説明

高吸収性能及び高い生理食塩水流れ誘導性を持つ白色かつ色安定性ある吸水性ポリマー粒子の製造方法

本発明は、吸水性ポリマーを製造する方法に関する。前期方法によると、少なくとも1種の不飽和カルボン酸と、少なくとも1種のヒドロキノン半エーテルと、少なくとも1種の無機過酸化物とを含むモノマー溶液またはモノマー懸濁液が重合され、そしてポリマー粒子は、2価金属カチオンの少なくとも1種の塩基性塩によって被覆される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性ポリマー粒子を製造する方法に関し、少なくとも1種の不飽和カルボン酸と、少なくとも1種のヒドロキノン半エーテルと、少なくとも1種の無機過酸化物とを含むモノマー溶液またはモノマー懸濁液が重合され、そしてポリマー粒子は、2価金属カチオンの少なくとも1種の塩基性塩によって被覆される。本発明はまた、この方法によって製造可能な吸水性ポリマー粒子に、そしてまた衛生用品や包装材料でこの粒子を使用することに関する。
【0002】
吸水性ポリマーは特に、(共)重合した親水性モノマー、適切なグラフト幹上の1以上の親水性モノマーのグラフト(コ)ポリマー、架橋セルロースエーテルまたはデンプンエーテル、架橋カルボキシメチルセルロース、部分架橋ポリアルキレンオキシド、または水性の液体中で膨潤可能な天然の生成物、例えばグアー誘導体からなるポリマーである。このようなポリマーは、水溶液を吸収する製品として、おむつ、タンポン、生理用ナプキンおよびその他の衛生用品を製造するために、あるいはまた保水剤として農業園芸分野で使用される。
【0003】
適用特性、例えばおむつにおける生理食塩水流れ誘導性(SFC)および加圧下吸水量(AUL0.7psi)を改善するために、吸水性ポリマー粒子は一般に後架橋される。この後架橋は、水性ゲル相中で実施することができる。しかし好ましくは、粉砕され、かつ分級されたポリマー粒子(ベースポリマー)が、表面を後架橋剤で被覆され、乾燥され、かつ熱により後架橋される。これに適した架橋剤は、吸水性ポリマーのカルボキシレート基と共有結合を形成できる基を少なくとも2つ持つ化合物、あるいはベースポリマーの少なくとも2つの異なるポリマー鎖の、少なくとも2つのカルボキシル基またはそのほかの官能基を、相互に共有結合架橋またはイオン結合架橋できる基を、少なくとも2つ持つ化合物である。
【0004】
この後架橋については、論文"Modern Superabsorbent Polymer Technology",F.L.Buchholz, und A.T.Graham,Wiley−VCH,1998、97〜103ページ)に記載されている。通常、吸水性ポリマー粒子は後架橋剤で被覆され、熱によって後架橋される。その際、ポリマー粒子は高温の空気または接触乾燥装置によって加熱され、同時に乾燥される。
【0005】
国際特許公開公報第2006/0157929(A2)号は後架橋の方法を記載するが、この場合、環状カルバミン酸エステルと、ジオールの混合物が用いられる。
【0006】
国際特許公開公報第2000/053664(A1)号は、加圧下吸水量(AUL0.7psi)が大きく、そして生理食塩水流れ誘導性(SFC)がより大きい吸水性ポリマー粒子を製造する方法を記載するが、この場合、ポリマー粒子は、有機後架橋剤と、1価または多価金属カチオンとによって後架橋される。
【0007】
生理食塩水流れ誘導性(SFC)を、水溶性金属リン酸塩、例えばリン酸カルシウムで被覆することによって向上させることもできる。この種の方法は、特に国際特許公開公報第2006/015729(A2)号に記載されている。
【0008】
超薄型衛生用品には、白色度の高い吸水性ポリマー粒子が必要とされる。白色度の高いこのような吸水性ポリマー粒子の製造については、特にドイツ特許公開公報第102004057874(A1)号に記載されているが、同出願書は本出願の一部を構成することを、ここに表明する。超薄型おむつまたは女性用衛生用品の場合、トップシートが薄いのでわずかな変色を生じただけで、それは消費者に受け入れられないものとなる。厚い衛生用品で超吸収剤を用いる場合でも、消費者側受け入れ上の理由で、できるだけ白色の製品がしばしば求められる。なぜならば黄変からは、しばしば不潔性、粗悪性が連想されるからである。さらには通常の吸水性ポリマー粒子でも貯蔵の際、最終的衛生用品の加工前、または加工後、望ましからざる黄変や褐変が生じることがある。この効果は、その衛生用品の貯蔵性や販売性を低下させ、例えば貯蔵温度や空気湿度が高いなどの特に不利な貯蔵条件の場合、この効果が生じる。特にそのような条件下で製造された衛生用品は、小売店で販売される前に、あるいは最終消費者で消費される前に変色して、苦情の原因になる可能性がある。衛生用品を個包装することも考えられるが、これには高いコストがともなう。
【0009】
またこの吸水性ポリマー粒子は、特に衛生用品使用中、液体負荷時に、不快臭を出してはならない。
【0010】
したがって本発明の目的は、吸水性ポリマー粒子を製造する方法として、白色度が高いポリマー粒子、かつ、不利な大気条件下で長期間貯蔵しても白色度が十分維持されるポリマー粒子を製造する方法を、提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、吸水性ポリマー粒子を製造する方法として、特に液体負荷時でも知覚可能な臭いを生じないポリマー粒子を製造する方法を、提供することである。
【0012】
さらには、白色度の高い吸水性ポリマー粒子を、衛生用品に使用するため提供することも、本発明の目的である。
【0013】
さらにまた、白色度、生理食塩水流れ誘導性、吸収性能が高く、より長期間貯蔵後も色安定性が良好な吸水性ポリマー粒子を、超薄型衛生用品に使用のため提供することも、本発明の目的である。
【0014】
本発明の上記目的は、
a)少なくとも部分中和できる、少なくとも1種の不飽和カルボン酸、
b)また、少なくとも1種のヒドロキノン半エーテル、
c)少なくとも1種の無機過酸化物とを含む、モノマー溶液またはモノマー懸濁液が重合される方法であって、
ポリマー粒子を、2価金属カチオンの少なくとも1種の塩基性塩で被覆することを特徴とする、吸水性ポリマー粒子を製造する方法によって解決される。
【0015】
塩基性塩とは、酸の水溶液のpH値、好ましくは0.1規定度の塩酸のpH値を上げるのに適している塩である。塩基性塩は通常、強い塩基と弱い酸の塩である。
【0016】
不飽和カルボン酸a)は、好ましくは25〜95mol%、特に好ましくは27〜80mol%、さらに特に好ましくは27〜30mol%または40〜75mol%を中和されている。
【0017】
モノマー溶液は、不飽和カルボン酸a)に対して、好ましくは0.001〜0.016質量%、特に好ましくは0.003〜0.013質量%、さらに特に好ましくは0.005〜0.007質量%のヒドロキノン半エーテルb)を含む。好ましいヒドロキノン半エーテルは、ヒドロキノンモノメチルエーテルである。
【0018】
無機化酸化物c)は、好ましくは塩、特に好ましくは過硫酸塩または過リン酸塩、さらに特に好ましくは過硫酸塩、例えばペルオキソ二硫酸ナトリウムである。
【0019】
2価金属カチオンは、好ましくは元素周期律表の第2族の金属カチオン、特に好ましくはカルシウムおよび/またはマグネシウム、さらに特に好ましくはカルシウムのカチオンである。
【0020】
2価金属カチオンの塩は、好ましくは弱い無機酸、弱い有機酸の塩、および/またはアミノ酸の塩、特に好ましくは水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、および/またはフマル酸塩、さらに特に好ましくは水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、プロピオン酸塩、および/または乳酸塩である。
【0021】
2価金属カチオンの適切な塩は、例えば水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸マグネシウム、炭酸カルシウム、および炭酸マグネシウムである。
【0022】
ポリマー粒子に対する2価金属カチオンの塩基性塩の量は、一般的には0.001〜5質量%、好ましくは0.01〜2.5質量%、さらに好ましくは0.1〜1.5質量%、特に好ましくは0.1〜1質量%、さらに特に好ましくは0.4〜0.7質量%である。
【0023】
2価金属カチオンの塩基性塩を、溶液または懸濁液として用いることができる。その例は、乳酸カルシウム溶液または水酸化カルシウム懸濁液である。
【0024】
本発明の1つの好ましい実施態様において、ポリマー粒子を、3価金属カチオンの少なくとも1種の塩で被覆する。
【0025】
この3価金属カチオンは、好ましくは元素周期律表の第3主族、第3遷移族、またはランタニド族、特に好ましくは、アルミニウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、またはセリウム、さらに特に好ましくはアルミニウムである。
【0026】
この3価金属カチオンの塩は、好ましくはカルボン酸の塩、および/または塩基性塩、例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、および/または水酸化物、特に好ましくは2−ヒドロキシカルボン酸の塩、例えばクエン酸塩および/または乳酸塩、さらに特に好ましくは乳酸塩である。
【0027】
3価金属カチオンの水酸化物は、特には水溶性および水分散性のアルカリ金属およびアルカリ土類金属アルミン酸塩およびその水和物、好ましくはアルミン酸ナトリウムおよびその水和物である。
【0028】
3価金属カチオンの適切な塩は、例えば酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、およびアルミン酸ナトリウムである。
【0029】
3価金属カチオンの塩の量はポリマー粒子に対して、一般的には0.001〜5質量%、好ましくは0.01〜2.5質量%、さらに好ましくは0.1〜1.5質量%、特に好ましくは0.1〜1質量%、さらに特に好ましくは0.4〜0.7質量%である。
【0030】
3価金属カチオンの塩は、溶液あるいは懸濁液として用いることができる。
【0031】
2価および/または3価金属カチオンの使用される塩には、そのほかの副次的成分として、例えばまだ中和されていないカルボン酸、および/または中和されたカルボン酸のアルカリ塩を含ませることができる。好ましいアルカリ塩は、ナトリウム、カリウム、およびアンモニウムのアルカリ塩である。これらのアルカリ塩は、一般的には固体塩を水に溶解して得られる水溶液を、また好ましくは直接そのような水溶液として得られるものを、使用できる。これにより、乾燥段階やクリーニング段階を省くことができる場合がある。
【0032】
本発明の特に好ましい実施態様において、吸水性ポリマー粒子を、熱によって後架橋する。
【0033】
この場合、吸水性ポリマー粒子は、好ましくは、熱による後架橋前に、2価金属カチオンおよび/または場合によっては3価金属カチオンの塩基性塩で被覆される。
【0034】
熱による後架橋の間、ポリマー粒子に加えられる気圧における1種以上の酸化性ガスの分圧合計は、好ましくは140mbar未満、さらに好ましくは100mbar未満、特に好ましくは50mbar未満、さらに特に好ましくは10mbar未満である。
【0035】
酸化性のガスとは、23℃で少なくとも1013mbarの蒸気圧を持ち、燃焼プロセスで酸化剤として作用する物質、例えば酸素、酸化窒素、および二酸化窒素、特には酸素である。
【0036】
吸水性ポリマー粒子に加えられる気圧中で、熱による後架橋中の酸素分圧は、好ましくは140mbar未満、さらに好ましくは100mbar未満、特に好ましくは50mbar未満、さらに特に好ましくは10mbar未満である。熱による後架橋が周囲圧で、すなわち全圧1023mbarで行われる場合、酸化性ガスの分圧合計は、その体積割合で決定される。酸化性ガスの割合はこの場合、好ましくは14体積%未満、さらに好ましくは10体積%未満、特に好ましくは5体積%未満、さらに特に好ましくは1体積%未満である。
【0037】
好ましくは熱による後架橋を、減圧下、すなわち全圧1.013mbar未満で行う。この全圧は、一般的には670mbar未満、好ましくは480mbar未満、特に好ましくは300mbar未満、さらに特に好ましくは200mbar未満である。乾燥と後架橋が、酸素割合20.8体積%の空気中で行われる場合、上記の全圧に対応する酸素分圧は、139mbar(670mbar)、100mbar(480mbar)、62mbar(300mbar)、および42mbar(200mbar)である。ただしここで括弧内はそれぞれの全圧を表す。
【0038】
大粒径のポリマー粒子は、熱による後架橋の前に分離するのが有利である。この場合例えば、使用する篩のメッシュサイズを、好ましくは700μm以下、特に好ましくは650μm以下、さらに特に好ましくは600μm以下とする。
【0039】
好ましい後架橋剤は、1,3ジオール、例えば1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、および2−メチル−1,3プロパンジオール、および/または環状カルバミン酸塩、例えば2−オキサゾリドンおよびN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドンである。
【0040】
ヒドロキノンモノメチルエーテルおよびペルオキソ二硫酸ナトリウムを含むモノマー溶液を用いる場合、吸水性ポリマー粒子は、あきらかな変色傾向を持つ。2価金属カチオンの塩基性塩でポリマー粒子を被覆することによって、この変色を防止できるというのが、本発明の基礎となる認識である。
【0041】
熱による後架橋前に、比較的大きいポリマー粒子を分離すれば、変色に対する長期安定性をはるかに向上することができる。
【0042】
さらには硫酸アルミニウムの代わりに弱い酸の3価金属塩を用いることによって、特性プロフィールを改善された、すなわち生理食塩水流れ誘導性(SFC)と加圧下吸水量(AUL0.7psi)が高くなった吸水性ポリマー粒子が得られる。
【0043】
この架橋吸水性ポリマー粒子については、例えば論文"Modern Superabsorbent Polymer Technology",F.L.Buchholz und A.T.Graham,Wiley−VCH,1998またはUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,第6版、第35巻、73〜103ページに記載されている。
【0044】
吸水性ポリマー粒子は、
a)少なくとも1種の不飽和カルボン酸を、
b)少なくとも1種のヒドロキノン半エーテル、
c)少なくとも1種の無機化酸化物、
d)場合選択により1種以上の架橋剤、
e)場合により1種以上の、a)と共重合可能なエチレン性および/またはアリル性不飽和モノマー、
f)場合により1種以上の、モノマーa)、b)、およびe)の少なくとも一部分を、その上にグラフトできる水溶性ポリマーを含むモノマー溶液またはモノマー懸濁液を重合させることによって得られる。
【0045】
適切な不飽和カルボン酸a)は例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、およびイタコン酸のような、エチレン性不飽和カルボン酸である。特に好ましい不飽和カルボン酸a)は、アクリル酸とメタクリル酸である。さらに特に好ましいのはアクリル酸である。
【0046】
ヒドロキノン半エーテルb)は、ヒドロキノンの正確に1つのヒドロキシル基がエーテル化されているものである。適切なヒドロキノン半エーテルb)は、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ヒドロキノンモノエチルエーテル、好ましくはヒドロキノンモノメチルエーテルのような、ヒドロキノンモノアルコキシエーテル、そして/または、αトコフェロール、ラセミαトコフェロール、RRR−α−トコフェロール、好ましくはラセミα−トコフェロール、RRR−α−トコフェロールのような、トコフェロールである。
【0047】
このモノマー溶液は、それぞれ不飽和カルボン酸a)に対して、好ましくは最高0.016質量%、特に好ましくは最高0.013質量%、さらに特に好ましくは最高0.007質量%、かつ好ましくは少なくとも0.001質量%、特に好ましくは少なくとも0.003質量%、さらに特に好ましくは少なくとも0.005質量%のヒドロキノン半エーテルを含む。この場合不飽和カルボン酸塩は、計算上は不飽和カルボン酸a)として考慮に入れる。例えばモノマー溶液を製造するため、相応の量のヒドロキノン半エーテルを含むアクリル酸を用いることができる。
【0048】
適切な無機過酸化物c)は、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸ナトリウムのような過硫酸塩、およびペルオキソ二リン酸ナトリウムのような過リン酸塩である。
【0049】
本発明では、好ましくは重合開始剤として、ペルオキソ二硫酸塩および/またはペルオキソ二リン酸塩を含むものを用いる。
【0050】
反応を開始するには、本発明の方法の場合、好ましくは、ペルオキソ二硫酸塩、例えばペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム、および/またはペルオキソ二硫酸アンモニウムと、アスコルビン酸と、過酸化水素とを含む重合開始剤を用いる。2つの成分アスコルビン酸と過酸化水素とは、当業者家には公知のその他のいずれの重合開始剤でも、代替、補完することができる。このような代理物は、別の還元剤や酸化剤、また公知のアゾ重合開始剤および光重合開始剤、ならびに例えば鉄カチオンのように触媒作用する金属カチオンを含む。
【0051】
吸水性ポリマーは架橋されているのが好ましい。すなわち重合は、少なくとも2つの重合可能な基、かつポリマーネットワークにラジカル重合可能なこれらの基を含む化合物の存在下で行う。適切な架橋剤d)は、例えば欧州特許公開公報第0530438(A1)号に記載するような、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルオキシエタン、そして、欧州特許公開公報第0547847(A1)号、欧州特許公開公報第0559476(A1)号、欧州特許公開公報第0632068(A1)号、国際特許公開公報第93/21237(A1)号、国際特許公開公報第2003/104299(A1)号、国際特許公開公報第2003/104300(A1)号、国際特許公開公報第2003/104301(A1)号、およびドイツ特許公開公報第10331450(A1)号に記載するような、ジトリアクリレートとトリアクリレート、そして、ドイツ特許公開公報第10331456(A1)号およびドイツ特許公開公報第10355401(A1)号に記載するような、アクリル酸基のほかエチレン性不飽和基をも含む混合アクリレート、あるいは、ドイツ特許公開公報第19543368(A1)号、ドイツ特許公開公報第19646484(A1)号、国際特許公開公報第90/15830(A1)号、および国際特許公開公報第2002/32962(A2)号に記載するような架橋剤混合物である。
【0052】
