説明

高エネルギー破片およびライフル弾丸に対する保護のためのセラミックを備えるヘルメット

高エネルギー破片およびライフル弾丸に抵抗力を必要とする軍用および他の用途のヘルメットが開示される。かかるヘルメットは、モノリスまたは複数の離散ピースとしてのセラミックと、ポリオレフィンおよb/またはアラミドファイバ層のような複数の繊維層を備える内側バッキング材料との組み合わせによる製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[01]本発明は、軍用、法律順守および他の用途に用いられる保護ヘルメットに関する。より具体的には、本発明のヘルメットは、破片、拳銃の弾丸、およびライフル弾丸を含む高エネルギー発射体に対する保護を提供する。
【背景技術】
【0002】
[02]保護ヘルメットはよく知られている。そのようなヘルメットは、軍用および非軍用に用いられてきた。後者の例は、法律順守の使用、スポーツでの使用、および安全が主たる関心である他の使用を含む。軍用および法律順守の用途の保護ヘルメットは、特に、衝撃抵抗が必要である。
【0003】
[03]典型的なヘルメットは、拳銃の弾丸のような低エネルギーの弾丸から保護のために構成される。たとえば、最近の最もポピュラーな軍用ヘルメットは、アラミドファイバから形成され、典型的には、フェノール樹脂のような樹脂材料とともにアラミドファイバのいくつかの層の形態で形成される。アラミドファイバから形成される代表的なヘルメットは、たとえば、米国特許第4199388号明細書、第4778638号明細書、および第4908877号明細書に開示されている。しかし、ライフル弾丸に対する保護は、ライフル弾丸が保持する有意に増加したエネルギーの観点から、そのようなヘルメットに改良が必要である。ライフル弾丸から保護するヘルメットは、相対的に装着しやすいものである必要がある。保護が望まれるライフル弾丸の例は、NATO M80 ball、AK 47、AK 74、Russian LPS、European SS 109等である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[04]最近用いられる軍用および警察用の衝撃ヘルメットは、低速破片および拳銃の弾丸のような低エネルギー弾丸に好適であり、これらは高エネルギー破片およびライフル弾丸に対する増強した保護を提供しない。前者の例は、手榴弾の破片および他の爆発性装置からの弾丸破片を含む。弾道破片(ライフル弾丸ではない)からの保護のために設計されたヘルメットは、たとえば、2007年2月15日に出願された米国特許出願第11/706719号に説明されている。
【0005】
[05]当業界において、軍人および他の使用者への、高エネルギー破片およびライフル弾丸に対する効果的な保護を提供し、敵の砲火のような人命にかかわる危険および脅威に遭遇するときに、使用者の安全性を高度に増強することができるヘルメットへの需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[06]本発明は、高エネルギー破片およびライフル弾丸へ耐性のあるヘルメットの発見に関連する。より具体的には、セラミックの使用、たとえば、ヘルメットシェルの層内への配置、および随意選択で織地ファイバのような他の層との組み合わせでのセラミックの使用は、必要とされる保護を提供するのを助けることが分かった。有利には、望ましい程度の抵抗性を備えるヘルメットは、商業的に望ましい全体厚さおよび重量で製造することができる。
【0007】
[07]本発明の実施形態は、それゆえ、高エネルギー破片および弾丸に効果的に抵抗し、また、これらの貫通を防止するヘルメットに向けられる。代表的なヘルメットは、外側から内側に、(a)セラミックを有する外側層、および(b)複数の繊維層を有する内側バッキング材料、を有するシェルを含む。より具体的な実施形態によれば、セラミックおよびバッキング材料は、それぞれ、シェルの重量に対して、約30%から約85%、および約10%から約50%の量である。
【0008】
[08]他の特定の実施形態において、セラミックは、モノリシックの形態であり、または、単一の連続部材であり、シェルの湾曲形状に一致する。代替的な実施形態において、セラミックは、複数のセラミックプレートの形態であり、シェルの湾曲形状に一致し、たとえば、プレートは、非平面的とすることができ、ヘルメットシェルの表面が分割される特定のセクターまたは領域の形状に一致するようにすることができる。セラミックプレートの場合、これらは、互いに機械的に嵌合するようにすることができ、または、他の方法で化学的に結合させることができる(たとえば、接着剤またはセメントのような結合剤を使用する)。
【0009】
[09]一般に、内側バッキング材料の繊維層は、樹脂マトリックス内の高テナシティファイバを有する。特定の実施形態によれば、約2から約250の繊維層、およびしばしば約5から約150の繊維層を、バッキング材料内に組み込むことができる。繊維層の代表的な高テナシティファイバは、ポリオレフィンファイバおよびアラミドファイバを有する。異なるタイプのファイバの組み合わせを用いることができる。高テナシティファイバの任意のタイプをネットワーク内に配置することができ、これらは織られ、編まれ、または不織の形態である。代表的な樹脂マトリックスは、熱硬化性および熱可塑性樹脂の両方を有する。熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエルテル樹脂、およびフェノール樹脂を含む。熱可塑性樹脂は、イソプレン−スチレン−イソプレンブロックコポリマー、および熱可塑性ポリウレタンを含む。少なくとも1つの熱硬化性樹脂および少なくとも1つの熱可塑性樹脂を有するハイブリッド樹脂を採用することもできる。
【0010】
[10]他の特定の実施形態によれば、ヘルメットシェルは、追加の層を含むことができ、衝撃吸収層および/または防水材料層などを含み、これらは外側層の外側に配置することができ、たとえば、セラミックを備える外側層よりもヘルメットシェルの外側表面により近い外側層として配置することができる。追加の材料層は、たとえば、ビニルニトリル(たとえばPVCニトリル)、またはビニルアセテートフォームのような独立気泡フォーム(closed cell foam)とすることができる。1つまたはそれ以上の接着層、たとえば第1および第2の接触層を、それぞれ、(i)衝撃吸収材料層とセラミックを含む外側層との間、(ii)この外側層と内側バッキング材料との間に配置することができる。
【0011】
[11]他の特定の実施形態において、シェルは、約0.5lb/ft(2.45kg/m)から約10lb/ft(48.9kg/m)の面積密度、典型的には約3lb/ft(14.7kg/m)から約8lb/ft(39.2kg/m)の面積密度、しばしば、約3lb/ft(14.7kg/m)から約5lb/ft(24.5kg/m)の面積密度を備え、また、少なくとも約1600J(1180ft−lb)のエネルギーを備えるライフル弾丸に抵抗性があり、たとえば、約1600J(1180ft−lb)から約4000J(2950ft−lb)のライフル弾丸に抵抗性がある。
【0012】
[12]本発明のさらなる実施形態は、上述のヘルメットのシェルを形成する方法に関する。本方法は、型(たとえば、型の対合するオスおよびメスのダイセクション)に、セラミックを有する外側層、および複数のファイバ層を有するバッキング材料を提供するステップを有する。一般に、外側層は、内側バッキング材料に対して、メスダイセクションの表面に近接するように対合ダイ型内に配置される。これによりヘルメットシェルは、内側バッキング材料に対して、ヘルメットシェルの外側表面により近いセラミックを有する外側層を備えるように形成される。追加的に、外側層と内側バッキング材料との間に接着層を型に供給することができる。本方法はさらに、外側層、内側バッキング材料、および(使用されるならば)接着層に熱および圧力を付与し、セラミックを内側バッキング材料に結合させ、シェルを形成する。
【0013】
