説明

高分解能ガスゲージ近接センサ

比較的長くかつ薄いオリフィスを備えた細長いノズルを有する測定プローブの間の極めて小さな距離を正確に検出するためのシステム及び方法。近接センサは、一定ガス流を使用し、極めて小さな距離を検出するためにニューマチックブリッジ内の質量流量を検出する。システム及び方法は、多孔質材料から形成された流れ制限器及び/又はスナッバ、及び/又は質量流量制御装置を使用し、これらは、様々な組み合わせにおいてナノメートルからサブナノメートルの範囲での極めて小さな距離の検出を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極めて小さな距離を検出するための装置及び方法、特にガス流を用いた近接センシングに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの自動化された製造プロセスは、製造ツールと、しばしば“加工物”と呼ばれる、加工されている製品又は材料表面との間の距離を検出する必要がある。半導体フォトリソグラフィ等の幾つかの環境においては、距離はナノメートルに近い精度で測定されなければならない。
【0003】
このような精度の近接センサを提供することに関連した挑戦は、特にフォトリソグラフィシステムに関しては重要である。フォトリソグラフィに関する場合、非侵入的で、しかも極めて小さな距離を正確に検出する能力を有することに加えて、近接センサは、汚染物を導入したり、工作物表面、通常半導体ウェハ、フラットパネルディスプレイ又は同様のものと接触してはならない。それぞれの状況の発生は工作物を著しく品質低下又は破壊させる。
【0004】
極めて小さな距離を測定するために種々異なるタイプの近接センサが利用されている。近接センサの例には、キャパシタンス及び光学ゲージがある。これらの近接センサは、フォトリソグラフィシステムにおいて使用された場合深刻な欠点を有する。なぜならば、ウェハ上に堆積させられた材料の物理的特性が、これらの装置の精度に影響するからである。例えば、電荷の密度に依存する、キャパシタンスゲージは、1つのタイプの材料(例えば金属)が集中させられている場所において、擬似近接読取りを生ぜしめるおそれがある。別のクラスの問題は、砒化ガリウム(GaAs)及び燐化インジウム(InP)等の非導電性及び/又は感光性材料から形成された新型ウェハが使用される場合に生じる。これらの場合、キャパシタンス及び光学ゲージは最適ではない。
【0005】
米国特許出願連続番号第10/322768号明細書及び米国特許第4953388号明細書及び第4550592号明細書は、空気ゲージセンサを使用する近接センシングへの択一的なアプローチを開示しており、これらの米国特許明細書は全て引用したことにより全体が本明細書に組み込まれる。空気ゲージセンサは、電荷の密度又は、基板表面の電気的、光学的及びその他の物理的特性の影響を受けにくい。しかしながら、現在の半導体製造は、近接度がナノメートルのオーダで高い精度で測定されることを必要としている。
【0006】
図6は、円形ガスゲージ近接センサ600の端部及び特性を示している。近接センサ600に関する1つの問題は、ノズル寸法及び距離に応じて、感度フットプリントが、しばしばトーラスのような形状であることである。トーラス形状に基づき、センサ600は、オリフィス604の真下に感度の低い領域602(グラフ608の領域606を参照)を有するおそれがある。これは、側部制限領域603が分離Sを有しているためである可能性がある。検出された領域603は、複数の連続した読み取りに基づく“スキャンされた”フットプリントである可能性がある。理想としては、空気ゲージ600の中央部におけるこの感度の低い領域602を排除することが望ましい。
【0007】
このことを達成する1つの方法は、劇的により小さなオリフィスを提供することであるが、これはより小さな検出面積と、より小さなスタンドオフとを生ぜしめる可能性がある。さらに、スキャン装置として使用される場合、装置の中央の近傍を通るトポグラフィは、上部又は下部シェルの近傍を通るトポグラフィほど重要であるとは考えられない。さらに、しばしばセンサタイプ(光学式、キャパシタンス等)ごとにトポグラフィ結果を比較することが望ましい。標準的な空気ゲージの異常な感度フットプリントは、このプロセスを複雑にしている。
【0008】
