説明

高分子化合物およびそれを用いた高分子発光素子

【課題】発光材料や電荷輸送材料として有用で、耐熱性、蛍光強度等に優れた高分子化合物およびそれを用いた素子寿命、発光効率等の素子特性に優れた高分子発光素子を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される繰り返し単位とフルオレン誘導体および(3)から選ばれる繰り返し単位とを含む高分子化合物。


(式中、Ar1はアリール基等を表し、Ar2はアリーレン基等を表す。Zは縮合環構造を有する二価の芳香族基を表す。)


(式中、C環およびD環は、芳香環を表し、Yは酸素原子等を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子化合物およびそれを用いた高分子発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
溶媒に可溶な高分子量の発光材料や電荷輸送材料は塗布法により発光素子における有機層を形成できることから種々検討されており、その例として、ジフェニルアミノアントラセンジイル基と、フルオレンジイル基とを含む高分子化合物が知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】国際公開第2005/49546号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の高分子化合物は、その耐熱性、蛍光強度が必ずしも十分でなく、上記の高分子化合物を用いた発光素子は、その素子寿命、発光効率等の素子特性が必ずしも十分でないという問題があった。
本発明の目的は、発光材料や電荷輸送材料として有用で、耐熱性、蛍光強度等に優れた高分子化合物およびそれを用いた素子寿命、発光効率等の素子特性に優れた高分子発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち本発明は、下記式(1)で表される繰り返し単位の1種類以上と下記式(2)および(3)から選ばれる繰り返し単位の1種類以上とを含む高分子化合物を提供するものである。



(式中、Ar1は置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい一価の芳香族複素環基を表し、Ar2は置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい二価の芳香族複素環基を表す。Zは縮合環構造を有する二価の芳香族基を表し、該基は置換基を有していてもよい。2個のAr1は、同一であっても異なっていてもよく、2個のAr2は、同一であっても異なっていてもよい。)



(式中、A環およびB環はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表すが、A環およびB環の少なくとも1つが、複数個のベンゼン環が縮合した芳香族炭化水素環であり、2つの結合手はそれぞれA環またはB環上に存在し、RwおよびRxはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表し、RwとRxは互いに結合して環を形成していてもよい。)



(式中、C環およびD環はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表し、2つの結合手はそれぞれC環またはD環上に存在する。Yは酸素原子、硫黄原子または−O−C(RK2−を表す。RKは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基またはシアノ基を表す。2個のRKは、同一であっても異なっていてもよい。)
【発明の効果】
【0006】
本発明の高分子化合物は、発光材料や電荷輸送材料として有用で、耐熱性、蛍光強度等に優れ、該高分子化合物を使用した発光素子は素子寿命、発光効率等の性能に優れる。したがって、本発明の高分子化合物を含む高分子LEDは、液晶ディスプレイのバックライトまたは照明用としての曲面状や平面状の光源、セグメントタイプの表示素子、ドットマトリックスのフラットパネルディスプレイなどに使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の高分子化合物は上記式(1)で示される繰り返し単位を1種または2種以上含む。
【0008】
式(1)において、Ar1は置換基を有していてもよいアリール基または一価の芳香族複素環基を表す。2個のAr1は、同一であっても異なっていてもよい。Ar1は好ましくはアリール基を表す。
【0009】
ここでアリール基とは、芳香族炭化水素から、水素原子1個を除いた原子団であり、独立したベンゼン環または縮合環をもつものが含まれる。アリール基は、炭素数が通常6〜60程度、好ましくは6〜48であり、より好ましくは6〜30であり、より一層好ましくは6〜18であり、さらに好ましくは6〜10であり、特に好ましくは6である。該炭素数は置換基の炭素数は含まない。アリール基の具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、1−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基などが挙げられ、好ましくはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基であり、より好ましくはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基であり、さらに好ましくはフェニル基である。
【0010】
一価の芳香族複素環基とは、芳香族複素環化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常4〜60程度、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜9であり、さらに好ましくは4〜5である。なお、一価の芳香族複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。ここに複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、燐、硼素などのヘテロ原子を環内に含むものをいう。一価の芳香族複素環基の具体例としては、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、6−イソキノリル基、などが例示され、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、6−イソキノリル基が好ましく、2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基がより好ましく、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基がさらに好ましい。
【0011】
Ar1が置換基を有する場合、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、置換基が、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであることが好ましい。より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであり、より一層好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基および置換カルボキシル基から選ばれるものであり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基から選ばれるものであり、特に好ましくはアルキル基である。
【0012】
ここに、アルキル基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、炭素数が通常1〜20程度、好ましくは炭素数1〜15であり、より好ましくは1〜10であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基などが挙げられ、素子特性、合成の行いやすさ等の観点と耐熱性とのバランスからは、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基が挙げられる。
【0013】
アルコキシ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、炭素数が通常1〜20程度、好ましくは炭素数1〜15であり、その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基、2−エトキシエチルオキシ基などが挙げられ、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点と耐熱性とのバランスからは、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基が挙げられる。
【0014】
アルキルチオ基は、直鎖、分岐または環状のいずれでもよく、炭素数が通常1〜20程度、好ましくは炭素数3〜20であり、その具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基、トリフルオロメチルチオ基などが挙げられ、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点と耐熱性とのバランスからは、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基が挙げられる。
【0015】
アリール基は、芳香族炭化水素から、水素原子1個を除いた原子団であり、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環または縮合環2個以上が直接またはビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。アリール基は、全炭素数が通常6〜60程度、好ましくは7〜48である。その具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基などが例示され、これらはさらにアルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基などの置換基を有していてもよい。これらの有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、炭素数1〜12のアルキル基および/または炭素数1〜12のアルコキシ基および/またはアルキルオキシカルボニル基を1つ以上置換基として有するフェニル基が好ましく、その具体例としては、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−プロピルフェニル基、メシチル基、4−i−プロピルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−i−ブチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−ペンチルフェニル基、4−イソアミルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、2,6−ジメチル−4−t−ブチルフェニル基、4−ヘプチルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−ノニルフェニル基、4−デシルフェニル基、4−ドデシルフェニル基、3−メチルオキシフェニル基、4−メチルオキシフェニル基、3,5−ジメチルオキシフェニル基、4−プロピルオキシフェニル基、4−i−プロピルオキシフェニル基、4−ブチルオキシフェニル基、4−i−ブチルオキシフェニル基、4−t−ブチルオキシフェニル基、4−ヘキシルオキシフェニル基、3,5−ジヘキシルオキシフェニル基、4−ヘプチルオキシフェニル基、4−オクチルオキシフェニル基、4−ノニルオキシフェニル基、4−(メトキシメトキシ)フェニル基、3−(メトキシメトキシ)フェニル基、4−(2−エトキシ−エトキシ)フェニル基、3−(2−エトキシ−エトキシ)フェニル基、3,5−ビス(2−エトキシ−エトキシ)フェニル基、3−メトキシカルボニルフェニル基、4−メトキシカルボニルフェニル基、3,5−ジメトキシカルボニルフェニル基、3−エトキシカルボニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、3−エチルオキシカルボニル−4−メトキシフェニル基、3−エチルオキシカルボニル−4−エトキシフェニル基、3−エチルオキシカルボニル−4−ヘキシルオキシフェニル基などが挙げられる。
【0016】
アリールオキシ基は、炭素数が通常6〜60程度、好ましくは7〜48であり、その具体例としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基(C1〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ペンタフルオロフェニルオキシ基などが例示され、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
1〜C12アルコキシとして具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシなどが例示される。
1〜C12アルキルフェノキシ基として具体的にはメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、i−プロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、i−ブチルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ドデシルフェノキシ基などが例示される。
【0017】
アリールチオ基は、炭素数が通常3〜60程度であり、その具体例としては、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、ペンタフルオロフェニルチオ基などが例示され、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基が好ましい。
【0018】
アリールアルキル基は、炭素数が通常7〜60程度、好ましくは7〜48であり、その具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基などが例示され、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基が挙げられる。
【0019】
アリールアルコキシ基は、炭素数が通常7〜60程度、好ましくは炭素数7〜48であり、その具体例としては、フェニルメトキシ基、フェニルエトキシ基、フェニルブトキシ基、フェニルペンチロキシ基、フェニルヘキシロキシ基、フェニルヘプチロキシ基、フェニルオクチロキシ基などのフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基などが例示され、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基が挙げられる。
【0020】
アリールアルキルチオ基は、炭素数が通常7〜60程度、好ましくは炭素数7〜48であり、その具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基などが例示され、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基が挙げられる。
【0021】
アリールアルケニル基は、炭素数が通常8〜60程度であり、その具体例としては、フェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルケニル基などが例示され、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C2〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルケニル基が好ましい。
【0022】
アリールアルキニル基は、炭素数が通常8〜60程度であり、その具体例としては、フェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルキニル基などが例示され、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基が好ましい。
【0023】
置換アミノ基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基から選ばれる1または2個の基で置換されたアミノ基があげられ、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換アミノ基の炭素数は該置換基の炭素数を含めないで通常1〜60程度、好ましくは炭素数2〜48である。
具体的には、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、i−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、i−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ピロリジル基、ピペリジル基、ジトリフルオロメチルアミノ基フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジルアミノ基、トリアジルアミノ基フェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルアミノ基などが例示される。
【0024】
置換シリル基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基から選ばれる1、2または3個の基で置換されたシリル基があげられる。置換シリル基の炭素数は通常1〜60程度、好ましくは炭素数3〜48である。なお該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基は置換基を有していてもよい。
具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリ−i−プロピルシリル基、ジメチル−i−プロピリシリル基、ジエチル−i−プロピルシリル基、t−ブチルシリルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基、フェニル−C1〜C12アルキルシリル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルシリル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルシリル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルシリル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルシリル基、フェニル−C1〜C12アルキルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基などが例示される。
【0025】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示される。
【0026】
アシル基は、炭素数が通常2〜20程度、好ましくは炭素数2〜18であり、その具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基などが例示される。
【0027】
アシルオキシ基は、炭素数が通常2〜20程度、好ましくは炭素数2〜18であり、その具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基などが例示される。
【0028】
イミン残基は、炭素数2〜20程度、好ましくは炭素数2〜18であり、その具体例としては、以下の構造式で示される基などが例示される。


【0029】
アミド基は、炭素数が通常2〜20程度、好ましくは炭素数2〜18であり、その具体例としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基、などが例示される。
【0030】
酸イミド基は、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる残基が挙げられ、炭素数が4〜20程度であり、具体的には以下に示す基などが例示される。


