高ピークパワー光の生成のためのシステムにおけるブラッグファイバ
本発明は、高パルスエネルギーの超短光パルスの生成のためのチャーピングパルス増幅システムにおけるブラッグ光ファイバの使用に関する。気体コアブラッグ光ファイバ導波路(202)は、パルスが増幅されるように、パルスの持続時間を伸長するようにそのようなシステムで有利に用いられることができ、及び/又は、ブラッグファイバは、光信号が増幅された後に光信号をかなり短いパルスに圧縮するように用いられることができ、ブラッグファイバはまた、増幅器部分において略ゼロ分散の遅延線として機能する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高エネルギーの超短光パルスの生成に関し、特に、超短パルスレーザシステムにおいてそれらの超短光パルスを伸長又は圧縮するためのブラッグファイバの使用に関する。ブラッグファイバはまた、光増幅器の遅延線において及び光の高ピークパワーパルスの供給のために用いられることが可能である。
【背景技術】
【0002】
超短レーザ技術は知られて、用いられるようになってから20年以上経つ。化学者及び物理学者は、分子振動、化学反応、電荷移動過程及び分子構造変化のような極めて高速な物理過程を測定するために超高速レーザを開発した。それらの過程全ては、10−15sec乃至10−12secの時間スケールで起こる。キャリア緩和及び熱化、波束発展、電子−正孔散乱及び無数の他の過程はまた、信じられない程高速の時間スケールで起こる。
【0003】
超高速で超短の光パルスを用いる光科学は、過去10年間に亘って、著しく進展している。一般に、“超短”とは、定義が変わって、約10psecより短い持続時間の光パルスのことをいい、この定義は、ここでも用いている。他の技術と共に実施するにはまた、不可能である又は実際的でない多くの超短パルスのアプリケーションが開発されてきた。超短パルスを用いて、研究者は、原子、分子、プラズマ及び固体物理における多くの高非線形過程を研究し、従来探求されていない物質の状態を探求している。例えば、2.7nm程度の波長のコヒーレントな超短パルスが高調波アップコンバージョンにより生成された。
【0004】
超短パルス(USP)レーザの多くのアプリケーションは、各々のパルスが瞬間的に与える非常に高いピークパワーを利用する。レーザからの平均パワーはかなり適度であり、パルスにおける全エネルギーは小さいことが可能であるが、各々のパルスの極端に短い持続時間は非常に大きい略瞬間的なピークのパワーを生じる。それらのパルスが非常に小さいスポットにフォーカシングされるとき、その光パワーは多くの物質を除去するには十分であり、USPレーザをマイクロマシニング、孔開け及び切断のための有用なツールにしている。必要に応じて、物質除去の精度は、パルス強度を注意深く設定することにより、ビーム焦点の精度をさえ上回ることができ、それ故、そのビームの最も明るい部分のみが物質除去閾値以上になる。その物質除去閾値は、物質を除去するために必要なエネルギー密度の量又はフルエンス(fluence)であり、しばしば、1J/cm2のオーダーである。かなり大きいエネルギー密度を有する光パルスは、一般に、“高エネルギー”であるとみなされ、ここでは、この定義を用いる。
【0005】
USPレーザによるアブレーションは、超短光パルスにより表面に堆積されるエネルギーの殆どが機械加工された面から除去される物質と共に取り除かれるため、長い持続時間のパルスアブレーション技術とは異なり、その過程は早過ぎて、熱は周りの照射されない物質の方に拡散せず、それ故、スムーズで適切な物質の除去を確実にする。殆どの物質について、約10psecより小さい持続時間を有する光パルスは、パルスエネルギーが物質のアブレーション閾値を上回るときに、この非熱アブレーションができる。約10psecより長い持続時間を有するパルスはまた、パルスエネルギーがアブレーション閾値より大きい場合に、物質を除去することが可能であるが、周りの非照射領域に対する熱的損傷が起こり得る。
【0006】
複数の研究者は、ダイヤモンド、チタンカーバイド及び歯のエナメル質のような複数の物質を適切に機械加工することによる非熱アブレーション技術について示した。1つの興味深い実証においては、USPレーザが爆薬により安全にスライスするように用いられた。これは、焦点において、温度が上昇することなく及び爆発することなく、物質が周りの物質を蒸発させるために可能である。側副組織の損傷が最小化されるために、超短パルスが特に効果的である外科手術におけるアプリケーションがまた、たくさん存在する。例えば、Lawrence Livermore National laboratoryの研究者は、隣接する神経組織を損傷することなく、脊柱への骨の侵入を除去するように超短パルスを用いた。複数の眼科の研究者は、USPレーザが、標準的なナイフに基づく技術より角膜からスムーズなフラップを切除し、切除される形及び場所をより適切に制御することができることを示した。本発明の目的に対して、ここで用いる用語“アブレーション”とは、他に明確に示さない場合は、上記の、USPレーザレーザにより可能である非熱アブレーションをいう。
【0007】
略全ての高ピークパワーUSPレーザシステムは、短い持続時間の高強度パルスを生成するようにチャーピングパルス振幅(CPA)技術を用いる。光CPAは、レーザのためのマイクロ波のアプリケーションで用いられる上記CPA技術からの推定として、1980年代にMourou等により提案された。チャーピングパルス振幅は、光増幅器に対して損傷をもたらすレベル以下にパルスのピークパワーを保ちながら、短いパルスのエネルギーを増加させるように用いられる。この技術においては、パルスの持続時間は、波長の関数として時間的に分散される(“チャーピング”と呼ばれる過程)ことにより増加され、それ故、パルスが有する全体的なパワーを維持しながらパルスのピークパワーを減少させる。チャーピングされたパルスは、その場合、増幅され、それ故、かなり再短縮された持続時間に再圧縮される。
【0008】
時間の経過と共にパルスを長くすることにより、全体のパルスは光振幅器の利得媒体により効率的に増幅されることができる一方、チャーピングされたパルスのピークパワーレベルは光増幅器の損傷閾値以下に維持される。信号が伸長されることができればできる程、ピークパワーは小さくなり、低ピークパワー増幅器か又は半導体光増幅器のような高効率増幅器のどちらかの使用を可能にする。CPA技術は、高記憶エネルギー密度を有する固体光利得媒体の効率的な使用のために特に有用であり、短持続時間の非チャーピングパルスのフル増幅は、パルスのピークパワーが増幅器物質の損傷閾値以上であるために、可能ではない。超短パルスを生成する技術については、例えば、文献Femtosecond Laser Pulses(Springer−Verlag,New York,1988, Rulliere,C.(ed.))に記載されている。
【0009】
典型的なCPAシステムについては、図1に示され、そのシステムは次のように機能する。超短光パルスは、モードロックレーザ発振器又は“シードソース”101を使用することにより低パルスエネルギー(典型的には、1nJ以下)で生成される。それらのパルスは、標準的なシリカ系光ファイバ又は回折格子構成と同程度に簡単である、波長分散システム又は“伸長器”102によりチャーピングされる。その分散システムは、パルスを時間的に伸長し、例えば、1psecの持続時間から約1nsec(10−9sec)に振幅を数オーダーだけ、又は振幅の3オーダー(1000倍)だけその持続時間を増加させる。このことは、同じ倍数だけ、この例においては、3オーダーの大きさだけパルスピークパワーを減少し、それ故、パルスに有される全パワーは略一定に維持される。次に、伸長されたパルスは、パルスのエネルギーを増加させるように、光振幅器103の1つ又はそれ以上のステージにより増幅される。増幅後、伸長されたパルスは、パルス圧縮器により略オリジナルの入力パルスと同じ持続時間を有するパルスに圧縮される。最終的に、超短高エネルギーパルスは、ある供給機構105により好ましい場所に供給される。単一パルスの処理のグラフ式表現が、図1の要素間に(スケーリングされずに)示されている。
【0010】
典型的には、その圧縮は、プリズム及び格子の対又はそれらの組み合わせを有するバルク光学要素により行われる。増幅されたチャーピングパルスのパルス圧縮技術についてはかなり研究されてきていて、例えば、Tournoisによる米国特許第5,822,097号明細書に記載されている回折格子圧縮器を参照されたい。パルス圧縮についてはまた、標準的な光ファイバにおいて研究され、ファイバにおける非線形光干渉について、‘ソリトン圧縮’を生成するように研究されている。そのソリトン技術は、パルススペクトルを広くし、パルス持続時間を短くする光ファイバの非線形性に依存する。ソリトン圧縮は、典型的には、持続時間において数ピコ秒のオーダーのパルスをサブピコ秒の持続時間に圧縮するように用いられ、それらのパルスのエネルギーは、典型的には、光ファイバにおける圧縮について数百nJより十分に小さい。
【0011】
超高速システムについての当該技術分野における現在の状態は、USPレーザ技術の多くの研究上の応用についての技術的及び性能的必要性を満たすには十分である。しかしながら、UPS技術が主流として受け入れられるようにしないUPSレーザ技術の応用の商品化に関連する複数の実際の問題点が存在する。
【0012】
例えば、標準的なシリカ系光ファイバにおいて、圧縮された高エネルギーパルスの高ピークパワーは、パルスを歪め、一般に、パルス再圧縮を回避する自己位相変調及びシミュレートされたラマン散乱のような光ファイバにおける非線形光学効果を向上させる。(ラマン散乱は、入力光の一部の波長をシフトさせ、それにより、そのエネルギーをオリジナルの信号から分離する。)自己位相変調を有するカー効果の非線形性は、パルススペクトルの分裂、自己フォーカシング及び光ファイバの壊滅的な故障をもたらす可能性がある。光ファイバにおける非線形効果を低減する一方法は、光ファイバにおけるピークパワーを減少させるように伝播モードの効果的な領域を増加するようにするが、この技術は、数μJのみの最大エネルギーを有するパルスを生成することに限定されている。図3aは、標準的な大きいコアのシリカ系光ファイバにおける非線形性によるパルスの劣化の例を示している。
【0013】
光信号を伸長するように標準的なシリカ系光ファイバを用いる場合、他の問題点がある。光ファイバについての標準的な分散は、1550nmにおいて17psec/nm/kmのオーダーである(光ファイバの1km当たりの及び波長のnm当たりの遅延又は時間的伸長(ピコ秒))。上記の例における伸長の大きさの3オーダーを得るためには、数10kmの光ファイバが必要である。このために、多くの場合、商用アプリケーションは、実際のUSPレーザ源の不足のために見送られてきた。コストパフォーマンスが高く、ロバストで、コンパクトな適切に実装されたターンキーUSPレーザシステムについての要請が存在している。
【0014】
b.ブラッグファイバ
ブラッグファイバについては、1970年代から研究され、例えば、文献“Theory of Bragg fiber”、by Yeh,Yariv & Marom,Journal of Optical America 68(9),pp.1196(June 1978)に記載されているが、それらが研究の主題になった1990年代後半までしか行われなかった。例えば、“Dispersion Tailoring And Compensation By Modal Interactins In Omniguide Fibers”,by Engeness、Ibanescu、Johnson、Weisberg、Skorobogatiy、Jacobs and Fink,Optics Express 11(10),pp.1175−1196(19 May 2003)及び“Guiding Optical Light In Air Using An All−Dielectric Structure”,by Fink,Ripin,Fan,Chen,Joannopoulos & Thomas,J of Lightwave Technology 17(11),pp.2039−2041(November 1999)を参照されたい。ブラッグファイバはまた、Omniguideファイバとして知られていて、1つのメーカーが製造している。多くの研究者が、ブラッグファイバは固有の非常に小さい光損失を有するとして予測されるため、長距離ファイバ光通信システムにおけるリンクとして用いるブラッグファイバについて研究している。
【0015】
典型的なブラッグファイバは、各々のリングが区別可能な屈折率を有する気体又は液体で満たされた内側コアの周りの少なくとも2つの実質的に環状のリングを有する。異なる屈折率のそのような実質的に環状のリングの対は、通常、“バイレイヤ”と呼ばれる。一部の変形においては、リングは、高コントラストの屈折率の材料の交互の層、例えば、高誘電率材料及び低誘電率材料の交互層から構成される。ファイバ中心からの放射状の光線は、ブラッグミラーとしても知られている、平面状誘電体積層リフレクタとして機能する構造に衝突し、そのブラッグミラーは、所定の波長範囲内の光を効果的に反射することができる。更なるリング、例えば、7つ又は9つのバイレイヤを有することは導波路の反射特性を改善し、損失を低減することは一般に良好であると考えられている。
【0016】
図2aは、例示としてのブラッグファイバ導波路200の断面構造の模式図である。ブラッグファイバ200は、通常、一部の実施形態においてバイレイヤを交互に構成する、異なる屈折率を有する同心円状の実質的に環状のリング201により囲まれた、空気又は他のガスのような低誘電率物質の及び屈折率を有する導波路軸上にあるコアを有する。典型的には、しばしば、ポリマー物質から成る外側の保護層202が備えられている。
【0017】
近年、Fink等のような研究者は、好ましい分散特性を有するブラッグファイバを形成するためにデザインツール及び製造処理を開発し、それらのデザインツール及び製造処理は、例えば、長距離電気通信信号を送信中に不所望の分散を補償するように又は非常に小さいバラツキを与えるように、光通信システムにおけるバラツキ管理のためにブラッグファイバが用いられることを可能にする。Finkの研究に基づくそのような開発に関する特許文献には、Fink等による米国特許第6,603,911号明細書、Weisberg等による米国特許第6,728,439号明細書、Ahmad等による米国特許第6,788,864号明細書及びJohnson等による米国特許公開出願第2002/0176676号明細書がある。
【0018】
Fink又は他の研究者は、光が非常に低い光損失及び低非線形性を有する光ファイバ中を伝播することができることを示し、モデル化の結果は、それらのファイバの分散は、数オーダーの大きさに亘る範囲に対して調節されることができることが示されている。ファイバのコアの周りのリングコアの構成及び数に依存して、非常に高い分散パラメータが、1つ又はそれ以上の環状リングにおいて“欠陥”又は“収差”を、例えば、周期的な環状リング分布に不規則なリング厚さを導入することにより、そのようなファイバにおいて得られることが可能である。図2bは、不規則な厚さのリング204が導入された例示としてのブラッグファイバ導波路203の断面構造の模式図である。不規則なリング204は、特定の周波数領域に亘ってファイバの中心モードに結合する共振モードを生成する。この結合が起こる周波数の近傍の周波数においては、大きい分散が存在し、その大きい分散は、厚さ、屈折率、不規則なリング204の径方向位置を制御することにより調節されることが可能である。
【特許文献1】米国特許第6,728,439号明細書
【特許文献2】米国特許第6,788,864号明細書
【特許文献3】米国特許公開出願第2002/0176676号明細書
【非特許文献1】Femtosecond Laser Pulses(Springer−Verlag,New York,1988, Rulliere,C.(ed.))
