説明

高周波測定用のテストプロッド

【解決手段】 本発明は、平面構造物(38)と電気的に接触するための接触側端部(16)と、ケーブル、特に同軸ケーブルに接続するためのケーブル側端部(12)、特に同軸ケーブル側端部とを有し、接触側端部(16)とケーブル側端部(12)との間に、少なくとも2つの導体(18,20)、特に3つの導体を有する共平面導体構造物が配設され、共平面導体構造物(18,20)に対して、ケーブル側端部(12)と接触側端部(16)との間の所定区間にわたって共平面導体構造物(18,20)を支持する誘電体(24)が片側または両側に配設され、共平面導体構造物の導体(18,20)が空間内で自由に、支持誘電体(24)に対して懸架された状態で配設されるように、誘電体(24)と接触側端部(16)との間にテストプロッドが設計され、平面構造物(38)との接触時に平面構造物(38)に面するテストプロッドの片側(32)には、誘電体(24)と接触側端部(16)との間で、空間内で自由に、支持誘電体(24)に対して懸架された状態で配設された共平面導体構造物(18,20)の領域(26)へとシールドエレメント(34)が延出するように、シールドエレメント(34)が配設および設計される、高周波測定用のテストプロッドに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面構造物と電気的に接触するための接触側端部と、ケーブル、特に同軸ケーブルに接続するためのケーブル側端部、特に同軸ケーブル側端部とを有し、接触側端部とケーブル側端部との間に、少なくとも2つの導体、特に3つの導体を備える共平面導体構造物が配設され、共平面導体構造物に対して、共平面導体構造物を支持する誘電体が、ケーブル側端部と接触側端部との間の所定区間にわたって、片側または両側に配設され、共平面導体構造物の導体が、空間内で自由に、支持誘電体に対して懸架された状態で配設されるように、テストプロッドが誘導体と接触側端部との間に設計された、請求項1のプレアンブルに記載の高周波測定用のテストプロッドに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなテストプロッドは、例えば特許文献1から周知である。これは、大量生産においても経済的で高精度な製造が可能であるインピーダンス制御を伴うテストプロッドが得られるため、測定目的で平面構造と接触している間に発生する反射が最少となるという長所を持つ。同発明による構成は、40〜60GHz以上もの動作周波数を特徴とし、同発明の設計により、共平面導体構造物の全体にわたってインピーダンスは実質的に分散なし、つまり動作周波数と無関係である。誘電体と同軸ケーブル側端部との間における共平面導体構造物の導体の自由な懸架構成は、共平面導体構造のすべての導体と測定される装置における対応する接触点との間に、高い接触品質が保証されることを意味し、テストプロッドが平面構造物の接触点に角度を持って載置されることに関して接触品質が影響を受けない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許発明第199 45 178 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電気的性質に関して、上述タイプのテストプロッドをさらに改良するという問題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、請求項1に明記された特徴を持つ上述のタイプのテストプロッドによって、この問題が解決される。本発明の好都合な実施例は、他の請求項に記載される。
【0006】
上述タイプのテストプロッドにおいて、本発明では、テストプロッドの片側にシールドエレメントが配設および設計され、シールドエレメントが誘電体と接触側端部との間で、支持誘電体に対して弾性的に、かつ空間内で自由に懸架された共平面導体構造物の領域へと延出するように、平面構造物と接触するシールドエレメントが、平面構造物と対面する。
【0007】
これは、支持誘電体に対して弾性的に、かつ空間内で自由に懸架される共平面導体構造物が、平面構造物から電気的にシールドされるため、平面導体構造物から共平面導体構造物の自由懸架部分への電気信号の不都合なクロストークが効果的に防止され、同時に、共平面導体構造物と平面構造物との間の近接のため、特にキャリブレーションに関して不都合な電気的影響が回避される、少なくとも著しく軽減されるという長所を有する。
【0008】
