説明

高分子化合物及びそれを用いてなる発光素子

【課題】発光素子に用いた場合に、得られる発光素子の輝度寿命が優れたものとなる高分子化合物を提供すること。
【解決手段】式で表される構成単位を含む高分子化合物。


[式中、R1A、R1B、R2A、R2Bは、非置換のアルキル基、R及びRは、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基、を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子化合物、より詳しくはフルオレン系高分子化合物及びそれを用いてなる発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子等の発光素子は、低電圧駆動、高輝度等の特性のため、ディスプレイ等の用途に好適であり、近年、注目されている。そして、この発光素子の製造には、発光材料や電荷輸送材料が用いられる。
【0003】
発光材料や電荷輸送材料としては、溶媒に溶解させて塗布法により有機層を形成できる高分子化合物が検討されており、そのような高分子化合物として、アルキル基を置換基として有するフルオレンから誘導された構成単位を含む高分子化合物が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2001−520289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の高分子化合物は、発光素子の作製に用いた場合に、得られる発光素子の輝度寿命が十分ではない。
【0006】
そこで、本発明は、発光素子に用いた場合に、得られる発光素子の輝度寿命が優れたものとなる高分子化合物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は第1に、式(1)で表される構成単位を含む高分子化合物を提供する。
【化1】


[式(1)中、R1A、R1B、R2A及びR2Bは、それぞれ独立に、非置換のアルキル基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。a、b、c及びdはそれぞれ独立に、0〜3の整数を表す。R、R、R及びRは、それぞれ複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
【0008】
式(1)において、R1Aが、1級又は2級の非置換のアルキル基であると好ましい。また、R2Aが、1級又は2級の非置換のアルキル基であると好ましい。
【0009】
また、式(1)においては、R1AとR1Bとの組み合わせ、及び、R2AとR2Bとの組み合わせのうちの少なくとも一方の組み合わせが、互いに異なる基同士の組み合わせであるとより好ましい。
【0010】
式(1)で表される構成単位は、式(2)で表される構成単位であると好適である。
【化2】


[式(2)中、R1A、R1B、R2A、R2B、R、R、a及びbは、前記と同じ意味である。]
【0011】
式(1)及び(2)においては、a及びbが、それぞれ独立に0又は1を表し、R及びRが、それぞれ独立に非置換のアルキル基を表すとより好ましい。
【0012】
式(2)で表される構成単位は、式(3)で表される構成単位であると好ましい。
【化3】


[式(3)中、R1A、R1B、R2A及びR2Bは、前記と同じ意味である。]
【0013】
さらに、式(3)で表される構成単位は、式(4)で表される構成単位であるとより好ましい。
【化4】


[式(4)中、R1A、R1B、R2A及びR2Bは、前記と同じ意味である。]
【0014】
本発明の高分子化合物は、さらに、式(6)で表される構成単位及び式(7)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上の構成単位を含むと好ましい。
【化5】


[式(6)中、Arは、非置換若しくは置換のアリーレン基、又は、非置換若しくは置換の2価の複素環基を表す。ただし、式(6)で表される構成単位は、式(1)で表される構成単位とは異なる構造を有する構成単位である。
式(7)中、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の芳香族複素環基、又は、2個の芳香環が単結合で連結した非置換若しくは置換の2価の基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、又は、非置換若しくは置換の1価の複素環基を表す。eは0又は1である。]
【0015】
その場合、式(6)で表される構成単位は、式(8)で表される構成単位、式(9)で表される構成単位、式(10)で表される構成単位又は式(11)で表される構成単位であると好適である。
【化6】


[式(8)中、Rは、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。fは0〜4の整数を表す。Rが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
式(9)中、R10及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。ただし、式(9)で表される構成単位は、式(1)で表される構成単位とは異なる構造を有する構成単位である。
式(10)中、R12は、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、又は、非置換若しくは置換の1価の複素環基を表す。Xは、単結合、−O−、−S−、又は、−C(R−を表す。Rは、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。2つのRは同一であっても異なっていてもよい。
式(11)中、R13及びR13’はそれぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。]
【0016】
そのような高分子化合物としては、式(12)で表される構成単位及び式(13)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上の構成単位を含むものが好適である。
【化7】


[式(12)中、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。
式(13)中、R20は、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。gは0〜5の整数を表す。R20が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。]
【0017】
また、式(7)で表される構成単位は、式(14)で表される構成単位であると好ましい。
【化8】


[式(7)中、Ar及びeは、前記と同じ意味である。R及びRは、それぞれ独立に、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。h及びiは、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。R及びRはそれぞれ複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
【0018】
本発明の高分子化合物は、さらに、式(15)で表される構成単位、及び、式(16)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上の構成単位を含むと好ましい。
【化9】


[式(15)中、R21は、架橋性基を表す。R22は、水素原子、架橋性基、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。ただし、式(15)で表される構成単位は、式(1)で表される構成単位、式(6)で表される構成単位、及び、式(9)で表される構成単位とはそれぞれ異なる構造を有する構成単位である。
式(16)中、R23は、架橋性基を表す。R24は、架橋性基、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。jは0又は1を表す。ただし、式(16)で表される構成単位は、式(7)で表される構成単位、及び、式(14)で表される構成単位とはそれぞれ異なる構造を有する構成単位である。]
【0019】
特に、本発明の高分子化合物としては、式(1)で表される構成単位と、式(6)で表される構成単位、及び、式(7)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位とからなるものが好適な例として挙げられる。
【0020】
本発明は第2に、正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料と、上記本発明の高分子化合物とを含有する組成物を提供する。
【0021】
本発明は第3に、上記本発明の高分子化合物と溶媒とを含有する組成物を提供する。
【0022】
本発明は第4に、上記本発明の高分子化合物を含有する薄膜を提供する。
【0023】
本発明は第5に、陽極及び陰極からなる電極と、これらの電極間に設けられた、上記本発明の高分子化合物を含有する層とを備える発光素子を提供する。
【0024】
本発明は第6に、式(a)で表される化合物を提供する。
【化10】


[式(a)中、R1A、R1B、R2A及びR2Bは、それぞれ独立に、非置換のアルキル基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。a、b、c及びdはそれぞれ独立に、0〜3の整数を表す。R、R、R及びRは、それぞれ複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。Yは、ハロゲン原子、メトキシ基、ホウ酸エステル残基、ホウ酸残基、式(a−1)で表される基、式(a−2)で表される基、式(a−3)で表される基、又は、式(a−4)で表される基を表す。2個存在するYは、同一であっても異なっていてもよい。
式(a−1)及び(a−4)中、Rは、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。なお、式(a−4)中に複数存在するRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(a−2)及び(a−3)中、Xは、ハロゲン原子を表す。]
【発明の効果】
【0025】
本発明の高分子化合物は、上述した特定の構造を有することにより、発光素子の作製に用いた場合に、得られる発光素子の輝度寿命が優れたものである。そのため、本発明の高分子化合物は、例えば、発光材料、電荷輸送材料等の電子部品材料として有用である。従って、本発明の高分子化合物及び発光素子は、液晶ディスプレイのバックライト、照明用としての曲面状や平面状の光源、セグメントタイプの表示素子、ドットマトリックスのフラットパネルディスプレイ等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の発光素子の一実施形態を示す模式断面図である。
【図2】本発明の発光素子の他の実施形態を示す模式断面図である。
【図3】本発明の面状光源の一実施形態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0028】
まず、本明細書で用いられる用語について説明する。本明細書において、「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位を意味する。「n価の複素環基」(nは1又は2である)とは、複素環式化合物(特には、芳香族性をもつ複素環式化合物)からn個の水素原子を除いてなる基を意味する。「複素環式化合物」とは、環式構造を持つ有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、燐原子、ホウ素原子等のヘテロ原子を環内に含む化合物を意味する。「アリーレン基」とは、芳香族炭化水素から水素原子2個を除いてなる原子団を意味する。「アリール基」とは、芳香族炭化水素から水素原子1個を除いてなる原子団を意味し、縮合環を持つ基、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接結合した基を含む。
【0029】
[高分子化合物]
以下、好適な実施形態に係る高分子化合物について説明する。
【0030】
(式(1)で表される構成単位)
本発明の高分子化合物は、前記式(1)で表される構成単位を含む。
【0031】
式(1)中、R1A、R1B、R2A及びR2Bは、それぞれ独立に、非置換のアルキル基を表す。R1A、R1B、R2A及びR2Bで表される非置換のアルキル基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよい。非置換のアルキル基の炭素数は、通常1〜20であり、好ましくは1〜15であり、より好ましくは1〜10であり、更に好ましくは1〜8であり、特に好ましくは1〜6である。
【0032】
式(1)中、R1A及びR2Aは、1級又は2級の非置換のアルキル基であることが好ましい。
【0033】
式(1)中、R1A及びR2Aは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、n−ドデシル基等の1級又は2級の非置換のアルキル基であることが好ましい。なかでも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、n−ドデシル基等の1級の非置換のアルキル基であることがより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の1級の直鎖の非置換のアルキル基であることが更に好ましい。
【0034】
式(1)中、R1B及びR2Bは、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、n−ドデシル基、1−アダマンチル基等の1級又は3級の非置換のアルキル基であることが好ましい。なかでも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、n−ドデシル基、等の1級の非置換のアルキル基であることがより好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の1級の直鎖の非置換のアルキル基であることが更に好ましい。
【0035】
高分子化合物の有機溶媒への溶解性の観点からは、R1AとR1Bとの組み合わせ、及び、R2AとR2Bとの組み合わせのうちの少なくとも一方が、異なる基同士の組み合わせであることが好ましい。さらに、R1AとR1Bとが異なる基であり、かつ、R2AとR2Bとが異なる基であることがより好ましい。
【0036】
一方、高分子化合物を得るためのモノマーの合成のしやすさの観点からは、R1AとR1Bとの組み合わせ、及び、R2AとR2Bとの組み合わせの少なくとも一方が、同一の基同士の組み合わせであることが好ましい。さらに、R1AとR1Bとが同一の基であり、かつ、R2AとR2Bとが同一の基であることがより好ましい。
【0037】
式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。なかでも、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、アルコキシカルボニル基が好ましく、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基がより好ましく、非置換若しくは置換のアルキル基が更に好ましく、非置換のアルキル基が特に好ましい。
【0038】
及びRで表される非置換のアルキル基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよい。その炭素数は、通常1〜20であり、好ましくは1〜15であり、より好ましくは1〜10であり、更に好ましくは1〜8であり、特に好ましくは1〜6である。
【0039】
及びRで表される非置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基等が挙げられる。なかでも、高分子化合物の有機溶媒への溶解性と得られる発光素子の寿命とのバランスがよくなるので、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基が好ましく、メチル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基がより好ましく、メチル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基が更に好ましい。
【0040】
及びRで表される置換のアルキル基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよい。その炭素数は、置換基の炭素数を含まないで、通常1〜20であり、好ましくは1〜15であり、より好ましくは1〜10である。
【0041】
及びRで表される置換のアルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基等のハロゲン原子で置換されたアルキル基、フェニルメチル基、4−(4−ヘキシルフェニル)ブチル基等のアリール基で置換されたアルキル基、エチルオキシメチル基、エチルオキシエチル基等のアルコキシ基で置換されたアルキル基等が挙げられる。
【0042】
及びRで表される非置換若しくは置換のアルコキシ基は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよい。その炭素数は、置換基の炭素数を含まないで、通常1〜20であり、好ましくは1〜15であり、より好ましくは4〜10である。
【0043】
及びRで表される非置換若しくは置換のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基、2−エトキシエチルオキシ基等が挙げられる。高分子化合物の有機溶媒への溶解性と耐熱性とがバランス良く向上するので、n−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、2−エトキシエチルオキシ基が好ましい。
【0044】
及びRで表される非置換若しくは置換のアリール基の炭素数は、置換基の炭素数を含まないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜48であり、より好ましくは6〜20であり、更に好ましくは6〜10である。
【0045】
及びRで表される非置換若しくは置換のアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ペリレニル基、3−ペリレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、4−フルオレニル基、1−ビフェニレニル基、2−ビフェニレニル基、2−フェナンスレニル基、9−フェナンスレニル基、2−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、4−フェニルフェニル基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アシル基、N,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、シアノ基、ニトロ基、塩素原子、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。高分子化合物の有機溶媒への溶解性と耐熱性とがバランス良く向上するので、フェニル基、アルキル基で置換されたフェニル基が好ましい。
【0046】
アルキル基で置換されたフェニル基としては、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3−n−ブチルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3−n−ヘキシルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3−n−ヘキシル−5−メチルフェニル基、3,5−ジヘキシルフェニル基等が挙げられる。
【0047】
及びRで表される非置換若しくは置換のアリールオキシ基の炭素数は、置換基の炭素数を含まないで、通常6〜60であり、好ましくは7〜48である。
【0048】
及びRで表される非置換若しくは置換のアリールオキシ基としては、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、1−アントラセニルオキシ基、9−アントラセニルオキシ基、1−ピレニルオキシ基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アシル基、N,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、シアノ基、ニトロ基、塩素原子、フッ素原子等で置換された基が挙げられる。
【0049】
及びRで表される非置換若しくは置換の1価の複素環基の炭素数は、置換基の炭素数を含まないで、通常4〜60であり、好ましくは4〜20である。
【0050】
及びRで表される非置換若しくは置換の1価の複素環基としては、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジル基、トリアジニル基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、アルコキシ基等で置換された基が挙げられる。なかでも、チエニル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピリミジル基、トリアジニル基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、アルコキシ基で置換された基が好ましく、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジニル基、及び、これらの基における水素原子が、アルキル基、アルコキシ基で置換された基がより好ましい。
【0051】
及びRで表される置換のシリル基としては、非置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、及び、非置換若しくは置換の1価の複素環基からなる群から選ばれる1〜3個の基で置換されたシリル基が挙げられる。非置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、及び、非置換若しくは置換の1価の複素環基の定義や例は、前記と同じである。置換のシリル基の炭素数は、通常1〜60であり、好ましくは3〜48である。
【0052】
及びRで表される置換のシリル基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリ−イソプロピルシリル基、ジメチル−イソプロピリシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等が挙げられる。
【0053】
及びRで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ましくはフッ素原子である。
【0054】
及びRで表されるアルコキシカルボニル基の炭素数は、通常2〜60であり、好ましくは2〜10である。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0055】
式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。
【0056】
及びRで表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基又は非置換若しくは置換のアリール基の定義や例は、それぞれ、R及びRで表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基又は非置換若しくは置換のアリール基の定義や例と同じである。
【0057】
式(1)中、a及びbは、それぞれ独立に、0〜3の整数を表し、0〜2の整数が好ましく、0又は1がより好ましく、0が特に好ましい。
【0058】
式(1)中、c及びdはそれぞれ独立に、0〜3の整数を表し、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
【0059】
式(1)で表される構成単位は、好ましくは、式(2)で表される構成単位であり、より好ましくは、式(3)で表される構成単位であり、更に好ましくは、式(4)、式(4A)又は式(4B)で表される構成単位であり、特に好ましくは、式(4)で表される構成単位又は式(4B)で表される構成単位であり、とりわけ好ましくは、式(4)で表される構成単位である。
【化11】


