説明

高い薬剤配合量を提供する薬剤コーティング及びそれを提供する方法

本発明は、薬剤が薬剤コーティングの約85重量%〜約97重量%を占め、少なくとも1種の不溶性薬剤を包含する水性薬剤コーティングに関する。本発明に従う薬剤コーティングは唯一の不溶性薬剤、2種以上の不溶性薬剤又は1種以上の可溶性薬剤と組み合わせた1種以上の不溶性薬剤を包含することができる。本発明はまた、本発明に従う薬剤コーティングを提供するのに適した薬剤コーティング調製物及び本発明に従う薬剤コーティングを包含する投与形態物を包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は1種又は複数の不溶性又は可溶性薬剤を送達するための、投与形態物内又はその上に形成することができる薬剤コーティングに関する。とりわけ本発明は、少なくとも1種の不溶性薬剤の高い配合量を示し、1種又は複数の不溶性薬剤と組み合わせて1種又は複数の不溶性薬剤を配合することができ、そして種々の異なる投与形態物に適用することができる水に基づく薬剤コーティングを提供する薬剤コーティング、コーティング調製物及び方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
薬剤コーティングは当該技術分野で知られている。例えば、それぞれの内容が引用によりそれらの全体を本明細書に取り入れられている特許文献1〜9は1種又は複数の興味深い薬剤の即時放出をもたらすようになっている種々の異なる薬剤コーティング調製物を教示している(特許文献1〜9参照)。更に、それらの内容が引用によりそれらの全体を本明細書に取り入れられている特許文献10〜13もまた、種々の異なる投与形態物上に提供することができる種々の異なる薬剤コーティング調製物を教示している(特許文献10〜13参照)。投与形態物上にコートすることができる薬剤コーティングは種々の理由で有用である。とりわけ薬剤含有オーバーコートの使用は単一投与形態物に複数の挙動の特徴を与えることができる。例えば、1種又は複数の薬剤の制御放出を提供する投与形態物は、即時放出薬剤のオーバーコートでコートして、制御放出投与形態物の恩典とともに即時放出投与形態物の恩典を合わせ持つ投与形態物を提供することができる。
【0003】
コーティング調製物が投与形態物上又はその内部に薬剤コーティングを提供するために使用される場合は、コーティング調製物は所望のコーティングの特性を維持しながら、コーティング中に薬剤の治療投与量を取り入れることを許す薬剤配合物の特性を提供しなければならない。薬剤コーティングから送達される薬剤の所望の量が増加するに従って、薬剤コーティングの配合特性が特に重要になる。必要用量が増加すると薬剤コーティング調製物の薬剤配合能もまた増加しなければならない。薬剤コーティング調製物が十分な薬剤配合量を示さない場合は、所望の薬剤量を送達するために要するコーティングの厚さが、製造、化粧品及び患者のコンプライアンスの問題が遭遇するかも知れない程度まで肥大するかも知れない。
【0004】
更に、薬剤コーティングは有機溶媒又は1種又は複数の有機溶媒を含有する溶媒系から調製することができるが、有機溶媒の使用は幾つかの可能な不都合を提示する。しばしば揮発性の有機溶媒は比較的高価で、潜在的に環境に有害であり、そして作業者に健康の危険を引き起こす可能性がある。有機溶媒が作業者及び環境に与える可能な害のために、製造工程中への有機溶媒の使用は典型的には、克服しなければならない種々の規制的ハードルを形成する。更に、有機溶媒が薬剤コーティングを生成するために使用される場合には、溶媒のいくらかの残留量が仕上げコーティング中に残留するかも知れず、それは使用される量及び溶媒によって、意図される被験者に有害であるかも知れない。有機溶媒により与えられる可能な不都合を考慮すると、概して、有機溶媒を包含しない溶媒又は溶媒系を使用して薬剤コーティング及びコーティング組成物を調製することが好ましい。
【0005】
とりわけ、可能な場合は、精製水のような水性溶媒を使用して薬剤コーティングを調製することが典型的には好ましい。従って水性コーティング組成物からコートすることができることのみならずまた、商業的生産に適する物理的及び審美的特徴を有するコーティングからの広範な薬剤用量の送達を容易にする薬剤配合能を示す薬剤コーティングを提供することが望ましいであろう。理想的にはこのような薬剤コーティングは高濃度の、水不溶
性薬剤すらあるいは1種又は複数の水溶性薬剤との1種又は複数の水不溶性薬剤の組み合わせ物を包含するように調製することができると考えられる。
【特許文献1】米国特許第4,576,604号明細書
【特許文献2】米国特許第4,717,569号明細書
【特許文献3】米国特許第4,763,405号明細書
【特許文献4】米国特許第5,273,760号明細書
【特許文献5】米国特許第5,286,493号明細書
【特許文献6】米国特許第5,407,686号明細書
【特許文献7】米国特許第5,998,478号明細書
【特許文献8】米国特許第6,004,582号明細書
【特許文献9】米国特許第6,136,345号明細書
【特許文献10】国際公開第96/10996号パンフレット
【特許文献11】国際公開第99/55313号パンフレット
【特許文献12】国際公開第00/35426号パンフレット
【特許文献13】国際公開第01/51038号パンフレット
【発明の開示】
【0006】
1つのアスペクトにおいて、本発明は水性薬剤コーティングに関する。本明細書で使用される時の用語「水性薬剤コーティング」は有機溶媒を含まないコーティング調製物から形成される水溶性又は水侵食性コーティングを表わす。本発明に従う薬剤コーティングは水性コーティング調製物から形成することができ、そして少なくとも1種の不溶性薬剤及び被膜形成物質を包含する。本明細書で使用される時の用語「薬剤(drug)」は医薬、活性物質、治療化合物、治療タンパク質、治療ペプチド、栄養物、ビタミン、食品サプリメント及び意図される被験者に有益な任意の他の物質を包含し、用語「不溶性」は25℃で50mg/ml未満の水中の溶解度を有する薬剤を示し、ここで25℃で8〜10mg/mlの水中の溶解度を有する薬剤が好ましく、そして25℃で1mg/ml未満の水中の溶解度を有する薬剤が特に好ましい。本発明に従う薬剤コーティングは約85重量%〜約97重量%の薬剤を包含し、好ましい態様は約90重量%〜約93重量%の薬剤負荷を提供する。
【0007】
本発明の薬剤コーティングの各態様は少なくとも1種の不溶性薬剤を包含するが、本発明の薬剤コーティングはまた、2種以上の不溶性薬剤あるいは1種又は複数の可溶性薬剤と組み合わせた1種又は複数の不溶性薬剤を包含する薬剤コーティングも包含される。本明細書で使用される時の用語「可溶性」は25℃で50mg/ml以上の水中の溶解度を有する薬剤を示す。本発明の薬剤コーティングが2種以上の薬剤を包含する場合は、異なる薬剤は所望の治療効果を提供する比率で薬剤コーティング中に包含されることができる。更に、本発明の薬剤コーティングの調製物は2種以上の薬剤の配合物に異なる溶解度をもたせることのみならずまた、操作の環境への投与後に本発明の薬剤コーティングはその中に包含される2種以上の薬剤の均整のとれた送達を許す。
【0008】
もう1つの態様において、本発明に従う薬剤コーティングは粘度増強剤を包含する。本明細書で使用される時の用語「粘度増強剤」は水溶性でかつコーティング組成物の粘度を増加するために働く本発明の薬剤コーティングを形成するための組成物中に包含することができる物質を意味する。本発明の薬剤コーティング中に包含される被膜形成物質及び1種又は複数の薬剤の相対的量及び性状に応じて、本発明に従う薬剤コーティング中への粘度増強剤の取り込みは、薬剤の実質的に均一な分配を示す薬剤コーティングの製造を、より容易にすることができる。
【0009】
更なる態様において、本発明の薬剤コーティングは更に界面活性剤又は崩壊剤を包含することができる。用語「界面活性剤」は水溶液が本発明に従う薬剤コーティングを形成す
る物質上に容易に塗布され、そしてそれを透過することができるように水溶液の表面張力を減少するように働く物質を表わし、そして用語「崩壊剤」は、崩壊剤が水を吸収して膨張する時に本発明のコーティングを構造的に分解する(compromise)ように働く水膨張性物質を表わす。各態様において、本発明に従う薬剤コーティングは比較的高い薬剤配合量を提供し、そして各態様において本発明に従う薬剤コーティングは少なくとも1種の不溶性薬剤を包含する。従って、操作環境に投与後,薬剤コーティングの分解又は溶解を容易にし、そしてそれにより薬剤コーティング中に包含される薬剤が放出される速度を増加するために、界面活性剤又は崩壊剤を本発明の薬剤コーティング中に包含することができる。
