高周波増幅器
【課題】本発明は、整合条件を変更するための制御回路を必要とせずに、複数の周波数帯で利用可能となる簡素な構成の高周波増幅器を提供することを目的とする。
【解決手段】パッケージ基板と、該パッケージ基板の表面に設置された増幅能動素子と、該増幅能動素子と接続されて高周波信号を伝送する伝送線路とを有する。そして、一端が該伝送線路にシャント接続されたSMD部品と、該SMD部品の他端と接続され一部が該パッケージ基板の裏面に露出するSMD部品用端子と、該伝送線路のうち該増幅能動素子と接続された部分と反対側の端部と接続され、一部が該パッケージ基板の裏面に露出する外部端子とを備えたことを特徴とする。
【解決手段】パッケージ基板と、該パッケージ基板の表面に設置された増幅能動素子と、該増幅能動素子と接続されて高周波信号を伝送する伝送線路とを有する。そして、一端が該伝送線路にシャント接続されたSMD部品と、該SMD部品の他端と接続され一部が該パッケージ基板の裏面に露出するSMD部品用端子と、該伝送線路のうち該増幅能動素子と接続された部分と反対側の端部と接続され、一部が該パッケージ基板の裏面に露出する外部端子とを備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やS帯、C帯無線通信などに用いられる高周波増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やS帯、C帯無線通信などでは、地域によって使用可能な周波数が決まっている。セットメーカーにとって、使用可能な周波数ごとに異なった高周波増幅器を準備することは製造を複雑化するため回避することが望ましい。そのため、高周波増幅器は複数の周波数帯で使用可能なように構成されることがある。
【0003】
そのような高周波増幅器のうち周知なものについて図13を参照して説明する。図13に記載の高周波増幅回路は増幅能動素子12で増幅された信号が伝送線路を通って出力される構成である。さらに、この高周波増幅器はマッチングを取るためにチップコンデンサ21およびチップコンデンサ51がシャント接続される。チップコンデンサ51にはチップインダクタとダイオード52が接続される。ここで、ダイオード52は端子53からの給電の有無によりオンオフの切り替えが可能な構成である。よって、ダイオード52のオンオフによりチップコンデンサ51を接地するかオープンとするかを変えることができる。これにより、2つの周波数帯に対してそれぞれ最適な整合条件となるように高周波増幅器のインピーダンスを変えることができる。
【0004】
このように、一つの高周波増幅器を複数の周波数帯に対して利用可能とするために、ダイオードなどの能動素子を用いてチップコンデンサなどのオンオフ制御を行っていた。また、特許文献1から4には複数の周波数帯域の信号を扱うことができる高周波増幅器などについて記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−127040号公報
【特許文献2】特開平09−186533号公報
【特許文献3】特開平10−126173号公報
【特許文献4】特開2008−113202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、高周波増幅器を複数の周波数帯で利用可能とするためには能動素子およびそれを制御するための回路(以後、高周波増幅器の整合条件を変えるために設けられる能動素子およびそれを制御するための回路を制御回路という)を付加することが必要である。よって、部品点数が増大する問題があった。
【0007】
また、制御回路に給電する必要もあるので、高周波増幅器全体の動作効率が低下する問題もあった。
【0008】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、整合条件を変更するための制御回路を必要とせずに、複数の周波数帯で利用可能な高周波増幅器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の発明にかかる高周波増幅器は、パッケージ基板と、該パッケージ基板の表面に設置された増幅能動素子と、該増幅能動素子と接続されて高周波信号を伝送する伝送線路と、一端が該伝送線路にシャント接続されたSMD部品と、該SMD部品の他端と接続され一部が該パッケージ基板の裏面に露出するSMD部品用端子と、該伝送線路のうち該増幅能動素子と接続された