【0031】
1価の複素環基とは、複素環化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常4〜60程度、好ましくは4〜20である。なお、複素環基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。ここに複素環化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、燐、硼素などのヘテロ原子を環内に含むものをいう。具体的には、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基などが例示され、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基が好ましい。
【0032】
置換カルボキシル基としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基で置換されたカルボキシル基があげられ、炭素数が通常2〜60程度、好ましくは炭素数2〜48であり、その具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基、などが挙げられる。なお該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換カルボキシル基の炭素数には該置換基の炭素数は含まれない。
【0033】
式(1)において、Ar2は置換基を有していてもよいアリーレン基または二価の芳香族複素環基を表す。2個のAr2は、同一であっても異なっていてもよい。Ar2は好ましくはアリーレン基を表す。
【0034】
ここでアリーレン基とは、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた原子団であり、独立したベンゼン環または縮合環をもつものが含まれる。アリーレン基は、炭素数が通常6〜60程度、好ましくは6〜48であり、より好ましくは6〜30であり、より一層好ましくは6〜18であり、さらに好ましくは6〜10であり、特に好ましくはは6である。該炭素数は置換基の炭素数は含まない。アリーレン基の具体例としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、1,4−アントラセニレン基、1,5−アントラセニレン基、2,6−アントラセニレン基、9,10−アントラセニレン基、2,7−フェナントリレン基、1,7−ナフタセニレン基、2,8−ナフタセニレン基などが挙げられ、好ましくは1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、1,4−アントラセニレン基、1,5−アントラセニレン基、2,6−アントラセニレン基、9,10−アントラセニレン基であり、より好ましくは1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基であり、さらに好ましくは1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基であり、特に好ましくは1,4−フェニレン基である。
【0035】
二価の芳香族複素環基とは、芳香族複素環化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団をいい、炭素数は通常4〜60程度、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜9であり、さらに好ましくは4〜5である。二価の芳香族複素環基の具体例としては、2,5−チエニル基、2,5−ピロリル基、2,5−フリル基、2,4−ピリジル基、2,6−ピリジル基、2,4−キノリル基、2,6−キノリル基、1,4−イソキノリル基、1,5−イソキノリル基などが例示され、2,5−チエニル基、2,4−ピリジル基、2,6−ピリジル基、2,4−キノリル基、2,6−キノリル基、1,4−イソキノリル基、1,5−イソキノリル基が好ましく、2,5−チエニル基、2,4−ピリジル基、2,6−ピリジル基がより好ましく、2,4−ピリジル基、2,6−ピリジル基がさらに好ましい。
【0036】
Ar2が置換基を有する場合、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、置換基が、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであることが好ましい。より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであり、より一層好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基および置換カルボキシル基から選ばれるものであり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基から選ばれるものであり、特に好ましくはアルキル基である。
【0037】
アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例は、上記式(1)におけるAr1が置換基を有する場合の置換基におけるそれらの定義、具体例と同様である。
【0038】
式(1)におけるZは縮合環構造を有する二価の芳香族基を表す。該基は置換基を有していてもよい。ここで、縮合環構造を有する二価の芳香族基とは、縮合環を有する芳香族炭化水素化合物または芳香族複素環化合物から水素原子2個を除いた原子団である。該二価の芳香族基は、炭素数が通常6〜60程度、好ましくは6〜48であり、より好ましくは10〜30であり、より一層好ましくは10〜22であり、さらに好ましくは10〜18であり、中でも好ましくは12〜16であり、特に好ましくは14である。該炭素数は置換基の炭素数は含まない。該二価の芳香族基の具体例としては、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、1,4−アントラセンジイル基、1,5−アントラセンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フェナントリレン基、1,7−ナフタセニレン基、2,8−ナフタセニレン基、2,7−フルオレンジイル基、2,7−ピレンジイル基、4,10−ピレンジイル基、2,6−キノリンジイル基、1,5−イソキノリンジイル基、5,8−キノキサリンジイル基、4,7−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基、4,7−ベンゾチアゾールジイル基、2,7−カルバゾールジイル基、3,7−ジベンゾフランジイル基、3,7−ジベンゾチオフェンジイル基、3,7−フェノキサジンジイル基などが挙げられ、好ましくは1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、1,4−アントラセンジイル基、1,5−アントラセンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フルオレンジイル基、5,8−キノキサリンジイル基、4,7−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基、4,7−ベンゾチアゾールジイル基、2,7−カルバゾールジイル基、3,7−ジベンゾフランジイル基、3,7−ジベンゾチオフェンジイル基、3,7−フェノキサジンジイル基であり、より好ましくは1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、1,4−アントラセンジイル基、1,5−アントラセンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フルオレンジイル基、4,7−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基であり、より一層好ましくは1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、1,4−アントラセンジイル基、1,5−アントラセンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フルオレンジイル基であり、さらに好ましくは1,4−アントラセンジイル基、1,5−アントラセンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フルオレンジイル基であり、中でも好ましくは9,10−アントラセンジイル基、2,7−フルオレンジイル基であり、特に好ましくは9,10−アントラセンジイル基である。
【0039】
Zが置換基を有する場合、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、置換基が、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであることが好ましい。より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであり、より一層好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基および置換カルボキシル基から選ばれるものであり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基から選ばれるものであり、特に好ましくはアルキル基である。
【0040】
アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例は、上記式(1)におけるAr1が置換基を有する場合の置換基におけるそれらの定義、具体例と同様である。
【0041】
式(1)の繰り返し単位として、具体的には、以下のもの(S−1〜S−51)、以下のものに、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基等の置換基を有するものが挙げられる。
なお、以下において、芳香族炭化水素環における結合手は、任意の位置をとり得ることを表す。
【0042】


【0043】



【0044】

【0045】
式(1)の表す繰り返し単位として、好ましくはS−1〜S−3、S−6〜S−9、S−11〜S−20、S−31〜S−34、S−37〜S−40、S−43〜S−46、S−48、S−50およびS−1〜S−3、S−6〜S−9、S−11〜S−20、S−31〜S−34、S−37〜S−40、S−43〜S−46、S−48、S−50それぞれにアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基等の置換基を有するものであり、より好ましくはS−1〜S−3、S−6〜S−9、S−11〜S−20、S−34、S−40、S−46、S−50およびS−1〜S−3、S−6〜S−9、S−11〜S−20、S−34、S−40、S−46、S−50
それぞれにアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基等の置換基を有するものであり、より一層好ましくはS−1〜S−3、S−6〜S−9、S−11〜S−20それぞれにアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基等の置換基を有するものであり、さらに好ましくはS−1〜S−3、S−6〜S−9、S−14〜S−15およびS−1〜S−3、S−6〜S−9、S−14〜S−15それぞれにアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基等の置換基を有するものであり、中でも好ましくは、S−9、S−14〜S−15およびS−9、S−14〜S−15それぞれにアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基等の置換基を有するものである。
【0046】
緑色発光を得るという観点などから、特に好ましくはS−9およびS−9にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基等の置換基を有するものであり、例えば下記式(S−52)で表される二価の基が挙げられる。
【0047】


(式中、RD、RE、RF、RG、RHおよびRIはそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。RD、RE、RF、RG、RHおよびRIがそれぞれ複数存在する場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。d、e、fおよびgはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、hおよびiはそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。)
【0048】
式(S−52)中のRD、RE、RF、RG、RHおよびRIが表すアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例は、上記式(1)におけるAr1が置換基を有する場合の置換基におけるそれらの定義、具体例と同様である。溶解性、合成のしやすさ、素子特性などの観点から、式(S−52)中のRD、RE、RF、RG、RHおよびRIが表す置換基としては、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基および置換カルボキシル基から選ばれるものであり、より一層好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基から選ばれるものであり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基であり、特に好ましくはアルキル基である。
【0049】
式(S−52)中のd、e、fおよびgはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0〜1の整数であり、さらに好ましくは0である。
【0050】
式(S−52)中のhおよびiははそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、素子特性、溶解性などの観点から、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1である。
【0051】
化合物の安定性の観点から、RIおよびRHは窒素原子のパラ位に存在することが好ましい。
【0052】
また、青色発光を得るという観点などから、さらに好ましくはS−14およびS−14にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基等の置換基を有するものであり、例えば下記式(S−53)で表される二価の基が挙げられる。
【0053】




(式中、RM1、RM2、RM3およびRM4はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。RM1、RM2、RM3およびRM4がそれぞれ複数存在する場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。m1およびm3はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、m2およびm4はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。RL1およびRL2はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基を表す。)
【0054】
式(S−53)中のRM1、RM2、RM3およびRM4が表すアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例は、上記式(1)におけるAr1が置換基を有する場合の置換基におけるそれらの定義、具体例と同様である。溶解性、合成のしやすさ、素子特性などの観点から、式(S−53)中のRM1、RM2、RM3およびRM4が表す置換基としては、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基および置換カルボキシル基から選ばれるものであり、より一層好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基から選ばれるものであり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基であり、特に好ましくはアルキル基である。
【0055】
式(S−53)中のm1およびm3はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0〜1の整数であり、さらに好ましくは0である。
【0056】
式(S−53)中のm2およびm4ははそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、素子特性、溶解性などの観点から、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1である。
【0057】
式(S−53)中のRL1およびRL2が表すアルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基の定義、具体例は、上記式(1)におけるAr1が置換基を有する場合の置換基におけるそれらの定義、具体例と同様である。溶解性、合成のしやすさ、素子特性などの観点から、式(S−53)中のRL1およびRL2が表す置換基としては、アルキル基、アリール基が好ましい。
【0058】
本発明の高分子化合物は、前記式(2)および式(3)から選ばれる繰り返し単位を1種類以上含む。
【0059】
式(2)において、A環およびB環はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表すが、その少なくとも1つが、複数個のベンゼン環が縮合した芳香族炭化水素環である。該芳香族炭化水素環はさらにベンゼン環以外の芳香族炭化水素環および/または非芳香族炭化水素系縮合環状化合物が縮合していてもよい。本発明の高分子化合物のA環における芳香族炭化水素環とB環における芳香族炭化水素環とは互いに同じ環構造であっても異なる環構造であってもよいが、耐熱性、蛍光強度の観点から、A環における芳香族炭化水素環とB環における芳香族炭化水素環とは互いに異なる環構造の芳香族炭化水素環であることが好ましい。
【0060】
芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環単独または複数個のベンゼン環が縮合したものが好ましく、その例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、フェナントレン環等の芳香族炭化水素環が挙げられ、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環が挙げられる。
【0061】
A環とB環との組合せとして、好ましくはベンゼン環とナフタレン環、ベンゼン環とアントラセン環、ベンゼン環とフェナントレン環、ナフタレン環とアントラセン環、ナフタレン環とフェナントレン環、アントラセン環とフェナントレン環の組合せが挙げられ、ベンゼン環とナフタレン環の組み合わせがより好ましい。
【0062】
なお、A環における芳香族炭化水素環とB環における芳香族炭化水素環とは互いに異なる環構造であるとは、
式(2)における



を平面構造式で表したときに、
A環における芳香族炭化水素環と、B環におけるそれとが、構造式の中央の5員環の頂点と、頂点に対向する辺の中点とを結んだ対称軸(点線)に対して非対称であることをいう。
【0063】
例えば、A環およびB環がナフタレン環である場合、




の場合にはA環とB環とは環構造が異なる。

一方、A環およびB環がナフタレン環であっても、



の場合にはA環とB環とは環構造が同じである。
【0064】
芳香族炭化水素環が置換基を有する場合、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、置換基が、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであることが好ましい。より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであり、より一層好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基および置換カルボキシル基から選ばれるものであり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基から選ばれるものであり、特に好ましくはアルキル基である。
【0065】
アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例は、上記式(1)におけるAr1が置換基を有する場合の置換基におけるそれらの定義、具体例と同様である。
【0066】
式(2)中、RwおよびRxはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表し、RwとRxはそれぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。
【0067】
RwおよびRxにおける、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例は、上記式(1)におけるAr1が置換基を有する場合の置換基におけるそれらの定義、具体例と同様である。
【0068】
蛍光強度、素子の発光効率という観点では、RwとRxが炭素または他の元素の総数5〜20の環を形成している場合が優れている。
【0069】
式(2)の繰り返し単位として、具体的には、以下のもの(1A−1〜1A−64、1B−1〜1B−64、1C−1〜1C−64、1D−1〜1D−18)、以下のものに、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基等の置換基を有するものが挙げられる
なお、以下において、芳香族炭化水素環における結合手は、任意の位置をとり得ることを表す。
【0070】

【0071】

【0072】


【0073】


【0074】


【0075】



【0076】


【0077】

【0078】

【0079】

【0080】

【0081】


【0082】



【0083】

【0084】

【0085】

【0086】


【0087】


【0088】

【0089】



【0090】


【0091】



(式中、RwおよびRxは前記と同じ意味を表す。)
【0092】
上記式(2)で示される繰り返し単位において、耐熱性、蛍光強度等の観点から、好ましくは、2つの結合手がそれぞれA環およびB環上に一つずつ存在するものであり、より好ましくは、A環とB環が、それぞれベンゼン環とナフタレン環との組合せからなるものである。
中でも、下記式(1−1)、(1−2)で示される繰り返し単位、(1−3)、(1−4)で示される繰り返し単位が好ましい。






