説明

高周波誘導加熱装置及び高周波誘導コイルと磁性体による加熱方法

【課題】自己発熱を軽減する高周波誘導コイルと磁性体を提供する。
【解決手段】高周波誘導加熱装置本体1に、透磁率が高く高周波領域での過電流損失の効率の高い磁性体15を高周波誘導コイル12の中に設け、循環型冷却水を備えた冷却ケースカバー19を設け、発振コイルブロックカバー14を装着したことを特徴とする高周波誘導加熱装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波誘導加熱装置本体からなる高周波誘導コイルの中に磁性体を設け、自己発熱を軽減する為の冷却用の冷却水入口と冷却水出口及び高周波誘導加熱放出口を備えた冷却ケースカバーを設け、磁性体を設けた高周波誘導コイルを冷却ケースカバーに嵌入し、発振コイルブロックカバーに装着した高周波誘導加熱装置および高周波誘導加熱装置に用いる高周波誘導コイルにおいて被加熱体を部分的に加熱する為のシールド孔を設けたシールド板を高周波誘導コイルと被加熱体の間に設け、磁界を被加熱体が受ける面積を制限し加熱する加熱方法と高周波誘導加熱において、高周波誘導コイルの端面にて非接触で高周波誘導加熱を行う為の高周波誘導コイルと磁性体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(イ)従来、高周波誘導加熱装置及び加熱方法は、高周波電源とそれに直結接続された高周波誘導コイル(以下:コイル)を用い、コイルより発生する磁束により、披加熱体へ渦電流を誘導しその渦電流が被加熱体内部で流れる事による発熱を利用した加熱方法があった。
(ロ)図6を用いて、特許公開平10−328820の高周波誘導加熱を用いた「ハンダコテの加熱構造およびハンダ付け装置」の例である。
これは、ハンダコテ1の内部には、コイル56が巻回されたヒータ部となる特殊合金57が配置されており、コイル56は、図示しない高周波電源に接続されている。このコイル56で特殊金属57が加熱されハンダコテ1のコテ先へと熱伝導が行われハンダ付けが行われている、外部へ金属を用いた熱伝導で「接触型」の高周波誘導加熱の例で加熱の実施例であり、従来の高周波誘導加熱を用いたコテ先の加熱方法であった。
(ハ)その他[特許文献]抜粋による、
特許公開平11−10325[発明の名称]高周波誘導過熱式はんだ付け装置
特許公開平11−221670[発明の名称]ハンダ鏝及び鏝先部材
特許公開2004−351503[発明の名称]アルミニウム材のろう付方法及びろう付装置
特許公開平6−297137[発明の名称]ろう付用高周波誘導コイルとこれを用いたろう付方法などがあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
その為に、次のような問題があった。
(イ)従来の高周波誘導加熱では、高周波電源に接続された高周波誘導コイル(以下:コイル)より発生する磁束により、披加熱体へ渦電流を誘導しその渦電流が被加熱体内部で流れる事による発熱を利用した加熱方法の為、磁束が集中するコイルの中心に被加熱体を設置している、コイルの端面での加熱を行う場合、磁束を端面に集中させることができない為、効率が悪く、コイルの中心に設置できない形状の被加熱体を非接触での加熱には課題が有った。
(ロ)十分な磁界を得る為には、印加する電流を増加しなければならなくなり、電流が増加することで自己発熱が増加してしまう、ゆえに、自己発熱を冷却する必要がある、その為にコイルをパイプ状の物をもちい、そのパイプの中に冷却水を循環させコイル自身の冷却をおこなうが、電流増加に伴い自己発熱が増加すると、パイプの径を太くし十分な冷却水流量の確保が必要とされ、コイルが大型化され磁束密度が減少し、更に電流を増加させなければならない課題が有った。
(ハ)電流増加に伴いコイルの発熱を減少させるためコイルの電気抵抗を減少させる必要から、コイルの電線径を太くしなければ成らない為、コイルの小型化が実現できず、加熱対象面積が広く成ってしまう難点が生じてきた。