[13]シェルは、それゆえ、セラミック(セラミックモノリス)を有する外側層の内側表面上に内側バッキング材料のファイバ層をスタックし、熱および/または圧力を付与して、バッキング材料を固化または硬化させ外側層に接着させることにより形成することができる。固化または硬化の適切な条件は、対合ダイ型またはオートクレーブ成形プロセスにおいて達成することができる。特定のオートクレーブ固化または硬化技術は、以下でより詳細に説明されるように、外側層およびバッキング材料、随意選択で接着層および他の層、のレイアップの真空バッギングを採用する。オーブンにおける真空バッギング(すなわち、大気圧を超える外部圧力を付与しない)は、固化または硬化のために実行することができる。内側バッキング材料と外側層との間のセメントのような、これらの要素を結合させるための接着層を用いて任意のタイプのプロセスを補助することができる。圧力、真空、および/または加熱を用いないコンタクトセメントのような接着剤の使用もいくつかの場合に十分となり得る。
【0014】
[14]代替実施形態において、型成形技術の組み合わせが用いられる。たとえば、内側バッキング材料は、対合ダイ型において別個に成形することができ、その後、接着層(たとえばコンタクトセメント)を用いて、熱および/または圧力の付与とともにまたは付与せずに、ラミック(たとえば、セラミックモノリスまたは単一部材として)を有する外側層に接着することができる。
【0015】
[15]さらなる実施形態は、これらの方法により準備される成形ヘルメットシェルに関する。
[16]本発明の概念のこれらおよび他の実施形態、および関連する利点は、以下の詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の例示的な実施形態によるヘルメットシェルの代表的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[18]図1に示されるヘルメットシェルの特徴は、必ずしも寸法決めのために描かれているものではなく、本発明および/または含まれる原理を説明するためのものであると理解されたい。本発明による他のヘルメットは、意図する用途および使用される環境により部分的に決定される構成を備えることができる。
【0018】
[19]上述したように、本発明は、高エネルギーの破片および弾丸に抵抗性のある、セラミックを有するヘルメットに関連し、これは、ファイバ補強複合材料の層で裏打ちすることができる。本発明による代表的なヘルメットは、ヘルメットシェルを有し、これは保護されるべき(および使用時に使用者の頭が配置される)内側容積を画定する丸いヘルメット部分のことを言及している。シェルは外側層を有し、これは、内側バッキング材料に対して、ヘルメットシェルの外側表面により近くに配置される層を意味する。逆に言えば、内側バッキング材料は、外側層に対して、ヘルメットシェルの内側容積に面する内側の凹状の表面により近くに配置される。外側層はセラミックを有する。それゆえ、高エネルギー破片または弾丸のヘルメットへ向かう移動方向の観点において(たとえば、敵の戦闘員の方から)、セラミック層を有する外側層は、最初に衝突し、それにバッキング材料が続く。
【0019】
[20]理論に拘束されることなく、本発明のヘルメットの有効性は、外側層におけるセラミックの能力から生じ、ライフル弾丸のような到来する発射体を鈍くし、粉砕し、分解し、および/または逸らす(曲げる)ことで、あるいは他の方法で発射体を破壊および/または不安定にさせることで発射体に抵抗する。内側バッキング材料は、損傷したセラミックのための支持として機能し(たとえば、所定位置に維持することで)、また、発射体を停止させ続ける。この材料は、発射体および破壊されたセラミックの両方からの破断片を捕獲または収集するように機能し、それによりそれらがさらに侵入するのを防止する。
【0020】
[21]ヘルメットシェルは、さらなる層を備えることができ、たとえば、衝撃吸収、防水材料および/または耐火材料の層を、外側層に対してヘルメットシェルの外側表面の外側にまたはより外側に近くに配置することができる。良好な衝撃吸収性、防水性および/または耐火性を提供する好適な代表的な材料は、独立気泡フォーム(closed cell foam)を含み、これは、発泡ビニルニトリル(たとえばPVCニトリル)、発泡ポリエチレン、または発泡EVAとすることができる。衝撃吸収、防水および/または耐火材料の層は、シェルの最外または外側層とすることができる(すなわち、この層は最初に弾丸または他の発射体がぶつかる層となる。)。1つまたはそれ以上のさらなる層を、衝撃吸収、防水および/または耐火材料層と、外側層との間に配置することができる。代替的に、さらなる層は、衝撃吸収、防水および/または耐火材料層の外側に配置することができる。そのようなさらなる層は、たとえば、通常の使用または可能性のある誤使用の時にセラミックを割れから保護する材料を含むことができる。
【0021】
[22]上述の任意の層の間に接着層を配置することができ、隣接する層の適合性/接合性を改良する。たとえば、セラミックを有する外側層と内側バッキング材料との間に接着層を導入することができる。あるいは、上述した衝撃吸収および/または防水材料層と、セラミックを有する外側層との間に、単独で、またはこの接着層を組み合わせて他の層を配置することができる。上述の隣接する任意の機能的な層のペアの間における接着層の使用を考慮することができ、また、複数の接着層の使用を考慮することができる。好適な接借材は、液体、スプレー、またはフィルムの接着剤を含み、エポキシ、ポリウレタン、シリコーン、アクリル樹脂、またはポリアミドを有し、また、嫌気性材料またはシアノアクリレートのような材料を含むことができる。これらの接着材のタイプの各々の1つまたは2成分システムは、商業的に入手できる。接着剤は、室温でまたは熱にさらすことで硬化させることができる。
【0022】
[23]一実施形態によれば、外側層のセラミックは、シェルの全体形状と同一または全体として同一の形状を備える、モノリスまたは単一部材の形態とすることができる。しかし、破片または弾丸の衝突時にセラミックのクラックが離れたセクションに伝播する傾向のため、セラミックモノリスは常に最適とはならず、特に、複数の砲撃を受ける危険のあり得る軍人用または他の使用者にとっては、常に最適というわけではない。
【0023】
[24]他の実施形態によれば、それゆえ、単一または複数の砲撃にからのセラミックの損傷は、複数のセラミックプレートまたはタイル(たとえば、2つ以上、典型的には2から約100、しばしば約5から約50)の使用により良好に閉じ込められ、または局在化させることができ、組み合わせて、ヘルメットシェルの全体の湾曲形状を構成する。それゆえ、プレートまたはタイルは、ヘルメットシェルの全体の様々なサブ領域またはセクターの形状に適合または対応するようにすることができ、プレートまたはタイルのいくつか、全部、または実質的に全部は、シェルの湾曲に良好に一致するのを可能にする非平面形状を備えるようにすることができる。
【0024】
[25]これらのプレートまたはタイルのいくつかまたは全ては、物理的に当接するようにすることができ、たとえば、プレートが機械的に結合され、または、多数のバットジョイントにおいて接着剤(たとえば液体接着材)により接合され、たとえば、プレートの境界の直線に沿って接合される。あるいは、プレートは、いくつかの重なりを備える隣接する境界において機械的に接合または嵌合させることができる(たとえば、パズルのピースのような指部またはあり継ぎのような重なるジョイントを用いる)。バットジョイントまたは他のタイプのジョイントは、機械的に(たとえば、たとえば金属ドエルのような内部補強材により)または化学的に(たとえば、接着剤またはセメントのような接合剤により)補強してもしなくてもよい。
【0025】
[26] それぞれの境界におけるプレートまたはタイルの嵌合は、それゆえ、セラミックモノリスの使用に関して上述したのと同様の手法によりセラミックで、シェルについて完全な範囲を提供することができる。他の実施形態によれば、たとえば、最も衝撃を受けやすい、ヘルメットのクラウンの周りの領域または概ねヘルメットの周縁表面に垂直に向く底部のように、ヘルメットシェルの部分的な範囲のみが望まれることがある。ヘルメットシェルの特定の部分または部分的な覆いは、いくつかの実施形態によれば、多くの用途に望まれる性能に有意な影響を与えることなくヘルメットの全体の重量および/またはコストを低減さすることができる。典型的には、セラミックは、ヘルメットシェルの表面の少なくとも50%、しばしま少なくとも80%の覆いを提供する。
【0026】