適切な架橋剤d)は、特にN,N′−メチレンビスアクリルアミドおよびN,N′−メチレンビスメタクリルアミド、ジアクリレートやトリアクリレート(例えばブタンジオールジアクリレートまたはエチレングリコールジアクリレートもしくはエチレングリコールメタクリレート、ならびにトリメチロールプロパントリアクリレート)のようなポリオールの不飽和モノカルボン酸または同ポリカルボン酸の各エステル、および次のようなアリル化合物である。すなわち、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、マレイン酸ジアリルエステル、ポリアリルエステル、テトラアリルオキシエタン、トリアリルアミン、テトラアリルエチレンジアミン、リン酸のアリルエステル、ならびにビニルホスホン酸誘導体といった、アリル化合物である。これらの架橋剤は、例えば欧州特許公開公報第0343427(A2)号に記載されている。そのほかの適切な架橋剤d)は、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、エチレングリコールジアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、ソルビトールをベースとするポリアリルエーテル、ならびにこれらのエトキシ化された誘導体である。本発明の方法に使用できるのはポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレートであって、この場合使用できるポリエチレングリコールは、分子量が300〜1000である。
【0053】
しかし特に有利な架橋剤d)は、3〜20回エトキシ化されたグリセリン、3〜20回エトキシ化されたトリメチロールプロパン、3〜20回エトキシ化されたトリメチロールエタンの各ジアクリレートおよびトリアクリレート、特には、2〜6回エトキシ化されたグリセリンまたはトリメチロールプロパン、3回プロポキシ化されたグリセリンまたはトリメチロールプロパン、エトキシ化あるいはプロポキシ化を3回混合して行ったグリセリンまたはトリメチロールプロパン、15回エトキシ化されたグリセリンまたはトリメチロールプロパン、ならびに少なくとも40回エトキシ化されたグリセリン、トリメチロールエタン、またはトリメチロールプロパンのジアクリレートおよびトリアクリレートである。
【0054】
特に好ましい架橋剤d)は、アクリル酸またはメタクリル酸によりジアクリレートまたはトリアクリレートへとエステル化された複数回エトキシ化および/またはプロポキシ化されたグリセリンであって、これについては、例えば国際特許公開公報第2003/104301(A1)号に記載されている。特に有利なのは、3〜10回エトキシ化されたグリセリンのジアクリレートおよび/またはトリアクリレートである。さらに好ましいのは、1〜5回エトキシ化および/またはプロポキシ化されたグリセリンのジアクリレートまたはトリアクリレートである。もっとも好ましいのは、3〜5回エトキシ化および/またはプロポキシ化されたグリセリンのトリアクリレートである。これらは吸水性ポリマー粒子中での残留含有物が特に少ない(一般的には0.0010質量%)点で優れている。そしてこの化合物を用いて製造した吸水性ポリマー粒子の水性抽出物は、同じ温度での水と比較してほぼ変わりない表面張力(一般的には少なくとも0.068N/m)を持つ。
【0055】
不飽和カルボン酸a)と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーe)は、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、クロトン酸アミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノブチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノネオペンチルアクリレートおよびジメチルアミノネオペンチルメタクリレートである。
【0056】
水溶性のポリマーf)として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、デンプン誘導体、ポリグリコールまたはポリアクリル酸、好ましくはポリビニルアルコールおよびデンプンを使用することができる。
【0057】
適切なベースポリマーの製造、ならびにそのほかの適切な親水性エチレン性不飽和カルボン酸a)は、ドイツ特許公開公報第19941423(A1)号、欧州特許公開公報第0686650(A1)号、国際特許公開公報第2001/45758(A1)号および国際特許公開公報第2003/104300(A1)号に記載されている。
【0058】
反応は好ましくは、例えば国際特許公開公報第2001/38402(A1)号に記載されているような混練機中で、または、例えば欧州特許公開公報第0955086(A2)号に記載されているようなベルト式反応器中で行う。
【0059】
得られるヒドロゲルの酸基は通常部分中和されている。すなわち、好ましくは25〜95mol%、さらに好ましくは27〜80mol%、特に好ましくは27〜30mol%、好ましくは40〜75mol%が中和されている。その際、通例の中和剤、好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩、またはアルカリ金属炭酸水素塩、ならびにこれらの混合物を使用することができる。これらのアルカリ化合物から選択し、あるいはこれらの混合物に対し、それに対応するアルカリ土類化合物、この場合好ましくは、マグネシウムとカルシウムの化合物を用いることもできる。アルカリ金属塩の代わりにアンモニウム塩を用いることもできる。ナトリウムおよびカリウムはアルカリ金属として特に好ましいが、さらに特に好ましいのは、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウム、ならびにこれらの混合物である。通常、中和は中和剤を水溶液、溶融物として、または好ましくは固形物として混合することによって行う。例えば水酸化ナトリウムは、融点が23℃以上のワックス状の素地として、含水率があきらかに50質量%以下のものを用いることができる。この場合、断片物または溶融物の計量供給は、より高い温度でも行うことができる。
【0060】
中和はヒドロゲルの段階で重合後に行うことができる。あるいはまた、酸基の40mol%まで、好ましくは10〜30mol%、特に好ましくは15〜25mol%までが、重合前に、中和剤の一部をすでにモノマー溶液中に添加することによって中和され、かつ所望の最終中和度を、ヒドロゲルの段階で重合後に初めて調整することも可能である。モノマー溶液は中和剤の混合によって中和することができる。ヒドロゲルは機械的に、例えばミンサー(肉ひき器)により粉砕することができ、その際、中和剤は噴霧するか、散布するか、または注ぎ、かつ次いで慎重に混合することができる。このためには、得られたゲル材料をさらに数回、粉砕して均質化することができる。モノマー溶液の中和は、直接に最終中和度まで行うのが好ましい。
【0061】
本発明の特に好ましい実施態様において、品質が「膜グレード」クラスである50質量%苛性ソーダ溶液を用いて、中和度を65〜72mol%に調整する。
【0062】
次いで中和されたヒドロゲルを、次いでベルト型乾燥器、またはドラム乾燥器中で、残留水分が好ましくは15質量%、特に好ましくは10質量%未満となるまで乾燥させ、その際、含水率を、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨される試験法WSP230.2−05「含水率(Moisture content)」により測定する。乾燥のためには、流動層乾燥器、または加熱式鋤型ミキサーを、選択して使用することもできる。特に白色の製品を得るためには、このゲルを乾燥させるとき、蒸発した水の迅速な搬出が確保されるのが有利である。このためには乾燥器温度を最適化し、空気の供給、排出をコントロールして行い、いかなる場合も十分な通気に注意を払わなければならない。ゲルの固形物含有度を可能な限り高くすれば、乾燥は当然それだけ簡単になり、製品はそれだけ白くなる。したがってゲルの乾燥前の固形物含有度は、30〜80質量%とするのが好ましい。窒素またはそのほかの非酸化性不活性ガスを乾燥器に通気すれば、特に有利である。酸化による黄変を防止するため、1つの選択として、乾燥中は単純に酸素の分圧だけを低下させることもできる。通常は、十分な通気と水蒸気排出によっても、許容可能な生成物が得られる。色と製品品質のためには、通常、乾燥時間ができるだけ短いのが有利である。
【0063】
ゲル乾燥のもう1つの機能は、ポリマー粒子中の残留モノマー含有量の減少がここでまだ生じることである。すなわち乾燥の際、重合開始剤残量がまだ存在する場合、それが分解し、そしてまだ存在する残留モノマーの重合を生じる。そのほか、蒸発する水は、依然存在する遊離水蒸気揮発性モノマー、例えばアクリル酸を奪い去り、こうしてポリマー粒子中の残留モノマー含有量をやはり減少させる。
【0064】
乾燥させたヒドロゲルは、その後、粉砕され、かつ分級され、その際、粉砕のために通例の1段式または多段式のロールミル、好ましくは2段式または3段式のロールミル、ピンミル、ハンマーミル、またはスイングミルを使用することができる。
【0065】
乾燥させたヒドロゲルの粉砕されたポリマー粒子の粒径は、分級後、一般的には0〜1000μm、好ましくは150〜850μm、特に好ましくは200〜800μm、さらに特に好ましくは200〜700μmの範囲である。
【0066】
好ましくはポリマー粒子の2質量%未満が、特に好ましくは1.5質量%未満が、さらに特に好ましくは1質量%未満が、850μmを超える粒径を持つ。
【0067】
好ましくはポリマー粒子の5質量%未満が、さらに好ましくは3質量%未満が、特に好ましくは1質量%未満が、さらに特に好ましくは0.3質量%未満が、150μm未満の粒径を持つ。
【0068】
好ましくはポリマー粒子の少なくとも90質量%が、さらに好ましくは少なくとも95質量%が、特に好ましくは少なくとも98質量%が、さらに特に好ましくは少なくとも99質量%が、150〜850μmの粒径を持つ。
【0069】
好ましい実施態様において、ポリマー粒子の少なくとも90質量%が、さらに好ましくは少なくとも95質量%が、特に好ましくは少なくとも98質量%が、さらに特に好ましくは少なくとも99質量%が、150〜700μmの粒径を持つ。
【0070】
特に好ましい実施態様において、ポリマー粒子の少なくとも90質量%が、さらに好ましくは少なくとも95質量%が、特に好ましくは少なくとも98質量%が、さらに特に好ましくは少なくとも99質量%が、150〜600μmの粒径を持つ。
【0071】
さらに特に好ましい実施態様において、ポリマー粒子の少なくとも85質量%が、さらに好ましくは少なくとも90質量%が、特に好ましくは少なくとも98質量%が、さらに特に好ましくは少なくとも99質量%が、200〜500μmの粒径を持つ。
【0072】
本発明の方法によれば、球状の粒子もまた、懸濁重合、噴霧重合、滴下重合の各方法によって製造できるのが有利である。これに特に適しているのは粒径分布が狭い粒子であり、そして球状粒子の凝集によって、不規則な粒子が生じた。本発明の方法によれば、当然のことであるが、このような重合から、不規則な粒子、または規則的であるが球状ではない粒子をもまた製造できる。
【0073】
本発明による方法の1つの実施形態では、ベースポリマーが、2価金属カチオンの少なくとも1つの塩基性塩で被覆される。この塩基性塩は、水溶性であるのが好ましい。
【0074】
好ましくはカルシウムカチオンおよび/またはマグネシウムカチオンを含む水溶液を、吸水性ポリマー粒子上に噴霧する。
【0075】
本発明による方法の別の好ましい実施態様において、元素周期律表の第3主族、第3遷移族、またはランタニド族の元素の水溶性塩から、2価金属カチオンの少なくとも1種の塩基性塩と、3価金属カチオンの少なくとも1種の塩とを選択し、これによりベースポリマーを被覆する。上記の元素は、好ましくはアルミニウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、および/またはセリウムである。
【0076】
本発明による方法のさらに特に好ましい実施態様において、カルシウムの少なくとも1種の水溶性塩基性塩と、アルミニウムの少なくとも1種の水溶性塩とにより、ベースポリマーを被覆する。
【0077】
好ましくは、カルシウムおよび/またはマグネシウムのカチオンと、アルミニウムカチオンとを含む水溶液を、吸水性ポリマー粒子上に噴霧する。
【0078】
本発明にいう水溶性塩とは、2価および3価金属カチオンの次のような塩である。すなわちこの塩は、20℃における水溶率が、水1リットルあたり塩少なくとも0.5g、好ましくは水1リットルあたり塩少なくとも1g、さらに好ましくは水1リットルあたり塩少なくとも10g、特に好ましくは水1リットルあたり塩少なくとも100g、さらに特に好ましくは水1リットルあたり塩少なくとも200gである。噴霧溶液の噴霧温度においてこれらの最小限水溶率を持つ塩も、本発明の目的で用いることができる。
【0079】
この水溶率が、所望の濃度の噴霧溶液を製造するのに不十分な場合、その不飽和水溶液に固体塩の分散物を混入することができる。
【0080】
2価金属カチオンの溶液が3価金属カチオンの溶液と、沈殿物なしには混合できない場合、両溶液を別々に2つのノズルから、順次または同時に噴霧することができる。
【0081】
2価金属カチオンと3価金属カチオンとを含む塩の水溶液は、任意に混合できるのが特に好ましい。
【0082】
2価金属カチオンと3価金属カチオンによる本発明の目的に適切な塩は、好ましくは、弱い無機酸から、または弱い有機カルボン酸またはアミノ酸由来のアニオンを持つ。アニオンの基盤となる酸は、本発明による塩の場合、例えば炭酸、亜硫酸、水、または酢酸のようにわずかに揮発性であるか、あるいは、例えば乳酸または酒石酸のように熱分解可能である。そしてこれらの塩は、乾燥条件下では熱に対して安定しているものとすることができる。
【0083】
本発明の方法において適するものは、例えば水酸化カルシウム、炭酸水素カルシウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、酒石酸カルシウム、マレイン酸カルシウム、フマル酸カルシウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、および酸溶性の水酸化アルミニウムである。これらの塩に対応するものであって、本発明によるこのほかの金属カチオンの塩も、同様に使用できる。
【0084】
本発明の方法において特に好ましいのは、水酸化カルシウム、炭酸水素カルシウム、プロピオン酸カルシウム、乳酸カルシウム、および乳酸アルミニウムである。
【0085】
有利な方法として、上記の塩の水和物を用いることもできる。水和物、例えば乳酸アルミニウムの五水和物は、無水塩よりも迅速に水に溶ける。
【0086】
噴霧される塩に含まれる水の量は、使用されるポリマー粒子に対し、通常は15質量%以下、好ましくは8質量%以下、特に好ましくは5質量%以下、さらに特に好ましくは2質量%以下である。本発明による方法では、水溶性塩を用いるのが有利である。
【0087】
しかしさらなる特別な実施態様において、水中に分散された炭酸カルシウムを、3価金属カチオンの1種の塩とともに噴霧する。この3価金属カチオンの塩は、好ましくは水溶性であり、さらに好ましくはアルミニウム塩であり、特に好ましくは乳酸アルミニウムである。この場合、炭酸カルシウムの粒径は、好ましくは50μm未満、さらに好ましくは30μm未満、特に好ましくは10μm未満、さらに特に好ましくは0.01〜5μmである。
【0088】
ベースポリマーを、好ましくは後架橋させる。このために適切な後架橋剤は、ポリマーのカルボキシレート基と共有結合を形成できる基を少なくとも2つ持つ化合物である。適切な化合物は、例えば、欧州特許公開公報第0083022(A2)号、欧州特許公開公報第0543303(A1)号および欧州特許公開公報第0937736(A2)号に記載されているような、アルコキシシリル化合物、ポリアジリジン、ポリアミン、ポリアミドアミン、ジグリシジル化合物またはポリグリシジル化合物、または、ドイツ特許公開公報第3314019(A1)号、ドイツ特許公開公報第3523617(A1)号および欧州特許公開公報第0450922(A2)号に記載されているような多価アルコール、または、ドイツ特許公開公報第10204938(A1)号および米国特許第6,239,230号に記載されているようなβ−ヒドロキシアルキルアミドである。そのほか適切な化合物に、欧州特許公開公報第1199327(A2)号に記載されているような、混合官能基を持つ化合物、例えばグリシドール、3−エチル−3−オキセタンメタノール(トリメチロールプロパンオキセタン)、または、アミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、または最初の反応後に別の官能基を形成する化合物、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、アジリジン、アゼチジンまたはオキセタンがある。
【0089】
さらにドイツ特許第4020780号には環状カーボネートが、そして、ドイツ特許公開公報第19807502(A1)号には2−オキサゾリドンおよびその誘導体、例えばN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドンが、そして、ドイツ特許第19807992号にはビス−およびポリ−2−オキサゾリドンが、そして、ドイツ特許公開公報第19854573(A1)号には2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジンおよびその誘導体が、そして、ドイツ特許公開公報第19854574(A1)号にはN−アシル−2−オキサゾリドンが、そして、ドイツ特許公開公報第10204937(A1)号には環状尿素が、そして、ドイツ特許公開公報第10334584(A1)号には二環式アミドアセタールが、そして、欧州特許公開公報第1199327(A2)号にはオキセタンおよび環状尿素が、そして、国際特許公開公報第2003/031482(A1)号にはmolホリン−2,3−ジオンおよびその誘導体が、適切な後架橋剤として記載されている。
【0090】
後架橋は通常、後架橋剤の溶液をヒドロゲルまたは乾燥したベースポリマー粒子上に噴霧して実施する。噴霧に引き続き、熱により乾燥させ、その際、後架橋反応は、乾燥前でも乾燥中でも行うことができる。
【0091】
少なくとも1種の2価金属カチオンを含む溶液を、後架橋の前、後架橋中、または後架橋後に、別個に計量供給して、噴霧し、あるいは後架橋剤溶液に直接添加することができる。この少なくとも1種の2価金属カチオンは、後架橋剤溶液に単純に直接添加するのが好ましい。この少なくとも1種の2価金属カチオンを、後架橋の前または後で別個に施す場合、当業者に公知のいずれの被覆装置も、そしていずれのミキサーも使用できる。
【0092】
少なくとも1種の2価金属カチオンと、少なくとも1種の3価金属カチオンを含む溶液を、後架橋の前、後架橋中、または後架橋後に、別個に計量供給して、噴霧し、あるいは後架橋剤溶液に直接添加することができる。この2価金属カチオンおよび3価金属カチオンは、後架橋剤溶液に単純に直接添加するのが好ましい。この少なくとも1種の2価金属カチオンと少なくとも1種の3価金属カチオンを含む溶液を、後架橋前または後架橋後別個に施す場合、当業者に公知のいずれの被覆装置も、そしていずれのミキサーも使用できる。両者の金属カチオン、好ましくはカルシウムカチオンとアルミニウムカチオンは、別個の各溶液から時間的に平行して計量供給することも、時間的に一部オーバラップして計量供給することも、時間的に前後して施すことも可能である。
【0093】
特に好ましいのは、2価金属カチオンと3価金属カチオンを含む水溶液を任意に混合できる塩である。さらに特に好ましいのは、沈殿を生じることなく後架橋剤と直接混合できる溶液の混合物である。
【0094】
好ましくは、水溶性の塩を後架橋剤水溶液に溶解し、場合によっては水を添加しながらこれを行う。あるいは水溶性の塩を水に溶かし、あるいは場合によってはその塩の飽和溶液に分散させる。
【0095】
好ましい後架橋剤は、一般式(I)
【化1】

