説明

高分子樹脂粒子のラテックス、高分子樹脂粒子のラテックス製造装置及び製造方法、高分子樹脂粒子のトナー、高分子樹脂粒子のトナー製造装置及び製造方法

【課題】反応物の滞留時間と温度分布を均一にし、分子量分布や粒径分布がシャープな樹脂粒子を得ることの出来る高分子樹脂粒子の小型の製造装置及びそれを用いて高分子樹脂粒子の分散液の製造方法及びそれを凝集したトナーを製造する方法を提供する。
【解決手段】円筒形ハウジングに同心に設けた駆動軸に複数の回転翼を取付け、前記円筒形ハウジングが前記駆動軸に貫かれ、複数の隔壁に区切られて各回転翼を収容する各隔室が形成され、前記隔壁には隣り合う隔室間を流通させる流通口が設けられ、前記円筒形ハウジングには、その内部に原料供給口、原料補助供給口、製品排出口が設けられ、前記円筒形ハウジングの外周部には前記円筒形ハウジングを加熱及び冷却させる伝熱手段を設け、複数の原料を連続的に重合反応させて高分子樹脂粒子のラテックスの生成を、更に連続的に会合反応させて高分子樹脂粒子のトナーの生成も可能にした製造装置及び製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子樹脂粒子のラテックス及びトナーを製造する製造装置と、それを用いた高分子樹脂粒子のラテックス及びトナーの製造方法と、上記製造装置又は製造方法によって得られる高分子樹脂粒子のラテックス及びトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、攪拌槽型の反応装置を複数段用いて高分子樹脂粒子のラテックス(分散液)を製造するとき、各撹拌槽内で流れや滞留時間にむらが生じるため多数の槽を連続的に接続することが必要になったり、満液で運転しない場合は撹拌槽上部でモノマーの気化と還流が起こり重合反応が不均一になり、分子量分布や粒径分布がシャープな樹脂粒子を得られにくかった。このように、連続的に重合や会合を行う反応装置では、製造される樹脂粒子の分子量分布や粒径分布をシャープにするためには滞留時間や温度分布を均一にするなどの必要がある。
そのため、プラグフロー性が高く、熱伝導性が良い管型反応装置がよく用いられているが、そのプラグフロー性や熱伝導性を確保するためには、管の内径が小さくなくてはならず、そのため管長が長くなり、装置が巨大化してしまうというのが現状であった。
【特許文献1】特開2003−40912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来技術のこのような問題点を排除して、反応装置を小型化しつつ、反応物の滞留時間と温度分布を均一にし、分子量分布や粒径分布がシャープな樹脂粒子を得ることの出来る高分子樹脂粒子のラテックスやトナーの製造装置及び製造方法やそれによって得られる高分子樹脂粒子のラテックスや高画質で高耐久性を有するトナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的は、次の技術手段の何れかによって達成される。
1.円筒形ハウジングに同心に回転可能に設けられた駆動軸に複数の回転翼を取付け、前記円筒形ハウジングは前記駆動軸に貫かれ、該駆動軸に直角に前記円筒形ハウジングを区切る複数の隔壁が設けられて、前記円筒形ハウジングの内面と前記隔壁により複数の隔室が形成され、各該隔室には各前記回転翼が配設され、前記隔壁には隣り合う隔室間を流通させる流通口が設けられ、前記駆動軸の端部には原動機が接続され、
前記円筒形ハウジングの一方の側には、該円筒形ハウジングの内部に原料を供給する原料供給口及び原料補助供給口が設けられ、他方の側には製品を排出する排出口が設けられ、前記円筒形ハウジングの外周部には前記円筒形ハウジングを加熱及び冷却させる伝熱手段が設けられ、複数の原料を連続的に重合反応させて高分子樹脂粒子のラテックスを製造することを特徴とする高分子樹脂粒子のラテックス製造装置。
2.前記回転翼は同一回転方向に対して、外周部から流入して中心部に向かって流出する渦巻形状を有するものと、中心部から流入して外周部に向かって流出する渦巻形状を有するものとが、前段から後段に掛けて交互に配列されていることを特徴とする1項に記載の高分子樹脂粒子のラテックス製造装置。
3.前記隔室の隔壁は、その流通口を中心部に設けたものと、外周部に設けたものとが交互に配列されていることを特徴とする1項又は2項に記載の高分子樹脂粒子のラテックス製造装置。
4.円筒形ハウジングに同心に回転可能に設けられた駆動軸に複数の回転翼を取付け、前記円筒形ハウジングは前記駆動軸に貫かれ、該駆動軸に直角に前記円筒形ハウジングを区切る複数の隔壁が設けられて、前記円筒形ハウジングの内面と前記隔壁により複数の隔室が形成され、各該隔室には各前記回転翼が配設され、前記隔壁には隣り合う隔室間を流通させる流通口が設けられ、前記駆動軸の端部には原動機が接続され、