[27]本明細書で説明されるセラミックプレートまたはタイル、あるいはセラミックモノリスは、セラミックを有する固体材料の部片、あるいは、単一の固体材料のことを称する。セラミックは、代表的には、無機カーバイド、窒化物、酸化物、ホウ化物、酸化アルミニウム、ボロン、カーバイド、シリコンカーバイド、シリコン窒化物、および、チタン二ホウ化物を含む、頑強な材料である。これらで、アルミニウム酸化物、ボロンカーバイド、シリコンカーバイドがしばしば用いられる。これらの材料は、補強(たとえば内部ファイバで)してもしなくてもよい。弾丸または他の発射体を、鈍くし、破壊し、変形させ、除去し、および/または崩壊させ(曲げ)、または、砕きおよび/または非安定化させる能力を備える固体の非ファイバ材料は、本開示の目的のために考えられるセラミックである。そのような材料は、セラミック充填樹脂、金属ペレット充填樹脂、ガラスビーズ充填樹脂、および類似の複合材料を含む。セラミックプレートまたはセラミックモノリスは、全てのまたは実質的に全てのセラミックを有するものとすることができる。しかし、より一般的には、セラミックプレートまたはセラミックモノリスは、少なくとも約50%重量、典型的には少なくとも約70%重量、およびしばしば少なくとも約85%重量のセラミックを有するものとすることができる。それゆえ、プレートまたはモノリスは、セラミックではないファイバまたは非ファイバと合成することができる。例示的な高セラミック含有複合材は、たとえば米国特許第7140177号明細書に説明されている。
【0027】
[28] セラミックを有するプレートまたはタイルは、ヘルメットシェル全体のサブ領域またはセクターの形状に対応する、平坦な、あるいは非平坦な(たとえば湾曲した)表面を備えることができる。一般に、セラミックプレートまたはタイルの全てまたはいくつか、たとえば少なくとも50%およびしばしば少なくとも85%は、非平坦な形状を備え、特に、ヘルメットシェルのセクションに適合または一致する湾曲形状を備える。プレートまたはタイルの二次元形状(すなわち、非平坦形状を仮想的に平面に圧しつけて平面にとしたと仮定される全体の形状)は、矩形(たとえば正方形)、円形、または長円形、多角形とすることができる。一般に、多角形(たとえば四角形または六角形)のような直線の境界を備える形状は、単純化のために好ましく、また、隙間なく隣接するプレートまたはタイルの境界に整合させるのが容易であり、それゆえ、カバー範囲を最大化する。プレートの幅または厚さ、または上述のようなモノリス形態内のセラミックの幅または厚さは、一般に、約2mm(0.079インチ)から約12mm(0.47インチ)の範囲であり、典型的には約3mm(0.12インチ)から約10mm(0.39インチ)の範囲であり、しばしば約4mm(0.16インチ)から約6mm(0.24インチ)の範囲である。モノリスまたは複数のプレートとしてのセラミックは、一般に、この範囲の十分な均一の厚さを備えるであろう。しかし、上述のヘルメットの垂直に向いた周縁表面のような、重大な領域においてより大きな幅を提供することが具体的な実施形態に望まれることがある。これは、これらの領域においてセラミックモノリスまたはプレートの幅を増加させることで達成することができ、または、これらの領域において、均一であるがより大きなセラミックプレートを使用することで達成することができる。
【0028】
[29]本発明によれば、ヘルメットシェルは、異なる衝撃材料を有する層から形成され、セラミックを有する外側層、およびファイバ層を有する内側バッキング材料(または複数の材料)を含む。内側バッキング材料は、外側層に対してヘルメットシェルの内側に向かって配置される。内側バッキング材料のファイバ層は、本稿で説明されるような多数の任意のタイプのファイバまたは組み合わせ材料を有するものとすることができる。たとえば、織材料の混合物、不織材料の混合物、織地または不織材料の両方の組み合わせを用いることができる。
【0029】
[30]本発明の目的のために、ファイバは、細長い材料であり、その長さ寸法は、横断方向の幅および厚さの寸法よりも非常に大きい。したがって、ファイバとの語は、規則的または不規則な断面を備える、モノフィラメント、マルチフィランメント、リボン、ストリップ、ステープル、および他の切断、切り離し形態、または不連続のファイバ等を含む。「ファイバ」との語は、複数の上述の任意のものおよびそれらの組み合わせを含む。より糸は、多くのファイバまたはフィラメントを備える連続ストランドである。
【0030】
[31]本稿で使用される、「高テナシティファイバ」との語は、約7g/d以上のテナシティを備えるファイバを意味する。好ましくは、これらのファイバは、少なくとも約150g/dの初期引張係数を備え、ASTM D2256で測定して少なくとも約8J/g
の破断エネルギーを備える。本稿で使用される、「初期引張係数」、「引張係数」、および「係数」との語は、より糸に関してASTM 2256で測定された弾性の係数を意味し、エラストマまたはマトリックス材料に関してASTM D638で測定したものを意味する。好ましくは、高テナシティファイバは、約10g/d以上のテナシティを備え、より好ましくは、約15g/d以上のテナシティを備え、より好ましくは、約20g/d以上であり、最も好ましくは約30g/d以上のテナシティ備える。高テナシティポリエチレンファイバに関して、好ましいテナシティ範囲は、約20g/gから約55g/dである。好ましくは、複数の繊維層内における少なくとも約50%重量、より好ましくは少なくとも約75%重量のファイバが高テナシティファイバである。最も好ましくは、複数の繊維層におけるファイバの全てまたは実質的に全ては高テナシティファイバである。
【0031】
[32]本発明で有効なファイバの断面は広範囲なものとすることができる。これらは、円形、平坦、長方形の断面とすることができる。また、これらは、フィラメントの線形または長手方向軸から規則的または不規則な1つ以上の突出部を備える、規則的または不規則な複数突出断面とすることができる。ファイバは実質的に円形、平坦、長方形の断面であることが好ましく、最も好ましくは、ファイバは実質的に円形の断面である。
【0032】
[33]ここで用いられる高テナシティファイバのようなファイバのより糸は、任意の好適なデニールとすることができ、たとえば、約50から5000デニール、より好ましくは約200から約5000デニール、さらに好ましくは約650から3000デニールであり、もっとも好ましくは約800から約1500デニールである。
【0033】
[34] ポリオレフィンファイバまたはアラミドファイバのような高テナシティファイバは、内側バッキング材料の繊維層において使用できるものとして代表的なものである。ポリオレフィンファイバは、好ましくは、高テナシティポリエチレンファイバおよび/または高テナシティポリプロピレンファイバである。最も好ましくは、ポリオレフィンファイバは、高テナシティポリエチレンファイバであり、伸びきり鎖ポリエチレンファイバまたは、高配向高分子量ポリエチレンファイバとして知られている。ここで有用であるポリオレフィンファイバおよびアラミドファイバは公知であり、また、優れた衝撃抵抗の特性を備える。
【0034】
[35]米国特許第4457985号明細書は、高分子量ポリエチレンファイバおよびポリプロピレンファイバについて議論しており、この特許の開示は、参照により本明細書と矛盾しない範囲において組み込まれる。ポリエチレンファイバの場合、好適なファイバは、少なくとも150,000の平均分子量であり、好ましくは少なくとも約百万、より好ましくは約二百万から五百万の間である。そのような高分子量ポリエチレンファイバは、溶液中で紡ぐことができ(米国特許第5137394号明細書、米国特許第4356138号明細書を参照)、または、ゲル構造を形成するために溶液からの延伸フィラメントとすることができ(米国特許第4413110号明細書、独国特許第3004699号明細書、英国特許第2051667号明細書を参照)、あるいは、ポリエチレンファイバは、ローリングプロセスまたは引き延ばしプロセス(米国特許第5702657号明細書を参照)により製造することができる。本明細書において、ポリエチレンとの語は、100主鎖炭素原子当たりに約5修正単位を超えない少量の側鎖またはコモノマーを含む、線形ポリエチレン材料が支配的なものであり、また、alkene-1-polymerのような約50重量パーセントを超えない1つ以上の重合体付加物を含んでもよく、特に低密度ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリブチレンにおいて、また、主要なモノマーとしてモノオレフィンを含むコポリマー、酸化ポリオレフィン、グラフトポリオレフィンコポリマーおよびポリオキシメチレン、または、一般に用いられる抗酸化剤、潤滑剤、紫外スクリーニング剤、着色料等のような低分子量付加物を含んでもよい。