部分と反対側の端部と接続され、一部が該パッケージ基板の裏面に露出する外部端子とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本願の発明のかかる高周波増幅器は、パッケージ基板と、該パッケージ基板の表面に設置された増幅能動素子と、該パッケージ基板に該増幅能動素子と直列に接続されるように形成された第一伝送線路と、該パッケージ基板に該増幅能動素子と直列に接続されるように形成された第二伝送線路と、該第一伝送線路と接続され、一部が該パッケージ基板の裏面に露出する第一接続端子と、該第二伝送線路と接続され、一部が該パッケージ基板の裏面に露出する第二接続端子とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡素な構成で複数の周波数帯において利用可能な高周波増幅器を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態1の高周波増幅器の斜視図である。
【図2】図1の高周波増幅器を下方から見た図である。
【図3】実施形態1の高周波増幅器の等価回路図である。
【図4】実装ボード表面に形成される回路パターンを説明する図である。
【図5】実装ボード表面に形成される回路パターンを説明する図である。
【図6】高周波増幅器が異なる周波数の信号を増幅できることを説明する図である。
【図7】接地か無接続かの切り替えが可能なSMD部品を二つ備える高周波増幅器について説明する図である。
【図8】図7の高周波増幅器の等価回路図である。
【図9】実施形態2の高周波増幅器の斜視図である。
【図10】実装ボード表面に形成される回路パターンを説明する図である。
【図11】実装ボード表面に形成される回路パターンを説明する図である。
【図12】実施形態2の高周波増幅器の等価回路図である。
【図13】周知な高周波増幅器を説明する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1
本実施形態は図1から図8を参照して説明する。なお、同一または対応する構成要素には同一の符号を付して複数回の説明を省略する場合がある。他の実施形態でも同様である。
【0014】
図1は本実施形態の高周波増幅器10の斜視図である。図1において破線で示す部分は高周波増幅器10の内部を示す。本実施形態では、特に高周波特性に重要な役割を果たす出力整合を例に挙げて説明する。高周波増幅器10はパッケージ基板11を備える。パッケージ基板11は例えば両面単層樹脂基板である。パッケージ基板11の表面には増幅能動素子12が設置される。増幅能動素子12はワイヤボンディングなどにより伝送線路13と接続される。伝送線路13はパッケージ基板11の表面に形成された回路パターンである。
【0015】
この伝送線路13の終端は出力端である。出力端は外部出力端子32と接続される。図1から把握できるように、外部出力端子32はその一部がパッケージ基板11の裏面に露出する。伝送線路13のうち増幅能動素子12から出力端へ伸びる部分にはSMD部品21、22がシャント接続される。SMD部品21、22はチップコンデンサやチップインダクタなどである。SMD部品21は一端が伝送線路13と接続され他端が接地部と接続される。SMD部品22は一端が伝送線路13と接続され他端がSMD部品用端子33と接続される。SMD部品用端子33はその一部がパッケージ基板11の裏面に露出する。
【0016】
図2は高周波増幅器10を裏側から見た図である。図2から分かるように外部出力端子32とSMD部品用端子33はともにパッケージ基板11の裏面に露出する。そして、外部出力端子32とSMD部品用端子33は、パッケージ基板11の外形に沿うようにまとめて配置される。またパッケージ基板11の裏面には設置部31が形成される。
【0017】
図3は、前述の構成を有する高周波増幅器10の等価回路図である。後述するように、SMD部品用端子33は接地される場合と無接続とされる場合があるため、図3では破線で示す。
【0018】
高周波増幅器10はセットメーカーの実装ボード上に搭載される。具体的には、高周波増幅器10の裏面が、パターン形成された実装ボードの表面に接するように高周波増幅器10が実装ボードに搭載される。
【0019】