[式中、
1は、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニルまたはC6〜C12−アリールであり、
2は、XまたはOR6であり、
3は、水素、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニルまたはC6〜C12−アリールまたはXであり、
4は、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニルまたはC6〜C12−アリールであり、
5は、水素、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニル、C1〜C12−アシルまたはC6〜C12−アニルであり、
6は、C1〜C12−アルキル、C2〜C12−ヒドロキシアルキル、C2〜C12−アルケニルまたはC6〜C12−アリールであり、かつ
Xは、基R2およびR3に関して記載したカルボニル−酸素であり、
この場合、R1およびR4および/またはR5およびR6は、架橋C2〜C6−アルカンジイルとすることができ、かつこの場合、上記の基R1〜R6は、さらに共に1〜2つの遊離原子価を持つことができ、かつこれらの遊離原子価により、少なくとも1種の適切な基礎構造に結合することができる]のアミドアセタールまたはカルバミン酸エステルであるか、
あるいは前記好ましい後架橋剤は、多価アルコールであり、この多価アルコールは、ヒドロキシル基あたりの分子量が、好ましくは100g/mol未満、さらに好ましくは90g/mol未満、特に好ましくは80g/mol未満、さらに特に好ましくは70g/mol未満であり、そしてビシナル、ジェミナル、第2級または第3級のヒドロキシル基を有しておらず、この多価アルコールは一般式(IIa)
【化2】