(式中、Rp1、Rq1、Rp2、Rq2、Rp3、Rq3、Rp4およびRq4はそれぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。aは0〜3の整数を表し、bは0〜5の整数を表す。Rp1、Rq1、Rp2、Rq2、Rp3、Rq3、Rp4およびRq4が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Rw1、Rx1、Rw2、Rx2、Rw3、Rx3、Rw4およびRx4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表し、Rw1とRx1、Rw2とRx2、Rw3とRx3、Rw4とRx4はそれぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。)
【0093】
上記式(1−1)、(1−2)、(1−3)および(1−4)において、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、Rp1、Rq1、Rp2、Rq2、Rp3、Rq3、Rp4およびRq4がアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、置換アミノ基、置換シリル基、フッ素原子、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基がさらに好ましい。
【0094】
上記式(1−1)、(1−2)、(1−3)および(1−4)において、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、Rw1、Rx1、Rw2、Rx2、Rw3、Rx3、Rw4およびRx4としてはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、置換アミノ基、置換シリル基、フッ素原子、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基がより好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリール基がさらに好ましい。
アルキル基、アルコキシ基、アリール基として、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基等の炭素数が通常1〜20程度の直鎖、分岐または環状のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、 i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、シクロヘキシルメチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基等の炭素数が通常1〜20程度のアルコキシ基;フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、ペンタフルオロフェニル基等の炭素数が通常6〜60程度のアリール基等が例示される。
ここに、C1〜C12アルコキシとして具体的には、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、3,7−ジメチルオクチルオキシ、ラウリルオキシなどが例示され、C1〜C12アルキルフェニル基として具体的にはメチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、i−プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、i−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ドデシルフェニル基などが例示される。
【0095】
上記式(1−1)、(1−2)、(1−3)および(1−4)で示される繰り返し単位の具体例として、Rw1とRx1、Rw2とRx2、Rw3とRx3、Rw4とRx4がそれぞれ互いに結合して環を形成しているものとしては、それぞれ、下記式群(1−1−2)、(1−2−2)、(1−3−2)および(1−4−2)が例示される。これらの構造に、さらに置換基を有していても良い。
【0096】


【0097】


【0098】


【0099】


【0100】
上記式(1−1)および(1−2)において、高分子量化の観点および耐熱性向上の観点からは、a=b=0であることが好ましい。
【0101】
本発明の高分子化合物のなかで、原料化合物の合成の容易さからは、式(1−1)、(1−3)、(1−4)で示される繰り返し単位を含むものが好ましく、より好ましくは式(1−1)である。
【0102】
合成した高分子化合物の有機溶媒への溶解性を向上させる観点と耐熱性とのバランスから、Rw1、Rx1はアルキル基が好ましく、炭素数が3以上のものがより好ましく、7以上がより一層好ましく、8以上がさらに好ましい。特に好ましくはn−オクチル基であり、下記式(1E−1)で示される構造である。


(1E−1)
【0103】
式(3)において、C 環およびD 環はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい芳香環を示す。
【0104】
該芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、フェナントレン環等の芳香族炭化水素環; ピリジン環、ビピリジン環、フェナントロリン環、キノリン環、イソキノリン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環などの複素芳香環が挙げられる。ここでC 環およびD 環の芳香環の種類は、同一でも異なっていてもよい。該芳香環として、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、フェナントレン環であり、より好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環であり、さらに好ましくはベンゼン環である。
【0105】
該芳香環が置換基を有する場合、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、置換基が、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであることが好ましい。より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基および置換カルボキシル基から選ばれるものであり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基から選ばれるものであり、特に好ましくはアルキル基、アルコキシ基から選ばれるものである。
【0106】
アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例は、上記式(1)におけるAr1が置換基を有する場合の置換基におけるそれらの定義、具体例と同様である。
【0107】
式(3)においてYは酸素原子、硫黄原子または−O−C(RK2−を表す。
【0108】
式(3)のYが表す−O−C(RK2−におけるRKは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基またはシアノ基を表す。2個のRKは、同一であっても異なっていてもよい。
【0109】
アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例は、上記式(1)におけるAr1が置換基を有する場合の置換基におけるそれらの定義、具体例と同様である。溶解性、合成のしやすさ、素子特性などの観点から、RKが表す置換基としては、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基および置換カルボキシル基から選ばれるものであり、より一層好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基から選ばれるものであり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基であり、特に好ましくはアルキル基である。
【0110】
式(3)にて表される繰り返し単位として、具体的には、以下のもの(G−1〜G−26、H−1〜H−26、K−1〜K−26)、以下のものに、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基等の置換基を有するものが挙げられる
なお、以下において、芳香環における結合手は、任意の位置をとり得ることを表す。
【0111】

【0112】


【0113】

(式中、RKは式(3)におけるRKと同じ意味を表す。)
【0114】
式(3)の表す繰り返し単位として、好ましくはG−1〜G−22、H−1〜H−22、K−1〜K−22およびG−1〜G−22、H−1〜H−22、K−1〜K−22それぞれにアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基等の置換基を有するものであり、より好ましくはG−1〜G−12、H−1〜H−12、K−1〜K−12およびG−1〜G−12、H−1〜H−12、K−1〜K−12それぞれにアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基等の置換基を有するものであり、より一層好ましくはG−1〜G−2、H−1〜H−2、K−1〜K−2およびG−1〜G−2、H−1〜H−2、K−1〜K−2それぞれにアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基等の置換基を有するものであり、さらに好ましくはG−1、H−1、K−1およびG−1、H−1、K−1にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基等の置換基を有するものであり、特に好ましくは下記式(G−27)にて表される二価の基である。
【0115】

(式中、Yは式(3)におけるYと同じ意味を表し、RsおよびRtはそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基またはシアノ基を表す。RSおよびRtが複数存在する場合には、同一であっても異なっていてもよい。mおよびnはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。)
【0116】
式(G−27)中のRsおよびRtが表すアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例は、上記式(1)におけるAr1が置換基を有する場合の置換基におけるそれらの定義、具体例と同様である。溶解性、合成のしやすさ、素子特性などの観点から、式(G−27)中のRsおよびRtが表す置換基としては、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基および置換カルボキシル基から選ばれるものであり、より一層好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基から選ばれるものであり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基であり、特に好ましくはアルコキシ基である。
【0117】
式(G−27)中のmおよびnはそれぞれ独立に0〜3の整数を表し、好ましくは1〜2の整数であり、より好ましくは1である。
【0118】
本発明の高分子化合物が含む全繰り返し単位に対する、式(1)にて表される繰り返し単位と式(2)で表される繰り返し単位と式(3)で表される繰り返し単位の合計の割合は、通常、1〜100モル%であり、好ましくは10〜100モル%であり、より好ましくは30から100モル%であり、より一層好ましくは40〜100モル%であり、さらに好ましくは40〜80モル%であり、さらに一層好ましくは40〜70モル%であり、特に好ましくは40〜60モル%である。蛍光強度、素子特性等の観点からは、式(1)にて表される繰り返し単位と、式(2)にて表される繰り返し単位と式(3)にて表される繰り返し単位の合計とのモル比は、0.01:99.99〜70.00:30.00であることが好ましく、0.10:99.90〜50.00:50.00であることがより好ましい。
【0119】
本発明の高分子化合物は、発光波長を変化させる観点、発光効率を高める観点、耐熱性を向上させる観点等から、上記式(1)、(2)および(3)で示される繰り返し単位以外の繰り返し単位を1種類以上含むことが好ましい。上記式(1)、(2)および(3)で示される繰り返し単位以外の繰り返し単位として好ましいものは、下記式(4)および/または(5)で表される繰り返し単位である。
【0120】

−Ar3− (4)

(式中、Ar3は置換基を有していてもよい二価の芳香族基を表す。)
【0121】

(式(5)において、Ar6、Ar7、Ar8およびAr9はそれぞれ独立に1,4−フェニレン基または4,4’−ビフェニレン基を表す。Ar10、Ar11およびAr12はそれぞれ独立にアリール基を表す。Ar6、Ar7、Ar8、Ar9、Ar10、Ar11およびAr12は置換基を有していてもよい。xおよびyはそれぞれ独立に0または正の整数を示す。)
【0122】
式(4)において、Ar3は置換基を有していてもよい二価の芳香族基を表す。
【0123】
ここで二価の芳香族基とは、芳香族炭化水素化合物または芳香族複素環化合物から水素原子2個を除いた原子団である。該二価の芳香族基は、炭素数が通常5〜60程度、好ましくは5〜48であり、より好ましくは6〜30であり、さらに好ましくは6〜22であり、特に好ましくは6〜14である。該炭素数は置換基の炭素数は含まない。
【0124】
二価の芳香族基の具体例としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、1,4−アントラセンジイル基、1,5−アントラセンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フェナントリレン基、1,7−ナフタセニレン基、2,8−ナフタセニレン基、2,7−フルオレンジイル基、2,7−ピレンジイル基、4,10−ピレンジイル基、2,6−ピリジル基、2,5−チオフェニル基、2,5−フラニル基、2,6−キノリンジイル基、1,5−イソキノリンジイル基、5,8−キノキサリンジイル基、4,7−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基、4,7−ベンゾチアゾールジイル基、2,7−カルバゾールジイル基、3,7−フェノキサジンジイル基などが挙げられ、好ましくは1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、1,4−アントラセンジイル基、1,5−アントラセンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フルオレンジイル基、5,8−キノキサリンジイル基、4,7−ベンゾ[1,2,5]チアジアゾールジイル基、4,7−ベンゾチアゾールジイル基、2,7−カルバゾールジイル基、3,7−フェノキサジンジイル基であり、より好ましくは2,7−フルオレンジイル基、3,7−フェノキサジンジイル基である。
【0125】
二価の芳香族基が置換基を有する場合、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、置換基が、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであることが好ましい。より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであり、より一層好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基および置換カルボキシル基から選ばれるものであり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基から選ばれるものである。
【0126】
アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例は、上記式(1)におけるAr1が置換基を有する場合の置換基におけるそれらの定義、具体例と同様である。
【0127】
式(5)におけるAr10、Ar11およびAr12はそれぞれ独立にアリール基を表し、ここでアリール基とは、芳香族炭化水素から、水素原子1個を除いた原子団であり、独立したベンゼン環または縮合環をもつものが含まれる。アリール基は、炭素数が通常6〜60程度、好ましくは6〜48であり、より好ましくは6〜30であり、より一層好ましくは6〜18であり、さらに好ましくは6〜10であり、特に好ましくは6である。該炭素数は置換基の炭素数は含まない。アリール基の具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、1−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基などが挙げられ、好ましくはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基であり、より好ましくはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基であり、特に好ましくはフェニル基である。
【0128】
式(5)におけるAr6、Ar7、Ar8、Ar9、Ar10、Ar11およびAr12が置換基を有する場合、有機溶媒への溶解性、素子特性、合成の行いやすさ等の観点からは、置換基が、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであることが好ましい。より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものであり、より一層好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基および置換カルボキシル基から選ばれるものであり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基から選ばれるものであり、特に好ましくはアルキル基である。
【0129】
アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換アミノ基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、置換カルボキシル基の定義、具体例は、上記式(1)におけるAr1が置換基を有する場合の置換基におけるそれらの定義、具体例と同様である。
【0130】
式(5)が表す繰り返し単位の具体例としては、下記式(5−1)〜(5−4)が挙げられる。ここで、Rはそれぞれ独立に、水素原子、またはアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基およびシアノ基から選ばれるものである。
【0131】

