説明

高い表面エネルギーを示すポリマー組成物のためのポリマー性可塑剤

高い表面エネルギー、可塑剤の永続性および加工性を含む望ましい性質の独特な組合せを示す、フィルム、成型品および押出しプロファイルを含むがこれらに限定されない成形品は、硬質有機ポリマーおよび可塑剤として独特なクラスのポリエステルを含むポリマー組成物から調製される。成形品は、有機溶媒および水の両方をベースとしたインキを使用して印刷することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体において参照により本明細書に組み込まれている、2006年9月5日に出願した米国特許出願第11/469,959号の継続出願である。
本発明は、ポリマー組成物にとって有用な性質の独特な組合せを与えることのできるポリマー性可塑剤に関する。更に具体的に言えば、本発明は、従来の可塑剤に関連してこれらが導入されるポリマー組成物の加工性を改善する、非反応性末端単位を含むポリエステルに関する。これらのポリマー組成物は、有機溶媒または水をベースとしたインキを使用して印刷を可能とするのに十分に高い表面エネルギー値を示すカレンダーフィルムの製造にとって特に有用である。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル型の可塑剤は種々のポリマー組成物で使用されている。この型の可塑剤は非特許文献1に詳細に説明されている。
【0003】
可塑剤として適当なポリエステルは、脂肪族または芳香族ジカルボン酸とジオール、グリコールまたはオリゴマー性グリコールとの反応により調製される。ポリマーの平均分子量は、使用される重合触媒、モノマーのモル比、いずれかの単官能アルコールまたはカルボン酸の濃度および重合反応の条件を含むがこれらに限定されない多数の変動要因に依存する。
【0004】
ポリマー分子の端部に非反応性基を有することが必要とされる場合、単官能アルコールおよび/またはモノカルボン酸は初期反応混合物中に存在するか、または重合反応中に添加される。
【0005】
可塑剤として使用されるポリエステルは、一般に、約1,000から13,000までまたはそれ以上の重量平均分子量を有する。単官能反応体の不存在下では、ポリマー分子上の末端単位の大部分は、モノマーの化学量論によりヒドロキシルまたはカルボキシルである。
【0006】
ポリマー組成物は、一般的に、組成物のその後の加工性を促進しおよび/またはポリマー組成物から形成される成形品またはフィルムに所望の性質を与えるために、可塑剤以外に多数の追加の添加剤を含む。添加剤のタイプおよび量はポリマーの加工装置と条件および最終製品の所望の物性に依存し、潤滑剤、ポリマー性加工助剤、耐酸化剤、熱安定剤、難燃剤、充填剤および顔料が挙げられるがこれらに限定されない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Edward J. Wickson編「the Handbook of PVC Formulating」第6章第223〜252頁(1993年、John Wiley and Sons発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の組成物は、1)硬質ポリマー、本発明の可塑剤の1つおよび前記可塑剤と混和性だが前記ポリマーの溶媒ではない有機液体をプラスチゾルの重量を基準にして5重量%だけ含むプラスチゾル、および2)前述のポリマー、可塑剤および一般的に5から70重量%の前記有機液体から本質的に成るオルガノゾルを含む。
【0009】
本発明の1つの目的は、有効な可塑剤であるだけでなく、幾つかの添加剤および変性剤、例えば、他のポリマー性可塑剤を含むポリマー組成物において必要とされる潤滑剤、加工助剤および/または熱安定剤等の必要性を減少させるか、または不要とする、種々のポリマー組成物のための一群のポリマー性可塑剤を提供することである。本発明の可塑化ポリマー組成物は、その上に印刷することのできるフィルム、成型品および押出しプロファイルの製造に対し特に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、1,000から5,000の重量平均分子量を示し、一般式:−OR1O(O)CR2C(O)−の繰り返し単位を含むポリエステル可塑剤であり、前記ポリエステルの末端単位の少なくとも96パーセントは、R3C(O)−およびR4O−から成る群から選択される一般式を示し、R1は、3から6個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキル基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R2は、1から10個の炭素原子を含むアルキレン基ならびにフェニレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R3は、1から24個の炭素原子を含むアルキル基ならびにフェニル基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R4は、1から24個の炭素原子を含むアルキル基ならびにトリル基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、前記ポリエステルのヒドロキシル価は10mg.のKOH/g未満である可塑剤を提供する。