前記円筒形ハウジングの一方の側には、該円筒形ハウジングの内部に原料を供給する原料供給口及び原料補助供給口が設けられ、他方の側には製品を排出する排出口が設けられ、前記円筒形ハウジングの外周部には前記円筒形ハウジングを加熱及び冷却させる伝熱手段が設けられ、前記円筒形ハウジングの前半部の隔室においては、複数の原料を連続的に重合反応させて高分子樹脂粒子のラテックスが製造され、後半部の隔室においては、該ラテックスと、複数の補助原料供給口から供給される凝集剤及び着色剤とを連続的に会合反応させて高分子樹脂粒子のトナーを製造することを特徴とする高分子樹脂粒子のトナー製造装置。
5.前記回転翼は同一回転方向に対して、外周部から流入して中心部に向かって流出する渦巻形状を有するものと、中心部から流入して外周部に向かって流出する渦巻形状を有するものとが、前段から後段に掛けて交互に配列されていることを特徴とする4項に記載の高分子樹脂粒子のトナー製造装置。
6.前記隔室の隔壁は、その流通口を中心部に設けたものと、外周部に設けたものとが交互に配列されていることを特徴とする4項又は5項に記載の高分子樹脂粒子のトナー製造装置。
7.1〜3項の何れか1項に記載の高分子樹脂粒子のラテックス製造装置を用いて高分子樹脂粒子のラテックスを製造することを特徴とする高分子樹脂粒子のラテックス製造方法。
8.4〜6項の何れか1項に記載の高分子樹脂粒子のトナー製造装置を用いて高分子樹脂粒子のトナーを製造することを特徴とする高分子樹脂粒子のトナー製造方法。
9.1〜3項の何れか1項に記載の高分子樹脂粒子のラテックス製造装置又は7項に記載の高分子樹脂粒子のラテックス製造方法を用いて得られることを特徴とする高分子樹脂粒子のラテックス。
10.4〜6項の何れか1項に記載の高分子樹脂粒子のトナー製造装置又は8項に記載の高分子樹脂粒子のトナー製造方法を用いて得られることを特徴とする高分子樹脂粒子のトナー。
【発明の効果】
【0005】
本発明の円筒形ハウジングを有する高分子樹脂粒子のラテックスやトナーの製造装置及びそれを用いたラテックスやトナーの製造方法により、原料液が循環流を作ることなく整然と供給口から排出口に向かって満液状態で供給できるようになった。また、隔離された各隔室で反応が行われ、反応熱が有効に活用できるようになった。その結果、モノマーの気化が防がれ、副反応を起こすことが無くなり、粒径分布や分子量分布のシャープなラテックスが得られ、それを凝集して形成されるトナーも均一度の高い良好なものが得られるようになった。このようにして得られたトナーは、特に耐久安定性に優れ、ライフ末期においてもカブリ等の画像ノイズのない高画質を確保することができる様になり、高画質画像を安定して形成できる様になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
先ず、本発明に係る高分子樹脂粒子の製造装置の実施の形態について、図1の側断面模式図を用いて説明する。
【0007】
円筒形ハウジング4に同心に回転可能に設けられた駆動軸3に複数の回転翼7a、7bを取付け、前記円筒形ハウジング4は前記駆動軸3に貫かれ、該駆動軸3に直角に前記円筒形ハウジング4を区切る複数の隔壁5a、5bが設けられて、該隔壁と前記円筒形ハウジングの隔壁により複数の隔室4A、4Bが形成され、各隔室4A、4Bには各前記回転翼7a、7bが収納して配設され、前記隔壁5a、5bには隣り合う隔室4A、4B間を流通させる流通口10(10a+10b)が設けられ、前記駆動軸3の端部には原動機(モータ)1が接続され、前記円筒形ハウジング4の一方の側には、該円筒形ハウジング4の内部に原料を供給する原料供給口2及び原料補助供給口8が設けられ、他方の側には製品を排出する排出口9が設けられ、前記円筒形ハウジング4の外周部には前記円筒形ハウジング4を加熱及び冷却させる加熱手段12、冷却手段13及び調節バルブ6よりなる伝熱手段14(12+13+6)が設けられ、反応装置を形成するハウジング4の温度を所定値に保てるようにして、複数の原料を連続的に反応させて高分子樹脂粒子のラテックスを製造する。
【0008】
隔室4A、4Bの組の配列はこの順序で複数組が繰り返し配列され、第1の発明のように全部を重合反応に使用することもできるし、第2の発明のように前段の複数の前記各隔室4A、4Bにおいては重合反応が行われ、後段の複数の前記各隔室4A、4Bにおいては会合反応が行われるようにすることもできる。
【0009】
即ち、本発明においては、図5(a)のフロー図にも示すように、本発明の製造装置をラテックスの製造装置として用い、そこで排出回収されたラテックスを別の装置に供給して凝集させてトナーを得ることができるし、図5(b)のフロー図や後述する図4にも示すように、一つの装置を用いて重合によりラテックス製造に引き続き、会合反応を行わせラテックスを凝集してトナーを得ることもできるようにしてある。
【0010】