図4と図5には実装ボードの表面に形成されるパターンの例が表示されている。SMD部品用端子33は図4の実装ボードの斜線部分または図5の実装ボードの斜線部分に設置される。外部出力端子32は図4、図5のRFoutputと記載された部分に設置される。従って高周波増幅器10を図4の実装ボード上に搭載すると、SMD部品用端子33は接地される。このような接続の場合に高周波増幅器10が増幅するRF信号の周波数をf1とする。一方、高周波増幅器10を図5の実装ボード上に搭載するとSMD部品用端子33は無接続となる。このような接続の場合に高周波増幅器10が増幅するRF信号の周波数をf2とする。
【0020】
図6は周波数f1付近が増幅された場合のS21特性(伝送特性)と周波数f2付近が増幅された場合のS21特性を表す。図6に示すとおり、本実施形態の高周波増幅器10は実装ボード表面のパターンを微小変更するだけで、増幅するべきRF信号を変えることができる。つまり、本実施形態の高周波増幅器10を使用すれば、使用する周波数ごとに異なった高周波増幅器を準備することを回避できる。そのため高周波増幅器を汎用化できる点において優れる。また、本実施形態の高周波増幅器10は、整合条件を変えるための能動素子およびそれを制御するための回路を要することなく複数の周波数帯で利用可能である。よって部品点数の増大はない。また、能動素子などへの給電も不要であるから、高周波増幅器10全体の動作効率の低下を回避できる。
【0021】
本実施形態では接地・無接続の切り替えが可能なSMD部品は一つであったが本発明はこれに限定されない。接地・無接続の切り替えが可能なSMD部品を複数備えることとしてもよい。たとえば、そのようなSMD部品を2個備える場合について図7、8を参照して説明する。図7の構成は上述の構成に加えてSMD部品23を備える。図7の高周波増幅器は更に、SMD部品23と接続され、かつパッケージ基板11の裏面に露出するSMD部品用端子34を備える。図8は図7の高周波増幅器の等価回路である。図8ではSMD部品用端子33を接地し、SMD部品用端子34を無接続とした場合が示されている。
【0022】
そして、SMD部品用端子33をセットメーカーの実装ボード上で接地する場合と、SMD部品用端子34をセットメーカーの実装ボード上で接地する場合とで増幅する周波数を変えることができる。また、SMD部品用端子33、34のいずれも接地せず無接続とすることもできる。このようにSMD部品とSMD部品用端子のペアを複数備えると、高周波増幅器が対応可能な周波数帯を増加できる。
【0023】
また、本実施形態では出力整合について論じたが本発明はこれに限定されない。本発明を入力整合などに利用しても本発明の効果を得ることができる。よって、伝送線路13の出力端は端部であればよく、外部出力端子32は信号の出力用ではない外部端子であってもよい。
【0024】
実施の形態2
本実施形態は図9ないし図12を参照して説明する。本実施形態の高周波増幅器はインダクタンス成分を変更することで増幅するべき周波数を変更するものである。図9に示すように伝送線路13は第一伝送線路15と第二伝送線路16を備える。第一伝送線路15のインダクタンスは第二伝送線路16のインダクタンスと異なる。第一伝送線路15はパッケージ基板11上に増幅能動素子12と直列に接続されるように形成される。第一伝送線路15は第一接続端子36に接続される。第一接続端子36はその一部がパッケージ基板11の裏面に露出する。
【0025】
一方、第二伝送線路16はパッケージ基板11上に増幅能動素子12と直列に接続されるように形成される。第二伝送線路16は第二接続端子35に接続される。第二接続端子35はその一部がパッケージ基板11の裏面に露出する。
【0026】
外部接続端子32はパッケージ基板11表面において第三接続端子37と接続される。第三接続端子37の一部はパッケージ基板11の裏面に露出する。よって、本実施形態のパッケージ基板11の裏面には、外部出力端子32、第一接続端子36、第二接続端子35、第三接続端子32がそれぞれ独立して露出する。このような高周波増幅器の等価回路を図12に表す。そして、本実施形態の高周波増幅器も実施形態1と同様にセットメーカーの実装ボード表面に設置される。
【0027】
図10および図11は実装ボード表面のパターンについて説明する図である。図10のようにパターンを形成する場合は、第一接続端子36が第三接続端子37を経由して外部出力端子32と接続される。すなわちRF信号は第一伝送線路15を通る。なお図10の斜線部分は第一接続端子36と接する部分である。
【0028】