[式中、R6は、式−(CH2n−の非分枝鎖状ジアルキル基を表し、この場合、nは、3〜20、好ましくは3〜12の整数であり、かつ両方のヒドロキシル基は末端に存在し、あるいはR6は、非分枝鎖状、分枝鎖状または環状のジアルキル基を表す]のジオールであるか、
あるいは前記多価アルコールは、一般式(IIb)
【化3】

[式中、基R7、R8、R9、R10は、互いに独立して、水素、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルオキシメチル、1−ヒドロキシプロプ−2−イルオキシメチル、2−ヒドロキシプロピルオキシメチル、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、1,2−ジヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピルまたは4−ヒドロキシブチルであり、かつ合計して2、3または4個、好ましくは2または3個のヒドロキシル基が存在しており、かつ基R7、R8、R9またはR10の1つより多くが、ヒドロキシル基を表すことはない]のポリオールであり、
またあるいは、前記好ましい後架橋剤は、一般式(III)
【化4】

[式中、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチルまたはイソブチルであり、かつnは0または1である]の環状カーボネートであり、
あるいは、前記好ましい後架橋剤は、一般式(IV)
【化5】

[式中、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23およびR24は、互いに独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、またはイソブチルであり、かつR25は、単結合、直鎖状、分枝鎖状または環状のC2〜C12−ジアルキル基であるか、またはポリアルコキシジイル基を表し、これは1〜10個のエチレンオキシド単位および/またはプロピレンオキシド単位から構成されており、例えばポリグリコールジカルボン酸を持つ]のビスオキサゾリンである。
【0096】
これら好ましい後架橋剤は、強い選択性を持つ。揮発性ひいては悪臭のする化合物を生じる副反応およびその後の反応は、最小限に抑えられる。したがってこれら好ましい後架橋剤を用いて製造した吸水性ポリマーは、水分を加えられた状態でも、それが臭いに影響することはない。
【0097】
これに対してエポキシ化合物は、高温および適切な触媒の存在下でさまざまな転位反応を行う場合があり、この反応は例えばアルデヒドまたはケトンを生じる。これらは次いでその後の反応を開始し、このことにより最終的に悪臭のする化合物を形成し、この化合物はその臭いのため、衛生用品には望ましくない。したがってエポキシ化合物は、約140〜150℃より高い温度では、後架橋にはあまり適切ではない。アミノ基もしくはイミノ基を持つ後架橋剤の場合、同様の温度では、さらに複雑な転位反応を生じ、このことによってわずかに悪臭のする微量不純物および茶褐色生成物の変色が現れる。
【0098】
後架橋剤としての多価アルコールは、その反応性が低いために、高い後架橋温度を必要とする。ビシナル、ジェミナル、第2級および第3級ヒドロキシル基を持つアルコールはこの場合、衛生分野において望ましくない副生成物を形成し、この副生成物は、製造中または使用中に、当該衛生用品の不快臭および/または変色の原因となる。
【0099】
一般式(I)の有利な後架橋剤は、2−オキサゾリドン、例えば2−オキサゾリドンおよびN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン、N−メチル−2−オキサゾリドン、N−アシル−2−オキサゾリドン、例えばN−アセチル−2−オキサゾリドン、2−オキソテトラヒドロ−1,3−オキサジン、二環式アミドアセタール、例えば5−メチル−1−アザ−4,6−ジオキサ−ビシクロ[3.3.0]オクタン、1−アザ−4,6−ジオキサ−ビシクロ[3.3.0]オクタンおよび5−イソプロピル−1−アザ−4,6−ジオキサ−ビシクロ[3.3.0]オクタン、ビス−2−オキサゾリドンおよびポリ−2−オキサゾリドンである。
【0100】
一般式(I)の特に有利な後架橋剤は、2−オキサゾリドン、N−メチル−2−オキサゾリドン、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドンおよびN−ヒドロキシプロピル−2−オキサゾリドンである。
【0101】
一般式(IIa)の好ましい後架橋剤は、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび1,7−ヘプタンジオールである。一般式(IIa)の後架橋剤の別の例は、1,3−ブタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオールおよび1,10−デカンジオールである。
【0102】
ジオール(IIa)は好ましくは水溶性であり、その際、一般式(IIa)のジオールは23℃で少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%、さらに特に好ましくは少なくとも60質量%が水に溶ける。例えば1,3−プロパンジオールおよび1,7−ヘプタンジオールがそうである。さらに好ましくは、このような後架橋剤は25℃で液状である。
【0103】
一般式(IIb)の好ましい後架橋剤は、ブタン−1,2,3−トリオール、ブタン−1,2,4−トリオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、分子あたり1〜3回エトキシ化されたグリセリン、トリメチロールエタンまたはトリメチロールプロパン、および分子あたり1〜3回プロポキシ化されたグリセリン、トリメチロールエタンまたはトリメチロールプロパンである。そのほか好ましいのは、2回エトキシ化またはプロポキシ化されたネオペンチルグリコールである。特に好ましいのは、2回および3回エトキシ化されたグリセリン、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、およびトリメチロールプロパンである。
【0104】
前記の好ましい多価アルコール(IIa)および(IIb)は、23℃における粘度が3000mPas未満、好ましくは1500mPas未満、さらに好ましくは1000mPas未満、特に好ましくは500mPas未満、さらに特に好ましくは300mPas未満である。
【0105】
一般式(III)の特に好ましい後架橋剤は、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートである。
【0106】
一般式(IV)の特に好ましい後架橋剤v)は、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)である。
【0107】
後架橋剤は、それぞれベースポリマーに対して、一般的には最大で0.30質量%、好ましくは最大で0.15質量%、特に好ましくは0.001〜0.095質量%の量が、水溶液として用いられる。
【0108】
上記の選択肢からの個々の後架橋剤を使用するか、または種々の後架橋剤を任意に混合したものを使用することができる。
【0109】
水性後架橋剤溶液は、少なくとも1種の後架橋剤に加えて、一般的にはさらに共溶媒を含ませることができる。
【0110】
技術的に非常に適する共溶媒は、C1〜C6−アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールまたは2−メチル−1−プロパノール、あるいは、C2〜C5−ジオール、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコールまたは1,4−ブタンジオール、あるいは、ケトン、例えばアセトン、あるいは、カルボン酸エステル、例えば酢酸エチルエステルである。これらの共溶媒の多くにおいて不利な点は、その共溶媒が典型的な固有臭を持つことである。
【0111】
共溶媒自体は、反応条件下で理想的には後架橋剤ではない。しかし境界例では、また滞留時間および温度に依存して、共溶媒の一部が架橋に貢献することがある。これは特に、後架橋剤が、比較的不活性であり、したがってそれ自体が、共溶媒を形成することができる場合、例えば一般式(III)の環状カーボネート、一般式(IIa)のジオール、または一般式(IIb)のポリオールを使用するような場合に該当する。このような後架橋剤は、より反応性がある後架橋剤との混合物とした場合、共溶媒としての機能においても使用することができる。なぜならば、本来の後架橋反応を、より反応性がある架橋剤が存在しない場合よりも、低い温度および/または短い滞留時間で実施することができるからである。共溶媒は比較的大量が使用され、かつその一部が生成物中に残留するので、毒性であってはならない。
【0112】
本発明による方法において、一般式(IIa)のジオール、一般式(IIb)のポリオール、ならびに一般式(III)の環状カーボネートが共溶媒としても適する。この機能は、一般式(I)および/または(IV)の反応性後架橋剤および/またはジグリシジル化合物またはトリグリシジル化合物の存在下で満たされる。しかし本発明による方法において好ましい共溶媒は、とりわけヒドロキシル基が立体的に隣接基によって反応を妨げられる場合には、特に一般式(IIa)のジオールである。このようなジオールは、確かに原則として後架橋剤としても適切であるが、しかしこのために立体障害のないジオールよりも明らかに高い反応温度、または場合によって高い使用量を必要とする。
【0113】
本発明による方法において特に好ましいその他の共溶媒は、一般式(IIb)のポリオールである。特に好ましいのは、当該ポリオールから2〜3回アルコキシル化されたポリオールである。あるいはまた共溶媒として特に適切なものに、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンまたはペンタエリスリトールを主成分とする、3〜15回、好ましくは5〜10回エトキシ化されたポリオールもある。さらに特に適切なのは、7回エトキシ化されたトリメチルプロパンである。
【0114】
適切な立体障害ジオールひいては反応不活性な多価アルコールには、ビシナル、ジェミナル、または第2級のドロキシル基を持たない、任意の分子量の多価アルコールもある。
【0115】
一般式(IIa)のこのような立体障害ジオール、ひいては共溶媒として特に好ましいジオールの例は、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2−メチル−1,3−プロパンジオール、および2,4−ジメチルペンタン−2,4−ジオールである。
【0116】
その他の適切な共溶媒は、ジ(トリメチロールプロパン)ならびに5−エチル−1,3−ジオキサン−5−メタノールである。
【0117】
共溶媒として低反応性の後架橋剤と反応性後架橋剤との特に好ましい組み合わせは、好ましい多価アルコール、一般式(IIa)のジオールおよび一般式(IIb)のポリオールと、一般式(I)のアミドアセタールまたはカルバミン酸エステルとの組み合わせである。
【0118】
適切な組み合わせは、2−オキサゾリドン/1,2−プロパンジオールおよびN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン/1,2−プロパンジオール、ならびにエチレングリコールジグリシジルエーテル/1,2−プロパンジオールである。
【0119】
特に好ましい組み合わせは、2−オキサゾリドン/1,3プロパンジオール、およびN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン/1,3−プロパンジオールである。
【0120】
そのほかの好ましい組み合わせは、エチレングリコールジグリシジルエーテル、またはグリセリンジグリシジルエーテル、またはグリセリントリグリシジルエーテルと、以下:イソプロパノール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、またはこれらの混合物の溶剤、共溶媒、または共架橋剤との組み合わせである。
【0121】
共溶媒の沸点は、好ましくは160℃以下、特に好ましくは140℃以下、さらに特に好ましくは120℃以下、あるいは、好ましくは200℃以上、特に好ましくは220℃以上、さらに特に好ましくは250℃以上である。
【0122】
したがって本発明の方法で特に好適な共溶媒は、水または第二の共溶媒とともに沸点の低い共沸混合物を形成する共溶媒である。好ましくは、この共沸混合物の沸点は160℃以下、特に好ましくは140℃以下、さらに特に好ましくは120℃以下である。そのほか好適なものに水蒸気揮発性の共溶媒がある。これは、このような共溶媒は完全に、または一部が、乾燥の際に蒸発する水とともに除去されるためである。
【0123】
後架橋乾燥器中の温度を大きくは上回らない、または大きくは下回らない沸点を持つ後架橋剤および共溶媒は、驚くべきことに、望ましからざる化学臭を持つ吸水性ポリマー粒子をしばしば生じる。そしてこれらのポリマーは著しく黄変し、しばしば黒い斑点そのほかの汚れを含む。
【0124】
後架橋剤水溶液中の共溶媒の濃度は、後架橋溶液に対して、しばしば15〜50質量%、好ましくは15〜40質量%、特に好ましくは20〜35質量%である。水と混和可能であるがそれに限度がある共溶媒の場合、後架橋剤水溶液を調整して、場合によっては共溶媒の濃度を低下させることにより1つの相だけを存在させるのが有利である。
【0125】
好ましい1つの実施態様において、共溶媒を使用しない。この場合、後架橋剤は、水溶液としてのみ、場合によっては解凝集剤の添加下に適用される。
【0126】
後架橋剤水溶液中の少なくとも1種の後架橋剤の濃度は、後架橋剤溶液に対して、例えば1〜20質量%、好ましくは1.5〜10質量%、特に好ましくは2〜5質量%である。
【0127】
後架橋剤溶液の全量は、ベースポリマーに対して、通常は0.3〜15質量%、好ましくは2〜6質量%である。
【0128】