【0011】
本発明の可塑剤は、25℃で、液体、固体または半固体であることができる。
【0012】
本発明は、また、1)本発明の可塑剤の存在により性質の独特な、そして望ましい組合せを示すポリマー組成物、および2)これらのポリマー組成物から調製される、成型物および押出しプロファイルを含むがこれらに限定されない、フィルムおよび成形品を提供する。
【0013】
本発明の可塑化ポリマー組成物は、一般的に、流動可能な液体材料を生成するために押出機、ロールミルまたは類似の装置を使用して剪断下で高温で加工することを必要とする微細固体である。
【0014】
本発明のポリエステル、これらのポリエステルを調製するのに適したモノマー、これらのポリエステルを含むポリマー組成物、これらの組成物から形成される成形品およびこれらの成形品を、その他の可塑剤を含むポリマー組成物を使用して調製される製品と区別する性質の組合せがここに詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(分子量)
本発明の可塑剤の重量平均分子量は、1,000および5,000g/molの間である。ポリマーの分子量は、ポリマーを調製するために使用される反応混合物中に、合計で11から約22重量%の少なくとも1つの単官能カルボン酸および/または連鎖停止剤としての少なくとも1つの単官能アルコールを含ませることにより制御される。連鎖停止剤(複数可)は2官能反応体と一緒にまたは重合反応中に添加することができる。
【0016】
高いまたは低い分子量および高いヒドロキシル価に関わる本発明の分子量範囲および低いヒドロキシル価に関わる利益は、効率性(ポリマー/可塑剤ブレンドで所望の性質を達成するために必要とされる可塑剤が少ない)、このブレンドの改善された加工性、フィルムおよび成形品により示される高い表面エネルギー、ならびに可塑剤の永続性の組合せである。
【0017】
本発明の分子量およびヒドロキシル価の範囲外では、前述の性質の少なくとも1つが犠牲となる。例えば、低分子量可塑剤は永続性に劣り、可塑剤により与えられる望ましい性質の更に急速な劣化をもたらす。高分子量可塑剤は本発明の可塑剤グループよりも更に永続性であってもよいが、これは、本発明の可塑剤グループを特徴付けているその他の望ましい性質の1つまたは複数の犠牲において達成される。
【0018】
(末端基)
本発明のポリマー性可塑剤は、末端ヒドロキシルまたはカルボキシル基を持つ分子の4重量%未満を含む。
【0019】
末端ヒドロキシル基は、湿潤環境での移行および/または抽出に対して可塑剤の抵抗性を減少させることが分かっており、所望の潤滑性を与える一方で、可塑剤の熱安定性に悪影響を及ぼす。末端カルボキシルおよびヒドロキシル基の組合せは、表面エネルギーを犠牲にすることなく潤滑性を与える。末端基のこの2つのタイプの相対的濃度は、可塑化ポリマー組成物で必要とされる性質によって決まる。
【0020】
先に言及した通り、本発明のポリエステルのヒドロキシル価は、好ましくは、10mgの水酸化カリウム/gを超えない。
【0021】
本発明の可塑剤の非反応性末端基は、式R3C(O)−およびR4O−(ここで、R3およびR4は先に定義された通りである)で表される。R3は、好ましくは、12から18個の炭素原子を含み、R4は、好ましくは、8から16個の炭素原子を含むアルキルまたはトリル等のフェニルアルキル基である。特に好ましい末端基はパルミチン酸およびヘキサデカノールから誘導される。飽和脂肪酸から誘導される末端基は、ステアリン酸等の追加の潤滑剤ならびにバリウム/亜鉛およびカルシウム/亜鉛ステアレート等の熱安定剤の減少または排除を可能とする優れた潤滑性を与える。
【0022】
(2価アルコール)
本発明の可塑剤を調製するのに適した2価アルコールおよびモノマーのグリコールは、3から6個の炭素原子を含む。好ましい2価アルコールとしては、1,3−および1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオールおよび1,2−プロパンジオールが挙げられるがこれらに限定されない。この選択は、得られる可塑剤と広範囲の有機ポリマーとの相溶性を基準とする。
【0023】
(ジカルボン酸)
本発明の可塑剤を調製するのに適したジカルボン酸は、式HO(O)CR2C(O)OH(ここで、R2は、1から10個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキレン基ならびにフェニレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基である)で表される。好ましくは、R2は直鎖アルキレン基であり、4から6個の炭素原子を含む。アジピン酸は、この酸の入手のし易さおよび得られる可塑剤の性質を基準にして最も好ましいジカルボン酸である。
【0024】
(ポリマー性可塑剤の調製)
本発明のポリマー性可塑剤は、ポリマーを調製するための公知の方法を使用して調製される。一般的に、水和モノブチル酸化錫等のエステル化触媒と一緒の2官能および単官能反応体は、適当な反応器中で一緒にされ、約205から225℃の温度まで加熱される。