したがって、より正確なガスゲージ近接センサが必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態は、従来のタイプの近接センサの精度を著しく改良する高分解能ガスゲージ近接センサ及び方法を提供することができる。
【0010】
ガスゲージ近接センサは、測定及び基準スタンドオフにおける差を検出することに基づき近接度を決定する。スタンドオフは、近接センサのノズルと、ノズルの下方の面との間の距離若しくは間隙である。スタンドオフの差を決定するために、一定の質量流量を備えるガス流が、質量流制御装置を用いて計量供給され、2つのチャネル、すなわち測定チャネルと基準チャネルとを通過させられる。
【0011】
本発明の実施形態は、ガス流を基準チャネル及び測定チャネルに送り込み、基準チャネル及び測定チャネルを通るガス流を均一に制限するシステム及び方法を提供する。プローブは、それぞれ基準チャネル及び測定チャネルの端部に隣接して位置決めされることができる。プローブは、比較的長くかつ狭幅のオリフィスを供えた細長いノズルを有することができる。装置は、基準チャネルと測定チャネルとの間のガス流の質量を検出するために使用することができる。
【0012】
本発明の1つの態様において、基準面は、基準プローブから基準スタンドオフだけ離れて位置決めされている。基準プローブからのガス流は、基準スタンドオフを通過した後に基準面に衝突する。測定面は、測定プローブから測定スタンドオフだけ離れて位置決めされている。測定プローブからのガス流は、測定スタンドオフを通過した後に測定面に衝突する。質量流センサは、基準スタンドオフと測定スタンドオフとの差を検出する。
【0013】
上記実施形態により、感度の悪い領域をほとんど有さないガスゲージ近接センサを使用することができる。
【0014】
本発明の別の実施形態、特徴及び利点並びに本発明の様々な実施形態の構造及び動作を添付図面を参照に以下に詳細に説明する。
【0015】
本明細書に組み込まれ、明細書の一部を構成した添付図面は、本発明を示しており、詳細な説明と共に、発明の原理を説明し克当業者が発明を形勢及び使用することを可能にするために働く。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ここで本発明を添付図面を参照して説明する。図面中、同じ参照符号は、同一のエレメント若しくは機能的に類似のエレメントを示している。さらに、参照符号の左側の数字は、その参照符号が最初に現れる図面の番号を明らかにしている。
【0017】
本発明はここに、特定の用途のための例示的な実施形態に関して説明されるが、発明はその実施形態に限定されないことが理解されるべきである。ここに提供された教示へのアクセスを有する当業者は、発明の範囲内の付加的な修正、用途及び実施形態、並びに本発明が著しく役立つ付加的な分野を認識するであろう。
【0018】
本発明の実施形態は、比較的長い狭幅のオリフィスを供えた細長いノズルを有する測定プローブと表面との間の極めて小さな距離を正確に検出するためのシステムおよび方法、特に、極めて小さな距離を検出するために一定のガス流を使用しかつ空圧ブリッジ内の質量流量を検出する近接センサを提供する。長い狭幅のオリフィスを有する細長いノズルを使用することにより、側部制限領域が重なり合うので(図4、エレメント356及び360参照)慣用のセンサに部分的に見られるあらゆる低感度領域(図6、エレメント602,606)が実質的に排除される。
【0019】
ガスゲージ近接センサ
図1は、本発明の実施形態によるガスゲージ近接センサ100を示している。ガスゲージ近接センサ100は、質量流量制御装置106と、中央チャネル112と、測定チャネル116と、基準チャネル118と、測定チャネル制限器120と、基準チャネル制限器122と、測定プローブ128と、基準プローブ130と、ブリッジチャネル136と、質量流量センサ138とを有することができる。ガス供給部102はガスを所望の圧力でガスゲージ近接センサ100内に噴射することができる。
【0020】