前記回転翼7a、7bは同一回転方向に対して、図2に示すように、外周部から流入して中心部に向かって流出する渦巻形状を有するものと、図3に示すように、中心部から流入して外周部に向かって流出する渦巻形状を有するものとが、前段から後段に掛けて交互に配列されている。
【0011】
前記各隔室の隔壁は、中心部に設けた流通口10aを有するものと、外周部に設けた流通口10bを有するものとが交互に配列されている。流通口10bは複数、等間隔に設けられることが好ましい。
【0012】
このような反応装置を形成する高分子樹脂粒子のラテックス製造装置の円筒形ハウジング4の一方の側にある原料供給口2より円筒形ハウジング4内に供給される原料液は、回転翼7aにより円筒形ハウジング4の隔室4Aの中心部へと徐々に送られ、その後、反応液は隔壁5aの中心部にあけられた流通口10aを通り、次の隔室4Bへと移動する。そして、回転翼7bにより、反応液は隔室4Bの中心から外側へと徐々に送られる。その際に、円筒形ハウジング4及び隔壁5a、5bにより、所定の温度に昇温される。そして所定の温度へと昇温された反応液は流通口10bを通って次の隔室4Aへと移動し、原料補助供給口8より供給される重合開始剤等と混合され、重合反応が開始される。反応液は徐々に重合度を上げながら円筒形ハウジング4の排出口9へと進む。その際に、反応液は回転翼7a、7bと隔壁5a、5bと円筒形ハウジング4の内面とにより構成される隔隔室4A、4Bで、循環流を作らずにプラグフローを保ち、且つ、伝熱手段によって温度調節された円筒形ハウジング4と隔壁5により所定の温度に維持される。そして、均一な重合反応の進行と高分子樹脂粒子の成長により、円筒形ハウジングの他の側にある排出口9から排出されるラテックスは、粒径分布も分子量分布もシャープなものになる。
【0013】
このように、内径の大きい円筒形ハウジングを反応器として用いることにより、高分子樹脂粒子のラテックスの製造装置が小型化される。
【0014】
そして、回転翼により作られた垂直方向の流れにより、滞留が抑制され、プラグフローが確保される。また、回転翼により作られた垂直の流れの方向を隔室4Aにおいては周辺部から中心部へと、隔室4Bにおいては中心部から周辺部へと交互に変えることにより、温度分布の著しい均一化が為される。
【0015】
また、隔壁7a、7bによる円筒形ハウジング4の中を複数の隔室に区画化することにより、熱交換が効率化され、各原材料供給口や原料補助供給口から供給される各隔室4A、4Bでの反応がきちんと区別される。
【0016】
そして、円筒形ハウジング4の中を満液で運転されることにより、モノマーの気化を防ぎ、副反応を抑制でき、また、反応熱の有効利用ができる。
【0017】
このような高分子樹脂粒子のラテックス製造装置を用いて高分子樹脂粒子の分散液を製造し、それを凝集して現像用トナーを製造することができる。
【0018】
この分散液(ラテックス)を凝集してトナーを製造する工程は、別の装置で行うこともできるし、上記の図1に示す円筒形ハウジング4を、図4に示すように延長して、各隔室4A、4Bを増設し、途中で出来上がるラテックスをそのまま後段の隔室4A、4Bの流通口10a、10bに導入しながら、また、凝集剤や必要に応じて着色剤を原料補助供給口8から補給しながら、トナーを製造することができる。
【0019】
本発明に係るラテックス或いはトナーを構成する樹脂は少なくとも1種の重合性単量体を重合して得られた重合体を構成成分として含むものである。前記重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレンあるいはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0020】
また、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることがさらに好ましい。例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルホン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0021】
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
【0022】
本発明のトナーに使用する着色剤としてはカーボンブラック、磁性体、染料、顔料等を任意に使用することができ、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用される。磁性体としては鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイト等の強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理する事により強磁性を示す合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫等のホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、二酸化クロム等を用いる事ができる。
