説明

高圧洗浄車

【課題】複数の噴射装置を有する高圧洗浄車において、各噴射装置のホースの繰り出しおよび巻き取り作業の自動化を大がかりな装置を用いることなく行うこと、および、その操作の容易化を図る。
【解決手段】高圧洗浄車1は、油圧装置8を備えている。油圧装置8は、オイルリザーバ53と、油圧ポンプ41と、方向切換弁56と、流路切換装置59と、油圧モータ51,52とを備えている。オイルリザーバ53と方向切換弁56とは供給管54および回収管55により接続され、方向切換弁56と流路切換装置59とは、第1流通管57および第2流通管58により接続されている。また、流路切換装置59には、油圧配管81,82の一端および他端が接続されている。油圧配管81の中途部にはホースリール15を回転駆動する油圧モータ51が設けられている。油圧配管82の中途部にはサブホースリール16を回転駆動する油圧モータ52が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧洗浄車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、下水管等の洗浄に、高圧洗浄車が使用されている。通常、高圧洗浄車は、洗浄水を貯留するタンクと、洗浄水を圧送するポンプと、圧送された洗浄水を噴射装置に導くホースと、ホースが巻き付けられるホースリールとを備えている。作業時には、作業者はホースリールからホースを繰り出し、噴射装置から高圧の洗浄水を下水管等の被洗浄物に噴射することによって、被洗浄物の洗浄を行う。
【0003】
この種の高圧洗浄車中には、種類の異なる複数の噴射装置を備え、被洗浄物の汚れの程度や目的等に応じて複数の噴射装置のうち、いずれか1つを選択的に使用可能に構成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の高圧洗浄車は、第1および第2の噴射装置を備えている。第1の噴射装置は第1ホースに取り付けられており、第1ホースは第1ホースリールに巻き付けられている。また、第2の噴射装置は第2ホースに取り付けられており、第2ホースは第2ホースリールに巻き付けられている。
【0005】
ところで、特許文献1に開示された高圧洗浄車は、一方のホースリール、例えば、第1ホースリールのみを回転駆動する油圧装置を備えている。上記高圧洗浄車では、当該油圧装置を駆動させると、第1の噴射装置が取り付けられた第1ホースが自動的に巻き取りまたは繰り出される。一方、他方のホースリール、例えば、第2ホースリールにはこのような油圧装置は設けられていない。そのため、第2の噴射装置が取り付けられた第2ホースは、手動で第2ホースリールを回転させることによって巻き取りまたは繰り出すこととしていた。
【特許文献1】実用新案登録第2510670号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、作業員の負担軽減の観点から、いずれか一方のホースの繰り出しまたは巻き取りだけでなく、各々のホースの繰り出しまたは巻き取り作業が自動化されることが望ましい。
【0007】
しかしながら、各々のホースの繰り出しまたは巻き取り作業の自動化のために、上記油圧装置等を単に複数設けることとすると、当該油圧装置等を操作する操作盤も複数設けなければならなくなり、装置が大がかりとなる。また、例えば、第1の噴射装置から第2の噴射装置に切り換えたい場合に、それぞれの操作盤間を移動しなければならず面倒である。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の噴射装置を有する高圧洗浄車において、各噴射装置のホースの繰り出しおよび巻き取り作業の自動化を大がかりな装置を用いることなく行うこと、および、その操作の容易化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る高圧洗浄車は、洗浄水を噴射する第1噴射装置および第2噴射装置と、先端に第1噴射装置が取り付けられ、前記第1噴射装置に洗浄水を導く第1ホースと、先端に第2噴射装置が取り付けられ、前記第2噴射装置に洗浄水を導く第2ホースと、前記第1ホースが巻き付けられる第1ホースリールと、前記第2ホースが巻き付けられる第2ホースリールと、前記第1ホースリールまたは前記第2ホースリールを回転駆動する油圧装置と、を備えた高圧洗浄車であって、前記油圧装置は、作動油が貯留されたオイルリザーバと、一端が前記オイルリザーバに接続された供給路と、一端が前記オイルリザーバに接続された回収路と、前記供給路の中途部に設けられ、前記オイルリザーバ内の作動油を圧送する油圧ポンプと、前記供給路および前記回収路の他端が接続された方向切換装置と、一端がそれぞれ前記方向切換装置に接続された第1流通路および第2流通路と、前記第1流通路および前記第2流通路の他端が接続された流路切換装置と、一端および他端が前記流路切換装置に接続された第1油圧流路と、一端および他端が前記流路切換装置に接続された第2油圧流路と、前記第1油圧流路の中途部に設けられ、前記第1ホースリールを回転駆動する第1油圧モータと、前記第2油圧流路の中途部に設けられ、前記第2ホースリールを回転駆動する第2油圧モータと、を有し、前記流路切換装置は、少なくとも、前記第1流通路と前記第2流通路とを前記第1油圧流路を介して連通させる第1の状態と、前記第1流通路と前記第2流通路とを前記第2油圧流路を介して連通させる第2の状態とに切換自在であり、前記方向切換装置は、前記供給路と前記第1流通路とを連通させると共に前記回収路と前記第2流通路とを連通させる第1の入状態と、前記供給路と前記第2流通路とを連通させると共に前記回収路と前記第1流通路とを連通させる第2の入状態と、前記供給路と前記回収路とを連通させる切状態と、に切り換え自在であるものである。
【0010】
上記高圧洗浄車では、流路切換装置を第1の状態に切り換えると、第1流通路と第2流通路とが第1油圧流路を介して連通される。そのため、オイルリザーバから第1油圧流路に作動油が供給され、第1油圧流路に設けられた第1油圧モータが回転駆動される。一方、流路切換装置を第2の状態に切り換えると、第1流通路と第2流通路とが第2油圧流路を介して連通される。そして、オイルリザーバから第2油圧流路に作動油が供給され、第2油圧流路に設けられた第2油圧モータが回転駆動される。
【0011】