中央チャネル112はガス供給部102を質量流量制御装置106に接続しており、接合部114(例えばガス分割又は方向付け部)において終わっている。質量流量制御装置106はガスゲージ近接センサ100内に一定の流量を維持することができる。ガスは、チャネル112に固定されたアキュムレータ108によって、多孔質スナッバ110を通って質量流量制御装置106から押し出される。スナッバ110は、ガス供給部102によって導入されるガス乱流を減じることができ、その使用は選択的である。スナッバ110を出ると、ガスは中央チャネル112を通って接合部114へ流れる。中央チャネル112は接合部114において終わっており、測定チャネル116と基準チャネル118とに分岐している。1つの実施形態において、質量流量制御装置106はガスを十分に低い流量で噴射することができ、これにより、システム全体を通じて層状でかつ圧縮不能な流体流れを提供し、望ましくない空圧ノイズの発生を最小限にする。
【0021】
ブリッジチャネル136は測定チャネル116と基準チャネル118との間に接続されている。ブリッジチャネル136は接合部124において測定チャネル116に接続している。ブリッジチャネル136は接合部126において基準チャネル118に接続している。1つの実施形態において、接合部114と接合部124との間の距離と、接合部114と接合部126との間の距離とは等しい。種々異なる配置を用いるその他の実施形態が想定されることを認識されたい。
【0022】
ガスゲージ近接センサ100内の全てのチャネルにガスが流過することができる。チャネル112,116,118,136は、導管(例えば、チューブ、パイプ等)又は、当業者に明らかになるような、センサ100を通るガス流を含みかつ案内することができるその他のあらゆるタイプの構造から形成されていることができる。ほとんどの実施形態において、チャネル112,116,118及び136は、例えば局所的乱流又は不安定な流れを生ぜしめることにより空気ノイズを発生する、急激な曲げ部、凹凸、又は不要な障害物を有するべきではない。様々な実施形態において、測定チャネル116及び基準チャネル118の全体の長さは、等しくても等しくなくてもよい。
【0023】
基準チャネル118は基準プローブ130に隣接して終わっている。同様に測定チャネル116は測定プローブ128に隣接して終わっている。基準プローブ130は基準面134の上方に位置決めされている。測定プローブ128は測定面132の上方に位置決めされている。フォトリソグラフィの場合、測定面132は半導体基板、又は基板を支持するステージであることができる。基準面134は、平坦な金属板であることができるが、この例に限定されない。
【0024】
測定プローブ128と基準プローブ130とにはノズルが設けられている。ノズルの例はさらに以下に図3及び図4に関連して説明される。ガス供給部102によって噴射されたガスは、プローブ128及び130に設けられたノズルから排出され、測定面132及び基準面134に衝突する。
【0025】
前述のように、ノズルと、対応する測定若しくは基準面との間の距離は、スタンドオフと呼ぶことができる。
【0026】
1つの実施形態において、基準プローブ130は既知の基準スタンドオフ142を生じるように定置の基準面134の上方に位置決めされている。測定プローブ128は、未知の測定スタンドオフ140を生じるように測定面132の上方に位置決めされている。既知の基準スタンドオフ142は所望の一定値に設定されており、この値は最適なスタンドオフであることができる。このような配列において、測定プローブ128の上流の背圧は未知の測定スタンドオフ140の関数であり、基準プローブ130の上流の背圧は既知の基準スタンドオフ142の関数である。
【0027】
スタンドオフ140及び142が等しいならば、構成は対称的であり、ブリッジは平衡されている。その結果、ブリッジングチャネル136にはガス流が生じない。これに対して、測定スタンドオフ140と基準スタンドオフ142とが異なっていると、測定チャネル116と基準チャネル118との間の結果的な圧力差が質量流量センサ138にガス流を生ぜしめる。
【0028】
質量流量センサ138はブリッジチャネル136に沿って配置されており、その位置は中心点であってよい。質量流量センサ138は、測定チャネル116と基準チャネル118との間の圧力差によって生ぜしめられたガス流を検出する。これらの圧力差は測定面132の垂直方向での位置決めの変化の結果として生じる。
【0029】
対称的なブリッジが存在する実施例において、測定スタンドオフ140と基準スタンドオフ142とは等しい。測定チャネル116と基準チャネル118との間に圧力差がないので、質量流量センサ138は質量流を検出しない。これに対して、測定スタンドオフ140と基準スタンドオフ142の値の間のあらゆる差は、測定チャネル116と基準チャネル118とにおける異なる圧力を生ぜしめることができる。非対称的な配列のために適切なオフセットを導入することができる。