(ニ)コイルの高周波電流の増加に伴い高周波電源からコイルまでの距離を最短で接続し電気抵抗を少なくする必要があり、従来の高周波誘導加熱装置では、高周波電源部からコイルが飛び出した形状で一体化させ最短距離で接続し、コイルと高周波電源部のを分離設置ができない課題があった。
(ホ)高周波電源からの高周波電力を同軸ケーブルを用いて延長するには、共振時の回路のインピーダンスが1Ω以下の非常に小さい値となる、その為、この線路を長くすると、同軸ケーブル自体の抵抗の方が共振インピーダンスより上回ってしまう為、線路の延長ができなかった。
(ヘ)複数の誘導加熱箇所が存在する場合、高周波電源部の形状の問題から設置間隔が制限され、高周波電源部とコイルを分離した高周波誘導加熱の利用が望まれている。
(ト)多品種を対象に一台の高周波誘導加熱を用いる場合、各品種の加熱対象箇所ごとに被加熱体とコイルとの距離と透磁率が異なる為、コイルのインダクタンスが変化しコイルの共振周波数が変わり、その都度整合の調整が必要であり自動的に整合を行う高周波誘導加熱装置が望まれている。
【問題を解決する為の手段】
【0004】
高周波誘導加熱装置本体に共振抑え上蓋と共振抑え下蓋及びコイル部固定ベース設け、コイル部固定ベースに誘導コイル部及びインピーダンス整合コイル部等の配線部品を設ける。高周波誘導加熱装置本体の一方に分離した高周波電源部に設けてある高周波発振出力部と同軸コネクタ付ケーブル(高周波電源からのエネルギーを伝える配線)により接続できるように設けた高周波電源入力端子を設け、高周波誘導加熱装置本体の出力側にあたる側に高周波回線と接続された発振接続端子を設ける。高周波誘導コイルと発振接続端子の間にオーリングを備えた発振コイルブロックカバーを設け、透磁率が高く、電気抵抗が高く高周波領域での過電流損失の効率の高い磁性体を高周波誘導コイルの中に設ける。自己発熱を冷却する為の循環型冷却用の冷却水入口と冷却水出口及び高周波誘導加熱放出口を備えた冷却ケースカバーを設け、磁性体を設けた高周波誘導コイルを高周波磁束誘導カバーに嵌入し、発振コイルブロックカバーに装着する。また冷却ケースカバー等は、非磁性体の材料で作成し、ケース内に冷却水を流すことによりコイル及び磁性体の全体冷却を行う。以上を特徴とする高周波誘導加熱装置である。および高周波誘導加熱装置に用いる高周波誘導コイルにおいて、被加熱体を部分的に加熱する為のシールド孔を設けたシールド板(0.1mm厚以上の銅板もしくは鉄板等)を高周波誘導コイルと被加熱体の間に設け磁界を被加熱体が受ける面積を制限し加熱することを特徴とする加熱方法である。
(1)直巻き(筒型)型に巻いた高周波誘導コイルの中に磁性体を入れ、各高周波誘導コイルの発生する磁界を端面に誘導する、高周波誘導コイル及び磁性体は冷却容器の中に密閉収納され、冷却水を循環させ高周波誘導コイル及び磁性体の全体を冷却する。
(2)被加熱体とコイル・磁性体が収納された冷却容器の間には、被加熱体で加熱の必要が無い部分に対してシールド板を設置し、シールド板で高周波誘導コイルの発生した磁界を受ける事で被加熱体への磁界の誘導を防いでいる。
(3)コイル冷却ケースカバーに直近またはケース(容器)と一体に共振回路と整合回路を収納し、共振回路は高周波誘導コイルとの直列共振を行い、その共振インピーダンスと高周波電源の出力インピーダンスとの整合を整合回路で行う。この位置で整合を行う事で高周波電源と高周波誘導コイル間の距離を問わず延長することができる。
(4)高周波電源の最終出力部に、高周波の反射波検出回路を設け、インピーダンスが不整合の場合、反射波が増加する点を利用し、反射波が一番少ない発振周波数になるよう、発振周波数を制御する。
(5)高周波誘導コイルは一般的にエナメル線等の絶縁型の電線を用いて高周波電源の発振周波数とコイルの外部に付属するコンデンサとの同調周波数で巻き数が決定される。コイルの中に用いる磁性体は、フェライトを用いる。また高周波でよく用いられるコア材として、Mn−Zn系、Ni−Zn系やカーボニル鉄ダスト、モリブデン・パーロイ、センダスト等の一般的材料を用いる