このように、上記高圧洗浄車では、流路切換装置を備えることにより、オイルリザーバから第1油圧モータに作動油を供給する経路と、オイルリザーバから第2油圧モータに作動油を供給する経路との間において、オイルリザーバと流路切換装置との間の部品を共有させることが可能となる。そのため、複数の噴射装置を有する高圧洗浄車において、大がかりな装置を用いることなく、各噴射装置のホースの繰り出しまたは巻き取り作業を自動化することができる。
【0012】
また、上記高圧洗浄車では、流路切換装置とオイルリザーバとの間に、第1流通路および第2流通路を流れる作動油の流通方向を変更させる方向切換装置が設けられている。そのため、オイルリザーバから第1油圧モータに作動油を供給する経路と、オイルリザーバから第2油圧モータに作動油を供給する経路との間において、方向切換装置を共有させることができる。このことにより、上記高圧洗浄車では、使用する噴射装置を変更した場合であっても、移動することなく同一の方向切換装置を用いてホースの繰り出しまたは巻き取りの切換を行うことができる。したがって、上記高圧洗浄車によれば、両噴射装置のホースの繰り出しまたは巻き取り作業を自動化すると共に、その操作の容易化を図ることができる。
【0013】
前記高圧洗浄車は、前記方向切換装置に接続された操作レバーを備え、前記方向切換装置は、前記操作レバーの位置に応じて、前記第1の入状態と前記第2の入状態と前記切状態とに切り換えられることが好ましい。
【0014】
上記高圧洗浄車では、操作レバーを操作することにより、第1油圧モータまたは第2油圧モータの回転方向を切り換えることができる。そのため、上記高圧洗浄車によれば、第1ホースまたは第2ホースの繰り出し作業と巻き取り作業とを1つの操作レバーの位置操作により行うことができる。したがって、上記高圧洗浄車によれば、各ホース(第1ホース、第2ホース)の繰り出しまたは巻き取り作業に関する操作の容易化を図ることが可能となる。
【0015】
前記方向切換装置は、前記第1の入状態に切り換えると、前記供給路と前記第1流通路とを連通させる第1連通路と、前記第2の入状態に切り換えると、前記供給路と前記第2流通路とを連通させる第2連通路と、前記第1連通路内を流れる作動油の流量を制御する第1流量制御機構と、前記第2連通路内を流れる作動油の流量を制御する第2流量制御機構と、を備え、前記第1流量制御機構は、前記操作レバーの位置に応じて前記第1連通路の開口面積を変化させ、前記第2流量制御機構は、前記操作レバーの位置に応じて前記第2連通路の開口面積を変化させることが好ましい。
【0016】
上記方向切換装置によれば、第1流量制御機構または第2流量制御機構により、操作レバーの位置を変更するだけで、供給路から第1流通路および第2流通路へ流れる作動油の流量を制御することが可能となる。そのため、操作レバーを操作することにより、第1油圧モータおよび第2油圧モータの回転方向だけでなく、回転速度を変更することができる。つまり、操作レバーを操作することにより、両噴射装置(第1噴射装置、第2噴射装置)のホース(第1ホース、第2ホース)の繰り出しまたは巻き取りの切り換えだけでなく、繰り出しまたは巻き取りの速度も調節することが可能となる。したがって、上記高圧洗浄車によれば、繰り出しまたは巻き取り操作の容易化を図ることができる。また、これにより、当該操作を円滑に行うことが可能となる。そのため、作業時間を短縮することも可能となる。
【0017】
前記第1噴射装置は、洗浄水を後方または斜め後方に噴射することによって前方に向かって進む自走式の噴射装置であり、前記方向切換装置の前記第1の入状態は、前記第1ホースリールから前記第1ホースを繰り出す方向に前記第1油圧モータを回転駆動させる状態であり、前記方向切換装置は、前記第1の入状態に切り換えると、前記供給路と前記第1流通路とを連通させる往路側の連通路と、前記第1の入状態に切り換えると、前記第2流通路と前記回収路とを連通させる復路側の連通路と、前記往路側の連通路内を流れる作動油の流量を抑制する往路側絞り機構と、前記復路側の連通路内を流れる作動油の流量を抑制する復路側絞り機構と、を備えていてもよい。
【0018】
自走式の噴射装置では、洗浄水の噴射力が大きいと、前進する速度が急速度となる場合がある。そのため、ホースリールからホースが急激に繰り出される場合がある。しかし、上記高圧洗浄車によれば、方向切換装置の往路側および復路側の連通路に絞り機構が設けられている。そのため、第1油圧流路または第2油圧流路を流れる油は、方向切換装置において2重に絞られることになる。すなわち、第1油圧流路または第2油圧流路に向かう往路側の連通路と、第1油圧流路または第2油圧流路からの復路側の連通路との両方において、油の流れは絞り機構によって絞られることになる。したがって、油圧装置における油の流れが2重に絞られることにより、油圧モータの急回転が制動され、ホースリールからホースが急激に繰り出されることが抑制される。
【0019】
前記流路切換装置には、前記流路切換装置を少なくとも前記第1の状態と前記第2の状態とに切り換えるためのスイッチが接続され、前記操作レバーと前記スイッチとは、同一の操作盤に設置されていることが好ましい。
【0020】
なお、ここで、同一の操作盤には、一塊に構成された操作盤だけでなく、操作者が移動せずに操作可能な範囲にある形態上分離した2つ以上の部材からなるものも含まれることとする。
【0021】
上記高圧洗浄車では、回転駆動する油圧ポンプを第1油圧モータまたは第2油圧モータに切り換えるスイッチと、各ホース(第1ホース、第2ホース)の繰り出しまたは巻き取りを操作する操作レバーが同一の操作盤に設置されている。そのため、第1ホースリールを回転駆動する場合も、第2ホースリールを回転駆動する場合も、移動することなく同一の操作盤にて操作を行うことができる。したがって、上記高圧洗浄車によれば、各ホース(第1ホース、第2ホース)の繰り出しまたは巻き取り作業の容易化を図ることができる。
【0022】
前記高圧洗浄車は、鉛直軸周りに揺動自在に設置されたターンテーブルを備え、前記第1ホースリールと前記第2ホースリールと前記操作盤とは、前記ターンテーブル上に設置されていることが好ましい。
【0023】
上記高圧洗浄車によれば、第1ホースおよび第2ホースの繰り出しまたは巻き取り作業を自動化するにあたり、第1ホースリールと第2ホースリールとにおいて、油圧装置の一部を共有させることにより、装置の大型化を抑制することができる。また、第1ホースおよび第2ホースの繰り出しまたは巻き取り操作を同一の操作盤を用いて行うことができる。これにより、第1ホースリール、第2ホースリールおよび操作盤を1つのターンテーブル上に載置することが可能となる。したがって、上記高圧洗浄車によれば、第1ホースリールおよび第2ホースリールおよび操作盤をコンパクトに配置することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明によれば、複数の噴射装置を有する高圧洗浄車において、各噴射装置のホースの繰り出しおよび巻き取り作業の自動化を大がかりな装置を用いることなく行うこと、および、その操作の容易化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