【0010】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明は薬剤コーティング調製物に関する。本発明に従うコーティング調製物は好ましくは、溶媒として精製水を使用して形成される水性組成物である。本発明のコーティング組成物は本発明に従う薬剤コーティングのコートを許すように調製され、そして各態様において、本発明のコーティング調製物は少なくとも1種の不溶性薬剤を包含する。本発明のコーティング調製物は少なくとも1種の不溶性薬剤を包含する水性調製物であるので、本発明のコーティング調製物は典型的には分散物として形成され、そこで不溶性薬剤の実質的に均一な分散物を示すコーティング調製物が好ましい。本発明に従うコーティング組成物は本発明の薬剤コーティングの噴霧コートを容易にするように調製することができ、そして典型的には30重量%までの範囲の固形分を包含し、そこで約5重量%〜約25重量%の範囲の固形分を有するコーティング組成物が好ましく、そして約10重量%〜約20重量%の範囲の固形分を有するコーティング組成物が特に好ましい。
【0011】
更にもう1つのアスペクトにおいて、本発明は投与形態物に関する。本発明に従う投与形態物は本発明に従う薬剤コーティングを包含するか又はそれでコートされている。とりわけ本発明に従う投与形態物は本発明の薬剤コーティングによりコートされたコアを包含する。本発明に従う投与形態物中に包含されるコアは意図される被験者に対する投与に適する任意の物質又は装置を使用して形成することができる。例えば、本発明の投与形態物中に包含されるコアはピル、錠剤又はカプセルを包含することができ、そして好ましい態様において、コア中に包含されるピル、錠剤又はカプセルは1種又は複数の薬剤の制御放出を提供するように形成又は調製される。本発明の投与形態物が1種又は複数の薬剤の制御放出を提供するコアを包含する場合は、本発明に従う投与形態物は即時放出投与形態物及び制御放出投与形態物の合わせた利点を提供するように形成しそして調製することができる。
【0012】
1つのアスペクトにおいて、本発明は水性薬剤コーティングに関する。本発明に従う薬剤コーティングは水性コーティング調製物から形成することができ、そして不溶性薬剤及び水溶性の被膜形成物質を包含する。本発明に従う薬剤コーティングの各態様は不溶性薬剤を包含するが、本発明に従う薬剤コーティングは更に、可溶性薬剤と組み合わせた不溶性薬剤を包含することができる。更に、本発明に従う薬剤コーティングは例えば、2種以上の不溶性薬剤、1種以上の可溶性薬剤と組み合わせた1種の不溶性薬剤あるいは1種以上の可溶性薬剤と組み合わせた2種以上の不溶性薬剤を取り入れることができる。本発明に従う薬剤コーティング中に包含される薬剤の総量は約85重量%〜約97重量%の範囲にあり、そして好ましい態様において、本発明の薬剤コーティング中に包含される薬剤の総量は約90重量%〜約93重量%の範囲にある。
【0013】
本発明の薬剤コーティングが唯一の不溶性薬剤物質を包含する場合でも、1種又は複数の不溶性薬剤が薬剤コーティングの約97重量%までからなることができる。好ましい態様において、本発明の薬剤コーティングは約85重量%〜約97重量%の不溶性薬剤を包含し、そこで約90重量%〜約93重量%の不溶性薬剤負荷を示すコーティングが特に好
ましい。2種以上の不溶性薬剤が本発明に従う薬剤コーティング中に包含される場合は、各不溶性薬剤の相対的量は使用される不溶性薬剤の性状に応じて異なることができる。更に、本発明に従う薬剤コーティング中に包含される2種以上の不溶性薬剤の相対的量は所望される治療効果を達成するために必要に応じて調整することができる。
【0014】
本発明に従う薬剤コーティングが1種又は複数の可溶性薬剤と組み合わせた1種又は複数の不溶性薬剤を包含する場合は、コーティング中に包含される可溶性及び不溶性薬剤の相対的量は薬剤物質の性状に応じて異なることができ、そして所望の治療効果を達成するために調整することができる。可溶性及び不溶性薬剤双方を取り入れる本発明に従う薬剤コーティング中に包含される可溶性薬剤の総量は好ましくは、約0.01重量%〜約25重量%の範囲にあり、ここで約0.5重量%〜約15重量%の可溶性薬剤を包含する薬剤コーティングが更に好ましく、そして約1重量%〜約3重量%の可溶性薬剤を包含する薬剤コーティングがもっとも好ましい。可溶性及び不溶性双方の薬剤を取り入れている本発明に従う薬剤コーティング中に包含される不溶性薬剤の総量は好ましくは、約60重量%〜約96.99重量%の範囲にあり、ここで約75重量%〜約89.5重量%の不溶性薬剤を包含する薬剤コーティングがより好ましく、そして約89重量%〜約90重量%の不溶性薬剤を包含する薬剤コーティングがもっとも好ましい。
【0015】
広範な不溶性薬剤を本発明に従う薬剤コーティング中に取り入れることができる。1つの態様において、本発明に従う薬剤コーティング中に包含される不溶性薬剤は非ステロイド抗炎剤であることができ、ここでアセトアミノフェン又はイブプロフェンが特に好ましい不溶性薬剤である。好ましくは、本発明の薬剤コーティング中に包含される不溶性薬剤は25℃におけるアセトアミノフェン又は25℃におけるイブプロフェンのものに類似の溶解度特性を示す。
【0016】
種々の異なる可溶性薬剤もまた、本発明に従う薬剤コーティングを形成するために使用することができる。1つの態様において、本発明に従う薬剤コーティング中に包含される可溶性薬剤はオピオイド剤であり、ここでヒドロコドン、オキシコドン、ヒドロモルホン、オキシモルホン及びメタドンが特に好ましい可溶性薬剤である。本発明の薬剤コーティングが可溶性薬剤を包含する場合は、薬剤コーティング中に包含される可溶性薬剤は好ましくは、25℃におけるヒドロコドンバイタルトレートと少なくとも同様な溶解度を示す。
【0017】
本発明に従う薬剤コーティング中に包含される被膜形成物質は水溶性であり、そして薬剤コーティングの約3重量%〜約15重量%からなり、ここで約7重量%〜約10重量%の被膜形成物質を有する薬剤コーティングが好ましい。本発明に従う薬剤コーティング中に包含される被膜形成物質は水溶性であり、そして好ましくは、薬剤コーティング中に包含される不溶性薬剤を可溶化させるように働く。更に、本発明に従う薬剤コーティング中に包含される被膜形成物質は、被膜形成物質が薬剤コーティング中に包含される1種又は複数の不溶性薬剤と固溶体を形成するように選択することができる。薬剤コーティング中に包含される1種又は複数の不溶性薬剤の少なくとも1種と固溶体を形成する被膜形成物質を選択することにより、本発明に従う薬剤コーティングの薬剤配合及び被膜形成特性が高められると考えられる。薬剤コーティングが分解又は溶解する時に、薬剤は、分離した分子として胃腸管中に放出され、そして胃腸の粘膜組織に提供されるために、被膜形成物質内の分子レベルで溶解された薬剤(固溶体)もまた、より容易に生体利用可能であることが期待される。
【0018】
好ましい態様において、本発明に従う薬剤コーティング中に包含される被膜形成物質は被膜形成ポリマー又は少なくとも1種の被膜形成ポリマーを包含するポリマーのブレンドである。本発明の薬剤コーティングの被膜形成物質として使用されるポリマー物質は水溶
性である。本発明に従う薬剤コーティングの被膜形成ポリマーとして使用することができる水溶性ポリマー物質の例には、それらに限定はされないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)、低分子量HPMC、ヒドロキシプロピルセルロース(「HPC」)(例えば、Klucel(R))、ヒドロキシエチルセルロース(「HEC」)(例えば、Natrasol(R))、コポビドン(例えば、Kollidon(R)VA64)及びPVA−PEGグラフトコポリマー(例えば、Kollicoat(R)IR)及びそれらの組み合わせ物が包含される。ポリマーブレンド又は混合物は、薬剤コーティング中に包含される1種又は複数の薬剤と組み合わせた単一の被膜形成ポリマーを使用しては達成可能でないかも知れない特性を有する薬剤コーティングを達成するために、本発明の被膜形成物質として使用することができる。例えば、HPMC及びコポビドンのブレンドは、望ましい薬剤配合特性を示すのみならずまた、審美的に快適で、望ましい物理的特性を示すコーティングを提供する薬剤コーティングの形成を許す被膜形成物質を提供する。
【0019】