(6)材質の選択は、高周波誘導コイルの巻数と材質の持つ透磁率でインダクタンスが決定され、同調用の外部キャパシタンスで決定され、これらのキャパシタンスとインダクタンスで共振周波数が決定される。
(7)コアの形状、外形寸法は、丸型、楕円径、多角形、空芯コア等、被加熱体の加熱部分の形状に合わせて研磨等で加工して用いる。
(8)高周波誘導コイルと被加熱体の間にシールド板を設け、高周波誘導コイルから発する磁界の一部分のみを被加熱体に誘導し、設置するシールド板は、金属板を用い、磁界を誘導する部分にシールド孔を設けた形状とし、そのシールド孔を通過した磁界のみ被加熱体へ誘導される。
【発明の効果】
【0005】
(イ)高周波誘導コイル(以下:コイル)の上部・下部の端面まで高周波誘導コイルが発生した磁界を効率良く誘導し、被加熱体内部で渦電流を発生させる必要があり、部分的に加熱する為に、被加熱体の対象に合わせた小径のコイルを用いる、それを実現する為のコイル及び、コイルから発せられた磁界の制御、及び高周波誘導コイルの冷却、誘導コイルの高周波電源からの分離設置及び、高周波電源部の発振周波数を変えることでのインピーダンス整合を自動で行うことが出来る。
(ロ)請求項2記載の発明は、高周波誘導コイルの形状を直巻き型(筒型)コイルとしコイルの巻数を増し発生する磁界を多く得ることが出来、その発生した磁界を高周波誘導コイルの中に磁性体を嵌入することでコイルの端面まで磁界を磁性体で誘導する事ができ、コイルの端まで磁界を誘導することが可能となる。
(ハ)請求項3記載の発明は、高周波誘導コイル及び磁性体の発熱対策による小型化への弊害に対し、高周波誘導コイル及び磁性体全体を冷却水の容器の中に入れ冷却しパイプ型の電線を用いない事で小型化することが可能になる。
(ニ)請求項4記載の発明は、高周波電源とインピーダンス整合回路を分離し、高周波電源から同軸コネクタ付ケーブルを用いて高インピーダンスで高周波を伝送し、高周波誘導コイルの部分にインピーダンス整合回路及び直列共振回路を分離する事で高周波電源と高周波誘導コイルの部分の距離を離して設置できる。
(ホ)請求項5記載の発明は、被加熱体の透磁率の影響に伴う高周波誘導コイルのインダクタンス変化で共振周波数が変化する事で発生する、高周波電源の出力インピーダンスと誘導コイル間の入力インピーダンスの不整合を高周波電源の発振周波数を自動追従させることインピーダンス整合を行うことができる。
(ヘ)請求項6記載の発明は、上記で高周波誘導コイルの両端まで誘導された磁界で被加熱体の加熱必要部分のみに磁界を誘導する為、高周波誘導コイルと被加熱体の間にシールド板を設け、不必要な部分の磁界をシールド板で受け、被加熱体の目的部分以外に磁界が到達できないようにすることができる。
(ト)高周波誘導加熱において高周波誘導コイルの両端を用いた加熱の場合、直巻き型でコイルを巻いた場合、コイル全体の磁界は多く発生するが両端の磁界は極めて少ない、この直巻きコイルの中に磁性体を入れる事で各コイルが発生した磁界をコイル両端まで誘導しコイルの中に被加熱体が置かれた状態と同様程度の磁界を両端より得る事ができる。
(チ)両端まで誘導された磁界が、それでも被加熱体の加熱を必要としない部分にかかる場合、高周波誘導コイルと被加熱体の間にシールド板を設けシールド板が不要な磁界を受けることで目的以外の場所へ磁界を受けることを防止する。
(リ)被加熱体の加熱対象部分がコイルより小さい場合、コイル自身もその形状程度の小型の物が求められ、冷却による小型化への弊害を高周波誘導コイル及び磁性体を冷却ケースカバーに嵌入し、冷却ケースカバー内部に冷却水を流し全体を冷却し冷却の問題を解決する。