【0030】
質量流量センサ138は圧力差又は圧力不均衡によって生ぜしめられたガス流を検出する。圧力差がガス流を生ぜしめ、ガス流の流量は想定スタンドオフ140の独特な関数である。すなわち、ガスゲージ100内への一定の流量を仮定すると、測定チャネル116と基準チャネル118とにおけるガス圧の差は、スタンドオフ140と142との差の関数である。基準スタンドオフ142が既知のスタンドオフに設定されていると、測定チャネル116と基準チャネル118とにおけるガス圧の差は、測定スタンドオフ140(すなわち、測定面132と測定プローブ128との間のz方向での未知のスタンドオフ)の寸法の関数である。
【0031】
質量流量センサ138はブリッジチャネル136を通るそれぞれの方向のガス流を検出する。ブリッジ構成により、チャネル116と118との間の圧力差が生じた場合にのみガス流がブリッジチャネル136を通って生じる。圧力不均衡が存在する場合、質量流量センサ138は生じたガス流を検出し、適切な制御機能を開始することができ、この制御機能は、システム100の適切な部分に接続された選択的な制御装置150を使用して行うことができる。質量流量センサ138は、視覚的ディスプレイ又は聴覚表示によって、検出された流れの表示を提供することができ、この表示は選択的な出力装置152を使用することによって行うことができる。
【0032】
択一的に、質量流量センサの代わりに、圧力差センサ(図示せず)を使用することができる。圧力差センサは2つのチャネルの間の圧力差を測定し、この圧力差は、測定スタンドオフと基準スタンドオフとの差の関数である。
【0033】
選択的な制御装置150における制御機能は、正確なギャップ差を計算するためであることができる。別の実施形態において、制御機能は測定スタンドオフ140の寸法を増減させることであってよい。このことは、圧力差が十分にゼロに近付くまで測定面132を測定プローブ128に対して移動させることによって行うことができ、ゼロに近付くのは、測定面132と基準面134とからのスタンドオフからの差がもはや存在しない時である。
【0034】
質量流量制御装置106と、スナッバ110と、制限器120及び122とは、ガス乱流及びその他の空気ノイズを減じるために使用されることができ、これらは、本発明がナノメートル精度を達成するために使用されることができる。これらのエレメントは、本発明の実施形態において全て、又は所望の感度に応じてあらゆる組み合わせで使用されてよい。例えば、用途が極めて正確な感度を必要とするならば、全てのエレメントが使用される。択一的に、用途がより低い感度を要求するならば、おそらくスナッバ110のみが必要とされ、この場合多孔質制限器120及び122はオリフィスと交換される。その結果、本発明は、特定の用途の要求を費用効率よく充足するためのフレキシブルなアプローチを提供する。
【0035】
本発明の1つの実施形態において、多孔質制限器120及び122が使用される。多孔質制限器120及び122は、圧力が急激にではなく多くの段階を経て段階的に低下させられる必要がある場合に、サファイア制限器の代わりに使用されることができる。これは乱流を回避するために使用することができる。
【0036】
本発明の別の実施形態によれば、システムは、その感度を著しく高めるために、2002年12月19日に出願された米国特許出願連続番号10/322768号明細書、米国特許第4953388号明細書及び第4550592号明細書に開示されたシステム内で使用されてよい。これらの明細書は全て引用したことにより全体が本明細書に記載されたものとする。
【0037】
流れ制限器
本発明の1つの実施形態によれば、測定チャネル116及び基準チャネル118は制限器120及び122を有している。各制限器120及び122は、個々の測定チャネル116及び基準チャネル118を通過するガス流を制限する。測定チャネル制限器120が測定チャネル116内に接合部114と接合部124との間に配置されている。同様に、基準チャネル制限器122は基準チャネル118内に接合部114と接合部126との間に配置されている。1つの実施例において接合部114から測定チャネル制限器120までの距離と、接合部114から基準チャネル制限器122までの距離は等しい。別の実施例では、この距離は等しくない。センサが対称的であるという固有の必要性はないが、センサが幾何学的に対称的であると、使用するのがより容易である。