本発明に従う薬剤コーティングは更に粘度増強剤を包含することができる。本発明の薬剤コーティングは1種又は複数の不溶性薬剤を包含する水性コーティングであるため、本発明の薬剤コーティングは典型的には水性懸濁調製物からコートされる。しかし、懸濁調製物から、実質的に均一な薬剤分布をもつ薬剤コーティングを提供するためには、懸濁調製物はコーティング中に包含される不溶性薬剤の実質的に均一な分散を提供しなければならない。本発明に従う薬剤コーティング中に包含される被膜形成物質及び1種又は複数の薬剤の相対的量及び性状に応じて、実質的に均一な薬剤分散物を容易にするために十分な粘度を示し、そして不溶性薬剤の実質的に均一な分布を有する本発明に従う薬剤コーティングの生成を容易にするコーティング調製物の生成を容易にするために本発明に従う薬剤コーティング中に粘度増強剤を包含することができる。本発明に従う薬剤コーティング中に包含される粘度増強剤は好ましくは水溶性であり、被膜形成物質であることができる。本発明に従う薬剤コーティング中に使用することができる粘度増強剤の例には、それらに限定はされないが、HPC(例えば、Klucel(R))、HEC(例えば、Natrasol(R))、Polyox(R)水溶性樹脂製品及びそれらの混合物が包含される。
【0020】
本発明に従う薬剤コーティング中に包含される粘度増強物質の正確な量は薬剤コーティング中に使用される被膜形成ポリマー及び薬剤物質の量及びタイプに応じて異なるであろう。しかし、本発明に従う薬剤コーティング中に包含される場合は粘度増強剤は典型的には薬剤コーティングの5重量%以下からなるであろう。本発明に従う薬剤コーティングは好ましくは、2重量%以下の粘度増強剤を包含し、そして特に好ましい態様において、本発明に従う薬剤コーティングは1重量%以下の粘度増強剤を包含する。
【0021】
本発明の薬剤コーティングはまた、薬剤コーティングが投与後に崩壊する速度を増加する崩壊剤を包含することができる。本発明の薬剤コーティングは典型的には大量の不溶性薬剤を包含するために、薬剤コーティングは投与後、所望されるほど急速には分解又は崩壊しないかも知れない。本発明に従うコーティング中に包含される崩壊剤は、崩壊剤が水を吸収して膨張する時にコーティングを構造的に分解する(compromise)ように働く水膨潤性物質である。本発明に従うコーティング薬剤中に使用することができる崩壊剤にはそれらに限定はされないが、加工デンプン、変性セルロース及び橋架けポリビニルピロリドン物質が包含される。本発明の薬剤コーティング中に使用することができ、市販されている崩壊剤の特定の例にはAc−Di−Sol(R)、Avicel(R)及びPVP XL−10が包含される。本発明に従う薬剤コーティング中に包含される場合は、崩壊剤は典型的にはコーティングの約6重量%までからなり、ここで約0.5重量%〜約3重量%を取り入れているコーティングが好ましく、そして約1重量%〜約3重量%を取り入れているコーティングが特に好ましい。
【0022】
本発明に従う薬剤コーティングはまた、投与後、薬剤コーティングが溶解又は侵食される速度を増加するために界面活性剤を包含することができる。界面活性剤は水溶液に薬剤コーティング中により容易に広がり又は浸透させる「湿潤化」剤として働く。本発明に従う薬剤コーティング中への使用に適する界面活性剤は好ましくは、25℃で固体である。本発明の薬剤コーティング中に使用することができる界面活性剤の例には、それらに限定はされないが、Poloxamer及びPluronic(R)界面活性剤のような界面活性ポリマーが包含される。界面活性剤が本発明に従う薬剤コーティング中に包含される場合は、界面活性剤は典型的には薬剤コーティングの約6重量%までからなり、ここで約0.5重量%〜約3重量%の界面活性剤を包含する薬剤コーティングが好ましく、そして約1重量%〜約3重量%の界面活性剤を包含する薬剤コーティングは特に好ましい。
【0023】
本発明の薬剤コーティングの1つの態様において、被膜形成剤はコポビドン及びHPMCで形成されたポリマーブレンドを包含する。このようなポリマーブレンドが本発明の薬剤コーティングの被膜形成剤として使用される場合は、コポビドン及びHPMCの量は所望の物理的及び薬剤配合特性を有する薬剤コーティングを達成するために所望に応じて異なることができる。しかし、本発明に従う薬剤コーティング中に包含される被膜物質がコポビドン及びHPMCのブレンドで形成される場合は、コポビドン及びHPMCは好ましくは、約0.6:1〜0.7:1のコポビドン対HPMCの重量/重量比で包含され、ここで1:1.5の重量/重量比がもっとも好ましい。HPMC及びコポビドンのブレンドは審美的に快適で、更なる加工及び長期間の在庫寿命に耐えるのに十分に堅固であると考えられる薬剤コーティングを提供する。更に、コポビドンは本発明に従う薬剤コーティング中に包含される不溶性薬剤を可溶化させるように働いて、不溶性薬剤の固溶体を包含する薬剤コーティングを提供することができると考えられる。
【0024】
もう1つの態様において、本発明の薬剤コーティングは被膜形成剤としてHPMCとコポビドンのブレンド及び不溶性薬剤として非ステロイド抗炎症剤(NSAID)を包含する。本発明に従う薬剤コーティング中に包含されることができるNSAIDにはそれらに限定はされないが、イブプロフェン、アセトアミノフェン及びナプロキセンが包含される。NSAIDは鎮痛剤、抗炎症剤及び抗発熱剤として広範に使用されており、そしてこのような化合物は種々の異なる可溶性薬剤と組み合わせて種々の異なる病気からの多数の症候の緩和を得ることができる。例えば、本態様に従う薬剤コーティングは1種又は複数の可溶性鎮痛剤、抗ヒスタミン剤又は鎮咳剤あるいは嘔吐抑制剤と組み合わせたNSAIDを包含することができる。
【0025】
更にもう1つの態様において、本発明の薬剤コーティングには被膜形成剤としてのHPMCとコポビドンのブレンド、不溶性のNSAID及びオピエート又はオピオイド薬のような可溶性麻薬が包含される。このような態様の特定の例において、薬剤コーティングにはヒドロコドンのようなオピオイド薬が包含される。オピエート又はオピオイド薬とのアセトアミノフェン又はイブプロフェンの組み合わせ物を包含する投与形態物は鎮痛、抗炎症、抗発熱及び鎮咳作用の組み合わせを提供する。
【0026】
まだ更なる態様において、本発明に従う薬剤コーティングには被膜形成剤としてのHPMCとコポビドンのブレンド、不溶性NSAID、オピエート又はオピオイド薬のような可溶性麻薬及び粘度増強剤又は崩壊剤が包含される。このような態様の特定の例において、薬剤コーティングは約1重量%〜約2重量%の間の、HPCのような粘度増加剤が包含される。このような態様のもう1つの例において、薬剤コーティングは約0.5重量%〜約3重量%の間の崩壊剤を包含し、そしてこのような態様の更にもう1つの例において、薬剤コーティングは約0.5重量%〜約3重量%の間の界面活性剤を包含する。
【0027】
本発明に従う薬剤コーティングは高い薬剤配合量を達成することができるのみならずまた、本発明に従う薬剤コーティングが2種以上の異なる薬剤を包含する場合は、本発明に従う薬剤コーティングが薬剤コーティング中に包含される薬剤量に正比例する量で異なる薬剤を放出することが見いだされた。これはアセトアミノフェン及びヒドロコドンバイタルトレート(HBH)のような徹底的に異なる溶解度特性を示す薬剤が薬剤コーティング中に包含される場合ですら真実である。更に本発明に従う薬剤コーティングはその中に包含される実質的にすべての薬剤を放出する。このような性能の特性が信頼性で予測可能な薬剤送達性能を容易にし、そして広範な異なる比率の2種以上の薬剤を送達する本発明に従う薬剤コーティングの調製を許す。
【0028】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明はコーティング調製物に関する。本発明に従うコーティング調製物は本発明に従う薬剤コーティングを提供するために使用することができる。本発明のコーティング懸濁物は1種又は複数の溶媒又は溶液中に、物質に応じて、溶解又は懸濁された本発明の薬剤コーティングを形成するために使用される物質を包含する。本発明に従うコーティング懸濁物中に包含される1種又は複数の溶媒は有機溶媒ではなく、そして好ましくは水性溶媒である。本発明に従うコーティング懸濁物中に使用することができる水性溶媒には、それらに限定はされないが、精製水、pH調整水、酸性化水又は水性バッファー溶液が包含される。好ましい態様において、本発明に従うコーティング懸濁物中に包含される水性溶媒は精製水USPが包含される。従って本発明のコーティング調製物は好ましくは、水性調製物であり、コーティング組成物を調製する時に有機溶媒の使用から発生する可能性がある可能な問題及び不都合を回避する。
【0029】