他方、図11のようにパターンを形成する場合は第二接続端子35が第三接続端子37を経由して外部出力端子32に接続される。すなわちRF信号は第二伝送線路16を通る。なお図11の斜線部分は第二接続端子35と接する部分である。このように実装ボードのパターンを図10の形状あるいは図11の形状とすることで第一伝送線路15を用いるか第二伝送線路16を用いるか変えることができる。これにより実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0029】
また、本実施形態では第一接続端子36と第二接続端子35とは隣接して配置されるため、実装ボードの接続配線設計が容易である点においても優れる。
【符号の説明】
【0030】
10 高周波増幅器、 11 パッケージ基板、 12 増幅能動素子、 13 伝送線路、 21 SMD部品、 22 SMD部品、 32 外部出力端子、 33 SMD部品用端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やS帯、C帯無線通信などに用いられる高周波増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話やS帯、C帯無線通信などでは、地域によって使用可能な周波数が決まっている。セットメーカーにとって、使用可能な周波数ごとに異なった高周波増幅器を準備することは製造を複雑化するため回避することが望ましい。そのため、高周波増幅器は複数の周波数帯で使用可能なように構成されることがある。
【0003】
そのような高周波増幅器のうち周知なものについて図13を参照して説明する。図13に記載の高周波増幅回路は増幅能動素子12で増幅された信号が伝送線路を通って出力される構成である。さらに、この高周波増幅器はマッチングを取るためにチップコンデンサ21およびチップコンデンサ51がシャント接続される。チップコンデンサ51にはチップインダクタとダイオード52が接続される。ここで、ダイオード52は端子53からの給電の有無によりオンオフの切り替えが可能な構成である。よって、ダイオード52のオンオフによりチップコンデンサ51を接地するかオープンとするかを変えることができる。これにより、2つの周波数帯に対してそれぞれ最適な整合条件となるように高周波増幅器のインピーダンスを変えることができる。
【0004】
このように、一つの高周波増幅器を複数の周波数帯に対して利用可能とするために、ダイオードなどの能動素子を用いてチップコンデンサなどのオンオフ制御を行っていた。また、特許文献1から4には複数の周波数帯域の信号を扱うことができる高周波増幅器などについて記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−127040号公報
【特許文献2】特開平09−186533号公報
【特許文献3】特開平10−126173号公報
【特許文献4】特開2008−113202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、高周波増幅器を複数の周波数帯で利用可能とするためには能動素子およびそれを制御するための回路(以後、高周波増幅器の整合条件を変えるために設けられる能動素子およびそれを制御するための回路を制御回路という)を付加することが必要である。よって、部品点数が増大する問題があった。
【0007】
また、制御回路に給電する必要もあるので、高周波増幅器全体の動作効率が低下する問題もあった。
【0008】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、整合条件を変更するための制御回路を必要とせずに、複数の周波数帯で利用可能な高周波増幅器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の発明にかかる高周波増幅器は、パッケージ基板と、該パッケージ基板の表面に設置された増幅能動素子と、該増幅能動素子と接続されて高周波信号を伝送する伝送線路と、一端が該伝送線路にシャント接続されたSMD部品と、該SMD部品の他端と接続され一部が該パッケージ基板の裏面に露出するSMD部品用端子と、該伝送線路のうち該増幅能動素子と接続された部分と反対側の端部と接続され、一部が該パッケージ基板の裏面に露出する外部端子とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本願の発明のかかる高周波増