【0038】
図2は、本発明の別の特徴による、多孔質材料を有する制限器120の断面図を提供しており、前記多孔質材料をガス流200が通過する。各制限器120及び122は多孔質材料(例えば、ポリエチレン、焼結ステンレス鋼等)から成ることができる。測定チャネル制限器120と基準チャネル制限器122とは実質的に同じ寸法と透過特性とを有していることができる。1つの実施例では、制限器120及び122の長さは約2mm〜約15mmであることができるが、これらの長さに限定されない。測定チャネル制限器120と基準チャネル制限器122とはチャネル116及び118の断面積に沿って均一にガス流を制限することができる。多孔質材料制限器は、乱流及び関連する空気ノイズを著しく減じることができる。これは、固体の、多孔質でない材料に穿孔された1つのオリフィスを使用する制限器によって導入される乱流及びノイズの量と比較している。
【0039】
制限器は少なくとも2つの主要な機能を果たすことができる。第1に、制限器は、ガスゲージ近接センサ100に存在する圧力及び乱流、最も顕著には、質量流制御装置110によって生ぜしめられる乱流又は音響ピックアップのソースを緩和することができる。第2に、制限器は、ブリッジ内の所要の抵抗エレメントとして働くことができる。
【0040】
ガスゲージ近接センサの典型的な実施形態が示された。本発明はこの例に限定されない。この例は、限定ではなく例示のためにここに示されている。択一例(ここに説明されたものの均等物、拡大、変更、逸脱等を含む)は、本明細書に記載された説明に基づいて当業者に明白になるであろう。このような択一例は本発明の範囲及び精神に当てはまる。
【0041】
ノズル
図3〜図4はそれぞれ、本発明の実施形態による、ノズル350の断面図及び端面図と、ノズルの特性とを示している。ガスゲージノズル350の基本的な構成は、測定面132又は基準面134に対して平行な平坦な端面351を特徴とする。ノズルの形状は、ゲージスタンドオフhと、内径dとによって決定される。一般的に、Dが十分に大きいならば、ノズル外径Dに対するノズル圧力降下の依存は小さい。残りの物理的パラメータは:Qm−ガスの質量流量と、Δp−ノズルにおける圧力勾配とである。ガスは、密度ρと、動粘度ηとによって特徴付けられる。
【0042】
無次元のパラメータの間で関係が求められる:
【0043】
【数1】

ここで、半径方向速度υが、ノズル面と基板面との間の円筒状の領域への入口において取られる。レイノルズ数は、Re=υd/νと定義され、ここでνは動粘度である。
【0044】
したがって、ノズルの動作は5つの物理的な変数:ν、Δp、Qm、d及びhに関して説明されることができる。Δpとhとの間の関係があり、残りの変数は、実用的なシステムの場合には通常は一定である。この関係は、種々異なる感度を要求する種々異なる用途のためのノズルタイプの発展を容易にする。
【0045】
図4に最もよく示されているように、ノズル350は、ノズル600と比較して、高さHを有する区分に沿って長くなっており、幅Wを有する区分354に沿って短くなっていることができる。例えば、1つの実施形態において、H対Wの比は約2:1〜約20:1、有利には約10:1であることができる。その他の比が本発明の範囲内で考えられる。このことは、トポグラフィ測定を行うために円形ノズル形状よりも効率的な長く狭幅のオリフィス形状を生ぜしめることができる。また、検出された領域358及びグラフ360によって見られるように、側部制限領域が重なり合っているので、低感度領域602を実質的に排除することができる。検出された領域358は、複数の連続した読取りに基づく“スキャンされた”フットプリントであることができる。グラフ360は、ノズル250の直径に沿って検出された領域を示している。したがって、トポグラフィスキャンの間、より均一な感度フットプリントが生ぜしめられる。このことは、より正確なトポグラフィ測定を生じる。この測定は、前記のような他のセンサ形式と比較してより単純であることができる。スキャニング装置として使用される場合、ノズル350は、そのより大きな高さプロフィルにより、一回のスキャンでトポグラフィのより大きな領域をカバーすることができる。
【0046】