【0025】
エステル化反応の副生成物として形成される水は、好ましくは、重合の全体にわたって蒸留によって除去される。重合の進行は、反応混合物によって示される動的粘度、ヒドロキシル価および/または酸価を測定することにより監視することができる。
【0026】
所望の粘度、酸価およびヒドロキシル価が達成された場合にポリエステルは精製される。この手順は、反応混合物を減圧下に置き、未反応モノマーおよび重合反応中に使用されたいずれかの溶媒等の揮発性材料を除去することを含んでもよい。本発明のポリエステルの一般的な値は、98.9℃で測定して75から80センチストークスの動的粘度、10mgのKOH/g未満のヒドロキシル価および1mgのKOH/g未満の酸価である。
【0027】
使用することのできる更なる精製手順としては、濾過および最終反応混合物中の高沸点着色材料と反応する過酸化物を使用する漂白が挙げられるがこれらに限定されない。
【0028】
これらの分子量によって、本発明の可塑剤は、25℃で液体、固体または半固体であることができる。
【0029】
本発明の可塑剤との使用に適したポリマーの例としては、塩化ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマーならびにこれらのエステル、ポリウレタン、エポキシドポリマー、ならびにネオプレンおよびニトリルゴムを含むがこれらに限定されないエラストマーが挙げられるがこれらに限定されない。
【0030】
可塑剤は、一般的に、ポリマー組成物の10から50重量%、好ましくは、15から35重量%を構成する。最適な濃度範囲は、ポリマー組成物の意図される最終使用用途に依存して変化する。この範囲は、本発明の可塑剤のクラスの利益に加えてポリマー組成物の所望の柔らかさを与える。本明細書で使用される「所望の柔らかさ水準」とは、約50から約95、好ましくは、約75から約85のショア硬度を意味する。
【0031】
本発明の可塑剤を含むポリマー組成物により示される性質の望ましい組合せは、ポリマー組成物からのフィルム、押出しプロファイルおよび成型品ならびにその他の成形品の形成ならびに水性および有機溶媒の両方をベースにした染料およびインキを使用して印刷され、適用される装飾材料に対するこれらの製品の受容性を促進する。フィルムは、従来の可塑剤を使用して調製されたフィルムに関して改善された熱安定性を示す。
【0032】
本発明の可塑剤は、表面エネルギーおよびインキに対する、これらの組成物から形成されるフィルムの受容性に悪影響を及ぼすことなく、ポリマー組成物の潤滑性および優れた加工特性を与えるのに特に有用である。
【0033】
本発明の可塑化ポリマー組成物から形成されるフィルムの性質の独特な組合せとしては、高い表面エネルギー、加工性、可塑剤の永続性および増加した湿潤抵抗性が挙げられるがこれらに限定されない。これらの望ましい性質の幾つかは次章および実施例で更に詳細に説明される。フィルムの商業的用途としては、ディーキャル、包装、ラミネート、電気絶縁を含めた種々の用途のためのテープならびに箱およびその他のタイプの輸送箱、缶、タンクおよび水泳プールを含むがこれらに限定されない種々のタイプの金属および非金属容器のための内張りが挙げられるがこれらに限定されない。
【0034】
(表面エネルギー)
本発明の可塑剤、特に単官能アルコールで末端化された可塑剤を含むポリマーから形成されるフィルムおよびその他の成形品は、構造的に関連した可塑剤を使用するフィルムで観察されているよりも高い表面エネルギー値を示す。これらの値は、一般的に、重要な態様では34ダイン/cmより上で、約37から約40ダイン/cmである。高い水準の表面エネルギーは、フィルムおよびその他の成形品の印刷性、特に水性インキでの印刷性を促進する。
【0035】
(加工性)
分子の少なくとも約40パーセントが末端化されたカルボン酸である可塑剤は自己潤滑性であり、これらの可塑剤を含むポリマー組成物において必要とされる一時的潤滑剤の量の減少を可能にする。酸およびアルコール末端単位の両方の存在は潤滑性と高水準の表面エネルギーとの望ましい組合せを与える。この態様では、潤滑剤の水準は、公知の可塑剤を使用する系と比較して約50%まで減少することができる。柔軟なビニル組成物を組成するために使用される公知の潤滑剤および安定剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、モンタンワックスエステル、金属石鹸(ステアリン酸バリウム等の熱安定剤)、アクリル系加工助剤、有機熱安定剤、パラフィン油およびアミドワックスが挙げられる。
【0036】
本発明のポリマー性可塑剤を使用して達成することのできる、ポリマー組成物の加工性におけるその他の改善としては、1)カレンダー(例えば、約345°Fまで増加した温度加工範囲)および押出しのライン速度の増加ならびに2)同じ水準の可塑化を達成するための可塑剤濃度における減少を可能とする増加された可塑剤効率が挙げられるがこれらに限定されない。
【0037】