【0132】
本発明の高分子化合物は、素子特性の観点から、式(1)で表される繰り返し単位を1種類以上含み、かつ式(2)で表される繰り返し単位を1種類以上含み、かつ式(4)で表される繰り返し単位を1種類以上含むことがより好ましく、式(1)で表される繰り返し単位を1種類含み、かつ式(2)で表される繰り返し単位を1種類含み、かつ式(4)で表される繰り返し単位を2種類含むことがさらに好ましい。さらにより好ましい組み合わせとしては、式(S−52)で表される繰り返し単位1種類と式(1−1)で表される繰り返し単位と、置換基を有する2,7−フルオレンジイル基1種類と、置換基を有する3,7−フェノキサジンジイル基1種類からなる組み合わせである。
【0133】
本発明の高分子化合物のサイズ排除クロマトグラフィー(以後、SECと呼ぶ)によるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、通常103〜108程度であり、好ましくは104〜106である。また、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は通常103〜108程度であり、成膜性の観点および素子にした場合の効率の観点から、好ましくは5×104〜5×106、より好ましくは105〜106である。
【0134】
また、本発明の高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、素子にしたときの発光特性や寿命が低下する可能性があるので、安定な基で保護されていることが好ましい。主鎖の共役構造と連続した共役結合を有しているものが好ましく、例えば、炭素―炭素結合を介してアリール基または複素環基と結合している構造が例示される。具体的には、特開平9−45478号公報の化10に記載の置換基等が例示される。
【0135】
本発明の高分子化合物は発光材料や電荷輸送材料等として用いる場合、他の高分子化合物と混合して用いてもよい。
【0136】
次に本発明の高分子化合物の好ましい製造方法について説明する。
【0137】
本発明の高分子化合物は、例えば、下記式(a)で示される化合物と下記式(b)で示される化合物と、さらに必要に応じて下記式(c)にて示される化合物とを原料として用いて縮合重合することにより製造することができる。
【0138】



(式(a)においてAr1、Ar2およびZはそれぞれ式(1)におけるAr1、Ar2およびZと同じ意味を表す。Y1はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、式(a−1)で表されるスルホネート基、メトキシ基、ホウ酸エステル基、ホウ酸基、式(a−2)で表される基、式(a−3)で表される基、又は式(a−4)で表される基を表す。)
【0139】



(式(b)において、Ar13は式(2)または式(3)が示す二価の基を表す。Y1は式(a)におけるY1と同じ意味を表す。)
【0140】



(式(c)において、Ar14は式(4)または式(5)が示す二価の基を表す。Y1は式(a)におけるY1と同じ意味を表す。)
【0141】



(式(a−1)においてRaは置換基を有していてもよいアルキル基またはアリール基を表す。)
【0142】


(式(a−2)においてXAはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。)
【0143】



(式(a−3)においてXAはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。)
【0144】



(式(a−4)においてRaは、式(a−1)におけるRaと同じ意味を表す。)
【0145】
式(a)、(b)、(c)におけるY1はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、式(a−1)で表されるスルホネート基、メトキシ基、ホウ酸エステル基、ホウ酸基(即ち、−B(OH)2で表される基)、式(a−2)で表される基、式(a−3)で表される基、又は式(a−4)で表される基を表す。
【0146】
1におけるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
【0147】
1におけるホウ酸エステル基としては例えば、下記式で示される基が例示される。


【0148】
式(a−1)中のRaにおけるアルキル基またはアリール基の定義、具体例としては、それぞれ、式(1)におけるAr1が置換基を有する場合のアルキル基またはアリール基の定義、具体例と同様である。式(a−1)で表されるスルホネート基としては例えば、メタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基、フェニルスルホネート基、4−メチルフェニルスルホネート基等が挙げられる。
【0149】
式(a)、(b)、(c)で示される化合物は、あらかじめ合成、単離したものを用いてもよいし、反応系中で調製してそのまま使用してもよい。
【0150】
式(a)、(b)、(c)におけるY1は合成の簡便さや取り扱いやすさ、毒性の点などから、ハロゲン原子、ホウ酸エステル基、ホウ酸基であることが好ましい。
【0151】
縮合重合の方法としては、式(a)、(b)、(c)で示される単量体を、必要に応じ、適当な触媒や適当な塩基を用い、反応させる方法が挙げられる。
【0152】
縮合重合の触媒としては、例えば、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム、パラジウムアセテートなどのパラジウム錯体、ニッケル[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル、[ビス(1,4−シクロオクダジエン)]ニッケルなどのニッケル錯体などの遷移金属錯体と、必要に応じ、さらにトリフェニルホスフィン、トリ(t−ブチルホスフィン)、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルホスフィノプロパン、ビピリジルなどの配位子からなる触媒が挙げられる。
該触媒としては、あらかじめ合成したものを用いることもできるし、反応系中で調製したものを用いることもできる。本発明においては、該触媒を単独で又は2種以上混合して使用することができる。
該触媒は任意の量で用いることができるが、一般的には式(a)、(b)、(c)で示される化合物のモル数の和に対する、遷移金属化合物の量として0.001〜300モル%が好ましく、0.005〜50モル%がより好ましく、0.01〜20モル%がさらに好ましい。
【0153】
縮合重合において必要に応じ塩基を用いる場合がある。塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、リン酸三カリウムなどの無機塩基、フッ化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムなどの有機塩基が挙げられる。
該塩基は任意の量で用いることができるが、一般的には式(a)、(b)、(c)で示される化合物のモル数の和に対して、0.5〜20当量が好ましく、1〜10当量がより好ましい。
【0154】
縮合重合は、溶媒の非存在下においても実施可能であるが、通常、有機溶媒存在下で行われる。
使用する有機溶媒としては、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いてもよいし、二種以上を混合して組み合わせてもよい。
有機溶媒の使用量は、通常、モノマーの濃度が0.1〜90重量%になるような割合で使用する。好ましい割合は1〜50重量%であり、より好ましい割合は2〜30重量%である。
有機溶媒としては、用いる化合物や反応によっても異なるが、一般的に副反応を抑制するために、脱酸素処理を行うことが望ましい。
【0155】
縮合重合を実施する反応温度は、反応媒体が液状を保つ範囲であれば、特に限定されない。好ましい温度範囲は、−100℃〜200℃であり、より好ましくは−80℃〜150℃であり、さらに好ましくは0℃〜120℃である。
反応時間は、反応温度などの反応条件で変わるが、通常、1時間以上、好ましくは2〜500時間である。
【0156】
縮合重合は必要に応じて脱水条件下で行うことが望ましい場合がある。特に、式(a)(b)、(c)におけるY1が式(a−2)で表される基である場合は、脱水条件下で行うことが必要である。
【0157】
縮合重合の条件としては、例えば、Suzuki反応により重合する方法(ケミカル レビュー(Chem.Rev.),第95巻,2457頁(1995年))、Grignard反応により重合する方法(共立出版、高分子機能材料シリーズ第2巻、高分子の合成と反応(2)、432〜433頁)、山本重合法により重合する方法(プログレッシブ ポリマー サイエンス(Prog.Polym.Sci.),第17巻,1153〜1205頁,1992年)、等が例示される。
【0158】
後処理は、公知の方法に準じて行うことが可能である。例えば、メタノールなどの低級アルコールに反応溶液を加えて析出させた沈殿を濾過、乾燥することにより、目的とする高分子化合物を得ることができる。
上記の後処理で得られた高分子化合物の純度が低い場合は、再結晶、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィーなどの通常の方法にて精製することが可能である。
【0159】
次に、本発明の高分子発光素子について説明する。
【0160】
本発明の高分子発光素子は、陽極及び陰極からなる電極間に、有機層を有し、該有機層が本発明の高分子化合物を含むことを特徴とする。
有機層は、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、インターレイヤー層等のいずれであってもよいが、有機層が発光層であることが好ましい。
ここに、発光層とは、発光する機能を有する層をいい、正孔輸送層とは、正孔を輸送する機能を有する層をいい、電子輸送層とは、電子を輸送する機能を有する層をいう。また、インターレイヤー層とは、発光層と陽極との間で発光層に隣接して存在し、発光層と陽極、又は発光層と、正孔注入層若しくは正孔輸送層とを隔離する役割をもつ層のことである。なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と呼ぶ。また、電子注入層と正孔注入層を総称して電荷注入層と呼ぶ。発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、及び電子注入層は、それぞれ独立に2層以上用いてもよい。
【0161】
有機層が発光層である場合、有機層である発光層がさらに正孔輸送性材料、電子輸送性材料又は発光性材料を含んでいてもよい。ここで、発光性材料とは、蛍光及び/又は燐光を示す材料のことを言う。
【0162】
本発明の高分子化合物と正孔輸送性材料と混合する場合には、その混合物全体に対して、正孔輸送性材料の混合割合は1wt%〜80wt%であり、好ましくは5wt%〜60wt%である。本発明の高分子材料と電子輸送性材料を混合する場合には、その混合物全体に対して電子輸送性材料の混合割合は1wt%〜80wt%であり、好ましくは5wt%〜60wt%である。さらに、本発明の高分子化合物と発光性材料を混合する場合にはその混合物全体に対して発光性材料の混合割合は1wt%〜80wt%であり、好ましくは5wt%〜60wt%である。本発明の高分子化合物と発光性材料、正孔輸送性材料及び/又は電子輸送性材料を混合する場合には、その混合物全体に対して発光性材料の混合割合は1wt%〜50wt%であり、好ましくは5wt%〜40wt%であり、正孔輸送性材料と電子輸送性材料はそれらの合計で1wt%〜50wt%であり、好ましくは5wt%〜40wt%である。従って本発明の高分子化合物の含有量は98wt%〜1wt%、好ましくは90wt%〜20wt%である。
【0163】
混合する正孔輸送性材料、電子輸送性材料、及び発光性材料は、公知の低分子化合物、三重項発光錯体、又は高分子化合物が使用できるが、高分子化合物を用いることが好ましい。
高分子化合物の正孔輸送性材料、電子輸送性材料及び発光性材料としては、WO99/13692、WO99/48160、GB2340304A、WO00/53656、WO01/19834、WO00/55927、GB2348316、WO00/46321、WO00/06665、WO99/54943、WO99/54385、US5777070、WO98/06773、WO97/05184、WO00/35987、WO00/53655、WO01/34722、WO99/24526、WO00/22027、WO00/22026、WO98/27136、US573636、WO98/21262、US5741921、WO97/09394、WO96/29356、WO96/10617、EP0707020、WO95/07955、特開平2001−181618、特開平2001−123156、特開平2001−3045、特開平2000−351967、特開平2000−303066、特開平2000−299189、特開平2000−252065、特開平2000−136379、特開平2000−104057、特開平2000−80167、特開平10−324870、特開平10−114891、特開平9−111233、特開平9−45478等に開示されているポリフルオレン、その誘導体及び共重合体、ポリアリーレン、その誘導体及び共重合体、ポリアリーレンビニレン、その誘導体及び共重合体、芳香族アミン及びその誘導体の(共)重合体が例示される。
【0164】
低分子化合物の蛍光性材料としては、例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン若しくはその誘導体、ペリレン若しくはその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン若しくはその誘導体、又はテトラフェニルブタジエン若しくはその誘導体などを用いることができる。
具体的には、例えば特開昭57−51781号、同59−194393号公報に記載されているもの等、公知のものが使用可能である。
三重項発光錯体としては、例えば、イリジウムを中心金属とするIr(ppy)3、Btp2Ir(acac)、白金を中心金属とするPtOEP、ユーロピウムを中心金属とするEu(TTA)3phen等が挙げられる。