【0023】
本発明のトナーに使用する染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いる事ができ、またこれらの混合物も用いる事ができる。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同93、同94、同138、同156、同158、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等を用いる事ができ、これらの混合物も用いる事ができる。数平均一次粒子径は種類により多様であるが、概ね10〜200nm程度が好ましい。
【0024】
着色剤の添加方法としては、たとえば、樹脂粒子に凝集剤を添加して凝集を行う段階で着色剤を添加する方法が挙げられる。なお、着色剤は表面をカップリング剤等で処理して使用することができる。
【0025】
本発明に係るトナーに使用可能なワックスとしては、従来公知のものが挙げられる。具体的には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
【0026】
ワックスの融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点を上記範囲内にすることにより、トナーの耐熱保存性が確保されるとともに、低温で定着を行う場合でもコールドオフセットなどを起こさずに安定したトナー画像形成が行える。また、トナー中のワックス含有量は、1質量%〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは5質量%〜20質量%である。
【0027】
本発明に係るトナーを構成する樹脂粒子は、前述の重合性単量体を重合して生成されるが、重合開始時に使用可能なラジカル重合開始剤には以下のものがある。具体的には、油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げられる。
【0028】
また、乳化重合法で樹脂粒子を形成する場合は水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
樹脂粒子を形成する際に使用される連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく、たとえば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素、及び、α−メチルスチレンダイマー等が使用される。
【0029】
また、反応系中に重合性単量体等を適度に分散させておくために分散安定剤を使用することも可能である。分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等を挙げることができる。さらに、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等の界面活性剤として一般的に使用されているものを分散安定剤として使用することができる。
【0030】
樹脂粒子を形成する際に使用される界面活性剤は特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
【0031】
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
【0032】
上記重合反応により得られる樹脂粒子の分子量は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)をカラム溶媒として用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定することが可能である。
【0033】
具体的には、測定試料を1mgに対してTHFを1ml加え、室温下にてマグネチックスターラーを用いて撹拌を行い、充分に溶解させる。次いで、ポアサイズ0.45〜0.50μmのメンブランフィルターで処理した後に、GPCへ注入する。GPCの測定条件は、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して測定する。カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。たとえば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807の組み合わせや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H、G3000H、G4000H、G5000H、G6000H、G7000H、TSK guard columnの組み合わせなどを挙げることができる。