好ましい実施態様において、ベースポリマーに、解凝集剤として界面活性剤、例えばソルビタンモノエステル、例えばソルビタンモノココートおよびソルビタンモノラウレート、またはこれらのエトキシ化変化物、例えばPolysorbat 20(登録商標)を添加する。そのほかの非常に適切な解凝集剤は、2−プロピルヘプタノールのエトキシ化およびアルコキシ化誘導体であり、これらは商品名Lutensol XL(登録商標)およびLutensol XP(登録商標)として市販されている(BASF AG、ドイツ国)。
【0129】
すべてのカチオン性、アニオン性、非イオン性、および両性界面活性剤は、解凝集剤として適しているが、皮膚適合性上の理由から、非イオン性および両性界面活性剤が好ましい。この界面活性剤は窒素をも含むことができる。
【0130】
解凝集剤は、別個に計量供給し、または後架橋剤溶液に添加することができる。好ましくは解凝集剤を、後架橋剤溶液に単純に添加する。
【0131】
解凝集剤の使用量は、ベースポリマーに対して、例えば0〜0.01質量%、好ましくは0〜0.01質量%、特に好ましくは0〜0.002質量%である。好ましくは、膨潤したベースポリマーおよび/または膨潤し、後架橋吸水性ポリマーの水性抽出物の表面張力が、23℃で少なくとも0.060N/m、好ましくは少なくとも0.062N/m、特に好ましくは少なくとも0.065N/m、かつ有利には最大で0.072N/mとなるように、解凝集剤を計量供給する。
【0132】
本発明による方法において使用する乾燥ベースポリマーは、乾燥後かつ後架橋剤溶液の施与前、一般に0〜13質量%、好ましくは2〜9質量%の残留水分を持つ。場合により、この水分は、例えば前側に接続された噴霧混合機中で水を施与することにより、75質量%まで高めることができる。含水率はEDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨される試験法WSP230.2−05、「含水率(Moisture content)」により測定される。含水率をこのように高めることによって、ベースポリマーが容易に事前膨潤し、かつ表面上での架橋剤の分布ならびにポリマー粒子の浸透が改善される。
【0133】
本発明の方法で使用できる噴霧ノズルは、いかなる制限も受けない。適切なノズルと噴霧システムは、例えば次の文献に記載されている:Zerstaeuben von Fluessigkeiten, Expert−Verlag, Bd.660, Reihe Kontakt&Studium Thomas Richter(2004)およびZerstaeubungstechnik, Springer−Verlag, VDI−Reihe, Guenter Wozniak(2002)。使用できるのは単分散型および多分散型のスプレーシステムである。多分散型スプレーシステムにおいては、1流体加圧ノズル(噴流形成型と層流形成型)、回転噴霧器、2流体噴霧器、超音波噴霧器、衝突型噴霧器が適する。2流体噴霧器の場合、液相と気相の混合が、噴霧器内部でもその外部でも行われる。ノズルのスプレーパターンは不都合な問題がなく、いずれの任意の形状をもとることができる。例えばラウンド、フラット、広角ラウンド、または円環の各スプレーパターンである。2流体噴霧器を使用する場合は、非酸化性ガスを使用するのが有利であり、特に好ましくは窒素、アルゴン、または二酸化炭素を用いる。この種のノズルは、噴霧される液体を加圧下で供給することができる。その際、噴霧される液体の分散は、ノズルの穿孔中で一定の最低速度に達した後に、放圧することにより行うことができる。さらに、本発明による目的のためには1流体ノズル、例えばスロットノズルまたは渦流室(フルコーンノズル)をも使用することができる(例えばドイツ国、Duesen−Schlick GMBH(ドイツ国)、またはSpraying Systems Deutschland GMBH(ドイツ国))。この種のノズルは、欧州特許公開公報第0534228(A1)号および欧州特許公開公報第1191051(A2)号にも記載されている。
【0134】
噴霧に引き続き、ポリマー粉末を熱により後架橋する。
【0135】
後架橋剤溶液の噴霧は、好ましくは、可動型の混合装置を持つミキサー、例えばスクリューミキサー、パドルミキサー、ディスクミキサー、すき型ミキサーまたはブレードミキサー中で実施する。特に好ましくは、縦型混合機、さらに特に好ましくは、すき型ミキサーおよびブレードミキサーである。適切なミキサーは例えばLoedige(登録商標)ミキサー、Bepex(登録商標)ミキサー、Nauta(登録商標)ミキサー、Processall(登録商標)およびSchugi(登録商標)ミキサーである。
【0136】
熱による後架橋は、好ましくは接触乾燥器中で、特に好ましくはすき型乾燥器中で、さらに特に好ましくはディスク型乾燥器中で実施する。適切な乾燥器は例えばBepex(登録商標)乾燥器およびNara(登録商標)乾燥器である。さらには流動層乾燥器、例えばCarman乾燥器を使用することもできる。
【0137】
熱による後架橋はミキサー自体の中で、例えばジャケットの加熱または高温不活性ガスの吹き込みにより行うことができる。同様に、後方接続された乾燥機、例えば箱形乾燥器、通風回転乾燥器、または加熱可能なスクリューコンベヤー乾燥器が同様に適切である。あるいはまた、例えば共沸蒸留を乾燥法として使用することもできる。
【0138】
特に好ましくは、後架橋剤溶液を高速混合機中で、例えばSchugi−Flexomix(登録商標)またはTurbolizer(登録商標)タイプの混合機中で、ベースポリマー上に施与し、そして反応乾燥器、例えばNara−Paddle−Dryer(登録商標)タイプの乾燥器またはディスク型乾燥器中で、熱により後架橋する。使用するベースポリマーは、先行するプロセス工程からなお10〜120℃の温度、そして後架橋剤溶液は、0〜150℃の温度であってもよい。特に後架橋剤溶液は、粘度を低下させるために加熱することができる。その際、後架橋および乾燥に好ましいのは30〜220℃、特には120〜210℃、特に好ましいのは145〜190℃の温度範囲である。反応混合機または乾燥器中のこの温度での滞留時間は、好ましくは100分未満、特に好ましくは70分未満であり、もっとも好ましくは40分未満である。流動層乾燥器を用いる場合、滞留時間は、好ましくは30分未満、特に好ましくは20分未満であり、もっとも好ましくは10分未満である。
【0139】
後架橋乾燥器は、本発明の方法においては、好ましくは熱による後架橋反応中、不活性空気でパージされ、蒸気と酸化性ガス、例えば大気中酸素が除去される。乾燥をサポートするために、乾燥器および接続されている諸装置は、良好に熱絶縁され、できる限り完全に加熱される。
【0140】
適切な不活性ガスは、例えば窒素、二酸化炭素、アルゴン、水蒸気であって、この場合窒素が好ましい。不活性ガスの量は、吸水性ポリマー粒子1kgに対して、好ましくは0.0001〜10m3、より好ましくは0.001〜5m3、特に好ましくは0.005〜1m3、さらに特に好ましくは0.005〜0.1m3である。
【0141】
本発明による方法の不活性ガスは、後架橋乾燥器中で後架橋温度かつ所定の圧力下で気体で存在する物質であって、またこの条件下で、乾燥するポリマー粒子の成分に酸化作用をおよぼさないものである。
【0142】
できるだけ白いポリマー粒子を製造するため、本発明の方法では、乾燥器中のガススペースを、酸化性ガスをできるだけ含まない状態で維持する。
【0143】
本発明によれば、乾燥器の接触面を介して、または供給した高温の不活性ガスを介して、または1種以上の不活性ガスを水蒸気と混合したものを介して、または水蒸気だけを介して、ポリマー粒子を加熱することができる。接触面を介して熱を供給する場合、わずかにまたは完全に負圧とした不活性ガスの下で、反応を行うことができる。ポリマー粒子を直接加熱するのに水蒸気を使用する際、乾燥器を常圧または昇圧で運転するのが、本発明としては望ましい。この場合、後架橋工程を、加熱工程と、不活性ガス下ではあるが水蒸気をともなわない反応工程に分割すれば、効果的な場合がある。これは1つの装置によっても、または複数の装置によっても実現できる。本発明では、ポリマー粒子を、すでに後架橋混合器で水蒸気を用いて加熱することができる。
【0144】
本発明の方法によれば、不活性ガスが水蒸気を含まない場合、不活性ガスをノズルから後架橋乾燥器に吹込むことができる。しかし特に好ましくは、不活性ガスを、すでに後架橋混合器中でまたは後架橋混合器の直前で、ノズルからポリマー粒子流に添加する。例えば後架橋乾燥器または後架橋混合器の空気の酸素含有量を、酸素センサーを用いてコントロールすることができる。
【0145】
当然、蒸気と共に排出された共溶媒を、反応乾燥器の外部で再び凝縮し、場合によっては再利用できる。
【0146】
熱による後架橋の終了後、乾燥した吸水性ポリマー粒子を冷却する。このために、好ましくは高温かつ乾燥したポリマーを、連続的な運転で、後方接続された冷却器に移す。この冷却器は、例えばディスク型冷却器、Nara−パドル型冷却器、またはスクリューコンベア型冷却器とすることができる。冷却されるのはこの場合、冷却器の壁および場合によって攪拌装置であって、これら壁および攪拌装置を適切な冷媒、例えば温水または冷水が貫流する。しかし選択肢として、流動層冷却器を用いることもできる。合目的な方法として冷却器中で、水または添加剤の水溶液、例えば本発明による金属塩の水溶液を、噴霧することができる。このことにより冷却効率は向上し(部分的な水の蒸発)、かつ完成生成物中の残留水分は、好ましくは0〜6質量%、特に好ましくは0.01〜4質量%、さらに特に好ましくは0.1〜3質量%に調整される。残留水分が多くなることにより生成物のダスト含有率は減少する。
【0147】
しかし場合により、冷却器中では冷却のみを行い、かつ水および添加剤の添加は後方接続された別の混合機中で実施することもできる。反応温度以下に冷却されることによって、反応は停止する。温度は全体として、生成物が問題なく包装されて、プラスチックバッグに、またはサイロの貨物自動車に収められる程度に低下すればよい。
【0148】
場合により、製造プロセス中の各プロセス段階で必要があれば、吸水性ポリマー粒子の表面に、すべての公知の被覆剤、例えば薄膜形成ポリマー、熱可塑性ポリマー、デンドリマー、ポリカチオンポリマー(例えばポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、またはポリアリルアミン)、水不溶性多価金属塩、例えば炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、またはリン酸カルシウム、そして、当業者に公知のすべての水溶性1価または多価金属塩、例えば硫酸アルミニウム、ナトリウム、カリウム、ジルコニウム、または鉄の各塩、または親水性無機物粒子、例えば粘土鉱物、発熱性珪酸、酸化アルミニウム、および酸化マグネシウムを、追加して施与することができる。これにより追加的な効果、例えばベーキング傾向の減少、加工特性の改善、または生理食塩水流れ誘導性(SFC)のさらなる向上が得られる。添加剤を分散物の形で用いて噴霧する場合、添加剤を好ましくは水性分散物として用いる。そして好ましくは、吸水性ポリマーの表面上に添加剤を固定するために、さらに脱塵剤を施与する。この脱塵剤は、粉末状の無機添加剤の分散物に直接加えるが、場合により、別個の溶液として、粉末状無機添加剤を施与する前、施与中、または施与後に、噴霧によって添加することもできる。もっとも好ましくは、後架橋剤、脱塵剤、および粉末状の無機添加剤を、後架橋時に同時に噴霧する。さらなる好ましい変形例では、脱塵剤を別個に冷却器中で添加し、例えば上から、下から、または側面から噴霧する。特に適切な脱塵剤であって、吸水性ポリマー粒子の表面に粉末状無機添加剤を固定するために用いることができるものは、ポリエチレングリコールであって分子量が400〜20000g/molのもの、ポリグリセリン、3〜100回エトキシ化されたポリオール、例えばトリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、ネオペンチルグリコールである。特に適しているのは、7〜20回エトキシ化されたグリセリン、またはトリメチロールプロパン、例えばPolyol TP70(登録商標)(Perstorp、スウェーデン)である。最後に挙げた各化合物には特に、吸水性ポリマー粒子の水性抽出物の表面張力をごくわずかしか低下させないという、利点がある。
【0149】
本発明の1つの特に好ましい実施態様において、後架橋剤(好ましくは2−オキサゾリドン、またはN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン、および/または1,3−プロパンジオール)、有機溶剤(好ましくはイソプロパノール)、および場合によってはさらに若干の界面活性剤(好ましくはSpan(登録商標)20)を水に溶解し、次に噴霧混合器(好ましくはSchugi−Mix)を用いて、2流体ノズルまたは1流体ノズルからポリマー粒子に施与する。この場合、噴霧混合器およびその後ろに接続された熱後架橋装置を、不活性ガス(好ましくは窒素)でパージすることにより、これら装置中の酸素の体積割合を14体積%未満、好ましくは10体積%未満、特に好ましくは5体積%未満、さらに特に好ましくは1体積%未満とする。これを別個に供給して、この後架橋溶液と同時に、分散固体水酸化カルシウムを含む水酸化カルシウム飽和水溶液を噴霧する。
【0150】
本発明のさらに特に好ましい実施態様において、後架橋剤(好ましくは2−オキサゾリドン、またはN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン、および/または1,3プロパンジオール)、有機溶剤(好ましくはイソプロパノール)、乳酸アルミニウム、および場合によってはさらに若干の界面活性剤(好ましくはSpan(登録商標)20)を水に溶解し、次に噴霧混合器(好ましくはSchugi−Mix)を用いて、2流体ノズルまたは1流体ノズルからポリマー粒子に施与する。この場合、噴霧混合器およびその後ろに接続された後架橋乾燥器を、不活性ガス(好ましくは窒素)でパージすることにより、これら装置中の酸素の体積割合を14体積%未満、好ましくは10体積%未満、特に好ましくは5体積%未満、さらに特に好ましくは1体積%未満とする。これを別個に供給して、この後架橋溶液と同時に、分散固体水酸化カルシウムを含む水酸化カルシウム飽和水溶液を噴霧する。
