説明

高周波機器

【課題】 放熱効率が良好で、電気的なシールドの良い高周波機器を提供すること。
【解決手段】 本発明の高周波機器において、枠体1と一体に設けられた熱伝導体2は、枠体に繋がる連結部2aと、発熱部品3に接触する板状部2bと、カバー9を通って枠体1外に突出するように板状部2bから折り曲げられた脚部2cを有し、脚部2cがマザー基板10に設けられた導電パターン11に接続可能となして、発熱部品3の熱が板状部2bと脚部2cを介して導電パターン11から放熱するようにしたため、発熱部品3と導電パターン11間は、距離の短い脚部2cによって接続されて、外部への放熱効率が良好なものが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルテレビチューナ等に使用され、発熱部品からの放熱効率の良好な高周波機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の高周波機器の図面を説明すると、図3は従来の高周波機器に係る要部断面図であり、次に、従来の高周波機器の構成を図3に基づいて説明すると、金属板からなる箱形の枠体51は、外周部を囲むロ字状の側壁51aと、この側壁51aの上下に設けられた開口部51bを有し、この枠体51内には、発熱部品52を含む種々の電子部品が搭載されて、所望の電気回路が形成された回路基板53が配置されている。
【0003】
金属板からなるカバー54は、枠体51の開口部51bを覆うように枠体51に取り付けられ、これによって、枠体51内を電気的にシールドすると共に、一方のカバー54には、切り起こしによって形成された舌片54aが設けられ、この舌片54aは、発熱部品52の上面に接触して、発熱部品52の熱が舌片54aを介して放熱するようになり、また、ここでは図示しないが、枠体51がマザー基板の導電パターンに半田付けされて、従来の高周波機器が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−233982号公報(第2頁、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の高周波機器は、カバー54から切り起こしされた舌片54aが発熱部品52に接触して、発熱部品52の放熱を行うようになっているため、発熱部品52からマザー基板までの距離が長くなって、外部への放熱効率が悪くなる上に、切り起こされた舌片54aの形成によって、カバー54に大きな開口が存在して、枠体51内の電気的なシールドが悪くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、放熱効率が良好で、電気的なシールドの良い高周波機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の解決手段として、金属板からなり、開口部を有する箱形の枠体と、この枠体内に配置され、発熱部品を搭載した回路基板と、前記開口部を覆うように前記枠体に取り付けられたカバーとを備え、前記枠体には、この枠体と一体に形成された熱伝導体が設けられ、この熱伝導体は、前記枠体に繋がる連結部と、前記発熱部品に接触する板状部と、前記カバーを通って前記枠体外に突出するように前記板状部から折り曲げられた脚部を有し、前記脚部は、マザー基板に設けられた導電パターンに接続可能となし、前記発熱部品の熱が前記板状部と前記脚部を介して前記導電パターンから放熱可能とした構成とした。
【0007】
また、第2の解決手段として、前記熱伝導体の前記板状部は、前記発熱部品との間に介在したシリコングリスを介して接触した構成とした。
【0008】
また、第3の解決手段として、前記脚部は、間隔を持って複数個形成された構成とした。
【0009】
また、第4の解決手段として、前記枠体は、外周部を囲む側壁と、この側壁内に設けられたシールド板を有し、前記熱伝導体の前記連結部が前記シールド板に繋がって設けられた構成とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明の高周波機器において、枠体と一体に設けられた熱伝導体は、枠体に繋がる連結部と、発熱部品に接触する板状部と、カバーを通って枠体外に突出するように板状部から折り曲げられた脚部を有し、脚部がマザー基板に設けられた導電パターンに接続可能となして、発熱部品の熱が板状部と脚部を介して導電パターンから放熱するようにしたため、発熱部品と導電パターン間は、距離の短い脚部によって接続されて、外部への放熱効率が良好である上に、枠体に熱伝導体が設けられているため、カバーの開口部を極めて小さくできて、電気的なシールド効果の良いものが得られる。
【0011】
また、熱伝導体の板状部は、発熱部品との間に介在したシリコングリスを介して接触したため、発熱部品と板状部間の接触面積が大きくなって、板状部への熱伝導の良好なものが得られる。
【0012】
また、脚部は、間隔を持って複数個形成されたため、脚部からの導電パターンへの熱伝導を多くできて、外部への放熱効率の一層良好なものが得られる。
【0013】