例えば、3mmの直径と1.1mmのオリフィスとを有するノズルは、約0.95mmのフランジを有するべきである。上記の実施形態では、このノズルは、0.37mmの直径と0.25mmのオリフィスとを有するノズル350を形成するように伸ばされることができ、このノズルは0.25mmのフランジを有するべきである。
【0047】
別の実施例として、同じ表面積を維持しながら、ノズル350の幅Wはノズル600と比較して約10%のファクタだけ減じられることができ、高さHは約250%・PI(π)のファクタだけ増大されることができる。円形のノズルと比較して幅の10%のみを備えている場合、図4における曲線と図6における曲線とを比較すると最もよく分かるように、側部制限領域(これらの側部制限領域は符号によって示されていない。なぜならば、側部制限領域はオリフィスの構成に基づきもはや識別可能ではないからである)が重なり合っているため、デッドエリアが著しく減じられる。約800%の高さHの増大を備える場合、スキャニング装置として使用される場合、ノズル350は、一回のスキャンでトポグラフィのより大きな領域をカバーすることができる。スキャンされた全てのトポグラフィは、より均一な感度のフットプリントと巻き込む。ノズルは、真空式近接検出にも適用されることができる。
【0048】
ノズルの典型的な実施形態が示された。本発明はこの例に限定されない。例はここでは限定ではなく例示のために示されている。択一例(本明細書に記載されたものの均等物、延長、修正、逸脱等)は、本明細書に含まれた説明に基づき当業者に明白になるであろう。このような択一例は本発明の範囲及び精神に当てはまる。
【0049】
方法
図5は、極めて小さな距離を検出しかつ制御動作を行うためにガス流を使用するための方法500(例えばステップ510〜570)を示すフローチャートを示している。便宜上、方法500はガスゲージ近接センサ100に関して説明されている。しかしながら、方法500は、必ずしもセンサ100の構造によって限定されず、異なる構造を有するガスゲージ近接センサを用いて実施することができる。
【0050】
ステップ510において、基準プローブが、(例えばオペレータ、機械的な装置、ロボットアーム又は同様のものによって)基準面の上方に位置決めされる。例えば、ロボットは、基準プローブ130を基準面134の上方に既知の基準スタンドオフ142が形成されるように位置決めすることができる。択一的に、基準スタンドオフは、センサアセンブリ内に、すなわちセンサアセンブリの内部に配置されることができる。基準スタンドオフは、特定の値に予め調整され、この値は通常は一定に維持される。
【0051】
ステップ520において、測定プローブは測定面の上方に位置決めされる。例えば、測定プローブ128は、測定ギャップ140を形成するように測定面132の上方に位置決めされる。
【0052】
ステップ530において、ガスがセンサ内に噴射される。例えば、測定ガスは、一定の質量流量でガスゲージ近接センサ100内に噴射される。ステップ540において、センサ内への一定のガス流量が維持される。例えば、質量流制御装置106が、一定のガス流量を維持する。ステップ550において、ガス流が測定チャネルと基準チャネルとに分配される。例えば、ガスゲージ近接センサ100において、測定ガスの流れは、測定チャネル116と基準チャネル118とに均等に分配される。
【0053】
ステップ560において、測定チャネルと基準チャネルとにおけるガス流は、チャネルの断面積に沿って均一に制限される。測定チャネル制限器120と基準チャネル制限器122とは、空気ノイズを減じるためにガス流を制限し、ガスゲージ近接センサ100における抵抗エレメントとして働く。
【0054】
ステップ570において、ガスは、基準プローブ及び測定プローブから排出させられる。例えば、ガスゲージ近接センサ100はガスを測定プローブ128及び基準プローブ130から排出させる。ステップ580において、ガス流は、基準チャネルと測定チャネルとを接続したブリッジチャネルによって監視される。ステップ590において、基準チャネルと測定チャネルとの圧力差に基づき制御動作が行われる。例えば、質量流センサ138は、測定チャネル116と基準チャネル118との間の質量流量を監視する。質量流量に基づき、質量流量センサ138は制御動作を開始する。このような制御動作は、検出された質量流量の表示を提供し、検出された質量流量を表示するメッセージを送るか、又は質量流量が検出されなくなるまで又は質量流量の一定の基準値が検出されるまで基準面に対する測定面の位置を再配置するようにサーボ制御動作を開始する。これらの制御動作は、例として提供されており、限定ではない。