【0151】
本発明のさらに特に好ましい実施態様において、後架橋剤(好ましくはエチレングリコールジグリシジイルエーテル、または2−オキサゾリドン、またはN−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリドン、および/または1,3−プロパンジオール、および/または1,2−プロパンジオール)、場合によっては有機溶剤(好ましくはイソプロパノール)、乳酸アルミニウム、および水溶性カルシウム塩(好ましくは乳酸カルシウム)、および場合によってはさらに若干の界面活性剤(好ましくはSpan(登録商標)20)を水に溶解し、次に噴霧混合器(好ましくはSchugi−Mix)を用いて、2流体ノズルまたは1流体ノズルからポリマー粒子に施与する。この場合、噴霧混合器およびその後ろに接続された後架橋乾燥器を、不活性ガス(好ましくは窒素)でパージすることにより、これら装置中の酸素の体積割合を14体積%未満、好ましくは10体積%未満、特に好ましくは5体積%未満、さらに特に好ましくは1体積%未満とする。
【0152】
本発明は、本発明の方法によって得られる吸水性ポリマー粒子をさらに提供する。
【0153】
本発明の吸水性ポリマー粒子はその遠心保持容量(CRC)が、一般的には少なくとも25g/g、好ましくは少なくとも26g/g、さらに好ましくは少なくとも27g/g、特に好ましくは少なくとも28g/g、さらに特に好ましくは少なくとも29g/gであり、かつ一般的に40g/gを超えないものとする。遠心保持容量(CRC)は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨される試験法WSP241.2−05「遠心保持容量(Centrifuge retention capacity)」により測定される。
【0154】
本発明の吸水性ポリマー粒子は、その4.83kPa加圧下吸水量(AUL0.7psi)が、一般的には少なくとも21g/g、好ましくは少なくとも22g/g、さらに好ましくは少なくとも23g/g、特に好ましくは少なくとも24g/g、さらに特に好ましくは少なくとも25g/gであり、かつ通常は30g/gを超えないものとする。この加圧下吸水量(AUL0.7psi)は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨される試験法WSP242.2−05「加圧下吸水量(Absorption under pressure)」により測定される。
【0155】
本発明の吸水性ポリマー粒子の生理食塩水流れ誘導性(SFC)は、一般的に少なくとも30×10-7cm3s/g、好ましくは少なくとも45×10-7cm3s/g、さらに好ましくは少なくとも80×10-7cm3s/g、特に好ましくは少なくとも100×10-7cm3s/g、さらに特に好ましくは少なくとも140×10-7cm3s/gであり、かつ通常は700×10-7cm3s/gを超えないものとする。
【0156】
本発明の方法によって、白色度の高い吸水性ポリマー粒子が得られる。得られた吸水性ポリマー粒子は、高い周囲温度と湿度の下で貯蔵可能であり、通常の吸水性ポリマー粒子よりも変色が非常に遅く、したがってポリマー粒子として、そして衛生用品に加工された後、貯蔵能力が改善され、使用可能な期間が長くなる。特に2つの塩(カルシウム塩とアルミニウム塩)で被覆されている吸水性ポリマー粒子は、吸水性(CRCとAUL0.7psi)が高く、色安定性が良好で、白色度が高いにもかかわらず、生理食塩水流れ誘導性(SFC)が高い。
【0157】
白色ポリマー粒子のL値は、貯蔵状態でない場合、一般的には少なくとも75、好ましくは少なくとも80、特に好ましくは少なくとも85、さらに特に好ましくは少なくとも90、かつ最高でも100とする。
【0158】
白色ポリマー粒子のa値は、貯蔵状態でない場合、一般的には−2.5〜+2.5、好ましくは−2.0〜+2.0、特に好ましくは−1.5〜+1.5、さらに特に好ましくは−0.5〜+0.5である。
【0159】
白色ポリマー粒子のb値は、貯蔵状態でない場合、一般的には0〜10、好ましくは2〜8、特に好ましくは3〜7、さらに特に好ましくは4〜6.5である。
【0160】
温度と湿度を高くしての「貯蔵テスト」によれば、本発明の吸水性ポリマー粒子は、貯蔵状態にない場合、L値およびa値を測定した結果が、上記試料の範囲内である。そして100時間貯蔵後、b値は依然として、好ましくは12未満、特に好ましくは10未満、そして300時間貯蔵後、b値は依然として、好ましくは15未満、特に好ましくは12未満である。12を超えるb値は、女性用衛生用品および超薄型おむつの場合問題がある。15を超えるb値は、通常のおむつですでに問題がある。それは、そのような変色は、使用する消費者に知覚されるためである。
【0161】
さらには本発明の吸水性ポリマー粒子は、特に使用中に不快臭の原因となる化合物が、十分排除されている。
【0162】
本発明は、本発明の吸水性ポリマー粒子を含む衛生用品、好ましくは、本発明による吸水性ポリマー粒子を50〜100質量%、好ましくは60〜100質量%、さらに好ましくは70〜100質量%、特に好ましくは80〜100質量%、さらに特に好ましくは90〜100質量%含む吸収層を含む超薄型おむつを提供する。この場合、吸収層のカバーは当然のことであるが計算に入れない。
【0163】
特に有利な方法として、本発明による吸水性ポリマー粒子は、例えば米国特許第2003/0181115号ならびに米国特許第2004/0019342号に記載されているような、積層体および複合材構造を製造するのに適している。両文献においてこのような新しい吸水性構造の製造のために記載されている溶融接着剤、および特に米国特許第2003/0181115号に記載されている繊維、すなわち吸水性ポリマー粒子が結合している溶融接着剤からなる繊維だけではなく、例えばAC−Resin(登録商標)(BASF AG、ドイツ国)として市販されているUV架橋性溶融接着剤の使用下に、まったく同様な構造を製造するためにも、本発明による吸水性ポリマー粒子は適している。これらのUV架橋性溶融接着剤は、すでに120〜140℃で加工可能だという利点を持ち、したがってこれらの溶融接着剤は、多くの熱可塑性基板と相容性が改善されている。もう1つの本質的な利点は、UV架橋性溶融接着剤は、毒物学的にまったく懸念がなく、かつ衛生用品中での揮発も生じない。本発明による吸水性ポリマー粒子との関連において特に重要な利点は、加工中および架橋中に黄変する傾向がないという、UV架橋性溶融接着剤の特性である。このことは特に、超薄型または部分的に透明な衛生用品を製造したい場合に有利である。したがって本発明による吸水性ポリマー粒子と、UV架橋性溶融接着剤との組み合わせは、特に有利である。適切なUV架橋性溶融接着剤は、例えば欧州特許公開公報第0377199(A2)号、欧州特許公開公報第0445641(A1)号、米国特許第5,026,806号、欧州特許公開公報第0655465(A1)号および欧州特許公開公報第0377191(A2)号に記載されている。
【0164】
後架橋の品質を測定するには、乾燥した吸水性ポリマー粒子を、以下に記載する試験法により試験する。
【0165】
方法:
測定は、別段の記載がないかぎり、周囲温度23±2℃およびの相対湿度50±10%で実施すべきである。測定前に吸水性ポリマー粒子を十分に混合する。
【0166】
遠心保持容量(CRC)
遠心保持容量は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)が推奨する試験法WSP241.2−05「遠心保持容量(Centrifuge retention capacity)」によって測定する。
【0167】
加圧下吸水量(AUL0.3psi)
2.07kPa(0.3psi)加圧下吸水量は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨される試験法第242.2−05「加圧下吸水量(Absorption under pressure)」により測定される。
【0168】
加圧下吸水量(AUL0.7psi)
4.83kPa(0.7psi)加圧下吸水量は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨される試験法第242.2−05「加圧下吸水量(Absorption under pressure)」により測定される。この場合、錘21g/cm2(0.3psi)の代わりに、錘49g/cm2(0.7psi)を用いる。
【0169】
生理食塩水流れ誘導性(SFC)
0.3psi(2070Pa)の圧力負荷の下で膨潤したゲル層の生理食塩水流れ誘導性を、欧州特許公開公報第0640330(A1)号に記載されているように、吸収性ポリマー粒子からなる膨潤したゲル層のゲル層透過性として測定する。この場合、前記の特許出願の第19ページおよび図8に記載されている装置は変更されて、ガラスフリット(40)がもはや使用されず、プランジャ(39)がシリンダ(37)と同一のプラスチック材料からなり、かつ今度は全設置面上に均一に配分された21個の同じ大きさの穿孔を持つようになった。測定の方法および評価は、欧州特許公開公報第0640330(A1)号に対して変更されていない。流量は自動的に測定される。
【0170】
生理食塩水流れ誘導性(SFC)は、以下のように計算される。
【0171】
SFC[cm3s/g]=(Fg(t=0)×L0)/(d×A×WP)
ここで、Fg(t=0)は、NaCl溶液の流量(単位g/s)であり、これは流量測定のデータFg(t)の直線回帰分析に基づいてt=0に対する外挿によって得られ、L0はゲル層の厚さ(単位cm)であり、dはNaCl溶液の比重(単位g/cm3)であり、Aはゲル層の面積(単位cm2)であり、かつWPはゲル層を介した静水圧(単位dyn/cm2)を表す。
【0172】
抽出可能分(16h)
吸水性ポリマー粒子の抽出可能な成分の含有率は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨される試験法WSP270.2−05、「抽出可能分(Extractables)」により測定する。
【0173】
ヒドロゲルの含水率
この吸水性ポリマーの含水率は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)により推奨された試験方法WSP230.2−05「含水率(Moisture content)」により測定する。
【0174】
CIE色度(Lab)
色測定を、CIELAB法(Hunterlab、第8巻、1996年、第7号、第1〜4ページ)により実施した。この場合、色は三次元系の座標L、aおよびbにより記載される。そして、Lは明度を表し、その際、L=0は黒を意味し、L=100は白を意味する。a及びbの値は、色彩軸の赤/緑若しくは黄/青上での色の位置を示し、その際、+aは赤色、−aは緑色、+bは黄色、かつ−bは青色を表す。
【0175】
この色測定は、DIN5033−6による3領域法に相応する。
【0176】
比色計"Modell LabScan XE S/N LX17309"(HunterLab、米国レストン)を使用した。
【0177】
貯蔵試験
測定1:内径9cm、高さ1.5cmのガラスシャーレに吸水性ポリマー粒子を満たし、その周縁にそってナイフで平滑にならして、CIE色度を測定する。
【0178】
測定2:内径9cm、高さ1.5cmのガラスシャーレに吸水性ポリマー粒子を満たし、その周縁にそってナイフで平滑にならす。シャーレに適当なガラス蓋をかぶせ、CIE色度を測定する。
【0179】
測定3および貯蔵:内径9cm、高さ1.5cmのガラスシャーレに吸水性ポリマー粒子を30g入れ、平滑にならす。次にシャーレを開放したまま、温度調整されかつ空気湿度が一定な人工気候室に置く。そのとき粒子は若干膨潤し、前もって決められた時間、この大気条件の下に置かれる。60℃、相対湿度90%で貯蔵する。
【0180】
貯蔵時間経過後、シャーレを取り出し、適当なガラス蓋をかぶせ、CIE色度を測定する。
【0181】
これらのEDANA試験法は、例えば、European Disposables and Nonwovens Assocation,Avenue Eugene Plasky 157,B−1030 Bruessel、ベルギー国)で得られる。
【0182】
実施例
実施例1(比較例)
Loedigeの鋤型混錬機、タイプVT 5R−MK(5リットル容量)中に、水459g、アクリル酸213.9g(0.02質量%のヒドロキノンモノメチルエーテルで安定化)、あらかじめ活性炭濾過し、ハイドロキノンモノメチルエーテルを除去したナトリウムアクリレート37.3質量%溶液1924.9g(100mol%中和)、および3回エトキシ化されたグリセリントリアクリレート2.52gを入れ、窒素を20分間吹込んで不活性化した。アクリル酸に対するヒドロキノンモノメチルエーテルの含有率は、約0.005質量%であった。このとき反応混合物を外部から冷却し、引き続いて重合開始剤添加を約20℃で行った。最後に混練機の攪拌下で、そこにさらに過硫酸ナトリウム(12.12gの水中に溶解)2.139g、アスコルビン酸(9.12gの水中に溶解)0.046g、そして30質量%の過酸化水素(1.15gの水中に溶解)0.127gを、迅速に順次添加した。反応は急激に生じ、そして内部温度が30℃に達した際にジャケットを80℃の高温熱媒で加熱して、この反応を可能な限り断熱的に完了させた。この最高温度に到達後、次いで冷却液体(−12℃)を用いて、生じたゲルを50℃未満に冷却し、次いで排出させた。
【0183】
このゲルを、ワイヤ底部が附属する2つの薄板上に配分し、そして140℃で250mbarの真空乾燥室中で乾燥させた。次いで、超遠心粉砕機を用いて粉砕し、そしてこの生成物を150〜850μmの粒度に篩別した。
【0184】
こうして製造したベースポリマーの特性は以下の通りである。
CRC=36.5g/g
AUL0.3psi=8.3g/g
抽出可能分(16h)=12.8質量%
残留含水率=2.6質量%
【表1】