【非特許文献2】“Theory of Bragg fiber”、by Yeh,Yariv & Marom,Journal of Optical America 68(9),pp.1196(June 1978)
【非特許文献3】“Dispersion Tailoring And Compensation By Modal Interactins In Omniguide Fibers”,by Engeness、Ibanescu、Johnson、Weisberg、Skorobogatiy、Jacobs and Fink,Optics Express 11(10),pp.1175−1196(19 May 2003)
【非特許文献4】“Guiding Optical Light In Air Using An All−Dielectric Structure”,by Fink,Ripin,Fan,Chen,Joannopoulos & Thomas,J of Lightwave Technology 17(11),pp.2039−2041(November 1999)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0019】
略ゼロ分散又は不所望の分散の補償が目的であった、過去のブラッグファイバの使用と異なり、本発明は、高ピークパワーを有する超短パルスを得るように光パルスの伸長、増幅及び圧縮のステージにおけるUSPレーザシステムにおいてブラッグファイバを用いる。ブラッグファイバは、非常に大きい分散、10000psec/nm/kmより大きい分散をも伴って製造されることが可能であり、そのことは、例えば、1psec乃至1nsec又はそれ以上の範囲内のパルス伸長、又は1nsecから1psec又はそれ以下の範囲内のパルス圧縮のために用いられることが可能である。
【0020】
一実施形態においては、本発明は、超短高エネルギー光パルスを生成する段階と、チャーピングされた光信号を増幅する段階と、光信号を超短持続時間光パルスに圧縮する段階とを有する方法であって、光信号を生成する段階及び光信号を圧縮する段階のうちの少なくとも一は、光信号をブラッグファイバ導波路に導く段階を有し、その導波路は、光信号が実質的に限定された内部コア領域と、内部コア領域を囲む異なる屈折率の複数の同心円状の環状領域とを有する。
【0021】
それ故、増幅する前に光信号を伸長(チャーピング)するように光信号をブラッグファイバ導波路に導く段階、それを圧縮するように増幅され、チャーピングされた信号を導く段階、又はそれら両方を行う段階は全て、本発明の範囲内にある。
【0022】
一部の実施形態においては、同心円状の実質的に環状の領域は、低屈折率に対する高屈折率の交互の屈折率又はその逆を有することが可能であり、それ故、ブラッグファイバ導波路は、10psec/nm/kmより大きい分散を有する。内部コアは気体、例えば、環境の空気で満たされることが可能であり、そのことは、光学窓を透過するパルスを伴わない高エネルギーパルスの線形圧縮を可能にする。実質的に環状の領域の使用は、非環状の微細構造の領域とは対照的、導波路の簡便な製造を可能にするが、環状領域としての役割を果たす微細構造領域がまた、製造されることが可能である。
【0023】
本発明はまた、表面に超短高エネルギー光パルスを供給する方法であって、チャーピングされた光信号を生成する段階と、チャーピングされた光信号を増幅する段階と、光信号を超短持続時間光パルスに圧縮する段階と、超短光パルスをブラッグファイバ導波路と用いて作用表面に供給する段階であって、その導波路は、光信号が実質的に限定される内部コア領域、及び内側コア領域を取り囲む異なる屈折率の複数の同心円状の環状領域を有する、段階と、を有する方法を提供する。
【0024】
本発明の他の実施形態においては、回折光学要素(DOE)、屈折とは対照的な、光の回折の特徴を用いて光ビームの、振幅、位相及び/又は偏光を変える光学要素、又は副波長格子(SWG)、特定の種類のDOEは、ブラッグファイバ導波路に又はブラッグファイバ導波路から光を伝送するように用いられることが可能である。そのようなDOEは、従来のバルク光学系又はシリカ系ファイバからブラッグファイバ導波路に出力される偏光及び出射モードを調節するように用いられることが可能であり、又は、回折光学系は、適切な出射のためのブラッグファイバ導波路から他のシステムの副構成要素への出力を整形するように用いられることが可能である。
【0025】
それ故、ブラッグファイバ導波路は高エネルギーUSPレーザシステムで用いられることが可能であり、そのブラッグファイバ導波路はパルスを伸長するように一の種類の非常に大きい分散とパルスを圧縮するように他の種類の非常に大きい分散とを有するようにデザインされている。高分散のブラッグファイバ導波路を用いることは、光信号がブラッグファイバ導波路の比較的短い長さを用いて伸長及び圧縮されることを可能にし、それ故、従来のシリカ系ファイバの長い長さ又は大きい光学格子の必然性を回避し、極めてコンパクトな高エネルギーUSPレーザシステムが構築されることを可能にする。
【0026】
本発明の他の実施形態においては、USPレーザシステムに実質的に分散のない時間遅延を備える方法は、チャーピングされた光信号を生成する段階と、実質的に分散のないブラッグファイバ導波路を有する光学ループによりチャーピングされた光信号を再生するように増幅する段階であって、その導波路は、光信号が実質的に限定されている内部コア領域と、内側コア領域を取り囲む異なる屈折率の複数の同心円状の環状領域とを有する、段階と、光信号を超短持続時間光パルスに圧縮する段階と、を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、従来技術に比べて、比較的短いファイバの長さにおける光パルスの伸長、増幅及び圧縮を達成するように非常に高い分散性のブラッグファイバを用いる。光ファイバ増幅器技術は、近年、顕著に改善されてきていて、標準的なシリカ系光ファイバによるチャーピングは一般的である一方、上記のように、光ファイバにおける実際の圧縮における目的は分かり難い。必要なファイバの量を減少させ、気体のファイバコアにおいて信号を主に伝播させることにより、本発明は、コンパクトなUSPレーザシステムを可能にする。
【0028】
上記のように、圧縮された高エネルギーパルスの高ピークパワーは、自己位相変調及びシミュレートされたラマン散乱のような標準的なシリカ系光ファイバにおける非線形光学効果を向上させ、パルスを変形させ、パルスの再圧縮を回避する。それらの光学的非線形性はまた、パルススペクトルのブレークアップ、自己フォーカシング及び破滅的なファイバの故障をもたらす可能性がある。非常に高い分散を有するが、中空のコアにおける光信号の損失が極めて小さく、非線形相互作用が非常に小さいブラッグファイバを構成することができる。この種類のファイバを用いることにより、圧縮を達成するために必要なファイバの長さを、それ故、パルスがファイバ材料と有する相互作用の長さを減少することができ、更に、非線形光学効果を低減することができる。
【0029】
一実施形態においては、本発明は、交互の屈折率を有する物質の複数の実質的に同心円状の環状領域により囲まれている空気又は気体のコアを有するブラッグファイバ導波路を用いる。上記のように、複数のバイレイヤ、例えば、7つ又は9つを用いることにより、構造が薄膜の積層物として機能し、コア内で光を反射する範囲を増加させる。
【0030】
屈折率が単純に交互に変わらないように環状領域に“欠陥”又は不規則性を導入することにより、それらのファイバの分散は、数オーダーの大きさに亘る範囲に対して調節されることができる。この特徴は、固体物理学において”アンチクロシング“と呼ばれる現象を利用し、CPAシステムにおけるパルス伸長及び圧縮についての概念であるブラッグファイバにおける高分散及び低非線形性を与えるように用いられる。不規則なリングは、特定の周波数範囲に亘ってファイバの中心モードに結合する共振モードを生成することができる。この結合が起こる周波数に近い周波数においては、大きい分散が存在する可能性がある。その不規則性は、環状領域の一の厚さの変化であることが可能であり、又は管状領域の一の屈折率の変化であることが可能である。Fick等は、欠陥の深さ、即ち、構造における欠陥の一、欠陥のサイズ及び構造における全体的な散乱の全てはファイバの分散の特徴に影響することを示した。10000sec/nm/kmの範囲における分散特徴が可能である。
【0031】
一実施形態においては、本発明は、信号を伸長するために従来のシリカ系ファイバに代えてブラッグファイバ導波路を用い、及び/又は従来の構成要素に代えて信号を圧縮することにより、超短高エネルギー光パルスを生成する方法を提供する。その方法はまた、図4a乃至4cに示すように、従来のCPA処理に従う。超短低エネルギー光パルスは生成され、次いで、伸長され又はチャーピングされ、チャーピングされた光信号は、次いで、増幅され、次いで、超短持続時間の光パルスに圧縮される。本発明の範囲内に入るように、少なくとも光パルスの伸長か光信号の増幅されたものを圧縮することのどちらかが、ブラッグファイバ導波路に光信号を導くことにより達成され、両方の段階は、必要に応じて、ブラッグファイバ導波路により行われることが可能である。図4aは、そのようなシステムにおける伸長器としてブラッグファイバ401を用いることを示し、図4bは、圧縮器としてブラッグファイバ402を用いている一方、図4cは、伸長器及び圧縮器のそれぞれとしてブラッグファイバ403及び404を用いることを示している。
【0032】
上記説明は単独のパルスに関連しているが、本発明はまた、上記方法の段階の複数の適用による複数のパルスの列を使用することを有する。光信号は、例えば、従来技術において説明されているシードソースから、又は既にチャーピングされた光源から、種々の方法で生成されることが可能である。例えば、一定の信号は、チャーピングされた信号を生成するように変調された波長にあることが可能である、そのような場合、その信号の伸長は、一般に、必要ない。図4eは、そのようなシステムを示し、そのシステムにおいて、チャーピングされた信号は、1つ又はそれ以上の光増幅器に直接、進み、次いで、上記のように、ブラッグファイバ波長又は他の波長による増幅後に圧縮される。
【0033】
最初の光パルスの伸長は、パルスの‘より赤い’又はより長い波長部分をパルスの‘より青い’又はより短い波長部分を超えて遅延するように、ブラッグファイバ導波路をデザインすることにより達成されることが可能である一方、増幅された信号の圧縮は、より青い’波長はより遅延する伸長器の分散とは反対の分散を有するようにデザインされたブラッグファイバ導波路を用いて行われることが可能である。勿論、CPAシステムは、伸長器においてより青い波長を遅延し、遅延されるより赤い波長を圧縮することが可能である。
【0034】
一部の実施形態においては、同心円状の環状領域は、低屈折率に対して高屈折率の交互の屈折率を有することが可能であり、その逆も可能である。内部コアは、気体、例えば、環境の空気で満たされることが可能であり、その環境の空気は、光学窓を通るパルスを伴わずに高エネルギーのパルスを線形圧縮することを可能にする。ブラッグファイバを製造する共通の方法は、マンドレルに物質のバイレイヤシートを巻き付ける段階と、続く、マンドレルから取り外す段階とを有し、バイレイヤは、少なくとも高屈折率材料の1つの層及び低屈折率材料の1つの層を有する。厳密に言えば、それらの実現されたファイバの断面は連続するバイレイヤの螺旋を有し、それ故、その構造は、真に連続するリングとは対照的に、単に実質的に環状であるが、全ての実際的な目的のために、螺旋化による混乱は無視することができ、ファイバは、同心円状のリングを有するとみなすことができる。
【0035】
非環状微細構造領域とは対照的に、環状領域又はバイレイヤ物質のシートは、例えば、微細管を共に束ねることによりエアホールの二次元アレイを有するファイバ断面を生成する他の特殊な光ファイバ導波路とは対照的に、その導波路の簡単な製造を可能にする。それらの他のファイバは、“穴あき”ファイバ、光結晶ファイバ(“PCF”)、微細構造ファイバ等のように複数の名前で呼ばれ、また、光を案内するようにバンドギャップ機構を用いるが、ブラッグファイバモードと異なるモードにある。
【0036】
PCFファイバは線形及び非線形分散の両方を有するため、そのファイバは、チャーピングされたパルス振幅において、しかし、例えば、パルス当たり1μJ以下の非常に小さいパルスエネルギーのみに対して用いられた。従来のPCFファイバは、ファイバのモードの一部においては大き過ぎる損失を被り、USPシステムにおいて有用であるようには十分な分散を有しない。表面粗さ及びクラッドとの光相互作用を制限するバイレイヤ構造のために、ブラッグファイバにはそのような損失はない。
【0037】
ここで説明しているブラッグファイバと同じ効果を達成するのに、即ち、本発明で用いるのに適する、そのようなPCFファイバを構成することが可能であると考えられる。これは、異なる大きさの孔の交互の層によりコアを囲むことにより行われ、孔の各々の層は異なる屈折率を有し、2つのそのような異なる大きさの孔の層はバイレイヤを構成する。そのような構造は図5aに示され、ここで、ファイバ500は交互の層501及び502を有し、それらの各々は、コアを囲む異なる大きさの孔を有する。“欠陥層”が、第3の大きさの孔の層を導入することにより挿入されることが可能であり、上記と同様に、屈折率が単純に交互的でない領域を生成することが可能である。
【0038】
他のファイバの実施形態について、図5bに示す。この実施形態においては、空気又はある他のガスと異なる屈折率を有する材料503が同心円状の環状領域、又は、上記のように、物質の一重螺旋に備えられている。その物質の各々の層と次の層との間には、空気又は気体504の層がある。物質503がその物質自体と接触しないように及び単一の屈折率の物質の大きい厚さを簡単に生じないように、支持部505が、物質503の各々の層を次の層から分離して維持するように含まれている。この構造は、バイレイヤを有するように考慮されていないが、この構造は、交互の屈折率によるブラッグファイバと同じ効果を有する。そのようなファイバが製造されているが、圧縮については用いられていない。
【0039】