【0165】
三重項発光錯体として具体的には、例えばNature, (1998), 395, 151、Appl. Phys. Lett. (1999), 75(1), 4、Proc. SPIE-Int. Soc. Opt. Eng. (2001), 4105(Organic Light-Emitting Materials and DevicesIV), 119、J. Am. Chem. Soc., (2001), 123, 4304、Appl. Phys. Lett., (1997), 71(18), 2596、Syn. Met., (1998), 94(1), 103、Syn. Met., (1999), 99(2), 1361、Adv. Mater., (1999), 11(10), 852 、Jpn.J.Appl.Phys.,34, 1883 (1995)などに記載されている。
【0166】
本発明の高分子組成物は、正孔輸送材料、電子輸送材料、及び発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料と本発明の高分子化合物とを含有し、発光材料や電荷輸送材料として用いることができる。
その正孔輸送材料、電子輸送材料、及び発光材料から選ばれる少なくとも1種類の材料と本発明の高分子化合物の含有比率は、用途に応じて決めればよいが、発光材料の用途の場合は、上記の発光層におけるのと同じ含有比率が好ましい。
【0167】
本発明の高分子組成物のポリスチレン換算の数平均分子量は通常103〜108程度であり、好ましくは104〜106である。また、ポリスチレン換算の重量平均分子量は通常103〜108程度であり、成膜性の観点及び素子にした場合の効率の観点から、1×104〜5×106であることが好ましい。ここで、高分子組成物の平均分子量とは、2種類以上の高分子化合物を混合して得られた組成物をGPCで分析して求めた値をいう。
【0168】
本発明の高分子発光素子が有する発光層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、より好ましくは5nm〜200nmである。
【0169】
発光層の形成方法としては、例えば、溶液からの成膜による方法が例示される。溶液からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。パターン形成や多色の塗分けが容易であるという点で、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法が好ましい。
【0170】
印刷法等で用いる溶液(インク組成物)としては、少なくとも1種類の本発明の高分子化合物が含有されていればよく、また本発明の高分子化合物以外に正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、溶媒、安定剤などの添加剤を含んでいてもよい。
該インク組成物中における本発明の高分子化合物の割合は、溶媒を除いた組成物の全重量に対して通常は20wt%〜100wt%であり、好ましくは40wt%〜100wt%である。
またインク組成物中に溶媒が含まれる場合の溶媒の割合は、組成物の全重量に対して1wt%〜99.9wt%であり、好ましくは60wt%〜99.5wt%であり、より好ましくは80wt%〜99.0wt%である。
インク組成物の粘度は印刷法によって異なるが、インクジェットプリント法などインク組成物中が吐出装置を経由するものの場合には、吐出時の目づまりや飛行曲がりを防止するために粘度が25℃において1〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。
【0171】
本発明の溶液は、発明の高分子化合物の他に、粘度及び/又は表面張力を調節するための添加剤を含有していてもよい。該添加剤としては、粘度を高めるための高分子量の高分子化合物(増粘剤)や貧溶媒、粘度を下げるための低分子量の化合物、表面張力を下げるための界面活性剤などを適宜組み合わせて使用すればよい。
前記の高分子量の高分子化合物としては、本発明の高分子化合物と同じ溶媒に可溶性で、発光や電荷輸送を阻害しないものであればよい。例えば、高分子量のポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、又は本発明の高分子化合物のうち分子量が大きいものなどを用いることができる。重量平均分子量が50万以上が好ましく、100万以上がより好ましい。
貧溶媒を増粘剤として用いることもできる。すなわち、溶液中の固形分に対する貧溶媒を少量添加することで、粘度を高めることができる。この目的で貧溶媒を添加する場合、溶液中の固形分が析出しない範囲で、溶媒の種類と添加量を選択すればよい。保存時の安定性も考慮すると、貧溶媒の量は、溶液全体に対して50wt%以下であることが好ましく、30wt%以下であることが更に好ましい。
【0172】
また、本発明の溶液は、保存安定性を改善するために、本発明の高分子化合物の他に、酸化防止剤を含有していてもよい。酸化防止剤としては、本発明の高分子化合物と同じ溶媒に可溶性で、発光や電荷輸送を阻害しないものであればよく、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが例示される。
【0173】
インク組成物として用いる溶媒としては特に制限はないが、該インク組成物を構成する溶媒以外の材料を溶解又は均一に分散できるものが好ましい。該溶媒としてクロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。また、これらの有機溶媒は、単独で、又は複数組み合わせて用いることができる。
これらのうち、高分子化合物等の溶解性、成膜時の均一性、粘度特性等の観点から、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、s−ブチルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1−メチルナフタレン、テトラリン、アニソール、エトキシベンゼン、シクロヘキサン、ビシクロヘキシル、シクロヘキセニルシクロヘキサノン、n−ヘプチルシクロヘキサン、n−ヘキシルシクロヘキサン、デカリン、安息香酸メチル、シクロヘキサノン、2−プロピルシクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノン、ジシクロヘキシルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノンが好ましい。
【0174】
溶液中の溶媒の種類は、成膜性の観点や素子特性等の観点から、2種類以上であることが好ましく、2〜3種類であることがより好ましく、2種類であることがさらに好ましい。
溶液中に2種類の溶媒が含まれる場合、そのうちの1種類の溶媒は25℃において固体状態でもよい。成膜性の観点から、1種類の溶媒は沸点が180℃以上の溶媒であることが好ましく、200℃以上の溶媒であることがより好ましい。また、粘度の観点から、2種類の溶媒ともに、60℃において1wt%以上の芳香族重合体が溶解することが好ましく、2種類の溶媒のうちの1種類の溶媒には、25℃において1wt%以上の芳香族重合体が溶解することが好ましい。
溶液中に2種類以上の溶媒が含まれる場合、粘度及び成膜性の観点から、最も沸点が高い溶媒が、溶液中の全溶媒の重量の40〜90wt%であることが好ましく、50〜90wt%であることがより好ましく、65〜85wt%であることがさらに好ましい。
溶液中に含まれる本発明の芳香族重合体は、1種類でも2種類以上でもよく、素子特性等を損なわない範囲で本発明の芳香族重合体以外の高分子化合物を含んでいてもよい。
本発明の溶液には、水、金属及びその塩を1〜1000ppmの範囲で含んでいてもよい。金属としては、具体的にはリチウム、ナトリウム、カルシウム、カリウム、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、クロム、マンガン、コバルト、白金、イリジウム等が挙げられる。また、ケイ素、リン、フッ素、塩素、及び/又は臭素を1〜1000ppmの範囲で含んでいてもよい。
【0175】
本発明の溶液を用いて、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等により薄膜を作製することができる。中でも、本発明の溶液をスクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法により成膜する用途に用いることが好ましく、インクジェット法で成膜する用途に用いることがより好ましい。
【0176】
本発明の溶液を用いて薄膜を作製する場合、溶液に含まれる高分子化合物のガラス転移温度が高いため、100℃以上の温度でベークすることが可能であり、130℃の温度でベークしても素子特性の低下が非常に小さい。また、高分子化合物の種類によっては、160℃以上の温度でベークすることも可能である。
【0177】
本発明の溶液を用いて作製できる薄膜としては、発光性薄膜、導電性薄膜、及び有機半導体薄膜が例示される。
【0178】
本発明の導電性薄膜は、表面抵抗が1KΩ/□以下であることが好ましい。薄膜に、ルイス酸、イオン性化合物などをドープすることにより、電気伝導度を高めることができる。表面抵抗が100Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることがさらに好ましい。
本発明の有機半導体薄膜は、電子移動度又は正孔移動度のいずれか大きい方が、10-5cm2/V/秒以上であることが好ましい。より好ましくは、10-3cm2/V/秒以上であり、さらに好ましくは、10-1cm2/V/秒以上である。
SiO2などの絶縁膜とゲート電極とを形成したSi基板上に該有機半導体薄膜を形成し、Auなどでソース電極とドレイン電極を形成することにより、有機トランジスタとすることができる。
【0179】
本発明の高分子発光素子は、素子の輝度等の観点から陽極と陰極との間に3.5V以上の電圧を印加したときの最大外部量子収率が1%以上であることが好ましく、1.5%以上がより好ましい。
【0180】
本発明の高分子発光素子としては、陰極と発光層との間に電子輸送層を設けた高分子発光素子、陽極と発光層との間に正孔輸送層を設けた高分子発光素子、陰極と発光層との間に電子輸送層を設け、かつ陽極と発光層との間に正孔輸送層を設けた高分子発光素子等が挙げられる。
例えば、具体的には、以下のa)〜d)の構造が例示される。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
またこれら構造の各一について、発光層と陽極との間に、発光層に隣接してインターレイヤー層を設ける構造も例示される。すなわち、以下のa’)〜d’)の構造が例示される。
a’)陽極/インターレイヤー層/発光層/陰極
b’)陽極/正孔輸送層/インターレイヤー層/発光層/陰極
c’)陽極/インターレイヤー層/発光層/電子輸送層/陰極
d’)陽極/正孔輸送層/インターレイヤー層/発光層/電子輸送層/陰極
本発明の高分子発光素子が正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送性材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などが例示される。
【0181】
具体的には、該正孔輸送性材料として、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
これらの中で、正孔輸送層に用いる正孔輸送性材料として、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体等の高分子正孔輸送性材料が好ましく、より好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。
【0182】
また、低分子化合物の正孔輸送性材料としてはピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体が例示される。低分子の正孔輸送性材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
【0183】
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体は、例えばビニルモノマーからカチオン重合又はラジカル重合によって得られる。
ポリシラン若しくはその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
ポリシロキサン若しくはその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖又は主鎖に上記低分子正孔輸送性材料の構造を有するものが好適に用いられる。特に正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖又は主鎖に有するものが例示される。
【0184】
正孔輸送層の成膜の方法に制限はないが、低分子正孔輸送性材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。また、高分子正孔輸送性材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。
【0185】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送性材料を溶解又は均一に分散できるものが好ましい。該溶媒としてクロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。また、これらの有機溶媒は、単独で、又は複数組み合わせて用いることができる。
【0186】
溶液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0187】
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、より好ましくは5nm〜200nmである。
【0188】
本発明の高分子発光素子が電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送性材料としては公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体等が例示される。
【0189】
具体的には、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
【0190】
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子電子輸送性材料では、粉末からの真空蒸着法、又は溶液若しくは溶融状態からの成膜による方法が、高分子電子輸送材料では溶液又は溶融状態からの成膜による方法がそれぞれ例示される。溶液又は溶融状態からの成膜時には、上記の高分子バインダーを併用してもよい。
【0191】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、電子輸送材料及び/又は高分子バインダーを溶解又は均一に分散できるものが好ましい。該溶媒としてクロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。また、これらの有機溶媒は、単独で、又は複数組み合わせて用いることができる。
【0192】
溶液又は溶融状態からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
電子輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、より好ましくは5nm〜200nmである。
【0193】
また、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、素子の駆動電圧を下げる効果を有するものは、特に電荷注入層(正孔注入層、電子注入層)と一般に呼ばれることがある。
さらに電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して前記の電荷注入層又は膜厚2nm以下の絶縁層を設けてもよく、また、界面の密着性向上や混合の防止等のために電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。
積層する層の順番や数、及び各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜用いることができる。
【0194】
本発明において、電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)を設けた高分子発光素子としては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた高分子発光素子、陽極に隣接して電荷注入層を設けた高分子発光素子が挙げられる。
例えば、具体的には、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
またこれら構造の各一について、発光層と陽極との間に、発光層に隣接してインターレイヤー層を設ける構造も例示される。なおこの場合、インターレイヤー層が正孔注入層及び/又は正孔輸送層を兼ねてもよい。
【0195】
電荷注入層の具体的な例としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送性材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送性材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層などが例示される。
【0196】
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10-5S/cm以上103以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくする
ためには、10-5S/cm以上102以下がより好ましく、10-5S/cm以上101以下がさらに好ましい。
上記電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10-5S/cm以上103S/cm以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小
さくするためには、10-5S/cm以上102S/cm以下がより好ましく、10-5S/cm以上101S/cm以下がさらに好ましい。
【0197】
通常は該導電性高分子の電気伝導度を10-5S/cm以上103以下とするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンの例としては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンなどが例示され、カチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが例示される。
【0198】
電荷注入層の膜厚としては、例えば1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。
【0199】
電荷注入層に用いる材料は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよく、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体などの導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニンなど)、カーボンなどが例示される。
【0200】
膜厚2nm以下の絶縁層は電荷注入を容易にする機能を有するものである。上記絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子発光素子としては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子発光素子、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた高分子LEDが挙げられる。
具体的には、例えば、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
q)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
s)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
t)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
v)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
w)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
y)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
z)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
ab)陽極/膜厚2nm以下の絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/膜厚2nm以下の絶縁層/陰極
またこれら構造の各一について、発光層と陽極との間に、発光層に隣接してインターレイヤー層を設ける構造も例示される。なおこの場合、インターレイヤー層が正孔注入層及び/又は正孔輸送層を兼ねてもよい。
【0201】
上記の構造a)〜ab)にインターレイヤー層を適用する構造について、インターレイヤー層としては、陽極と発光層との間に設けられ、陽極又は正孔注入層若しくは正孔輸送層と、発光層を構成する高分子化合物との中間のイオン化ポテンシャルを有する材料で構成されることが好ましい。
インターレイヤー層に用いる材料として、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリアリーレン誘導体、アリールアミン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などの、芳香族アミンを含むポリマーが例示される。
インターレイヤー層の成膜の方法に制限はないが、例えば高分子材料を用いる場合においては溶液からの成膜による方法が例示される。
【0202】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、インターレイヤー層に用いる材料を溶解又は均一に分散できるものが好ましい。該溶媒としてクロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。また、これらの有機溶媒は、単独で、又は複数組み合わせて用いることができる。
【0203】
溶液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
インターレイヤー層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよい。例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、より好ましくは5nm〜200nmである。
【0204】
該インターレイヤー層を発光層に隣接して設ける場合、特に両方の層を塗布法により形成する場合には、2つの層の材料が混合して素子の特性等に対して好ましくない影響を与える場合がある。インターレイヤー層を塗布法で形成した後、発光層を塗布法で形成する場合、2つの層の材料の混合を少なくする方法としては、インターレイヤー層を塗布法で形成した後、該インターレイヤー層を加熱して発光層作成に用いる有機溶媒に対して不溶化した後、発光層を形成する方法が挙げられる。加熱の温度は通常150℃〜300℃程度であり、時間は通常1分〜1時間程度である。この場合、加熱により溶媒不溶化しなかった成分を除くため、加熱した後、発光層を形成する前に、該インターレイヤー層を発光層形成に用いる溶媒でリンスすることで取り除くことができる。加熱による溶媒不溶化が十分に行われた場合は、溶媒によるリンスが省略できる。加熱による溶媒不溶化が十分に行われるためには、インターレイヤー層に用いる高分子化合物として分子内に少なくとも一つの重合可能な基を含むものを用いることが好ましい。さらには重合可能な基の数が、分子内の構成単位の数に対して5%以上であることが好ましい。
【0205】
本発明の高分子発光素子を形成する基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板などが例示される。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明又は半透明であることが好ましい。
通常本発明の高分子発光素子が有する陽極及び陰極の少なくとも一方が透明又は半透明である。陽極側が透明又は半透明であることが好ましい。
【0206】
該陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及びそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。また、該陽極として、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0207】
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、より好ましくは50nm〜500nmである。
また、陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボンなどからなる層、又は金属酸化物、金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよい。
【0208】
本発明の高分子発光素子で用いる陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましい。例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、又はそれらのうち2つ以上の合金、又はそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、又はグラファイト若しくはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
【0209】
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、より好ましくは50nm〜500nmである。
【0210】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、又は金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、又は金属酸化物、金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよく、陰極作製後、該高分子発光素子を保護する保護層を装着していてもよい。該高分子発光素子を長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層及び/又は保護カバーを装着することが好ましい。
該保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、金属板、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、該カバーを熱硬化樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子が傷付くのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより、製造工程で吸着した水分又は硬化樹脂を通り抜けて浸入する微量の水分が素子にダメージを与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策を採ることが好ましい。
【0211】
本発明の高分子発光素子は面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置のバックライト等として用いることができる。
本発明の高分子発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極又は陰極のいずれか一方、又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子蛍光体を塗り分ける方法や、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFTなどと組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。
さらに、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、あるいは面状の照明用光源として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
【実施例】
【0212】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(数平均分子量および重量平均分子量)
ここで、数平均分子量および重量平均分子量については、GPC(島津製作所製:LC−10Avp)によりポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量を求めた。測定する重合体は、約0.5wt%の濃度になるようテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに50μL注入した。GPCの移動相はテトラヒドロフランを用い、0.6mL/minの流速で流した。カラムは、TSKgel SuperHM−H(東ソー製)2本とTSKgel SuperH2000(東ソー製)1本を直列に繋げた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製:RID−10A)を用いた。
【0213】
(蛍光スペクトル)
蛍光スペクトルの測定は以下の方法で行った。重合体の0.8wt%トルエン溶液を石英上にスピンコートして重合体の薄膜を作製した。この薄膜を350nmの波長で励起し、蛍光分光光度計(堀場製作所製Fluorolog)を用いて蛍光スペクトルを測定した。薄膜での相対的な蛍光強度を得るために、水のラマン線の強度を標準に、波数プロットした蛍光スペクトルをスペクトル測定範囲で積分して、分光光度計(Varian社製 Cary5E)を用いて測定した、励起波長での吸光度で割り付けた値を求めた。
【0214】
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度はDSC(DSC2920、TA Instruments製)により求めた。
【0215】
<合成例1>
[化合物(J1)の合成]
不活性雰囲気下、三口フラスコに9,10−ジブロモアントラセン37.6g(0.11mol)、N−(4−t−ブチルフェニル)アニリン50.4g(0.22mol)、t−ブトキシナトリウム25.8g(0.27mol)、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム2.1g(2.2mmol)、トリ−t−ブチルホスフィン1.8g(9mmol)、脱水トルエン91mLを加え、100℃にて攪拌した。その後、反応溶液を室温まで冷却し、1N塩酸水溶液6.2g、メタノール1250mLを攪拌しながら加え、析出した結晶を濾過し、MeOH、蒸留水にて洗浄し、減圧乾燥して粗生成物を得た。該粗生成物をヘキサンにて再結晶を行い、目的とする化合物(J1)を61g(収率100%、HPLC面百値99.3%)得た。
1H−NMR (299.4 MHz, CDCl3) : 1.27 (s,18H), 6.86 (m,2H), 7.08 (m, 8H), 7.20 (m, 8H), 7.36 (m, 4H),8.21 (m, 4H)
LC−MS(APPI−MS(posi)) : 625 [M+H]+