【0034】
検出器としては、屈折率検出器(IR検出器)、或いはUV検出器が好ましく用いられる。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いることが好ましい。
【0035】
本発明に係る高分子樹脂粒子の粒径は、レーザー回折散乱法を用いたマイクロトラック粒度分布測定装置UPA(日機装株式会社製)等の市販の粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
【0036】
本発明に係るトナーの体積基準メディアン径D50は、「マルチサイザ3」(ベックマン・コールター社製)にデータ処理用のコンピュータシステムを接続した装置を用いて測定、算出をすることができる。
【実施例】
【0037】
以下、実施例を挙げて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実験その1)
図1に示す高分子樹脂粒子のラテックス製造装置の実験機を用いてテストを行った。
【0038】
その実験機の装置サイズは下記のようになる。
管径D(内径) :0.1m
管長L :0.5m
管厚 :0.005m
回転翼径d :0.099m
回転翼幅h :0.039m
隔壁厚 :0.01m
流通口の幅B :0.01m
1ブロック幅 :0.1m
ブロック数 :5
なお、上記ブロックは、本発明でいう隔室に対応するものである。
【0039】
その運転条件は次のようになる。
設定する滞留時間 :5〜300分(好ましくは10〜120分)
反応重合温度T :60〜98℃
原料供給速度S :1.0〜600cm3/min(好ましくは7.5〜300cm3/min)
攪拌速度n :0.4〜24rpm(好ましくは1〜12rpm)
この実験機を用いて、ドデシル硫酸ナトリウム7.08質量部をイオン交換水3010質量部に溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)、及び、スチレン70.1質量部、n−ブチルアクリレート19.9質量部、メタクリル酸10.9質量部、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート1.5質量部からなる単量体混合液を、原料供給口2から7.5cm3/minの速度で供給し、1ブロック目で80℃に昇温させる。2ブロック目の原料補助供給口8から重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.2質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を2.5cm3/minの速度で添加する。2ブロック目以降も80℃になるように温度制御を行う。攪拌翼の回転速度は1rpmで行う。反応器内の滞留時間は60分である。この条件の下で重合反応を行い、生成された樹脂粒子分散液(ラテックス)が排出口9から排出される。この様にして得られたラテックスを実施例とする。
【0040】
また、上記単量体混合液、及び、重合開始剤溶液を従来からある攪拌槽型の連続重合装置(槽の数3段)に投入し、比較例のラテックスを作製する。
【0041】
実施例と比較例で作製されるラテックスの重量平均分子量Mw、粒径とそのCV値(粒径/CV値)、及び、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)を、前述した検出手段により測定、算出した。これらの測定は、連続運転時間1時間経過時、2時間経過時、及び、4時間経過時に行う。
それぞれの測定結果を表1、表2、及び、表3に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
表1、表2、及び、表3に示す様に、実施例では、1時間後、2時間後、4時間後におけるMw、粒径/CV、Mw/Mnがいずれもバラツキの無い安定した値となることが確認された。一方、比較例では作製される樹脂粒子の性能が連続運転時間に依存する結果となる。すなわち、連続運転時間が長くなるにしたがって、上記の値は増大する傾向が見られる。
【0046】
また、実施例と比較例で得られた樹脂粒子の分子量分布と粒径分布を評価した。その結果を図6と図7に示す。図6(a)、及び、図7(a)のグラフに示すように、実施例では樹脂粒子の分子量分布、及び、粒径分布がシャープなものが得られ、一方、比較例では、図6(b)、及び、図7(b)に示す様に、実施例に比べてはるかに分布の広いものが得られる。
【0047】
この様に、本発明に係る高分子樹脂粒子のラテックス製造装置、及び、それを用いた高分子樹脂粒子のラテックスの製造方法では、従来技術と比べて明らかな優位性が表れていることが確認される。