[式(2)、(3)、(4)、(4A)及び(4B)中、R1A、R1B、R2A、R2B、R、R、a及びbは、前記と同じ意味である。]
【0060】
式(1)で表される構成単位としては、以下の式(1A−1)〜(1A−4)、(1B−1)〜(1B−4)、(1C−1)〜(1C−6)、(1D−1)〜(1D−4)、(1E−1)〜(1E−8)、(1F−1)〜(1F−12)、(1G−1)〜(1G−7)、(1H−1)〜(1H−10)、(1J−1)〜(1J−6)、(1K−1)〜(1K−4)、(1L−1)〜(1L−3)、(1M−1)〜(1M−2)、(1N−1)〜(1N−23)、(1P−1)〜(1P−33)、(1Q−1)〜(1Q−6)で表される構成単位が挙げられる。
【0061】
なかでも、得られる発光素子の輝度寿命をより長くできるので、以下の式(1A−1)〜(1A−4)、(1B−1)〜(1B−4)、(1C−1)〜(1C−6)、(1D−1)〜(1D−4)、(1E−1)〜(1E−8)、(1F−1)〜(1F−12)、(1G−1)〜(1G−7)、(1H−1)〜(1H−10)、(1J−1)〜(1J−6)、(1K−1)〜(1K−4)、(1L−1)〜(1L−3)、(1M−1)〜(1M−2)、(1N−1)〜(1N−23)で表される構成単位が好ましく、以下の式(1A−1)〜(1A−4)、(1B−1)〜(1B−4)、(1C−1)〜(1C−6)、(1D−1)〜(1D−4)、(1E−1)〜(1E−8)、(1F−1)〜(1F−12)、(1G−1)〜(1G−7)、(1H−1)〜(1H−10)、(1J−1)〜(1J−6)、(1K−1)〜(1K−4)、(1L−1)〜(1L−3)、(1N−4)〜(1N−17)で表される構成単位がより好ましく、以下の式(1A−1)〜(1A−4)、(1B−1)〜(1B−4)、(1C−1)〜(1C−6)、(1D−1)〜(1D−4)、(1E−1)〜(1E−8)、(1F−1)〜(1F−12)、(1G−1)〜(1G−7)、(1H−1)〜(1H−10)、(1J−1)〜(1J−6)、(1K−1)〜(1K−4)、(1L−1)〜(1L−3)で表される構成単位が更に好ましく、以下の式(1A−1)〜(1A−4)、(1B−1)〜(1B−4)、(1C−1)〜(1C−6)、(1D−1)〜(1D−4)、(1E−1)〜(1E−8)、(1F−1)〜(1F−12)で表される構成単位が特に好ましく、以下の式(1C−1)〜(1C−6)、(1D−1)〜(1D−4)、(1E−1)〜(1E−8)、(1F−1)〜(1F−12)で表される構成単位がとりわけ好ましく、以下の式(1F−1)〜(1F−12)で表される構成単位が殊更に好ましい。
【0062】
【化12】

【0063】
【化13】

【0064】
【化14】

【0065】
【化15】

【0066】
【化16】

【0067】
【化17】

【0068】
【化18】

【0069】
【化19】

【0070】
【化20】

【0071】
【化21】

【0072】
【化22】

【0073】
【化23】

【0074】
【化24】

【0075】
【化25】

【0076】
【化26】

【0077】
【化27】

【0078】
【化28】

【0079】
【化29】

【0080】
【化30】

【0081】
【化31】

【0082】
【化32】

【0083】
【化33】

【0084】
【化34】

【0085】
【化35】

【0086】
【化36】

【0087】
本実施形態の高分子化合物は、得られる発光素子の輝度寿命がより向上するので、式(1)で表される構成単位に加えて、式(6)で表される構成単位及び式(7)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上の構成単位を含むことが好ましい。
【化37】


[式(6)中、Arは、非置換若しくは置換のアリーレン基、又は、非置換若しくは置換の2価の複素環基を表す。式(7)中、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の芳香族複素環基、又は、2個の芳香環が単結合で連結した非置換若しくは置換の2価の基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、又は、非置換若しくは置換の1価の複素環基を表す。eは0又は1である。]
【0088】
式(6)中、Ar1は、非置換若しくは置換のアリーレン基、又は、非置換若しくは置換の2価の複素環基を表す。ただし、式(6)で表される構成単位は、式(1)で表される構成単位とは異なる構造を有する構成単位である。
【0089】
式(6)中、Arで表される非置換若しくは置換のアリーレン基の炭素数は、置換基の炭素数を含まないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18であり、更に好ましくは6〜14である。
【0090】
Arで表される非置換若しくは置換のアリーレン基としては、非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,3−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,2−フェニレン基等の非置換若しくは置換のフェニレン基;非置換若しくは置換の1,4−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の1,5−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の2,6−ナフタレンジイル基等の非置換若しくは置換のナフタレンジイル基;非置換若しくは置換の1,4−アントラセンジイル基、非置換若しくは置換の1,5−アントラセンジイル基、非置換若しくは置換の2,6−アントラセンジイル基、非置換若しくは置換の9,10−アントラセンジイル基等の非置換若しくは置換のアントラセンジイル基;非置換若しくは置換の2,7−フェナントレンジイル基等の非置換若しくは置換のフェナントレンジイル基;非置換若しくは置換の1,7−ナフタセンジイル基、非置換若しくは置換の2,8−ナフタセンジイル基、非置換若しくは置換の5,12−ナフタセンジイル基等の非置換若しくは置換のナフタセンジイル基;非置換若しくは置換の2,7−フルオレンジイル基、非置換若しくは置換の3,6−フルオレンジイル基等の非置換若しくは置換のフルオレンジイル基;非置換若しくは置換の1,6−ピレンジイル基、非置換若しくは置換の1,8−ピレンジイル基、非置換若しくは置換の2,7−ピレンジイル基、非置換若しくは置換の4,9−ピレンジイル基等の非置換若しくは置換のピレンジイル基;非置換若しくは置換の3,9−ペリレンジイル基、非置換若しくは置換の3,10−ペリレンジイル基等の非置換若しくは置換のペリレンジイル基等が挙げられる。好ましくは、非置換若しくは置換のフェニレン基、非置換若しくは置換のナフタレンジイル基、非置換若しくは置換のフルオレンジイル基、非置換若しくは置換のピレンジイル基であり、より好ましくは、非置換若しくは置換のフェニレン基、非置換若しくは置換のフルオレンジイル基である。
【0091】
Arで表される非置換若しくは置換の2価の芳香族複素環基の炭素数は、置換基の炭素数を含まないで、通常4〜60であり、好ましくは4〜30であり、より好ましくは5〜22であり、特に好ましくは5〜12である。
【0092】
Arで表される非置換若しくは置換の2価の芳香族複素環基としては、非置換若しくは置換の2,5−ピリジンジイル基、非置換若しくは置換の2,6−ピリジンジイル基等の非置換若しくは置換のピリジンジイル基;非置換若しくは置換の2,5−フランジイル基等の非置換若しくは置換のフランジイル基;非置換若しくは置換の2,6−キノリンジイル基等の非置換若しくは置換のキノリンジイル基;非置換若しくは置換の1,4−イソキノリンジイル基、非置換若しくは置換の1,5−イソキノリンジイル基等の非置換若しくは置換のイソキノリンジイル基;非置換若しくは置換の5,8−キノキサリンジイル基等の非置換若しくは置換のキノキサリンジイル基;非置換若しくは置換の2,7−カルバゾールジイル基、非置換若しくは置換の3,6−カルバゾールジイル基等の非置換若しくは置換のカルバゾールジイル基;非置換若しくは置換の3,7−フェノキサジンジイル基等の非置換若しくは置換のフェノキサジンジイル基、非置換若しくは置換の3,7−フェノチアジンジイル基等の非置換若しくは置換のフェノチアジンジイル基;非置換若しくは置換の2,7−ジベンゾシロールジイル基等の非置換若しくは置換のジベンゾシロールジイル基等が挙げられる。好ましくは、非置換若しくは置換のカルバゾールジイル基、非置換若しくは置換のフェノキサジンジイル基であり、より好ましくは、非置換若しくは置換のフェノキサジンジイル基である。
【0093】
上記のアリーレン基や2価の芳香族複素環基が置換基を有する場合、置換基は、好ましくは、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基である。より好ましくは、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基であり、更に好ましくは、非置換アルキル基、置換のアリール基である。
【0094】
上記の置換基となり得る非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基の定義や例は、それぞれ、R及びRで表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基の定義や例と同じである。
【0095】
式(6)で表される構成単位は、得られる発光素子の輝度寿命をより長くできるので、好ましくは、式(8)、(9)、(10)又は(11)で表される構成単位であり、より好ましくは、式(8)、(9)又は(10)で表される構成単位である。
【化38】


[式(8)中、Rは、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。fは0〜4の整数を表す。Rが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
式(9)中、R10及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。ただし、式(9)で表される構成単位は、式(1)で表される構成単位とは異なる構造を有する構成単位である。
式(10)中、R12は、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、又は、非置換若しくは置換の1価の複素環基を表す。Xは、単結合、−O−、−S−、又は、−C(R−を表す。Rは、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。2つのRは同一であっても異なっていてもよい。
式(11)中、R13及びR13’はそれぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。]
【0096】
式(8)中、Rは、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基を表す。好ましくは、非置換のアルキル基、非置換のアルコキシ基、置換のアリール基であり、より好ましくは、非置換のアルキル基、非置換のアルコキシ基であり、特に好ましくは、非置換のアルキル基である。
【0097】
で表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基の定義や例は、それぞれ、R及びRで表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基の定義や例と同じである。
【0098】
式(8)中、fは0〜4の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。
【0099】
式(8)で表される構成単位としては、以下の式(8A−1)〜(8A−9)、式(8B−1)〜(8B−12)で表される構成単位が挙げられる。
【0100】
【化39】

【0101】
【化40】

【0102】
式(9)中、R10及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。
【0103】
10及びR11で表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基の定義や例は、それぞれ、R及びRで表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基の定義や例と同じである。
【0104】
式(9)で表される構成単位としては、以下の式(9A−1)〜(9A−31)で表される構成単位が挙げられる。
【0105】
【化41】

【0106】
【化42】

【0107】
【化43】

【0108】
式(10)中、R12は、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、又は、非置換若しくは置換の1価の複素環基を表す。
【0109】
12で表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、及び、非置換若しくは置換の1価の複素環基の定義や例は、それぞれ、R及びRで表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、及び、非置換若しくは置換の1価の複素環基の定義や例と同じである。
【0110】
式(10)中、Xは、単結合、−O−、−S−、又は、−C(R2−を表し、好ましくは、−O−、−S−であり、より好ましくは−O−である。Rは、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基の定義や例は、それぞれ、R及びRで表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基の定義や例と同じである。
【0111】
式(10)で表される構成単位としては、以下の式(10A−1)〜(10A−17)で表される構成単位が挙げられる。
【0112】
【化44】

【0113】
【化45】

【0114】
式(11)中、R13及びR13’は、それぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。
【0115】
13及びR13’で表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基の定義や例は、それぞれ、R及びRで表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基の定義や例と同じである。
【0116】
式(11)で表される構成単位としては、以下の式(11A−1)〜(11A−7)で表される構成単位が挙げられる。
【化46】

【0117】
式(7)中、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の芳香族複素環基、又は、2個の芳香環が単結合で連結した非置換若しくは置換の2価の基を表す。
【0118】
Ar、Ar及びArで表される非置換若しくは置換のアリーレン基の炭素数は、置換基の炭素数を含まないで、通常6〜60であり、好ましくは6〜30であり、より好ましくは6〜18であり、更に好ましくは6〜10であり、特に好ましくは6である。
【0119】
Ar、Ar及びArで表される非置換のアリーレン基としては、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基等のフェニレン基;1,4−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基等のナフタレンジイル基;9,10−アントラセンジイル基等のアントラセンジイル基、2,7−フェナントレンジイル基等のフェナントレンジイル基;5,12−ナフタセンジイル基等のナフタセンジイル基、2,7−フルオレンジイル基等のフルオレンジイル基;3,8−ペリレンジイル基等のペリレンジイル基、2,8−クリセンジイル基、6,12−クリセンジイル基等のクリセンジイル基が挙げられる。
【0120】
Ar、Ar及びArで表される非置換若しくは置換の2価の芳香族複素環基の炭素数は、置換基の炭素数を含まないで、通常4〜60であり、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜9であり、更に好ましくは4又は5である。
【0121】
Ar、Ar及びArで表される非置換の2価の芳香族複素環基としては、N−メチル−2,5−ピロールジイル基等のピロールジイル基、2,5−フランジイル基等のフランジイル基;2,5−ピリジンジイル基、2,6−ピリジンジイル基等のピリジンジイル基;2,4−キノリンジイル基、2,6−キノリンジイル基等のキノリンジイル基;1,4−イソキノリンジイル基、1,5−イソキノリンジイル基等のイソキノリンジイル基;3,7−フェノキサジンジイル基等のフェノキサジンジイル基;3,6−カルバゾールジイル基等のカルバゾールジイル基が挙げられる。
【0122】
Ar、Ar及びArで表される2個の芳香環が単結合で連結した非置換の2価の基とは、上述したような非置換若しくは置換のアリーレン基、及び、非置換若しくは置換の2価の複素環基からなる群から選ばれる2価の基の1つの結合手と、これらの群から選ばれるもう1つの2価の基の1つの結合手とが単結合を形成してなる2価の基である。具体的には、以下の式(7A−1)〜(7A−4)で表される基が挙げられる。好ましくは、式(7A−1)〜(7A−3)で表される基であり、より好ましくは、以下の式(7A−1)で表される基である。
【化47】

【0123】
Ar及びArは、好ましくは、非置換若しくは置換のアリーレン基であり、より好ましくは、非置換若しくは置換の1,3−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,4−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の2,6−ナフタレンジイル基であり、更に好ましくは、非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基又は非置換若しくは置換の1,4−ナフタレンジイル基であり、特に好ましくは、非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基である。
【0124】
Arは、好ましくは、非置換若しくは置換のアリーレン基、又は、2個の芳香環が単結合で連結した非置換若しくは置換の2価の基であり、より好ましくは、非置換若しくは置換の1,3−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,4−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の2,7−フルオレンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、非置換若しくは置換の式(7A−1)で表される基であり、更に好ましくは、非置換若しくは置換の1,4−フェニレン基、非置換若しくは置換の1,4−ナフタレンジイル基、非置換若しくは置換の2,7−フルオレンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、非置換若しくは置換の式(7A−1)で表される基であり、特に好ましくは、非置換の1,4−フェニレン基、置換の2,7−フルオレンジイル基、非置換の式(7A−1)で表される基である。
【0125】
Ar、Ar及びArで表される基が置換されている場合、これらが有し得る置換基は、好ましくは、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、シアノ基である。より好ましくは、非置換のアルキル基、非置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基であり、更に好ましくは、非置換のアルキル基である。
【0126】
置換基となり得る非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基の定義や例は、それぞれ、R及びRで表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基の定義や例と同じである。
【0127】
式(7)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、又は、非置換若しくは置換の1価の複素環基を表す。
【0128】
及びRで表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換の1価の複素環基の定義や例は、それぞれ、R及びRで表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換の1価の複素環基の定義や例と同じである。
【0129】
式(7)中、eは0又は1であり、好ましくは1である。
【0130】
式(7)で表される構成単位は、得られる発光素子の輝度寿命がより向上するので、好ましくは、式(14)で表される構成単位である。
【化48】