(ヌ)同軸コネクタ付ケーブルで高周波伝送可能とする為、同軸コネクタ付ケーブルの固有インピーダンス50Ω及び75Ω等へ高周波電源側のインピーダンスを上げ高周波伝送を行い、直列共振回路の共振時のインピーダンスへの変換を整合回路で行うことで、高周波電源と誘導コイル部の分離及び延長が可能となる。小型化したコイルと高周波電源は同軸コネクタ付ケーブルで結び、コイル側にインピーダンス整合回路と直列共振回路を設け高周波電源と分離することで被加熱部分の多種多様な個所への加熱を可能とする。
(ル)高周波誘導コイルは被加熱体の透磁率の影響でインダクタンスが変化し共振周波数が変化する為、高周波電源と高周波誘導コイル間にインピーダンスの不整合が生じ、多種多様の被加熱体に対して無調整で実現できなかった。
(ヲ)不整合を防止するため、高周波電源の発振周波数をコイルの共振周波数に自動追従させる事により、インピーダンスを整合し反射波を最小限にした効率の良い誘導加熱を実現する。
(ワ)高周波誘導コイル両端へ磁界を効率的に誘導し、従来コイルの中で行っていた加熱を、高周波誘導コイルを近づける非接触で加熱を行う事が出来る。高周波誘導コイルが被加熱体の透磁率によりインダクタンスが変化し共振周波数が高周波電源の発振周波数と異なりインピーダンス不整合が発生した場合、高周波電源側の発振周波数を変える事で高周波誘導コイルの共振周波数と一致させインピーダンス整合を行う。
インピーダンス不整合が発生した場合、高周波回路では定在波と呼ばれる反射波が多くなる。この反射波をコイルで検出しダイオードで整流し発振回路へ直流電圧としてフィードバックし予め設定してある基準周波数に反射波の電圧を加減算し反射波が一番少ない周波数を発振回路で発振させ高周波電源と誘導コイル部のインピーダンスの整合を行う方法である。
(カ)高周波誘導コイルを被加熱体に近づけることで発生するコイルのインダクタンスの変化に対して高周波電源の発振周波数が自動追従しインピーダンス整合が常に取れている状態を保つ事ができる。
(ヨ)被加熱体の部分的加熱と、被加熱体の磁界到達部分内での非加熱対象個所を区分して加熱が行える事ができる。
(タ)高周波電源部とコイル間の距離を延長して加熱が行える事ができる。
(レ)高周波誘導コイル自身と高周波誘導コイルの中に設置する磁性体(本発明)の自己発熱を冷却することができる高周波誘導加熱装置及び加熱方法を提供するができる。
上記のように、本発明では高周波誘導加熱において高周波誘導コイル両端からの磁束を効率的に誘導させることにより、従来コイルの中での加熱処理は高周波誘導コイルを端面に近づける事で高周波誘導加熱がエネルギー効率が一段と向上が達成できる。さらに、被加熱体で加熱対象が点在する場合、シールド板を用い磁界の誘導を制限することで半田付けやろう付け等の更に絞り込んだスポット的な高周波誘導加熱の実現を達成できる。また、高周波誘導コイルと磁性体を冷却ケースカバー全体に冷却することにより、通常の電線が利用可能となり、従来のパイプ型電線での最小折り曲げ半径を意識すること無く部分の小型軽量化を達成できる。
コイル部のみを小型化を行っても、従来の高周波電源部と誘導コイルが一体化した高周波誘導加熱装置の構成では、その効果が薄いが、本発明では高周波電源部と誘導コイル部を分離し同軸コネクタ付ケーブルで高周波を伝送する事を実現しており、小型部品等の一つの工程で複数個所の高周波誘導加熱を達成できる。また、本発明では高周波誘導コイルに磁性体を内部に用いることでコイル両端での誘導加熱を効率的に実現できる。さらに、効率を高める為に、電気的要因である高周波電源部及び高周波誘導コイル部のインピーダンス整合を高周波電源部の発振周波数を誘導コイル部の反射波を用いて制御することで、電気的に終始一貫したインピーダンス整合が可能となり無駄な電力を消費しない効率的な高周波誘導加熱を達成できる。したがって、これらの発明が適用された装置でのハンダ付け、ろう付け等の分野においても、高周波誘導加熱のエネルギー効率を効果良く実施できる。
