説明

高圧洗浄車

【課題】噴射圧力の異なる複数通りの噴射状態が可能であり、作業効率が高く、かつ誤操作が生じにくい高圧洗浄車を提供する。
【解決手段】高圧洗浄車は、一端が高圧用ポンプ111の吐出側に接続された第1水流路112と、一端が超高圧用ポンプ121の吐出側に接続された第2水流路122と、第1水流路112と第2水流路122とをつなぐバイパス路130と、バイパス路130に設けられ、遠隔操作されるバイパス弁131とを備えている。第1水流路112には、所定の第1圧力に設定され、エアが供給されると作動する第1調圧弁115が設けられている。第2水流路122には、前記第1圧力よりも高い所定の第2圧力に設定され、エアが供給されると作動する第2調圧弁125が設けられている。第1調圧弁115および第2調圧弁125に対するエアの供給を遠隔操作するエア供給装置140が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧洗浄車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、下水管やボイラー配管等の洗浄に、高圧洗浄車が使用されている。通常、高圧洗浄車は、洗浄水を貯留するタンクと、洗浄水を圧送するポンプと、圧送された洗浄水を導くホースと、ホースが巻き付けられたホースリールと、ホースの先端に取り付けられた噴射ノズルとを備えている。作業時には、作業者はホールリールからホースを繰り出し、高圧の洗浄水を噴射ノズルから下水管等に噴射することによって、下水管等の洗浄を行う。
【0003】
しかし、マンホール周辺などの特に汚れのひどい箇所では、噴射ノズルでは汚れを十分に除去することができない場合もある。そこで、噴射ノズルとは別に、洗浄ガンを備えた高圧洗浄車も提案されている(特許文献1参照)。この種の高圧洗浄車では、汚れのひどい箇所を洗浄する際には、洗浄水の供給先を噴射ノズルから洗浄ガンに切り換え、洗浄ガンから洗浄水を噴射することによって洗浄を行う。
【0004】
また、エア式の切換弁を備え、この切換弁によって噴射ノズルと洗浄ガンとを遠隔操作で切り換えるようにした高圧洗浄車も知られている(特許文献2参照)
【0005】
ところで、洗浄ガンを用いたとしても、汚れが容易にとれない場合もあり得る。そのような場合には、洗浄ガンによる洗浄の効果をより向上させるために、噴射する洗浄水の圧力を高くすることが好ましい。そのため、高圧の洗浄水を噴射するだけでなく、必要に応じて超高圧の洗浄水の噴射も可能であることが好ましい。すなわち、適宜に異なる圧力で洗浄水を噴射できることが望ましい。
【0006】
特許文献3には、低圧、中圧、および高圧の3通りの噴射状態が切換可能な圧水噴射装置が開示されている。この圧水噴射装置によれば、複数のバルブを適宜に操作することにより、上記3通りの噴射状態を任意に切り換えることができる。
【特許文献1】実用新案登録第2510670号公報
【特許文献2】特開平7−252879号公報
【特許文献3】実公平5−18078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3に開示された圧水噴射装置では、噴射状態の切り換えに際して、作業者が複数のバルブを手動で操作しなければならなかった。そのため、作業効率が悪かった。また、これらのバルブは複雑に入り組んだ配管に設けられているため、作業者によるバルブの誤操作が発生しやすかった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、噴射圧力の異なる複数通りの噴射状態が可能であり、作業効率が高く、かつ誤操作が生じにくい高圧洗浄車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る高圧洗浄車は、例えば図1に示すように、洗浄水を貯留するタンク101と、前記タンク101の洗浄水を圧送する高圧用ポンプ111と、一端が前記高圧用ポンプ111の吐出側に接続された第1水流路112と、前記第1水流路112の他端に接続された第1ホース113と、前記第1ホース113に取り付けられた第1噴射装置114と、前記タンク101の洗浄水を圧送する超高圧用ポンプ121と、一端が前記超高圧用ポンプ121の吐出側に接続された第2水流路122と、前記第2水流路122の他端に接続された第2ホース123と、前記第2ホース123に取り付けられた第2噴射装置124と、前記第1水流路112と前記第2水流路122とをつなぐバイパス路130と、前記バイパス路130に設けられ、遠隔操作されるバイパス弁131と、前記第1水流路112に設けられ、所定の第1圧力に設定され、エアが供給されると作動する第1調圧弁115と、前記第2水流路122に設けられ、前記第1圧力よりも高い所定の第2圧力に設定され、エアが供給されると作動する第2調圧弁125と、前記第1調圧弁115および前記第2調圧弁125に対するエアの供給を遠隔操作するエア供給装置140と、を備えたものである。