【0035】
[36]高テナシティポリエチレンファイバは、SPECTRA(登録商標)ファイバの商標で、米国ニュージャージー州モリスタウンのハネウェルインターナショナル社より商業的に入手可能である。他の供給者からのポリエチレンファイバも利用可能である。
【0036】
[37]形成技術に依存して、延伸率および温度、および他の条件、様々な特性をこれらのファイバに与えることができる。ポリエチレンファイバのテナシティは、少なくとも7g/d、好ましくは少なくとも15g/d、より好ましくは少なくとも30g/d、さらに好ましくは少なくとも35g/d、最も好ましくは少なくとも45g/dである。同様に、ファイバの初期引張弾性係数は、Instron引張試験機により測定して、好ましくは少なくとも約300g/d、より好ましくは少なくとも約500g/d。さらに好ましくは少なくとも約1000g/d、最も好ましくは少なくとも約1800g/dである。初期引張弾性係数およびテナシティのこれらの最も高い値は、一般に、溶液成長またはゲルスピニングプロセスを最小することで得ることができる。フィラメントの多くは、形成される基のポリマーの融点よりも高い融点を備える。したがって、たとえば、約150,000、約百万および約二百万の分子量の高分子量ポリエチレンは、バルクで138℃(280°F)の融点を備える。これらの材料から形成される高配向ポリエチレンフィラメントは、約7℃(13°F)から約13℃(23°F)高い融点を備える。したがって、わずかな融点の上昇は、バルクポリマーと比べて、結晶の完全性、および、フィラメントの高い結晶配向を反映している。
【0037】
[38]同様に、少なくとも約200,000、好ましくは少なくとも約百万、より好ましくは少なくとも二百万の平均分子量の高テナシティ高分子量プリプロピレンファイバを用いることができる。そのような伸びきり鎖ポリプロピレンは、合理的によく配向するフィラメントに形成でき、上述の様々な文献に説明されている技術により、特に米国特許4413110号明細書に説明されている技術により形成することができる。ポリプロピレンは、ポリエチレンよりもより低結晶性の材料であり、また、ペンダントメチル基を含むので、ポリプロピレンで達成できるテナシティ値は、一般に、ポリエチレンのテナシティ値よりも実質的に低い。したがって、好適なテナシティは、好ましくは、少なくとも8g/d、より好ましくは少なくとも約11g/dである。ポリプロピレンの初期引張弾性係数は、好ましくは少なくとも約160g/d、より好ましくは少なくとも約200g/dである。ポリプロピレンの融点は、一般に、配向プロセスにより数度上昇し、ポリプロピレンフィラメントは、好ましくは少なくとも168℃(334°F)の融点、より好ましくは少なくとも170℃(338°F)の融点を備える。上述のパラメータの特に好ましい範囲は、最終製品における改良された性能を有利に提供することができる。好ましい範囲の上述のパラメータ(引張弾性係数およびテナシティ)を備える少なくとも約200,000の平均分子量を備えるファイバを採用することで、最終製品に有利な改良された性能を提供することができる。
【0038】
[39]アラミドファイバの場合、芳香族ポリアミドから形成される好適なファイバが米国特許3671542号明細書に説明されており、本特許文献は、参照により本明細書と矛盾しない範囲において本稿に組み込まれる。好ましいアラミドファイバは、少なくとも約20g/dのテナシティを備え、少なくとも約400g/dの初期引張弾性係数を備え、少なくとも約8J/gのエネルギー破断を備え、特に好ましいアラミドファイバは、少なくとも約20g/dのテナシティ、少なくとも約20J/gのエネルギー破断を備える。最も好ましいアラミドファイバは、少なくとも約28g/dのテナシティ、少なくとも約1000g/dの引張弾性係数、および少なくとも30J/gのエネルギー破断を備える。たとえば、中間的な高引張弾性係数およびテナシティ値を備えるpoly(p-phenylene terephtalamide)フィラメントは、衝撃耐性複合材を形成するのに特に有用である。例として、DuPont社のKevlar(登録商標)29 、Kevlar 129、およびKM2、および帝人社のTwaron(登録商標)ファイバタイプ1000および2000、Korean Kolon-Heracronファイバ、およびRusar、Artec、Armos、およびSVMのような多数のRussianファイバであり、これらは約1250g/d、32g/dの初期引張係数およびテナシティを備える。他の例は、Kevlar129およびKM2であり、これらは、デュポン社から400、640、840デニールにおいて入手でき、また帝人社からTwaron T2000を1000デニールで入手できる。本発明において他の製造者からのアラミドファイバを使用することもできる。o-poly(p-phenylene terephtalamide 3,4’ oxydiphenylene terephtalamide)のような、poly(p-phenylene terephtalamide)のコポリマーを使用してもよい。また、本発明の実施てにおいて有利なものとして、デュポン社からNomex(登録商標)の商標で市販されているpoly(m-phenylene isophthalamide)ファイバがある。本発明において、様々な供給者からのアラミドファイバを用いることができる。
【0039】
[40]内側バッキング材料の繊維層におけるファイバの大部分、または、これらのファイバの重量の実質的に全てまたは全ての重量のために、高テナシティファイバではない、グラスファイバまたは他のタイプのファイバも可能である。グラスファイバは、タイプEおよびSのファイバを含む。編まれたファイバグラスの例は、styles 1528, 3731,3733,7500,7532,7533,7580,7624,7628,7645であり、これらは米国サウスカロライナ州のHexcel if Andersonから入手できる。ファイバーグラスを用いる利点は(たとえば、ファイバグラスプレプレッグの使用により)、ファイバグラスは、ポリオレフィン織地のような他のタイプの織地よりも低コストであるので、ヘルメットのコストを低くすることができることである。
【0040】
[41]用いられるファイバのタイプに関わらず、内側バッキング層の繊維層内のファイバのネットワークは、好ましくは、織地、ニット、または非織地(指向性なく重ねられたファイバ、または、ランダムに配向したフェルト状のファイバ)の形態であり、非織地のものが典型的には用いられる。任意の織パターンの織地を採用することができ、プレーン織(plain weave)、バスケット織(basket weave)、あや織(twill)、しゅす織(satin)、三次元織地、およびこれらの任意の変形形態を採用することができる。プレーン織地が好ましく、ワープとウェルとが等しい数のプレーン織地がより好ましい。
【0041】
[42]一実施形態において、ファブリックは、ワープおよびフィルの両方の方向において、好ましくは1cm当たり約5.9から約21.6の端部(1インチあたり約15から約55端部)の間であり、より好ましくは、1cm当たり約6.7から約17.7の端部(1インチ当たり約17から約45端部)である。織り糸は、好ましくは、約375から約1300デニールを備える。結果物は、好ましくは約150g/mから約700g/m(約5オンス/ヤードから約19オンス/ヤード)の重量の織地であり、より好ましくは、約169.5g/mから約373.0g/m(約5オンス/ヤードから約11オンス/ヤード)である。そのようなファブリックの例は、SPECTRA(登録商標)のスタイル902,903,904,952,955,960などである。他の例は、バスケット織りから形成されるファブリック、SPECTRA(登録商標)ファブリックのスタイル912を含む。アラミドファブリックの例は、Kevlar(登録商標)ファブリックのスタイル704,705,706,708,710,713,720,745,755およびTwaron(登録商標)ファブリックのスタイル5704,5716,5931などである。上述のファブリックは、たとえば、米国サウスカロライナ州のHexcel of Anderson社から入手できる。本稿で説明されるファブリックの構成は単なる例示であり本発明を限定することを意図していないことが、当業者には分かるであろう。