以下の非限定的実施例は、好ましい可塑剤の調製ならびにこれらの可塑剤によりポリマー組成物およびこの組成物から調製されるフィルムに与えられる性質の独特な組合せを説明する。別途特定されない限り、実施例での全ての部およびパーセンテージは重量当たりであり、特性測定は23℃で実施された。
【実施例1】
【0038】
この実施例は、本発明のポリエステルの調製を説明する。
【0039】
2000mL容量の樹脂ケットルに、機械的撹拌機、加熱手段、反応混合物の表面下に延びた窒素入口、蒸留カラムならびに1)エステル化反応の副生成物として生成される水を除去するための手段および2)反応物、還流液体および蒸気の温度を監視するための手段を装着した。
【0040】
反応器に、329g(3.65モル)の1,3−ブタンジオール、457g(3.13モル)のアジピン酸、214g(0.83モル)のパルミチン酸および、重合触媒として0.21g(0.00101モル)の水和モノブチル酸化錫を投入した。
【0041】
反応器の内容物を120℃まで加熱して固体反応体を溶解し、カラムを90℃の温度まで加熱した。窒素は凡そ70〜100ml/分の速度で反応器中へ導入され、重合反応全体を通してこの速度を維持した。実質的に全ての固体材料が溶解したら、反応混合物の撹拌を300rpmの速度で開始し、反応混合物の温度を、5時間掛けて徐々に210℃まで増加した。
【0042】
ポリエステル化反応の副生成物として除去された水の量を監視した。水の除去中に、カラム温度を、水の除去速度に依存した速度で120℃までゆっくりと増加した。
【0043】
反応混合物の加熱を始めて5時間後に、その後2時間間隔で、反応混合物のサンプルを、酸価の決定のためにシリンジを使用して取り出した。23時間の加熱後に、酸価は6まで減少した。この時点で、ヒドロキシル価および動的粘度の決定のために反応混合物のサンプルを2時間間隔で取り出した。
【0044】
合計32時間の加熱後に、反応のポリエステル化部分は完了したと見なし、この時点で、窒素流量を、約7時間の間、1リットル/分まで増加した。反応混合物の酸価および動的粘度を1時間間隔で測定し、ヒドロキシル価を2時間毎に測定した。この7時間の最後で反応混合物を、過酸化水素の水溶液を使用して漂白し、濾過した。約871gの、87%の収率に等しいポリエステルが得られた。このポリエステルは、25℃で半固体であり、98.9℃(210°F)で78センチストークスの動的粘度、0.8mgのKOH/サンプルのgの酸価、0.08パーセントの水分含有量および70のAPHA色を示した。
【0045】
このポリエステル(以降、ポリエステルIと称す)の重量平均分子量は約3400g/moleであった。
【0046】
2つの市販のポリエステル型可塑剤を比較目的で評価した。これらを、以降、ポリエステルIIcおよびIIIcと称する。
【0047】
ポリエステルIIcは、BASF Chemicals社で製造された市販のポリエステル、Palamoll(登録商標)654であった。このポリエステルは、5200g/moleの重量平均分子量および4mg.KOH/gのヒドロキシル価を示した。
【0048】
ポリエステルIIIcは、Velsicol Chemical Corporationで製造された市販のポリエステル、Admex(登録商標)6985であった。このポリエステルは、7000g/moleの重量平均分子量および15mg.KOH/gを超えるヒドロキシル価を示した。
【実施例2】
【0049】
この実施例は、先の実施例で説明した様に調製した本発明の3つの異なる可塑剤を含むポリマー組成物の加工性およびフィルムの性質における改善を証明する。性質は、本発明の範囲外にある可塑剤を伴う同じポリマーを使用して調製したフィルムで示される性質と比較される。
【0050】
フィルムを、評価対象のサンプルのポリエステルの30、40または50重量部と、懸濁品種のポリ塩化ビニルの100重量部とを、160℃(320°F)の温度で操作する2段ロールミルを使用してブレンドすることにより調製した。ミル時間は8分であった。
【0051】
得られたロールミルシートを、14.06kg/cm2(200psi)の圧力下で10分間ロールミルシートを加圧することにより、0.076から0.1mm(0.003から0.004インチ)の厚さを示すフィルムに転換した。
【0052】
表1に列挙される性質は、次のASTMテスト方法を使用して評価した:
表面エネルギー−ASTM D2578:ポリエチレンおよびポリプロピレンフィルムの湿潤引張りのための標準テスト方法
ロールミルされた柔軟なPVCの調製−ASTM法:D3596
比較モデルプラークの調製−ASTM法:D4703
湿潤条件下でのPVCコンパウンド中の可塑剤の相溶性−ASTM法:D2383−69
PVCコンパウンドのオーブン加熱安定性−ASTM法:D2115−92
トルクレオメーターを使用するPVCコンパウンドの溶融−ASTM法:D2538−95
ショア硬度−ASTM法:D2240