【0010】
上記高圧洗浄車では、例えば、バイパス弁131を開放し、第1調圧弁115および第2調圧弁125にエアを供給することとすれば、第1噴射装置114または第2噴射装置124から第1圧力(以下、高圧という)の洗浄水が噴射される(高圧噴射運転)。また、例えば、バイパス弁131を閉じ、第2調圧弁125にエアを供給することとすれば、第2噴射装置124から第2圧力(以下、超高圧という)の洗浄水が噴射される(超高圧噴射運転)。
【0011】
また、例えば、バイパス弁131を閉じ、第1調圧弁115および第2調圧弁125のいずれにもエアを供給しないこととすれば、第1噴射装置114または第2噴射装置124から第1圧力以下の圧力(以下、低圧という)の洗浄水が噴射される(低圧噴射運転)。
【0012】
このように、上記高圧洗浄車によれば、バイパス弁、第1調圧弁および第2調圧弁を遠隔操作するだけで、噴射圧力の異なる複数通りの噴射状態が可能となる。作業者は、弁操作の際に、複雑に入り組んだ配管の中からバイパス弁、第1調圧弁および第2調圧弁を探す必要がないので、作業効率が高まり、また、それらの弁の誤操作が生じにくくなる。
【0013】
前記バイパス弁は、エアの供給の有無によって切り換えられる弁であり、前記エア供給装置は、前記バイパス弁に対するエアの供給を遠隔操作することが好ましい。
【0014】
このことにより、バイパス弁、第1調圧弁および第2調圧弁のすべての遠隔操作をエア供給装置のみで行うことができる。
【0015】
前記高圧洗浄車は、前記高圧用ポンプおよび前記超高圧用ポンプを同時に駆動する駆動軸と、前記第1調圧弁が非作動状態のときに前記第1水流路の水を前記タンクに戻す戻し流路と、前記エア供給装置を操作して、前記第1噴射装置または前記第2噴射装置から第1圧力の洗浄水を噴射させる高圧噴射運転と、前記第2噴射装置から第2圧力の洗浄水を噴射させる超高圧噴射運転とを選択的に実行させる制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記高圧噴射運転のときには、前記バイパス弁を開くとともに、前記第1調圧弁にエアを供給し、前記超高圧噴射運転のときには、前記バイパス弁を閉じるとともに、前記第1調圧弁にエアを供給せず、かつ、前記第2調圧弁にエアを供給してもよい。
【0016】
上記高圧洗浄車によれば、高圧用ポンプおよび超高圧用ポンプを単一の駆動源(例えば、高圧洗浄車の走行用エンジン、または走行用エンジンとは別個に設けられた独立エンジン等)によって駆動することができる。そして、高圧用ポンプおよび超高圧用ポンプが常に同時に運転するにも拘わらず、高圧噴射運転と超高圧噴射運転とを選択的に実行することができる。
【0017】
前記高圧洗浄車は、前記第1調圧弁の前記第1圧力または前記第2調圧弁の前記第2圧力を調整する圧力調整機構を備えていることが好ましい。
【0018】
このことにより、少なくとも高圧噴射および超高圧噴射の2段階の運転が可能であるとともに、高圧噴射時および超高圧噴射時の各圧力を微調整することができる。
【0019】
前記高圧洗浄車は、前記第1水流路または前記第1ホースに設けられ、前記第1噴射装置に対する洗浄水の供給の有無を切り換える第1締切弁と、前記第2水流路または前記第2ホースに設けられ、前記第2噴射装置に対する洗浄水の供給の有無を切り換える第2締切弁と、を備え、前記第1締切弁および前記第2締切弁は、遠隔操作自在な弁によって構成されていることが好ましい。
【0020】