幅器は、パッケージ基板と、該パッケージ基板の表面に設置された増幅能動素子と、該パッケージ基板に該増幅能動素子と直列に接続されるように形成された第一伝送線路と、該パッケージ基板に該増幅能動素子と直列に接続されるように形成された第二伝送線路と、該第一伝送線路と接続され、一部が該パッケージ基板の裏面に露出する第一接続端子と、該第二伝送線路と接続され、一部が該パッケージ基板の裏面に露出する第二接続端子とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡素な構成で複数の周波数帯において利用可能な高周波増幅器を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態1の高周波増幅器の斜視図である。
【図2】図1の高周波増幅器を下方から見た図である。
【図3】実施形態1の高周波増幅器の等価回路図である。
【図4】実装ボード表面に形成される回路パターンを説明する図である。
【図5】実装ボード表面に形成される回路パターンを説明する図である。
【図6】高周波増幅器が異なる周波数の信号を増幅できることを説明する図である。
【図7】接地か無接続かの切り替えが可能なSMD部品を二つ備える高周波増幅器について説明する図である。
【図8】図7の高周波増幅器の等価回路図である。
【図9】実施形態2の高周波増幅器の斜視図である。
【図10】実装ボード表面に形成される回路パターンを説明する図である。
【図11】実装ボード表面に形成される回路パターンを説明する図である。
【図12】実施形態2の高周波増幅器の等価回路図である。
【図13】周知な高周波増幅器を説明する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1
本実施形態は図1から図8を参照して説明する。なお、同一または対応する構成要素には同一の符号を付して複数回の説明を省略する場合がある。他の実施形態でも同様である。
【0014】
図1は本実施形態の高周波増幅器10の斜視図である。図1において破線で示す部分は高周波増幅器10の内部を示す。本実施形態では、特に高周波特性に重要な役割を果たす出力整合を例に挙げて説明する。高周波増幅器10はパッケージ基板11を備える。パッケージ基板11は例えば両面単層樹脂基板である。パッケージ基板11の表面には増幅能動素子12が設置される。増幅能動素子12はワイヤボンディングなどにより伝送線路13と接続される。伝送線路13はパッケージ基板11の表面に形成された回路パターンである。
【0015】
この伝送線路13の終端は出力端である。出力端は外部出力端子32と接続される。図1から把握できるように、外部出力端子32はその一部がパッケージ基板11の裏面に露出する。伝送線路13のうち増幅能動素子12から出力端へ伸びる部分にはSMD部品21、22がシャント接続される。SMD部品21、22はチップコンデンサやチップインダクタなどである。SMD部品21は一端が伝送線路13と接続され他端が接地部と接続される。SMD部品22は一端が伝送線路13と接続され他端がSMD部品用端子33と接続される。SMD部品用端子33はその一部がパッケージ基板11の裏面に露出する。
【0016】
図2は高周波増幅器10を裏側から見た図である。図2から分かるように外部出力端子32とSMD部品用端子33はともにパッケージ基板11の裏面に露出する。そして、外部出力端子32とSMD部品用端子33は、パッケージ基板11の外形に沿うようにまとめて配置される。またパッケージ基板11の裏面には設置部31が形成される。
【0017】
図3は、前述の構成を有する高周波増幅器10の等価回路図である。後述するように、SMD部品用端子33は接地される場合と無接続とされる場合があるため、図3では破線で示す。
【0018】
高周波増幅器10はセットメーカーの実装ボード上に搭載される。具体的には、高周波増幅器10の裏面が、パターン形成された実装ボードの表面に接するように高周波増幅器10が実装ボードに搭載される。
【0019】
図4と図5には実装ボードの表面に形成されるパターンの例が表示されている。SMD部品用端子33は図4の実装ボードの斜線部分または図5の実装ボードの斜線部分に設置される。外部出力端子32は図4、図5のRFoutputと記載された部分に設置される。従って高周波増幅器10を図4の実装ボード上に搭載すると、SMD部品用端子33は接地される。このような接続の場合に高周波増幅器10が増幅するRF信号の周波数をf1とする。一方、高周波増幅器10を図5の実装ボード上に搭載するとSMD部品用端子33は無接続となる。このような接続の場合に高周波増幅器10が増幅するRF信号の周波数をf2とする。