特に半田付けの場合の半田コテは常時加熱した状態にし、いつでも使用可能な状況で利用するのが一般的であるが、本発明を適用する事により半田付けを行う時間のみ高周波を誘導すれば良く、さらにエネルギー消費が削減できる効果が達成でき、高周波誘導加熱装置小型化が可能になりまた高周波誘導コイルと磁性体による加熱方法は極めて安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(イ)高周波誘導加熱装置本体(1)に共振抑え上蓋(2)と共振抑え下蓋(3)及びコイル部固定ベース(4)設け、コイル部固定ベース(4)に誘導コイル部(5)及びインピーダンス整合コイル部(6)等の配線部品を設ける。
(ロ)高周波誘導加熱装置本体(1)の一方に分離した高周波電源部(7)に設けてある高周波発振出力部(8)と同軸コネクタ付ケーブル(9)(高周波電源からのエネルギーを伝える配線)により接続できるように設けた高周波電源入力端子(10)を設け、高周波誘導加熱装置本体(1)の出力側にあたる側に高周波回線と接続された発振接続端子(11)を設け、高周波誘導コイル(12)と発振接続端子(11)の間にオーリング(13)を備えた発振コイルブロックカバー(14)を設け、透磁率が高く、電気抵抗が高く高周波領域での過電流損失の効率の高い磁性体(15)を高周波誘導コイル(12)の中に嵌入し、自己発熱を軽減する為の循環型冷却用の冷却水入口(16)と冷却水出口(17)及び高周波誘導加熱放出口(18)を備えた冷却ケースカバー(19)を設け、磁性体 (15)を設けた高周波誘導コイル(12)を冷却ケースカバー(19)に挿入し、発振コイルブロックカバー(14)に装着する。
本発明は以上のような構成で、これを使用するときは、高周波誘導加熱装置に用いる高周波誘導コイル(12)において、被加熱体を部分的に加熱する為の適度なシールド孔(21)を設けたシールド板(20)を高周波誘導コイル(12)と被加熱体の間に設け磁界を被加熱体が受ける面積を制限し加熱することにより、シールド孔(21)を通過した磁界のみ非加熱体へ誘導される。
図4、図5の実施例を持って説明する。
(イ)冷却ケースに収められた磁性体に巻かれた高周波誘導コイルが冷却ケースの中に収納され冷却水が循環している。この冷却ケースの下に不要な磁界を防ぐシールド板が設置され、その下に加熱対象となるクリーム半田、及びプリント基板、半田付け対象となるモーター等がある。
(ロ)モーター等にプリント板とクリーム半田が実装された状態で、高周波誘導コイルの下に位置させ、その後高周波電源より高周波を高周波誘導コイルに印加する事で、高周波誘導コイルより磁界が発生しクリーム半田及びプリント基板の銅箔へと磁界が誘導され渦電流が発生し、クリーム半田及びプリント板の銅箔が自己発熱しクリーム半田の融点に達すると半田が溶け、半田付けが完了する。なお、本実施形態では、プリント基板及びクリーム半田及びモーターで説明を行ったが、加熱処理を行う対象物であれば何でも良い。
(ハ)従来の高周波誘導加熱ではコイルの中に被加熱対象物を位置させる事で加熱を行っており、コイル端面での加熱利用は少ない。
コイル端面でなければ実現できない場合として、ハンダ付け及びろう付けがある。
(二)特にハンダ付けの場合、環境問題より鉛フリーのハンダ付けが世界的に要求され、現在。市販のハンダも鉛フリー化が進んでいる。
この鉛フリーのハンダは融点が高い問題があり、従来の半田コテを用いたハンダ付はできず、コテ先温度を従来の物より約100℃高温でないと溶けない、その為、高温のハンダコテの場合、コテ先の酸化が激しくメンテナンス等の問題がある。
また、ハンダコテを用いた場合ハンダコテを常時熱しておかなければ成らず、待機時間中でも電力消費をしておりエネルギー効率が悪い。
(ホ)本発明の高周波誘導加熱を用いることで、酸化部分が無い為、メンテナンスフリーとなり作業と品質の著しい向上が期待でき、さらに、高周波誘導加熱の場合、溶解する時間だけ高周波を発生させ、待機時間中での電力消費が少ない等の環境効果も期待できる。
本発明の方法での実験では、出力50W以下の出力でもハンダの熔解を実現しており本発明での産業上の利用の可能性は大である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の分解斜視図