【0042】
[43]上述したように、ファブリックは、ニットファブリックの形態とすることができる。ニット構造は、相互メッシュループの構造であり、4つの主タイプであるトリコット、ラッシェル、ネット、および配向構造がある。ループ構造の性質により、前3つのカテゴリーのニットは、必ずしも、ファイバの強度の利点の全てを用いていない。しかし、配向ニット構造は、微細デニールニットスティッチにより所定位置に保持されるまっすぐなはめ込まれた糸を用いる。糸は、糸への織り交ぜによる織地に見られるクリンプ効果を除いて、完全に真っすぐである。糸におけるこれらのレイド(laid)は、工業要求に応じて単一方向、二方向、複数方向に配向させることができる。ロードベアリング糸において編むのに用いられる特定のニット装置は、糸を貫通しないものであることが好ましい。
【0043】
[44]代替的に、複数の繊維層のファブリック(たとえば高テナシティポリエチレンファイバ)は、指向性なく配向した繊維の重なりのような非織地の形態とすることができ、あるいは、ランダムに配向したフェルト状のファイバとすることができる。指向性なく配向されるファイバが用いられる場合、好ましくは、これらは、クロスプライ構成(cross-ply arrangement)で用いられ、この構成において、ファイバの1つの層がある方向に延び、ファイバの第2の層が第1ファイバから90°の方向に延びる。個別のパイルは、指向性なく配向したファイバであり、連続するパイルは、好ましくは、互いに回転され、たとえば、0°/90°,0°/90°/0°/90°,または0°/45°/90°/45°/0°、あるいは他の角度とすることができる。ファイバのネットワークは、フェルトの形態であり、これらはニードルパンチフェルトとすることができる。フェルトは、ランダム配向ファイバの非織ネットワークであり、好ましくは、こららの少なくとも1つは不連続ファイバであり、好ましくは、約0.64cm(0.25インチ)から約25cm(10インチ)の範囲の長さを備えるステープルファイバである。これらのフェルトは、当業界で小売りのいくつかの技術により形成することができ、たとえば、カーディング、フルード、メルトブローイング、スピンなどである。ファイバのネットワークは、ニードルパンチ、スティッチドンディング、ハイドロエンタングルメント、エアエンタングルメント、スピンボンド、スピンレースなどにより機械的に固められ、また、接着剤などにより化学的に固められ、あるいは、ポイントボンドまたは低融点の混合ファイバで熱的に固められる。好ましい固め方法は、ニードルパンチ単独、または、その後に他の方法を用いることである。好ましいフェルトはニードルパンチフェルトである。織地にニードルパンチされたフェルトを使用することもできる。
【0044】
[45]繊維層は、樹脂マトリックス内のファイバ(たとえば、高テナシティポリエチレンファイバまたは高テナシティアラミドファイバ)を有する。ファイバのパイルのための樹脂マトリックスは、所望の特性を備える広範囲のエラストマ材料および他の材料から形成することができる。一実施形態において、そのようなマトリックスに用いられるエラストマ材料は、ASTM D638で測定して約6000psi(41.4MPa)以下の初期引張弾性係数(弾性係数)を備える。より好ましくは、エラストマは、約2400psi(16.5MPa)以下の初期引張弾性係数を備える。最も好ましくは、エラストマ材料は、約1200psi(8.23MPa)以下の初期引張弾性係数を備える。これらの樹脂材料は、典型的には、熱可塑性であるが、熱硬化性材料を用いることも有効である。
【0045】
[46]樹脂マトリックスは、硬化したとき高テンシル係数を備えるように選択することができ、たとえば、ASTM D68で測定して少なくとも約1×106psi(6895MPa)である。そのような材料の例は、たとえば、米国特許第6642159号明細書に開示されている。この特許文献の開示は、矛盾しない範囲において参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0046】
[47]繊維層における樹脂マトリックス材料のファイバに対する割合は、最終用途に応じて広範囲のものとすることができる。樹脂マトリックス材料は、内側バッキング材料のファイバおよび樹脂マトリックスの総重量に対して、好ましくは重量で約0パーセント(すなわち樹脂無)から約98パーセントとすることができ、より好ましくは重量で約5から95パーセントとすることができ、さらに好ましくは重量で約10から約40パーセントすることができ、最も好ましくは重量で約15から25パーセントとすることができる。上述のパーセンテージは、固化ファブリックに基づいている。
【0047】
[48]広範囲の樹脂は、樹脂マトリックスにおいて使用され、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ブレンド樹脂、およびハイブリッド樹脂を含む。たとえば、任意の以下の材料を採用することができる。たとえば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、エチレン−プロピレンコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー、ポリサルファイドポリマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリウレタンエラストマ、クロロスルホネートポリエチレン、ポリクロロプレン、ジオクチルフタラートまたは当業界でよく知られている他の可塑化剤を使用する可塑化ポリビニルクロライド、ブタジエンアクリルニトリルエラストマー、ポリ(イソブチレン−コ−イソプレン)、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリエーテル、フルオロエラストマ、シリコーンエラストマ、熱可塑性エラストマ、エチレンのコポリマなどである。熱硬化性樹脂の例は、メチルエチルケトン、アセトン、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサン、エチルアセトン、およびこれらの組み合わせのようなカーボン−カーボン飽和溶媒に溶解するものを含む。熱硬化性樹脂は、ビニルエルテル、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー、ジアリルフタラート、フェノールホルムアルデヒドのようなフェノール樹脂、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、これらの混合物等である。米国特許6642159号明細書に開示される樹脂なども含まれる。好ましい熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、およびこれらの混合物を含む。ポリエチレンファイバファブリックのための好ましい熱硬化性樹脂は、ビニルエステル、ジアリルフタラート、および随意選択でビニルエステル樹脂を硬化するための触媒の少なくとも1つを含む。
【0048】
[49]樹脂の好ましいグループの1つは熱可塑性ポリウレタン樹脂である。樹脂マトリックスのためのエラストマ材料の好ましいグループは、共役ジエンのブロックコポリマー、およびビニル芳香族コポリマーを含む。ブタジエンおよびイソプレンは、好ましい共役ジエンエラストマである、スチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレンは好ましい共役芳香族モノマーである。ポリイソプレンを含むブロックコポリマーは、飽和炭化水素エラストマセグメントを備える熱可塑性エラストマを生成するために水素化することができる。ポリマーは、タイプR-(BA)x(x=3-150)のトリ−ブロックコポリマーとすることができ、ここで、Aはポリビニル芳香族モノマーからのブロックであり、Bは共役ジエンエラストマからのブロックである。好ましい樹脂マトリックスは、Kraton Polymer LLC.から入手できるKraton(登録商標)D1107イソプレン−スチレン−イソプレンブロックコポリマーのようなイソプレン−スチレン−イソプレンブロックコポリマーである。他のここで有用な樹脂マトリックスは、水中ポリウレタン樹脂のコポリマー混合物のような、熱可塑性ポリウレタンである。