このことにより、第1噴射装置および第2噴射装置に対する洗浄水の供給の有無を遠隔操作することができ、作業効率のより一層の向上を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、噴射圧力の異なる複数通りの噴射状態が可能であり、作業効率が高く、かつ誤操作が生じにくい高圧洗浄車を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図2および図3は、本実施形態に係る高圧洗浄車1を表している。高圧洗浄車1は、後述する洗浄ノズル33(図4参照)または洗浄ガン35から洗浄水を噴射することで、下水管やボイラー配管等の被洗浄物(図示せず)を洗浄するものである。
【0024】
図2に示すように、高圧洗浄車1は、キャブ2と、シャーシ3と、シャーシ3の上側に設けられたサブフレーム4とを備えている。シャーシ3には、高圧洗浄車1の走行にも用いられる走行用エンジン46(図4参照)や、図示しない動力伝達装置およびブレーキ装置などが組み立てられている。また、シャーシ3には、車輪5が取り付けられている。
【0025】
サブフレーム4上には、洗浄水を貯留するタンク11と、タンク11内の洗浄水を圧送するためのポンプユニット12と、洗浄水を導く大ホース13および小ホース14(図4参照)と、大ホース13を巻きつける大ホースリール15と、小ホース14を巻きつける小ホースリール16(図3参照)とを備えている。
【0026】
図2に示すように、タンク11は、サブフレーム4上の前後方向の中央部に設置されている。タンク11の前方側には、ポンプ収容室21が設置されている。ポンプ収容室21内には、前述のポンプユニット12が収容されている。
【0027】
タンク11の後方側のサブフレーム4上には、ターンテーブル6が鉛直軸周りに旋回自在に設置されている。大ホースリール15は、ターンテーブル6上にフレーム31を介して取り付けられている。
【0028】
大ホースリール15はフレーム31に支持されており、水平軸X1回りに正逆回転する。図4に示すように、大ホース13の先端には、洗浄ノズル33が着脱自在に取り付けられている。
【0029】
図3に示すように、タンク11の後方側のサブフレーム4には、サブターンテーブル7が鉛直軸回りに旋回自在に設置されている。小ホースリール16は、サブターンテーブル7にフレーム32を介して取り付けられている。
【0030】
小ホースリール16はフレーム32に支持されており、水平軸X2回りに正逆回転する。図4に示すように、小ホース14の先端には洗浄ガン35が着脱自在に取り付けられている。
【0031】
次に、図4を参照しながら、高圧洗浄車1の水回路23について説明する。
【0032】
高圧洗浄車1の水回路23は、タンク11と、ポンプユニット12と、設定圧力が所定の第1圧力に設定された第1アンロードバルブ51と、設定圧力が所定の第2圧力に設定された第2アンロードバルブ52と、三方弁53と、大ホース側締切弁54と、小ホース側締切弁55とを備えている。
【0033】
ポンプユニット12は、吸入部12cと、高圧吐出部12aと、超高圧吐出部12bとを備えている。このポンプユニット12は、高圧用ポンプと超高圧用ポンプとが一体化されたものであり、単一の駆動軸20によって、同時に駆動されるものである。すなわち、高圧吐出部12aと吸込部12cとは高圧用ポンプ13aを構成し、超高圧吐出部12bと吸込部12cとは超高圧用ポンプ13bを構成している。吸込部12cは、高圧用ポンプ13aおよび超高圧用ポンプ13bの共通の吸込部となっている。
【0034】
タンク11とポンプユニット12の吸入部12cとは、配管40を介して接続されている。ポンプユニット12の高圧吐出部12aは、配管41を介して第1アンロードバルブ51に接続されている。
【0035】
第1アンロードバルブ51は、遠隔操作される三方弁であり、エアの供給の有無によってON/OFFされる。第1アンロードバルブ51の一方の流出ポートは、配管43を介して大ホース13に接続されている。大ホース側の締切弁54は、配管43に設けられている。第1アンロードバルブ51の他方の流出ポートは、戻し配管47を介してタンク11に接続されている。第1アンロードバルブ51は、エアが供給されるとON状態となり、配管41から流れてきた水を配管43に導く(ただし、所定の設定圧力以上になると、水の一部を戻し配管47に逃がすことによって圧力を上記設定圧力に調整する)一方、エアが供給されないとOFF状態となり、配管41から流れてきた水を戻し配管47に導く。
【0036】