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,000から5,000g/molの重量平均分子量を有し、一般式:−OR1O(O)CR2C(O)−の繰り返し単位を含むポリエステル可塑剤であり、前記ポリエステルの末端単位の少なくとも96パーセントは、R3C(O)−およびR4O−から成る群から選択される一般式を示し、R1は、3から6個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R2は、1から10個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキレン基ならびにフェニレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R3は、1から24個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキル基ならびにフェニル基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R4は、1から24個の炭素原子を含むアルキル基ならびにトリル基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、前記ポリエステルのヒドロキシル価は10mg.KOH/gを超えないことを特徴とする可塑剤。
【請求項2】
1は、−CH2CH(CH3)−、−CH2CH2CH(CH3)−、−CH2CH(CH3)CH2−、−(CH24−および−CH2C(CH32CH2−から成る群から選択され、R2は、4から6個の炭素原子を含むアルキレン基およびフェニレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R3は12から18個の炭素原子を含み、R4は8から16個の炭素原子を含むアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の可塑剤。
【請求項3】
1は4個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は4個の炭素原子を含み、R3は15個の炭素原子を含むことを特徴とする請求項2に記載の可塑剤。
【請求項4】
前記末端単位の部分は前記一般式:R3C(O)−およびR4O−のそれぞれで表されることを特徴とする請求項1に記載の可塑剤。
【請求項5】
1)有機ポリマー、および
2)1,000から5,000g/molの重量平均分子量を有し、一般式:−OR1O(O)CR2C(O)−の繰り返し単位を含むポリエステル可塑剤であり、前記ポリエステルの末端単位の少なくとも96パーセントは、R3C(O)−およびR4O−から成る群から選択される一般式を示し、R1は、3から6個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R2は、1から10個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキレン基ならびにフェニレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R3は、1から24個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキル基ならびにフェニル基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R4は、1から24個の炭素原子を含むアルキル基ならびにトリル基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、前記ポリエステルのヒドロキシル価は10mg.KOH/gを超えない前記可塑剤
を含むことを特徴とする可塑化ポリマー組成物。
【請求項6】
前記ポリマーは、塩化ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマーならびにこれらのエステル、ポリウレタン、エポキシドポリマー、ならびにエラストマーから成る群から選択され、R1は、−CH2CH(CH3)−、−CH2CH2CH(CH3)−、−CH2CH(CH3)CH2−、−(CH24−および−CH2C(CH32CH2−から成る群から選択され、R2は、4から6個の炭素原子を含むアルキレン基およびフェニレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R3は12から18個の炭素原子を含み、R4は8から16個の炭素原子を含むアルキル基であり、前記ポリマーの100重量部当たり10から50重量部の前記可塑剤が存在することを特徴とする請求項5に記載の可塑化ポリマー組成物。
【請求項7】
前記ポリマーの100部当たり15から35重量部の前記可塑剤が存在し、R1は4個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は4個の炭素原子を含み、R3は15個の炭素原子を含むことを特徴とする請求項6に記載の可塑化ポリマー組成物。
【請求項8】
前記末端単位の部分は前記一般式:R3C(O)−およびR4O−のそれぞれで表されることを特徴とする請求項5に記載の可塑化ポリマー組成物。
【請求項9】
1)有機ポリマー、および
