って調製した約100mgフェノフィブレートを含む2つの錠剤からなる。
【0061】
先行技術組成物は、(ラウリル硫酸ナトリウムと一緒に微粉化され、ラクトース、プレゼラチン化デンプン、架橋ポリビニルピロリドン及びステアリン酸マグネシウムを含む200mgフェノフィブレートのカプセル(EP−A−0330532の技術)に相当する)200mgフェノフィブレートを含むLaboratories FournierからのLipanthyl(登録商標)200Mであった。
【0062】
得られた結果を図1にグラフで示す。ここでは溶解の割合(%)が示され、その観察された標準偏差を括弧内に示す。
【0063】
これらの結果は、本発明による組成物が、先行技術の組成物のものより明白に優れた溶解プロフィールを有することを明らかに示す。
【0064】
これらの結果は、本発明の組成物で、観察された標準偏差が先行技術の組成物の場合より明白に低いことも明らかに示す。
【0065】
実施例3:本発明による組成物及び先行技術の組成物のバイオアベイラビリティーの研究
健康な有志者でのバイオアベイラビリティーのテストを行った。
以下の組成物をテストした。
−本発明による組成物:200mgのフェノフィブレートを含む実施例1により調製された粒子を含むカプセル。
−先行技術による第1の組成物:先の例のものと同一である200mgフェノフィブレートを含むLaboratories FournierからのLipanthyl(登録商標)200M。
−第2の先行技術の組成物:カプセル形態のSecalip(登録商標)(3つの100mgカプセルの形態の300mgフェノフィブレート)。
【0066】
投与の間、最小6日の休息でフェノフィブレートの一回の投与を6人の健康な有志者に行って研究を行った。薬理速度分析のためのサンプルを、各々の投与後、次の時間に収集した:薬剤の投与後、0.5h;1h;2h;3h;4h;5h;6h;8h;10h;12h;24h;36h;48h;72h;及び96h。血漿内のフェノフィブリン酸含有量を各々のサンプルについて測定した。
得られた結果を以下の表1に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
Cmax:最大血漿濃度
tmax:Cmaxに達する時間
t1/2:血漿半減期
AUC 0−t:0〜tの曲線下の領域
AUC 0−∞:0〜∞の曲線下の領域
その結果は、本発明の組成物が、先行技術の組成物より優れた改良のある溶解プロフィールを用し、先行技術の組成物で得られるのと比較してかなり増強された活性成分のバイオアベイラビリティーを導くことを明らかに示す。
【0069】
実施例4:本発明による組成物の溶解プロフィールとドイツ市場の現在の製品のものとの溶解プロフィールの比較
ドイツ市場においては、即時放出性又は徐放性フェノフィブレート製剤が存在する。フランスのように、100mg及び300mg(慣用的)形態が、67及び200mg形態(EP−A−0330532の教示に従う増強されたバイオアベイラビリティーを有するもの)と同時に存在する。これらの製品は次の通りである:
−Fenofibrate −ratiopharm;Ratiopharm−Ulm;
カプセル;
組成:100mgフェノフィブレート;
賦形剤:ラクトース、コーンスターチ、ステアリン酸マグネシウム、E171着色料、ゼラチン。
【0070】
−Durafenat;Durachemie−Wolfratshausen
カプセル;
組成:100mgフェノフィブレート;
賦形剤:ラクトース、コーンスターチ、ステアリン酸マグネシウム、E171着色料、ゼラチン。
−Normalip pro;Kholl −Ludwigshafen;
カプセル;
組成:200mgフェノフィブレート;
賦形剤:Crospovidone、ゼラチン、モノヒドレートラクトース、ステアリン酸マグネシウム、コーンスターチ、ラウリル硫酸ナトリウム、E132及びE171着色料。
【0071】
次の間で比較を行った:
−実施例1を用いて調製した本発明の錠剤(2×100mg);
−Normalip pro(登録商標)(200mg);
−Lipanthyl(登録商標)200M(200mg)(先の例によるもの);
−Ratiopharm(登録商標)によるFenofibrate(2×100mg);
−Durafenat(登録商標)(2×100mg)。
【0072】
テストは、先の例と同じ条件下で行った。図2は、その結果を要約する。
これらの結果は、本発明の組成物が、先行技術の組成物に比べて、明白に改良された溶解度を有することを明らかに示す。
【0073】
明らかに、本発明は、上述される実施形態に限定されず、当業者が直ちにアクセスできる多数のバリエーションを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は、Lipanthyl(登録商標)200Mのものと比較した本発明による組成物の溶解プロフィールの比較研究のグラフである。
【図2】図2は、本発明による組成物の溶解プロフィールの比較研究及びドイツ市場で市販される医薬製品のものの比較研究を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性ポリマー及び任意に界面活性剤の溶液中の、20μm未満の大きさを有する微粉化形態のフェノフィブレートの懸濁液。
【請求項2】
フェノフィブレートが、10μm未満又はそれに等しい粒子の粒径を有する、請求項1に記載の懸濁液。
【請求項3】
懸濁液中のフェノフィブレート濃度が、1〜40重量%である、請求項1又は2に記載の懸濁液。
【請求項4】
懸濁液中のフェノフィブレート濃度が、10〜25重量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の懸濁液。
【請求項5】
懸濁液中の親水性ポリマー濃度が、5〜40重量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の懸濁液。
【請求項6】
懸濁液中の親水性ポリマー濃度が、10〜25重量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の懸濁液。
【請求項7】
親水性ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、及びそれらの混合物から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の懸濁液。
【請求項8】
親水性ポリマーが、ポリビニルピロリドンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の懸濁液。
【請求項9】
フェノフィブレート/親水性ポリマーの重量比が、1/10〜4/1の間に含まれる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の懸濁液。