<実施形態1>
図1および図2は、本実施形態に係る高圧洗浄車1を表している。高圧洗浄車1は、後述する洗浄ノズル33(図3参照)または洗浄ガン35(図3参照)から高圧の洗浄水を噴射することで、下水管やマンホール周辺等の被洗浄物を洗浄するものである。
【0027】
図1に示すように、高圧洗浄車1は、キャブ2と、シャーシ3とを備えている。シャーシ3には、走行用エンジン46(図3参照)や、図示しない動力伝達装置などが組み立てられている。また、シャーシ3には、車輪5が取り付けられている。
【0028】
シャーシ3上には、洗浄水を貯留するタンク11と、ポンプ収容室21とが設置されている。タンク11は、シャーシ3上の前後方向の中央部に設置されている。ポンプ収容室21は、タンク11の前方側に設置されている。ポンプ収容室21内には、タンク11内の洗浄水を圧送するためのポンプ12が収容されている。
【0029】
シャーシ3上のタンク11の後方側には、支持台4が設置されている。図1および図2に示すように、支持台4上には、ターンテーブル6が鉛直軸周りに旋回自在に設けられている。ターンテーブル6上には、ホースリール15、サブホースリール16および操作盤50が設置されている。
【0030】
ホースリール15は、ターンテーブル6にフレーム31を介して取り付けられている。ホースリール15は、フレーム31により、水平軸X1回りに正逆回転自在に支持されている。図3に示すように、ホースリール15には、洗浄水を導くホース13が巻き付けられている。ホース13の先端には、洗浄ノズル33が着脱自在に取り付けられている。
【0031】
図1および図2に示すように、サブホースリール16は、ターンテーブル6にフレーム32を介して取り付けられている。サブホースリール16は、フレーム32により、水平軸X2回りに正逆回転自在に支持されている。図3に示すように、サブホースリール16には、洗浄水を導くサブホース14が巻き付けられている。サブホース14の先端には、洗浄ガン35が着脱自在に取り付けられている。
【0032】
また、高圧洗浄車1は後述する油圧装置8(図4参照)を備えている。ホースリール15は、油圧装置8の油圧モータ51(図4参照)により正逆回転駆動される。これにより、ホース13は、ホースリール15から繰り出され、または、巻き取られる。一方、サブホースリール16は、油圧装置8の油圧モータ52(図4参照)により正逆回転駆動される。これにより、サブホース14は、サブホースリール16から繰り出され、または、巻き取られる。
【0033】
図1に示すように、操作盤50は、操作レバー17と、切換スイッチ18とを備えている。後述するが、操作レバー17は、ホースリール15またはサブホースリール16を正逆回転させてホース13またはサブホース14(図3参照)の繰り出しまたは巻き取り作業を操作するものである。操作レバー17は、後述する方向切換弁56(図4参照)に接続されている。切換スイッチ18は、操作レバー17で操作するホースリール(ホースリール15またはサブホースリール16)を変更するためのスイッチである。切換スイッチ18は、後述する流路切換弁59(図4参照)に接続されている。
【0034】
以上が本実施形態に係る高圧洗浄車1の構成である。次に、本実施形態に係る高圧洗浄車1の水回路について図3を用いて説明する。なお、水回路は、タンク11から洗浄ノズル33または洗浄ガン35に洗浄水を供給する回路である。
【0035】
《高圧洗浄車1の水回路》
図3に示すように、高圧洗浄車1のタンク11の底部には配管61の一端部が接続されている。配管61の他端部は、ポンプ12に接続されている。また、配管61には、上流側から下流側に向かって順に、開閉弁80とストレーナ62とが設けられている。
【0036】
配管61の開閉弁80よりも下流側かつストレーナ62よりも上流側の中途部には、配管74が接続されている。配管74の端部には、開閉弁79が設けられている。配管74は、洗浄終了後に、タンク11に残った洗浄水を外部に放流するためのものである。
【0037】
ポンプ12の吐出側には、配管63の一端が接続されている。ポンプ12は、配管61を介してタンク11内に貯留された洗浄水を吸入し、高圧の洗浄水として配管63に吐出する。
【0038】
なお、ポンプ12は、プーリ42、Vベルト43、ドライブシャフト44、およびPTO(動力取出装置)45を介して、前述した走行用エンジン46に連結されている。これにより、ポンプ12は走行用エンジン46によって駆動される。また、ドライブシャフト44は、動力伝達機構47を介して、後述する油圧装置8(図4参照)の油圧ポンプ41に連結されている。
【0039】
配管63の他端は、圧力制御弁64に接続されている。圧力制御弁64には、配管65の一端が接続されている。また、圧力制御弁64は、配管71を介してタンク11と接続されている。圧力制御弁64は、主として配管63内の洗浄水を、配管65へ導くが、流入した洗浄水の圧力が所定の設定圧力よりも高い場合、その一部を配管71へ導く。このようにして、配管65へ導く洗浄水の圧力は、圧力制御弁64により所定の設定圧力以下となるように制御される。
【0040】
配管65の他端は、マニホールド70に接続されている。配管65の中途部には配管66の一端が接続されている。配管66の他端には、開閉弁67が設けられている。
【0041】
マニホールド70には、配管72および配管75の一端が接続されている。また、マニホールド70には、圧力計77が設けられている。
【0042】
配管72の他端にはホースリール15が接続されている。また、配管72の一端側には開閉弁73が設けられている。前述したように、ホースリール15にはホース13が巻き付けられている。また、ホース13の先端部には、洗浄ノズル33が着脱自在に取り付けられている。このような構成により、マニホールド70に流入した洗浄水は、配管72に導かれる。そして、開閉弁73を開くことにより、上記洗浄水は、ホースリール15およびホース13を介して洗浄ノズル33から噴射されることとなる。
【0043】