【0049】
[50]樹脂材料は、カーボンブロック、シリカ等のようなフィラー材と混合することができ、また、オイルで延ばし、また、硫黄、過酸化物、金属酸化物、または、ゴム技術においてよく知られた方法を用いる放射硬化システムにより加硫することができる。異なる樹脂のブレンドを用いることもできる。
【0050】
[51]好ましくは、複数の繊維層の各々は、成形前に樹脂マトリックスでコートまたは浸漬され、プレプレッグファブリックを形成する。一般に、本発明の繊維層は、好ましくは、最初に(織りファブリック層で始める)ファイバネットワークを構築し、その後このネットワークをマトリックス組成物でコーティングすることにより形成される。ここで使用される、「コーティング」との語は、ファイバネットワークを説明するために広い意味で用いられており、ここで、個別のファイバが、ファイバを囲むマトリックス組成物の連続層またはファイバの表面上のマトリックス組成物の不連続層を備える。前者の場合、ファイバが、マトリックス組成物中に完全に埋め込まれるといえる。コーティングおよび浸漬との語は、ここでは相互交換可能に用いられている。成形時に樹脂のない繊維層に樹脂を適用することが可能であるが、樹脂コーティングの均一性を制御するのが困難となり得るのでこれはあまり望ましくない。
【0051】
[52]マトリックス樹脂組成物は、繊維層上へ、溶液、分散、またはエマルジョンのような任意の好適な方法で適用することができる。その後、マトリックスコートファイバネットワークを乾燥させる。マトリックス樹脂の溶液、分散、またはエマルジョンは、フィラメント上に噴霧することができる。代替的に、繊維層構造は、浸漬またはローラーコーター等の手段で水性溶液、分散、またはエマルジョンでコートすることができる。コーティングの後、コートされた繊維層は、乾燥のためにオーブンに通されコートされたファイバネットワーク層は、マトリックス組成物中の水または他の液体を蒸発させるのに十分な熱にさらされる。コートされた繊維ネットワークは、紙またはフィルム基板のようなキャリアウェブ上に配置され、あるいは、マトリックス樹脂でのコーティングの前にファブリックは最初にキャリアウェブに配置される。基板およびファブリック層を含む樹脂マトリックスは、公知の方法で連続ロールに巻き上げることができる。
【0052】
[53]ファイバネットワークは、様々な方法を介して構築することができる。指向性のないファイバネットワークの場合、高テナシティフィラメントの糸の束は、マトリックス樹脂でコーティングする前に、クリール(creel)から提供され、ガイドおよび1つ以上のスプレッダバーを通して導かれてコリメート櫛に至る。コリメート櫛は、フィラメントを同一平面になるように、また実質的に方向性がないように整合させる。
【0053】
[54]樹脂マトリックスでファブリック層をコーティングすることに続いて、層は、好ましくは、プレプレッグを形成するために公知の方法で固化される。「固化」とは、マトリックス材料およびファイバネットワーク層が単一の1つの層になることを意味している。固化は、乾燥、冷却、加熱、加圧、またはこれらの組み合わせを通じて生じさせることができる。
【0054】
[55]内側バッキング材料の繊維層の数は、所望のヘルメットのタイプ、所望の性能、および所望の重量に応じて広範囲のものとすることができる。たとえば、層の数は、約2から約250の層とすることができ、より好ましくは約5から約150の層とすることができ、最も好ましくは約10から約100の層とすることができる。層は、任意の好適な厚さとすることができる。たとえば、複数の繊維層の各層は、約25μmから約1016μm(約1ミルから約40ミル)、より好ましくは約76μmから約762μm(約3ミルから約30ミル)、最も好ましくは約127μmから約508μm(約5ミルから約20ミル)の厚さを備えることができる。複数の繊維層の各層の厚さは、同一でも異なる厚さでもよい。
【0055】
[56]同様に、内側バッキング材料の複数の繊維層の各層の重量は、広範囲のものとすることができるが、通常は、ヘルメットの全体の重量が装着者への快適さおよび保護性の両者の許容範囲内になるように選択される。たとえば、各層の重量は、約5から200グラム、より好ましくは約10から約100グラム、最も好ましくは約20から約75グラムの範囲とすることができる。同様に、複数の繊維層の各層の面積密度は広範囲のものとすることができるが、通常は、重量、快適さ、保護性の品質の望ましい配合を得るように選択される。たとえば、角層の面積密度は、約33.9g/mから約3051g/m(約1oz/yd2から約90oz/yd2)、約169.5g/mから約2203.5g/m(約5oz/yd2から約65oz/yd2)、より好ましくは約169.5g/mから約847.5g/m(約5oz/yd2から約25oz/yd2)の範囲とすることができる。内側バッキング材料の繊維層の各々の厚さおよび面積密度は同一でも異なってもよい。
【0056】
[57]セラミックを有する外側層と内側バッキング材料の重量比は、所望により変更することができる。外側のセラミック含有層は、ヘルメットシェルの全重量に対して、重量で約20%から約90%、より好ましくは重量で約30%から約85%、最も好ましくは重量で約45%から約70%の範囲とすることができる。それに対応して、内側バッキング材料は、ヘルメットシェルの全重量に対して、重量で約5%から約80%、より好ましくは重量で約10%から約50%、最も好ましくは重量で約35%から約45%の範囲とすることができる。
【0057】
[58]シェルの総面積密度は、同様に、意図する用途に応じて広範囲のものとすることができる。しかし、典型的には、シェルの面積密度は、約48.9kg/m2(10lb/ft2)より小さく、約14.7kg/m(3lb/ft2)から約48.9kg/m(10lb/ft2)の範囲とすることができる。好ましくは、ヘルメットシェルの総面積密度は、約14.7kg/m(3lb/ft2)から約24.4kg/m(5lb/ft2)。
【0058】
[59] 軍事用途に広く採用されてきた米国軍のいくつかのヘルメットは、PASGT(Personnel Armor System for Ground Troops)、MICH(Mission Integrated Combat Helmet)、ACH(Advanced Combat Helmet)、およびECH(Enhanced Combat Helmet)の頭文字で知られている。好ましいヘルメットの形状は国による変わり得る。たとえば、ヨーロッパ、アジア、南アメリカの国々では、異なる好ましい形状となる傾向にある。望ましくは、そのような中間のヘルメットは、約750グラムから約1500グラムの範囲の重量であり、より好ましくは約800グラムから約1100グラムの範囲の重量である。
【0059】
[60]本発明のヘルメットシェルを形成するために、外側層のセラミック(モノリスまたは複数ピースまたはタイル)は、内側バッキング材料の繊維層の2つまたはそれ以上のタイプのプレプレッグとともに、型に付与される。たとえば、セラミックを有する外側層を適当な型に供給した後、内側バッキング材料(たとえば、ポリオレフィンまたはアラミドファイバを有する)の、樹脂マトリックス内の所望の数の個別の繊維層が型に内側バッキング材料を形成するための所定位置に配置される。型は任意の望ましいタイプのものとすることができ、たとえば、対向するオス及びメスが対合するダイセクションを備える対合ダイ型とすることができ、セラミックを有する外側層は、最初に対合ダイセクションのメス部材に接触するように配置され、それに内側バッキング材料の繊維層が続く。配置の順序は、所望の、ヘルメットシェルコンポーネントの相対的位置に応じで変更することができる。望ましくは、樹脂マトリックスの樹脂は、型に配置したときに非粘着性であるものが選択される。これにより、個別の層が、型を完全に満たし所望のヘルメット形状を形成するために、互いにスライドすることができるようになる。個別の層の樹脂は、一般に層間の必要とされる結合を提供するので、個別の繊維層の間に接着剤は必要とされない。しかし、所望であれば、1つまたは複数の別の接着剤層を用いてもよい。