ポンプユニット12の超高圧吐出部12bは、配管44を介して小ホース14に接続されている。配管44には、小ホース側の締切弁55が設けられている。配管44における締切弁55よりも上流側の中途部には、分岐管48の一端が接続されている。分岐管48の他端には、三方弁53の第1ポート53aが接続されている。
【0037】
三方弁53は、遠隔操作される弁であり、エアの供給の有無によって連通状態が切り換えられる。三方弁53の第2ポート53bは、バイパス管62を介して、配管41の中途部に接続されている。三方弁53の第3ポート53cは、配管49を介して第2アンロードバルブ52に接続されている。三方弁53は、エアが供給されるとON状態となり、第1ポート53aと第2ポート53bと第3ポート53cとが連通した状態となる一方、エアが供給されないとOFF状態となり、第1ポート53aと第3ポート53cとが連通した状態となる。すなわち、三方弁53にエアが供給されないと、バイパス管62は閉鎖される。
【0038】
第2アンロードバルブ52も遠隔操作される弁であり、エアの供給の有無によってON/OFFされる。第2アンロードバルブ52の流入ポートは配管49に接続され、流出ポートは配管61を介してタンク11に接続されている。
【0039】
なお、水回路23において、配管41および配管43は、「第1水流路」に対応する。また、配管44は「第2水流路」に対応する。分岐管48およびバイパス管62は、「バイパス路」に対応する。
【0040】
次に、図5を参照しながら、高圧洗浄車1のエア回路24について説明する。
【0041】
高圧洗浄車1のエア回路24は、エアタンク70と、電磁式の第1〜第5の三方弁71〜75と、第1レギュレータ76と、第2レギュレータ77とを備えている。このエア回路24は、第1アンロードバルブ51、第2アンロードバルブ52および三方弁53にエアを適宜に供給する。第1〜第5の三方弁71〜75は、第1ポートaと第2ポートbと第3ポートcとを備えており、ON状態(通電状態)になると第1ポートaと第2ポートbとを連通させ、OFF状態(非通電状態)になると第2ポートbと第3ポートcとを連通させる。
【0042】
エアタンク70は、エア配管81を介して第1の三方弁71の第1ポートaに接続されている。第1の三方弁71の第2ポートbは、エア配管83を介して第2レギュレータ77の一端に接続されている。第2レギュレータ77の他端は、エア配管91を介して、エア配管81の中途部に接続されている。第1の三方弁71の第3ポートcは、エア配管82を介して第2の三方弁72の第1ポートaに接続されている。第2の三方弁72の第2ポートbは、一端がサイレンサ79を介して大気開放されたエア配管84に接続されている。第2の三方弁72の第3ポートcは、エア配管85を介して第2アンロードバルブ52に接続されている。
【0043】
第3の三方弁73の第1ポートaは、エア配管81の中途部から分岐したエア配管86に接続されている。第3の三方弁73の第2ポートbは、エア配管87を介して第1レギュレータ76の一端に接続されている。第1レギュレータ76の他端は、エア配管92を介して、エア配管91の中途部に接続されている。第3の三方弁73の第3ポートcは、エア配管88を介して第4の三方弁74の第1ポートaに接続されている。
【0044】
第4の三方弁74の第2ポートbは、一端がサイレンサ79を介して大気開放されたエア配管89に接続されている。第4の三方弁74の第3ポートcは、エア配管90を介して第1アンロードバルブ51に接続されている。
【0045】
第5の三方弁75の第1ポートaは、一端がサイレンサ79を介して大気開放されたエア配管93に接続されている。第5の三方弁75の第2ポートbは、エア配管94を介して、エア配管91の中途部(より詳しくは、エア配管81の分岐部とエア配管92の分岐部との間)に接続されている。第5の三方弁75の第3ポートcは、エア配管95を介して三方弁53に接続されている。
【0046】
以上がエア回路24の構成である。なお、第1〜第5の三方弁71〜75は、キャブ2内に設置されたコントローラ50(図2参照)を用いて遠隔操作される。各三方弁71〜75のON/OFF状態は、作業者がコントローラ50を用いることによって個別に操作されてもよく、また、作業者が後述する複数の運転の中から特定の運転を選択することにより、コントローラ50によって自動的に遠隔操作されてもよい。
【0047】