2)1,000から5,000の重量平均分子量を有し、一般式:−OR1O(O)CR2C(O)−の繰り返し単位を含むポリエステル可塑剤であり、前記可塑剤の末端単位の少なくとも96パーセントは、R3C(O)−およびR4O−から成る群から選択される一般式を示し、R1は、3から6個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R2は、1から10個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキレン基ならびにフェニレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R3は、1から24個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキル基ならびにフェニル基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R4は、1から24個の炭素原子を含むアルキル基ならびにトリル基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、前記ポリエステルのヒドロキシル価は10mg.KOH/gを超えない前記可塑剤
を含むことを特徴とする、可塑化ポリマー組成物から形成されるカレンダーフィルム。
【請求項10】
34ダイン/cmを超える表面エネルギーを有し、前記ポリマーは、塩化ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマーならびにこれらのエステル、ポリウレタン、エポキシドポリマー、ならびにエラストマーから成る群から選択され、R1は、−CH2CH(CH3)−、−CH2CH2CH(CH3)−、−CH2CH(CH3)CH2−、−(CH24−および−CH2C(CH32CH2−から成る群から選択され、R2は、4から6個の炭素原子を含むアルキレン基およびフェニレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R3は12から18個の炭素原子を含み、R4は8から16個の炭素原子を含み、前記ポリマーの100重量部当たり10から50重量部の前記可塑剤が存在することを特徴とする請求項9に記載のフィルム。
【請求項11】
前記ポリマーの100部当たり15から35重量部の前記可塑剤が存在し、R1は4個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は4個の炭素原子を含み、R3は15個の炭素原子を含むことを特徴とする請求項10に記載のフィルム。
【請求項12】
前記末端単位の部分は前記一般式:R3C(O)−およびR4O−のそれぞれで表されることを特徴とする請求項11に記載のフィルム。
【請求項13】
水性インキを使用して印刷することができ、前記ポリマーの100重量部当たり前記15から35重量部の前記可塑剤が存在することを特徴とする請求項9に記載のフィルム。
【請求項14】
1)有機ポリマー、および
2)1,000から5,000の重量平均分子量を有し、一般式:−OR1O(O)CR2C(O)−の繰り返し単位を含むポリエステル可塑剤であり、前記可塑剤の末端単位の少なくとも96パーセントは、R3C(O)−およびR4O−から成る群から選択される一般式を示し、R1は、3から6個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R2は、1から10個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキレン基ならびにフェニレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R3は、1から24個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキル基ならびにフェニル基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R4は、1から24個の炭素原子を含むアルキル基ならびにトリル基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、前記ポリエステルのヒドロキシル価は10mg.KOH/gを超えない前記可塑剤
を含むことを特徴とするポリマー組成物から形成される成型品。
【請求項15】
34ダイン/cmを超える表面エネルギーを示し、前記ポリマーは、塩化ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマーならびにこれらのエステル、ポリウレタン、エポキシドポリマー、ならびにエラストマーから成る群から選択され、R1は、−CH2CH(CH3)−、−CH2CH2CH(CH3)−、−CH2CH(CH3)CH2−、−(CH24−および−CH2C(CH32CH2−から成る群から選択され、R2は、4から6個の炭素原子を含むアルキレン基およびフェニレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R3は12から18個の炭素原子を含み、R4は16個の炭素原子を含むアルキル基であり、前記有機ポリマーの100重量部当たり10から50重量部の前記可塑剤が存在することを特徴とする請求項14に記載の成型品。
【請求項16】