配管75の他端にはサブホースリール16が接続されている。また、配管75の中途部には開閉弁76が設けられている。前述したように、サブホースリール16にはサブホース14が巻き付けられている。また、サブホース14の先端部には、洗浄ガン35が着脱自在に取り付けられている。このような構成により、マニホールド70に流入した洗浄水は、配管75に導かれる。そして、開閉弁76を開くことにより、上記洗浄水は、サブホースリール16およびサブホース14を介して洗浄ガン35から噴射されることとなる。
【0044】
以上が水回路の説明である。次に、ホースリール15およびサブホースリール16を正逆回転駆動する油圧装置8について図4を用いて説明する。
【0045】
−油圧装置8−
図4に示すように、油圧装置8は、作動油が貯留されたオイルリザーバ53と、オイルリザーバ53内の作動油を圧送する油圧ポンプ41と、方向切換弁56と、流路切換弁59と、油圧モータ51,52とを備えている。
【0046】
オイルリザーバ53には、供給管54および回収管55の一端が接続されている。供給管54および回収管55の他端は、方向切換弁56に接続されている。また、方向切換弁56には、第1流通管57および第2流通管58の一端が接続されている。
【0047】
方向切換弁56は、第1の入状態と、第2の入状態と、切状態とに切り換え自在に構成されている。具体的には、方向切換弁56は、第1の入状態(図5,8参照)に切り換えられると、供給管54と第1流通管57とを連通させる第1連通路83を備えている。また、方向切換弁56は、第2の入状態(図6,9参照)に切り換えられると、供給管54と第2流通管58とを連通させる第2連通路84を備えている。さらに、方向切換弁56は、切状態に切り換えられると、供給管54と回収管55とが連通させられ、供給管54と第1流通管57または第2流通管58との連通は解除され、回収管55と第1流通管57または第2流通管58との連通は解除される。
【0048】
また、方向切換弁56は、流量制御機構83aを備えている。流量制御機構83aは、第1連通路83内を流れる作動油の流量を制御することができる。流量制御機構83aは、前述の操作レバー17の傾斜角度に応じて第1連通路83の開口面積を変化させる様に構成されている。さらに、方向切換弁56は、流量制御機構83aにより、第2連通路84内を流れる作動油の流量を制御することができる。
【0049】
このような構成により、方向切換弁56を切り換えると、第1流通管57と第2流通管58とに流れる作動油の向きが変更される。これにより、後述する油圧モータ51,52の回転方向が変更されることとなる。また、操作レバー17を用いることにより、操作レバー17の位置に応じて、第1流通管57または第2流通管58に流れ込む作動油の流量が変化する。これにより、後述する油圧モータ51,52の回転速度、すなわち、ホースリール15によるホース13の繰り出し速度および巻き取り速度が変更されることとなる。
【0050】
第1流通管57および第2流通管58の他端は、流路切換弁59に接続されている。
【0051】
流路切換弁59は、第1〜第6ポートa〜fを備えている。第1ポートaには第1流通管57の他端が接続されており、第2ポートbには第2流通管58の他端が接続されている。また、第3ポートcには油圧配管81の一端が接続されており、第4ポートdには油圧配管82の一端が接続されている。さらに、第5ポートeには油圧配管81の他端が接続されており、第6ポートfには油圧配管82の他端が接続されている。
【0052】
流路切換弁59は、本実施形態では電磁バルブにより構成されている。流路切換弁59は前述の切換スイッチ18に接続されており、切換スイッチ18によりON状態とOFF状態とが切り換えられる。具体的には、切換スイッチ18のレバー18aを左側に回動させるとOFF状態(図4,5,6参照)となり、右側に回動させるとON状態(図7,8,9参照)となる。
【0053】
流路切換弁59は、OFF状態(非通電状態)になると第1ポートaと第3ポートcとを連通させると共に、第2ポートbと第5ポートeとを連通させる(図4,5,6参照)。これにより、第1流通管57および第2流通管58は、油圧配管81を介して連通することとなる。一方、流路切換弁59は、ON状態(通電状態)になると、第1ポートaと第4ポートdとを連通させると共に、第2ポートbと第6ポートfとを連通させる(図7,8,9参照)。これにより、第1流通管57および第2流通管58は、油圧配管82を介して連通することとなる。
【0054】
油圧配管81の中途部には油圧モータ51が設けられている。一方、油圧配管82の中途部には油圧モータ52が設けられている。油圧モータ51は油圧配管81内を流れる作動油により回転駆動される。一方、油圧モータ52は油圧配管82内を流れる作動油により回転駆動される。また、油圧モータ51は連結具51aを介してホースリール15に連結されており、油圧モータ52は連結具52aを介してサブホースリール16に連結されている。これにより、ホースリール15は油圧モータ51により回転駆動される。また、サブホースリール16は油圧モータ52により回転駆動されることとなる。
【0055】
このような構成により、流路切換弁59を切り換えることにより、第1流通管57と第2流通管58とが連通する油圧配管(油圧配管81または油圧配管82)が切り換えられることとなる。そして、作動油によって回転駆動される油圧モータ51,52が切り換わる。これにより、回転駆動されるホースリール(ホースリール15またはサブホースリール16)が変更されることとなる。
【0056】
以上が油圧装置8の構成である。次に、高圧洗浄車1の動作を説明する。本高圧洗浄車1は、洗浄ノズル33から洗浄水を噴射する洗浄ノズル噴射運転と、洗浄ガン35から洗浄水を噴射する洗浄ガン噴射運転とを選択的に実行可能である。なお、ここでは、一例として下水管100(図10参照)内を洗浄する場合について説明する。
【0057】
《洗浄ノズル噴射運転》
−ホース13の繰り出し−
まず、ホース13の繰り出し作業を行う。高圧洗浄車1が洗浄作業の現場に到着すると、図10に示すように、高圧洗浄車1をマンホール101の近傍位置に停車させる。そして、ターンテーブル6を旋回させてホースリール15をマンホール101に対峙させる。これにより、ホースリール15のホース13を下水管100に送給しやすくなる。ホースリール15の方向が決定すると、ターンテーブル6を固縛し、旋回しないようにする。
【0058】