共平面導体構造物のシールドエレメントの厚さがわずかであることと組み合わされた平面構造の特に良好な電気シールドは、シールドエレメントが導電性材料で製造されることで達成される。
【0009】
好適な実施形態では、シールドエレメントは、支持誘導体に対して弾性的に、且つ空間内で自由に懸架された状態で配設された共平面導体構造物の少なくとも1つの導体に、電気的に接続される。
【0010】
好適には、シールドエレメントは、テストプロッドの接触側端部に面する端部において、支持誘電体に対して弾性的に、かつ空間内で自由に懸架された状態で配設された共平面導体構造物の少なくとも1つの導体と電気的に接続される。
【0011】
シールドエレメントと共平面導体構造物の導体との間における電気的接触の特に簡単な確立は、シールドエレメントは、付加的に、支持誘電体に対して弾性的に、かつ空間内で自由に懸架された状態で配設された共平面導体構造物の少なくとも1つの導体と、付加的に、機械的に接続されることで達成される。
【0012】
好適な実施形態において、シールドエレメントがまたは機械的に接続される共平面導体構造物の導体は、接地導体である。
【0013】
シールドエレメントによるシールド機能のさらなる改良のため、テストプロッドは、導電性材料で製作されたハウジングを備え、シールドエレメントはハウジングに電気的に接続される。
【0014】
好適な実施形態では、共平面導体構造物は3つの導体を備え、中央導体は信号導体であり、2つの導体は接地導体である。
【0015】
シールドのさらなる改良のため、誘電体と接触側端部との間において、付加的シールドエレメントが支持誘電体に対して弾性的に、かつ空間内で自由に懸架される共平面導体構造物のエリアへと延出するように、テストプロッドの側と反対の側に付加的エレメントが配設および設計される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図面を参照して、本発明を以下でより詳細に説明する。
【図1】平面導体構造物に面する側の下から見た、本発明によるテストプロッドの好適な実施形態を示す。
【図2】図1によるテストプロッドの側面図を示す。
【図3】図2のエリアAの拡大詳細図を示す。
【図4】図3の矢印Bの方向でテストプロッドの接触側端部を示す、図1によるテストプロッドの正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1乃至図4に示された本発明によるテストプロッドの好適な実施形態は、ハウジング10と、同軸ケーブル(不図示)との接続のための同軸プラグコネクタ14を備えた同軸ケーブル側端部12と、平面構造物38と接触するための接触側端部16と、同軸ケーブル側端部12と接触側端部16との間に配設された中央信号導体18および2つの接地導体20を備えた共平面導体構造物からなる。共平面導体構造物の信号導体18と隣接の接地導体20との間に、間隙22が形成される。一定した所定の特性インピーダンスがもたらされるように、この間隙22は、共平面導体構造物18,20の全長にわたって形成される。
【0018】
同軸ケーブル側端部12と接触側端部16との間の中央部分では、共平面導体構造物18,20は、例えば石英ブロックの形の誘電体24(図4)によって保持され、共平面導体構造物18,20の片側または両側に誘電体24が配設されるため、共平面導体構造物18,20は各側で誘電体24に保持される。誘電体24および共平面導体構造物18,20は、サンドイッチのような構造で一緒に載置される。誘電体24は、共平面導体構造物18,20にしっかりと接続され、共平面導体構造物10に面する側には、誘電体24の領域内にある共平面導体構造物18,20の形状に実質的に対応して金属被覆が施される。このようにして、誘電体24と共平面導体構造物の導体18,20との間の特に丈夫で密着した接続が達成される。誘電体24との電磁気的な関係により、誘電体24の領域では間隙22が広がっているため、同軸ケーブル側端部12から接触側端部16までの共平面導体構造物18,20の全長にわたって、一定の特性インピーダンスが全体として達成される。誘電体24が接触側端部16に面するハウジングの端部40と同一平面に調整されるように、誘電体24がハウジング10に埋設される。
【0019】