【0216】
[化合物(J2)の合成]
不活性雰囲気下、三口フラスコに化合物(J1)50.0g(80mmol)、クロロホルム1167mLを加え均一溶液にし、N−ブロモスクシンイミド29.4g(165mmol)と脱水N,N−ジメチルホルムアミド67mLからなる溶液を25−35℃にて攪拌しながら滴下し、さらに25−35℃にて攪拌した。その後、反応混合物を加熱還流させ25℃まで冷却し、メタノール1330mLを滴下し、析出した結晶を濾過、メタノール洗浄、減圧乾燥して、目的とする化合物(J2)を59g(収率95%、HPLC面百値99.2%)得た。

1H−NMR (299.4 MHz, CDCl3) : 1.27 (s,18H), 6.90 (m,4H), 7.08 (m, 4H), 7.25 (m, 8H), 7.39 (m, 4H),8.16 (m, 4H)
LC−MS(APPI−MS(posi)) : 781 [M+H]+


【0217】
<合成例2>
[化合物(J3)の合成]
不活性雰囲気下、三口フラスコに9,10−ジブロモアントラセン15.0g(44.6mmol)、N−(4−メチルフェニル)アニリン16.4g(89.2mmol)、t−ブトキシナトリウム10.3g(107.0mmol)、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム0.82g(0.89mmol)、トリ−t−ブチルホスフィン0.75g(3.57mmol)、脱水トルエン100mLを加え、100℃にて5時間攪拌した。その後、反応溶液を室温まで冷却し、1N塩酸水溶液にて中和し、メタノール500mLを攪拌しながら加え、析出した結晶を濾過し、MeOH、蒸留水にて洗浄し、減圧乾燥して目的とする化合物(J3)を22.7g(収率93%、HPLC面百値98.5%)得た。
1H−NMR (299.4 MHz, CDCl3) : 2.26 (s,6H), 6.86 (m,2H), 7.03(m, 12H), 7.17 (m, 4H), 7.34 (m, 4H),8.18 (m, 4H)
LC−MS(APPI−MS(posi)) : 541[M+H]+


【0218】
[化合物(J4)の合成]
不活性雰囲気下、三口フラスコに化合物(J3)5.0g(9.2mmol)、クロロベンゼン150mLを加え加熱して均一溶液にし、N−ブロモスクシンイミド3.4gと脱水N,N−ジメチルホルムアミド8mLからなる溶液を25−35℃にて攪拌しながら滴下し、さらに25−35℃にて4時間攪拌した。その後、反応混合物を加熱還流させ25−35℃まで冷却し、析出した結晶を濾過、減圧乾燥して、粗生成物を得た。粗生成物をメタノールに懸濁させた後、結晶を濾過、メタノール洗浄、減圧乾燥することで、目的とする化合物(J4)を6.0g(収率92.3%、HPLC面百値99.7%)得た。
1H−NMR (299.4 MHz, CDCl3) : 2.26 (s,6H), 6.87 (m,4H), 7.03(m, 8H), 7.26 (m, 4H), 7.37 (m, 4H),8.11 (m, 4H)
LC−MS(APPI−MS(posi)) : 696 [M]+・


【0219】
<合成例3>
[2,6−ジ−t−ブチルアントラセンの合成]
アントラセン153g、t−ブチルアルコール191g、トリフルオロ酢酸860mLを80−84℃にて24時間攪拌した後、4℃まで冷却し析出した沈殿物を濾過、トルエン洗浄、ヘキサンで洗浄し灰色の固体を得た。該固体をトルエンにて再結晶することで目的とする2,6−ジ−t−ブチルアントラセンを76.2g(収率30.5%、HPLC面百値99.1%)得た。
【0220】
[9,10−ジブロモ−2,6−ジ−t−ブチルアントラセンの合成]
2,6−ジ−t−ブチルアントラセン76.2gおよび四塩化炭素2.4Lからなる溶液に、臭素82.5gおよび四塩化炭素240mLからなる溶液を24〜30℃にて1時間かけて滴下し、さらに3時間攪拌を行った。次いで、氷浴中にて10%水酸化ナトリウム水溶液1Lを1.5時間かけて滴下し、水層を有機層から分離した。得られた有機層を水洗し、体積が500mLになるまで四塩化炭素を減圧留去し、得られた溶液を攪拌しながら7℃まで冷却し、析出した結晶をろ取することにより、目的とする9,10−ジブロモ−2,6−ジ−t−ブチルアントラセン110g(収率95%、HPLC面百値99.7%)得た。
1H−NMR (299.4 MHz, CDCl3) : 1.49 (s,18H), 7.70 (d,2H), 8.45(s, 2H), 8.50 (d, 2H)
【0221】
[化合物(J5)の合成]
不活性雰囲気下、9,10−ジブロモ−2,6−ジ−t−ブチルアントラセン50.0g、N−(4−t−ブチルフェニル)アニリン50.0g、t−ブトキシナトリウム25.7g、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム2.0g、トリ−t−ブチルホスフィン1.8g、脱水トルエン300mLを加え、90℃にて1時間攪拌した。その後、反応溶液を室温まで冷却し、1N塩酸水溶液318mLにて中和し、メタノール1Lを攪拌しながら加え、析出した結晶を濾過し、MeOHにて洗浄した。該結晶をトルエン900mLに溶解させ、ヘキサン900mLを加えて2hr攪拌し、析出した結晶を濾過、減圧乾燥して目的とする化合物(J5)を45.1g(収率55%、HPLC面百値99.0%)得た。
LC−MS(APPI−MS(posi)) : 737 [M+H]+