[式(14)中、Ar及びeは、前記と同じ意味である。R及びRは、それぞれ独立に、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。h及びiは、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。R及びRはそれぞれ複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
【0131】
式(14)中、R及びRは、それぞれ独立に、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。
【0132】
及びRで表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基の定義や例は、それぞれ、R及びRで表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基の定義や例と同じである。
【0133】
式(14)中、h及びiはそれぞれ独立に、0〜5の整数を表し、好ましくは1〜3の整数を表し、より好ましくは1又は3を表す。
【0134】
式(14)で表される構成単位としては、以下の式(14A−1)〜(14A−30)で表される構成単位が挙げられる。
【0135】
【化49】

【0136】
【化50】

【0137】
【化51】

【0138】
本実施形態の高分子化合物は、得られる発光素子の駆動電圧及び発光効率が向上するので、式(6)で表される構成単位を複数組み合わせた構成単位によって構成される式(12)で表される構成単位、及び、式(13)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上の構成単位を含むことが好ましい。
【化52】


[式(12)中、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。
式(13)中、R20は、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。gは0〜5の整数を表す。R20が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。]
【0139】
式(12)中、R14、R15、R16、R17、R18及びR19で表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基の定義や例は、それぞれ、R及びRで表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基の定義や例と同じである。
【0140】
式(12)で表される構成単位としては、以下の式(12A−1)〜(12A−8)で表される構成単位が挙げられる。
【化53】

【0141】
式(13)中、R20で表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基の定義や例は、それぞれ、R及びRで表される非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基の定義や例と同じである。
【0142】
式(13)中、gは0〜5の整数を表し、好ましくは1〜3の整数であり、より好ましくは1である。
【0143】
式(13)で表される構成単位としては、以下の式(13A−1)〜(13A−6)で表される構成単位が挙げられる。
【化54】

【0144】
本実施形態の高分子化合物は、発光素子の積層構造を容易に作製できるようになるので、式(1)で表される構成単位に加えて、式(15)で表される構成単位、及び、式(16)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上の構成単位をさらに含むことが好ましい。
【化55】


[式(15)中、R21は、架橋性基を表す。R22は、水素原子、架橋性基、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。ただし、式(15)で表される構成単位は、式(1)で表される構成単位、式(6)で表される構成単位、及び、式(9)で表される構成単位とはそれぞれ異なる構造を有する構成単位である。
【0145】
式(16)中、R23は、架橋性基を表す。R24は、架橋性基、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。jは0又は1を表す。ただし、式(16)で表される構成単位は、式(7)で表される構成単位、及び、式(14)で表される構成単位とはそれぞれ異なる構造を有する構成単位である。]
【0146】
式(15)中、R21は架橋性基を表す。ここで、架橋性基とは、以下の式(15A−1)〜式(15A−27)で表される基である。得られる素子の輝度寿命が向上するので、式(15A−3)〜(15A−15)で表される基が好ましく、式(15A−6)〜(15A−9)、式(15A−12)〜(15A−14)で表される基がより好ましい。なお、下記式中の*は結合手を表す。
【0147】
【化56】

【0148】
【化57】

【0149】
式(15)中、R22は架橋性基、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。R22は、好ましくは架橋性基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表し、より好ましくは架橋性基を表す。
【0150】
22で表される架橋性基の定義や例は、R21で表される架橋性基の定義や例と同じである。
【0151】
22で表される非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基の定義や例は、それぞれ、R及びRで表される非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基の定義や例と同じである。ただし、R22で表される非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基は、R21で表される架橋性基とは異なる構造を有する基である。
【0152】
式(15)で表される構成単位としては、以下の式(15B−1)〜(15B−8)で表される構成単位が挙げられる。得られる素子の輝度寿命をより向上できるので、式(15B−2)〜(15B−8)で表される構成単位が好ましく、式(15B−2)、式(15B−4)〜(15B−6)で表される構成単位がより好ましく、式(15B−2)、式(15B−5)又は式(15B−6)で表される構成単位が更に好ましい。
【0153】
【化58】

【0154】
式(16)中、R23は、架橋性基を表す。R23で表される架橋性基の定義や例は、R21で表される架橋性基の定義や例と同じである。
【0155】
式(16)中、R24は、架橋性基、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表し、好ましくは、架橋性基である。
【0156】
24で表される架橋性基の定義や例は、R21で表される架橋性基の定義や例と同じである。
【0157】
24で表される非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基の定義や例は、それぞれ、R及びRで表される非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基の定義や例と同じである。
【0158】
式(16)中、jは0又は1を表し、好ましくは0を表す。
【0159】
式(16)で表される構成単位としては、以下の式(16A−1)〜(16A−4)で表される構成単位が挙げられる。得られる素子の輝度寿命をより向上できるので、式(16A−2)又は式(16A−4)で表される構成単位が好ましく、式(16A−2)で表される構成単位がより好ましい。
【0160】
【化59】

【0161】
本発明の高分子化合物は、前述のとおり、式(1)で表される構成単位と、式(6)で表される構成単位、及び、式(7)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位とを含む高分子化合物(以下、「高分子化合物A」と言う。)であることが好ましい。
【0162】
高分子化合物Aの第一の実施形態としては、
式(1)で表される構成単位と、式(6)で表される構成単位、及び、式(7)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位とからなる高分子化合物(以下、「高分子化合物B」と言う。)、並びに、
式(1)で表される構成単位と、式(8)で表される構成単位、式(9)で表される構成単位、式(10)で表される構成単位、及び、式(14)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位とを含む高分子化合物(以下、「高分子化合物C」と言う。)が好ましい。
【0163】
高分子化合物Cの実施形態としては、
式(1)で表される構成単位と、式(8)で表される構成単位、式(9)で表される構成単位、式(10)で表される構成単位、及び、式(14)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位とからなる高分子化合物(以下、「高分子化合物D」と言う。)が好ましく、
式(1)で表される構成単位と、式(9)で表される構成単位、式(10)で表される構成単位、及び、式(14)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位とからなる高分子化合物(以下、「高分子化合物E」と言う。)がより好ましい。
【0164】
高分子化合物Aの第二の実施形態としては、
式(1)で表される構成単位と、式(12)で表される構成単位、及び、式(13)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位と、式(8)で表される構成単位、式(9)で表される構成単位、式(10)で表される構成単位、及び、式(14)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位とを含む高分子化合物(以下、「高分子化合物F」と言う。)が好ましく、
式(1)で表される構成単位と、式(12)で表される構成単位、及び、式(13)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位と、式(8)で表される構成単位、式(9)で表される構成単位、式(10)で表される構成単位、及び、式(14)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位とからなる高分子化合物(以下、「高分子化合物G」と言う。)がより好ましい。
【0165】
高分子化合物Aの第三の実施形態としては、
式(1)で表される構成単位と、式(9)で表される構成単位、式(12)で表される構成単位、及び、式(14)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位とを含む高分子化合物(以下、「高分子化合物H」と言う。)、並びに、
式(1)で表される構成単位と、式(8)で表される構成単位、式(9)で表される構成単位、及び、式(13)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位とを含む高分子化合物(以下、「高分子化合物I」と言う。)が好ましい。
【0166】
高分子化合物Iの実施形態としては、
式(1)で表される構成単位と、式(8)で表される構成単位、式(9)で表される構成単位、及び、式(13)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位とからなる高分子化合物(以下、「高分子化合物J」と言う。)が好ましい。
【0167】
高分子化合物Aの第四の実施形態としては、
式(1)で表される構成単位と、式(6)で表される構成単位、及び、式(7)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位と、式(15)で表される構成単位、及び、式(16)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位とを含む高分子化合物(以下、「高分子化合物K」と言う。)が好ましい。
【0168】
高分子化合物Kの実施形態としては、
式(1)で表される構成単位と、式(8)で表される構成単位、式(9)で表される構成単位、式(10)で表される構成単位、及び、式(14)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位と、式(15)で表される構成単位、及び、式(16)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位とを含む高分子化合物(以下、「高分子化合物L」と言う。)が好ましく、
式(1)で表される構成単位と、式(9)で表される構成単位、及び、式(14)で表される構成単位と、式(15)で表される構成単位、及び、式(16)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位とを含む高分子化合物(以下、「高分子化合物M」と言う。)が好ましい。
【0169】
上述した高分子化合物Aにおいて、全構成単位の合計モル数に対する、式(1)で表される構成単位、式(6)で表される構成単位、及び、式(7)で表される構成単位の合計モル数の割合は、80〜100%が好ましく、90〜100%がより好ましく、95〜100%が更に好ましい。この割合が100%である場合が、高分子化合物Bに該当する。
【0170】
高分子化合物A、Bにおいて、式(1)で表される構成単位を100モル部とした場合、式(6)で表される構成単位、及び、式(7)で表される構成単位の合計は、1〜700モル部が好ましく、5〜200モル部がより好ましく、15〜200モル部が特に好ましい。
【0171】
高分子化合物Cにおいて、全構成単位の合計モル数に対する、式(1)で表される構成単位、式(8)で表される構成単位、式(9)で表される構成単位、式(10)で表される構成単位、及び、式(14)で表される構成単位の合計モル数の割合は、80〜100%が好ましく、90〜100%がより好ましく、95〜100%が特に好ましい。この割合が100%である場合が、高分子化合物D又はEに該当する。
【0172】
高分子化合物C、Dにおいて、式(1)で表される構成単位を100モル部とした場合、式(8)で表される構成単位、式(9)で表される構成単位、式(10)で表される構成単位、及び、式(14)で表される構成単位の合計は1〜700モル部が好ましく、5〜200モル部がより好ましく、15〜200モル部が特に好ましい。
【0173】
高分子化合物Eにおいて、式(1)で表される構成単位を100モル部とした場合、式(9)で表される構成単位、式(10)で表される構成単位、及び、式(14)で表される構成単位の合計は1〜700モル部が好ましく、5〜200モル部がより好ましく、15〜200モル部が特に好ましい。
【0174】
高分子化合物Fにおいて、全構成単位の合計モル数に対する、式(1)で表される構成単位、式(12)で表される構成単位、式(13)で表される構成単位、式(8)で表される構成単位、式(9)で表される構成単位、式(10)で表される構成単位、及び、式(14)で表される構成単位の合計モルの割合は、80〜100%が好ましく、90〜100%がより好ましく、95〜100%が特に好ましい。この割合が100%である場合が、高分子化合物Gに該当する。
【0175】
高分子化合物F、Gにおいて、式(1)で表される構成単位を100モル部とした場合、式(12)で表される構成単位、及び、式(13)で表される構成単位の合計は、0.1〜100モル部が好ましく、1〜50モル部がより好ましく、5〜30モル部が特に好ましい。また、また、式(8)で表される構成単位、式(9)で表される構成単位、式(10)で表される構成単位、及び、式(14)で表される構成単位の合計は、1〜700モル部が好ましく、5〜200モル部がより好ましく、15〜200モル部が特に好ましい。
【0176】
高分子化合物Hにおいて、全構成単位の合計モル数に対する、式(1)で表される構成単位、式(9)で表される構成単位、式(12)で表される構成単位、及び、式(14)で表される構成単位の合計モル数の割合は、80〜100%が好ましく、90〜100%がより好ましく、95〜100%が特に好ましい。
【0177】
高分子化合物Hにおいて、式(1)で表される構成単位を100モル部とした場合、式(9)で表される構成単位、式(12)で表される構成単位、及び、式(13)で表される構成単位の合計は、0.1〜200モル部が好ましく、1〜100モル部がより好ましく、5〜50モル部が特に好ましい。
【0178】
高分子化合物Iにおいて、全構成単位の合計モル数に対する、式(1)で表される構成単位、式(8)で表される構成単位、式(9)で表される構成単位、及び、式(13)で表される構成単位の合計モル数の割合は、80〜100%が好ましく、90〜100%がより好ましく、95〜100%が特に好ましい。この割合が100%である場合が、高分子化合物Jに該当する。
【0179】
高分子化合物I、Jにおいて、式(1)で表される構成単位を100モル部とした場合、式(8)で表される構成単位、式(9)で表される構成単位、及び、式(13)で表される構成単位の合計は、50〜1000モル部が好ましく、75〜500モル部がより好ましく、100〜300モル部が特に好ましい。
【0180】
高分子化合物Kにおいて、全構成単位の合計モル数に対する、式(1)で表される構成単位、式(6)で表される構成単位、式(7)で表される構成単位、式(15)で表される構成単位、及び、式(16)で表される構成単位の合計モル数の割合は、80〜100%が好ましく、90〜100%がより好ましく、95〜100%が特に好ましい。
【0181】
高分子化合物Kにおいて、式(1)で表される構成単位を100モル部とした場合、式(6)で表される構成単位、及び、式(7)で表される構成単位の合計は、1〜300モル部が好ましく、30〜200モル部がより好ましく、50〜150モル部が特に好ましい。また、式(15)で表される構成単位、及び、式(16)で表される構成単位の合計は、1〜100モル部が好ましく、3〜50モル部がより好ましく、5〜30モル部が特に好ましい。
【0182】
高分子化合物Lにおいて、全構成単位の合計モル数に対する、式(1)で表される構成単位、式(8)で表される構成単位、式(9)で表される構成単位、式(10)で表される構成単位、式(14)で表される構成単位、式(15)で表される構成単位、及び、式(16)で表される構成単位の合計モル数の割合は、80〜100%が好ましく、90〜100%がより好ましく、95〜100%が特に好ましい。
【0183】
高分子化合物Lにおいて、式(1)で表される構成単位を100モル部とした場合、式(8)で表される構成単位、式(9)で表される構成単位、式(10)で表される構成単位、及び、式(14)で表される構成単位の合計は、1〜300モル部が好ましく、30〜200モル部がより好ましく、50〜150モル部が特に好ましく、また、式(15)で表される構成単位、及び、式(16)で表される構成単位の合計は、1〜100モル部が好ましく、3〜50モル部がより好ましく、5〜30モル部が特に好ましい。
【0184】
高分子化合物Mにおいて、全構成単位の合計モル数に対する、式(1)で表される構成単位、式(9)で表される構成単位、式(14)で表される構成単位、式(15)で表される構成単位、及び、式(16)で表される構成単位の合計モル数の割合は、80〜100%が好ましく、90〜100%がより好ましく、95〜100%が特に好ましい。
【0185】
高分子化合物Mにおいて、式(1)で表される構成単位を100モル部とした場合、式(9)で表される構成単位、及び、式(14)で表される構成単位の合計は、1〜300モル部が好ましく、30〜200モル部がより好ましく、50〜150モル部が特に好ましく、また、式(15)で表される構成単位、及び、式(16)で表される構成単位の合計は、1〜100モル部が好ましく、3〜50モル部がより好ましく、5〜30モル部が特に好ましい。
【0186】
本実施形態の高分子化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と言う。)によるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、通常、1×10〜1×10であり、好ましくは1×10〜1×10である。また、高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常、1×10〜1×10であり、成膜性が良好になるので、好ましくは1×10〜5×10であり、より好ましくは3×10〜1×10であり、更に好ましくは5×10〜5×10である。
【0187】
本実施形態の高分子化合物の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、高分子化合物を発光素子の作製に用いた場合に発光特性や寿命が低下する可能性があるので、安定な基であることが好ましい。この末端基としては、主鎖と共役結合している基が好ましく、炭素−炭素結合を介してアリール基又は1価の複素環基と結合している基(具体的には、特開平9−45478号公報の化10に記載の置換基等)が挙げられる。
【0188】
本実施形態の高分子化合物は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよいし、その他の態様であってもよい。
【0189】
好適な高分子化合物としては、以下の高分子化合物(P−1)〜(P−14)が挙げられる。例えば、高分子化合物(P−1)は、2種類の構成単位が、Q1:Q2のモル比で構成されてなる共重合体であり、高分子化合物(P−2)〜(P−14)も同様である。ここで、R1A、R1B、R2A、R2B、R、R10、R11、R12、R13、R13’、R20、R21、R22、R23、R24、R、R、Ar、e、f、g、h、i及びjは前記と同じ意味である。また、Q1〜Q42は、各化合物を示す化学式に付した式を満たす数(モル比)である。また、高分子化合物(P−1)〜(P−14)の分子量は、前述した高分子化合物の分子量の項で説明したものと同じである。
【0190】
高分子化合物(P−1)
【0191】
【化60】