前記ポリマーの100部当たり15から35重量部の前記可塑剤が存在し、R1は4個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は4個の炭素原子を含み、R3は15個の炭素原子を含むことを特徴とする請求項15に記載の成型品。
【請求項17】
前記末端単位の部分は前記一般式:R3C(O)−およびR4O−のそれぞれで表されることを特徴とする請求項16に記載の成型品。
【請求項18】
1)有機ポリマー、および
2)1,000から5,000の重量平均分子量を有し、一般式:−OR1O(O)CR2C(O)−の繰り返し単位を含むポリエステル可塑剤であり、前記ポリエステルの末端単位の少なくとも96パーセントは、R3C(O)−およびR4O−から成る群から選択される一般式を示し、R1は、3から6個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R2は、1から10個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキレン基ならびにフェニレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R3は、1から24個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキル基またはフェニル基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R4は、1から24個の炭素原子を含むアルキル基およびフェニルアルキル基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基である前記可塑剤
を含むことを特徴とする、ポリマー組成物から形成される押出しプロファイル。
【請求項19】
34ダイン/cmを超える表面エネルギーを示し、前記ポリマーは、塩化ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマーならびにこれらのエステル、ポリウレタン、エポキシドポリマー、ならびにエラストマーから成る群から選択され、R1は、−CH2CH(CH3)−、−CH2CH2CH(CH3)−、−CH2CH(CH3)CH2−、−(CH24−および−CH2C(CH32CH2−から成る群から選択され、R2は、4から6個の炭素原子を含むアルキレン基およびフェニレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R3は12から18個の炭素原子を含み、R4は8から16個の炭素原子を含むアルキル基であり、前記ポリマーの100重量部当たり10から50重量部の前記可塑剤が存在することを特徴とする請求項18に記載のプロファイル。
【請求項20】
前記ポリマーの100部当たり15から35重量部の前記可塑剤が存在し、R1は4個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は4個の炭素原子を含み、R3は15個の炭素原子を含むことを特徴とする請求項19に記載のプロファイル。
【請求項21】
有機ポリマーおよび前記ポリエステル可塑剤から本質的に成ることを特徴とする、プラスチゾルとしての請求項4に記載の可塑化ポリマー組成物。
【請求項22】
100重量部の硬質有機ポリマー、15から50重量部の前記ポリエステル可塑剤および前記ポリマーの非溶媒である5から70部の有機液体から本質的に成ることを特徴とする、オルガノゾルとしての請求項4に記載の可塑化ポリマー組成物。
【請求項23】
有機ポリマーおよびポリエステル可塑剤をブレンドすることを含む可塑化ポリマーの製造方法であり、前記ポリエステル可塑剤は、1,000から5,000g/molの重量平均分子量を有し、一般式:−OR1O(O)CR2C(O)−の繰り返し単位を含み、前記ポリエステルの末端単位の少なくとも96パーセントは、R3C(O)−およびR4O−から成る群から選択される一般式を示し、R1は、3から6個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R2は、1から10個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキレン基ならびにフェニレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R3は、1から24個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキル基ならびにフェニル基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R4は、1から24個の炭素原子を含むアルキル基ならびにトリル基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、前記ポリエステルのヒドロキシル価は10mg.KOH/gを超えないことを特徴とする方法。
【請求項24】
