説明

高周波加熱機器のドアー開閉装置

【課題】電波漏洩の全く心配ない安全性の高い、簡単にドアーの開閉ができる操作性に優れた機器を提供すること。
【解決手段】ドアー1の一部に設けた回転軸2aを中心に可動するハンドル2と、ハンドル2の回転軸2aを中心に可動する動きに連動して上下方向にスライドする凸部を有する本体とのドアーキー3と、ドアーキー3により直接・間接的にON・OFFする複数のスイッチ7・8・9を配置したドアーフック4とを備え、前記ドアーフック4に固定された1個以上のスイッチ9はドアー1と本体12が保持された状態でON・OFFし、ドアーキー3の凸部先端のドアーフック4との係合部をドアーキー3の上下方向の摺動と略平行になるように設け、ハンドル2を引っぱることによりドアーキー3を上下方向にスライドさせドアーフック4との勘合を解除する構成としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波加熱装置の安全性を確保しながらドアー開閉力を軽くするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の横開きドアーはハンドル部を直接引っ張って開くプル方式を採用している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5は、特許文献1に記載された従来のプル式ドアー開閉機構を示すものである。図5に示すように、ドアー1と、ドアー1に設けたハンドル2と、ドアー1に設けたドアーキー3と、ドアーキーが係合するドアーフック4とドアーキー3によって作動されるフックスペーサー5,6と、フックスペーサーを介しONーOFFするスイッチ7、8、9から構成されている。
【特許文献1】特開平11−182853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、ドアー1のハンドル2を引っ張るとドアーキー3先端係合部の傾斜角3aに沿って開いていく。この傾斜角度がきついとドアー1の開力は重たくなり、ゆるいと軽くなるのは言うまでもない。この傾斜角度を決定する要因はドアー1の開閉力、電波漏洩規制であるが、ドアー1の開きに対して発振を停止するスイッチ6の動作を優先させているのが現状である。ドアーキー3はバネ10の力でフックスペーサー5,6を介しスイッチ7,8、9をONさせる構造にしている。ドアーキー3はドアー1に設けた取り付け部11に摺動可能に取り付けられている。バネ10はスイッチ7,8,9のON荷重とドアーキーの3の摺動抵抗を考慮した荷重設定が求められる。この条件でドアー1を開けようとすると、ドアーキー3とドアーフック4の係合部4aの摩擦抵抗、ドアー1に設けた取り付け部11とドアーキー3の摩擦抵抗とドアー1の開方向とドアーキー3の動作方向が直行しているため分力されかなり開力が重たくなってしまうという課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ドアーの一部に設けた回転軸を中心に可動するハンドルと、ハンドルの回転軸を中心に可動する動きに連動して上下方向にスライドする凸部を有する本体との勘合部材(ドアーキー)と、ドアーキーをスライド可能にするバネと、ドアーキーにより直接・間接的にON・OFFする複数のスイッチを配置した本体勘合部材(ドアーフック)とを備え、前記ドアフックに固定された1個以上のスイッチはドアーと本体が保持された状態でON・OFFし、スイッチドアーキーの凸部先端のフックとの係合部をドアーの上下方向の摺動と略平行になるように設け、ハンドルを引っぱることによりドアーキーを上下方向にスライドさせ本体に設けたフックとの勘合を解除する構成にすることにより電波漏洩に対して全く心配のない、誰でも指一本で簡単に開閉できる操作性に優れた機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の高周波加熱装置のドアー開閉機構は、ドアーの一部に設けた回転軸を中心に可動するハンドルと、ハンドルの回転軸を中心に可動する動きに連動して上下方向にスライドする凸部を有する本体との勘合部材(ドアーキー)と、ドアーキーをスライド可能にするバネと、ドアーキーにより直接・間接的にON・OFFする複数のスイッチを配置した本体勘合部材(ドアーフック)とを備え、前記フックに固定された1個以上のスイッチはドアーと本体が保持された状態でON・OFFし、ドアーキーの凸部先端とドアーフックとの係合部をドアーの上下方向の摺動と略平行になるように設け、ハンドルを引っぱることによりドアーキーを上下方向にスライドさせフックとの勘合を解除する構成としたものである。
【0007】