本発明はまた、超短高エネルギー光パルスを表面に供給する方法を提供する。図4dに示す一実施形態においては、長短高エネルギー光パルスが、上記の何れの手段により生成され、次いで、ブラッグファイバ導波路405により表面に供給される。図4eに示す他の実施形態においては、超短光パルスが生成され、チャーピングされ、そして増幅され、次いで、作用表面にブラッグファイバ導波路406により供給され、そのブラッグファイバ導波路406は増幅された信号を超短高エネルギーパルスに圧縮する。パスルの品質を壊さず、そのパルスが超短パルスに再圧縮されない非線形相互作用が、ブラッグファイバを用いることにより回避される。モード強度の殆どは、CPAシステムにおける非線形性の効果を限定する空気コア内部に限定される。USPシステムは、圧縮器としてのブラッグファイバの非常に短い長さ、恐らく、約8m程度の短い長さを伴って製造されると考えられる。全ファイバ圧縮器は、CPAシステムが既存のシステムに比べてかなり小さくなるようにされ、ファイバの供給は、例えば、非侵襲的外科手術のような、従来利用できなかった場所におけるUSP技術の応用を可能にする。
【0040】
本発明の他の実施形態は、回折光学要素(DOE)を用いる。DOEは、屈折とは対照的に、光の回折の特徴を用いて、光ビームの振幅、位相及び/又は偏光を変化させる光学要素である。副波長格子(SWG)と呼ばれる特定のDOEの副集合は、構造との相互作用の後に伝播することが可能である回折次数がないように設計された周期的構造を用いる。それらの構造は、効率的な反射防止構造及び偏光子を形成するように示されている人工媒質により近似されることが可能である。そのような構造については、例えば、文献Mait and Praqther eds.,Selected Papers On Subwavelength Diffractive Optics,(SPIE Milestone series Vol.MS166)に記載されている。
【0041】
本発明の一実施形態においては、DOEは、ブラッグファイバに又はブラッグファイバから光を送信するように用いられることが可能である。そのようなDOEは、従来のバルク光学系又はシリカ系ファイバからブラッグファイバへの出力から出射されるモード及び偏光を調節するように用いられることが可能であり、又は、DOEは、適切な出射のためのブラッグファイバから他のシステムの副構成要素への出力を整形するように用いられることが可能である。ブラッグファイバに出射されるパルスは増幅器から直接、もたらされることが可能であり、その増幅器は、典型的な希土類がドープされたファイバ増幅器(例えば、Erがドープされた又はEr:Ybが共にドープされた)及び/又は固体増幅システム(例えば、Nb:YAG,Cr:YAG等)を有することが可能であり、又はパルスは、先ず、その増幅器から他の光学副システムに出射され、続いて、ブラッグファイバに入ることが可能である。ブラッグファイバの選択モード(例えば、低光損失のためのTE01モード)への良好な出射効率のために、副波長位相格子偏光変換器が、非常に高い効率(例えば、95%以上)で直線偏光を円偏光に変換するように用いられることが可能である。本発明は、ブラッグファイバへの又はブラッグファイバからの出射要素として、DOEを用いることには依存しない。出射要素としてのDOEは、そのファイバへの出射の複数の有効な方法のうちの1つとして開示されている。
【0042】
代替として、SWGカップリング要素は、ブラッグファイバに又はブラッグファイバから光を送信するように用いられることが可能である。そのような構成要素はまた、再生増幅器の内部で用いられることが可能である。増幅器出力パルスをCPAシステムにおけるブラッグファイバ圧縮器に結合する効率は、このステージにおける非効率性はこのシステムの資本コスト及び動作コストの両方のコスト及び大きさをかなり増大させるために、非常に重要である。効率的に結合されることができるモード及びその効率的なモードにパワー増幅器の直線偏光出力を変換するための効率的なSWGの組み合わせは、効率性を高め、システムコスト及び大きさを低減する。
【0043】
SWGによる光ビームの偏光を制御する一方法は、ワイヤグリッド偏光子を形成するように誘電体又は半導体基板に堆積される金属ストライプを用い、これについては、例えば、文献“The Wire Grid As A Near−Infrared Polarizer”,by Bird and Parrish,J.Optical Society of America 50(9),pp886−891(September 1960)を参照されたい。この場合、構造は、導電性金属ストライプに対して平行な偏光を有する放射線を伝送することにより偏光子としての役割を果たす。二次元平面における金属の一次元周期構造の配向を局所的に変えることにより任意に偏光された入力ビームの偏光を空間的に制御することができることがまた、示されていて、これについては、例えば、文献Optics Letters 26(1),pp.33−35(1 January 2001)by Bomzon,Kleiner and Hasmanを参照されたい。金属ストライプを用いる偏光操作は偏光依存性損失に依存し、それ故、入力光ビームを必ず減衰させる。
【0044】
他のSWG構造は、入力偏光ビームの偏光状態を変更するように用いられることが可能である。物質は“人工複屈折”を現すように構造化されることが可能であり、その“人工複屈折”は、入射ビームの偏光を制御するように用いられることが可能である。この場合、格子深さは、4分の1波長板又は2分の1波長板を形成するように適切に選択され、これについては、例えば、文献“Holographic Quarter Wave Plates”,by Cescato,Gluch and Streibl,Applied Optics 29(1990)を参照されたい。偏光回転量は、図6に示すように、入力ビーム偏光方向とSWG格子ベクトルとの間の角度差に比例する。人工複屈折構造については、文献“Computer−Generated Relief Grating As Space−Variant Polarization Elements”,by Davidson,Friesem and Hasman,Optics Letters 17(1992)及びSelective Mode Excitation In Spacialty Waveguides Using Micro Optical Element,byMohammed,PhD dissertation,University of Central Florida,Orlando,Florida(2004)に詳細に記載されている。Mohammedの論文においては、人工複屈折DOEが、中空コア金属導波路に光を結合させるように用いられる。しかしながら、Mohammedの論文において記載されている格子溝は連続的ではなく、付加回折を生成し、その要素の効率を制限している。本発明の好適な実施形態においては、SWGの格子ベクトルは、装置効率を改善するように連続して変化する。
【0045】
そのようなSWGは、例えば、溶融シリカ又は半導体物質(例えば、シリコン又はGaAs)のような誘電体基板上に形成されることが可能であるが、それに限定されるものではない。入力偏光に応じて、副波長構造が、リフトオフ技術を用いて基板上に金属のワイヤを選択的に蒸着させることにより形成されることが可能であり、その装置は偏光子として用いられ、位相差板として用いるために、半導体工業で一般に用いられている誘電体又は金属マスキング技術を用いる物質にエッチングされるようになっている。マスターパターンは、電子ビームリソグラフィにより好適に描画され、次いで、標準レプリカ技術により複製されることが可能である。SWGはまた、増幅、位相及び偏光の所望の組み合わせを光ビームに対して適合させるように同じウェーハにおいて統合される他のDOEと組み合わされることが可能である。そのような組み合わせは、レンズのSWGとの前後の位置合わせ、又はそのSWG構造を他のDOEと直接多重化することを有することが可能である。
【0046】
一実施形態においては、光信号は、ブラッグファイバ圧縮器に結合するために、光ファイバの円偏光高次TE01に結合される。しかしながら、副波長格子が、他の応用のためにブラッグファイバに結合するための偏光変換のために、特に、特定のブラッグファイバモードの分散及び空間特性をうまく利用するようにCPAシステムにおいて、用いられることが可能である。
【0047】
本発明の他の実施形態においては、SWGは、レンズ要素によりフォーカシングする前に、超短高エネルギーパルへの圧縮後に、光ビームの偏光に変換するように用いられる。レンズ要素は、屈折性又は回折性であることが可能である。一実施形態においては、レンズ及びSWGは同じ基板上に製造される。
【0048】
ブラッグファイバは、逆非線形効果を伴わずにパルス伸長又は圧縮に適する非常に高い分散を可能にする。ブラッグファイバモードは、上記のSWG要素により励起されることが可能である。図6は、SWGを通る入射ビームの偏光回転を示し、格子溝の配向は次式のようであることが可能である。
【0049】
φ=(αi+αout)/2
SWGの配向は、出力ビームの偏光を所望のブラッグファイバモードにマッピングするように空間的に変化される。
【0050】
ブラッグファイバは、化学的気相成長法(CVD)、液相エピタキシ法(LPE)、電気泳動堆積法(EPD)、電気メッキ等を含む複数の方法により製造されることが可能である。Fink等は、特定の技術について記載しているが、EPDはまた、適切に機能する。EPDは、ブラッグファイバを形成するために必要な高コントラストの屈折率を得、所望の分散特性を得る構造に欠陥を選択的に導入するように金属及び絶縁体の両方の均一な堆積を可能にする。
【0051】
図7に示すように、ブラッグファイバはまた、CPAシステムの増幅器の部分における遅延線として用いられることが可能である。複数のUSPレーザは、材料を除去するために必要なパルスエネルギーを得るように再生増幅器構造を用いる。典型的に再生可能な増幅器は、伸長パルスを増幅器材料を数回通って循環させるように遅延線を有する利得媒体を有する。この遅延線は、遅延ループに及び遅延ループから光を結合させるように光スイッチと、そのループを終了するための受動構成要素とを有することが可能である。光スイッチは、電気光学(ポッケルスセル)スイッチ、音響光学スイッチ又は他の携帯の光学スイッチであることが可能である。それらの受動光学構成要素は、ミラー、レンズ、偏光子及び他の要素の組み合わせを有することが可能である。光学要素間の間隔は、好ましい遅延により決定され、その好ましい遅延はしばしば、スイッチの応答時間及び光パルスの長さにより決定される。
【0052】
光スイッチの応答時間は、数ナノ秒乃至数百ナノ秒の範囲内にあることが可能である。スイッチング時間のナノ秒毎に、約1フィートの光路を必要とし、その光路は、増幅器遅延システムの大きさ及び関連するコストを増大させる。従来方法においては、光学スイッチの大きさの低減は、同じ光路長を保ちながら、より小さいパッケージにおいて光を更に複数回反射するように、更なるミラー及び受動構成要素を用いる折り畳みキャビティデザインを実施することが必要である。折り畳みキャビティは、コンパクトなサイズを達成するように複数のミラーを用いることが可能である。各々のミラーが96%反射可能であり、光が5回反射される場合、遅延線の全体の効率は約(0.96)5、即ち81%であり、この数字は、単独の経路における光利得媒体の利得より大きい。しかしながら、ミラーは、100%より小さい反射率を有し、透過において完全に損失の伴わない媒体はなく、折り畳みキャビティは、光パルスが表面で反射される又は媒体を通って透過する(利得媒体以外の)毎に全体的な効率を低減する。ブラッグファイバを使用することにより、この問題を緩和することができる。長い光学的時間遅延は、コンパクトな空間においてブラッグファイバ701をぐるぐる巻くことにより、達成することができる。この遅延線で用いられるブラッグファイバは、低光損失及び低分散を有するように設計され、そのことは、パルスを変形しないようにする。
【0053】
本発明及び本発明の有利点について、上で詳述したが、同時提出の特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲及び主旨から逸脱することなく、種々の変形、置き換え及び代替を実施することができることを理解する必要がある。更に、本発明の範囲は、詳細な説明に記載されている処理、機器、製造、物質の成分、手段、方法及び段階の特定の実施形態に限定されるように意図されるものではなく、請求項のみにより限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】典型的なチャーピングパルス増幅システムのブロック図である。
【図2a】本発明で用いることが可能である種類のブラッグファイバ導波路の断面構造の模式図である。
【図2b】本発明で用いることが可能である種類のブラッグファイバ導波路の断面構造の模式図である。
【図3a】パルス圧縮の実施例を示す図であって、標準的なシリカ系ファイバの大きいコアにおける非線形性による劣化の実施例を示す図であり、最初のパルスエネルギーは10μJであり、パルス幅は10psecである、図である。
【図3b】パルス圧縮の実施例を示す図であって、標準的なシリカ系ファイバに類似する分散パラメータを有する中空のコアファイバにおいて同じパルスの圧縮を示す、図である。
【図4a】チャーピングパルス増幅システムの異なる部分においてブラックファイバを有するそのシステムのブロック図である。
【図4b】チャーピングパルス増幅システムの異なる部分においてブラックファイバを有するそのシステムのブロック図である。
【図4c】チャーピングパルス増幅システムの異なる部分においてブラックファイバを有するそのシステムのブロック図である。
【図4d】チャーピングパルス増幅システムの異なる部分においてブラックファイバを有するそのシステムのブロック図である。
【図4e】チャーピングパルス増幅システムの異なる部分においてブラックファイバを有するそのシステムのブロック図である。
【図5a】本発明の一部の実施形態において用いられルことが可能である交互のファイバ構造を示すである。
【図5b】本発明の一部の実施形態において用いられルことが可能である交互のファイバ構造を示すである。
【図6】出力ビームの偏光をマッピングするために空間的に変えられる副波長格子を通る入射ビームの偏光回転を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態で用いられる再生増幅器構成のブロック図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、高エネルギーの超短光パルスの生成に関し、特に、超短パルスレーザシステムにおいてそれらの超短光パルスを伸長又は圧縮するためのブラッグファイバの使用に関する。ブラッグファイバはまた、光増幅器の遅延線において及び光の高ピークパワーパルスの供給のために用いられることが可能である。
【背景技術】
【0002】