【0185】
実施例2(比較例)
実施例1で製造したベースポリマー(20g)に、中程度の攪拌段階にセットされたWaringの実験室用ミキサー中で、シリンジにより後架橋剤溶液を噴霧した。この溶液は、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリジノン0.02g、水0.60g、および1,3−プロパンジオール0.30gからなる。この湿潤ポリマー粒子をスパチュラで再び均質化し、次いで内径18.5cmのペトリ皿中に均一に配分し、そして真空乾燥室(Heraeus VACUTHERM VT6060M;Kendro Laboratory Products GmbH、ドイツ国)中で、60分にわたって、175℃で熱処理した。このとき、約1013mbarで、約1200L/hの窒素を加えた。これにより、酸素分圧は10mbar未満となった。
【0186】
後架橋されたポリマー粒子を、850μmの篩により塊状物を除去し、分析した。
【0187】
こうして製造した後架橋ポリマー粒子の特性は下記の通りである。
CRC=31.0g/g
AUL0.7psi=24.5g/g
SFC=30×10-7cm3s/g
【表2】

【0188】
実施例3
実施例1で製造したベースポリマー(20g)に、中程度の攪拌段階にセットされたWaringの実験室用ミキサー中で、シリンジにより後架橋剤溶液を噴霧した。この溶液は、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリジノン0.02g、水0.60g、1,3−プロパンジオール0.30gからなる溶液に、水酸化カルシウム0.20gを分散させたものである。この湿潤ポリマー粒子をスパチュラで再び均質化し、次いで内径18.5cmのペトリ皿中に均一に配分し、そして真空乾燥室(Heraeus VACUTHERM VT6060M;Kendro Laboratory Products GmbH、ドイツ国)中で、60分にわたって、175℃で熱処理した。このとき、約1013mbarで、約1200L/hの窒素を加えた。これにより、酸素分圧は10mbar未満となった。
【0189】
後架橋されたポリマー粒子を、850μmの篩により塊状物を除去し、分析した。
【0190】
こうして製造した後架橋ポリマー粒子の特性は下記の通りである。
CRC=30.7g/g
AUL0.7psi=24.2g/g
SFC=35×10-7cm3s/g
【表3】