次に、ホース13の先端に取り付けられた洗浄ノズル33を下水管100内に配置する。具体的には、図5に示すように、操作盤50に設けられた切換スイッチ18のレバー18aを左側に回動させて流路切換弁59をOFF状態とする。そして、操作盤50に設けられた操作レバー17を図5における右方向(図1では下方向)に傾倒させる。これにより、方向切換弁56は、第1入状態に切り換えられ、供給管54と第1流通管57とが連通され、回収管55と第2流通管58とが連通される。
【0059】
このような状態で、油圧ポンプ41を始動すると、油圧ポンプ41により、オイルリザーバ53内の作動油は供給管54から第1流通管57に流れ込む。そして、第1流通管57から流路切換弁59を介して油圧配管81内に流れ込み、油圧配管81内を矢印の方向に流れる。これにより、油圧モータ51は回転駆動され、ホースリール15はホース13が繰り出される方向に回動する。
【0060】
なお、操作レバー17の傾倒角度により、第1流通管57に流れ込む作動油の流量が変化する。具体的には、操作レバー17を右方向に倒す程、第1連通路83を流れる油の流量が増す。これにより、油圧配管81内を流れる作動油の速度が増し、油圧モータ51の回転速度が増すこととなる。したがって、操作レバー17を右方向に傾倒させる程、ホースリール15の回転速度が増し、ホース13が高速で繰り出されることとなる。このようにして、ホース13を下水管100内に配置させる。
【0061】
−洗浄水噴射−
上述のようにして、ホース13を下水管100内に配置させた後、ポンプ12を駆動し、タンク11内の洗浄水を洗浄ノズル33まで導いて噴射する。具体的には、ポンプ12を駆動すると、タンク11内の洗浄水は、配管61を通じてポンプ12に吸い込まれる。そして、ポンプ12から吐出された洗浄水は、圧力制御弁64、配管65を通過してマニホールド70に導かれる。ここで、開閉弁73を開放すると、マニホールド70内の洗浄水は配管72およびホースリール15を介してホース13に導かれる。そして、洗浄水はホース13の先端部に取り付けられた洗浄ノズル33から噴射される。
【0062】
ここで、洗浄ノズル33は、高圧の洗浄水をホース13の先端から斜め後方に向かって噴射する様に構成されている。そのため、洗浄水が噴射されると、洗浄ノズル33およびホース13には前向きの推進力が付与される。また、上述のとおり、油圧モータ51により、ホースリール15はホース13を繰り出す方向に回転している。これにより、洗浄ノズル33は下水管100内で前進することとなる。このようにして、洗浄水噴射の際、ホース13は、油圧モータ51と洗浄水噴射による推進力によりホースリール15から繰り出されていくこととなる。
【0063】
−ホース13の巻き取り−
上述のようにして洗浄ノズル33は下水管100内を洗浄しつつ前進する。そして、洗浄ノズル33が所定位置まで達したところで、洗浄ノズル33から洗浄水を噴射させたまま、油圧モータ51を逆回転させる。
【0064】
具体的には、操作盤50に設けられた操作レバー17を図6の左方向に傾倒させる。これにより、方向切換弁56は、第2入状態に切り換えられ、供給管54と第2流通管58とが連通され、回収管55と第1流通管57とが連通される。このような状態で、油圧ポンプ41を始動すると、油圧ポンプ41により、オイルリザーバ53内の作動油は供給管54から第2流通管58に流れ込む。そして、第2流通管58から流路切換弁59を介して油圧配管81内に流れ込み、油圧配管81内を矢印の方向に流れる。これにより、油圧モータ51が逆回転し、ホースリール15はホース13が巻き取られる方向に回動駆動されることとなる。
【0065】
ここで、油圧モータ51による駆動力は、洗浄ノズル33に付与される推進力よりも大きい。そのため、ホース13は、推進力に抗してホースリール15に強制的に巻き取られることとなる。
【0066】
なお、操作レバー17の傾倒角度によって、第2流通管58に流れ込む作動油の流量は変化する。具体的には、操作レバー17を左方向に倒す程、第2連通路84を流れる油の流量が増す。これにより、油圧配管81内を流れる作動油の速度が増し、油圧モータ51の回転速度が増すこととなる。したがって、操作レバー17を左方向に傾倒させる程、ホースリール15の回転速度が増し、ホース13が高速で巻き取られることとなる。
【0067】
このようにして、洗浄ノズル33から洗浄水を噴射させたまま、洗浄ノズル33をマンホール101付近まで後退させていく。これにより、下水管100内の汚泥等は、高圧の洗浄水によって後方に押し流され、マンホール101近傍に集められることとなる。
【0068】
そして、洗浄ノズル33をマンホール101下のかい所まで後退させた後、開閉弁73を閉じて洗浄水の噴射を停止する。これにより、洗浄ノズル33に付与される推進力がなくなる。なお、このとき、操作盤50に設けられた操作レバー17の位置はそのままとし、ホース13がホースリール15に完全に巻き取られるまで油圧モータ51を逆回転させ続ける。
【0069】
上述のようにして、ホース13の巻き取りが完了したら、操作レバー17を真ん中の中立位置に戻す(図4参照)。これにより、方向切換弁56は、切状態に切り換えられ、供給管54と第2流通管58との連通状態が解除される。そのため、油圧モータ51には作動油が供給されなくなり、油圧モータ51の回転が停止する。これに伴い、ホースリール15の回動も停止することとなる。
【0070】
《洗浄ガン噴射運転》
−サブホース14の繰り出し−
まず、サブホース14の繰り出し作業を行う。図7に示すように、操作盤50に設けられた切換スイッチ18のレバー18aを右側に回動させて流路切換弁59をON状態とする。そして、図8に示すように、操作盤50に設けられた操作レバー17を右方向に傾倒させる。これにより、方向切換弁56は、第1入状態に切り換えられ、供給管54と第1流通管57とが連通され、回収管55と第2流通管58とが連通される。
【0071】
このような状態で、油圧ポンプ41を始動すると、油圧ポンプ41により、オイルリザーバ53内の作動油は供給管54から第1流通管57に流れ込む。そして、第1流通管57から流路切換弁59を介して油圧配管82内に流れ込み、油圧配管82内を矢印の方向に流れる。これにより、油圧モータ52は回転駆動され、サブホースリール16はサブホース14が繰り出される方向に回動する。
【0072】
なお、流量制御機構83aにより、操作レバー17を右方向に倒す程、第1連通路83の開口面積は増加し、流量が増す。これにより、油圧配管82内を流れる作動油の速度が増し、油圧モータ52の回転速度が増すこととなる。したがって、操作レバー17を右方向に傾倒させる程、サブホースリール16の回転速度が増し、サブホース14が高速で繰り出されることとなる。