【0055】
当業者に知られている付加的なステップ又は上記ステップへの改良も、本発明によって含まれている。
【0056】
本発明は、図1〜図5に、ガスに関して説明されている。1つの実施形態においてガスは空気である。本発明は空気に限定されない。その他のガス又はガスの組み合わせを使用することができる。例えば、測定される表面に応じて、より少ない含水量を有するガス又は不活性ガスが使用されてよい。低含水量ガス又は不活性ガスは、空気よりも、測定されている表面と反応しにくい。
【0057】
結論
本発明の様々な実施形態が上に説明されたが、これらの実施形態は限定ではなく例として示されたと理解されるべきである。形式及び詳細における様々な変更が、発明の精神及び範囲から逸脱することなく行われることができることが当業者に明白と成るであろう。
【0058】
本発明は、規定の機能の性能及び機能の関係を示す方法ステップの助けにより上に説明された。これらの方法ステップの境界は、説明の便宜のためにここに任意に規定された。択一的な境界は、規定の機能及び機能の関係が適切に行われる限り規定されることができる。したがって、あらゆるこのような択一的な境界は、請求された発明の範囲及び精神内である。したがって、本発明の広さ及び範囲は、上述の典型的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、請求項及び請求項の均等物に基づいてのみ定義されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態によるガスゲージ近接センサの図である。
【図2】本発明の実施形態による、制限器の断面図を提供する図である。
【図3】本発明の実施形態による、ノズル及びその特性の断面図である。
【図4】本発明の実施形態による、ノズル及びその特性の端面図である。
【図5】本発明の実施形態による、極めて小さな距離を検出しかつ制御動作を行うためにガスゲージ近接センサを使用する方法を示すフローチャートである。
【図6】円形ノズルの端面図及び特性を示している。
【符号の説明】
【0060】
100 ガスゲージ近接センサ、 102 測定チャネル制限器、 106 質量流量制御装置、 110 スナッバ、 112 中央チャネル、 114 接合部、 116 測定チャネル、 118 基準チャネル、 120 測定チャネル制限器、 122 基準チャネル制限器、 124,126 接合部、 128 測定プローブ、 130 基準プローブ、 132 測定面、 134 基準面、 136 ブリッジチャネル、 138 質量流量センサ、 140 測定スタンドオフ、 142 基準スタンドオフ、 150 制御装置、 152 出力装置、 350 ノズル、 354 区分、 358 検出された領域、 360 グラフ、 600 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムにおいて、
ガス流を基準チャネル及び測定チャネル内に送入するための手段と、
基準チャネルと測定チャネルとを通るガス流を均一に制限するための手段と、
基準チャネルと測定チャネルとの端部に隣接して配置されておりかつ細長いノズルオリフィスを有するプローブと、
基準チャネルと測定チャネルとの間のガス流の質量を検出するための手段とが設けられていることを特徴とする、システム。
【請求項2】
基準プローブから基準スタンドオフだけ離れて位置決めされた基準面が設けられており、基準プローブからのガス流が、基準スタンドオフを通過した後に基準面に衝突するようになっており、
測定プローブから測定スタンドオフだけ離れて位置決めされた測定面が設けられており、測定プローブからのガス流が、測定スタンドオフを通過した後に測定面に衝突するようになっており、
検出するための手段が、基準スタンドオフと測定スタンドオフとの差を検出するようになっている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記送入するための手段の前に位置決めされた、ガス流の質量流量を制御するための手段が設けられている、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記制御するための手段の後に位置決めされた、ガス乱流を減じるための手段が設けられている、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