【0060】
[61]適切な向きで、ヘルメットシェルコンポーネントの全て位置を型で完全に均一に満たすことに注意すべきである。これは、ヘルメットシェルの全体について均一な性能を確保する。組み合わされたコンポーネントの容積が、ヘルメット型が処理できるものより大きい場合、型を閉鎖できず、それゆえヘルメットを型成形することができなくなる。組み合わされた容積が型の容積よりも小さい場合、型を閉鎖することはできるが成形圧力の欠乏により材料が成形されないことになる。
【0061】
[62]型が所望の量のセラミック、所望の数およびタイプの繊維層、および内側材料層の樹脂マトリックス、および随意選択の他のコンポーネントで適切に充填されると、ヘルメットシェルは所望の条件下で型成形することができる。代表的な成形温度範囲は、約65℃(149°F)から約250℃(482°F)、より好ましくは約90℃(194°F)から約330℃(626°F)、最も好ましくは約120℃(248°F)から約320℃(608°F)とすることができる。クランプ成形圧力は、たとえば、約10.2メートルトンから約1020メートルトン(約10トンから約1000トン)、好ましくは約50.8メートルトンから約356メートルトン(約50トンから約350トン)、最も好ましくは約102メートルトンから約306メートルトン(約100トンから約300トン)とすることができる。成形時間の範囲は、約5分から60分、より好ましくは約10分から約35分、最も好ましくは約15分から約25分とすることができる。
【0062】
[63]望ましい成形条件下で、繊維ネットワークに存在する樹脂は、熱可塑性樹脂により固化し、また、熱硬化性樹脂の場合は硬化される。これにより、個別の層および層のグループが望ましいヘルメットシェルが一体物、モノリシック成型品のように強い結合を生じさせる。ファブリックの各セットの熱硬化性樹脂は、樹脂のクロスリンクにより界面において結合されると考えられる。熱可塑性樹脂の場合、ヘルメットは樹脂の軟化温度よりも下に冷却され、型から引き出される。熱および圧力下で、熱可塑性樹脂は繊維層の間を流れ、一体的なモノリシック成型品を与える。冷却の間、成形圧力は維持される。成形品は、その後、型から取り出され、必要であれば一部が切り取られる。
【0063】
[64]代替成形プロセスにおいて、セラミックを有する外側層、バッキング材料の繊維層、補助的に上述した接着剤および/または他の材料層のレイアップは、オートクレーブにおいて実行することができる。熱および/または圧力は、オートクレーブ成形に付随することができ、代表的な温度範囲はダイ成形について上述した通りであり、代表的な絶対圧力は、典型的には約5bar(73psi)から約30bar(435psi)である。たとえば、ヘリウムまたは窒素のような1つ以上の不活性ガスを用いる加圧は、一般により高い密度を促進する。1気圧の追加の外部加圧は、層の真空バッギングにより提供することができる。この技術を用いて、通常、バッグ内の真空圧力を調整するためのブリードオフアセンブリ、および、ツール表面のレイアップの接合を防止するためのクロスまたはコーティングの解放が採用される。外部圧力の使用、随意選択による真空バッギングの組み合わせは、多数の有利な機能を提供することができ、表面の不完全性を緩和する柔軟性、揮発性物質の除去、層間にトラップされた空気の除去、繊維束の間の効率的な力伝達のための繊維層の小型化、硬化または固化の間の繊維配向のシフトの防止、および/または湿気の除去を含む。
【0064】
[65]それゆえ、代表的なオートクレーブ成形プロセスにおいて、バッキング材料の繊維層は、まず、セラミックを有する外側層内に位置決めされ、これは、ヘルメットシェルの形状を備えるモノリスの形態とすることができる。繊維層の注意深いアセンブリは、層間の重なりを最小化するのを助けることができる。セラミックおよびバッキング材料は、真空バッグ内に配置され、レイアップを取り囲む環境は、部分的にまたはほぼ完全に排気される。十分な真空が形成されバッグ内で維持されると、真空ポンプから脱接続され、上述したように固化または硬化のためにオートクレーブに移される。セラミックが複数のプレートまたはタイルの形態である場合に、同様の技術を使用することができ、上述したように、これらは機械的および/または化学的(たとえば接着材で)に結合される。
【0065】
[66]本稿で説明するヘルメットシェルの他の形成方法によれば、セラミックを有する外側シェルを内側バッキング材料に結合するのに高温度だけを用いることができる(たとえばオーブン)。外部圧力の1気圧とともに熱を提供するために真空バッギングとともにオーブン加熱を使用することができる。あるいは、外部加熱とともにまたはそれ無しで、コンタクトセメントのような接着剤は、ヘルメットシェルの形成のための十分な接合を提供し得る。方法の組み合わせを使用することもできる。たとえば、代表的な方法において、バッキング材料の繊維層は、最初に、上述した対合ダイ型において固化または硬化することができる。このバッキング材料はこの段階でヘルメットシェルの形状を備えており、このバッキング材料は、外部表面を接着層でコーティングすることができ、その後、内側バッキング材料とセラミックを有する外側層の組立てが続く。レイアップは、オーブンでの熱の付与の前に、またはオートクレーブでの熱および追加の圧力の付与の前に、上述のように真空バッグに移され、固化または硬化させる(たとえば熱硬化性樹脂マトリックス)。
【0066】
[67]内側バッキング材料の個別の繊維層に用いられるファブリックは、一般に、比較的薄いが非常に強い。個別の層の好ましい暑さは、約25μmから約911μm(約1ミルから約36ミル)であり、より好ましくは約127μmから約711μm(約5ミルから約28ミル)であり、最も好ましくは約254μmから約584μm(約10ミルから約23ミル)である。
【0067】
[68]上述しように、本明細書で説明するヘルメットのシェルは、高エネルギーの破片およびライフルのような弾丸に抵抗し、または貫通を防止する。そのような破片および弾丸は非常に高エネルギーのレベルを備える。本発明のヘルメットは、破片および弾丸の貫通を防止することができ、少なくとも約1600J(1180ft-lb)、より好ましくは約1600J(1180ft-lb)から約4000ジュール(2950ft-lb)、最も好ましくは約1700ジュール(1250ft-lb)から約3000ジュール(2200ft-lb)のエネルギーレベルを備える破片および弾丸による貫通を防止することができる。したがって、本発明の側面は、商業的に実行可能な全体のヘルメットの厚さおよび重量を用いてこのレベルの貫通抵抗を提供するために、ヘルメットにセラミックを採用することができることの発見に関する。たとえば、モノリス形態または複数ピースの形態で採用される、効率的な保護を提供することができるセラミックを備えるヘルメットは、セラミックの厚さが上述したように、約4mm(0.16インチ)から約6mm(0.24インチ)の範囲とすることができる。全体のヘルメットの厚さは、有利には、約18mm(0.71インチ)より小さく(たとえば、約6mm(0.24インチ)から約18mm(0.71インチ)の範囲)、通常は約14mm(0.55インチ)より小さく(たとえば、約8mm(0.31インチ)から約14mm(0.55インチ)の範囲)、しばしば約12mmより小さい(たとえば約10mm(0.39インチ)から約12mm(0.47インチ)の範囲)。ヘルメットシェルの全体の面積密度は、有利には、約8lb/ft2(39.2kg/m)より小さく(たとえば、上述したように、約3lb/ft2(14.7kg/m)から約8lb/ft2(39.2kg/m)の範囲)、しばしば、約5lb/ft2(24.5kg/m)より小さい(たとえば、上述したように、約3lb/ft2(14.7kg/m)から約5lb/ft2(24.5kg/m)の範囲)。
【0068】
[69]以下は、様々な弾丸およびそのエネルギーレベルのリストであり、銃口で測定した速度とエネルギーとともに示す。ライフル弾丸は拳銃の弾丸よりもかなり高いエネルギーを備え、これらはヘルメットの貫通を防止するのがより困難であることが見て取れる。
【0069】
【表1】

【0070】