本発明に従う薬剤コーティングは少なくとも1種の不溶性薬剤を包含するので、本発明のコーティング調製物は典型的には任意の適当な方法を使用して水性懸濁液として調製され、そして好ましい態様において、本発明のコーティング調製物は、例えば、知られたパンコーティング、流動床コーティング又は薬剤コーティングを提供するために適当な任意の他の標準コーティング法のような既知のコーティング法により本発明に従う薬剤コーティングの製造を容易にするように調製される。本発明に従うコーティング懸濁物中に使用される溶媒の正確な量は例えば、仕上げ薬剤コーティング中に包含される物質、コーティング懸濁物の所望のコート性能及び仕上げ薬剤コーティングの所望の物理的特性に応じて異なることができるが、本発明に従うコーティング懸濁物は典型的には、所望の溶媒からなる残りのコーティング懸濁物を伴って約30重量%までの固形分を包含する。本発明のコーティング懸濁物の好ましい態様は約80重量%の所望の水性溶媒及び約20重量%の固形分を包含する。本発明のコーティング懸濁物は本発明に従う薬剤コーティングの噴霧コーティングを容易にするために十分に低い、しかしコート工程中にコーティング懸濁物中に包含される不溶性薬剤の実質的に均一な分散を維持するために十分に高い粘度を示すように調製される。
【0030】
本発明のコーティング調製物は本発明に従う薬剤コーティングを形成するために使用されるので、コーティング懸濁物中に包含される固体は本発明に従う薬剤コーティングを形成するのに有用な物質を包含する。従って、本発明に従うコーティング懸濁物中に包含される固体は少なくとも1種の不溶性薬剤及び被膜形成剤を包含する。本発明に従うコーティング懸濁物中に包含される固体はまた、粘度増強剤、界面活性剤又は崩壊剤を包含することができる。本発明に従う薬剤コーティングについて真実であるように、本発明に従うコーティング懸濁物は2種以上の不溶性薬剤又は1種以上の可溶性薬剤と組み合わせた1種以上の不溶性薬剤を包含することができる。
【0031】
本発明に従うコーティング調製物を調製する際に、コーティング調製物中に配合される薬剤は微細化形態で提供することができる。本発明に従うコーティング調製物中に配合される薬剤の粒度を減少することにより、化粧品学的により滑らかな薬剤コーティングを達
成することができる。更に、本発明に従うコーティング調製物中に配合される薬剤物質の粒度を減少することにより、コーティング調製物により調製される薬剤コーティングから放出されるときに、特に薬剤が不溶性薬剤である場合に、薬剤の溶解速度を改善することができる。本発明のコーティング調製物の1つの態様において、コーティング調製物は100ミクロン未満の平均粒度を示す微細化薬剤物質を包含する。もう1つの態様において、本発明のコーティング調製物は50ミクロン未満の平均粒度を示す微細化薬剤物質を包含し、そして更にもう1つの態様において、本発明のコーティング調製物は10ミクロン未満の平均粒度を示す微細化薬剤物質を包含する。薬剤物質の微細化は例えば、既知のビーズミリング、ジェットミリング又は微小沈殿法(microprecipitation process)のような当該技術分野で周知の方法により容易に達成することができ、そして粒度は沈降場流動分画法、光子相関分光測定法(photon correlation spectroscopy)又はディスク遠心分離法のような任意の通常の粒度測定法を使用して測定することができる。
【0032】
本発明に従うコーティング調製物中に溶解又は懸濁された固体は本発明に従う薬剤コーティング中に使用されるものと同様な相対的量でコーティング調製物中に配合される。例えば、本発明のコーティング調製物中に包含される薬剤はコーティング調製物中に配合される固体の約85重量%〜約97重量%からなる。好ましい態様において、本発明のコーティング調製物中に包含される薬剤はコーティング調製物中に配合される固体の約90重量%〜約93重量%からなる。本発明のコーティング調製物中に包含される被膜形成剤はコーティング調製物中に配合される固体の約3重量%〜約15重量%からなり、そして好ましい態様において、本発明のコーティング調製物中に包含される被膜形成剤はコーティング調製物中に配合される固体の約7重量%〜約10重量%からなる。粘度増強剤は、包含される場合は、典型的には本発明のコーティング調製物中に包含される固体の約5重量%以下からなる。粘度増強剤が固体の2重量%以下からなる場合のコーティング調製物が好ましく、そして特に好ましい態様において、本発明のコーティング調製物中に包含される粘度増強剤はコーティング調製物中に包含される固体の1重量%以下からなる。コーティング調製物により形成されるコーティングが崩壊剤を包含することができる場合は、崩壊剤は典型的にはコーティング調製物中に包含される固体の約6重量%までからなる。好ましい態様において、崩壊剤はコーティング調製物中に包含される固体の約0.5重量%〜約3重量%からなり、そして崩壊剤を包含するコーティング調製物の特に好ましい態様において、崩壊剤はコーティング調製物中に包含される固体の約1重量%〜約3重量%からなる。界面活性剤が本発明に従う薬剤コーティング中に包含される場合は、界面活性剤は典型的にはコーティング調製物中に包含される固体の約6重量%までからなる。界面活性剤が本発明のコーティング調製物中に包含される場合は、界面活性剤は好ましくは、コーティング調製物中に包含される固体の約0.5重量%〜約3重量%からなり、そして界面活性剤を包含する本発明に従うコーティング調製物の特に好ましい態様において、界面活性剤はコーティング調製物中に包含される固体の約1重量%〜約3重量%からなる。
【0033】
更にもう1つのアスペクトにおいて、本発明は投与形態物に関する。本発明に従う投与形態物は本発明に従う薬剤コーティングによりコートされるコアを包含する。本発明に従う投与形態物中に包含されるコアは種々の形態を採ることができ、薬剤コーティングの溶解又は崩壊後に送達される1種又は複数の薬剤を包含するように調製することができる。投与形態物のコアが1種又は複数の薬剤を包含する場合はこのような薬剤は薬剤コーティング中に包含される1種又は複数の薬剤と同一でも異なってもよい。本発明の投与形態物のデザイン及び調製物におけるこのような柔軟性が、種々の異なる治療結果を達成するための広範な薬剤又は薬剤の組み合わせ物を送達することができる投与形態物の形成を容易にする。
【0034】
1つの態様において、本発明に従う投与形態物中に包含されるコアはピル、粒子、ペレ
ット、ビーズ又はヌパレイルビーズ(nu pareil beads)(集合的に単に「ピル」と呼ばれる)のようなスフェロイドであることができる。本発明の投与形態物中のコアとして使用されるピルは種々の異なる物質で形成することができる。更に、本発明の投与形態物がピルにより形成されるコアを包含する場合は、ピルは所望に応じて、有効物質を含まないように又は1種又は複数の有効物質を包含するように調製することができる。本発明の投与形態物中のコアとして使用することができるピルを形成するために有用な物質はそれらに限定はされないが、可塑性樹脂のようなポリマー物質、シリカ、ガラス、ヒドロキシアパタイトのような無機物質、塩(例えば、塩化ナトリウム又はカリウム、炭酸カルシウム又はマグネシウム)等、活性炭素のような有機物質、酸(例えば、クエン酸、フマル酸、酒石酸又はアスコルビン酸)等、並びに糖及びそれらの誘導体が包含される。本発明の投与形態物中のコアとしての使用のためのピルを形成するのに特に適する物質には糖、オリゴ糖、多糖類のような糖類及び、ブドウ糖、ラムノース、ガラクトース、乳糖、蔗糖、マニトール、ソルビトール、デストリン、マルトデキストリン、セルロース、微細結晶セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、デンプン(例えば、コーンスターチ、米デンプン、ジャガイモデンプン、小麦デンプン又はタピオカデンプン)等のようなそれらの誘導体が包含される。本明細書で考察されるコア形成物質は概括的に、薬剤を含まない又は所望に応じて1種又は複数の可溶性又は不溶性薬剤を包含するピルを形成するために使用することができる。
【0035】
もう1つの態様において、本発明の投与形態物は錠剤又はカプセルを使用して形成されるコアを包含する。このような態様に包含される錠剤又はカプセルは実質的に任意の所望されるサイズ又は形状を採ることができ、広範な既知の物質を使用して製造することができる。しかし、本発明の投与形態物のコアが錠剤又はカプセルを包含する場合は、錠剤又はカプセルは好ましくは、所望の動物又はヒトの被験者に対する経口送達に適する物質で製造され、そして錠剤又はカプセルは好ましくは、経口送達を容易にするようなサイズ及び形状をもつ。例えば、コアが柔らかいカプセル又は「ソフトカプ」を包含し、そして投与形態物がヒトの被験者に対する経口送達を意図される場合は、ソフトカプは好ましくは、約3〜約22minim(ここで1minimは0.0616mlに等しい)の範囲のサイズを示し、そしてソフトカプは例えば、標準の楕円又は長円形で提供することができる。更にもう1つの例において、本発明の投与形態物のコアが硬いカプセル又は「ハードカプ」を包含し、ヒトの被験者に対する経口送達を意図される場合は、ハードカプは好ましくは、(000)、(00)、(0)、(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)として指定される種々の標準サイズのうちの1つで提供される。それらの既製の商業的利便性のために標準の形状及びサイズを示すカプセル及び錠剤が現在好まれるが、本発明の投与形態物のコアは所望の送達適用に適した標準以外のサイズ又は形状の錠剤及びカプセルを使用して形成することができる。