【0073】
上述のようにして、サブホース14が必要長さ繰り出されたら、操作レバー17を真ん中の中立位置に戻す(図7参照)。これにより、方向切換弁56は、切状態に切り換えられ、供給管54と第1流通管57との連通状態が解除される。そのため、油圧モータ52には作動油が供給されなくなり、油圧モータ52の回転が停止する。これに伴い、サブホースリール16の回動も停止する。
【0074】
−洗浄水噴射−
そして、次に、水回路内のポンプ12を始動して、タンク11内の洗浄水を洗浄ガン35まで導き、噴射する。具体的には、タンク11内の洗浄水は、配管61を通じてポンプ12に吸い込まれる。そして、ポンプ12から吐出された洗浄水は、圧力制御弁64、配管65を通過してマニホールド70に導かれる。ここで、開閉弁76を開放すると、マニホールド70内の洗浄水は配管75およびサブホースリール16を介してサブホース14に導かれる。そして、洗浄水はサブホース14の先端部に取り付けられた洗浄ガン35から噴射される。
【0075】
−サブホース14の巻き取り−
洗浄終了後、サブホース14の巻き取り作業を行う。操作盤50に設けられた切換スイッチ18のレバー18aを右側に回動させたままとし、流路切換弁59をON状態に保つ。そして、図9に示すように、操作盤50に設けられた操作レバー17を左方向に傾倒させる。これにより、方向切換弁56は、第2入状態に切り換えられ、供給管54と第2流通管58とが連通され、回収管55と第1流通管57とが連通される。
【0076】
このような状態で、油圧ポンプ41を始動すると、油圧ポンプ41により、オイルリザーバ53内の作動油は供給管54から第2流通管58に流れ込む。そして、第2流通管58から流路切換弁59を介して油圧配管82内に流れ込み、油圧配管82内を矢印の方向に流れる。これにより、油圧モータ52は回転駆動され、サブホースリール16はサブホース14が巻き取られる方向に回動する。
【0077】
なお、流量制御機構83aにより、操作レバー17を左方向に倒す程、第2連通路84の開口面積は増加し、流量が増す。これにより、油圧配管82内を流れる作動油の速度が増し、油圧モータ52の回転速度が増すこととなる。したがって、操作レバー17を左方向に傾倒させる程、サブホースリール16の回転速度が増し、サブホース14が高速で巻き取られることとなる。
【0078】
上述のようにして、サブホース14の巻き取りが完了したら、操作レバー17を真ん中の中立位置に戻す(図7参照)。これにより、方向切換弁56は、切状態に切り換えられ、供給管54と第2流通管58との連通状態が解除される。そのため、油圧モータ52には作動油が供給されなくなり、油圧モータ52の回転が停止する。これに伴い、サブホースリール16の回動も停止する。
【0079】
以上のように、本高圧洗浄車1では、第1流通管57および第2流通管58を、油圧配管81および油圧配管82のいずれか一方と連通させる流路切換弁59を備えている。これにより、油圧モータ51に作動油を供給する経路と、油圧モータ52に作動油を供給する経路との間において、オイルリザーバ53と流路切換弁59との間に設けられた部品を、共有させることができる。そのため、複数の噴射装置(本実施形態では、洗浄ノズル33および洗浄ガン35)を有する高圧洗浄車1において、大がかりな装置を用いることなく、各噴射装置(洗浄ノズル33、洗浄ガン35)のホース(ホース13、サブホース14)の繰り出しまたは巻き取り作業を自動化することができる。
【0080】
また、本高圧洗浄車1では、流路切換弁59とオイルリザーバ53との間に、第1流通管57および第2流通管58を流れる作動油の流通方向を変更させる方向切換弁56が設けられている。そのため、オイルリザーバ53から油圧モータ51に作動油を供給する経路と、オイルリザーバ53から油圧モータ52に作動油を供給する経路との間において、方向切換弁56を共有させることができる。このことにより、本高圧洗浄車1では、使用する噴射装置(洗浄ノズル33、洗浄ガン35)を変更した場合であっても、同一の方向切換弁56を用いてホース(ホース13、サブホース14)の繰り出しまたは巻き取りの切換を行うことができる。したがって、本高圧洗浄車1によれば、各噴射装置(洗浄ノズル33、洗浄ガン35)のホース(ホース13、サブホース14)の繰り出しまたは巻き取り作業を自動化すると共に、その操作の容易化を図ることができる。
【0081】
本高圧洗浄車1では、操作レバー17を操作することにより、油圧モータ51または油圧モータ52の回転方向を切り換えることができる。そのため、本高圧洗浄車1によれば、ホース13またはサブホース14の繰り出し作業と巻き取り作業とを1つの操作レバー17の位置操作により行うことができる。したがって、本高圧洗浄車1によれば、各ホース(ホース13、サブホース14)の繰り出しまたは巻き取り作業に関する操作の容易化を図ることが可能となる。
【0082】
本方向切換弁56によれば、流量制御機構83aにより、操作レバー17の位置を変更するだけで、供給管54から第1流通管57および第2流通管58へ流れる作動油の流量を制御することが可能となる。そのため、操作レバー17を操作することにより、油圧モータ51および油圧モータ52の回転方向だけでなく、回転速度を変更することができる。つまり、操作レバー17を操作することにより、各噴射装置(洗浄ノズル33、洗浄ガン35)のホース(ホース13、サブホース14)の繰り出しまたは巻き取りの切り換えだけでなく、繰り出しまたは巻き取りの速度も調節することが可能となる。したがって、本高圧洗浄車1によれば、繰り出しまたは巻き取り操作の容易化を図ることができる。また、これにより、当該操作を円滑に行うことが可能となる。そのため、作業時間を短縮することも可能となる。
【0083】
本高圧洗浄車1では、回転駆動する油圧モータを油圧モータ51または油圧モータ52に切り換える切換スイッチ18と、各ホース(ホース13、サブホース14)の繰り出しまたは巻き取りを操作する操作レバー17が同一の操作盤50に設置されている。そのため、ホースリール15を回転駆動する場合も、サブホースリール16を回転駆動する場合も、同一の操作盤50にて操作を行うことができる。したがって、本高圧洗浄車1によれば、各ホース(ホース13、サブホース14)の繰り出しまたは巻き取り作業の容易化を図ることができる。
【0084】