次に、高圧洗浄車1の動作を説明する。本高圧洗浄車1は、洗浄ガン35から低圧の洗浄水を噴射する低圧噴射運転と、洗浄ノズル33から高圧の洗浄水を噴射する第1高圧噴射運転と、洗浄ガン35から高圧の洗浄水を噴射する第2高圧噴射運転と、洗浄ガン35から超高圧の洗浄水を噴射する超高圧噴射運転とを選択的に実行可能である。低圧噴射運転は、例えばマンホール周辺の汚れを洗い流すとき等に好適である。第1および第2高圧噴射運転は、例えばマンホール周辺の汚れを高圧洗浄するとき等に好適である。超高圧噴射運転は、例えばボイラー配管の洗浄等に好適である。以下、これらの運転について説明する。
【0048】
<低圧噴射運転>
まず、図6および図7を参照しながら、洗浄ガン35から低圧の洗浄水を噴射する低圧噴射運転について説明する。低圧噴射運転においては、大ホース側の締切弁54は閉じられ、小ホース側の締切弁55は開放される。
【0049】
図6に示すように、エア回路24では、第1〜第5の三方弁71〜75が、すべてOFF状態に設定される。その結果、第1アンロードバルブ51および第2アンロードバルブ52にはエアが供給されず、三方弁53にのみエアが供給される。
【0050】
第1アンロードバルブ51および第2アンロードバルブ52がOFF状態となり、三方弁53がON状態となるので、水回路23では、洗浄水が図7に示すように流れる。すなわち、タンク11内の洗浄水は、配管40を通じてポンプユニット12の吸入部12cに吸い込まれる。そして、高圧吐出部12aから吐出された洗浄水は分流し、洗浄水の一部は第1アンロードバルブ51を素通りし、戻り配管47を通じてタンク11に返送される。一方、分流後の他の洗浄水は、バイパス管62を流れる。超高圧吐出部12bから吐出された洗浄水は、バイパス管62からの洗浄水と合流し、配管44を通って小ホース14に供給され、低圧の洗浄水として洗浄ガン35から噴射される。
【0051】
<第1高圧噴射運転>
次に、図8および図9を参照しながら、洗浄ノズル33から高圧の洗浄水を噴射する第1高圧噴射運転について説明する。第1高圧噴射運転においては、大ホース側の締切弁54は開放され、小ホース側の締切弁55は閉じられる。
【0052】
図8に示すように、エア回路24では、第1、第2、第3、および第4の三方弁71,72,73,74がON状態に設定され、第5の三方弁75がOFF状態に設定される。したがって、第1アンロードバルブ51、第2アンロードバルブ52、および三方弁53にエアが供給される。その結果、第1アンロードバルブ51は第1圧力(所定の高圧値。例えば、200kg/cm)に設定され、第2アンロードバルブ52は第2圧力(所定の超高圧値。例えば、580kg/cm)に設定される。
【0053】
水回路23では、洗浄水が図9に示すように流れる。すなわち、タンク11内の洗浄水は、配管40を通じてポンプユニット12の吸入部12cに吸い込まれる。超高圧吐出部12bから吐出された洗浄水は、三方弁53を通ってバイパス管62に流れ込む。高圧吐出部12aから吐出された洗浄水は、バイパス管62からの洗浄水と合流した後、第1アンロードバルブ51を通過して配管43を流れ、大ホース13に供給される。なお、第1アンロードバルブ51は第1圧力に設定されているので、大ホース13に供給される洗浄水の圧力は第1圧力となる。そして、大ホース13に供給された高圧の洗浄水は、洗浄ノズル33から噴射される。
【0054】
<第2高圧噴射運転>
次に、図10および図11を参照しながら、洗浄ガン35から高圧の洗浄水を噴射する第2高圧噴射運転について説明する。第2高圧噴射運転においては、大ホース側の締切弁54は閉じられ、小ホース側の締切弁55は開放される。
【0055】
図10に示すように、エア回路24では、第1、第2、および第4の三方弁71,72,74がON状態に設定され、第3および第5の三方弁73,75がOFF状態に設定される。したがって、第1アンロードバルブ51、第2アンロードバルブ52、および三方弁53にエアが供給される。その結果、第1アンロードバルブ51は第1圧力に設定され、第2アンロードバルブ52は第2圧力に設定される。なお、本運転では、第1レギュレータ76によって、第1アンロードバルブ51の設定圧力(第1圧力)を調整することができる。これにより、洗浄ガン35の水圧を調整することができる。
【0056】