【0036】
更に、本発明に従う投与形態物が錠剤又はカプセルを使用して形成されるコアを包含する場合は、コア中に包含される錠剤又はカプセルは好ましくは、制御放出投与形態物を提供するように調製又は構成される。1種又は複数の薬剤の即時放出を提供するように調製された本発明に従う薬剤コーティングを伴うこのようなコアのその後のコーティングは即時放出投与形態物及び制御放出投与形態物の双方の性能の利点を示す投与形態物を提供する。本発明の投与形態物のコアを形成するために使用することができる制御放出投与形態物はそれらに限定はされないが、錠剤化マトリックスを包含する制御放出投与形態物、錠剤化マトリックスを包含し、制御放出を提供するために1種又は複数の不溶性バンドで結合された徐放性マトリックス投与形態物及び浸透圧により駆動される投与形態物のような当該技術分野で周知の投与形態物を包含する。本発明の投与形態物のコアとして働くことができる徐放性投与形態物の例はそれらに限定はされないが、それぞれの内容が引用によりそれらの全体を本明細書に取り入れている米国特許第4,235,236号、第4、278,087号、第4,663,149号、第4,777,049号、第4,801,461号、第4,854,470号、第4,961,932号、第5,023,088号、第5,030,456号、第5,221,536号、第5,245,357号、第5,512,299号、第5,534,263号、第5,614,578号、第5,667,804号、第5,830,502号、第5,858,407号、第5,906,832号、第5,948,747号、第6,020,000号、第6,153,678号、第6,174,547号、第6,183,466号、第6,245,357号、第6,316,028号及び第6,365,183号明細書;米国特許公開(US Patent Publications numbered)US2003−0198619、US2003−0232078及びUS2002−0071863;国際公開第95/34285号及び第04/02448号パンフレット及びPCT出願US04/24921号(未公開)に記載された投与形態物を包含する。
【0037】
本発明の投与形態物中に包含される薬剤コーティングは当該技術分野で知られたコート法を使用して投与形態物中に包含されるコア上に形成することができる。更に本発明の投与形態物中に包含される薬剤コーティングは本明細書に記載されたようなコーティング調製物を使用して形成することができる。本発明の投与形態物の薬剤コーティングを形成するために適する方法は薬剤コーティングを提供するのに適する任意の標準のコート法を包含し、そしてそれらに限定はされないが、知られたパンコーティング法及び流動床コーティング法を包含する。
【0038】
本発明の投与形態物は本発明に従う薬剤コーティングによりコートされるコアを包含するが、薬剤コーティングは必ずしも投与形態物のもっとも外側のコーティングであるとは限らない。例えば、所望される場合は、本発明に従う投与形態物中に包含される薬剤コーティングは色彩コート又はもう1つの仕上げコートでコートして、最終投与形態物を提供することができる。あるいはまた、本発明の投与形態物中に包含される薬剤コーティングはもう1つの薬剤コーティングで、あるいは腸溶コーティングのような意図される被験者の胃腸管内の特定の部位で又は投与後の所望の時点で薬剤コーティングの溶解又は崩壊を起こすようになっているコーティングすらでコートすることができると考えられる。更に本発明に従う投与形態物中に包含される薬剤コーティングはコア上に提供されるが、薬剤コーティングはコアに直接隣接する必要はない。コアがピル、錠剤又はカプセルを使用して形成されるかに拘わらず、1種又は複数の物質の層が薬剤コーティングとコア形成物質又は構造物間に介入してもよい。このような介入層はコア形成物質又は薬剤コーティングのいずれかのより良い機能を容易にするために包含することができる。あるいはまた、介入物質の層は薬剤コーティングの製造を容易にするか又は、所望される場合はコアと薬剤組成物の間の介入を妨げることができる。
【実施例1】
【0039】
本発明に従う薬剤コーティングをプラセボの投与形態物上に提供した。コーティングはHPMC E5(Dowにより供給された)及びコポビドン(Kollidon(R)VA64、BASFにより供給された)のブレンドで形成された7.2重量%の被膜形成物質を包含した。HPMCは薬剤コーティングの4.3重量%を占め、そしてKollidon(R)VA64は薬剤コーティングの2.9重量%を占めていた。イブプロフェンUSPが薬剤コーティング中に包含された薬剤であり、イブプロフェンUSPは薬剤コーティングの92.8重量%を占めていた。
【0040】
薬剤コーティングを形成するために、溶媒として精製水USPを使用して水性コーティング調製物を生成した。コーティング調製物は24重量%の固形分及び76重量%の溶媒含量を包含した。コーティング調製物中に負荷される固体は仕上げ薬剤コーティングを形成したものであり、固体は仕上げ薬剤コーティング中に含有されたものと同様な相対的割合でコーティング調製物中に負荷された。コーティング調製物を標準方法を使用して混合
して、実質的に均一なコーティング調製物を達成した。コーティング調製物を2,977.5グラムのバッチとして調製した。
【0041】
コーティング調製物を形成後、薬剤コーティングをVector LDCSパンコーターを使用してプラセボ投与形態物上に形成した。コーター中に包含されたポンプはMasterflex(R)蠕動ポンプであり、コーター中に使用されたチュービングはMasterflex(R)96410−16チュービングであった。コーターのパンにコーティング調製物1,800gを充填し、薬剤コーティングを表1に挙げた条件下でプラセボ投与形態物上にコートした。プラセボ投与形態物をコーター中で4.5時間処理すると、平均約165mg重量の薬剤コーティングでコートされたプラセボ投与形態物をもたらした。
【0042】
【表1】

【実施例2】
【0043】
本発明に従う薬剤コーティングをプラセボ投与形態物上に提供した。コーティングはHPMC E5(Dowにより供給された)及びコポビドン(Kollidon(R)VA64、BASFにより供給された)のブレンドで形成された17.8重量%の被膜形成物質を包含した。HPMCは薬剤コーティングの10.7重量%を占め、そしてKollidon(R)VA64は薬剤コーティングの7.1重量%を占めていた。コーティング中に包含された薬剤はイブプロフェンUSPであり、イブプロフェンUSPは薬剤コーティングの82.2重量%を占めていた。
【0044】
薬剤コーティングを形成するために溶媒として精製水USPを使用して水性コーティング調製物を形成した。コーティング調製物は20重量%の固形分及び80重量%の溶媒含量を包含した。コーティング調製物中に負荷された固体は仕上げ薬剤コーティングを形成したものであり、固体は仕上げ薬剤コーティング中に含有されたものと同様な相対的割合でコーティング調製物中に負荷された。コーティング調製物を標準方法を使用して混合して、実質的に均一なコーティング調製物を達成した。コーティング調製物を3978.4グラムのバッチとして調製した。
【0045】
コーティング調製物を形成後、薬剤コーティングをVector LDCSパンコーターを使用してプラセボ投与形態物の上に提供した。コーター中に包含されたポンプはMasterflex(R)蠕動ポンプであり、コーター中に使用されたチュービングはMasterflex(R)96410−16チュービングであった。コーターのパンにコーティング調製物1,800gを充填し、薬剤コーティングを表1に挙げた条件下でプラセボ投与形態物上にコートした。プラセボ投与形態物をコーター中で4.8時間処理すると、平均約188mg重量の薬剤コーティングでコートされたプラセボ投与形態物をもたらした。
【実施例3】
【0046】
本発明に従う薬剤コーティングをプラセボ投与形態物上に提供した。コーティングはHPMC E5(Dowにより供給された)及びコポビドン(Kollidon(R)VA64、BASFにより供給された)のブレンドで形成された6.0重量%の被膜形成物質を包含した。HPMCは薬剤コーティングの3.6重量%を占め、そしてKollidon(R)VA64は薬剤コーティングの2.4重量%を占めていた。薬剤コーティングは更に粘度増強剤としてHPC(Klucel(R)MF)を包含した。HPCは薬剤コーティングの1.5重量%を占めていた。薬剤コーティング中に包含された薬剤はアセトアミノフェンUSP(APAP USP、微細粉末としてBASFにより供給された)であり、APAP USPは薬剤コーティングの92.5重量%を占めていた。