(実験その2)
次に、図8に示す本発明の高分子樹脂粒子のトナー製造装置の実験機を用いてテストを行った。
【0048】
その実験機の装置サイズは下記のようになる。
管径D(内径) :0.1m
管長L :0.5m
管厚 :0.005m
回転翼径d :0.099m
回転翼幅h :0.039m
隔壁厚 :0.01m
流通口の幅B :0.01m
1ブロック幅 :0.1m
ブロック数 :20
なお、上記ブロックは、前述の実験その1と同様に、本発明でいう隔室に対応するものである。また、上記実験機の運転条件は次のようになる。
設定する滞留時間 :5〜300分(好ましくは10〜120分)
反応重合温度T :60〜98℃
原料供給速度S :1.0〜600cm3/min(好ましくは7.5〜300cm3/min)
攪拌速度n :0.4〜24rpm(好ましくは1〜12rpm)
以下の工程を経て、トナーを作製する。
(1)重合工程
スチレン101.1質量部、n−ブチルアクリレート62.2質量部、メタクリル酸12.3質量部、n−オクチルメルカプタン1.75質量部からなる単量体混合液に、離型剤としてパラフィンワックス「HNP−57」(日本精鑞社製)93.8質量部を添加し、90℃に加温して溶解させた。このワックスを含有する単量体混合液をドデシル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水1560質量部に溶解させた界面活性剤溶液に添加し、90℃に調整した。この液を循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)に投入し、前記ワックスを含有する単量体混合液を8時間混合分散させることにより、分散粒子径が340nmの乳化粒子を含有する分散液にした。
【0049】
前記乳化粒子を含む分散液を原料供給口2から7.5cm3/minの速度で供給し、1ブロック目で80℃に調整させる。2ブロック目の原料補助供給口8−2から重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.2質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を2.5cm3/minの速度で添加し、高分子樹脂粒子のラテックスを作成した。2ブロック目から5ブロック目も80℃になるように温度制御を行う。攪拌翼の回転速度は1rpmで行う。
(2)会合工程
(着色剤粒子分散液の調製)
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌させながら、カーボンブラック「リーガル330」(キャボット社製)400質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エムテクニック社製)に投入して分散処理を行って、「着色剤粒子分散液」を調製する。
【0050】
この「着色剤粒子分散液」中の着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱計(ELS−800:大塚電子社製)を用いて測定したところ110nmである。
【0051】
前記着色剤粒子分散液を6ブロック目の原料補助供給口8−6から1.3cm3/minの速度で添加した。そして、6ブロック目から15ブロック目までを90℃になるように温度制御を行う。
(凝集剤水溶液の調製、及び、会合)
次いで、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解させて凝集剤水溶液を調製する。そして、前記凝集剤水溶液を7ブロック目の原料補助供給口8−7から0.53cm3/minの速度で供給し、前記高分子樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させて粒径成長を行う。
(停止剤水溶液の調製調整、及び、会合の停止)
塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解させて停止剤水溶液を調整する。そして、前記停止剤水溶液を16ブロック目の原料補助供給口8−16から3.87cm3/minで供給して粒径成長を停止させ、トナー母体粒子を生成する。16ブロック目から20ブロック目までの間で30℃に冷却し、20ブロック目の排出口9より生成したトナー母体粒子の分散液を得る。
【0052】
生成されたトナー母体粒子の粒径を前述の「マルチサイザ3」(ベックマン・コールター社製)にて測定すると、体積基準のメディアン径(D50)で6.5μmであった。
(3)洗浄・乾燥工程