これによって、ハンドルを引っ張るとドアーの一部に設けた回転軸を中心に回動する動きに連動し、ドアーキーを上下方向にスライドさせスイッチをOFFし動作を停止するが、この時ドアーは本体と保持された状態を維持しており、かつ係合部がドアーの上下方向の摺動と略平行になっているのでドアーと本体間に隙間は発生しない。
【0008】
したがって、発振が停止した状態ではドアーは全く開くことがないため、ドアー開途中時電波漏洩の全く心配のない安全かつ操作性のよい機器を提供できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の高周波加熱機器のドアー開閉装置は、ドアー開閉途中の電波漏洩の心配のない安全かつ軽い力で簡単に開閉できる操作性に優れた機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の高周波加熱装置のドアー開閉機構は、被加熱物を調理する本体と、被加熱物を出し入れする横開きのドアーと、前記ドアーの一部に設けた回転軸を中心に可動するハンドルと、前記ハンドルの回転軸を中心に可動する動きに連動して上下方向にスライドする凸部を有する本体との勘合部材(ドアーキー)と、前記ドアーキーをスライド可能にするバネと、前記ドアーキーにより直接・間接的にON・OFFする複数のスイッチを配置した本体勘合部材(ドアーフック)とを備え、前記スイッチはドアーと本体が保持された状態でON・OFFし、ドアーキーの凸部先端とフックとの係合部をドアーの上下方向の摺動と略平行になるように設け、ハンドルを引っぱることによりドアーキーを上下方向にスライドさせ本体に設けたドアーフックとの勘合を解除する構成としたものである。
【0011】
これによって、ハンドルを引っ張るとドアーの一部に設けた回転軸を中心に回動する動きに連動し、ドアーキーを上下方向にスライドさせスイッチをOFFし動作を停止するが、この時ドアーは本体と保持された状態を維持しており、かつ係合部がドアーの上下方向の摺動と略平行になっているのでドアーと本体間に隙間は発生しない。
【0012】
したがって、発振が停止した状態ではドアーは全く開くことがないため、ドアー開時電波漏洩の全く心配のない安全かつ操作性のよい機器を提供できる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施形態における高周波加熱機器のドアー開閉装置のドアー閉時の要部断面図、図2は、本発明の第1の実施形態における高周波加熱機器の全体図、図3は、本発明の第1の実施形態における高周波加熱機器のドアー開閉装置のドアー閉要部詳細図、図4は、本発明の第1の実施形態における高周波加熱機器のドアー半開要部詳細図を示すものである。
【0015】
図1から4において、高周波加熱装置は本体12と食品を収納する加熱室13と加熱室13を閉じるドアー1と操作部14からなり、ドアー1には本体12と閉状態を維持するためドアーキー3が、本体12側にはドアーフック4が設けられている。ドアーキー3はドアーバネ10によって上方に作用するようにドアー1上部1aに一端を、他端をドアーキー3に引っ掛け、電波漏洩防止機能を有した板金15側面の長穴15aに摺動可能に引っ掛けてある。ドアーバネ10はドアーキー3の突起部3bの先端とフックスペーサー5の摩擦抵抗、ドアーキー3と電波漏洩防止機能を有した板金15側面間での接触抵抗を受けつつスイッチ9をONする(ON荷重200g)必要があるため、スイッチのON荷重に対して余裕を持った引き込み力に設定してある。
【0016】
ドアーキー3は板金15との間で摺動面する。ドアー1の下部にはハンドル2がハンドル2の支点2aを中心に回動するよう取り付けてあり、ハンドルバネ16によって上方に作用するようにドアー1の爪1bに一端を、他端をハンドル2に引っ掛けてある。またハンドル2の手掛かり部2bと支点2aを結ぶ直線から略90℃の位置に突起2cが設けてある。
【0017】
一方、ドアーキー3にはハンドル2の突起2cを覆うように凹部があり、突起2cの動作方向に近接して接触面3aを有している。またドアーキー3にはドアーフック4側に向け2個の突起部3b、3cがドアー1に中央から略均等に設けてあり先端には上向きの勘合部を有している。この勘合部はドアーキー3の上下方向の摺動と略並行に突出させている。
【0018】
本体12側に配置されたドアーフック4にはドアーキー3の勘合部3b,3cに対応する位置になだらかな傾斜を持った開口4b、4cを設けてある。ドアーフック4にはドアー1の開閉を検知するスイッチ7,8,9が取り付けてあり、スイッチ7,8はフックスペーサー5を介しドアーキー3の突起部3bの先端、スイッチ9はドアーキー3の突起部3cの先端に設けた勘合部の先端で直接ON・OFFする構成としている。スックスペーサー5は支点5aを回転軸とし、一片をドアーキー3の突起部3bの先端で押し、他端でスイッチ8をONさせる。支点5aとドアーキー3の突起部3bが接触する一片までの距離を支点5aからスイッチ8をONさせる他端の距離の2倍程度取ってある。スイッチ7の動作用ボタンはスペーサー5の支点5aに向けて取り付けてある。