【0191】
実施例4
実施例1で製造したベースポリマー(20g)に、中程度の攪拌段階にセットされたWaringの実験室用ミキサー中で、シリンジにより後架橋剤溶液を噴霧した。この溶液は、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリジノン0.02g、水0.60g、1,3−プロパンジオール0.30gからなる溶液に、水酸化カルシウム0.20gを分散させたものである。これに続いて、乳酸アルミニウム0.12gを含む水溶液0.48gを噴霧した。この湿潤ポリマー粒子をスパチュラで再び均質化し、次いで内径18.5cmのペトリ皿中に均一に配分し、そして真空乾燥室(Heraeus VACUTHERM VT6060M;Kendro Laboratory Products GmbH、ドイツ国)中で、60分にわたって、175℃で熱処理した。このとき、約1013mbarで、約1200L/hの窒素を加えた。これにより、酸素分圧は10mbar未満となった。
【0192】
後架橋されたポリマー粒子を、850μmの篩により塊状物を除去し、分析した。
【0193】
こうして製造した後架橋ポリマー粒子の特性は下記の通りである。
CRC=30.4g/g
AUL0.7psi=24.5g/g
SFC=50×10-7cm3s/g
【表4】

【0194】
実施例5
実施例1で製造したベースポリマーを、150〜700μmに篩分けした。この篩分けしたベースポリマー(20g)に、中程度の攪拌段階にセットされたWaringの実験室用ミキサー中で、シリンジにより後架橋剤溶液を噴霧した。この溶液は、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリジノン0.02g、水0.30g、1,3−プロパンジオール0.30g、Span(登録商標)20 0.0006gからなる。これに続いて、乳酸カルシウム0.20gと乳酸アルミニウム0.12gを含む水溶液1.3gを噴霧した。この湿潤ポリマー粒子をスパチュラで再び均質化し、次いで内径18.5cmのペトリ皿中に均一に配分し、そして真空乾燥室(Heraeus VACUTHERM VT6060M;Kendro Laboratory Products GmbH、ドイツ国)中で、90分にわたって、175℃で熱処理した。このとき、約1013mbarで、約1200L/hの窒素を加えた。これにより、酸素分圧は10mbar未満となった。
【0195】
後架橋されたポリマー粒子を、700μmの篩により塊状物を除去し、分析した。150μm未満の粒子の割合は、0.3質量%未満であった。
【0196】
こうして製造した後架橋ポリマー粒子の特性は下記の通りである。
CRC=29.0g/g
AUL0.7psi=24.2g/g
SFC=130×10-7cm3s/g
【表5】

【0197】
実施例6
実施例1で製造したベースポリマーを、150〜600μmに篩分けした。この篩分けしたベースポリマー(20g)に、中程度の攪拌段階にセットされたWaringの実験室用ミキサー中で、シリンジにより後架橋剤溶液を噴霧した。この溶液は、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリジノン0.02g、水0.30g、1,3−プロパンジオール0.30g、Span(登録商標)20 0.0006gからなる。これに続いて、乳酸カルシウム0.20gと乳酸アルミニウム0.12gを含む水溶液1.3gを噴霧した。この湿潤ポリマー粒子をスパチュラで再び均質化し、次いで内径18.5cmのペトリ皿中に均一に配分し、そして真空乾燥室(Heraeus VACUTHERM VT6060M;Kendro Laboratory Products GmbH、ドイツ国)中で、90分にわたって、175℃で熱処理した。このとき、約1013mbarで、約1200L/hの窒素を加えた。これにより、酸素分圧は10mbar未満となった。
【0198】
後架橋されたポリマー粒子を、600μmの篩により塊状物を除去し、分析した。150μm未満の粒子の割合は、0.3質量%未満であった。
【0199】
こうして製造した後架橋ポリマー粒子の特性は下記の通りである。
CRC=28.2g/g
AUL0.7psi=24.4g/g
SFC=115×10-7cm3s/g
【表6】

【0200】
実施例7(比較例)
実施例1で製造したベースポリマーを、150〜600μmに篩分けした。この篩分けしたベースポリマー(20g)に、中程度の攪拌段階にセットされたWaringの実験室用ミキサー中で、シリンジにより後架橋剤溶液を噴霧した。この溶液は、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリジノン0.02g、水0.30g、1,3−プロパンジオール0.30g、Span(登録商標)20 0.0006gからなる。これに続いて、硫酸アルミニウム0.05gを含む水溶液1.3gを噴霧した。この湿潤ポリマー粒子をスパチュラで再び均質化し、次いで内径18.5cmのペトリ皿中に均一に配分し、そして真空乾燥室(Heraeus VACUTHERM VT6060M;Kendro Laboratory Products GmbH、ドイツ国)中で、90分にわたって、175℃で熱処理した。このとき、約1013mbarで、約1200L/hの窒素を加えた。これにより、酸素分圧は10mbar未満となった。
【0201】
後架橋されたポリマー粒子を、600μmの篩により塊状物を除去し、分析した。150μm未満の粒子の割合は、0.3質量%未満であった。
【0202】
こうして製造した後架橋ポリマー粒子の特性は下記の通りである。
CRC=25.9g/g
AUL0.7psi=22.2g/g
SFC=97×10-7cm3s/g
【表7】

【0203】
実施例8
実施例1で製造したベースポリマーを、150〜600μmに篩分けした。この篩分けしたベースポリマー(20g)に、中程度の攪拌段階にセットされたWaringの実験室用ミキサー中で、シリンジにより後架橋剤溶液を噴霧した。この溶液は、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリジノン0.02g、水0.30g、1,3−プロパンジオール0.30g、Span(登録商標)20 0.0006gからなる。これに続いて、水酸化カルシウム0.05gを含む水性分散物を0.7gと、硫酸アルミニウム0.05gを含む水溶液0.6gとを順次噴霧した。この湿潤ポリマー粒子をスパチュラで再び均質化し、次いで内径18.5cmのペトリ皿中に均一に配分し、そして真空乾燥室(Heraeus VACUTHERM VT6060M;Kendro Laboratory Products GmbH、ドイツ国)中で、90分にわたって、175℃で熱処理した。このとき、約1013mbarで、約1200L/hの窒素を加えた。これにより、酸素分圧は10mbar未満となった。
【0204】
後架橋されたポリマー粒子を、600μmの篩により塊状物を除去し、分析した。150μm未満の粒子の割合は、0.3質量%未満であった。
【0205】
こうして製造した後架橋ポリマー粒子の特性は下記の通りである。
CRC=26.5g/g
AUL0.7psi=22.0g/g
SFC=100×10-7cm3s/g
【表8】

【0206】
実施例9(比較例)
実施例1で製造したベースポリマー(20g)に、中程度の攪拌段階にセットされたWaringの実験室用ミキサー中で、シリンジにより後架橋剤溶液を噴霧した。この溶液は、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリジノン0.02g、水0.60g、1,3−プロパンジオール0.30g、硫酸アルミニウム0.04gからなる。この湿潤ポリマー粒子をスパチュラで再び均質化し、次いで内径18.5cmのペトリ皿中に均一に配分し、そして真空乾燥室(Heraeus VACUTHERM VT6060M;Kendro Laboratory Products GmbH、ドイツ国)中で、60分にわたって、175℃で熱処理した。このとき、約1013mbarで、約1200L/hの窒素を加えた。これにより、酸素分圧は10mbar未満となった。
【0207】
後架橋されたポリマー粒子を、850μmの篩により塊状物を除去し、分析した。
【0208】
こうして製造した後架橋ポリマー粒子の特性は下記の通りである。
CRC=30.8g/g
AUL0.7psi=23.2g/g
SFC=28×10-7cm3s/g
【表9】

【0209】
実施例10(比較例)
実施例1で製造したベースポリマー(20g)に、中程度の攪拌段階にセットされたWaringの実験室用ミキサー中で、シリンジにより後架橋剤溶液を噴霧した。この溶液は、N−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキサゾリジノン0.02g、水0.80g、1,3−プロパンジオール0.30g、乳酸アルミニウム0.10gからなる。この湿潤ポリマー粒子をスパチュラで再び均質化し、次いで内径18.5cmのペトリ皿中に均一に配分し、そして真空乾燥室(Heraeus VACUTHERM VT6060M;Kendro Laboratory Products GmbH、ドイツ国)中で、60分にわたって、175℃で熱処理した。このとき、約1013mbarで、約1200L/hの窒素を加えた。これにより、酸素分圧は10mbar未満となった。
【0210】
後架橋されたポリマー粒子を、850μmの篩により塊状物を除去し、分析した。
【0211】
こうして製造した後架橋ポリマー粒子の特性は下記の通りである。
CRC=30.1g/g
AUL0.7psi=24.7g/g
SFC=47×10-7cm3s/g
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも部分中和されていてよい少なくとも一種の不飽和カルボン酸と、
b)少なくとも1種のヒドロキノン半エーテルと、
c)少なくとも1種の無機過酸化物と
を含むモノマー溶液またはモノマー懸濁液を重合させる吸水性ポリマー粒子を製造する方法であって、ポリマー粒子が2価金属カチオンの塩基性塩少なくとも1種で被覆されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記不飽和カルボン酸a)が、少なくとも25mol%まで中和されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モノマー溶液が、ヒドロキノン半エーテルb)を、不飽和カルボン酸a)に対して0.001〜0.016質量%含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記無機過酸化物c)が塩であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記2価金属カチオンが、元素周期律表の第2主族の金属カチオンであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマー粒子が、2価金属カチオンの塩基性塩の溶液または懸濁液によって被覆されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマー粒子が、3価金属カチオンの塩の少なくとも1種によって被覆されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記3価金属カチオンの塩がカルボン酸の塩であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記3価金属カチオンの塩が2−ヒドロキシカルボン酸の塩であることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー粒子が熱により後架橋されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマー粒子が、熱による後架橋前に、2価金属カチオンの塩基性塩で被覆されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマー粒子が、熱による後架橋前に、3価金属カチオンの塩で被覆されることを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
1種以上の酸化性ガスの分圧合計は、前記の熱による後架橋中、ポリマー粒子に加えられる雰囲気で、140mbar未満であることを特徴とする、請求項10から12までのいずれかに記載の方法。
【請求項14】
大粒径のポリマー粒子が、熱による後架橋前に、メッシュサイズ700μm未満の篩によって篩分けされることを特徴とする、請求項10から13までのいずれかに記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1種の1,3−ジオールが後架橋剤として用いられることを特徴とする、請求項10から13までのいずれかに記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1種の環状カルバミン酸エステルが後架橋剤として用いられることを特徴とする、請求項10から14までのいずれかに記載の方法。
【請求項17】
請求項1から16までのいずれかに記載の方法によって製造可能な吸水性ポリマー粒子。
【請求項18】
前記ポリマー粒子の少なくとも90質量%は、その粒径が150〜600μmの範囲にあることを特徴とする、請求項17に記載のポリマー粒子。
【請求項19】
前記ポリマー粒子は、60℃かつ相対湿度90%で300時間後、そのb値が15以下であることを特徴とする、請求項17または18に記載のポリマー粒子。
【請求項20】
請求項17から19に記載の吸水性ポリマー粒子を含む衛生用品。

【公表番号】特表2010−516882(P2010−516882A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547662(P2009−547662)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051009
【国際公開番号】WO2008/092842
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】