生成されたトナー母体粒子分散液をバスケット型遠心分離機「MARKIII型式番号60×40」(松本機械(株)製)で固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。該ウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄し、その後、「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥してトナー用母体粒子1を作製した。
(4)トナー1の作製
上記で得られたトナー用母体粒子1に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)を1質量%、疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)を0.3質量%および疎水性シリカ(数平均一次粒子径=70nm)を1質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、トナー1を作製した。
(5)現像剤の作製
トナー1に対してシリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%の現像剤を調製した。これを実施例2とする。
(6)比較例の作製
また、上記トナー1の作製に用いた乳化粒子を含む分散液、着色剤粒子分散液、凝集剤水溶液、停止剤水溶液を、それぞれ同量用い、これらを従来からある撹拌槽を用いた回分式のトナー製造装置に投入して比較用のトナー母体粒子を作製する。
【0053】
得られたトナー母体粒子に上記と同様の洗浄・乾燥処理を行い、上記と同様に疎水性シリカと疎水性チタニアを添加、混合して比較用のトナーを作製する。
【0054】
さらに、上記と同様のフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%の現像剤を調製する。これを比較例2とする。
(7)評価実験
(カブリ評価)
作製した現像剤を市販の電子写真方式の画像形成装置である「bizhub Pro C500(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)」に搭載して、プリント画像を出力して、プリント画像上におけるカブリの評価を行った。具体的には、装置内の現像器内に作製した現像剤1000gを投入し、全ベタ画像を2000枚プリント出力する。
【0055】
全ベタ画像の2000枚出力により、トナーを強制消費するとともにキャリアを擬似的に劣化させた状態にしたところで、トナーを80g補給し、低温低湿環境下(L/L)で直ちに白ベタ画像をプリントする。なお、白ベタ画像のプリントは、光沢度60のコート紙(以下、コートA紙という)、光沢度90のコート紙(以下、コートB紙という)、及び、光沢度8の普通紙(以下、普通C紙という)に行う。そして、得られた画像を「Image Xpert」にてスキャニングと画像処理を行い、カブリ面積比率(B/W比(印字された割合))を算出することにより、カブリの評価を行った。なお、カブリ面積比率(B/W比)の評価は以下のとおりである。
【0056】
◎;カブリ面積比率が1%以下
○;カブリ面積比率が3%以下
△;カブリ面積比率が5%未満
×;カブリ面積比率が5%以上
結果を表4に示す。
【0057】
【表4】

【0058】
表4に示す様に、実施例2はコートA紙、コートB紙、普通C紙におけるカブリ面積比率B/Wがいずれも1%以下の画質が得られたのに対し、比較例2はコートA紙で5%以上、コートB紙で5%未満、普通紙で3%以下という結果になった。この様に、実施例2は比較例2に比べてカブリが非常に少ない高画質の画像が得られ、本発明による高分子樹脂粒子のトナー製造装置やトナー製造方法に優位性があることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の高分子樹脂粒子のラテックス製造装置の一実施の形態を示す側断面模式図である。
【図2】本発明の高分子樹脂粒子のラテックス製造装置の回転翼の一例を示す正面図である。
【図3】本発明の高分子樹脂粒子のラテックス製造装置の回転翼の一例を示す正面図である。
【図4】本発明の高分子樹脂粒子のトナー製造装置の一実施の形態を示す側断面模式図である。
【図5】(a)は本発明の高分子樹脂粒子のラテックス製造装置のフロー図であり、(b)は本発明の高分子樹脂粒子のトナー製造装置のフロー図である。
【図6】(a)は本発明により得られた高分子樹脂の分子量分布を示すグラフであり、(b)は比較例における高分子樹脂の分子量分布を示すグラフである。
【図7】(a)は本発明により得られた高分子樹脂の粒径分布を示すグラフであり、(b)は比較例における高分子樹脂の粒径分布を示すグラフである。
【図8】本発明の高分子樹脂粒子のトナー製造装置の一実施の形態を示す側断面模式図である。
【符号の説明】
【0060】
1 原動機モータ
2 原料供給口
3 駆動軸
4 円筒形ハウジング
4A、4B 隔室