【0020】
図6は周波数f1付近が増幅された場合のS21特性(伝送特性)と周波数f2付近が増幅された場合のS21特性を表す。図6に示すとおり、本実施形態の高周波増幅器10は実装ボード表面のパターンを微小変更するだけで、増幅するべきRF信号を変えることができる。つまり、本実施形態の高周波増幅器10を使用すれば、使用する周波数ごとに異なった高周波増幅器を準備することを回避できる。そのため高周波増幅器を汎用化できる点において優れる。また、本実施形態の高周波増幅器10は、整合条件を変えるための能動素子およびそれを制御するための回路を要することなく複数の周波数帯で利用可能である。よって部品点数の増大はない。また、能動素子などへの給電も不要であるから、高周波増幅器10全体の動作効率の低下を回避できる。
【0021】
本実施形態では接地・無接続の切り替えが可能なSMD部品は一つであったが本発明はこれに限定されない。接地・無接続の切り替えが可能なSMD部品を複数備えることとしてもよい。たとえば、そのようなSMD部品を2個備える場合について図7、8を参照して説明する。図7の構成は上述の構成に加えてSMD部品23を備える。図7の高周波増幅器は更に、SMD部品23と接続され、かつパッケージ基板11の裏面に露出するSMD部品用端子34を備える。図8は図7の高周波増幅器の等価回路である。図8ではSMD部品用端子33を接地し、SMD部品用端子34を無接続とした場合が示されている。
【0022】
そして、SMD部品用端子33をセットメーカーの実装ボード上で接地する場合と、SMD部品用端子34をセットメーカーの実装ボード上で接地する場合とで増幅する周波数を変えることができる。また、SMD部品用端子33、34のいずれも接地せず無接続とすることもできる。このようにSMD部品とSMD部品用端子のペアを複数備えると、高周波増幅器が対応可能な周波数帯を増加できる。
【0023】
また、本実施形態では出力整合について論じたが本発明はこれに限定されない。本発明を入力整合などに利用しても本発明の効果を得ることができる。よって、伝送線路13の出力端は端部であればよく、外部出力端子32は信号の出力用ではない外部端子であってもよい。
【0024】
実施の形態2
本実施形態は図9ないし図12を参照して説明する。本実施形態の高周波増幅器はインダクタンス成分を変更することで増幅するべき周波数を変更するものである。図9に示すように伝送線路13は第一伝送線路15と第二伝送線路16を備える。第一伝送線路15のインダクタンスは第二伝送線路16のインダクタンスと異なる。第一伝送線路15はパッケージ基板11上に増幅能動素子12と直列に接続されるように形成される。第一伝送線路15は第一接続端子36に接続される。第一接続端子36はその一部がパッケージ基板11の裏面に露出する。
【0025】
一方、第二伝送線路16はパッケージ基板11上に増幅能動素子12と直列に接続されるように形成される。第二伝送線路16は第二接続端子35に接続される。第二接続端子35はその一部がパッケージ基板11の裏面に露出する。
【0026】
外部接続端子32はパッケージ基板11表面において第三接続端子37と接続される。第三接続端子37の一部はパッケージ基板11の裏面に露出する。よって、本実施形態のパッケージ基板11の裏面には、外部出力端子32、第一接続端子36、第二接続端子35、第三接続端子32がそれぞれ独立して露出する。このような高周波増幅器の等価回路を図12に表す。そして、本実施形態の高周波増幅器も実施形態1と同様にセットメーカーの実装ボード表面に設置される。
【0027】
図10および図11は実装ボード表面のパターンについて説明する図である。図10のようにパターンを形成する場合は、第一接続端子36が第三接続端子37を経由して外部出力端子32と接続される。すなわちRF信号は第一伝送線路15を通る。なお図10の斜線部分は第一接続端子36と接する部分である。
【0028】