本高圧洗浄車1によれば、ホース13およびサブホース14の繰り出しまたは巻き取り作業を自動化するにあたり、ホースリール15とサブホースリール16とにおいて、油圧装置8の一部を共有させることにより、装置の大型化を抑制することができる。また、ホース13およびサブホース14の繰り出しまたは巻き取り操作を同一の操作盤50を用いて行うことができる。これにより、ホースリール15、サブホースリール16を1つのターンテーブル6上に載置することが可能となる。したがって、本高圧洗浄車1によれば、ホースリール15、サブホースリール16および操作盤50をコンパクトに配置することが可能となる。
【0085】
なお、本実施形態では、操作レバー17として中立位置から傾倒させることにより操作されるものを用いていた。しかし、操作レバー17はこれに限定されず、例えば、操作レバー17と略直交する方向にスライド移動するようなものであってもよい。また、本実施形態では、切換スイッチ18としてレバー18aを揺動させることにより流路切換弁59である電磁バルブをON/OFFするものを用いていた。しかし、切換スイッチ18はこれに限定されず、例えば、単なる押しボタン式のスイッチを用いてもよい。
【0086】
また、本実施形態では、流量制御機構83aは、操作レバー17の傾斜角度に応じて第1連通路83または第2連通路84の開口面積を変化させる様に構成されていた。しかし、操作レバー17が、例えば、傾倒させることにより操作されるものでなく、移動させることにより操作されるものである場合、流量制御機構83aは、操作レバー17の傾斜角度でなく、位置に応じて第1連通路83または第2連通路84の開口面積を変化させる様に構成されていてもよい。
【0087】
さらに、本実施形態では、流路切換弁59を電磁バルブとして説明していたが、流路切換弁59を手動式のバルブとし、切換スイッチ18とリンク機構等により接続することとしてもよい。このような場合であっても、上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0088】
また、本実施形態では、方向切換装置として方向切換弁56を用いていたが、第1流通管37および第2流通管58内の作動油の流通方向を切り換えるいかなる装置を用いてもよい。
【0089】
本実施形態では、洗浄水の噴射装置として、洗浄ノズル33および洗浄ガン35を用いていた。しかし、噴射装置はこれらに限らず、他の噴射装置であってもよいことは勿論である。例えば、洗浄ガン35に代えて、洗浄ノズル33よりも小さな他の洗浄ノズル(いわゆる小ノズル)を用いてもよい。このような小ノズルを用いることにより、小口径の下水管に対する洗浄作業が容易となる。また、噴射装置は2つに限られず、3つ以上備えていてもよい。この場合、油圧モータと油圧配管とをそれぞれ噴射装置の個数分設ける。そして、流路切換装置を、第1流通管57および第2流通管58が各油圧配管を介して連通する各状態に切換可能に構成する。このことにより、上述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0090】
なお、上記実施形態では、流量制御機構83aは、連通路の開口面積の調整が可能ないわゆる可変絞り機構であった。しかし、流量制御機構83aは、連通路の開口面積の調整が不能ないわゆる固定絞り機構であってもよい。
【0091】
<実施形態2>
図4に示すように、実施形態1では、方向切換弁56は、第1の入状態のときに供給路54と第1流通路57とを連通させる第1連通路83と、第2の入状態のときに供給路54と第2流通路58とを連通させる第2連通路84と、第1の入状態のときに第2流通路58と回収路55とを連通させる第3連通路85と、第2の入状態のときに第1流通路57と回収路55とを連通させる第4連通路86とを備え、第1連通路83および第2連通路84に対して流量制御機構83aが設けられていた。
【0092】
第1の入状態のときには、第1連通路83が油圧配管81に向かう往路となり、第3連通路85が油圧配管81からの復路となるが、絞り機構の一種である流量制御機構83aは、往路である第1連通路83のみに設けられていた。
【0093】
ところで、前述したように、洗浄ノズル33は、洗浄水を後方または斜め後方に噴射することにより、マンホール101内を前進する。しかし、洗浄ノズル33の噴射力が大きい場合、洗浄ノズル33が急速度で前進し、ホース13がホースリール15から急激に繰り出されるおそれがある。本実施形態は、そのようなホース13の急激な繰り出しを抑制するものである。
【0094】
以下の説明では、実施形態1と同様の部分には同様の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0095】
図11に示すように、実施形態2に係る高圧洗浄車は、ホース13を繰り出す際の方向切換弁56における油圧配管81,82に向かう往路と油圧配管81,82からの復路との両方に、絞り機構を設けたものである。具体的には、実施形態2では、方向切換弁65の第1連通路83および第2連通路84(往路側の連通路)に対して往路側絞り機構91が設けられ、第3連通路85および第4連通路86(復路側の連通路)に対して復路側絞り機構92が設けられている。なお、これら絞り機構91,92の構成は特に限定されない。これら絞り機構91,92は、固定絞り機構であってもよく、可変絞り機構であってもよい。本実施形態では、これら絞り機構91,92は可変絞り機構で形成されている。
【0096】
本実施形態によれば、方向切換弁56が第1の入状態のときには、油圧配管81を流れる油は、往路と復路との両方で絞られることになる。すなわち、方向切換弁56が第1の入状態のときに、油圧配管81を流れる油は、往路側絞り機構91および復路側絞り機構92によって絞られ、2重に絞られることになる。そのため、油圧配管81の油の流量が抑制され、油圧モータ51の急激な回転が抑えられる。その結果、ホースリール15からのホース13の繰り出しが油圧モータ51によって制動されるので、洗浄ノズル33の噴射力が大きい場合であっても、ホース13が急激に繰り出されることを抑制することができる。
【0097】
《用語の定義》
本発明に係る同一の操作盤には、本実施形態のような一塊の操作盤50だけでなく、操作者が移動せずに操作可能な範囲にある形態上分離した2つ以上の部材からなるものも含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上説明したように、本発明は、高圧洗浄車について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】高圧洗浄車の側面図である。