導体18,20は、誘電体24と接触側端部16との間の領域26の空間内で自由に配設されるため、導体18,20の各々は、誘電体24への取り付けに関して個別の弾性を有する。テストプロッドの接触側端部16が、例えば検査を受ける電気回路など平面構造物38上の対応する接触点に機械的に押圧される場合には、共平面導体構造物の各個別導体18,20が自由な弾性を持ち得ることは、各個別導体18,20がこれに割り当てられた接触点との最適な電気的接触を有することを意味する。接触点に機械的に押圧される間のテストプロッドの何らかの傾きと、導体18,20そのものと平面構造物38の接触点の表面の両方における公差が、個別導体18,20の弾性によって補正される。その結果、導体18,20が対応する接触点に機械的に押し付けられるたびに、常に同一の規定の接触が確立されるため、本発明のテストプロッドにより最適な測定結果がもたらされる。
【0020】
接地‐信号‐接地、つまりg‐s‐g(g=接地;s=信号)の構成の3つの導体18,20を備えるテストプロッドの表示は、例としての意味を持つに過ぎない。当然ながら、2つのみの導体18,20または3つ以上の導体18,20を備える共平面導体構造物も可能であり、信号導体と接地導体とは以下のように分類される。g‐s‐g‐s‐g‐s‐g...、または、g‐s‐g‐g‐s‐g‐g‐s‐g‐g...、など。このようにして、平面構造物に接触点があるいくつかの共平面信号導体を有する検査対象の電気回路に、単一のテストプロッドを用いて接触することも可能である。
【0021】
任意であるが、共平面導体構造物18,20と反対向きの側の表面全体において、誘電体24が金属被覆(不図示)される。この金属被覆は、一方では所望の動作周波数の外側の不都合な高次モードの抑制につながるのと同時に、共平面導体構造物10の所定領域に閉鎖系を生成する。
【0022】
接触側端部16において、共平面導体構造物の導体18,20は、信号導体18の先端28および接地導体20の先端30まで細くなって、接触される平面構造物38、特に検査対象の電気回路の接触点の構成に対応する導体18,20の構成を形成する。
【0023】
図1から図4に示された本発明によるテストプロッドの特に顕著な特性は、間隙22により確立されるインピーダンスが、共平面導体構造物18,20の全体にわたって実質的に分散なし、つまりインピーダンスおよび位相速度が動作周波数に実質的に無関係であるということである。
【0024】
本発明によれば、平面構造物38上の接触点との接触にテストプロッドが使用される時に、これが面する(図2および3参照)テストプロッドの側32に、シールドエレメント34が付加的に配設される。図1は、テストプロッドのこの側32の図を示す。このシールドエレメント34は、同軸ケーブル側端部12と接触側端部16との間において、導体18,20が空間内で自由に懸架された領域26まで延出している。
【0025】
平面構造物38上の接触点との接触にテストプロッドが使用される時に、このシールドエレメント34は、図2および3から分かるように、平面構造物38と共平面導体構造物18,20との間に空間的に配設され、したがって平面構造物38または検査対象の回路から共平面導体構造物18,20を電気的および電磁気的にシールドする。これは、テストプロッドまたは共平面導体構造物18,20に対する平面構造物38の不都合な影響を有効に防止する、または少なくともかなり軽減する。これらの不都合な影響は、例えば、平面構造物38から共平面導体構造物18,20へ伝わる電気信号の侵入、またはクロストーク、あるいは例えばキャリブレーションに関する共平面導体構造物18,20の電気的性質の変化を含む。このすべてが、テストプロッドによる平面構造物38の検査時における測定結果の不都合な変化につながる。
【0026】
図1中35で記されているように、シールドエレメント34は導電状態でハウジング10に接続される。ハウジング10は、導電性材料で製造され、対応する電気接続により接地接点に電気的に接続されることが好ましいため、ハウジング10、ひいてはシールドエレメント34も規定の接地レベルとなる。シールドエレメント34の厚さを小さくしたままでもシールドが達成されるように、シールドエレメント34も導電性材料で製造されると好都合である。
【0027】
シールドエレメント34のシールド機能のさらなる改良のため、テストプロッドの接触側端部16に面する端部において、シールドエレメントが接触点36を介して2つの接地導体20と電気的に接続される。