他方、図11のようにパターンを形成する場合は第二接続端子35が第三接続端子37を経由して外部出力端子32に接続される。すなわちRF信号は第二伝送線路16を通る。なお図11の斜線部分は第二接続端子35と接する部分である。このように実装ボードのパターンを図10の形状あるいは図11の形状とすることで第一伝送線路15を用いるか第二伝送線路16を用いるか変えることができる。これにより実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0029】
また、本実施形態では第一接続端子36と第二接続端子35とは隣接して配置されるため、実装ボードの接続配線設計が容易である点においても優れる。
【符号の説明】
【0030】
10 高周波増幅器、 11 パッケージ基板、 12 増幅能動素子、 13 伝送線路、 21 SMD部品、 22 SMD部品、 32 外部出力端子、 33 SMD部品用端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージ基板と、
前記パッケージ基板の表面に設置された増幅能動素子と、
前記増幅能動素子と接続されて高周波信号を伝送する伝送線路と、
一端が前記伝送線路にシャント接続されたSMD部品と、
前記SMD部品の他端と接続され一部が前記パッケージ基板の裏面に露出するSMD部品用端子と、
前記伝送線路のうち前記増幅能動素子と接続された部分と反対側の端部と接続され、一部が前記パッケージ基板の裏面に露出する外部端子とを備えたことを特徴とする高周波増幅器。
【請求項2】
前記SMD部品と前記SMD部品用端子のペアを複数備えたことを特徴とする請求項1に記載の高周波増幅器。
【請求項3】
前記SMD部品用端子と前記外部端子とは隣接して配置されたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の高周波増幅器。
【請求項4】
パッケージ基板と、
前記パッケージ基板の表面に設置された増幅能動素子と、
前記パッケージ基板に前記増幅能動素子と直列に接続されるように形成された第一伝送線路と、
前記パッケージ基板に前記増幅能動素子と直列に接続されるように形成された第二伝送線路と、
前記第一伝送線路と接続され、一部が前記パッケージ基板の裏面に露出する第一接続端子と、
前記第二伝送線路と接続され、一部が前記パッケージ基板の裏面に露出する第二接続端子とを備えたことを特徴とする高周波増幅器。
【請求項5】
前記第一接続端子と前記第二接続端子とは隣接して配置されたことを特徴とする請求項4に記載の高周波増幅器。
【請求項1】
パッケージ基板と、
前記パッケージ基板の表面に設置された増幅能動素子と、
前記増幅能動素子と接続されて高周波信号を伝送する伝送線路と、
一端が前記伝送線路にシャント接続されたSMD部品と、
前記SMD部品の他端と接続され一部が前記パッケージ基板の裏面に露出するSMD部品用端子と、
前記伝送線路のうち前記増幅能動素子と接続された部分と反対側の端部と接続され、一部が前記パッケージ基板の裏面に露出する外部端子とを備えたことを特徴とする高周波増幅器。
【請求項2】
前記SMD部品と前記SMD部品用端子のペアを複数備えたことを特徴とする請求項1に記載の高周波増幅器。
【請求項3】
前記SMD部品用端子と前記外部端子とは隣接して配置されたことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の高周波増幅器。
【請求項4】
パッケージ基板と、
前記パッケージ基板の表面に設置された増幅能動素子と、
前記パッケージ基板に前記増幅能動素子と直列に接続されるように形成された第一伝送線路と、
前記パッケージ基板に前記増幅能動素子と直列に接続されるように形成された第二伝送線路と、
前記第一伝送線路と接続され、一部が前記パッケージ基板の裏面に露出する第一接続端子と、
前記第二伝送線路と接続され、一部が前記パッケージ基板の裏面に露出する第二接続端子とを備えたことを特徴とする高周波増幅器。
【請求項5】
前記第一接続端子と前記第二接続端子とは隣接して配置されたことを特徴とする請求項4に記載の高周波増幅器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−146807(P2011−146807A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4272(P2010−4272)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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