水回路23では、洗浄水が図11に示すように流れる。すなわち、タンク11内の洗浄水は、配管40を通じてポンプユニット12の吸入部12cに吸い込まれる。ここで、大ホース側の締切弁54は閉じられているので、高圧吐出部12aから吐出された洗浄水(なお、洗浄水の一部が配管41、第1アンロードバルブ51および戻り配管47を流れることにより、回路内の水圧を所定の設定圧力とすることができる。)は、バイパス管62を流れ、三方弁53に至る。超高圧吐出部12bから吐出された洗浄水は、三方弁53からの洗浄水と合流し、配管44を通じて小ホース14に供給される。なお、第1アンロードバルブ51は第1圧力に設定されているので、小ホース14に供給される洗浄水の圧力は第1圧力となる。そして、小ホース14に供給された高圧の洗浄水は、洗浄ガン35から噴射される。
【0057】
<超高圧噴射運転>
次に、図12および図13を参照しながら、洗浄ガン35から超高圧の洗浄水を噴射する超高圧噴射運転について説明する。超高圧噴射運転においては、大ホース側の締切弁54は閉じられ、小ホース側の締切弁55は開放される。
【0058】
図12に示すように、エア回路24では、第2および第5の三方弁72,75がON状態に設定され、第1、第3および第4の三方弁71,73,74がOFF状態に設定される。したがって、第2アンロードバルブ52にはエアが供給される一方、第1アンロードバルブ51および三方弁53にはエアが供給されない。その結果、第2アンロードバルブ52は第2圧力に設定される。なお、本運転では、第2レギュレータ77によって、第2アンロードバルブ52の設定圧力(第2圧力)を調整することができる。これにより、超高圧の設定値を調整することができる。
【0059】
水回路23では、洗浄水が図13に示すように流れる。すなわち、タンク11内の洗浄水は、配管40を通じてポンプユニット12の吸入部12cに吸い込まれる。高圧吐出部12aから吐出された洗浄水は、第1アンロードバルブ51を素通りし、戻り配管47を通じてタンク11に返送される。一方、超高圧吐出部12bから吐出された洗浄水は、配管44を通じて小ホース14に供給される。なお、配管44と第2アンロードバルブ52とが連通されているので、小ホース14に供給される洗浄水の圧力は第2圧力となる。そして、小ホース14に供給された超高圧の洗浄水は、洗浄ガン35から噴射される。
【0060】
以上のように、本実施形態に係る高圧洗浄車1によれば、第1アンロードバルブ51、第2アンロードバルブ52および三方弁53を遠隔操作することによって、噴射圧力の異なる複数通りの噴射状態(低圧噴射運転、第1高圧噴射運転、第2高圧噴射運転、および超高圧噴射運転)が可能である。また、これら第1アンロードバルブ51、第2アンロードバルブ52および三方弁53は、作業者がキャブ2内のコントローラ50を用いてエア回路24の電磁式の三方弁71〜75を操作することによって、簡単かつ正確に操作することができる。したがって、作業者の作業効率が向上し、また、作業者による誤操作を防止することができる。
【0061】
なお、本実施形態では、三方弁53はエア式の三方弁であったが、三方弁53を電磁式の三方弁等で構成することも勿論可能である。本実施形態では、三方弁53をエア式の三方弁で構成することとしたので、第1アンロードバルブ51、第2アンロードバルブ52および三方弁53のすべてをエア回路24で制御することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態では、第2高圧噴射運転の際に、エア回路24の第1レギュレータ76を操作することによって、第1アンロードバルブ51の設定圧力(第1圧力)を調整することができる。したがって、第2高圧噴射運転時における洗浄水の噴射圧力を適宜調整することが可能となる。また、超高圧噴射運転の際に、第2レギュレータ77を操作することによって、第2アンロードバルブ52の設定圧力(第2圧力)を調整することができる。したがって、超高圧噴射運転時における洗浄水の噴射圧力を適宜調整することが可能となる。
【0063】
締切弁54,55は、手動式の弁であってもよいが、遠隔操作可能な弁であることが好ましい。例えば、締切弁54,55は、エア式の締切弁(エアの供給の有無によって開閉される弁)であってもよく、電磁弁であってもよい。締切弁54,55を遠隔操作可能な弁とすることによって、洗浄ノズル33および洗浄ガン35に対する洗浄水の供給の有無を遠隔操作することができ、作業効率をより一層向上させることができる。
【0064】