5a、5b 隔壁
6 調節バルブ
7a、7b 回転翼
8、8−2、8−6、8−7、8−16 原料補助供給口
9 排出口
10、10a,10b 流通口
12 加熱手段
13 冷却手段
14 伝熱手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形ハウジングに同心に回転可能に設けられた駆動軸に複数の回転翼を取付け、前記円筒形ハウジングは前記駆動軸に貫かれ、該駆動軸に直角に前記円筒形ハウジングを区切る複数の隔壁が設けられて、前記円筒形ハウジングの内面と前記隔壁により複数の隔室が形成され、各該隔室には各前記回転翼が配設され、前記隔壁には隣り合う隔室間を流通させる流通口が設けられ、前記駆動軸の端部には原動機が接続され、
前記円筒形ハウジングの一方の側には、該円筒形ハウジングの内部に原料を供給する原料供給口及び原料補助供給口が設けられ、他方の側には製品を排出する排出口が設けられ、前記円筒形ハウジングの外周部には前記円筒形ハウジングを加熱及び冷却させる伝熱手段が設けられ、複数の原料を連続的に重合反応させて高分子樹脂粒子のラテックスを製造することを特徴とする高分子樹脂粒子のラテックス製造装置。
【請求項2】
前記回転翼は同一回転方向に対して、外周部から流入して中心部に向かって流出する渦巻形状を有するものと、中心部から流入して外周部に向かって流出する渦巻形状を有するものとが、前段から後段に掛けて交互に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の高分子樹脂粒子のラテックス製造装置。
【請求項3】
前記隔室の隔壁は、その流通口を中心部に設けたものと、外周部に設けたものとが交互に配列されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の高分子樹脂粒子のラテックス製造装置。
【請求項4】
円筒形ハウジングに同心に回転可能に設けられた駆動軸に複数の回転翼を取付け、前記円筒形ハウジングは前記駆動軸に貫かれ、該駆動軸に直角に前記円筒形ハウジングを区切る複数の隔壁が設けられて、前記円筒形ハウジングの内面と前記隔壁により複数の隔室が形成され、各該隔室には各前記回転翼が配設され、前記隔壁には隣り合う隔室間を流通させる流通口が設けられ、前記駆動軸の端部には原動機が接続され、
前記円筒形ハウジングの一方の側には、該円筒形ハウジングの内部に原料を供給する原料供給口及び原料補助供給口が設けられ、他方の側には製品を排出する排出口が設けられ、前記円筒形ハウジングの外周部には前記円筒形ハウジングを加熱及び冷却させる伝熱手段が設けられ、前記円筒形ハウジングの前半部の隔室においては、複数の原料を連続的に重合反応させて高分子樹脂粒子のラテックスが製造され、後半部の隔室においては、該ラテックスと、複数の補助原料供給口から供給される凝集剤及び着色剤とを連続的に会合反応させて高分子樹脂粒子のトナーを製造することを特徴とする高分子樹脂粒子のトナー製造装置。
【請求項5】
前記回転翼は同一回転方向に対して、外周部から流入して中心部に向かって流出する渦巻形状を有するものと、中心部から流入して外周部に向かって流出する渦巻形状を有するものとが、前段から後段に掛けて交互に配列されていることを特徴とする請求項4に記載の高分子樹脂粒子のトナー製造装置。
【請求項6】
前記隔室の隔壁は、その流通口を中心部に設けたものと、外周部に設けたものとが交互に配列されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の高分子樹脂粒子のトナー製造装置。
【請求項7】
請求項1〜3の何れか1項に記載の高分子樹脂粒子のラテックス製造装置を用いて高分子樹脂粒子のラテックスを製造することを特徴とする高分子樹脂粒子のラテックス製造方法。
【請求項8】
請求項4〜6の何れか1項に記載の高分子樹脂粒子のトナー製造装置を用いて高分子樹脂粒子のトナーを製造することを特徴とする高分子樹脂粒子のトナー製造方法。
【請求項9】
請求項1〜3の何れか1項に記載の高分子樹脂粒子のラテックス製造装置又は請求項7に記載の高分子樹脂粒子のラテックス製造方法を用いて得られることを特徴とする高分子樹脂粒子のラテックス。
【請求項10】
請求項4〜6の何れか1項に記載の高分子樹脂粒子のトナー製造装置又は請求項8に記載の高分子樹脂粒子のトナー製造方法を用いて得られることを特徴とする高分子樹脂粒子のトナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−69266(P2008−69266A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−249189(P2006−249189)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】