超短レーザ技術は知られて、用いられるようになってから20年以上経つ。化学者及び物理学者は、分子振動、化学反応、電荷移動過程及び分子構造変化のような極めて高速な物理過程を測定するために超高速レーザを開発した。それらの過程全ては、10−15sec乃至10−12secの時間スケールで起こる。キャリア緩和及び熱化、波束発展、電子−正孔散乱及び無数の他の過程はまた、信じられない程高速の時間スケールで起こる。
【0003】
超高速で超短の光パルスを用いる光科学は、過去10年間に亘って、著しく進展している。一般に、“超短”とは、定義が変わって、約10psecより短い持続時間の光パルスのことをいい、この定義は、ここでも用いている。他の技術と共に実施するにはまた、不可能である又は実際的でない多くの超短パルスのアプリケーションが開発されてきた。超短パルスを用いて、研究者は、原子、分子、プラズマ及び固体物理における多くの高非線形過程を研究し、従来探求されていない物質の状態を探求している。例えば、2.7nm程度の波長のコヒーレントな超短パルスが高調波アップコンバージョンにより生成された。
【0004】
超短パルス(USP)レーザの多くのアプリケーションは、各々のパルスが瞬間的に与える非常に高いピークパワーを利用する。レーザからの平均パワーはかなり適度であり、パルスにおける全エネルギーは小さいことが可能であるが、各々のパルスの極端に短い持続時間は非常に大きい略瞬間的なピークのパワーを生じる。それらのパルスが非常に小さいスポットにフォーカシングされるとき、その光パワーは多くの物質を除去するには十分であり、USPレーザをマイクロマシニング、孔開け及び切断のための有用なツールにしている。必要に応じて、物質除去の精度は、パルス強度を注意深く設定することにより、ビーム焦点の精度をさえ上回ることができ、それ故、そのビームの最も明るい部分のみが物質除去閾値以上になる。その物質除去閾値は、物質を除去するために必要なエネルギー密度の量又はフルエンス(fluence)であり、しばしば、1J/cm2のオーダーである。かなり大きいエネルギー密度を有する光パルスは、一般に、“高エネルギー”であるとみなされ、ここでは、この定義を用いる。
【0005】
USPレーザによるアブレーションは、超短光パルスにより表面に堆積されるエネルギーの殆どが機械加工された面から除去される物質と共に取り除かれるため、長い持続時間のパルスアブレーション技術とは異なり、その過程は早過ぎて、熱は周りの照射されない物質の方に拡散せず、それ故、スムーズで適切な物質の除去を確実にする。殆どの物質について、約10psecより小さい持続時間を有する光パルスは、パルスエネルギーが物質のアブレーション閾値を上回るときに、この非熱アブレーションができる。約10psecより長い持続時間を有するパルスはまた、パルスエネルギーがアブレーション閾値より大きい場合に、物質を除去することが可能であるが、周りの非照射領域に対する熱的損傷が起こり得る。
【0006】
複数の研究者は、ダイヤモンド、チタンカーバイド及び歯のエナメル質のような複数の物質を適切に機械加工することによる非熱アブレーション技術について示した。1つの興味深い実証においては、USPレーザが爆薬により安全にスライスするように用いられた。これは、焦点において、温度が上昇することなく及び爆発することなく、物質が周りの物質を蒸発させるために可能である。側副組織の損傷が最小化されるために、超短パルスが特に効果的である外科手術におけるアプリケーションがまた、たくさん存在する。例えば、Lawrence Livermore National laboratoryの研究者は、隣接する神経組織を損傷することなく、脊柱への骨の侵入を除去するように超短パルスを用いた。複数の眼科の研究者は、USPレーザが、標準的なナイフに基づく技術より角膜からスムーズなフラップを切除し、切除される形及び場所をより適切に制御することができることを示した。本発明の目的に対して、ここで用いる用語“アブレーション”とは、他に明確に示さない場合は、上記の、USPレーザレーザにより可能である非熱アブレーションをいう。
【0007】
略全ての高ピークパワーUSPレーザシステムは、短い持続時間の高強度パルスを生成するようにチャーピングパルス振幅(CPA)技術を用いる。光CPAは、レーザのためのマイクロ波のアプリケーションで用いられる上記CPA技術からの推定として、1980年代にMourou等により提案された。チャーピングパルス振幅は、光増幅器に対して損傷をもたらすレベル以下にパルスのピークパワーを保ちながら、短いパルスのエネルギーを増加させるように用いられる。この技術においては、パルスの持続時間は、波長の関数として時間的に分散される(“チャーピング”と呼ばれる過程)ことにより増加され、それ故、パルスが有する全体的なパワーを維持しながらパルスのピークパワーを減少させる。チャーピングされたパルスは、その場合、増幅され、それ故、かなり再短縮された持続時間に再圧縮される。
【0008】
時間の経過と共にパルスを長くすることにより、全体のパルスは光振幅器の利得媒体により効率的に増幅されることができる一方、チャーピングされたパルスのピークパワーレベルは光増幅器の損傷閾値以下に維持される。信号が伸長されることができればできる程、ピークパワーは小さくなり、低ピークパワー増幅器か又は半導体光増幅器のような高効率増幅器のどちらかの使用を可能にする。CPA技術は、高記憶エネルギー密度を有する固体光利得媒体の効率的な使用のために特に有用であり、短持続時間の非チャーピングパルスのフル増幅は、パルスのピークパワーが増幅器物質の損傷閾値以上であるために、可能ではない。超短パルスを生成する技術については、例えば、文献Femtosecond Laser Pulses(Springer−Verlag,New York,1988, Rulliere,C.(ed.))に記載されている。
【0009】
典型的なCPAシステムについては、図1に示され、そのシステムは次のように機能する。超短光パルスは、モードロックレーザ発振器又は“シードソース”101を使用することにより低パルスエネルギー(典型的には、1nJ以下)で生成される。それらのパルスは、標準的なシリカ系光ファイバ又は回折格子構成と同程度に簡単である、波長分散システム又は“伸長器”102によりチャーピングされる。その分散システムは、パルスを時間的に伸長し、例えば、1psecの持続時間から約1nsec(10−9sec)に振幅を数オーダーだけ、又は振幅の3オーダー(1000倍)だけその持続時間を増加させる。このことは、同じ倍数だけ、この例においては、3オーダーの大きさだけパルスピークパワーを減少し、それ故、パルスに有される全パワーは略一定に維持される。次に、伸長されたパルスは、パルスのエネルギーを増加させるように、光振幅器103の1つ又はそれ以上のステージにより増幅される。増幅後、伸長されたパルスは、パルス圧縮器により略オリジナルの入力パルスと同じ持続時間を有するパルスに圧縮される。最終的に、超短高エネルギーパルスは、ある供給機構105により好ましい場所に供給される。単一パルスの処理のグラフ式表現が、図1の要素間に(スケーリングされずに)示されている。
【0010】
典型的には、その圧縮は、プリズム及び格子の対又はそれらの組み合わせを有するバルク光学要素により行われる。増幅されたチャーピングパルスのパルス圧縮技術についてはかなり研究されてきていて、例えば、Tournoisによる米国特許第5,822,097号明細書に記載されている回折格子圧縮器を参照されたい。パルス圧縮についてはまた、標準的な光ファイバにおいて研究され、ファイバにおける非線形光干渉について、‘ソリトン圧縮’を生成するように研究されている。そのソリトン技術は、パルススペクトルを広くし、パルス持続時間を短くする光ファイバの非線形性に依存する。ソリトン圧縮は、典型的には、持続時間において数ピコ秒のオーダーのパルスをサブピコ秒の持続時間に圧縮するように用いられ、それらのパルスのエネルギーは、典型的には、光ファイバにおける圧縮について数百nJより十分に小さい。
【0011】
超高速システムについての当該技術分野における現在の状態は、USPレーザ技術の多くの研究上の応用についての技術的及び性能的必要性を満たすには十分である。しかしながら、UPS技術が主流として受け入れられるようにしないUPSレーザ技術の応用の商品化に関連する複数の実際の問題点が存在する。
【0012】
例えば、標準的なシリカ系光ファイバにおいて、圧縮された高エネルギーパルスの高ピークパワーは、パルスを歪め、一般に、パルス再圧縮を回避する自己位相変調及びシミュレートされたラマン散乱のような光ファイバにおける非線形光学効果を向上させる。(ラマン散乱は、入力光の一部の波長をシフトさせ、それにより、そのエネルギーをオリジナルの信号から分離する。)自己位相変調を有するカー効果の非線形性は、パルススペクトルの分裂、自己フォーカシング及び光ファイバの壊滅的な故障をもたらす可能性がある。光ファイバにおける非線形効果を低減する一方法は、光ファイバにおけるピークパワーを減少させるように伝播モードの効果的な領域を増加するようにするが、この技術は、数μJのみの最大エネルギーを有するパルスを生成することに限定されている。図3aは、標準的な大きいコアのシリカ系光ファイバにおける非線形性によるパルスの劣化の例を示している。
【0013】
光信号を伸長するように標準的なシリカ系光ファイバを用いる場合、他の問題点がある。光ファイバについての標準的な分散は、1550nmにおいて17psec/nm/kmのオーダーである(光ファイバの1km当たりの及び波長のnm当たりの遅延又は時間的伸長(ピコ秒))。上記の例における伸長の大きさの3オーダーを得るためには、数10kmの光ファイバが必要である。このために、多くの場合、商用アプリケーションは、実際のUSPレーザ源の不足のために見送られてきた。コストパフォーマンスが高く、ロバストで、コンパクトな適切に実装されたターンキーUSPレーザシステムについての要請が存在している。
【0014】
b.ブラッグファイバ
ブラッグファイバについては、1970年代から研究され、例えば、文献“Theory of Bragg fiber”、by Yeh,Yariv & Marom,Journal of Optical America 68(9),pp.1196(June 1978)に記載されているが、それらが研究の主題になった1990年代後半までしか行われなかった。例えば、“Dispersion Tailoring And Compensation By Modal Interactins In Omniguide Fibers”,by Engeness、Ibanescu、Johnson、Weisberg、Skorobogatiy、Jacobs and Fink,Optics Express 11(10),pp.1175−1196(19 May 2003)及び“Guiding Optical Light In Air Using An All−Dielectric Structure”,by Fink,Ripin,Fan,Chen,Joannopoulos & Thomas,J of Lightwave Technology 17(11),pp.2039−2041(November 1999)を参照されたい。ブラッグファイバはまた、Omniguideファイバとして知られていて、1つのメーカーが製造している。多くの研究者が、ブラッグファイバは固有の非常に小さい光損失を有するとして予測されるため、長距離ファイバ光通信システムにおけるリンクとして用いるブラッグファイバについて研究している。
【0015】
典型的なブラッグファイバは、各々のリングが区別可能な屈折率を有する気体又は液体で満たされた内側コアの周りの少なくとも2つの実質的に環状のリングを有する。異なる屈折率のそのような実質的に環状のリングの対は、通常、“バイレイヤ”と呼ばれる。一部の変形においては、リングは、高コントラストの屈折率の材料の交互の層、例えば、高誘電率材料及び低誘電率材料の交互層から構成される。ファイバ中心からの放射状の光線は、ブラッグミラーとしても知られている、平面状誘電体積層リフレクタとして機能する構造に衝突し、そのブラッグミラーは、所定の波長範囲内の光を効果的に反射することができる。更なるリング、例えば、7つ又は9つのバイレイヤを有することは導波路の反射特性を改善し、損失を低減することは一般に良好であると考えられている。
【0016】
図2aは、例示としてのブラッグファイバ導波路200の断面構造の模式図である。ブラッグファイバ200は、通常、一部の実施形態においてバイレイヤを交互に構成する、異なる屈折率を有する同心円状の実質的に環状のリング201により囲まれた、空気又は他のガスのような低誘電率物質の及び屈折率を有する導波路軸上にあるコアを有する。典型的には、しばしば、ポリマー物質から成る外側の保護層202が備えられている。
【0017】
近年、Fink等のような研究者は、好ましい分散特性を有するブラッグファイバを形成するためにデザインツール及び製造処理を開発し、それらのデザインツール及び製造処理は、例えば、長距離電気通信信号を送信中に不所望の分散を補償するように又は非常に小さいバラツキを与えるように、光通信システムにおけるバラツキ管理のためにブラッグファイバが用いられることを可能にする。Finkの研究に基づくそのような開発に関する特許文献には、Fink等による米国特許第6,603,911号明細書、Weisberg等による米国特許第6,728,439号明細書、Ahmad等による米国特許第6,788,864号明細書及びJohnson等による米国特許公開出願第2002/0176676号明細書がある。
【0018】
Fink又は他の研究者は、光が非常に低い光損失及び低非線形性を有する光ファイバ中を伝播することができることを示し、モデル化の結果は、それらのファイバの分散は、数オーダーの大きさに亘る範囲に対して調節されることができることが示されている。ファイバのコアの周りのリングコアの構成及び数に依存して、非常に高い分散パラメータが、1つ又はそれ以上の環状リングにおいて“欠陥”又は“収差”を、例えば、周期的な環状リング分布に不規則なリング厚さを導入することにより、そのようなファイバにおいて得られることが可能である。図2bは、不規則な厚さのリング204が導入された例示としてのブラッグファイバ導波路203の断面構造の模式図である。不規則なリング204は、特定の周波数領域に亘ってファイバの中心モードに結合する共振モードを生成する。この結合が起こる周波数の近傍の周波数においては、大きい分散が存在し、その大きい分散は、厚さ、屈折率、不規則なリング204の径方向位置を制御することにより調節されることが可能である。
【特許文献1】米国特許第6,728,439号明細書
【特許文献2】米国特許第6,788,864号明細書
【特許文献3】米国特許公開出願第2002/0176676号明細書
【非特許文献1】Femtosecond Laser Pulses(Springer−Verlag,New York,1988, Rulliere,C.(ed.))