(5≦Q1≦95、5≦Q2≦95、Q1+Q2=100)
【0192】
高分子化合物(P−2)
【0193】
【化61】


(5≦Q3≦95、5≦Q4≦95、Q3+Q4=100)
【0194】
高分子化合物(P−3)
【0195】
【化62】


(5≦Q5≦90、5≦Q6≦90、5≦Q7≦90、Q5+Q6+Q7=100)
【0196】
高分子化合物(P−4)
【0197】
【化63】


(50≦Q8≦95、5≦Q9≦50、Q8+Q9=100)
【0198】
高分子化合物(P−5)
【0199】
【化64】


(5≦Q10≦95、5≦Q11≦95、Q10+Q11=100)
【0200】
高分子化合物(P−6)
【0201】
【化65】


(5≦Q12≦94、5≦Q13≦94、1≦Q14≦50、Q12+Q13+Q14=100)
【0202】
高分子化合物(P−7)
【0203】
【化66】


(5≦Q15≦94、5≦Q16≦94、1≦Q17≦50、Q15+Q16+Q17=100)
【0204】
高分子化合物(P−8)
【0205】
【化67】


(5≦Q18≦93、5≦Q19≦93、1≦Q20≦30、1≦Q21≦30、Q18+Q19+Q20+Q21=100)
【0206】
高分子化合物(P−9)
【0207】
【化68】


(5≦Q22≦95、5≦Q23≦95、Q22+Q23=100)
【0208】
高分子化合物(P−10)
【0209】
【化69】


(5≦Q24≦94、5≦Q25≦94、1≦Q26≦30、Q24+Q25+Q26=100)
【0210】
高分子化合物(P−11)
【0211】
【化70】


(5≦Q27≦89、5≦Q28≦89、5≦Q29≦89、1≦Q30≦30、Q27+Q28+Q29+Q30=100)
【0212】
高分子化合物(P−12)
【0213】
【化71】


(5≦Q31≦93、5≦Q32≦93、1≦Q33≦30、1≦Q34≦50、Q31+Q32+Q33+Q34=100)
【0214】
高分子化合物(P−13)
【0215】
【化72】


(5≦Q35≦89、5≦Q36≦89、5≦Q37≦89、1≦Q38≦30、Q35+Q36+Q37+Q38=100)
【0216】
高分子化合物(P−14)
【0217】
【化73】


(5≦Q39≦89、5≦Q40≦89、5≦Q41≦89、1≦Q42≦30、Q39+Q40+Q41+Q42=100)
【0218】
[高分子化合物の製造方法]
次に、高分子化合物の好ましい製造方法を説明する。
【0219】
好適な実施形態の高分子化合物は、例えば、式(a)で表される化合物を縮合重合することにより製造することができる。
【0220】
【化74】


[式(a)中、R1A、R1B、R2A、R2B、R、R、R、R、a、b、c及びdは、前記と同じ意味である。Yは、ハロゲン原子、メトキシ基、ホウ酸エステル残基、ホウ酸残基(すなわち、−B(OH))、式(a−1)で表される基、式(a−2)で表される基、式(a−3)で表される基、又は、式(a−4)で表される基を表す。2個存在するYは、同一であっても異なっていてもよい。式(a−1)及び(a−4)中、Rは、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。なお、式(a−4)中に複数存在するRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。式(a−2)及び(a−3)中、Xは、ハロゲン原子を表す。]
【0221】
また、高分子化合物が、式(6)で表される構成単位や式(7)で表される構成単位を有する場合には、例えば、上記式(a)で表される化合物と、式(b−1)で表される化合物及び式(b−2)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上の化合物とを縮合重合することにより、そのような高分子化合物を得ることができる。
【0222】
【化75】


[式(b−1)及び(b−2)中、Ar、Ar、Ar、Ar、R、R、Y及びeは、前記と同じ意味である。]
【0223】
式(a)、(b−1)、(b−2)、(a−2)及び(a−3)中、Y、Xで表されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0224】
式(a)、(b−1)、(b−2)中、Y1で表されるホウ酸エステル残基としては、下記式で表される基が挙げられる。
【0225】
【化76】

【0226】
式(a−1)中、Rで表される非置換のアルキル基の定義や例は、R及びRで表される非置換のアルキル基の定義や例と同じである。また、置換のアルキル基の定義や例は、R及びRで表される置換のアルキル基の定義や例と同じである。
【0227】
式(a−1)中、非置換若しくは置換のアリール基の定義や例は、それぞれ、R及びRで表される非置換若しくは置換のアリール基の定義や例と同じである。
【0228】
式(a−1)で表されるスルホネート基としては、メタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基、フェニルスルホネート基、4−メチルフェニルスルホネート基が挙げられる。
【0229】
式(a−4)中、Rで表される非置換若しくは置換のアルキル基、及び、非置換若しくは置換のアリール基の定義や例は、R及びRで表される非置換若しくは置換のアルキル基、及び、非置換若しくは置換のアリール基の定義や例と同じである。
【0230】
式(a−4)で表される基としては、トリメチルスタナニル基、トリエチルスタナニル基、トリブチルスタナニル基が挙げられる。
【0231】
式(a)、(b−1)、(b−2)で表される化合物は、予め合成し単離したものを用いることも、反応系中で調製してそのまま用いることもできる。
【0232】
式(a)、(b−1)、(b−2)中、Yは、式(a)、(b−1)、(b−2)で表される化合物の合成の簡便さと取り扱い易さが向上するので、ハロゲン原子、ホウ酸エステル残基、ホウ酸残基であることが好ましい。
【0233】
縮合重合の方法としては、式(a)、(b−1)、(b−2)で表される化合物を、適切な触媒や適切な塩基を用いて反応させる方法が挙げられる。
【0234】
触媒としては、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム、パラジウムアセテート等のパラジウム錯体、ニッケル[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル、[ビス(1,4−シクロオクタジエン)]ニッケル等のニッケル錯体等の遷移金属錯体と、必要に応じて、更にトリフェニルホスフィン、トリ(tert−ブチルホスフィン)、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルホスフィノプロパン、ビピリジル等の配位子とからなる触媒が挙げられる。触媒は、予め合成したものを用いることもできるし、反応系中で調製したものをそのまま用いることもできる。これらの触媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0235】
触媒を用いる場合には、その使用量は、式(a)、(b−1)、(b−2)で表される化合物のモル数の合計に対する遷移金属の量として、0.00001〜3モル当量が好ましく、0.00005〜0.5モル当量がより好ましく、0.0001〜0.2モル当量が更に好ましい。
【0236】
塩基としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、リン酸三カリウム等の無機塩基、フッ化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の有機塩基が挙げられる。これらの塩基は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0237】
塩基を用いる場合には、その使用量は、式(a)、(b−1)、(b−2)で表される化合物のモル数の合計に対して、0.5〜20モル当量が好ましく、1〜10モル当量がより好ましい。
【0238】
縮合重合は、通常、有機溶媒等の溶媒の存在下で行うことができる。
【0239】
有機溶媒は、式(a)、(b−1)、(b−2)で表される化合物の種類や反応によって異なるが、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドである。副反応を抑制するために、これらの溶媒に対して、脱酸素処理を行うことが望ましい。これらの有機溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0240】
有機溶媒の使用量は、式(a)、(b−1)、(b−2)で表される化合物の合計濃度が、通常0.1〜90重量%、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜30重量%となる量である。
【0241】
縮合重合の反応温度は、好ましくは−100〜200℃であり、より好ましくは−80〜150℃であり、更に好ましくは0〜120℃である。反応時間は、反応温度等の条件によるが、通常1時間以上であり、好ましくは2〜500時間である。
【0242】
縮合重合は、例えば、式(a)、(b−1)、(b−2)中のYが式(a−2)で表される基である場合には、無水条件下で行うことが望ましい。
【0243】
前記縮合重合の方法としては、Suzuki反応により重合する方法(ケミカル・レビュー(Chem. Rev.),第95巻,2457頁(1995年))、Grignard反応により重合する方法(共立出版、高分子機能材料シリーズ第2巻、高分子の合成と反応(2)、432〜433頁)、山本重合法により重合する方法(プログレッシブ ポリマー サイエンス(Prog. Polym. Sci.),第17巻, 1153〜1205頁, 1992年)が挙げられる。
【0244】
縮合重合の後処理は、メタノール等の低級アルコールに縮合重合で得られた反応溶液を加えて析出させた沈殿を濾過、乾燥する方法等の公知の方法で行うことができる。
【0245】
後処理により高分子化合物が得られるが、高分子化合物の純度が低い場合には、再結晶、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて精製することができる。
【0246】
[組成物]
好適な実施形態の第一の組成物は、正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料と、本発明の高分子化合物とを含有する組成物である。この組成物は、例えば、発光材料や電荷輸送材料として用いることができる。
【0247】
正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料としては、後述する発光素子が有する有機層が含み得る正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料が挙げられる。
【0248】
正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料と本発明の高分子化合物との含有比率は、用途に応じて決めればよい。例えば、発光材料の用途の場合は、組成物全体の重量100重量部に対して、高分子化合物の重量が、通常20〜99重量部であり、好ましくは40〜95重量部である。
【0249】
第一の組成物のポリスチレン換算の数平均分子量は、通常、1×10〜1×10であり、好ましくは1×10〜1×10である。また、この組成物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、1×10〜1×10であり、成膜性が良好になり、かつ、得られる素子の発光効率が優れるので、1×10〜5×10であることが好ましい。組成物の平均分子量とは、該組成物をGPCで分析して求めた値をいう。
【0250】
好適な実施形態の第二の組成物は、本発明の高分子化合物と、溶媒とを含有する組成物である。この組成物は、溶液、インク、インク組成物と呼ぶことがあり、以下、「本発明の溶液」と言う。
【0251】
本発明の溶液は、インクジェットプリント法や印刷法等の塗布による素子作製に有用である。また、本発明の溶液は、高分子化合物及び溶媒以外に、正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、安定剤、増粘剤(粘度を高めるための高分子量の化合物や貧溶媒)、粘度を下げるための低分子量の化合物、界面活性剤(表面張力を下げるためのもの)、酸化防止剤を含んでいてもよい。
【0252】
本発明の溶液における本発明の高分子化合物の割合は、当該溶液100重量部に対して、通常0.1〜99.9重量部であり、好ましくは0.1〜10重量部であり、より好ましくは0.2〜7重量部であり、更に好ましくは0.5〜2重量部である。
【0253】
本発明の溶液の粘度は、印刷法の種類によって調整すればよいが、インクジェットプリント法等の溶液が吐出装置を経由するものの場合には、吐出時の目づまりや飛行曲がりを防止するために、25℃において、1〜20mPa・sの範囲であることが好ましい。
【0254】
増粘剤として用いられる高分子量の化合物は、高分子化合物と同じ溶媒に可溶であり、発光や電荷輸送を阻害しないものであればよい。例えば、高分子量のポリスチレン、高分子量のポリメチルメタクリレートを用いることができる。これらの高分子量の化合物は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が50万以上であることが好ましく、100万以上であることがより好ましい。
【0255】
増粘剤として貧溶媒を用いることもできる。本発明の溶液中の固形分に対する貧溶媒を少量添加することで、粘度を高めることができる。この目的で貧溶媒を添加する場合、溶液中の固形分が析出しない範囲で、溶媒の種類と添加量を選択すればよい。保存時の安定性も考慮すると、貧溶媒の量は、溶液全体100重量部に対して、50重量部以下であることが好ましく、30重量部以下であることが更に好ましい。
【0256】
酸化防止剤は、本発明の溶液の保存安定性を向上させるためのものである。酸化防止剤は、高分子化合物と同じ溶媒に可溶であり、発光や電荷輸送を阻害しないものであればよい。フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が例示される。
【0257】
本発明の溶液の溶媒は、溶液中の固形成分を溶解又は均一に分散できるものが好ましい。溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、4−メチルアニソール等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン、アセトフェノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート、安息香酸メチル、酢酸フェニル等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。これらの溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0258】
これらの中でも、高分子化合物等の溶解性、成膜時の均一性、粘度特性等を向上できるので、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1−メチルナフタレン、テトラリン、アニソール、4−メチルアニソール、エトキシベンゼン、シクロヘキサン、ビシクロヘキシル、シクロヘキセニルシクロヘキサノン、n−ヘプチルシクロヘキサン、n−ヘキシルシクロヘキサン、デカリン、安息香酸メチル、シクロヘキサノン、2−プロピルシクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、2−ノナノン、2−デカノン、ジシクロヘキシルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノンがより好ましい。
【0259】
溶媒は、成膜性及び素子特性が良好になるので、2種以上を組み合わせて用いることが好ましく、2〜3種を組み合わせて用いることがより好ましく、2種を組み合わせて用いることが特に好ましい。
【0260】
本発明の溶液中に2種の溶媒が含まれる場合、そのうちの1種の溶媒は25℃において固体状態のものでもよい。成膜性が良好になるので、1種の溶媒は沸点が180℃以上の溶媒であることが好ましく、200℃以上の溶媒であることがより好ましい。また、良好な粘度が得られるので、2種の溶媒のいずれにも60℃において1重量%以上の濃度で高分子化合物が溶解することが好ましく、2種の溶媒のうちの1種の溶媒には、25℃において1重量%以上の濃度で高分子化合物が溶解することが好ましい。
【0261】
本発明の溶液中に2種以上の溶媒が含まれる場合、粘度及び成膜性を良好に得るために、沸点が最も高い溶媒が、溶液中の全溶媒の重量の40〜90重量%であることが好ましく、50〜90重量%であることがより好ましく、65〜85重量%であることが更に好ましい。
【0262】
本発明の溶液に含まれる本発明の高分子化合物は、1種でも2種以上でもよい。また、素子特性等を損なわない範囲で、本発明の高分子化合物以外の高分子量の化合物を含んでいてもよい。
【0263】
本発明の溶液には、水、金属及びその塩を重量基準で1〜1000ppmの範囲で含んでいてもよい。金属としては、リチウム、ナトリウム、カルシウム、カリウム、鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、クロム、マンガン、コバルト、白金、イリジウム等が挙げられる。また、本発明の溶液は、ケイ素、リン、フッ素、塩素、臭素等を重量基準で1〜1000ppmの範囲で含んでいてもよい。
【0264】
[薄膜]
好適な実施形態の薄膜は、本発明の高分子化合物を含有するものであり、すなわち、本発明の高分子化合物を用いてなるものである。薄膜には、本発明の高分子化合物をそのまま含有している態様、本発明の高分子化合物が分子内及び/又は分子間で架橋してなる態様等がある。本実施形態の薄膜は、例えば、発光性薄膜、導電性薄膜、有機半導体薄膜である。
【0265】
本実施形態の薄膜は、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法により作製することができる。好ましくは、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、より好ましくは、インクジェット法により作製することができる。
【0266】
上述した本発明の溶液を用いて薄膜を作製する場合、溶液に含まれる本発明の高分子化合物のガラス転移温度が高いため、100℃以上の温度で加熱することが可能であり、130℃の温度で加熱しても素子特性の低下が小さい。また、高分子化合物の種類によっては、160℃以上の温度で加熱することもできる。
【0267】
発光性薄膜は、素子の輝度及び発光開始電圧が良好になるので、発光量子収率が30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることが更に好ましく、70%以上であることが特に好ましい。
【0268】
導電性薄膜は、表面抵抗が1KΩ/□以下であることが好ましく、100Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることが更に好ましい。導電性薄膜に、ルイス酸、イオン性化合物等をドープすることにより、電気伝導度を高めることができる。
【0269】
有機半導体薄膜は、電子移動度又は正孔移動度の大きい方が、1×10−5cm/V・s以上であることが好ましく、1×10−3cm/V・s以上であることがより好ましく、1×10−1cm/V・s以上であることが更に好ましい。SiO等の絶縁膜とゲート電極とを形成したSi基板上に有機半導体薄膜を形成し、Au等でソース電極とドレイン電極を形成することにより、有機トランジスタとすることができる。
【0270】
[発光素子]
次に、好適な実施形態の発光素子について説明する。
【0271】
好適な実施形態の発光素子は、陽極及び陰極からなる電極と、電極間に設けられた本発明の高分子化合物を含有する層とを有する発光素子である。本発明の高分子化合物を含有する層とは、本発明の高分子化合物を用いてなる層であり、この層には、本発明の高分子化合物をそのまま含有している態様、本発明の高分子化合物が分子内及び/又は分子間で架橋してなる態様等がある。
【0272】
本発明の高分子化合物を含有する層は、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層及びインターレイヤー層の1種以上の層であることが好ましく、電子輸送層、電子注入層及び発光層のうちの1種以上の層であることがより好ましく、発光層であることがより好ましい。
【0273】
発光層は、発光する機能を有する層を意味する。正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する層を意味する。電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する層を意味する。インターレイヤー層は、発光層と陽極との間で発光層に隣接して存在し、発光層と陽極、又は発光層と、正孔注入層若しくは正孔輸送層とを隔離する役割を担う層のことである。なお、電子輸送層と正孔輸送層を総称して電荷輸送層と言い、電子注入層と正孔注入層を総称して電荷注入層と言う。発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層及びインターレイヤー層は、各々、一層のみからなるものでも二層以上からなるものでもよい。
【0274】
高分子化合物を含有する層が発光層である場合には、発光層が更に正孔輸送材料、電子輸送材料、発光材料、発光素子の輝度寿命を長くする添加剤等を含んでいてもよい。ここで、発光材料とは、蛍光及び/又は燐光を示す材料(但し、本発明の高分子化合物を除く。)を意味する。
【0275】
高分子化合物を含有する層が、本発明の高分子化合物と正孔輸送材料とを含有する場合には、本発明の高分子化合物と正孔輸送材料との合計100重量部に対する正孔輸送材料の割合は、通常、1〜80重量部であり、好ましくは5〜60重量部である。
【0276】
高分子化合物を含有する層が、本発明の高分子化合物と電子輸送材料とを含有する場合には、本発明の高分子化合物と電子輸送材料との合計100重量部に対する電子輸送材料の割合は、通常、1〜80重量部であり、好ましくは5〜60重量部である。
【0277】
高分子化合物を含有する層が、本発明の高分子化合物と発光材料とを含有する場合には、本発明の高分子化合物と発光材料との合計100重量部に対する発光材料の割合は、通常、1〜80重量部であり、好ましくは5〜60重量部である。
【0278】
高分子化合物を含有する層が、本発明の高分子化合物と、正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群から選ばれる2種以上とを含有する場合には、それらの合計100重量部に対する発光材料の割合は、通常、1〜50重量部であり、好ましくは5〜40重量部である。また、それらの合計100重量部に対する正孔輸送材料及び電子輸送材料の合計割合は、通常、1〜50重量部であり、好ましくは5〜40重量部である。
【0279】
正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料は、公知の低分子量の化合物、三重項発光錯体、高分子量の化合物が使用できる。
【0280】
高分子量の化合物としては、WO99/13692、WO99/48160、GB2340304A、WO00/53656、WO01/19834、WO00/55927、GB2348316、WO00/46321、WO00/06665、WO99/54943、WO99/54385、US5777070、WO98/06773、WO97/05184、WO00/35987、WO00/53655、WO01/34722、WO99/24526、WO00/22027、WO00/22026、WO98/27136、US573636、WO98/21262、US5741921、WO97/09394、WO96/29356、WO96/10617、EP0707020、WO95/07955、特開2001−181618号公報、特開2001−123156号公報、特開2001−3045号公報、特開2000−351967号公報、特開2000−303066号公報、特開2000−299189号公報、特開2000−252065号公報、特開2000−136379号公報、特開2000−104057号公報、特開2000−80167号公報、特開平10−324870号公報、特開平10−114891号公報、特開平9−111233号公報、特開平9−45478号公報に記載されているフルオレンジイル基を構成単位とする重合体及び共重合体(以下、重合体と共重合体をまとめて「(共)重合体」と表記する。)、アリーレン基を構成単位とする(共)重合体、アリーレンビニレン基を構成単位とする(共)重合体、2価の芳香族アミン基を構成単位とする(共)重合体等が挙げられる。
【0281】
低分子量の化合物としては、ナフタレン誘導体、アントラセン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系等の色素類、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエン及びその誘導体、テトラフェニルブタジエン及びその誘導体が挙げられる。具体的には、特開昭57−51781号公報、特開昭59−194393号公報に記載されている化合物が挙げられる。
【0282】
三重項発光錯体としては、イリジウムを中心金属とするIr(ppy)、BtpIr(acac)、FIrpic、COM−1、COM−2、COM−3、アメリカンダイソース社(AmericanDye Source, Inc)から市販されているADS066GE、白金を中心金属とするPtOEP、ユーロピウムを中心金属とするEu(TTA)phenが挙げられる。これらの三重項発光錯体は、以下の化学式に示されるものである。具体的には、Nature, (1998), 395, 151、Appl. Phys. Lett. (1999), 75(1), 4、Proc. SPIE-Int. Soc. Opt. Eng. (2001),4105(Organic Light-Emitting Materials and DevicesIV), 119、J. Am. Chem. Soc., (2001), 123, 4304、Appl. Phys. Lett., (1997), 71(18), 2596、Syn. Met., (1998), 94(1),103、Syn. Met.,(1999), 99(2), 1361、Adv. Mater., (1999), 11(10), 852 、Jpn.J.Appl.Phys.,34, 1883 (1995)に記載されている三重項発光錯体が挙げられる。
【0283】
【化77】