領域26における測定導体20の可動性は、シールドエレメント34の持つ対応の可動性および可撓性設計にわずかな程度の影響を受けるに過ぎない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面構造物(38)に電気接触するための接触側端部(16)と、ケーブル、特に同軸ケーブルに接続するためのケーブル側端部(12)、特に同軸ケーブル側端部とを有し、前記接触側端部(16)と前記ケーブル側端部(12)との間に、少なくとも2つの導体(18,20)、特に3つの導体を有する共平面導体構造物が配設され、前記共平面導体構造物(18,20)に対して、前記ケーブル側端部(12)と前記接触側端部(16)との間の所定区間にわたって、前記共平面導体構造物(18,20)を支持する誘電体(24)が片側または両側に配設され、前記共平面導体構造物の前記導体(18,20)が、空間内で自由に、前記支持誘電体(24)に対して懸架された状態で配設されるように、前記誘導体(24)と前記接触側端部(16)との間に設計された高周波測定用のテストプロッドにおいて、前記平面構造物(38)との接触時に前記平面構造物に面する前記テストプロッドの片側(32)には、前記誘電体(24)と前記接触側端部(16)との間で、空間内で自由に、前記支持誘電体(24)に対して懸架された状態で配設された前記共平面導体構造物(18,20)の領域(26)へと延出するように、シールドエレメント(34)が配設および設計されることを特徴とする、テストプロッド。
【請求項2】
請求項1に記載のテストプロッドにおいて、
前記シールド要素(34)が導電性材料で製造されることを特徴とするテストプロッド。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のテストプロッドにおいて、
前記シールドエレメント(34)は、前記支持誘電体に対して、空間内で自由に、かつ弾性的に懸架された状態で配設された、前記共平面導体構造物の少なくとも1つの導体(20)に電気的に接続されることを特徴とするテストプロッド。
【請求項4】
請求項3に記載のテストプロッドにおいて、
前記シールドエレメント(34)は、前記テストプロッドの前記接触側端部(16)に面する端部において、前記支持誘電体に対して、空間内で自由に、かつ弾性的に懸架された状態で配設された、前記共平面導体構造物の少なくとも1つの導体(20)に電気的に接続されることを特徴とするテストプロッド。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のテストプロッドにおいて、
前記シールドエレメント(34)は、付加的に、前記支持誘電体に対して、空間内で自由に、かつ弾性的に懸架された状態で配設された前記共平面導体構造物の前記少なくとも1つの導体(20)と、付加的に、機械的に接続されることを特徴とするテストプロッド。
【請求項6】
請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のテストプロッドにおいて、
前記シールドエレメント(34)が電気的または機械的に接続された前記共平面導体構造物の前記導体は、接地導体(20)であることを特徴とするテストプロッド。
【請求項7】
先行する請求項のいずれか1項に記載のテストプロッドにおいて、
前記テストプロッドは、導電性材料からなるハウジング(10)を備え、前記シールドエレメント(34)は、前記ハウジング(10)と電気的に接続されることを特徴とするテストプロッド。
【請求項8】
先行する請求項のいずれか1項に記載のテストプロッドにおいて、
前記共平面導体構造物は、3つの導体(18,20)を備え、中央導体(18)は信号導体であり、他の2つの導体(20)は接地導体であることを特徴とするテストプロッド。
【請求項9】
先行する請求項のいずれか1項に記載のテストプロッドにおいて、
前記誘電体(24)と前記接触側端部(16)との間で、前記支持誘導体(24)に対して弾性的に、且つ空間内で自由に懸架された前記共平面導体構造物(18,20)の領域(26)へと延出するように、前記テストプロッドの側と反対の側(32)に、付加的シールドエレメントが配設および設計されることを特徴とするテストプロッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−520992(P2012−520992A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500104(P2012−500104)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001251
【国際公開番号】WO2010/105736
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(506333314)ローゼンベルガー ホーフフレクベンツテクニーク ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カーゲー (33)
【Fターム(参考)】