【0047】
薬剤コーティングを形成するために溶媒として精製水USPを使用して水性コーティング調製物を調製した。コーティング調製物は20重量%の固形分及び80重量%の溶媒含量を包含した。コーティング調製物中に負荷された固体は仕上げ薬剤コーティングを形成するものであり、固体は仕上げ薬剤コーティング中に含有されるものと同様な相対的割合でコーティング調製物中に負荷された。コーティング調製物を標準方法を使用して混合して、実質的に均一なコーティング調製物を達成した。
【0048】
薬剤コーティングをVector LDCSパンコーターを使用してプラセボ投与形態物上に形成した。コーター中に包含されたポンプはMasterflex(R)蠕動ポンプであり、コーター中に使用されたチュービングはMasterflex(R)96410−16チュービングであった。コーターのパンにコーティング調製物1,800gを充填し、薬剤コーティングを表1に挙げた条件下でプラセボ投与形態物上にコートした。プラセボ投与形態物をコーター中で3.75時間処理すると、平均約183mg重量の薬剤コーティングでコートされたプラセボ投与形態物をもたらした。
【実施例4】
【0049】
本発明に従う薬剤コーティングをプラセボ投与形態物上に提供した。コーティングはHPMC E5(Dowにより供給された)及びコポビドン(Kollidon(R)VA64、BASFにより供給された)のブレンドで形成された6.6重量%の被膜形成物質を包含した。HPMCは薬剤コーティングの3.95重量%を占め、そしてKollidon(R)VA64は薬剤コーティングの2.65重量%を占めていた。薬剤コーティングは更に粘度増強剤としてHPC(Klucel(R)MF)を包含した。HPCは薬剤コーティングの1.0重量%を占めていた。不溶性薬剤及び可溶性薬剤が該薬剤コーティング中に包含され、そこで2種の薬剤は薬剤コーティングの92.4重量%を占めていた。コーティング中に包含された不溶性薬剤はAPAP USP(微細粉末としてBASFから供給された)であり、薬剤コーティングの90重量%を占め、コーティング中に包含された可溶性薬剤はヒドロコドンバイタルトレート(HBH)であり、薬剤コーティングの2.4重量%を占めていた。
【0050】
薬剤コーティングを形成するために溶媒として精製水USPを使用して水性コーティング調製物を形成した。コーティング調製物は20重量%の固形分及び80重量%の溶媒含量を包含した。コーティング調製物中に負荷された固体は仕上げ薬剤コーティングを形成するものであり、固体は仕上げ薬剤コーティング中に含有されるものと同様な相対的割合でコーティング調製物中に負荷された。コーティング調製物を表3に概説された標準方法を使用して混合して、実質的に均一なコーティング調製物を得た。コーティング調製物は4,000グラムのバッチとして調製された。
【0051】
コーティング調製物を形成後、薬剤コーティングをVector LDCSパンコータ
ーを使用してプラセボ投与形態物の上に提供した。コーター中に包含されたポンプはMasterflex(R)蠕動ポンプであり、コーター中に使用されたチュービングはMasterflex(R)96410−16チュービングであった。コーターのパンにコーティング調製物1,800gを充填し、約200mgのコーティングを達成するまで(平均コーティング重量199.7mg)、薬剤コーティングを表1に挙げた条件下でプラセボ投与形態物上にコートした。
【0052】
表3:コーティング調製物の調製
容器I
・容器の風袋を測りミキサーのスイッチを入れる。
・容器に1/3の水を充填する。
・混合しながら、容器中にHPCを緩徐に充填する。
・物質が完全に溶解するまで混合を継続する。
容器II
・容器の風袋を測り、容器中に必要な水の3/4を充填する。
・混合しながら容器中にコポビドンを緩徐に充填する。
・物質が溶解するまで混合を継続する。
・混合しながら容器中にHPMCを緩徐に充填する。
・物質が溶解するまで混合を継続する。
・容器II中に容器Iの溶液を移す。
・透明な溶液が生成するまで混合する。
・崩壊剤又は界面活性剤を包含する場合は混合しながら崩壊剤又は界面活性剤を添加する。
・溶液が均一になるまで混合する。
・混合しながら混合容器中に不溶性薬剤(例えば、APAP又はイブプロフェン)を緩徐に充填する。
・塊が存在しなくなるまで混合を継続する。
・使用前に少なくとも2時間混合する。
・調製された薬剤コーティング調製物の正味量を決定する。
・必要量の薬剤コーティング調製物が適用されるまで混合を継続する。
・渦を形成させない。
【実施例5】
【0053】
実施例4に従って調製された薬剤コーティングからのAPAP及びHBH双方の溶解速度を評価し、Vicodin(R)錠により提供された溶解速度と比較した。USP TypeII装置を使用して代表的薬剤コーティング及びVicodin(R)錠からの溶解速度を評価した。図1及び図2を参照することにより認められるように、代表的薬剤オーバーコートからのAPAP及びHBH双方の溶解速度はVicodin(R)錠により提供された速度に匹敵し、そこで代表的薬剤コーティングから及びVicodin(R)錠からのAPAP及びHBHのt90は30分以内に起った。
【実施例6】
【0054】
本発明に従う薬剤コーティングからのAPAP及びHBHの溶解プロファイルをマスバランスに基づいて評価した。薬剤コーティングからのAPAP:HBHの目標放出比率は34:1であった。本発明に従うコーティングを有する投与形態物の3種の異なるロットを評価した。このような評価の結果は図3に提供され、図3から認められるように、本発明に従う薬剤コーティングは望ましいAPAP及びHBH放出能を提供し、そこで各ロットの薬剤コーティングが目標放出比率において又はその非常に近位でAPAP及びHBHを放出した。
【実施例7】
【0055】
本発明に従う4種の異なる薬剤コーティングからのAPAPの溶解速度を市販のNORCO(R)錠からのAPAPの溶解速度と比較した。4種の異なる各薬剤コーティングの調製物は表2に提供される。HBHは計算の目的のみのために表2に包含された。HBHはこの実施例で調製された4種のコーティング調製物のいずれにも包含されなかった。
【0056】
4種の異なる各薬剤コーティングを形成するために、溶媒として精製水USPを使用して4種の異なる水性コーティング調製物を、調製した。4種の各コーティング調製物は20重量%の固形分及び80重量%の溶媒含量を包含した。4種の異なるコーティング調製物の1つを形成するために使用された固体を、4種の各コーティング調製物に配合した。コーティング調製物を表3に概説した方法を使用して混合して、実質的に均一なコーティング調製物を達成した。
【0057】
コーティング調製物形成後、4種の薬剤コーティングをVector LDCSパンコーターを使用してプラセボ投与形態物の上に提供した。コーター中に包含されたポンプはMasterflex(R)蠕動ポンプであり、コーター中に使用されたチュービングはMasterflex(R)96410−16チュービングであった。各コート過程中に、コーターのパンに所望のコーティング調製物1,800gを充填した。コーティングが表2に詳説される平均重量増加を提供するまで、4種の異なる薬剤コーティングを表1に挙げた条件下でプラセボ投与形態物上にコートした。
【0058】
4種の異なる各コーティングからそしてNORCO(R)錠からのAPAPの溶解速度を評価するためにUSP TypeII装置を使用した。使用された溶媒は37℃で維持された酸性化された水900mlであり、撹拌速度は50rpmであった。溶媒中に存在するAPAPの量を標準UVアッセイ法を使用して90分間にわたり5分間隔で測定した。
【0059】
溶解試験の結果は図4及び図5に示される。図4及び図5に対する参照により認められるように、本発明に従う薬剤コーティング中に界面活性剤又は崩壊剤を包含すると、薬剤が薬剤コーティングから放出される速度の測定可能な改善をもたらすことができる。崩壊剤Ac−Di−Sol(R)の場合には、薬剤コーティング中のAc−Di−Sol(R)の量を増加すると薬剤がコーティングから溶解される速度の増加をもたらすことができ、ここで3.0重量%のAc−Di−Sol(R)を包含する薬剤コーティングはNORCO(R)錠により提供された速度に近付く溶解速度を提供した。
【0060】
【表2】

【実施例8】
【0061】