【0019】
本体12へのドアーフック4の取り付けはドアー1のガタ等が発生しないようビスにより調整して取り付ける構成(図示せず)としている。
【0020】
以上のように構成された高周波加熱機器のドアー開閉装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0021】
まず、ドアー1の閉じた状態ではハンドル2はハンドルバネ16によって上方に作用するようにしてあり常に所定の位置にガタ等の発生もなく安定して取り付けることが出来る。またハンドル2の突起2cとドアーキー3の接触面3a間に隙間を持たしているため多少の部品・組み立てバラツキは吸収できる構成としている。
【0022】
次に、ハンドル2の手掛かり部2bに手を掛け引っ張ると支点2aを回転軸としハンドル2の突起2c部が可動し、ハンドル2の突起2cでドアーキー3の接触面3aを下方に押し下げる。
【0023】
さらに、ハンドル2を引っ張り続けると、スイッチ9の動作ボタンがOFFするがこの時ドアーフック4のドアーキー3の勘合部3b,3cに対応する位置になだらかな傾斜を持った開口4b、4cからドアーキー3の突起部3b、3c先端の上向きの勘合部は外れていない。またこの勘合部はドアーキー3の上下方向の摺動と略並行に突出させているのでスイッチ9がOFFした時点ではドアー1は全く開いていないこととなる。従って、高周波加熱機器が動作中でドアー1が少しでも開いた時にはすでに高周波の発振が停止していることとなる。さらにハンドル2を引っ張り続けると、ドアーフック4のドアーキー3の勘合部3b,3cに対応する位置になだらかな傾斜を持った開口4b、4cからドアーキー3の突起部3b、3c先端の上向きの勘合部が外れ、ドアー1を開くことが出来る。
【0024】
以上のように、本実施の形態においては、ドアー開閉装置のフックに固定した複数個のスイッチを、ドアーキーの一部で直接・間接的にON・OFFさせる構成とし、ドアーフックに固定された少なくとも1個以上のスイッチはドアーと本体が保持された状態でON・OFFし、ドアーキーの本体フックとの係合は上下方向の摺動と略平行になるように設けることにより、発振が停止した状態ではドアーは全く開くことがないため、ドアー開時電波漏洩の心配のない安全な機器を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上のように、本発明にかかる高周波加熱機器のドアー開閉装置は、非常に軽い力で簡単にドアーの開閉が可能となるので、電熱加熱付高周波加熱装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1における高周波加熱機器のドアー開閉装置のドアー閉時の要部断面図
【図2】本発明の実施の形態1における高周波加熱機器の全体図
【図3】本発明の実施の形態1における高周波加熱機器のドアー開閉装置のドアー閉要部詳細図
【図4】本発明の実施の形態1における高周波加熱機器のドアー開閉装置のドアー半開要部詳細図
【図5】従来のドアーキー及びドアーフックの要部拡大図
【符号の説明】
【0027】
1 ドアー
2 ハンドル
2a 支点(回転軸)
3 ドアーキー
3b、3c 突起部(凸部)
4 ドアーフック
7、8、9 スイッチ
12 本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を調理する本体と、被加熱物を出し入れする横開きのドアーと、前記ドアーの一部に設けた回転軸を中心に可動するハンドルと、前記ハンドルの回転軸を中心に可動する動きに連動して上下方向にスライドする凸部を有する本体との勘合部材(以下、ドアーキーと称す)と、前記ドアーキーをスライド可能にするバネと、前記ドアーキーにより直接・間接的にON・OFFする複数のスイッチを配置した本体勘合部材(以下、ドアーフックと称す)とを備え、前記スイッチはドアーと本体が保持された状態でON・OFFし、ドアーキーの凸部先端とドアーフックとの係合部をドアーの上下方向の摺動と略平行になるように設け、ハンドルを引っぱることによりドアーキーを上下方向にスライドさせ本体に設けたドアーフックとの勘合を解除する構成の高周波加熱機器のドアー開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−226566(P2006−226566A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−38819(P2005−38819)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】