前記ポリマーは、塩化ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマーならびにこれらのエステル、ポリウレタン、エポキシドポリマー、ならびにエラストマーから成る群から選択され、R1は、−CH2CH(CH3)−、−CH2CH2CH(CH3)−、−CH2CH(CH3)CH2−、−(CH24−および−CH2C(CH32CH2−から成る群から選択され、R2は、4から6個の炭素原子を含むアルキレン基およびフェニレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R3は12から18個の炭素原子を含み、R4は8から16個の炭素原子を含むアルキル基であり、前記ポリマーの100重量部当たり10から50重量部の前記可塑剤が存在することを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリマーの100部当たり15から35重量部の前記可塑剤が存在し、R1は4個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は4個の炭素原子を含み、R3は15個の炭素原子を含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記末端単位の部分は前記一般式:R3C(O)−およびR4O−のそれぞれで表されることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項27】
有機ポリマーおよびポリエステル可塑剤をブレンドすることを含むカレンダーフィルムの製造方法であり、前記ポリエステル可塑剤は、1,000から5,000g/molの重量平均分子量を有し、一般式:−OR1O(O)CR2C(O)−の繰り返し単位を含み、前記ポリエステルの末端単位の少なくとも96パーセントは、R3C(O)−およびR4O−から成る群から選択される一般式を示し、R1は、3から6個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R2は、1から10個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキレン基ならびにフェニレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R3は、1から24個の炭素原子を含む直鎖および分枝アルキル基ならびにフェニル基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R4は、1から24個の炭素原子を含むアルキル基ならびにトリル基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、前記ポリエステルのヒドロキシル価は10mg.KOH/gを超えないことを特徴とする方法。
【請求項28】
前記フィルムは34ダイン/cmを超える表面エネルギーを有し、前記ポリマーは、塩化ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸およびメタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマーならびにこれらのエステル、ポリウレタン、エポキシドポリマー、ならびにエラストマーから成る群から選択され、R1は、−CH2CH(CH3)−、−CH2CH2CH(CH3)−、−CH2CH(CH3)CH2−、−(CH24−および−CH2C(CH32CH2−から成る群から選択され、R2は、4から6個の炭素原子を含むアルキレン基およびフェニレン基から成る群から選択される少なくとも1つの置換基であり、R3は12から18個の炭素原子を含み、R4は8から16個の炭素原子を含み、前記ポリマーの100重量部当たり10から50重量部の前記可塑剤が存在することを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリマーの100部当たり15から35重量部の前記可塑剤が存在し、R1は4個の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は4個の炭素原子を含み、R3は15個の炭素原子を含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記末端単位の部分は前記一般式:R3C(O)−およびR4O−のそれぞれで表されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記フィルムは水性インキを使用して印刷することができ、前記ポリマーの100重量部当たり前記15から35重量部の前記可塑剤が存在することを特徴とする請求項27に記載の方法。

【公表番号】特表2010−502819(P2010−502819A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527478(P2009−527478)
【出願日】平成19年8月15日(2007.8.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/076014
【国際公開番号】WO2008/030691
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(509123666)ジェノビック・スペシャルティーズ・ホールディングス・コーポレーション (3)
【Fターム(参考)】