【0284】
また、三重項発光錯体は、本発明の高分子化合物の主鎖、側鎖、末端に結合させて用いることもできる。そのような高分子化合物の具体例としては、下記の高分子化合物(PB−1)及び(PB−2)が挙げられる。
【0285】
高分子化合物(PB−1)
【0286】
【化78】

【0287】
高分子化合物(PB−2)
【0288】
【化79】

【0289】
添加剤としては、2,2’−ビピリジル、3,3’−ビピリジル、4,4’−ビピリジル等のビピリジル、4−メチル−2,2’−ビピリジル、5−メチル−2,2’−ビピリジル、5,5’−ジメチル−2,2’−ビピリジル等のビピリジル誘導体が挙げられる。
【0290】
発光層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよい。通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、より好ましくは5nm〜200nmであり、更に好ましくは50nm〜150nmである。
【0291】
発光層の形成方法としては、溶液からの成膜による方法が挙げられる。溶液からの成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。なかでも、パターン形成や多色の塗分けを容易にできるので、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の印刷法が好ましい。
【0292】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、アニソール、4−メチルアニソール等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。これらの溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0293】
発光素子としては、陰極と発光層との間に電子輸送層を設けた発光素子、陽極と発光層との間に正孔輸送層を設けた発光素子、陰極と発光層との間に電子輸送層を設け、かつ、陽極と発光層との間に正孔輸送層を設けた発光素子が挙げられる。
【0294】
このような発光素子の構造としては、以下のa)〜d)の構造が例示される。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(ここで、/は各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
【0295】
また、これら構造の各々について、発光層と陽極との間に、発光層に隣接してインターレイヤー層を設けてもよい。このような発光素子の構造としては、以下のa’)〜d’)の構造が例示される。
a’)陽極/インターレイヤー層/発光層/陰極
b’)陽極/正孔輸送層/インターレイヤー層/発光層/陰極
c’)陽極/インターレイヤー層/発光層/電子輸送層/陰極
d’)陽極/正孔輸送層/インターレイヤー層/発光層/電子輸送層/陰極
【0296】
発光素子が正孔輸送層を有する場合、正孔輸送層には、通常、正孔輸送材料(高分子量の化合物、低分子量の化合物)が含まれる。正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体や、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているものが例示される。
【0297】
これらの中でも、高分子量の化合物としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体が好ましく、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体がより好ましい。
【0298】
また、低分子量の化合物としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体が好ましい。これらの低分子量の化合物は、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
【0299】
高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害せず、可視光に対する吸収が強くない化合物が好ましい。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンが挙げられる。
【0300】
ポリビニルカルバゾール及びその誘導体は、例えば、ビニルモノマーをカチオン重合又はラジカル重合することによって得られる。
【0301】
ポリシラン及びその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物が例示される。その合成方法も、これらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
【0302】
ポリシロキサン及びその誘導体としては、シロキサンに由来する構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖又は主鎖に低分子量の正孔輸送材料の構造を有する化合物が好ましく、正孔輸送性の芳香族アミンに由来する構造を側鎖又は主鎖に有する化合物がより好ましい。
【0303】
正孔輸送層の成膜の方法としては、低分子量の化合物を用いる場合には、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。高分子量の化合物を用いる場合には、溶液からの成膜による方法が例示される。
【0304】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解又は均一に分散できるものが好ましい。溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、アニソール、4−メチルアニソール等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。これらの溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0305】
溶液からの成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
【0306】
正孔輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適切な値となるように選択すればよいが、ピンホールが発生しないような厚さが必要であるので、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2〜500nmであり、より好ましくは5〜200nmである。
【0307】
発光素子が電子輸送層を有する場合、電子輸送層には、通常、電子輸送材料(高分子量の化合物、低分子量の化合物)が含まれる。電子輸送材料としては、公知のものが使用できる。例えば、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体や、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平2−135361号公報、特開平2−209988号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報に記載されている化合物が例示される。なかでも、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンが更に好ましい。
【0308】
電子輸送層の成膜法としては、低分子量の化合物を用いる場合には、粉末からの真空蒸着法、又は溶液若しくは溶融状態からの成膜による方法が例示される。高分子量の化合物を用いる場合には、溶液又は溶融状態からの成膜による方法が例示される。溶液又は溶融状態からの成膜による方法では、上記高分子バインダーを併用してもよい。
【0309】
溶液からの成膜に用いる溶媒は、電子輸送材料及び/又は高分子バインダーを溶解又は均一に分散できる溶媒が好ましい。溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、アニソール、4−メチルアニソール等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。これらの溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0310】
溶液又は溶融状態からの成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
【0311】
電子輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適切な値となるように選択すればよいが、ピンホールが発生しないような厚さが必要であるので、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2〜500nmであり、より好ましくは5〜200nmである。
【0312】
正孔注入層、電子注入層は、電極に隣接して設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、発光素子の駆動電圧を下げる効果を有するものである。
【0313】
電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して電荷注入層又は絶縁層(通常、平均厚さで0.5〜4.0nmであり、以下、同じである)を設けてもよい。また、界面の密着性向上や混合の防止のために、電荷輸送層や発光層の界面に薄いバッファー層を挿入してもよい。
【0314】
積層する層の順番や数及び各層の厚さは、発光効率や素子寿命を勘案して調整すればよい。
【0315】
本実施形態において、電荷注入層を設けた発光素子としては、陰極に隣接して電荷注入層を設けた発光素子、陽極に隣接して電荷注入層を設けた発光素子が挙げられる。このような発光素子の構造としては、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
【0316】
これらの構造の各々について、発光層と陽極との間に、発光層に隣接してインターレイヤー層を設ける構造も例示される。なお、この場合、インターレイヤー層が正孔注入層及び/又は正孔輸送層を兼ねてもよい。
【0317】
電荷注入層としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層等が挙げられる。
【0318】
電荷注入層が導電性高分子を含む層の場合、導電性高分子の電気伝導度は、1×10−5〜1×10S/cmであることが好ましく、さらに発光画素間のリーク電流を小さくできるので、1×10−5〜1×10S/cmがより好ましく、1×10−5〜1×10S/cmが更に好ましい。通常、導電性高分子の電気伝導度をかかる範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープする。
【0319】
ドープするイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンとしては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンが例示される。カチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンが例示される。
【0320】
電荷注入層に用いる材料は、電極や隣接する層の材料との関係で選択すればよい。電荷注入層に用いる材料としては、例えば、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニン等)、カーボンが例示される。
【0321】
絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。絶縁層を設けた発光素子としては、陰極に隣接して絶縁層を設けた発光素子、陽極に隣接して絶縁層を設けた発光素子が挙げられる。
【0322】
このような発光素子の構造としては、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
q)陽極/絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/絶縁層/陰極
s)陽極/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
t)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
v)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
w)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
y)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
z)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
ab)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
【0323】
これらの構造の各々について、発光層と陽極との間に、発光層に隣接してインターレイヤー層を設ける構造も例示される。なお、この場合、インターレイヤー層が正孔注入層及び/又は正孔輸送層を兼ねてもよい。
【0324】
上述した構造a)〜ab)にインターレイヤー層を適用する場合、インターレイヤー層は、陽極と発光層との間に設けられ、陽極又は正孔注入層若しくは正孔輸送層と、発光層を構成する高分子化合物との中間のイオン化ポテンシャルを有する材料で構成されることが好ましい。
【0325】
インターレイヤー層に用いる材料としては、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、側鎖又は主鎖に芳香族アミンを有するポリアリーレン誘導体、アリールアミン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等の芳香族アミンを含むポリマーが例示される。
【0326】
インターレイヤー層の成膜方法としては、高分子量の材料を用いる場合には、溶液からの成膜による方法が挙げられる。
【0327】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、インターレイヤー層に用いる材料を溶解又は均一に分散できるものが好ましい。溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、アニソール、4−メチルアニソール等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が例示される。これらの溶媒は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
【0328】
溶液からの成膜には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法、キャピラリ−コート法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
【0329】
インターレイヤー層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよい。通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2〜500nmであり、より好ましくは5〜200nmである。
【0330】
インターレイヤー層を発光層に隣接して設ける場合、特に両方の層を塗布法により形成する場合には、2層の材料が混合して素子の特性等に対して好ましくない影響を与えることがある。インターレイヤー層を塗布法で形成した後、発光層を塗布法で形成する場合、2層の材料の混合を少なくする方法としては、インターレイヤー層を塗布法で形成し、このインターレイヤー層を加熱して発光層作製に用いる有機溶媒に対して不溶化した後、発光層を形成する方法が挙げられる。加熱の温度は、通常、150〜300℃である。加熱の時間は、通常、1分〜1時間である。この場合、加熱により溶媒不溶化しなかった成分を除くため、加熱後、発光層を形成する前に、インターレイヤー層を発光層形成に用いる溶媒でリンスすればよい。加熱による溶媒不溶化が十分に行われた場合は、リンスを省略できる。加熱による溶媒不溶化が十分に行われるためには、インターレイヤー層に用いる高分子量の化合物として分子内に重合可能な基を含むものを用いることが好ましい。更に、重合可能な基の数が、分子内の構成単位の数に対して5%以上であることが好ましい。
【0331】
発光素子における基板は、電極を形成することができ、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよい。例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン等の材料からなるものが例示される。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明又は半透明であることが好ましい。
【0332】
発光素子が有する陽極及び陰極の少なくとも一方は、通常、透明又は半透明であるが、陽極側が透明又は半透明であることが好ましい。
【0333】
陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、及び、それらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性化合物を用いて作製された膜、NESA、金、白金、銀、銅等が用いられる。なかでも、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。陽極として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機の透明導電膜を用いてもよい。また、陽極を2層以上の積層構造としてもよい。