また、枠体は、外周部を囲む側壁と、この側壁内に設けられたシールド板を有し、熱伝導体の連結部がシールド板に繋がって設けられたため、枠体形成時の材料取りが良くなって、安価なものが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明の高周波機器に係る要部断面図、図2は本発明の高周波機器に係り、下カバーを取り去った状態を示す要部の斜視図であり、次に、本発明の高周波機器の構成を図1,図2に基づいて説明すると、金属板からなる箱形の枠体1は、外周部を囲むロ字状の側壁1aと、この側壁1aの上下に設けられた開口部1bと、側壁1aと一体に形成され、側壁1a内を仕切るシールド板1cと、このシールド板1cと一体に設けられた熱伝導体2を有する。
【0015】
この熱伝導体2は、シールド板1cに繋がる連結部2aと、後述する発熱部品3に接触する板状部2bと、この板状部2bから折り曲げられ、互いに間隔を持って複数設けられた脚部2cを有する。なお、この熱伝導体2は、側壁1aと一体に形成されても良い。
【0016】
この枠体1内には、IC部品(復調用IC)からなる発熱部品3を含む種々の電子部品(図示せず)が搭載されて、復調回路が形成された第1の回路基板4と、シールド板1cを挟んで、種々の電子部品5が搭載されて、RF回路が形成された第2の回路基板6が配置されている。そして、発熱部品3の背面と熱伝導体2の板状部2b間には、シリコングリス7が設けられ、このシリコングリス7を介して、発熱部品3の背面と熱伝導体2の板状部2bが接触した状態となっているが、板状部2bを発熱部品3に直接、接触させるようにしても良い。
【0017】
金属板からなる上カバー8は、枠体1の上方の開口部1bを覆うように枠体1に取り付けられ、また、金属板からなる下カバー9は、枠体1の下方の開口部1bを覆うように枠体1に取り付けられ、これによって、枠体1内を電気的にシールドすると共に、熱伝導体2の脚部2cは、下カバー9に設けられた孔9aを通って下方に突出し、この脚部2cは、枠体1と共に、枠体1の下部に配置されたマザー基板10の導電パターン(接地用パターン)11に半田付けされて、本発明の高周波機器が形成されている
そして、このような構成を有する本発明の高周波機器は、発熱部品3が発熱した場合、シリコングリス7,板状部2b、及び脚部2cを介して導電パターン11に熱が伝わり、導電パターン11を通して外部に放熱されるようになると共に、発熱部品3と導電パターン11との間は、距離の短い直線的な脚部2cによって繋がれているため、導電パターン11への熱伝導も良好な状態となっている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の高周波機器に係る要部断面図である。
【図2】本発明の高周波機器に係り、下カバーを取り去った状態を示す要部の斜視図である。
【図3】従来の高周波機器に係る要部断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 枠体
1a 側壁
1b 開口部
1c シールド板
2 熱伝導体
2a 連結部
2b 板状部
2c 脚部
3 発熱部品
4 第1の回路基板
5 電子部品
6 第2の回路基板
7 シリコングリス
8 上カバー
9 下カバー
9a 孔
10 マザー基板
11 導電パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板からなり、開口部を有する箱形の枠体と、この枠体内に配置され、発熱部品を搭載した回路基板と、前記開口部を覆うように前記枠体に取り付けられたカバーとを備え、前記枠体には、この枠体と一体に形成された熱伝導体が設けられ、この熱伝導体は、前記枠体に繋がる連結部と、前記発熱部品に接触する板状部と、前記カバーを通って前記枠体外に突出するように前記板状部から折り曲げられた脚部を有し、前記脚部は、マザー基板に設けられた導電パターンに接続可能となし、前記発熱部品の熱が前記板状部と前記脚部を介して前記導電パターンから放熱可能としたことを特徴とする高周波機器。
【請求項2】
前記熱伝導体の前記板状部は、前記発熱部品との間に介在したシリコングリスを介して接触したことを特徴とする請求項1記載の高周波機器。
【請求項3】
前記脚部は、間隔を持って複数個形成されたことを特徴とする請求項1、又は2記載の高周波機器。
【請求項4】
前記枠体は、外周部を囲む側壁と、この側壁内に設けられたシールド板を有し、前記熱伝導体の前記連結部が前記シールド板に繋がって設けられたことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の高周波機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−49034(P2007−49034A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−233467(P2005−233467)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】