【0222】
[化合物(J6)の合成]
不活性雰囲気下、化合物(J5)40.0g、クロロベンゼン840mLを加え加熱して均一溶液にし、N−ブロモスクシンイミド17.7gと脱水N,N−ジメチルホルムアミド40mLからなる溶液を30℃にて攪拌しながら滴下し、7℃にて12時間攪拌した。その後、反応混合物にヘキサン3360mLを加えて1時間攪拌し、析出した沈殿を濾過にて除去し、濾液を全量が200mLになるまで濃縮し析出した固体をろ取した。該固体をトルエンにて再結晶することにより、目的とする化合物(J6)を25.7g(収率53%、HPLC面百値99.3%)得た。
1H−NMR (299.4 MHz, CDCl3) : 1.21 (s,18H), 1.26 (s,18H), 6.89(m, 4H), 7.07 (m, 4H),7.25 (m, 8H),7.42(d,2H),8.01(m,4H)
LC−MS(APPI−MS(posi)) : 893 [M+H]+


【0223】
<比較例1>
[高分子化合物1の合成]
不活性雰囲気下、下記化合物(J2)を0.188g(0.24mmol)、下記化合物(J13)を2.06g(3.76mmol)、下記化合物(J14)を2.10g(3.96mmol)、酢酸パラジウム(2.7mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(29.6mg)、Aliquat336(0.52g,アルドリッチ製)、トルエン(40ml)を混合し、105℃に加熱した。この反応溶液に2M Na2CO3水溶液(10.9ml)を滴下し、2時間還流させた。反応後、フェニルホウ酸(50mg)を加え、さらに2時間還流させた。次いでジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え80℃で2時間撹拌した。冷却後、水(52ml)で2回、3%酢酸水溶液(52ml)で2回、水(52ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(620mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエン(124mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(620ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し乾燥させた。得られた高分子化合物1の収量は2.54gであった。
高分子化合物1のポリスチレン換算数平均分子量は、1.1×105であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は2.5×105であった。蛍光強度は4.5、ガラス転移温度は73℃であった。




【0224】
<実施例1>
[高分子化合物2の合成]
不活性雰囲気下、下記化合物(J2)を0.188g(0.24mmol)、下記化合物(J8)を2.25g(3.76mmol)、下記化合物(J9)を2.74g(3.96mmol)、酢酸パラジウム(2.7mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(29.6mg)、Aliquat336(0.52g,アルドリッチ製)、トルエン(40ml)を混合し、105℃に加熱した。この反応溶液に2M Na2CO3水溶液(10.9ml)を滴下し、4.5時間還流させた。反応後、フェニルホウ酸(50mg)を加え、さらに2時間還流させた。次いでジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え80℃で2時間撹拌した。冷却後、水(52ml)で2回、3%酢酸水溶液(52ml)で2回、水(52ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(620mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエン(124mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(620ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し乾燥させた。得られた高分子化合物2の収量は2.55gであった。
高分子化合物2のポリスチレン換算数平均分子量は、1.0×105であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は2.3×105であった。蛍光強度は7.1、ガラス転移温度は136℃であった。比較例1記載の高分子化合物1と比べ、本願発明にかかる高分子化合物2は、蛍光強度が強く、耐熱性に優れるものである。
なお、化合物(J8)および(J9)は国際公開特許WO2005/056633の148〜150頁に記載の方法で合成した。



【0225】
<実施例2>
[高分子化合物3の合成]
不活性雰囲気下、下記化合物(J2)を0.157g(0.20mmol)、下記化合物(J10)を1.835g(3.15mmol)、下記化合物(J14)を1.777g(3.35mmol)、酢酸パラジウム(2.3mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(24.8mg)、Aliquat336(0.43g,アルドリッチ製)、トルエン(34ml)を混合し、105℃に加熱した。この反応溶液に2M Na2CO3水溶液(9.1ml)を滴下し、1.5時間還流させた。反応後、フェニルホウ酸(41mg)を加え、さらに2時間還流させた。次いでジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え80℃で2時間撹拌した。冷却後、水(44ml)で2回、3%酢酸水溶液(44ml)で2回、水(44ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(520mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエン(104mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(520ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し乾燥させた。得られた高分子化合物3の収量は2.19gであった。
高分子化合物3のポリスチレン換算数平均分子量は、1.1×105であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は3.3×105であった。
なお、化合物(J10)は特許文献の特開2004−59899の90頁に記載の方法で合成した。



【0226】
<実施例3>
高分子化合物2の、1.2wt%キシレン溶液を調製した。スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸の溶液(バイエル社、BaytronP)を用いてスピンコートにより50nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃で10分間乾燥した。次に、上記調製したキシレン溶液を用いてスピンコートにより900rpmの回転速度で成膜した。膜厚は約100nmであった。これを窒素ガス雰囲気下130℃で1時間乾燥した後、陰極としてバリウムを約5nm、次いでアルミニウムを約80nm蒸着して、EL素子を作製した。なお真空度が、1×10-4Pa以下に到達したのち、金属の蒸着を開始した。得られた素子に電圧を引加することにより、緑色のEL発光(ピーク波長525nm)が得られた。該素子は5.5Vで100cd/m2の発光を示し、最大輝度は約6000cd/m2以上と高輝度が得られた。
該素子を49mA/cm2の定電流密度で駆動したところ、半減寿命は48時間と、同じ電流密度で駆動した下記比較例2と比べ本発明の高分子化合物2の方が長寿命であった。
【0227】
<実施例4>
高分子化合物3の、1.0wt%キシレン溶液を調製し、実施例3と同様にEL素子を作製した。発光層は、スピンコートにより4000rpmの回転速度で成膜した。膜厚は約80nmであった。得られた素子に電圧を引加することにより、緑色のEL発光(ピーク波長530nm)が得られた。該素子は6Vで100cd/m2の発光を示し、最大輝度は約12000cd/m2以上と高輝度が得られた。
該素子を49mA/cm2の定電流密度で駆動したところ、半減寿命は250時間以上と、同じ電流密度で駆動した下記比較例2と比べ本発明の高分子化合物3の方が長寿命であった。
【0228】
<比較例2>
実施例3記載の高分子化合物2の代わりに、高分子化合物1を用いて、1.2%キシレン溶液を調製し、これを用いて実施例3と同様にEL素子を作製した。発光層は、スピンコートにより1300rpmの回転速度で成膜した。得られた素子に電圧を印加することにより、緑色のEL発光(ピーク波長525nm)が得られた。
該素子を49mA/cm2の定電流密度で駆動したところ、半減寿命は0.07時間であった。
【0229】
<比較例3>
[高分子化合物4の合成]
不活性雰囲気下、下記化合物(J6)を0.157g(0.17mmol)、下記化合物(J13)を1.50g(2.74mmol)、下記化合物(J14)を1.55g(2.92mmol)、酢酸パラジウム(2.0mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(21.6mg)、Aliquat336(0.38g,アルドリッチ製)、トルエン(29ml)を混合し、105℃に加熱した。この反応溶液に2M Na2CO3水溶液(7.9ml)を滴下し、4.5時間還流させた。反応後、フェニルホウ酸(36mg)を加え、さらに2時間還流させた。次いでジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え80℃で2時間撹拌した。冷却後、水(38ml)で2回、3%酢酸水溶液(38ml)で2回、水(38ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(450mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエン(90mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(450ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し乾燥させた。得られた高分子化合物4の収量は1.75gであった。
高分子化合物4のポリスチレン換算数平均分子量は、8.3×104であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は1.9×105であった。蛍光強度は4.5、ガラス転移温度は78℃であった。





【0230】
<実施例5>
[高分子化合物5の合成]
不活性雰囲気下、下記化合物(J6)を0.180g(0.20mmol)、下記化合物(J8)を1.89g(3.15mmol)、下記化合物(J9)を2.32g(3.35mmol)、酢酸パラジウム(2.3mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(24.8mg)、Aliquat336(0.43g,アルドリッチ製)、トルエン(34ml)を混合し、105℃に加熱した。この反応溶液に2M Na2CO3水溶液(9.1ml)を滴下し、2時間還流させた。反応後、フェニルホウ酸(41mg)を加え、さらに2時間還流させた。次いでジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え80℃で2時間撹拌した。冷却後、水(44ml)で2回、3%酢酸水溶液(44ml)で2回、水(44ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(520mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエン(104mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを通すことにより精製した。得られたトルエン溶液をメタノール(520ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し乾燥させた。得られた高分子化合物5の収量は1.48gであった。
高分子化合物5のポリスチレン換算数平均分子量は、8.8×104であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は1.8×105であった。蛍光強度は8.1、ガラス転移温度は138℃であった。比較例3記載の高分子化合物4と比べ、本願発明にかかる高分子化合物5は、蛍光強度が強く、耐熱性に優れるものである。


【0231】
<実施例6>
高分子化合物5の、1.2wt%キシレン溶液を調製し、実施例3と同様にEL素子を作製した。発光層は、スピンコートにより1400rpmの回転速度で成膜した。膜厚は約80nmであった。得られた素子に電圧を引加することにより、緑色のEL発光(ピーク波長520nm)が得られた。該素子は5Vで100cd/m2の発光を示し、最大輝度は約12000cd/m2以上と高輝度が得られた。
該素子を49mA/cm2の定電流密度で駆動したところ、半減寿命は3時間と、同じ電流密度で駆動した下記比較例4と比べ本発明の高分子化合物5の方が長寿命であった。
【0232】
<比較例4>
実施例6記載の高分子化合物5の代わりに、高分子化合物4を用いて、1.2%キシレン溶液を調製し、これを用いて実施例3と同様にEL素子を作製した。発光層は、スピンコートにより900rpmの回転速度で成膜した。得られた素子に電圧を印加することにより、緑色のEL発光(ピーク波長525nm)が得られた。
該素子を49mA/cm2の定電流密度で駆動したところ、半減寿命は0.02時間であった。
【0233】
<実施例7>
[高分子化合物6の合成]
不活性雰囲気下、下記化合物(J7)を0.630g(0.69mmol)、下記化合物(J8)を0.276g(0.46mmol)、下記化合物(J9)を0.810g(1.17mmol)、酢酸パラジウム(0.8mg)、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン(4.9mg)、20wt%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(8.5g)、トルエン(13ml)を混合し、105℃に加熱し、3時間還流させた。反応後、4−t−ブチルブロモベンゼン(123mg)を加え、さらに2時間還流させた。次いでジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え65℃で2時間撹拌した。冷却後、2N塩酸(26ml)で2回、10%酢酸ナトリウム水溶液(26ml)で2回、水(26ml)で2回洗浄し、セライトを通し、得られた溶液をメタノール(510mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。該沈殿物をトルエン(104mL)に溶解させ、得られたトルエン溶液をメタノール(520ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し乾燥させる操作を2回実施した。得られた高分子化合物6の収量は0.95gであった。
高分子化合物6のポリスチレン換算数平均分子量は、2.8×104であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は5.2×104であった。蛍光強度は4.9、ガラス転移温度は125℃であった。
なお、化合物(J7)は国際公開特許WO2005/049546の12頁に記載の方法で合成した。



【0234】
<実施例8>
[高分子化合物6による発光素子の作成]
高分子化合物6の、1.8wt%キシレン溶液を調製し、実施例3と同様にEL素子を作製した。発光層は、スピンコートにより900rpmの回転速度で成膜した。膜厚は約90nmであった。得られた素子に電圧を引加することにより、青色のEL発光(ピーク波長460nm)が得られた。
【0235】
<実施例9>
[高分子化合物7の合成]
100mL 二口フラスコに、下記化合物(J4)を0.0312g(0.044mmol)、下記化合物(J9)を1.524g(2.20mmol)、下記化合物(J11)を1.254g(1.92mmol)、下記化合物(J12)を0.103g(0.22mmol)、相間移動触媒であるAliquatTM0.34gを加え、フラスコ内をアルゴンガスにて置換した。次いで、トルエン19mLを加え、攪拌しながらArバブリングを30分行った。次いで、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム1.9mg、2M炭酸ナトリウム水溶液4.5mLを加え、100℃にて2.5時間攪拌した後、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム2.9mgを追加し、さらに100℃にて3時間攪拌を行った。次いで、4−t−ブチルフェニルホウ酸0.20g、トルエン15mLを加え、100℃にて1.5時間攪拌した。室温まで冷却した後、トルエン80mL、水50mLを加えて攪拌した後、有機層を水層と分離した。該有機層に水を加え攪拌した後、水層と分離した有機層をメタノール500mLに滴下し、得られた沈殿物を濾過、乾燥した。該沈殿物をトルエン100mLに溶解し、シリカゲルとアルミナのカラムに通液させ、メタノール800mLに滴下し、得られた沈殿物を濾過、乾燥し、高分子化合物7を1.7g得た。ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=1.0×105、Mw=2.3×105であった。