界面活性剤を包含する本発明に従う薬剤コーティングをプラセボの投与形態物上に形成した。コーティングはHPMC 2910及びコポビドン(Kollidon(R)VA64、BASFにより供給された)のブレンドで形成された5.1重量%の被膜形成剤を包含した。HPMCは薬剤コーティングの3.06重量%を占め、Kollidon(R)VA64は薬剤コーティングの2.04重量%を占めていた。薬剤コーティングはまた、粘度増強剤としてHPC(Klucel(R)MF)そして界面活性剤としてポロキサマー188を包含した。HPCは薬剤コーティングの1.0重量%を占め、ポロキサマーは薬剤コーティングの1.5重量%を占めていた。不溶性薬剤及び可溶性薬剤が該薬剤コーティング中に包含され、そこで2種の薬剤は薬剤コーティングの92.4重量%を占めていた。コーティング中に包含された不溶性薬剤は薬剤コーティングの90重量%を占めるAPAP USP(微細粉末としてBASFから供給された)であり、そしてコーティング中に包含された可溶性薬剤は薬剤コーティングの2.4重量%を占めるHBHである。
【0062】
薬剤コーティングを形成するために、溶媒として精製水USPを使用して水性コーティング調製物を形成した。コーティング調製物は20重量%の固形分及び80重量%の溶媒含量を包含した。コーティング調製物中に負荷した固体は仕上げ薬剤コーティングを形成したものであり、固体は仕上げ薬剤コーティング中に含有されたものと同様な相対的割合でコーティング調製物中に負荷された。コーティング調製物を表3に概説した方法を使用して混合して、実質的に均一なコーティング調製物を達成した。
【0063】
コーティング調製物形成後、薬剤コーティングをVector LDCSパンコーターを使用してプラセボ投与形態物の上に提供した。コーター中に包含されたポンプはMasterflex(R)蠕動ポンプであり、コーター中に使用されたチュービングはMasterflex(R)96410−16チュービングであった。コーターのパンにコーティング調製物1,800gを充填し、約200mgの薬剤コーティングが達成されるまで(平均コーティング重量194.4mg)、表1に挙げた条件下で薬剤コーティングをプラセボ投与形態物上にコートした。
【実施例9】
【0064】
崩壊剤を包含する本発明に従う薬剤コーティングをプラセボ投与形態物上に形成した。コーティングはHPMC 2910及びコポビドン(Kollidon(R)VA64、BASFにより供給された)のブレンドで形成された5.1重量%の被膜形成剤を包含した。HPMCは薬剤コーティングの3.06重量%を占め、Kollidon(R)VA64は薬剤コーティングの2.04重量%を占めていた。薬剤コーティングはまた、粘度増強剤としてHPC(Klucel(R)MF)そして崩壊剤としてAc−Di−Sol(R)を包含した。HPCは薬剤コーティングの1.0重量%を占めそしてAc−Di−Sol(R)は薬剤コーティングの1.5重量%を占めていた。不溶性薬剤及び可溶性薬剤が該薬剤コーティング中に包含され、2種の薬剤は薬剤コーティングの92.4重量%を占めていた。コーティング中に包含された不溶性薬剤は薬剤コーティングの90重量%を占めるAPAP USP(微細粉末としてBASFから供給され)であり、そしてコーティング中に包含された可溶性薬剤は薬剤コーティングの2.4重量%を占めるHBHであった。
【0065】
薬剤コーティングを形成するために、溶媒として精製水USPを使用して水性コーティング調製物を形成した。コーティング調製物は20重量%の固形分及び80重量%の溶媒含量を包含した。コーティング調製物中に配合した固体は仕上げ薬剤コーティングを形成するものであり、固体は仕上げ薬剤コーティング中に含有されたものと同様な相対的を割合でコーティング調製物中に配合された。コーティング調製物を表3に概説した方法を使用して混合して、実質的に均一なコーティング調製物を達成した。
【0066】
コーティング調製物形成後、薬剤コーティングをVector LDCSパンコーターを使用してプラセボ投与形態物の上に提供した。コーター中に包含されたポンプはMasterflex(R)蠕動ポンプであり、コーター中に使用されたチュービングはMasterflex(R)96410−16チュービングであった。コーターのパンにコーティング調製物1,800gを充填し、約200mgの薬剤コーティングが達成されるまで(平均コーティング重量196.7mg)、表1に挙げた条件下で薬剤コーティングをプラセボ投与形態物上にコートした。
【実施例10】
【0067】
崩壊剤を包含する本発明に従う薬剤コーティングを調製し、投与形態物上にコートする。コーティングはHPMC 2910及びコポビドン(Kollidon(R)VA64、BASFにより供給された)のブレンドで形成された5.6重量%の被膜形成剤を包含する。HPMCは薬剤コーティングの3.36重量%を占め、Kollidon(R)VA64は薬剤コーティングの2.24重量%を占めていた。薬剤コーティングはまた、粘度増強剤としてHPC(Klucel(R)MF)そして崩壊剤としてAc−Di−Sol(R)を包含する。HPCは薬剤コーティングの1.0重量%を占め、そしてAc−Di−Sol(R)は薬剤コーティングの3.0重量%を占めていた。不溶性薬剤及び可溶性薬剤が該薬剤コーティング中に包含され、そこで2種の薬剤が薬剤コーティングの90.4重量%を占めていた。コーティング中に包含される不溶性薬剤は薬剤コーティングの88.0重量%を占める。PAP USP(微細粉末としてBASFから供給された)であり、そしてコーティング中に包含される可溶性薬剤は薬剤コーティングの2.4重量%を占めるHBHである。
【0068】
溶媒として精製水USPを使用して水性コーティング調製物を形成する。コーティング調製物は20重量%の固形分及び80重量%の溶媒含量を包含する。コーティング調製物中に配合した固体は仕上げ薬剤コーティングを形成するものであり、固体は仕上げ薬剤コーティング中に示されるであろうものと同様な相対的を割合でコーティング調製物中に配
合される。コーティング調製物を表3に概説した方法を使用して混合して、実質的に均一なコーティング調製物を達成する。
【0069】
コーティング調製物形成後、薬剤コーティングをVector LDCSパンコーターを使用して投与形態物の上に提供する。コーター中に包含されるポンプはMasterflex(R)蠕動ポンプのような任意の適当なポンプであり、コーター中に使用されたチュービングはMasterflex(R)96410−16チュービングのような任意の適当なチュービングである。コーターのパンに所望量のコーティング調製物を充填し、所望重量の薬剤コーティングが達成されるまで、表1に挙げた条件下で薬剤コーティングを投与形態物上にコートする。
【実施例11】
【0070】
本発明に従う薬剤コーティングを投与形態物上に提供する。コーティングはHPMC E5(Dowにより供給された)及びコポビドン(Kollidon(R)VA64、BASFにより供給された)のブレンドで形成される7.0重量%の被膜形成剤を包含する。HPMCは薬剤コーティングの4.2重量%を占め、Kollidon(R)VA64は薬剤コーティングの2.8重量%を占めていた。薬剤コーティングは93重量%の総薬剤含量を伴って不溶性薬剤及び可溶性薬剤を包含する。コーティング中に包含される不溶性薬剤は薬剤コーティングの90重量%を占めるイブプロフェン USPであり、コーティング中に包含される可溶性薬剤は薬剤コーティングの3重量%を占めるHBHである。
【0071】
薬剤コーティングを形成するために、溶媒として精製水USPを使用して水性コーティング調製物を調製する。コーティング調製物は25重量%の固形分及び75重量%の溶媒含量を包含する。コーティング調製物中に配合した固体は仕上げ薬剤コーティングを形成するものであり、固体は仕上げ薬剤コーティング中に示されるであろうものと同様な相対的を割合でコーティング調製物中に配合される。コーティング調製物を標準の方法を使用して混合して、実質的に均一なコーティング調製物を達成する。
【0072】
薬剤コーティングをVector LDCSパンコーターのような任意の適当なコーターを使用して投与形態物の上に形成する。コーター中に包含されるポンプはMasterflex(R)蠕動ポンプのような任意の適当なポンプであり、コーター中に使用されるチュービングはMasterflex(R)96410−16チュービングのような任意の適当なチュービングである。コーターのパンに所望量のコーティング調製物を充填し、所望重量の薬剤コーティングが達成されるまで、表1に挙げた条件下で薬剤コーティングをプラセボ投与形態物上にコートする。
【実施例12】
【0073】
本発明に従う薬剤コーティングを投与形態物上に形成する。コーティングはHPMC E5(Dowにより供給された)及びコポビドン(Kollidon(R)VA64、BASFにより供給された)のブレンドで形成された17.3重量%の被膜形成剤を包含する。HPMCは薬剤コーティングの10.4重量%を占め、Kollidon(R)VA64は薬剤コーティングの6.9重量%を占めていた。薬剤コーティングは82.7重量%の総薬剤含量を伴って不溶性薬剤及び可溶性薬剤を包含する。コーティング中に包含される不溶性薬剤は薬剤コーティングの80重量%を占めるイブプロフェン USPであり、コーティング中に包含される可溶性薬剤は薬剤コーティングの2.7重量%を占めるHBHである。