【0334】
陽極の厚さは、光の透過性と電気伝導度とを考慮して選択することができる。例えば、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、より好ましくは50〜500nmである。
【0335】
陽極上に、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボン等からなる層や、金属酸化物、金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる絶縁層を設けてもよい。
【0336】
陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、又はそれらのうち2種以上の合金、又はそれらのうち1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1種以上との合金、並びにグラファイト及びグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金が挙げられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
【0337】
陰極の厚さは、電気伝導度や耐久性を考慮して調整すればよい。通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、より好ましくは50〜500nmである。
【0338】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、又は金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極と有機層(即ち、本発明の高分子化合物を含むいずれかの層)との間に、導電性高分子からなる層、又は金属酸化物、金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均厚さ2nm以下の層を設けてもよく、陰極作製後、発光素子を保護する保護層を装着していてもよい。発光素子を長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層及び/又は保護カバーを装着することが好ましい。
【0339】
保護層としては、高分子量の化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物等を用いることができる。保護カバーとしては、金属板、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板等を用いることができる。例えば、保護カバーを熱硬化樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子の損傷を防ぐことが容易である。この空間に窒素やアルゴンのような不活性ガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができる。更に、酸化バリウム等の乾燥剤をこの空間内に設置することにより、製造工程で吸着した水分又は硬化樹脂を通り抜けて浸入する微量の水分が素子に損傷を与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、1種以上の方策を採ることが好ましい。
【0340】
図1は、本発明の発光素子の一実施形態(上記(p)の構成を有する発光素子)を示す模式断面図である。図1に示す発光素子100は、基板10と、基板10上に形成された陽極11、正孔注入層12、正孔輸送層13、発光層14、電子輸送層15、電子注入層16及び陰極17と、を備えている。陽極11は、基板10と接するように基板10上に設けられており、陽極11の基板10とは反対側には、正孔注入層12、正孔輸送層13、発光層14、電子輸送層15、電子注入層16及び陰極17が、この順で積層されている。
【0341】
図2は、本発明の発光素子の他の実施形態(上記(h)の構成を有する発光素子)を示す模式断面図である。図2に示す発光素子110は、基板10と、基板10上に形成された陽極11、正孔注入層12、正孔輸送層13、発光層14及び陰極17と、を備えている。陽極11は、基板と接するように基板10上に設けられており、陽極11の基板10と反対側には、正孔注入層12、正孔輸送層13、発光層14及び陰極17が、この順で積層されている。
【0342】
発光素子は、面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置のバックライト等に有用である。
【0343】
発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部にしたい層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極若しくは陰極、又は両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号等を表示できるセグメントタイプの表示装置が得られる。更に、ドットマトリックス表示装置とするためには、陽極と陰極を共にストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子化合物を塗り分ける方法や、カラーフィルター又は蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス表示装置は、パッシブ駆動も可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示装置は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダー等に用いることができる。
【0344】
更に、面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、又は、面状の照明用光源として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
【0345】
図3は、本発明の面状光源の一実施形態を示す模式断面図である。図3に示す面状光源200は、基板20と、陽極21と、正孔注入層22と、発光層23と、陰極24と、保護層25と、から構成されている。陽極21は、基板20と接するように基板20上に設けられており、陽極21の基板20と反対側には、正孔注入層22、発光層23及び陰極24がこの順で積層されている。また、保護層25は、基板20上に形成された陽極21、電荷注入層22、発光層23及び陰極24を全て覆うように、かつ、端部で基板20と接するように、形成されている。発光層23には、上記高分子化合物が含まれる。
【0346】
また、図3に示した面状光源200は、発光層23以外の発光層をさらに複数備えるものとし、それぞれの発光層に赤色発光材料、青色発光材料及び緑色発光材料を用い、それぞれの発光層の駆動を制御することで、カラー表示装置とすることができる。
【実施例】
【0347】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0348】
[数平均分子量及び重量平均分子量の測定方法]
本実施例において、ポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、島津製作所製、商品名:LC−10Avp)により求めた。測定する高分子化合物は、約0.5重量%の濃度になるようテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに30μL注入した。GPCの移動相にはテトラヒドロフランを用い、0.6mL/分の流速で流した。カラムは、TSKgel SuperHM−H(東ソー製)2本とTSKgel SuperH2000(東ソー製)1本を直列に繋げた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製、商品名:RID−10A)を用いた。
【0349】
[合成例1:化合物1−1の合成]
不活性ガス雰囲気下、1−ブロモヘキサン(410g、2.48mol)、金属マグネシウム(60.7g、2.50mol)及び無水テトラヒドロフラン(2.5L)を攪拌し、溶液1−1を調製した。
【0350】
不活性ガス雰囲気下、6Lフラスコに、無水テトラヒドロフラン(2L)、3,5−ジブロモトルエン(477g、1.91mol)及び1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(Pd(dppf)・CHCl、CAS:851232−71−8、6.24g、7.64mol)を加え、57℃にて15分間攪拌した。次いで、60℃以下を保つ速度で溶液1−1を滴下し、57℃にて2時間攪拌した。次いで、反応混合物を氷浴で冷やした10重量%塩酸に加えて攪拌し、トルエンで抽出を行った。得られた有機層を水で2回洗浄し、有機層を減圧濃縮して溶媒を除去した。次いで、減圧蒸留、カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、目的とする3−n−ヘキシル−5−メチルブロモベンゼン(下記式で表される化合物1−1)を326g得た。
【0351】
【化80】

【0352】
[合成例2:化合物1−2の合成]
不活性雰囲気下、3Lの三つ口フラスコに、3−n−ヘキシル−5−メチルブロモベンゼン(化合物1−1、262g、1.026mol)、及び、無水テトラヒドロフラン(1.5L)を加え均一溶液とし、−70℃に冷却した。得られた溶液に、2.5Mのn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(380mL、0.95mol)を、溶液の温度が−70℃に保たれるように滴下し、同温度にて4時間撹拌し、溶液Aを得た。
【0353】
別途、1Lの二口フラスコに、2−メトキシカルボニル−4,4’−ジブロモビフェニル(160g、0.432mol)、及び、無水テトラヒドロフラン(500mL)を加え、均一溶液を調製した(溶液B)。
【0354】
溶液Aに溶液Bを、溶液Aの温度が−70℃に保たれるように滴下し、撹拌した。次いで、反応溶液を室温にて15時間撹拌した。この反応溶液に水(150mL)を0℃にて加え、撹拌した。次いで、減圧下濃縮操作により溶媒を留去し、残留物にヘキサン(1L)及び水(200mL)を加え、撹拌し、静置して生成した水層を除去して、有機層を得た。この有機層を飽和食塩水(200mL)にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥させた後、減圧下で濃縮することにより、下記式で表される化合物1−2を白色固体として得た。
【0355】
【化81】

【0356】
[合成例3:化合物1−3の合成]
不活性雰囲気下、3Lの三つ口フラスコに、合成例2で得た化合物1−2(299g)、及び、無水ジクロロメタン(900mL)を加え、5℃に冷却した。得られた混合物に、温度が0〜5℃の範囲内に保たれるように、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(224mL、1.82mmol)を滴下した後、室温にて終夜撹拌した。反応溶液を、2Lの氷水に注意深く注ぎ、30分撹拌し、静置して分液した水層を有機層から除去した。この有機層に、10重量%リン酸カリウム水溶液(1L)を加えて2時間撹拌した後、静置して生成した水層を有機層から除去した。得られた有機層を水(1L)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥させた後、濃縮することにより溶媒を留去して、オイル状の液体を得た。このオイル状の液体にメタノールを加え、固体を得た。この固体をn−ブチルアセテート及びメタノールを用いて再結晶を行うことにより、下記式で表される化合物1−3(240g)を得た。
【0357】
【化82】

【0358】
[合成例4:化合物1の合成]
三つ口フラスコに、合成例3で合成した化合物1−3(80g、0.119mmol)、ビス(ピナコレート)ジボロン(66.45g、0.26mol)、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(Pd(dppf)・CHCl、1.457g、1.8mmol)、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.989g、1.8mmol)、無水1,4−ジオキサン(800mL)、及び、酢酸カリウム(70.04g、0.71mol)を加え、100℃で20時間撹拌した。
【0359】
反応溶液を室温に冷却した後、シリカゲルを通液させ、このシリカゲルをトルエンで洗浄し、得られた溶液を濃縮操作により溶媒を留去して、褐色の液体を得た。この液体を、ヘキサンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した後、濃縮して得られた液体にアセトニトリルを加えて、固体を得た。この固体についてアセトニトリル及びトルエンを用いた再結晶を1回行い、ジクロロメタン及びメタノールを用いた再結晶を1回行い、減圧下で乾燥させることにより、下記式で表される化合物1(29.29g)を得た。
【0360】
【化83】

【0361】
[合成例5:化合物2−1の合成]
アルゴン雰囲気下、金属マグネシウム(1.93g、79mmol)及びシクロペンチルメチルエーテル(41mL)からなる混合物に、1−ブロモヘキサン(13.6g、80mmol)及びシクロペンチルメチルエーテル(40mL)からなる溶液を40℃にて少量滴下して撹拌した。次いで、50−56℃にて残りの溶液を50分かけて滴下し、50℃にて2時間撹拌し、混合物Aを調製した。
【0362】
アルゴン雰囲気下、1,3,5−トリブロモベンゼン(5.04g、16.0mmol)、シクロペンチルメチルエーテル(45mL)及び1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体(Pd(dppf)・CHCl、32.7mg)からなる混合物に、40−45℃にて混合物Aを30分かけて滴下し、40℃にて5時間撹拌した。
【0363】
次いで、反応混合物を0℃に冷却し、1Mの塩酸を加え撹拌し、静置して得られた水層を有機層から除去した。この有機層を水(80mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(80mL)、水(80mL)にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて撹拌し、濾過して得られた濾液を減圧濃縮して粗生成物を得た。この粗生成物をトルエン(5mL)に溶解させてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行うことで、目的とする1−ブロモ−3,5−ジ−n−ヘキシルベンゼン(下記式で表される化合物2−1)を5.5g(副生成物との混合物)得た。
【0364】
【化84】

【0365】
[合成例6:化合物2−2の合成]
アルゴン気流下、反応容器に、1−ブロモ−3,5−ジ−n−ヘキシルベンゼン(化合物2−1、200g、0.69mol)とテトラヒドロフラン(157g)を仕込み、均一溶液を調製し、さらにこの溶液を−69℃まで冷却した。この溶液に2.76Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液(l54g、0.607mol)を−68℃で1.5時間かけて滴下し、さらに−70℃で1.5時間撹拌した。次いで、2−メトキシカルボニル−4,4’−ジブロモビフェニル(89.9g、0.242mol)とテトラヒドロフラン(l58g)からなる溶液を−70℃で1時間かけて滴下し、−70℃で2時間撹拌した。次いで、−70℃にてメタノール(60mL)、蒸留水(60mL)を加え撹拌した後、室温まで昇温し、室温にて一晩撹拌した。次いで、反応混合物を濾過し、濾液を濃縮し、ヘプタン(400mL)、水(20mL)を加えて撹拌し、静置して、分液した有機層から水層を除去した。この有機層に飽和食塩水(100mL)を加え撹拌し、静置して分液した有機層から水層を除去した。有機層に硫酸マグネシウム(約30g)を加えて撹拌し、濾過して得られた濾液を濃縮することにより、目的とする下記式で表される化合物2−2を234g得た。
【化85】

【0366】
[合成例7:化合物2−3の合成]
アルゴン気流下、反応容器に、化合物2−2(480g、0.497mol)及びジクロロメタン(124g)を仕込み、均一溶液を調製して、これを−30℃に冷却した。この溶液にボロントリフルオライドジエチルエーテル錯体(BF・OEt、71.1g、0.501mol)を30分間かけて滴下した。その後、室温にて一晩撹拌した。次いで、反応混合物を−20℃に冷却し、蒸留水(101g)を加えて1時間撹拌した後、静置して分液した水層を有機層から除去した。次いで、水(500mL)を加え撹拌し、静置して分液した水層を有機層から除去した。得られた有機層に10重量%炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL)を加えて撹拌し、静置して分液した水層を有機層から除去した。この有機層を濃縮して溶媒を除去した。次いで、トルエン及びヘプタンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、濃縮して溶媒を除去した。次いで、酢酸ブチルとメタノールを用いて再結晶することにより、目的とする下記式で表される化合物2−3を232g得た。
【0367】
【化86】