【非特許文献2】“Theory of Bragg fiber”、by Yeh,Yariv & Marom,Journal of Optical America 68(9),pp.1196(June 1978)
【非特許文献3】“Dispersion Tailoring And Compensation By Modal Interactins In Omniguide Fibers”,by Engeness、Ibanescu、Johnson、Weisberg、Skorobogatiy、Jacobs and Fink,Optics Express 11(10),pp.1175−1196(19 May 2003)
【非特許文献4】“Guiding Optical Light In Air Using An All−Dielectric Structure”,by Fink,Ripin,Fan,Chen,Joannopoulos & Thomas,J of Lightwave Technology 17(11),pp.2039−2041(November 1999)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0019】
略ゼロ分散又は不所望の分散の補償が目的であった、過去のブラッグファイバの使用と異なり、本発明は、高ピークパワーを有する超短パルスを得るように光パルスの伸長、増幅及び圧縮のステージにおけるUSPレーザシステムにおいてブラッグファイバを用いる。ブラッグファイバは、非常に大きい分散、10000psec/nm/kmより大きい分散をも伴って製造されることが可能であり、そのことは、例えば、1psec乃至1nsec又はそれ以上の範囲内のパルス伸長、又は1nsecから1psec又はそれ以下の範囲内のパルス圧縮のために用いられることが可能である。
【0020】
一実施形態においては、本発明は、超短高エネルギー光パルスを生成する段階と、チャーピングされた光信号を増幅する段階と、光信号を超短持続時間光パルスに圧縮する段階とを有する方法であって、光信号を生成する段階及び光信号を圧縮する段階のうちの少なくとも一は、光信号をブラッグファイバ導波路に導く段階を有し、その導波路は、光信号が実質的に限定された内部コア領域と、内部コア領域を囲む異なる屈折率の複数の同心円状の環状領域とを有する。
【0021】
それ故、増幅する前に光信号を伸長(チャーピング)するように光信号をブラッグファイバ導波路に導く段階、それを圧縮するように増幅され、チャーピングされた信号を導く段階、又はそれら両方を行う段階は全て、本発明の範囲内にある。
【0022】
一部の実施形態においては、同心円状の実質的に環状の領域は、低屈折率に対する高屈折率の交互の屈折率又はその逆を有することが可能であり、それ故、ブラッグファイバ導波路は、10psec/nm/kmより大きい分散を有する。内部コアは気体、例えば、環境の空気で満たされることが可能であり、そのことは、光学窓を透過するパルスを伴わない高エネルギーパルスの線形圧縮を可能にする。実質的に環状の領域の使用は、非環状の微細構造の領域とは対照的、導波路の簡便な製造を可能にするが、環状領域としての役割を果たす微細構造領域がまた、製造されることが可能である。
【0023】
本発明はまた、表面に超短高エネルギー光パルスを供給する方法であって、チャーピングされた光信号を生成する段階と、チャーピングされた光信号を増幅する段階と、光信号を超短持続時間光パルスに圧縮する段階と、超短光パルスをブラッグファイバ導波路と用いて作用表面に供給する段階であって、その導波路は、光信号が実質的に限定される内部コア領域、及び内側コア領域を取り囲む異なる屈折率の複数の同心円状の環状領域を有する、段階と、を有する方法を提供する。
【0024】
本発明の他の実施形態においては、回折光学要素(DOE)、屈折とは対照的な、光の回折の特徴を用いて光ビームの、振幅、位相及び/又は偏光を変える光学要素、又は副波長格子(SWG)、特定の種類のDOEは、ブラッグファイバ導波路に又はブラッグファイバ導波路から光を伝送するように用いられることが可能である。そのようなDOEは、従来のバルク光学系又はシリカ系ファイバからブラッグファイバ導波路に出力される偏光及び出射モードを調節するように用いられることが可能であり、又は、回折光学系は、適切な出射のためのブラッグファイバ導波路から他のシステムの副構成要素への出力を整形するように用いられることが可能である。
【0025】
それ故、ブラッグファイバ導波路は高エネルギーUSPレーザシステムで用いられることが可能であり、そのブラッグファイバ導波路はパルスを伸長するように一の種類の非常に大きい分散とパルスを圧縮するように他の種類の非常に大きい分散とを有するようにデザインされている。高分散のブラッグファイバ導波路を用いることは、光信号がブラッグファイバ導波路の比較的短い長さを用いて伸長及び圧縮されることを可能にし、それ故、従来のシリカ系ファイバの長い長さ又は大きい光学格子の必然性を回避し、極めてコンパクトな高エネルギーUSPレーザシステムが構築されることを可能にする。
【0026】
本発明の他の実施形態においては、USPレーザシステムに実質的に分散のない時間遅延を備える方法は、チャーピングされた光信号を生成する段階と、実質的に分散のないブラッグファイバ導波路を有する光学ループによりチャーピングされた光信号を再生するように増幅する段階であって、その導波路は、光信号が実質的に限定されている内部コア領域と、内側コア領域を取り囲む異なる屈折率の複数の同心円状の環状領域とを有する、段階と、光信号を超短持続時間光パルスに圧縮する段階と、を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、従来技術に比べて、比較的短いファイバの長さにおける光パルスの伸長、増幅及び圧縮を達成するように非常に高い分散性のブラッグファイバを用いる。光ファイバ増幅器技術は、近年、顕著に改善されてきていて、標準的なシリカ系光ファイバによるチャーピングは一般的である一方、上記のように、光ファイバにおける実際の圧縮における目的は分かり難い。必要なファイバの量を減少させ、気体のファイバコアにおいて信号を主に伝播させることにより、本発明は、コンパクトなUSPレーザシステムを可能にする。
【0028】
上記のように、圧縮された高エネルギーパルスの高ピークパワーは、自己位相変調及びシミュレートされたラマン散乱のような標準的なシリカ系光ファイバにおける非線形光学効果を向上させ、パルスを変形させ、パルスの再圧縮を回避する。それらの光学的非線形性はまた、パルススペクトルのブレークアップ、自己フォーカシング及び破滅的なファイバの故障をもたらす可能性がある。非常に高い分散を有するが、中空のコアにおける光信号の損失が極めて小さく、非線形相互作用が非常に小さいブラッグファイバを構成することができる。この種類のファイバを用いることにより、圧縮を達成するために必要なファイバの長さを、それ故、パルスがファイバ材料と有する相互作用の長さを減少することができ、更に、非線形光学効果を低減することができる。
【0029】
一実施形態においては、本発明は、交互の屈折率を有する物質の複数の実質的に同心円状の環状領域により囲まれている空気又は気体のコアを有するブラッグファイバ導波路を用いる。上記のように、複数のバイレイヤ、例えば、7つ又は9つを用いることにより、構造が薄膜の積層物として機能し、コア内で光を反射する範囲を増加させる。
【0030】
屈折率が単純に交互に変わらないように環状領域に“欠陥”又は不規則性を導入することにより、それらのファイバの分散は、数オーダーの大きさに亘る範囲に対して調節されることができる。この特徴は、固体物理学において”アンチクロシング“と呼ばれる現象を利用し、CPAシステムにおけるパルス伸長及び圧縮についての概念であるブラッグファイバにおける高分散及び低非線形性を与えるように用いられる。不規則なリングは、特定の周波数範囲に亘ってファイバの中心モードに結合する共振モードを生成することができる。この結合が起こる周波数に近い周波数においては、大きい分散が存在する可能性がある。その不規則性は、環状領域の一の厚さの変化であることが可能であり、又は管状領域の一の屈折率の変化であることが可能である。Fick等は、欠陥の深さ、即ち、構造における欠陥の一、欠陥のサイズ及び構造における全体的な散乱の全てはファイバの分散の特徴に影響することを示した。10000sec/nm/kmの範囲における分散特徴が可能である。
【0031】
一実施形態においては、本発明は、信号を伸長するために従来のシリカ系ファイバに代えてブラッグファイバ導波路を用い、及び/又は従来の構成要素に代えて信号を圧縮することにより、超短高エネルギー光パルスを生成する方法を提供する。その方法はまた、図4a乃至4cに示すように、従来のCPA処理に従う。超短低エネルギー光パルスは生成され、次いで、伸長され又はチャーピングされ、チャーピングされた光信号は、次いで、増幅され、次いで、超短持続時間の光パルスに圧縮される。本発明の範囲内に入るように、少なくとも光パルスの伸長か光信号の増幅されたものを圧縮することのどちらかが、ブラッグファイバ導波路に光信号を導くことにより達成され、両方の段階は、必要に応じて、ブラッグファイバ導波路により行われることが可能である。図4aは、そのようなシステムにおける伸長器としてブラッグファイバ401を用いることを示し、図4bは、圧縮器としてブラッグファイバ402を用いている一方、図4cは、伸長器及び圧縮器のそれぞれとしてブラッグファイバ403及び404を用いることを示している。
【0032】
上記説明は単独のパルスに関連しているが、本発明はまた、上記方法の段階の複数の適用による複数のパルスの列を使用することを有する。光信号は、例えば、従来技術において説明されているシードソースから、又は既にチャーピングされた光源から、種々の方法で生成されることが可能である。例えば、一定の信号は、チャーピングされた信号を生成するように変調された波長にあることが可能である、そのような場合、その信号の伸長は、一般に、必要ない。図4eは、そのようなシステムを示し、そのシステムにおいて、チャーピングされた信号は、1つ又はそれ以上の光増幅器に直接、進み、次いで、上記のように、ブラッグファイバ波長又は他の波長による増幅後に圧縮される。
【0033】
最初の光パルスの伸長は、パルスの‘より赤い’又はより長い波長部分をパルスの‘より青い’又はより短い波長部分を超えて遅延するように、ブラッグファイバ導波路をデザインすることにより達成されることが可能である一方、増幅された信号の圧縮は、より青い’波長はより遅延する伸長器の分散とは反対の分散を有するようにデザインされたブラッグファイバ導波路を用いて行われることが可能である。勿論、CPAシステムは、伸長器においてより青い波長を遅延し、遅延されるより赤い波長を圧縮することが可能である。
【0034】
一部の実施形態においては、同心円状の環状領域は、低屈折率に対して高屈折率の交互の屈折率を有することが可能であり、その逆も可能である。内部コアは、気体、例えば、環境の空気で満たされることが可能であり、その環境の空気は、光学窓を通るパルスを伴わずに高エネルギーのパルスを線形圧縮することを可能にする。ブラッグファイバを製造する共通の方法は、マンドレルに物質のバイレイヤシートを巻き付ける段階と、続く、マンドレルから取り外す段階とを有し、バイレイヤは、少なくとも高屈折率材料の1つの層及び低屈折率材料の1つの層を有する。厳密に言えば、それらの実現されたファイバの断面は連続するバイレイヤの螺旋を有し、それ故、その構造は、真に連続するリングとは対照的に、単に実質的に環状であるが、全ての実際的な目的のために、螺旋化による混乱は無視することができ、ファイバは、同心円状のリングを有するとみなすことができる。
【0035】
非環状微細構造領域とは対照的に、環状領域又はバイレイヤ物質のシートは、例えば、微細管を共に束ねることによりエアホールの二次元アレイを有するファイバ断面を生成する他の特殊な光ファイバ導波路とは対照的に、その導波路の簡単な製造を可能にする。それらの他のファイバは、“穴あき”ファイバ、光結晶ファイバ(“PCF”)、微細構造ファイバ等のように複数の名前で呼ばれ、また、光を案内するようにバンドギャップ機構を用いるが、ブラッグファイバモードと異なるモードにある。
【0036】
PCFファイバは線形及び非線形分散の両方を有するため、そのファイバは、チャーピングされたパルス振幅において、しかし、例えば、パルス当たり1μJ以下の非常に小さいパルスエネルギーのみに対して用いられた。従来のPCFファイバは、ファイバのモードの一部においては大き過ぎる損失を被り、USPシステムにおいて有用であるようには十分な分散を有しない。表面粗さ及びクラッドとの光相互作用を制限するバイレイヤ構造のために、ブラッグファイバにはそのような損失はない。
【0037】
ここで説明しているブラッグファイバと同じ効果を達成するのに、即ち、本発明で用いるのに適する、そのようなPCFファイバを構成することが可能であると考えられる。これは、異なる大きさの孔の交互の層によりコアを囲むことにより行われ、孔の各々の層は異なる屈折率を有し、2つのそのような異なる大きさの孔の層はバイレイヤを構成する。そのような構造は図5aに示され、ここで、ファイバ500は交互の層501及び502を有し、それらの各々は、コアを囲む異なる大きさの孔を有する。“欠陥層”が、第3の大きさの孔の層を導入することにより挿入されることが可能であり、上記と同様に、屈折率が単純に交互的でない領域を生成することが可能である。
【0038】
他のファイバの実施形態について、図5bに示す。この実施形態においては、空気又はある他のガスと異なる屈折率を有する材料503が同心円状の環状領域、又は、上記のように、物質の一重螺旋に備えられている。その物質の各々の層と次の層との間には、空気又は気体504の層がある。物質503がその物質自体と接触しないように及び単一の屈折率の物質の大きい厚さを簡単に生じないように、支持部505が、物質503の各々の層を次の層から分離して維持するように含まれている。この構造は、バイレイヤを有するように考慮されていないが、この構造は、交互の屈折率によるブラッグファイバと同じ効果を有する。そのようなファイバが製造されているが、圧縮については用いられていない。
【0039】