【図2】本発明の斜視図
【図3】本発明の高周波電源と分離を示した模式図
【図4】本発明の実施の形態に係る高周波誘導加熱コイル及びシールド板を実施した加熱方法の原理を示した模式図と高周波誘導コイル及び磁性体の冷却方法を示した模式図
【図5】本発明の実施の形態に係る模式図
【図6】「熱伝導接触型」高周波誘導加熱使用の実施例を示した断面図
【符号の説明】
【0008】
1 高周波誘導加熱装置本体
2 コイル部固定ベース
3 共振抑え上蓋
4 共振抑え下蓋
5 誘導コイル部
6 インピーダンス整合コイル部
7 高周波電源部
8 高周波発振出力部
9 同軸コネクタ付ケーブル
10 高周波電源入力端子
11 発振接続端子
12 高周波誘導コイル
13 オーリング
14 発振コイルブロックカバー
15 磁性体
16 冷却水入口
17 冷却水出口
18 高周波誘導加熱放出口
19 冷却ケースカバー
20 シールド板
21 シールド孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波誘導加熱装置本体に共振抑え上蓋と共振抑え下蓋及びコイル部固定ベース設け、コイル固定ベースに誘導コイル部及びインピーダンス整合コイル部等の配線部品を設け、高周波誘導加熱装置本体の一方に分離した高周波電源部に設けてある高周波発振出力部と同軸コネクタ付ケーブル(高周波電源部からのエネルギーを伝える配線)により接続できるように設けた高周波電源入力端子を設け、高周波誘導加熱装置本体の出力側にあたる側に高周波回線と接続された発振接続端子を設け、高周波誘導コイルと発振接続端子の間にオーリングを備えた発振コイルブロックカバーを設け、透磁率が高く、電気抵抗が高く高周波領域での過電流損失の効率の高い磁性体を高周波誘導コイルの中に設け、自己発熱を軽減する為の循環型冷却用の冷却水入口と冷却水出口及び高周波誘導加熱放出口を備えた冷却ケースカバーを設け、磁性体を設けた高周波誘導コイルを冷却ケースカバーに嵌入し、発振コイルブロックカバーに装着したことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項2】
高周波誘導加熱装置に用いる高周波誘導コイルにおいて、その高周波誘導コイルの中に磁性体を嵌通するように入れ、高周波誘導コイル端面の被加熱体を効率良く磁束を誘導する事ができる事を特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項3】
高周波誘導加熱装置において高周波誘導コイル及び磁性体の全体を冷却することを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項4】
高周波誘導加熱装置において高周波電源部と高周波誘導コイルを分離することを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項5】
高周波誘導加熱装置において高周波誘導コイルと高周波電源間のインピーダンスを自動化する自動整合回路を設けたことを特徴とする高周波誘導加熱装置。
【請求項6】
高周波誘導加熱装置に用いる高周波誘導コイルにおいて、被加熱体を部分的に加熱する為の適度な孔を設けたシールド板を高周波誘導コイルと被加熱体の間に設け磁界を被加熱体が受ける面積を制限することを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−160652(P2009−160652A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25720(P2008−25720)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(301075709)株式会社エフイーシー (1)
【Fターム(参考)】