【0368】
[合成例8:化合物2の合成]
アルゴン気流下、2Lの4つ口フラスコに、化合物2−3(95.2g、117mmol)、ビス(ピナコレート)ジボロン(65.7g、259mmol)、1,4−ジオキサン(900mL)、酢酸カリウム(70.5g、718mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf、l.00g、1.80mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンジクロロパラジウム(II)塩化メチレン錯体(PdCldppf・CHCl、1.53g、1.77mmol)を仕込み、100〜102℃で5時間撹拌した。
【0369】
次いで、得られた反応混合物を室温まで冷却した後、セライト(100g)及びシリカゲル(100g)を敷き詰めた濾過器で濾過し、得られた濾液を濃縮して溶媒を除去した。次いで、ヘキサン(900mL)を加えて調製した溶液に、活性炭(38.4g)を加え、ヘキサンが還流する温度にて1時間撹拌した。これを室温まで冷却した後、セライトを敷き詰めた濾過器で濾過し、濃縮して溶媒を除去した。次いで、トルエン及びアセトニトリルを用いて再結晶を行うことにより、目的とする下記式で表される化合物2を101g得た。
【0370】
【化87】

【0371】
[比較例1:高分子化合物1の合成]
不活性雰囲気下、下記式で表される化合物3−1(3.1502g、5.94mmol)、下記式で表される化合物3(2.9615g、5.40mmol)、下記式で表される化合物4(0.4431g、0.60mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(4.3mg)、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat336(アルドリッチ製)、0.79g)、及び、トルエン(60ml)を混合し、105℃に加熱した。
【0372】
【化88】

【0373】
反応溶液に、2Mの炭酸ナトリウム水溶液(16.3ml)を滴下し、3時間10分還流させた。反応後、そこに、フェニルホウ酸(73mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(4.1mg)、トルエン(60mL)を加え、更に15.5時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、有機層を、水(78ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(78ml)で2回、水(78ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(1500mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。
【0374】
この沈殿物をトルエン(190mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(930ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物1を3.61g得た。高分子化合物1のポリスチレン換算の数平均分子量は1.0×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.3×10であった。
【0375】
高分子化合物1は、仕込み原料の量から求めた理論値では、下記式(1a)で表される構成単位と、下記式(1b)で表される構成単位とが、95:5のモル比で構成されてなるランダム共重合体である。
【0376】
【化89】

【0377】
[実施例1:高分子化合物2の合成]
不活性雰囲気下、化合物1(1.5181g、1.98mmol)、化合物3(0.9872g、1.80mmol)、化合物4(0.1477g、0.20mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.4mg)、及び、トルエン(47ml)を混合し、105℃に加熱した。
【0378】
反応溶液に20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(7ml)を滴下し、2時間還流させた。反応後、そこに、フェニルホウ酸(24mg)、及び、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.4mg)を加え、更に19時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、水(26ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(26ml)で2回、水(26ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(310mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。
【0379】
この沈殿物をトルエン(62mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(310ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物2を1.37g得た。高分子化合物2のポリスチレン換算の数平均分子量は1.8×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は4.3×10であった。
【0380】
高分子化合物2は、仕込み原料の量から求めた理論値では、下記式(2a)で表される構成単位と、下記式(2b)で表される構成単位と、下記式(2c)で表される構成単位とが、50:45:5のモル比で構成されてなるランダム共重合体である。
【0381】
【化90】

【0382】
[合成例9:高分子化合物3の合成]
不活性雰囲気下、下記式で表される化合物5(1.983g、3.98mmol)、下記式で表される化合物6(1.561g、3.40mmol)、下記式で表される化合物7(0.258g、0.60mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.8mg)、及び、トルエン(44ml)を混合し、105℃に加熱した。
【0383】
【化91】

【0384】
反応溶液に、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(13.3ml)を滴下し、12時間還流させた。反応後、そこに、フェニルホウ酸(49mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.8mg)及びトルエン(44ml)を加え、更に17時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、水(52ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(52ml)で2回、水(52ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(620mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。
【0385】
この沈殿物をトルエン(124mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(620ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物3を1.94g得た。高分子化合物3のポリスチレン換算の数平均分子量は4.4×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1.1×10であった。
【0386】
高分子化合物3は、仕込み原料の量から求めた理論値では、下記式(3a)で表される構成単位と、下記式(3b)で表される構成単位と、下記式(3c)で表される構成単位とが、49.9:42.6:7.5のモル比で構成されてなるランダム共重合体である。
【0387】
【化92】

【0388】
[比較例2:発光素子1の作製及び評価]
<正孔注入層の形成>
ITO陽極が成膜されたガラス基板上に、正孔注入層形成用の組成物を塗布し、スピンコート法によって厚さ60nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を200℃で10分間加熱し、塗膜を不溶化させた後、室温まで自然冷却させ、正孔注入層を得た。ここで、正孔注入層形成用の組成物には、スタルクヴイテック(株)より入手可能なPEDOT:PSS水溶液(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)・ポリスチレンスルホン酸、製品名:Baytron)を用いた。
【0389】
<正孔輸送層の形成>
高分子化合物3及びキシレンを、高分子化合物3の濃度が0.7重量%の割合となるように混合し、正孔輸送層形成用の組成物を得た。上記正孔注入層の上に、この正孔輸送層形成用の組成物をスピンコート法により塗布し、厚さ20nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を180℃で60分間加熱し、塗膜を不溶化させた後、室温まで自然冷却させ、正孔輸送層を得た。
【0390】
<発光層の形成>
高分子化合物1及びキシレンを、高分子化合物1の濃度が1.3重量%の割合となるように混合し、発光層形成用の組成物を得た。上記で得られた陽極、正孔注入層、及び、正孔輸送層を有する基板の正孔輸送層の上に、この発光層形成用の組成物を、スピンコート法によって塗布し、厚さ60nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を130℃で20分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却させて、発光層を得た。
【0391】
<陰極の形成>
上記で得られた陽極、正孔注入層、正孔輸送層及び発光層を有する基板の発光層の上に、真空蒸着法により、厚さ5nmのバリウム層、続いて厚さ80nmのアルミニウム層を連続的に成膜し、陰極を形成した。
【0392】
<封止>
上記で得た積層構造を有する基板を真空蒸着装置より取り出し、窒素雰囲気下で、封止ガラス及び2液混合エポキシ樹脂にて封止して、発光素子1を得た。
【0393】
<評価>
発光素子1に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。発光素子1の最大電流効率は7.3cd/Aであり、最大外部量子収率は6.8%であった。初期輝度3400cd/mから輝度が半分に達するまでの時間である輝度半減寿命は1.7時間であった。
【0394】
[実施例2:発光素子2の作製及び評価]
<発光素子2の作製>
比較例2において、高分子化合物1の代わりに高分子化合物2を用いた以外は、比較例2と同様にして、発光素子2を作製した。
【0395】
<評価>
発光素子2に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。発光素子2の最大電流効率は9.3cd/Aであり、最大外部量子収率は8.3%であった。比較例2と出射フォトン数が同等となるように電圧を印加し、初期輝度3500cd/mから輝度が半分に達するまでの時間である輝度半減寿命を測定したところ、4.2時間であった。
【0396】
[合成例10:高分子化合物4の合成]
不活性雰囲気下、化合物3−1(3.863g、7.283mmol)、化合物6(3.177g、6.919mmol)及び化合物7(0.1563g、0.364mmol)、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat336(アルドリッチ製)、3.1mL)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(4.9mg)、及び、トルエン(50ml)を混合し、105℃に加熱した。
【0397】
次いで、反応溶液に炭酸ナトリウム水溶液(2.0M、14mL)を添加し、16.5時間還流させた。そこに、フェニルホウ酸(0.5g)を加え、更に7時間還流させた。水層を除去して得られた有機層に水(50mL)を加えて攪拌し、静置して、分液した水層を除去した。得られた有機層にジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(0.75g)及び水(50mL)を加え、85℃にて16時間攪拌した。得られた反応混合物を静置して、分液した水層を除去し、残った有機層を水(100mL)で3回洗浄し、得られた溶液をシリカゲル及び塩基性アルミナのカラムに通した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物4を4.2g得た。高分子化合物4のポリスチレン換算数平均分子量は、4.4×10であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は1.2×10であった。
【0398】
高分子化合物4は、仕込み原料の量から求めた理論値では、下記式(4a)で表される構成単位と、下記式(4b)で表される構成単位と、下記式(4c)で表される構成単位とが、50.0:42.5:7.5のモル比で構成されてなるランダム共重合体である。
【0399】
【化93】

【0400】
[比較例3:発光素子3の作製及び評価]
<発光素子3の作製>
比較例2において、高分子化合物3の代わりに高分子化合物4を用いた以外は、比較例2と同様にして、発光素子3を作製した。
【0401】
<評価>
発光素子3に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。発光素子3の最大電流効率は7.4cd/Aであり、最大外部量子収率は5.2%であった。初期輝度4500cd/mから輝度が半分に達するまでの時間である輝度半減寿命を測定したところ、6.6時間であった。
【0402】
[実施例3:発光素子4の作製]
<発光素子4の作製>
比較例2において、高分子化合物1の代わりに高分子化合物2を用い、高分子化合物3の代わりに高分子化合物4を用いた以外は、比較例2と同様にして、発光素子4を作製した。
【0403】
<評価>
発光素子4に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。発光素子4の最大電流効率は8.2cd/Aであり、最大外部量子収率は5.8%であった。比較例3と出射フォトン数が同等となるように電圧を印加し、初期輝度4500cd/mから輝度が半分に達するまでの時間である輝度半減寿命を測定したところ、52.6時間であった。
【0404】
[実施例4:高分子化合物5の合成]
不活性雰囲気下、化合物2(2.6798g、2.95mmol)、化合物3(1.4808g、2.70mmol)、化合物4(0.2215g、0.30mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.16mg)、及び、トルエン(70ml)を混合し、105℃に加熱した。
【0405】
反応溶液に20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10ml)を滴下し、3時間還流させた。反応後、そこに、フェニルホウ酸(36.5mg)、及び、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.11mg)を加え、更に23時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、水(40ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(40ml)で2回、水(40ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(500mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。
【0406】
この沈殿物をトルエン(100mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(500ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物5を2.45g得た。高分子化合物5のポリスチレン換算の数平均分子量は8.3××10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.3×10であった。
【0407】
高分子化合物5は、仕込み原料の量から求めた理論値では、下記式(5a)で表される構成単位と、下記式(5b)で表される構成単位と、下記式(5c)で表される構成単位とが、50:45:5のモル比で構成されてなるランダム共重合体である。
【0408】
【化94】

【0409】
[比較例4:発光素子5の作製及び評価]
<発光素子5の作製>
比較例2において、正孔注入層の厚さを60nmの代わりに50nmとし、高分子化合物3の代わりに高分子化合物4を用いた以外は、比較例2と同様にして、発光素子5を作製した。
【0410】
<評価>
発光素子5に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。発光素子5の最大電流効率は6.5cd/Aであり、最大外部量子収率は4.6%であった。初期輝度4030cd/mから輝度が半分に達するまでの時間である輝度半減寿命を測定したところ、8.8時間であった。
【0411】
[実施例5:発光素子6の作製及び評価]
<発光素子6の作製>
比較例2において、正孔注入層の厚さを60nmの代わりに50nmとし、高分子化合物1の代わりに高分子化合物5を用い、高分子化合物3の代わりに高分子化合物4を用いた以外は、比較例2と同様にして、発光素子6を作製した。
【0412】
<評価>
発光素子6に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。発光素子6の最大電流効率は8.4cd/Aであり、最大外部量子収率は6.3%であった。比較例4と出射フォトン数が同等となるように電圧を印加し、初期輝度3755cd/mから輝度が半分に達するまでの時間である輝度半減寿命を測定したところ、21.1時間であった。
【0413】
[比較例5:高分子化合物6の合成]
不活性雰囲気下、下記式で表される化合物3−2(1.9065g、2.97mmol)、化合物3(1.4808g、2.70mmol)、下記式で表される化合物8(0.1420g、0.30mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.11mg)、及び、トルエン(71ml)を混合し、105℃に加熱した。
【0414】
【化95】

【0415】
反応液に、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10ml)を滴下し、3時間還流させた。反応後、そこに、フェニルホウ酸(37mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.11mg)を加え、更に17時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、水(39ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(39ml)で2回、水(39ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(500mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。
【0416】
この沈殿物をトルエン(94mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(325ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物6を1.77g得た。高分子化合物6のポリスチレン換算数平均分子量は1.1×10であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は3.5×10であった。
【0417】
高分子化合物6は、仕込み原料の量から求めた理論値では、下記式(6a)で表される構成単位と、下記式(6b)で表される構成単位とが、95:5のモル比で構成されてなるランダム共重合体である。
【0418】
【化96】

【0419】
[実施例6:高分子化合物7の合成]
不活性雰囲気下、化合物1(1.5181g、1.98mmol)、化合物3(0.9872g、1.80mmol)、化合物8(0.0946g、0.20mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.3mg)、及び、トルエン(47ml)を混合し、105℃に加熱した。
【0420】
反応溶液に、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(8ml)を滴下し、1時間45分還流させた。反応後、そこに、フェニルホウ酸(25mg)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.2mg)を加え、更に19時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、水(26ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(26ml)で2回、水(26ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(310mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。
【0421】
この沈殿物をトルエン(62mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(310ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物7を1.53g得た。高分子化合物7のポリスチレン換算数平均分子量は1.9×10であり、ポリスチレン換算重量平均分子量は5.1×10であった。
【0422】
高分子化合物7は、仕込み原料の量から求めた理論値では、下記式(7a)で表される構成単位と、下記式(7b)で表される構成単位と、下記式(7c)で表される構成単位とが、50:45:5のモル比で構成されてなるランダム共重合体である。
【0423】
【化97】

【0424】
[比較例6:発光素子7の作製及び評価]
<発光素子7の作製>
比較例2において、正孔注入層の厚さを60nmの代わりに50nmとし、高分子化合物1の代わりに高分子化合物6を用い、高分子化合物3の代わりに高分子化合物4を用いた以外は、比較例2と同様にして、発光素子7を作製した。
【0425】
<評価>
発光素子7に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。発光素子7の最大電流効率は6.4cd/Aであり、最大外部量子収率は4.8%であった。初期輝度3800cd/mから輝度が半分に達するまでの時間である輝度半減寿命を測定したところ、9.3時間であった。
【0426】
[実施例7:発光素子8の作製及び評価]
<発光素子8の作製>
比較例2において、正孔注入層の厚さを60nmの代わりに50nmとし、高分子化合物1の代わりに高分子化合物7を用い、高分子化合物3の代わりに高分子化合物4を用いた以外は、比較例2と同様にして、発光素子8を作製した。
【0427】
<評価>
発光素子8に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。発光素子8の最大電流効率は11.3cd/Aであり、最大外部量子収率は7.3%であった。比較例6と出射フォトン数が同等となるように電圧を印加し、初期輝度4455cd/mから輝度が半分に達するまでの時間である輝度半減寿命を測定したところ、72.0時間であった。
【0428】
[実施例8:発光素子9の作製及び評価]
<発光素子9の作製>
比較例2において、高分子化合物1の代わりに高分子化合物7を用い、高分子化合物3の代わりに高分子化合物4を用いた以外は、比較例2と同様にして、発光素子9を作製した。
【0429】
<評価>
発光素子9に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。発光素子9の最大電流効率は10.9cd/Aであり、最大外部量子収率は7.0%であった。初期輝度5810cd/mから輝度が半分に達するまでの時間である輝度半減寿命を測定したところ、38.1時間であった。
【0430】
[比較例7:高分子化合物8の合成]
不活性雰囲気下、化合物3−2(1.9181g、2.99mmol)、化合物3(0.4112g、0.75mmol)、下記式で表される化合物9(1.6395g、1.80mmol)、下記式で表される化合物10(0.2422g、0.46mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.1mg)、及び、トルエン(70ml)を混合し、105℃に加熱した。
【0431】
【化98】