本発明はまた、超短高エネルギー光パルスを表面に供給する方法を提供する。図4dに示す一実施形態においては、長短高エネルギー光パルスが、上記の何れの手段により生成され、次いで、ブラッグファイバ導波路405により表面に供給される。図4eに示す他の実施形態においては、超短光パルスが生成され、チャーピングされ、そして増幅され、次いで、作用表面にブラッグファイバ導波路406により供給され、そのブラッグファイバ導波路406は増幅された信号を超短高エネルギーパルスに圧縮する。パスルの品質を壊さず、そのパルスが超短パルスに再圧縮されない非線形相互作用が、ブラッグファイバを用いることにより回避される。モード強度の殆どは、CPAシステムにおける非線形性の効果を限定する空気コア内部に限定される。USPシステムは、圧縮器としてのブラッグファイバの非常に短い長さ、恐らく、約8m程度の短い長さを伴って製造されると考えられる。全ファイバ圧縮器は、CPAシステムが既存のシステムに比べてかなり小さくなるようにされ、ファイバの供給は、例えば、非侵襲的外科手術のような、従来利用できなかった場所におけるUSP技術の応用を可能にする。
【0040】
本発明の他の実施形態は、回折光学要素(DOE)を用いる。DOEは、屈折とは対照的に、光の回折の特徴を用いて、光ビームの振幅、位相及び/又は偏光を変化させる光学要素である。副波長格子(SWG)と呼ばれる特定のDOEの副集合は、構造との相互作用の後に伝播することが可能である回折次数がないように設計された周期的構造を用いる。それらの構造は、効率的な反射防止構造及び偏光子を形成するように示されている人工媒質により近似されることが可能である。そのような構造については、例えば、文献Mait and Praqther eds.,Selected Papers On Subwavelength Diffractive Optics,(SPIE Milestone series Vol.MS166)に記載されている。
【0041】
本発明の一実施形態においては、DOEは、ブラッグファイバに又はブラッグファイバから光を送信するように用いられることが可能である。そのようなDOEは、従来のバルク光学系又はシリカ系ファイバからブラッグファイバへの出力から出射されるモード及び偏光を調節するように用いられることが可能であり、又は、DOEは、適切な出射のためのブラッグファイバから他のシステムの副構成要素への出力を整形するように用いられることが可能である。ブラッグファイバに出射されるパルスは増幅器から直接、もたらされることが可能であり、その増幅器は、典型的な希土類がドープされたファイバ増幅器(例えば、Erがドープされた又はEr:Ybが共にドープされた)及び/又は固体増幅システム(例えば、Nb:YAG,Cr:YAG等)を有することが可能であり、又はパルスは、先ず、その増幅器から他の光学副システムに出射され、続いて、ブラッグファイバに入ることが可能である。ブラッグファイバの選択モード(例えば、低光損失のためのTE01モード)への良好な出射効率のために、副波長位相格子偏光変換器が、非常に高い効率(例えば、95%以上)で直線偏光を円偏光に変換するように用いられることが可能である。本発明は、ブラッグファイバへの又はブラッグファイバからの出射要素として、DOEを用いることには依存しない。出射要素としてのDOEは、そのファイバへの出射の複数の有効な方法のうちの1つとして開示されている。
【0042】
代替として、SWGカップリング要素は、ブラッグファイバに又はブラッグファイバから光を送信するように用いられることが可能である。そのような構成要素はまた、再生増幅器の内部で用いられることが可能である。増幅器出力パルスをCPAシステムにおけるブラッグファイバ圧縮器に結合する効率は、このステージにおける非効率性はこのシステムの資本コスト及び動作コストの両方のコスト及び大きさをかなり増大させるために、非常に重要である。効率的に結合されることができるモード及びその効率的なモードにパワー増幅器の直線偏光出力を変換するための効率的なSWGの組み合わせは、効率性を高め、システムコスト及び大きさを低減する。
【0043】
SWGによる光ビームの偏光を制御する一方法は、ワイヤグリッド偏光子を形成するように誘電体又は半導体基板に堆積される金属ストライプを用い、これについては、例えば、文献“The Wire Grid As A Near−Infrared Polarizer”,by Bird and Parrish,J.Optical Society of America 50(9),pp886−891(September 1960)を参照されたい。この場合、構造は、導電性金属ストライプに対して平行な偏光を有する放射線を伝送することにより偏光子としての役割を果たす。二次元平面における金属の一次元周期構造の配向を局所的に変えることにより任意に偏光された入力ビームの偏光を空間的に制御することができることがまた、示されていて、これについては、例えば、文献Optics Letters 26(1),pp.33−35(1 January 2001)by Bomzon,Kleiner and Hasmanを参照されたい。金属ストライプを用いる偏光操作は偏光依存性損失に依存し、それ故、入力光ビームを必ず減衰させる。
【0044】
他のSWG構造は、入力偏光ビームの偏光状態を変更するように用いられることが可能である。物質は“人工複屈折”を現すように構造化されることが可能であり、その“人工複屈折”は、入射ビームの偏光を制御するように用いられることが可能である。この場合、格子深さは、4分の1波長板又は2分の1波長板を形成するように適切に選択され、これについては、例えば、文献“Holographic Quarter Wave Plates”,by Cescato,Gluch and Streibl,Applied Optics 29(1990)を参照されたい。偏光回転量は、図6に示すように、入力ビーム偏光方向とSWG格子ベクトルとの間の角度差に比例する。人工複屈折構造については、文献“Computer−Generated Relief Grating As Space−Variant Polarization Elements”,by Davidson,Friesem and Hasman,Optics Letters 17(1992)及びSelective Mode Excitation In Spacialty Waveguides Using Micro Optical Element,byMohammed,PhD dissertation,University of Central Florida,Orlando,Florida(2004)に詳細に記載されている。Mohammedの論文においては、人工複屈折DOEが、中空コア金属導波路に光を結合させるように用いられる。しかしながら、Mohammedの論文において記載されている格子溝は連続的ではなく、付加回折を生成し、その要素の効率を制限している。本発明の好適な実施形態においては、SWGの格子ベクトルは、装置効率を改善するように連続して変化する。
【0045】
そのようなSWGは、例えば、溶融シリカ又は半導体物質(例えば、シリコン又はGaAs)のような誘電体基板上に形成されることが可能であるが、それに限定されるものではない。入力偏光に応じて、副波長構造が、リフトオフ技術を用いて基板上に金属のワイヤを選択的に蒸着させることにより形成されることが可能であり、その装置は偏光子として用いられ、位相差板として用いるために、半導体工業で一般に用いられている誘電体又は金属マスキング技術を用いる物質にエッチングされるようになっている。マスターパターンは、電子ビームリソグラフィにより好適に描画され、次いで、標準レプリカ技術により複製されることが可能である。SWGはまた、増幅、位相及び偏光の所望の組み合わせを光ビームに対して適合させるように同じウェーハにおいて統合される他のDOEと組み合わされることが可能である。そのような組み合わせは、レンズのSWGとの前後の位置合わせ、又はそのSWG構造を他のDOEと直接多重化することを有することが可能である。
【0046】
一実施形態においては、光信号は、ブラッグファイバ圧縮器に結合するために、光ファイバの円偏光高次TE01に結合される。しかしながら、副波長格子が、他の応用のためにブラッグファイバに結合するための偏光変換のために、特に、特定のブラッグファイバモードの分散及び空間特性をうまく利用するようにCPAシステムにおいて、用いられることが可能である。
【0047】
本発明の他の実施形態においては、SWGは、レンズ要素によりフォーカシングする前に、超短高エネルギーパルへの圧縮後に、光ビームの偏光に変換するように用いられる。レンズ要素は、屈折性又は回折性であることが可能である。一実施形態においては、レンズ及びSWGは同じ基板上に製造される。
【0048】
ブラッグファイバは、逆非線形効果を伴わずにパルス伸長又は圧縮に適する非常に高い分散を可能にする。ブラッグファイバモードは、上記のSWG要素により励起されることが可能である。図6は、SWGを通る入射ビームの偏光回転を示し、格子溝の配向は次式のようであることが可能である。
【0049】
φ=(αi+αout)/2
SWGの配向は、出力ビームの偏光を所望のブラッグファイバモードにマッピングするように空間的に変化される。
【0050】
ブラッグファイバは、化学的気相成長法(CVD)、液相エピタキシ法(LPE)、電気泳動堆積法(EPD)、電気メッキ等を含む複数の方法により製造されることが可能である。Fink等は、特定の技術について記載しているが、EPDはまた、適切に機能する。EPDは、ブラッグファイバを形成するために必要な高コントラストの屈折率を得、所望の分散特性を得る構造に欠陥を選択的に導入するように金属及び絶縁体の両方の均一な堆積を可能にする。
【0051】
図7に示すように、ブラッグファイバはまた、CPAシステムの増幅器の部分における遅延線として用いられることが可能である。複数のUSPレーザは、材料を除去するために必要なパルスエネルギーを得るように再生増幅器構造を用いる。典型的に再生可能な増幅器は、伸長パルスを増幅器材料を数回通って循環させるように遅延線を有する利得媒体を有する。この遅延線は、遅延ループに及び遅延ループから光を結合させるように光スイッチと、そのループを終了するための受動構成要素とを有することが可能である。光スイッチは、電気光学(ポッケルスセル)スイッチ、音響光学スイッチ又は他の携帯の光学スイッチであることが可能である。それらの受動光学構成要素は、ミラー、レンズ、偏光子及び他の要素の組み合わせを有することが可能である。光学要素間の間隔は、好ましい遅延により決定され、その好ましい遅延はしばしば、スイッチの応答時間及び光パルスの長さにより決定される。
【0052】
光スイッチの応答時間は、数ナノ秒乃至数百ナノ秒の範囲内にあることが可能である。スイッチング時間のナノ秒毎に、約1フィートの光路を必要とし、その光路は、増幅器遅延システムの大きさ及び関連するコストを増大させる。従来方法においては、光学スイッチの大きさの低減は、同じ光路長を保ちながら、より小さいパッケージにおいて光を更に複数回反射するように、更なるミラー及び受動構成要素を用いる折り畳みキャビティデザインを実施することが必要である。折り畳みキャビティは、コンパクトなサイズを達成するように複数のミラーを用いることが可能である。各々のミラーが96%反射可能であり、光が5回反射される場合、遅延線の全体の効率は約(0.96)5、即ち81%であり、この数字は、単独の経路における光利得媒体の利得より大きい。しかしながら、ミラーは、100%より小さい反射率を有し、透過において完全に損失の伴わない媒体はなく、折り畳みキャビティは、光パルスが表面で反射される又は媒体を通って透過する(利得媒体以外の)毎に全体的な効率を低減する。ブラッグファイバを使用することにより、この問題を緩和することができる。長い光学的時間遅延は、コンパクトな空間においてブラッグファイバ701をぐるぐる巻くことにより、達成することができる。この遅延線で用いられるブラッグファイバは、低光損失及び低分散を有するように設計され、そのことは、パルスを変形しないようにする。
【0053】
本発明及び本発明の有利点について、上で詳述したが、同時提出の特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲及び主旨から逸脱することなく、種々の変形、置き換え及び代替を実施することができることを理解する必要がある。更に、本発明の範囲は、詳細な説明に記載されている処理、機器、製造、物質の成分、手段、方法及び段階の特定の実施形態に限定されるように意図されるものではなく、請求項のみにより限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】典型的なチャーピングパルス増幅システムのブロック図である。
【図2a】本発明で用いることが可能である種類のブラッグファイバ導波路の断面構造の模式図である。
【図2b】本発明で用いることが可能である種類のブラッグファイバ導波路の断面構造の模式図である。
【図3a】パルス圧縮の実施例を示す図であって、標準的なシリカ系ファイバの大きいコアにおける非線形性による劣化の実施例を示す図であり、最初のパルスエネルギーは10μJであり、パルス幅は10psecである、図である。
【図3b】パルス圧縮の実施例を示す図であって、標準的なシリカ系ファイバに類似する分散パラメータを有する中空のコアファイバにおいて同じパルスの圧縮を示す、図である。
【図4a】チャーピングパルス増幅システムの異なる部分においてブラックファイバを有するそのシステムのブロック図である。
【図4b】チャーピングパルス増幅システムの異なる部分においてブラックファイバを有するそのシステムのブロック図である。
【図4c】チャーピングパルス増幅システムの異なる部分においてブラックファイバを有するそのシステムのブロック図である。
【図4d】チャーピングパルス増幅システムの異なる部分においてブラックファイバを有するそのシステムのブロック図である。
【図4e】チャーピングパルス増幅システムの異なる部分においてブラックファイバを有するそのシステムのブロック図である。
【図5a】本発明の一部の実施形態において用いられルことが可能である交互のファイバ構造を示すである。
【図5b】本発明の一部の実施形態において用いられルことが可能である交互のファイバ構造を示すである。