ノズルオリフィスが、幅Wよりも大きな高さHを有している、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
ノズルオリフィスが、高さH及び幅Wを有しており、
H対Wの比が、約2:1〜約20:1である、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
ノズルオリフィスが、高さH及び幅Wを有しており、
H対Wの比が、約10:1である、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
作動中にガス供給が提供されるガスゲージ近接センサにおいて、
供給されたガスを基準チャネルと測定チャネルとに分割する分割部が設けられており、
基準チャネルと測定チャネルとに配置された流れ制限器が設けられており、
基準チャネルと測定チャネルとの端部に隣接してそれぞれ接続されたプローブが設けられており、基準チャネルと測定チャネルとのガス流の質量を検出する、基準チャネルと測定チャネルとの間に接続された質量流センサが設けられていることを特徴とする、ガスゲージ近接センサ。
【請求項9】
基準プローブから基準スタンドオフだけ離れて位置決めされた基準面が設けられており、基準プローブからのガス流が、基準スタンドオフを通過した後に基準面に衝突するようになっており、
測定プローブから測定スタンドオフだけ離れて位置決めされた測定面が設けられており、測定プローブからのガス流が、測定スタンドオフを通過した後に測定面に衝突するようになっており、
質量流センサが、基準スタンドオフと測定スタンドオフとの差を検出するようになっている、請求項8記載のガスゲージ近接センサ。
【請求項10】
前記分割部の前に位置決めされた質量流量制御装置が設けられている、請求項8記載のシステム。
【請求項11】
ガス乱流を減じるために質量流制御装置の後に配置されたスナッバが設けられている、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
ノズルオリフィスが、幅Wよりも大きな高さHを有している、請求項8記載のシステム。
【請求項13】
ノズルオリフィスが、高さH及び幅Wを有しており、
H対Wの比が、約2:1〜20:1である、請求項8記載のシステム。
【請求項14】
ノズルオリフィスが、高さH及び幅Wを有しており、
H対Wの比が、約10:1である、請求項8記載のシステム。
【請求項15】
近接検出するための方法において、
ガス流を基準チャネル及び測定チャネルに向け、
基準チャネル及び測定チャネルを通るガス流を制限し、
プローブにおける細長いオリフィスを有するノズルを、基準チャネル及び測定チャネルの端部に隣接してかつ基準面及び測定面に近接して位置決めし、
基準チャネルと測定チャネルとの間のガス流の質量を検出し、これにより、測定チャネル及び基準チャネルスタンドオフを測定することを決定することを特徴とする、近接検出するための方法。
【請求項16】
ガス流を制限するステップが、ガス流を均一に制限することを含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
幅の約2〜約20倍の高さを備えた細長いオリフィスを形成する、請求項15記載の方法。
【請求項18】
幅の約10倍の高さを備えた細長いオリフィスを形成する、請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−514744(P2006−514744A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−518236(P2005−518236)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/027447
【国際公開番号】WO2005/022082
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(503195263)エーエスエムエル ホールディング ナームローゼ フェンノートシャップ (232)
【氏名又は名称原語表記】ASML Holding N.V.
【住所又は居所原語表記】6501 De Run, NL−5504 DR Veldhoven, Netherlands
【Fターム(参考)】