【0432】
反応溶液に、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10ml)を滴下し、8時間還流させた。反応後、そこに、フェニルホウ酸(36.7mg)、及び、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.2mg)を加え、更に16時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、水(40ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(40ml)で2回、水(40ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(600mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。
【0433】
この沈殿物をトルエン(100mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(450ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物8を2.47g得た。高分子化合物8のポリスチレン換算の数平均分子量は5.4×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.1×10であった。
【0434】
高分子化合物8は、仕込み原料の量から求めた理論値では、下記式(8a)で表される構成単位と、下記式(8b)で表される構成単位と、下記式(8c)で表される構成単位とが、62.5:30:7.5のモル比で構成されてなるランダム共重合体である。
【0435】
【化99】

【0436】
[実施例9:高分子化合物9の合成]
不活性雰囲気下、化合物2(2.6882g、2.96mmol)、化合物3(0.4245g、0.75mmol)、化合物9(1.6396g、1.80mmol)、化合物10(0.2377g、0.45mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.1mg)、及び、トルエン(62ml)を混合し、105℃に加熱した。
【0437】
反応溶液に、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(10ml)を滴下し、4.5時間還流させた。反応後、そこに、フェニルホウ酸(36.8mg)、及び、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.1mg)を加え、更に16.5間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、水(40ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(40ml)で2回、水(40ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(500mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。
【0438】
この沈殿物をトルエン(100mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(500ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物9を3.12g得た。高分子化合物9のポリスチレン換算の数平均分子量は7.8×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.6×10であった。
【0439】
高分子化合物9は、仕込み原料の量から求めた理論値では、下記式(9a)で表される構成単位と、下記式(9b)で表される構成単位と、下記式(9c)で表される構成単位と、下記式(9d)で表される構成単位とが、50:12.5:30:7.5のモル比で構成されてなるランダム共重合体である。
【0440】
【化100】

【0441】
[実施例10:高分子化合物10の合成]
不活性雰囲気下、化合物2(7.2119g、7.95mmol)、化合物3(1.0970g、2.00mmol)、下記式で表される化合物11(3.5455g、4.80mmol)、化合物10(0.6340g、1.20mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(5.7mg)、及び、トルエン(190ml)を混合し、105℃に加熱した。
【0442】
【化101】

【0443】
反応溶液に、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(27ml)を滴下し、3時間還流させた。反応後、そこに、フェニルホウ酸(97.6mg)、及び、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(5.7mg)を加え、更に15間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。冷却後、水(104ml)で2回、3重量%酢酸水溶液(104ml)で2回、水(104ml)で2回洗浄し、得られた溶液をメタノール(1243mL)に滴下、ろ取することで沈殿物を得た。
【0444】
この沈殿物をトルエン(351mL)に溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムを順番に通すことにより精製した。得られた溶液をメタノール(1243ml)に滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物10を6.42g得た。高分子化合物10のポリスチレン換算の数平均分子量は8.5×10であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.9×10であった。
【0445】
高分子化合物10は、仕込み原料の量から求めた理論値では、下記式(10a)で表される構成単位と、下記式(10b)で表される構成単位と、下記式(10c)で表される構成単位と、下記式(10d)で表される構成単位とが、50:12.5:30:7.5のモル比で構成されてなるランダム共重合体である。
【0446】
【化102】

【0447】
[実施例11:発光素子10の作製及び評価]
<発光素子10の作製>
比較例2において、正孔注入層の厚さを60nmの代わりに50nmとし、高分子化合物1の代わりに高分子化合物2を用い、高分子化合物3の代わりに高分子化合物8を用いた以外は、比較例2と同様にして、発光素子10を作製した。
【0448】
<評価>
発光素子10に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。発光素子10の最大電流効率は6.4cd/Aであり、最大外部量子収率は5.2%であった。初期輝度3460cd/mから輝度が55%に達するまでの時間である輝度寿命を測定したところ、72.5時間であった。
【0449】
[実施例12:発光素子11の作製及び評価]
<発光素子11の作製>
比較例2において、正孔注入層の厚さを60nmの代わりに50nmとし、高分子化合物1の代わりに高分子化合物2を用い、高分子化合物3の代わりに高分子化合物9を用いた以外は、比較例2と同様にして、発光素子11を作製した。
<評価>
【0450】
発光素子11に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。発光素子11の最大電流効率は6.1cd/Aであり、最大外部量子収率は5.2%であった。実施例11と出射フォトン数が同等となるように電圧を印加し、初期輝度3320cd/mから輝度が55%に達するまでの時間である輝度寿命を測定したところ、86.5時間であった。
【0451】
[実施例13:発光素子12の作製及び評価]
<発光素子12の作製>
比較例2において、正孔注入層の厚さを60nmの代わりに50nmとし、高分子化合物1の代わりに高分子化合物2を用い、高分子化合物3の代わりに高分子化合物10を用いた以外は、比較例2と同様にして、発光素子12を作製した。
【0452】
<評価>
発光素子12に電圧を印加したところ、青色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。発光素子12の最大電流効率は6.4cd/Aであり、最大外部量子収率は5.5%であった。実施例11と出射フォトン数が同等となるように電圧を印加し、初期輝度3290cd/mから輝度が55%に達するまでの時間である輝度寿命を測定したところ、148.2時間であった。
【0453】
[実施例14:発光素子13の作製及び評価]
<正孔注入層の形成>
ITO陽極が成膜されたガラス基板上に、正孔注入層形成用の組成物を塗布し、スピンコート法によって厚さ50nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を200℃で10分間加熱し、塗膜を不溶化させた後、室温まで自然冷却させ、正孔注入層を得た。ここで、正孔注入層形成用の組成物には、スタルクヴイテック(株)より入手可能なPEDOT:PSS水溶液(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)・ポリスチレンスルホン酸、製品名:Baytron)を用いた。
【0454】
<正孔輸送層の形成>
高分子化合物9及びキシレンを、高分子化合物9の濃度が0.7重量%の割合となるように混合し、正孔輸送層形成用の組成物を得た。上記正孔注入層の上に、この正孔輸送層形成用の組成物をスピンコート法により塗布し、厚さ20nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を180℃で60分間加熱し、塗膜を不溶化させた後、室温まで自然冷却させ、正孔輸送層を得た。
【0455】
<発光層の形成>
高分子化合物1、下記式で表される化合物COM−3及びキシレンを、高分子化合物1と化合物COM−3の合計の濃度が1.3重量%の割合となるように混合し、発光層形成用の組成物を得た。このとき、高分子化合物1と化合物COM−3の重量比が95:5となるように混合した。上記で得られた陽極、正孔注入層、及び、正孔輸送層を有する基板の正孔輸送層の上に、この発光層形成用の組成物を、スピンコート法により塗布して厚さ80nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を130℃で20分間加熱し、溶媒を蒸発させた後、室温まで自然冷却させ、発光層を得た。
【0456】
【化103】

【0457】
<陰極の形成>
上記で得た、陽極、正孔注入層、正孔輸送層及び発光層を有する基板の発光層の上に、真空蒸着法により、厚さ5nmのバリウム層、続いて厚さ80nmのアルミニウム層を連続的に成膜し、陰極を形成した。
【0458】
<封止>
上記で得た積層構造を有する基板を真空蒸着装置から取り出し、窒素雰囲気下で、封止ガラス及び2液混合エポキシ樹脂にて封止して、発光素子13を得た。
【0459】
<評価>
発光素子13に電圧を印加したところ、赤色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。発光素子13の最大電流効率は7.9cd/Aであり、最大外部量子収率は9.4%であった。初期輝度12000cd/mから輝度が半分に達するまでの時間である輝度半減寿命は13.4時間であった。
【0460】
[実施例15:発光素子14の作製及び評価]
<発光素子14の作製>
実施例14において、高分子化合物1の代わりに高分子化合物5を用いた以外は、実施例14と同様にして、発光素子14を作製した。
【0461】
<評価>
発光素子14に電圧を印加したところ、赤色発光のエレクトロルミネッセンス(EL)が観測された。発光素子14の最大電流効率は9.8cd/Aであり、最大外部量子収率は11.7%であった。実施例14と出射フォトン数が同等となるように電圧を印加し、初期輝度12000cd/mから輝度が半分に達するまでの時間である輝度半減寿命は41.9時間であった。
【符号の説明】
【0462】
10…基板、11…陽極、12…正孔注入層、13…正孔輸送層、14…発光層、15…電子輸送層、16…電子注入層、17…陰極、100,110…発光素子、20…基板、21…陽極、22…正孔注入層、23…発光層、24…陰極、25…保護層、200…面状光源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される構成単位を含む高分子化合物。
【化1】


[式(1)中、R1A、R1B、R2A及びR2Bは、それぞれ独立に、非置換のアルキル基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。a、b、c及びdはそれぞれ独立に、0〜3の整数を表す。R、R、R及びRは、それぞれ複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項2】
1Aが、1級又は2級の非置換のアルキル基である請求項1に記載の高分子化合物。
【請求項3】
2Aが、1級又は2級の非置換のアルキル基である請求項2に記載の高分子化合物。
【請求項4】
1AとR1Bとの組み合わせ、及び、R2AとR2Bとの組み合わせのうちの少なくとも一方の組み合わせが、互いに異なる基同士の組み合わせである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項5】
式(1)で表される構成単位が、式(2)で表される構成単位である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【化2】


[式(2)中、R1A、R1B、R2A、R2B、R、R、a及びbは、前記と同じ意味である。]
【請求項6】
a及びbが、それぞれ独立に0又は1を表し、R及びRが、それぞれ独立に非置換のアルキル基を表す、請求項1〜5のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【請求項7】
式(2)で表される構成単位が、式(3)で表される構成単位である、請求項5又は6に記載の高分子化合物。
【化3】


[式(3)中、R1A、R1B、R2A及びR2Bは、前記と同じ意味である。]
【請求項8】
式(3)で表される構成単位が、式(4)で表される構成単位である、請求項7に記載の高分子化合物。
【化4】


[式(4)中、R1A、R1B、R2A及びR2Bは、前記と同じ意味である。]
【請求項9】
さらに、式(6)で表される構成単位及び式(7)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上の構成単位を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【化5】


[式(6)中、Arは、非置換若しくは置換のアリーレン基、又は、非置換若しくは置換の2価の複素環基を表す。ただし、式(6)で表される構成単位は、式(1)で表される構成単位とは異なる構造を有する構成単位である。
式(7)中、Ar、Ar及びArは、それぞれ独立に、非置換若しくは置換のアリーレン基、非置換若しくは置換の2価の芳香族複素環基、又は、2個の芳香環が単結合で連結した非置換若しくは置換の2価の基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、又は、非置換若しくは置換の1価の複素環基を表す。eは0又は1である。]
【請求項10】
式(6)で表される構成単位が、式(8)で表される構成単位、式(9)で表される構成単位、式(10)で表される構成単位又は式(11)で表される構成単位である、請求項9に記載の高分子化合物。
【化6】


[式(8)中、Rは、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。fは0〜4の整数を表す。Rが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
式(9)中、R10及びR11は、それぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。ただし、式(9)で表される構成単位は、式(1)で表される構成単位とは異なる構造を有する構成単位である。
式(10)中、R12は、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアリール基、又は、非置換若しくは置換の1価の複素環基を表す。Xは、単結合、−O−、−S−、又は、−C(R−を表す。Rは、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。2つのRは同一であっても異なっていてもよい。
式(11)中、R13及びR13’はそれぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。]
【請求項11】
式(12)で表される構成単位及び式(13)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上の構成単位を含む、請求項9に記載の高分子化合物。
【化7】


[式(12)中、R14、R15、R16、R17、R18及びR19は、それぞれ独立に、水素原子、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。
式(13)中、R20は、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。gは0〜5の整数を表す。R20が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項12】
式(7)で表される構成単位が、式(14)で表される構成単位である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【化8】


[式(14)中、Ar及びeは、前記と同じ意味である。R及びRは、それぞれ独立に、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。h及びiは、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。R及びRはそれぞれ複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項13】
さらに、式(15)で表される構成単位、及び、式(16)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上の構成単位を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の高分子化合物。
【化9】


[式(15)中、R21は、架橋性基を表す。R22は、水素原子、架橋性基、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。ただし、式(15)で表される構成単位は、式(1)で表される構成単位、式(6)で表される構成単位、及び、式(9)で表される構成単位とはそれぞれ異なる構造を有する構成単位である。
式(16)中、R23は、架橋性基を表す。R24は、架橋性基、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。jは0又は1を表す。ただし、式(16)で表される構成単位は、式(7)で表される構成単位、及び、式(14)で表される構成単位とはそれぞれ異なる構造を有する構成単位である。]
【請求項14】
式(1)で表される構成単位と、式(6)で表される構成単位、及び、式(7)で表される構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位と、からなる、請求項9又は10に記載の高分子化合物。
【請求項15】
正孔輸送材料、電子輸送材料及び発光材料からなる群から選ばれる少なくとも1種の材料と、請求項1〜14のいずれか一項に記載の高分子化合物と、を含有する組成物。
【請求項16】
前記発光材料が、三重項発光錯体である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の高分子化合物と、溶媒と、を含有する組成物。
【請求項18】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有する薄膜。
【請求項19】
陽極及び陰極からなる電極と、
前記電極間に設けられた、請求項1〜14のいずれか一項に記載の高分子化合物を含有する層と、を有する発光素子。
【請求項20】
式(a)で表される化合物。
【化10】


[式(a)中、R1A、R1B、R2A及びR2Bは、それぞれ独立に、非置換のアルキル基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、非置換若しくは置換のアリール基、非置換若しくは置換のアリールオキシ基、非置換若しくは置換の1価の複素環基、非置換若しくは置換のシリル基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、又は、シアノ基を表す。R及びRは、それぞれ独立に、非置換若しくは置換のアルキル基、非置換若しくは置換のアルコキシ基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。a、b、c及びdはそれぞれ独立に、0〜3の整数を表す。R、R、R及びRは、それぞれ複数存在する場合、それらはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。Yは、ハロゲン原子、メトキシ基、ホウ酸エステル残基、ホウ酸残基、式(a−1)で表される基、式(a−2)で表される基、式(a−3)で表される基、又は、式(a−4)で表される基を表す。2個存在するYは、同一であっても異なっていてもよい。
式(a−1)及び(a−4)中、Rは、非置換若しくは置換のアルキル基、又は、非置換若しくは置換のアリール基を表す。なお、式(a−4)中に複数存在するRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
式(a−2)及び(a−3)中、Xは、ハロゲン原子を表す。]

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−174062(P2011−174062A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16932(P2011−16932)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(599086607)ケンブリッジ、ディスプレイ、テクノロジー、リミテッド (9)
【氏名又は名称原語表記】CAMBRIDGE DISPLAY TECHNOLOGY LTD
【Fターム(参考)】