[70]上述したヘルメットシェルを有するヘルメット構造は、所望により様々な取付物を受け入れるように構成することができる。たとえば、ヘルメットは、所望の装置の取り付けを容易にする溝部またはビルトインチャネルを備えるように形成することができる。
【0071】
[71]代表的なヘルメットシェルが図1に図示されており。この実施形態に示されるように、ヘルメットシェル100は、6つの材料を有する。内側層2および外側層12は衝撃吸収材料層(たとえば独立気泡フォーム)とすることができ、または、湿気抵抗および/または耐火性のような他の保護機能を単独または衝撃抵抗と組み合わせて備える材料の層とすることができる。セラミック(モノリスとしてまたは多数の離散プレートの形態)を有する外側層8は、複数の繊維層を有する内側バッキング材料4よりもヘルメットシェルの外側の近くに配置される。接着層6、10は、内側バッキング材料4と外側層8との間、および外側層8と外側層12との間に示されている。
【0072】
[72]本発明の側面は、セラミックを含む外側層と繊維層を有する内側バッキング材料とを有する、高エネルギーの破片および弾丸に抵抗する備えるヘルメットに関連する。本開示から知識を得た当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、これらのヘルメットおよびその製造方法における様々な変更を認識するであろう。本明細書で説明される主題は、それゆえ本発明およびその利点の代表的なものであり、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を制限するものではない。
【0073】
[73]以下の例は、本発明の代表例の説明である。これらの例は、本発明の範囲を制限するものではなく、これらおよび他の均等な実施形態は、本開示および添付の特許請求の範囲から明らかである。
【実施例1】
【0074】
[74]ヘルメットシェルは、中間サイズの7.87mm(0.310インチ)の壁厚さのACHヘルメット形状の部品を成形するように設計された、対合金属ダイ型を用いて成形された。Spectra Shield II SR-3124材料の層が、1.6メートル(63インチ)の幅広ロールから切断された。ピン−ホイールパターンが用いられた。各ピン−ホイールパターンは、オス型を完全に覆うように設計された。ピン−ホイールの全28層が底なしバケットにおいて予備成形され、また、同時に、型の加熱が開始された。型が125±5℃(257±9°F)の温度に到達したら、型解放のコートが型のオスおよびメス部分に適用された。Spectra Shield II SR-3124の予備形成層は、その後、型に移動された。型への移送中に折り目またはしわが予備フォーム上に形成されないように注意がむけられた。190トンゲージ圧が20分間付与された。冷却サイクルの間、成形圧力は取り除かれなかった。型が約35℃(77°F)まで冷却されたら、型は開放されて形成シェルが取り出された。
【0075】
[75]成形後24時間において、成形されたヘルメットは、接着剤フィルムでコートされ、成形されたヘルメットシェルの外側形状に一致する、モノリシックACH形状のセラミックヘルメットシェルの内側に配置された。接着層を備えるセラミックおよび予備成形ヘルメットシェルは、一方側にだけ開口を備えるオートクレーブバッグ内に移動された。最後に、開放側はシールされ、移動式の真空ポンプを用いてバッグの内側を真空引きした。真空ポンプを停止したら、完全に真空引きが達成されたことを確認し、バッグをオートクレーブに移動させた。オートクレーブのドアは閉鎖され、10bar(145psi)の成形圧力がバッグに付与された。圧力の付与の直後、オートクレーブ加熱が開始され、125±5℃(257±9°F)の温度に到達するようにされた。この温度は、接着材が完全に硬化するように45分間維持された。45分後、冷却サイクルが開始された。オートクレーブの温度が35℃(77°F)を示したら、圧力が開放され、オートクレーブのドアが開放された。バッキング材料を備えるセラミックヘルメットを含むバッグが引き出された。ヘルメットは取り除かれ、試験前に少なくとも24時間の調整のために衝撃実験室に移動された。
【0076】
試験プロトコル
[76] 約12mm(0.47インチ)の全厚さを備えるヘルメットを、2つの耳セクションからヘルメットを固定具に保持するようにクランプした後、M−855NATO弾丸重量62グレーンを用いて、MIL−STD662Fに従って試験が行われた。セラミックを有するヘルメットの4つの等しい四分円(前、後ろ、2つの側部)に、4つの弾丸が発射された。弾丸の速度は、達成される2X2(2つの弾丸が貫通し、2つの弾丸がヘルメット上で停止した)に変化し、重量5.05lbsのACHセラミック含有ヘルメット上で、毎秒905メートルのA V50(2968フィート毎秒)が達成された。
【実施例2】
【0077】
[77] 実施例1で説明したのと類似の方法で他のセラミックヘルメットが製造され、AK47弾丸に対して試験が行われた。重量5.36lbsの中間ACHセラミック含有ヘルメット上で614メートル毎秒のV50が達成された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高エネルギー破片および弾丸に抵抗力のあるヘルメットであって、前記ヘルメットは、シェルを含みし、前記シェルは外側から内側に向かって、
(a)セラミックを有する外側層と、
(b)複数の繊維層を有する内側バッキング材料と、
を有する、ヘルメット。
【請求項2】
請求項1に記載のヘルメットであって、前記セラミックは、前記シェルの湾曲形状に適合するモノリスの形態である、ヘルメット。
【請求項3】
請求項1に記載のヘルメットであって、前記セラミックは、前記シェルの湾曲形状に適合する複数のセラミックプレートの形態である、ヘルメット。
【請求項4】
請求項3に記載のヘルメットであって、前記セラミックプレートの少なくとも一部は、互いに機械的に嵌合され、または化学的に接合される、ヘルメット。
【請求項5】
請求項3または4に記載のヘルメットであって、前記セラミックプレートのいくつかまたは全ては、非平坦な形状を備える、ヘルメット。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のヘルメットであって、前記セラミックは、約2mm(0.079インチ)から約12mm(0.47インチ)の厚さを備える、ヘルメット。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のヘルメットであって、前記セラミックは、補強されたまたは補強されていないアルミニウム酸化物、ボロンカーバイド、シリコンカーバイド、シリコン窒化物、およびチタン二ホウ化物からなるグループから選択される複合材を有する、ヘルメット。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のヘルメットであって、前記ファイバ層は、樹脂マトリックス内の高テナシティファイバを有する、ヘルメット。
【請求項9】
高エネルギーの破片および弾丸に抵抗力のあるヘルメットのためのシェルを形成する方法であって、前記方法は、
(a)セラミックを有する外側層と、複数の繊維層を有する内側バッキング材料と、接着材層とを型に供給するステップを有し、前記接着材層は、前記外側層と前記内側バッキング材料との間に配置され、
(b)前記方法はさらに、前記外側層、前記内側バッキング材料、および前記接着材に熱および圧力を与え、前記セラミックを前記内側バッキング材料に接合して前記シェルを形成するステップ、を有する方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法により準備された成形ヘルメットシェル。

【図1】
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【公表番号】特表2013−508666(P2013−508666A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535253(P2012−535253)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/052772
【国際公開番号】WO2011/049819
【国際公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】