【図6】出力ビームの偏光をマッピングするために空間的に変えられる副波長格子を通る入射ビームの偏光回転を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態で用いられる再生増幅器構成のブロック図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超短高エネルギー光パルスを生成する方法であって:
チャーピング光信号を生成する段階;
前記チャーピング光信号を増幅する段階;及び
前記増幅されたチャーピング光信号を超短持続時間光パルスに圧縮する段階であって、前記圧縮の少なくとも一部は、前記光信号をブラッグファイバ導波路に導くことにより実行され、前記導波路は、前記光信号が殆ど限定される内部コア領域と、前記内部コア領域を囲む異なる屈折率の複数の実質的に同心円状の環状領域とを有する、段階;
を有する方法。
【請求項2】
超短高エネルギー光パルスを生成する方法であって:
光信号を生成する段階;
前記光信号をブラッグファイバ導波路に導くことにより前記光信号を伸長する段階であって、前記ブラッグファイバ導波路は、前記光信号が殆ど限定される内部コア領域と、前記内部コア領域を囲む異なる屈折率の複数の実質的に同心円状の環状領域とを有する、段階;
前記伸長された光信号を増幅する段階;及び
前記増幅された光信号を超短持続時間光パルスに圧縮する段階;
を有する方法。
【請求項3】
高エネルギー超短光パルスを生成する方法であって:
チャーピング光信号を生成する段階;
前記チャーピング光信号を増幅する段階;及び
前記増幅された光信号を超短光パルスに圧縮する段階であって、前記チャーピング光信号を生成する段階及び前記光信号を圧縮する段階のうちの少なくとも一は、前記光信号をブラッグファイバ導波路に導く段階を更に有し、前記ブラッグファイバ導波路は、前記光信号が殆ど限定される内部コア領域と、前記内部コア領域を囲む異なる屈折率の複数の実質的に同心円状の環状領域とを有する、段階;
を有する方法。
【請求項4】
請求項1乃至3及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記増幅された光信号を圧縮する前記段階は、大きい分散特性及び1.4より小さい前記コアにおける屈折率を有するブラッグファイバ導波路に前記光信号を導く段階を更に有する、方法。
【請求項5】
請求項1乃至4及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記光信号を伸長する前記段階は、大きい分散特性及び1.4より小さい前記コアにおける屈折率を有するブラッグファイバ導波路に前記光信号を導く段階を更に有する、方法。
【請求項6】
請求項1乃至5及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記光信号を伸長する前記段階又は前記光信号を圧縮する前記段階の少なくとも一は、前記光信号を回折格子に導く段階を更に有する、方法。
【請求項7】
請求項1乃至6及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記チャーピング光信号を生成する前記段階又は前記増幅された光信号を圧縮する前記段階の少なくとも一は、前記光信号を回折格子に導く段階を更に有する、方法。
【請求項8】
請求項1乃至7及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記ブラッグファイバ導波路は、前記ファイバの物質分散の少なくとも3倍大きい導波路分散を有する、方法。
【請求項9】
請求項1乃至8及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、第2ブラッグファイバ導波路を通って作用表面に前記超短光パルスを供給する段階を更に有する、方法。
【請求項10】
請求項1乃至9及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記ブラッグファイバ導波路において区別可能な屈折率の前記複数の実質的に同心円状の環状領域の2つを有するバイレイヤは、前記複数の実質的に同心円状の環状領域の異なる2つを有する他のバイレイヤと異なる厚さ又は屈折率を有する、方法。
【請求項11】
請求項1乃至10及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記ブラッグファイバ導波路はマルチモードのブラッグファイバ導波路である、方法。
【請求項12】
請求項1乃至11及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記光信号は、前記ブラッグファイバのモードに前記光信号の極性及び空間プロファイルを適合させる回折要素から前記ブラッグファイバ導波路に導かれる、方法。
【請求項13】
請求項1乃至12及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記光信号が時間遅延されるように、最小分散特性を有する第2ブラッグファイバ導波路を前記光信号が通るようにする、方法。
【請求項14】
請求項1乃至13及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記光信号を超短光パルスに圧縮する前記段階は、10ピコ秒より短い持続時間を有するパルスに前記光信号を圧縮する段階を更に有する、方法。
【請求項15】
請求項1乃至14及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記回折要素は副波長回折格子を更に有する、方法。
【請求項16】
請求項1乃至15及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記副波長回折格子は金属ワイヤ格子を更に有する、方法。
【請求項17】
請求項1乃至16及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記回折要素は直線偏光ビームを円偏光ビームに変換する、方法。
【請求項18】
請求項1乃至17及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記光信号は、ブラッグファイバのモードに前記光信号の前記極性及び空間プロファイルを適合させる回折要素及びビーム整形光学要素を有する光学要素から前記ブラッグファイバ導波路に導かれる、方法。
【請求項19】
請求項1乃至18及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記ビーム整形光学要素は屈折レンズである、方法。
【請求項20】
請求項1乃至19及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記ビーム整形光学要素は回折レンズである、方法。
【請求項21】
請求項1乃至20及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記ビーム整形光学要素は他の回折要素である、方法。
【請求項22】
請求項1乃至21及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記光要素はビーム整形光要素を有し、回折要素は単独の基板に形成される、方法。
【請求項23】
請求項1乃至22及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記回折要素は空間的に変わる2分の1波長板である、方法。
【請求項24】
請求項1乃至23及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記回折要素は空間的に変わる4分の1波長板である、方法。
【請求項25】
請求項1乃至24及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記回折要素は空間的に変わる偏光子である、方法。
【請求項26】
請求項1乃至25及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記回折要素は、誘電体基板に対して構造をエッチングすることにより形成される、方法。
【請求項27】
請求項1乃至26及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記回折要素は、半導体基板に対して構造をエッチングすることにより形成される、方法。
【請求項28】
請求項1乃至27及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記回折要素は、前記基板の裏側に反射防止コーティングを有する透明な誘電体基板に対してエッチングにより形成される、方法。
【請求項29】
請求項1乃至28及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記回折要素は、前記基板の裏側に反射防止副波長構造を有する透明な誘電体基板に対してエッチングにより形成される、方法。
【請求項30】
請求項1乃至29及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、ブラッグファイバモードから異なるモードに前記極性及び空間プロファイルを変換するように、前記ブラッグファイバ導波路から回折要素に出力を導く段階を更に有する、方法。
【請求項31】
請求項1乃至30及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記ブラッグファイバ導波路は、前記バイレイヤが螺旋構成にあるように、前記コアの周りに巻き付けられている2つの区別可能な屈折率の物質より成るバイレイヤを更に有する、方法。
【請求項32】
高エネルギー超短光パルスを生成する方法であって:
チャーピング光信号を生成する段階;
前記チャーピング光信号を増幅する段階;並びに
前記増幅された光信号を超短光パルスに圧縮する段階であって、前記チャーピング光信号を生成する段階及び前記光信号を圧縮する段階のうちの少なくとも一は、前記光信号をブラッグファイバ導波路に導く段階を更に有し、前記ブラッグファイバ導波路は、前記光信号が殆ど限定される内部コア領域と、前記内部コア領域を囲む交互の固体物質及び気体の複数の実質的に同心円状の環状領域とを有する、段階;
を有する方法。
【請求項33】
高エネルギー超短光パルスを生成する方法であって:
チャーピング光信号を生成する段階;
前記チャーピング光信号を増幅する段階;及び
前記増幅された光信号を超短光パルスに圧縮する段階;
を有する方法であり、
前記チャーピング光信号を生成する前記段階及び前記光信号を圧縮する前記段階の少なくとも一は、前記光信号を光結晶ファイバ導波路に導く段階を有し、前記導波路は:
前記光信号が殆ど限定される内部コア領域;並びに
前記内部コア領域を囲む複数の実質的に同心円状の環状領域であって、各々は、第2サイズの孔を有する第2の実質的に環状領域により囲まれている第1サイズの孔を有する第1の実質的に環状領域を有する、複数の実質的に同心円状の環状領域;
を有する、方法。
【請求項34】
高エネルギー超短光パルスを生成する方法であって:
チャーピング光信号を生成する段階;
前記チャーピング光信号を増幅する段階;及び
前記チャーピング光信号を超短持続時間光パルスに圧縮する段階;及び
ブラッグファイバ導波路により作用表面に前記超短光パルスを供給する段階であって、前記導波路は、前記光信号が殆ど限定される内部コア領域と、前記コア領域を囲む異なる屈折率の複数の実質的に同心円状の環状領域と、を有する、段階;
を有する方法。
【請求項35】
1μJより大きいエネルギーを有する超短パルスにより表面から物質を除去するためのシステムであって:
光信号を生成するための手段;
前記光信号を伸長するための第1ファイバ導波路;
前記伸長された光信号を増幅するための手段;
前記増幅された光信号を超短持続時間光パルスに圧縮するための第2ファイバ導波路;及び
除去されるように前記表面に対して前記超短持続時間パルスを供給するための手段;
を有するシステムであり、
前記第1ファイバ導波路及び第2ファイバ導波路のうちの少なくとも一は、前記光信号が殆ど限定されている内部コア領域と、前記コア領域を囲む異なる屈折率の複数の実質的に同心円状の環状領域と、を有する;
システム。
【請求項36】
請求項35又は40に記載のシステムであって、前記表面に前記超短パルスを供給するための手段は前記第2ファイバ導波路である、システム。
【請求項37】
請求項35、36及び40の何れか一項に記載のシステムであって、前記表面に前記超短パルスを供給するための手段は、前記光信号が殆ど限定されている内部コア領域と、前記コア領域を囲む異なる屈折率の複数の実質的に同心円状の環状領域と、を有する第3ファイバ導波路である、システム。
【請求項38】
請求項35乃至37及び40の何れか一項に記載のシステムであって、前記第2ファイバ導波路は光結晶ファイバである、システム。
【請求項39】
請求項35乃至38及び40の何れか一項に記載のシステムであって、前記伸長された光信号を増幅するための前記手段は、エルビウムが添加されたファイバ導波路、共添加されたファイバ導波路又はブラッグファイバ導波路である、システム。
【請求項40】
波長帯域においてエネルギーを有し、中心波長により特徴付けられる光信号を増幅するためのシステムであって:
共振キャビティ;
前記光信号の前記波長帯域を少なくとも一部が重なり合う利得帯域幅により特徴付けられる前記共振キャビティにおける利得媒体;
前記光信号が利得媒体を通って複数回、循環する遅延線であって、前記遅延線は、ブラッグファイバ導波路と、前記ブラッグファイバ導波路に及び前記ブラッグファイバ導波路から光を結合するための光スイッチと、を有する、遅延線;
前記光信号を前記共振キャビティに注入するための入力ポート;並びに
前記共振キャビティから増幅された信号を抽出するための出力ポート;
を有するシステム。
【請求項1】
超短高エネルギー光パルスを生成する方法であって:
チャーピング光信号を生成する段階;
前記チャーピング光信号を増幅する段階;及び
前記増幅されたチャーピング光信号を超短持続時間光パルスに圧縮する段階であって、前記圧縮の少なくとも一部は、前記光信号をブラッグファイバ導波路に導くことにより実行され、前記導波路は、前記光信号が殆ど限定される内部コア領域と、前記内部コア領域を囲む異なる屈折率の複数の実質的に同心円状の環状領域とを有する、段階;