【図2】高圧洗浄車の背面図である。
【図3】水回路を示す図である。
【図4】ホースリール停止時における油圧装置を示す図である。
【図5】ホースを繰り出す場合における作動油の流れを示す図である。
【図6】ホースを巻き取る場合における作動油の流れを示す図である。
【図7】サブホースリール停止時における油圧装置を示す図である。
【図8】サブホースを繰り出す場合における作動油の流れを示す図である。
【図9】サブホースを巻き取る場合における作動油の流れを示す図である。
【図10】高圧洗浄車の使用の状況を説明する図である。
【図11】実施形態2に係る油圧装置を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
1 高圧洗浄車
6 ターンテーブル
8 油圧装置
13 ホース(第1ホース)
14 サブホース(第2ホース)
15 ホースリール(第1ホースリール)
16 サブホースリール(第2ホースリール)
17 操作レバー
18 切換スイッチ(スイッチ)
33 洗浄ノズル(第1噴射装置)
35 洗浄ガン(第2噴射装置)
50 操作盤
51 油圧モータ(第1油圧モータ)
52 油圧モータ(第2油圧モータ)
53 オイルリザーバ
54 供給管(供給路)
55 回収管(回収路)
56 方向切換弁(方向切換装置)
57 第1流通管(第1流通路)
58 第2流通管(第2流通路)
59 流路切換装置
81 油圧配管(第1油圧流路)
82 油圧配管(第2油圧流路)
83 第1連通路
83a 流量制御機構(第1流量制御機構、第2流量制御機構)
84 第2連通路
91 往路側絞り機構
92 復路側絞り機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を噴射する第1噴射装置および第2噴射装置と、先端に第1噴射装置が取り付けられ、前記第1噴射装置に洗浄水を導く第1ホースと、先端に第2噴射装置が取り付けられ、前記第2噴射装置に洗浄水を導く第2ホースと、前記第1ホースが巻き付けられる第1ホースリールと、前記第2ホースが巻き付けられる第2ホースリールと、前記第1ホースリールまたは前記第2ホースリールを回転駆動する油圧装置と、を備えた高圧洗浄車であって、
前記油圧装置は、
作動油が貯留されたオイルリザーバと、
一端が前記オイルリザーバに接続された供給路と、
一端が前記オイルリザーバに接続された回収路と、
前記供給路の中途部に設けられ、前記オイルリザーバ内の作動油を圧送する油圧ポンプと、
前記供給路および前記回収路の他端が接続された方向切換装置と、
一端がそれぞれ前記方向切換装置に接続された第1流通路および第2流通路と、
前記第1流通路および前記第2流通路の他端が接続された流路切換装置と、
一端および他端が前記流路切換装置に接続された第1油圧流路と、
一端および他端が前記流路切換装置に接続された第2油圧流路と、
前記第1油圧流路の中途部に設けられ、前記第1ホースリールを回転駆動する第1油圧モータと、
前記第2油圧流路の中途部に設けられ、前記第2ホースリールを回転駆動する第2油圧モータと、を有し、
前記流路切換装置は、少なくとも、前記第1流通路と前記第2流通路とを前記第1油圧流路を介して連通させる第1の状態と、前記第1流通路と前記第2流通路とを前記第2油圧流路を介して連通させる第2の状態とに切換自在であり、
前記方向切換装置は、前記供給路と前記第1流通路とを連通させると共に前記回収路と前記第2流通路とを連通させる第1の入状態と、前記供給路と前記第2流通路とを連通させると共に前記回収路と前記第1流通路とを連通させる第2の入状態と、前記供給路と前記回収路とを連通させる切状態に切り換え自在である高圧洗浄車。
【請求項2】
請求項1に記載の高圧洗浄車であって、
前記方向切換装置に接続された操作レバーを備え、
前記方向切換装置は、前記操作レバーの位置に応じて、前記第1の入状態と前記第2の入状態と前記切状態とに切り換えられる、高圧洗浄車。
【請求項3】
請求項2に記載の高圧洗浄車であって、
前記方向切換装置は、
前記第1の入状態に切り換えると、前記供給路と前記第1流通路とを連通させる第1連通路と、
前記第2の入状態に切り換えると、前記供給路と前記第2流通路とを連通させる第2連通路と、
前記第1連通路内を流れる作動油の流量を制御する第1流量制御機構と、
前記第2連通路内を流れる作動油の流量を制御する第2流量制御機構と、を備え、
前記第1流量制御機構は、前記操作レバーの位置に応じて前記第1連通路の開口面積を変化させ、
前記第2流量制御機構は、前記操作レバーの位置に応じて前記第2連通路の開口面積を変化させる高圧洗浄車。
【請求項4】
請求項2に記載の高圧洗浄車であって、
前記第1噴射装置は、洗浄水を後方または斜め後方に噴射することによって前方に向かって進む自走式の噴射装置であり、
前記方向切換装置の前記第1の入状態は、前記第1ホースリールから前記第1ホースを繰り出す方向に前記第1油圧モータを回転駆動させる状態であり、
前記方向切換装置は、
前記第1の入状態に切り換えると、前記供給路と前記第1流通路とを連通させる往路側の連通路と、
前記第1の入状態に切り換えると、前記第2流通路と前記回収路とを連通させる復路側の連通路と、
前記往路側の連通路内を流れる作動油の流量を抑制する往路側絞り機構と、
前記復路側の連通路内を流れる作動油の流量を抑制する復路側絞り機構と、
を備えている高圧洗浄車。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一つに記載の高圧洗浄車であって、
前記流路切換装置には、前記流路切換装置を少なくとも前記第1の状態と前記第2の状態とに切り換えるためのスイッチが接続され、
前記操作レバーと前記スイッチとは、同一の操作盤に設置されている、高圧洗浄車。
【請求項6】
請求項5に記載の高圧洗浄車であって、
鉛直軸周りに揺動自在に設置されたターンテーブルを備え、
前記第1ホースリールと前記第2ホースリールと前記操作盤とは、前記ターンテーブル上に設置されている、高圧洗浄車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−261206(P2008−261206A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70663(P2008−70663)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】