【請求項10】
フェノフィブレート/親水性ポリマーの重量比が、1/2〜2/1の間に含まれる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の懸濁液。
【請求項11】
界面活性剤が、0〜10重量%で構成する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の懸濁液。
【請求項12】
界面活性剤を5重量%未満の濃度で含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の懸濁液。
【請求項13】
界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム、モノオレエート、モノラウレート、モノパルミテート、モノステアレート、又は他の、ポリオキシエチレンソルビタン、ナトリウムジオクチルスルホスクシネート(DOSS)、レシチン、ステアリン酸アルコール、セトステアリン酸アルコール、コレステロール、ポリオキシエチレンリシン油、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド、poloxamerのエステル、及びそれらの混合物から選択される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の懸濁液。
【請求項14】
界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウムである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の懸濁液。
【請求項15】
界面活性剤/親水性ポリマーの重量比が、1/500〜1/10の間に含まれる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の懸濁液。
【請求項16】
界面活性剤/親水性ポリマーの重量比が、1/100〜5/100の間に含まれる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の懸濁液。
【請求項17】
フェノフィブレート及び界面活性剤が共に微粉化される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の懸濁液。
【請求項18】
親水性ポリマー及び任意に界面活性剤の溶液中の20μm未満の大きさ有する微粉化形態のフェノフィブレート懸濁液を不活性担体に噴霧することを含む、フェノフィブレート粒状物を調製するための方法。
【請求項19】
追加の賦形剤あり又はなしで、粒状物を圧縮する段階を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
フェノフィブレート医薬組成物を調製するための方法であって、
(a)親水性ポリマー及び任意に界面活性剤の溶液中に、20μm未満の大きさを有する微粉化形態のフェノフィブレート懸濁液を調製するステップ;
(b)ステップ(a)からの懸濁液を不活性水溶性担体に適用するステップ;そして
(c)任意に、ステップ(b)で得られた粒状物を1又は複数の相(単数若しくは複数)又は層(単数若しくは複数)でコーティングするステップ
を含む、前記方法。
【請求項21】
追加の賦形剤あり又はなしで、ステップ(b)又は(c)で得られた製造物を圧縮する段階を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
噴霧するステップが、流動床グラニュレーターにおいて行われる、請求項18〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
フェノフィブレート懸濁液が、請求項2〜17のいずれか1項による、請求項18〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記粒状物が、水溶性不活性担体の粒子表面に付着した親水性ポリマーと混合した、20μm未満の大きさを有するフェノフィブレートの微粉化粒子と連結した、単離された又は任意に互いに塊状になった水溶性不活性担体の粒子を含有し、ここで、前記粒状物が1又は複数の相(単数若しくは複数)又は層(単数若しくは複数)を任意に含有し、あるいは任意に塊状になっており、親水性ポリマーの量は少なくとも20重量%を示す、請求項18〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記粒状物が、(i)水溶性不活性担体の粒子;及び(ii)水溶性ポリマーに分散した20μm未満の大きさを有する微粉化フェノフィブレートを含む1又は複数の層を含み、ここで、1又は複数の層は水溶性不活性担体の粒子上に沈着しており、水溶性ポリマーの量は少なくとも20重量%を示す、請求項18〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
水溶性不活性担体が、糖の誘導体若しくは加水分解したデンプン又はそれらの混合物である、請求項18〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
水溶性不活性担体が、ラクトースである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
水溶性不活性担体が、50〜500ミクロンの間で構成される個々の粒径を有する、請求項18〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
水溶性不活性担体が、100〜400ミクロンの間で構成される個々の粒径を有するラクトースである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
(a)20μm未満の大きさを有する微粉化形態のフィブレート、及び親水性ポリマーを含有する少なくとも1つの層で被包された不活性水溶性担体であって、前記親水性ポリマーが(a)の少なくとも20重量%を構成する不活性水溶性担体;並びに
(b)1又は複数の外部の相(単数若しくは複数)又は層(単数若しくは複数)
を含む、即時放出性フェノフィブレート組成物。
【請求項31】
錠剤である、請求項30に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−326878(P2007−326878A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−230506(P2007−230506)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【分割の表示】特願平10−533324の分割
【原出願日】平成10年1月16日(1998.1.16)
【出願人】(505135519)ラボラトワール フルニエール ソシエテ アノニム (4)
【Fターム(参考)】