【0074】
薬剤コーティングを形成するために、溶媒として精製水USPを使用して水性コーティング調製物を調製する。コーティング調製物は20重量%の固形分及び80重量%の溶媒含量を包含する。コーティング調製物中に配合した固体は仕上げ薬剤コーティングを形成
するものであり、固体は仕上げ薬剤コーティング中に示されるであろうものと同様な相対的を割合でコーティング調製物中に配合される。コーティング調製物を標準の方法を使用して混合して、実質的に均一なコーティング調製物を達成する。
【0075】
薬剤コーティングをVector LDCSパンコーターのような任意の適当なコーターを使用して投与形態物の上に提供する。コーター中に包含されるポンプはMasterflex(R)蠕動ポンプのような任意の適当なポンプであり、コーター中に使用されるチュービングはMasterflex(R)96410−16チュービングのような任意の適当なチュービングである。コーターのパンに所望量のコーティング調製物を充填し、所望重量の薬剤コーティングが達成されるまで、表1に挙げた条件下で薬剤コーティングを投与形態物上にコートする。
【実施例13】
【0076】
本発明に従う薬剤コーティングを投与形態物上に提供する。コーティングはHPMC E5(Dowにより供給された)及びコポビドン(Kollidon(R)VA64、BASFにより供給された)のブレンドで形成される5.85重量%の被膜形成剤を包含する。HPMCは薬剤コーティングの3.5重量%を占め、Kollidon(R)VA64は薬剤コーティングの2.35重量%を占めていた。薬剤コーティングはまた粘度増強剤としてHPC(Klucel(R)MF)を包含する。HPCは薬剤コーティングの1.5重量%を占めていた。不溶性薬剤及び可溶性薬剤が該薬剤コーティング中に包含され、2種の薬剤は薬剤コーティングの92.65重量%を占めていた。コーティング中に包含される不溶性薬剤は薬剤コーティングの90重量%を占めるアセトアミノフェンであり、そしてコーティング中に包含される可溶性薬剤は薬剤コーティングの2.65重量%を占めるHBHである。
【0077】
薬剤コーティングを形成するために、溶媒として精製水USPを使用して水性コーティング調製物を調製する。コーティング調製物は20重量%の固形分及び80重量%の溶媒含量を包含する。コーティング調製物中に配合した固体は仕上げ薬剤コーティングを形成するものであり、固体は仕上げ薬剤コーティング中に示されるであろうものと同様な相対的を割合でコーティング調製物中に配合される。コーティング調製物を表3に概説された方法を使用して混合して、実質的に均一なコーティング調製物を達成する。
【0078】
薬剤コーティングをVector LDCSパンコーターのような任意の適当なコーターを使用して投与形態物の上に形成する。コーター中に包含されるポンプはMasterflex(R)蠕動ポンプのような任意の適当なポンプであり、コーター中に使用されたチュービングはMasterflex(R)96410−16チュービングのような任意の適当なチュービングである。コーターのパンに所望量のコーティング調製物を充填し、所望重量のコーティングが達成されるまで、表1に挙げた条件下で薬剤コーティングを投与形態物上にコートする。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】市販のVicodin(R)錠からのAPAP(アセトアミノフェン)の溶解速度に比較した、本発明に従う薬剤コーティングからのアセトアミノフェン(APAP)の溶解速度を示すグラフを提供する。
【図2】市販のVicodin(R)錠からのHBH(ヒドロコドンバイタルトレート)の溶解速度に比較した、本発明に従う薬剤コーティングからのヒドロコドンバイタルトレート(HBH)の溶解速度を示すグラフを提供する。
【図3】放出率がマスバランスに基づくAPAP及びHBHの溶解プロファイルを評価することにより決定される、本発明に従う薬剤コーティングから放出されるAPAP対HBHの比率を表わすグラフを提供する。
【図4】市販のNORCO(R)錠からのAPAPの溶解速度に比較した、本発明に従う2種の異なる薬剤コーティングからのAPAPの溶解速度を示すグラフを提供する。
【図5】市販のNORCO(R)錠からのAPAPの溶解速度に比較した、本発明に従う3種の異なる薬剤コーティングからのAPAPの溶解速度を示すグラフを提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の薬剤を含んでなるコア;並びに
第2の薬剤、
ヒドロキシプロピルセルロース及び
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コポビドン、第2の薬剤と固溶体を形成する被膜形成剤又はそれらのブレンドを含んでなる水溶性被膜形成物質
を含んでなるコーティングを含んでなり、
かつ、第2の薬剤がコーティングの総重量に基づいて約60重量%〜約97重量%の範囲の量でコーティング中に存在する不溶性薬剤を含んでなり、そして水溶性被膜形成物質がコーティングの総重量に基づいて約3重量%〜約15重量%を占める、
ことを特徴とする投与形態物。
【請求項2】
第2の薬剤が不溶性薬剤を含んでなり、そして第2の薬剤がコーティングの総重量に基づいて約97重量%までの範囲の量でコーティング中に存在する請求項1の投与形態物。
【請求項3】
コーティングが更に粘度増強剤、界面活性剤又は崩壊剤を含んでなる請求項1の投与形態物。
【請求項4】
不溶性薬剤が非ステロイド抗炎症剤を含んでなる請求項1の投与形態物。
【請求項5】
不溶性薬剤がアセトアミノフェンを含んでなる請求項1の投与形態物。
【請求項6】
コーティングが更に可溶性薬剤を含んでなる請求項1の投与形態物。
【請求項7】
可溶性薬剤がオピオイドを含んでなる請求項6の投与形態物。
【請求項8】
オピオイドがヒドロコドンを含んでなる請求項7の投与形態物。
【請求項9】
不溶性薬剤がコーティングの総重量に基づいて約60重量%〜約96.99重量%の範囲の量でコーティング中に存在する請求項6の投与形態物。
【請求項10】
水溶性被膜形成物質がヒドロキシプロピルメチルセルロース及びコポビドンのブレンドを含んでなる請求項1の投与形態物。
【請求項11】
コポビドン対ヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量/重量比が約1:1.5である請求項10の投与形態物。
【請求項12】
不溶性薬剤;
ヒドロキシプロピルセルロース;
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コポビドン、不溶性薬剤と固溶体を形成する被膜形成剤又はそれらのブレンドを含んでなる水溶性被膜形成物質;及び
水性溶媒
を含んでなるコーティング調製物。
【請求項13】
約80重量%の水性溶媒及び約20重量%の固形分(solids content)を含んでなる請求項12のコーティング調製物。
【請求項14】
コーティング調製物が更に粘度増強剤、界面活性剤又は崩壊剤を含んでなる請求項12のコーティング調製物。
【請求項15】
不溶性薬剤が非ステロイド抗炎症剤を含んでなる請求項12のコーティング調製物。
【請求項16】
不溶性薬剤がアセトアミノフェンを含んでなる請求項12のコーティング調製物。
【請求項17】
コーティング調製物が更に可溶性薬剤を含んでなる請求項12のコーティング調製物。
【請求項18】
可溶性薬剤がオピオイドを含んでなる請求項17のコーティング調製物。
【請求項19】
オピオイドがヒドロコドンを含んでなる請求項18のコーティング調製物。
【請求項20】
水溶性被膜形成物質がヒドロキシプロピルメチルセルロース及びコポビドンのブレンドを含んでなる請求項12のコーティング調製物。
【請求項21】
コポビドン対ヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量/重量比が約1:1.5である請求項12のコーティング調製物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2007−506786(P2007−506786A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−528280(P2006−528280)
【出願日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/031592
【国際公開番号】WO2005/072079
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】