を有する方法。
【請求項2】
超短高エネルギー光パルスを生成する方法であって:
光信号を生成する段階;
前記光信号をブラッグファイバ導波路に導くことにより前記光信号を伸長する段階であって、前記ブラッグファイバ導波路は、前記光信号が殆ど限定される内部コア領域と、前記内部コア領域を囲む異なる屈折率の複数の実質的に同心円状の環状領域とを有する、段階;
前記伸長された光信号を増幅する段階;及び
前記増幅された光信号を超短持続時間光パルスに圧縮する段階;
を有する方法。
【請求項3】
高エネルギー超短光パルスを生成する方法であって:
チャーピング光信号を生成する段階;
前記チャーピング光信号を増幅する段階;及び
前記増幅された光信号を超短光パルスに圧縮する段階であって、前記チャーピング光信号を生成する段階及び前記光信号を圧縮する段階のうちの少なくとも一は、前記光信号をブラッグファイバ導波路に導く段階を更に有し、前記ブラッグファイバ導波路は、前記光信号が殆ど限定される内部コア領域と、前記内部コア領域を囲む異なる屈折率の複数の実質的に同心円状の環状領域とを有する、段階;
を有する方法。
【請求項4】
請求項1乃至3及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記増幅された光信号を圧縮する前記段階は、大きい分散特性及び1.4より小さい前記コアにおける屈折率を有するブラッグファイバ導波路に前記光信号を導く段階を更に有する、方法。
【請求項5】
請求項1乃至4及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記光信号を伸長する前記段階は、大きい分散特性及び1.4より小さい前記コアにおける屈折率を有するブラッグファイバ導波路に前記光信号を導く段階を更に有する、方法。
【請求項6】
請求項1乃至5及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記光信号を伸長する前記段階又は前記光信号を圧縮する前記段階の少なくとも一は、前記光信号を回折格子に導く段階を更に有する、方法。
【請求項7】
請求項1乃至6及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記チャーピング光信号を生成する前記段階又は前記増幅された光信号を圧縮する前記段階の少なくとも一は、前記光信号を回折格子に導く段階を更に有する、方法。
【請求項8】
請求項1乃至7及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記ブラッグファイバ導波路は、前記ファイバの物質分散の少なくとも3倍大きい導波路分散を有する、方法。
【請求項9】
請求項1乃至8及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、第2ブラッグファイバ導波路を通って作用表面に前記超短光パルスを供給する段階を更に有する、方法。
【請求項10】
請求項1乃至9及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記ブラッグファイバ導波路において区別可能な屈折率の前記複数の実質的に同心円状の環状領域の2つを有するバイレイヤは、前記複数の実質的に同心円状の環状領域の異なる2つを有する他のバイレイヤと異なる厚さ又は屈折率を有する、方法。
【請求項11】
請求項1乃至10及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記ブラッグファイバ導波路はマルチモードのブラッグファイバ導波路である、方法。
【請求項12】
請求項1乃至11及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記光信号は、前記ブラッグファイバのモードに前記光信号の極性及び空間プロファイルを適合させる回折要素から前記ブラッグファイバ導波路に導かれる、方法。
【請求項13】
請求項1乃至12及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記光信号が時間遅延されるように、最小分散特性を有する第2ブラッグファイバ導波路を前記光信号が通るようにする、方法。
【請求項14】
請求項1乃至13及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記光信号を超短光パルスに圧縮する前記段階は、10ピコ秒より短い持続時間を有するパルスに前記光信号を圧縮する段階を更に有する、方法。
【請求項15】
請求項1乃至14及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記回折要素は副波長回折格子を更に有する、方法。
【請求項16】
請求項1乃至15及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記副波長回折格子は金属ワイヤ格子を更に有する、方法。
【請求項17】
請求項1乃至16及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記回折要素は直線偏光ビームを円偏光ビームに変換する、方法。
【請求項18】
請求項1乃至17及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記光信号は、ブラッグファイバのモードに前記光信号の前記極性及び空間プロファイルを適合させる回折要素及びビーム整形光学要素を有する光学要素から前記ブラッグファイバ導波路に導かれる、方法。
【請求項19】
請求項1乃至18及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記ビーム整形光学要素は屈折レンズである、方法。
【請求項20】
請求項1乃至19及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記ビーム整形光学要素は回折レンズである、方法。
【請求項21】
請求項1乃至20及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記ビーム整形光学要素は他の回折要素である、方法。
【請求項22】
請求項1乃至21及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記光要素はビーム整形光要素を有し、回折要素は単独の基板に形成される、方法。
【請求項23】
請求項1乃至22及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記回折要素は空間的に変わる2分の1波長板である、方法。
【請求項24】
請求項1乃至23及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記回折要素は空間的に変わる4分の1波長板である、方法。
【請求項25】
請求項1乃至24及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記回折要素は空間的に変わる偏光子である、方法。
【請求項26】
請求項1乃至25及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記回折要素は、誘電体基板に対して構造をエッチングすることにより形成される、方法。
【請求項27】
請求項1乃至26及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記回折要素は、半導体基板に対して構造をエッチングすることにより形成される、方法。
【請求項28】
請求項1乃至27及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記回折要素は、前記基板の裏側に反射防止コーティングを有する透明な誘電体基板に対してエッチングにより形成される、方法。
【請求項29】
請求項1乃至28及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記回折要素は、前記基板の裏側に反射防止副波長構造を有する透明な誘電体基板に対してエッチングにより形成される、方法。
【請求項30】
請求項1乃至29及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、ブラッグファイバモードから異なるモードに前記極性及び空間プロファイルを変換するように、前記ブラッグファイバ導波路から回折要素に出力を導く段階を更に有する、方法。
【請求項31】
請求項1乃至30及び32乃至34の何れか一項に記載の方法であって、前記ブラッグファイバ導波路は、前記バイレイヤが螺旋構成にあるように、前記コアの周りに巻き付けられている2つの区別可能な屈折率の物質より成るバイレイヤを更に有する、方法。
【請求項32】
高エネルギー超短光パルスを生成する方法であって:
チャーピング光信号を生成する段階;
前記チャーピング光信号を増幅する段階;並びに
前記増幅された光信号を超短光パルスに圧縮する段階であって、前記チャーピング光信号を生成する段階及び前記光信号を圧縮する段階のうちの少なくとも一は、前記光信号をブラッグファイバ導波路に導く段階を更に有し、前記ブラッグファイバ導波路は、前記光信号が殆ど限定される内部コア領域と、前記内部コア領域を囲む交互の固体物質及び気体の複数の実質的に同心円状の環状領域とを有する、段階;
を有する方法。
【請求項33】
高エネルギー超短光パルスを生成する方法であって:
チャーピング光信号を生成する段階;
前記チャーピング光信号を増幅する段階;及び
前記増幅された光信号を超短光パルスに圧縮する段階;
を有する方法であり、
前記チャーピング光信号を生成する前記段階及び前記光信号を圧縮する前記段階の少なくとも一は、前記光信号を光結晶ファイバ導波路に導く段階を有し、前記導波路は:
前記光信号が殆ど限定される内部コア領域;並びに
前記内部コア領域を囲む複数の実質的に同心円状の環状領域であって、各々は、第2サイズの孔を有する第2の実質的に環状領域により囲まれている第1サイズの孔を有する第1の実質的に環状領域を有する、複数の実質的に同心円状の環状領域;
を有する、方法。
【請求項34】
高エネルギー超短光パルスを生成する方法であって:
チャーピング光信号を生成する段階;
前記チャーピング光信号を増幅する段階;及び
前記チャーピング光信号を超短持続時間光パルスに圧縮する段階;及び
ブラッグファイバ導波路により作用表面に前記超短光パルスを供給する段階であって、前記導波路は、前記光信号が殆ど限定される内部コア領域と、前記コア領域を囲む異なる屈折率の複数の実質的に同心円状の環状領域と、を有する、段階;
を有する方法。
【請求項35】
1μJより大きいエネルギーを有する超短パルスにより表面から物質を除去するためのシステムであって:
光信号を生成するための手段;
前記光信号を伸長するための第1ファイバ導波路;
前記伸長された光信号を増幅するための手段;
前記増幅された光信号を超短持続時間光パルスに圧縮するための第2ファイバ導波路;及び
除去されるように前記表面に対して前記超短持続時間パルスを供給するための手段;
を有するシステムであり、
前記第1ファイバ導波路及び第2ファイバ導波路のうちの少なくとも一は、前記光信号が殆ど限定されている内部コア領域と、前記コア領域を囲む異なる屈折率の複数の実質的に同心円状の環状領域と、を有する;
システム。
【請求項36】
請求項35又は40に記載のシステムであって、前記表面に前記超短パルスを供給するための手段は前記第2ファイバ導波路である、システム。
【請求項37】
請求項35、36及び40の何れか一項に記載のシステムであって、前記表面に前記超短パルスを供給するための手段は、前記光信号が殆ど限定されている内部コア領域と、前記コア領域を囲む異なる屈折率の複数の実質的に同心円状の環状領域と、を有する第3ファイバ導波路である、システム。
【請求項38】
請求項35乃至37及び40の何れか一項に記載のシステムであって、前記第2ファイバ導波路は光結晶ファイバである、システム。
【請求項39】
請求項35乃至38及び40の何れか一項に記載のシステムであって、前記伸長された光信号を増幅するための前記手段は、エルビウムが添加されたファイバ導波路、共添加されたファイバ導波路又はブラッグファイバ導波路である、システム。
【請求項40】
波長帯域においてエネルギーを有し、中心波長により特徴付けられる光信号を増幅するためのシステムであって:
共振キャビティ;
前記光信号の前記波長帯域を少なくとも一部が重なり合う利得帯域幅により特徴付けられる前記共振キャビティにおける利得媒体;
前記光信号が利得媒体を通って複数回、循環する遅延線であって、前記遅延線は、ブラッグファイバ導波路と、前記ブラッグファイバ導波路に及び前記ブラッグファイバ導波路から光を結合するための光スイッチと、を有する、遅延線;
前記光信号を前記共振キャビティに注入するための入力ポート;並びに
前記共振キャビティから増幅された信号を抽出するための出力ポート;
を有するシステム。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【公表番号】特表2008−523621(P2008−523621A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545521(P2007−545521)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/043547
【国際公開番号】WO2006/065550
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(507194475)レイディアンス,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2005/043547
【国際公開番号】WO2006/065550
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(507194475)レイディアンス,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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