【0236】
<実施例10>
[高分子化合物7による発光素子の作成]
スパッタ法によりITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(Bayer製、Bytron P CH 8000)の懸濁液を、スピンコートにより80nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃、15分間乾燥し、次にインターレーヤー層を形成した。次に、実施例9にて得られた高分子化合物7をキシレンに溶解させた。このとき、固形分の濃度は約1.5wt%となるように調製した。このキシレン溶液を用いてスピンコートにより、90nmの厚みで成膜した。その後、窒素雰囲気下で130℃1時間乾燥した後、陰極として、バリウムを、次いでアルミニウムを蒸着して、有機EL素子を作製した。得られた素子に電圧を印加したところ、高分子化合物7由来のピーク波長525nmの緑色発光を示した。また、この素子は7.4Vの電圧を印加した際に、最大発光効率11.5cd/Aを示し、その際の色度座標C.I.E.1931(x,y)=(0.291,0.585)であった。
【0237】
<実施例11>
[高分子化合物8の合成]
化合物(J4)0.080mmol、化合物(J9)4.04mmol、化合物(J12)0.40mmol、下記化合物(J16)3.52mmolをモノマーとして使用した以外は、実施例9と同様の処方にて、高分子化合物8を3.2g得た。ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、それぞれMn=1.4×105、Mw=2.9×105であった。


【0238】
<実施例12>
[高分子化合物8による発光素子の作成]
スパッタ法によりITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(Bayer製、Bytron P CH 8000)の懸濁液を、スピンコートにより80nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃、15分間乾燥し、次にインターレーヤー層を形成した。次に、高分子化合物8をキシレンに溶解させた。このとき、固形分の濃度は約1.5wt%となるように調製した。このキシレン溶液を用いてスピンコートにより、85nmの厚みで成膜した。その後、窒素雰囲気下で130℃1時間乾燥した後、陰極として、バリウムを、次いでアルミニウムを蒸着して、有機EL素子を作製した。得られた素子に電圧を印加したところ、高分子化合物8由来のピーク波長525nmの緑色発光を示した。また、この素子は7.4Vの電圧を印加した際に、最大発光効率12.2cd/Aを示し、その際の色度座標C.I.E.1931(x,y)=(0.271,0.565)であった。
【0239】
<比較例5>
スパッタ法によりITO膜を付けたガラス基板に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(Bayer製、Bytron P CH 8000)の懸濁液を、スピンコートにより80nmの厚みで成膜し、ホットプレート上で200℃、15分間乾燥し、次にインターレーヤー層を形成した。次に、特許文献1(国際公開第2005/49546号パンフレット)の21頁、実施例8における処方と同様にして、下記化合物(J4)0.60mmol、化合物(J14)6.12mmol、化合物(J15)5.40mmolを縮合重合して得られた高分子化合物9をキシレンに溶解させた。このとき、固形分の濃度は約1.5wt%となるように調製した。このキシレン溶液を用いてスピンコートにより、90nmの厚みで成膜した。その後、窒素雰囲気下で130℃1時間乾燥した後、陰極として、バリウムを、次いでアルミニウムを蒸着して、有機EL素子を作製した。得られた素子に電圧を印加したところ、高分子化合物9由来のピーク波長535nmの緑色発光を示した。また、この素子は4.8Vの電圧を印加した際に、最大発光効率8.5cd/Aを示し、その際の色度座標C.I.E.1931(x,y)=(0.354,0.609)であった。
このように、式(2)で表される繰り返し単位を含まない高分子化合物9と比べ、実施例10および実施例12にてそれぞれ使用した高分子化合物7および高分子化合物8は、高い効率を示し、本願発明にかかる高分子化合物は高分子発光素子に用いる材料として優れた性質を有するものである。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される繰り返し単位の1種類以上と下記式(2)および(3)から選ばれる繰り返し単位の1種類以上とを含むことを特徴とする高分子化合物。



(式中、Ar1は置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい一価の芳香族複素環基を表し、Ar2は置換基を有していてもよいアリーレン基または置換基を有していてもよい二価の芳香族複素環基を表す。Zは縮合環構造を有する二価の芳香族基を表し、該基は置換基を有していてもよい。2個のAr1は、同一であっても異なっていてもよく、2個のAr2は、同一であっても異なっていてもよい。)


(式中、A環およびB環はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表すが、A環およびB環の少なくとも1つが、複数個のベンゼン環が縮合した芳香族炭化水素環であり、2つの結合手はそれぞれA環またはB環上に存在し、RwおよびRxはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表し、RwとRxは互いに結合して環を形成していてもよい。)

(式中、C環およびD環はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香環を表し、2つの結合手はそれぞれC環またはD環上に存在する。Yは酸素原子、硫黄原子または−O−C(RK2−を表す。RKは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基またはシアノ基を表す。2個のRKは、同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項2】
さらに下記式(4)または(5)で表される繰り返し単位を1種類以上含むことを特徴とする請求項1に記載の高分子化合物。

−Ar3− (4)

(式中、Ar3は置換基を有していてもよい二価の芳香族基を表す。)

(式中Ar6、Ar7、Ar8およびAr9はそれぞれ独立に1,4−フェニレン基または4,4’−ビフェニレン基を表す。Ar10、Ar11およびAr12はそれぞれ独立にアリール基を表す。Ar6、Ar7、Ar8、Ar9、Ar10、Ar11およびAr12は置換基を有していてもよい。xおよびyはそれぞれ独立に0または正の整数を示す。)
【請求項3】
式(1)において、Zが縮合環を有する置換もしくは無置換の芳香族炭化水素化合物から水素原子2個を除いた原子団であることを特徴とする、請求項1または2に記載の高分子化合物。
【請求項4】
式(1)において、Zが置換基を有していてもよいアントラセンジイル基または置換基を有していてもよいフルオレンジイル基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の高分子化合物。
【請求項5】
式(1)において、Ar1が置換基を有していてもよいフェニル基であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の高分子化合物。
【請求項6】
式(1)で表される繰り返し単位が、下記式(S−52)で表される二価の基であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の高分子化合物。



(式中、RD、RE、RF、RG、RHおよびRIはそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。RD、RE、RF、RG、RHおよびRIがそれぞれ複数存在する場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。d、e、fおよびgはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、hおよびiはそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。)
【請求項7】
式(1)で表される繰り返し単位が、下記式(S−53)で表される二価の基であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の高分子化合物。


(式中、RM1、RM2、RM3およびRM4はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。RM1、RM2、RM3およびRM4がそれぞれ複数存在する場合は、互いに同一であっても異なっていてもよい。m1およびm3はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、m2およびm4はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。RL1およびRL2はそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基または1価の複素環基を表す。)
【請求項8】
式(2)で表される繰り返し単位が、下記式(1−1)、(1−2)、(1−3)または(1−4)で表される二価の基であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の高分子化合物。




(式中、Rp1、Rq1、Rp2、Rq2、Rp3、Rq3、Rp4およびRq4はそれぞれ独立にアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表す。aは0〜3の整数を表し、bは0〜5の整数を表す。Rp1、Rq1、Rp2、Rq2、Rp3、Rq3、Rp4およびRq4が複数存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Rw1、Rx1、Rw2、Rx2、Rw3、Rx3、Rw4およびRx4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基またはシアノ基を表し、Rw1とRx1、Rw2とRx2、Rw3とRx3、Rw4とRx4はそれぞれ互いに結合して環を形成していてもよい。)
【請求項9】
式(3)で表される繰り返し単位が、下記式(G−27)で表される二価の基であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の高分子化合物。


(式中、Yは式(3)におけるYと同じ意味を表し、RsおよびRtはそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、カルボキシル基、置換カルボキシル基、ニトロ基またはシアノ基を表す。RSおよびRtが複数存在する場合には、同一であっても異なっていてもよい。mおよびnはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。)
【請求項10】
式(4)で表される繰り返し単位が、置換基を有する2,7−フルオレンジイル基または置換基を有する3,7−フェノキサジンジイル基であることを特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載の高分子化合物。
【請求項11】
式(S−52)で表される繰り返し単位、式(1−1)で表される繰り返し単位、置換基を有する2,7−フルオレンジイル基および置換基を有する3,7−フェノキサジンジイル基からなることを特徴とする請求項2〜6または請求項8〜10のいずれかに記載の高分子化合物。
【請求項12】
正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種類の材料と、請求項1〜11のいずれかに記載の高分子化合物とを含有することを特徴とする高分子組成物。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれかに記載の高分子化合物を含有することを特徴とする溶液。
【請求項14】
請求項12に記載の高分子組成物を含有することを特徴とする溶液。
【請求項15】
2種類以上の有機溶媒を含有する請求項13又は14に記載の溶液。
【請求項16】
25℃において1〜20mPa・sの粘度を有する請求項13〜15のいずれかに記載の溶液。
【請求項17】
請求項1〜11のいずれかに記載の高分子化合物、又は請求項12に記載の高分子組成物を含有する発光性薄膜。
【請求項18】
蛍光の量子収率が50%以上である請求項17記載の発光性薄膜。
【請求項19】
請求項1〜11のいずれかに記載の高分子化合物、又は請求項12に記載の高分子組成物を含有する導電性薄膜。
【請求項20】
請求項1〜11のいずれかに記載の高分子化合物、又は請求項12に記載の高分子組成物を含有する有機半導体薄膜。
【請求項21】
請求項20に記載の有機半導体薄膜を有することを特徴とする有機トランジスタ。
【請求項22】
インクジェット法を用いることを特徴とする請求項17〜20のいずれかに記載の薄膜の製膜方法。
【請求項23】
陽極及び陰極からなる電極間に、有機層を有し、該有機層が請求項1〜11のいずれかに記載の高分子化合物、又は請求項12に記載の高分子組成物を含むことを特徴とする高分子発光素子。
【請求項24】
前記有機層が発光層である請求項23記載の高分子発光素子。
【請求項25】
前記発光層がさらに正孔輸送材料、電子輸送材料又は発光材料を含む請求項24記載の高分子発光素子。
【請求項26】
陽極及び陰極からなる電極間に、発光層と電荷輸送層とを有し、該電荷輸送層が請求項1〜11のいずれかに記載の高分子化合物、又は請求項12に記載の高分子組成物を含む請求項23に記載の高分子発光素子。
【請求項27】
陽極及び陰極からなる電極間に、発光層と電荷輸送層とを有し、該電荷輸送層と電極との間に電荷注入層を有し、該電荷注入層が請求項1〜11のいずれかに記載の高分子化合物、又は請求項12に記載の高分子組成物を含む請求項23記載の高分子発光素子。
【請求項28】
請求項23〜27のいずれかに記載の高分子発光素子を用いたことを特徴とする面状光源。
【請求項29】
請求項23〜27のいずれかに記載の高分子発光素子を用いたことを特徴とするセグメント表示装置。
【請求項30】
請求項23〜27のいずれかに記載の高分子発光素子を用いたことを特徴とするドットマトリックス表示装置。
【請求項31】
請求項23〜27のいずれかに記載の高分子発光素子をバックライトとすることを特徴とする液晶表示装置。

【公開番号】特開2007−162009(P2007−162009A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−310009(P2006−310009)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】