なお、本実施形態では、洗浄水の噴射装置として、洗浄ノズル33および洗浄ガン35を用いていた。しかし、噴射装置はこれらに限らず、他の噴射装置であってもよいことは勿論である。
【0065】
本実施形態では、高圧用ポンプ13aと超高圧用ポンプ13bとは一体化されていたが、高圧用ポンプ13aと超高圧用ポンプ13bとは別体であってもよい。
【0066】
水回路23の水圧を調整する調圧弁は、第1アンロードバルブ51および第2アンロードバルブ52に限らず、他の種類の調圧弁であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上説明したように、本発明は、高圧洗浄車について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明を説明するための概念図である。
【図2】高圧洗浄車の側面図である。
【図3】高圧洗浄車の背面図である。
【図4】水回路の回路図である。
【図5】エア回路の回路図である。
【図6】低圧噴射運転におけるエアの流れを示すエア回路図である。
【図7】低圧噴射運転における水の流れを示す水回路図である。
【図8】第1高圧噴射運転におけるエアの流れを示すエア回路図である。
【図9】第1高圧噴射運転における水の流れを示す水回路図である。
【図10】第2高圧噴射運転におけるエアの流れを示すエア回路図である。
【図11】第2高圧噴射運転における水の流れを示す水回路図である。
【図12】超高圧噴射運転におけるエアの流れを示すエア回路図である。
【図13】超高圧噴射運転における水の流れを示す水回路図である。
【符号の説明】
【0069】
1 高圧洗浄車
11 タンク
13a 高圧用ポンプ
13b 超高圧用ポンプ
13 大ホース(第1ホース)
14 小ホース(第2ホース)
24 エア回路(エア供給装置)
33 洗浄ノズル(第1噴射装置)
35 洗浄ガン(第2噴射装置)
50 コントローラ(制御装置)
51 第1アンロードバルブ(第1調圧弁)
52 第2アンロードバルブ(第2調圧弁)
53 三方弁(バイパス弁)
54 大ホース側締切弁(第1締切弁)
55 小ホース側締切弁(第2締切弁)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を貯留するタンクと、
前記タンクの洗浄水を圧送する高圧用ポンプと、一端が前記高圧用ポンプの吐出側に接続された第1水流路と、前記第1水流路の他端に接続された第1ホースと、前記第1ホースに取り付けられた第1噴射装置と、
前記タンクの洗浄水を圧送する超高圧用ポンプと、一端が前記超高圧用ポンプの吐出側に接続された第2水流路と、前記第2水流路の他端に接続された第2ホースと、前記第2ホースに取り付けられた第2噴射装置と、
前記第1水流路と前記第2水流路とをつなぐバイパス路と、
前記バイパス路に設けられ、遠隔操作されるバイパス弁と、
前記第1水流路に設けられ、所定の第1圧力に設定され、エアが供給されると作動する第1調圧弁と、
前記第2水流路に設けられ、前記第1圧力よりも高い所定の第2圧力に設定され、エアが供給されると作動する第2調圧弁と、
前記第1調圧弁および前記第2調圧弁に対するエアの供給を遠隔操作するエア供給装置と、
を備えた高圧洗浄車。
【請求項2】
前記バイパス弁は、エアの供給の有無によって切り換えられる弁であり、
前記エア供給装置は、前記バイパス弁に対するエアの供給を遠隔操作する、請求項1に記載の高圧洗浄車。
【請求項3】
前記高圧用ポンプおよび前記超高圧用ポンプを同時に駆動する駆動軸と、
前記第1調圧弁が非作動状態のときに前記第1水流路の水を前記タンクに戻す戻し流路と、
前記エア供給装置を操作して、前記第1噴射装置または前記第2噴射装置から第1圧力の洗浄水を噴射させる高圧噴射運転と、前記第2噴射装置から第2圧力の洗浄水を噴射させる超高圧噴射運転とを選択的に実行させる制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記高圧噴射運転のときには、前記バイパス弁を開くとともに、前記第1調圧弁にエアを供給し、
前記超高圧噴射運転のときには、前記バイパス弁を閉じるとともに、前記第1調圧弁にエアを供給せず、かつ、前記第2調圧弁にエアを供給する、請求項2に記載の高圧洗浄車。
【請求項4】
前記第1調圧弁の前記第1圧力または前記第2調圧弁の前記第2圧力を調整する圧力調整機構を備えている、請求項1〜3のいずれか一つに記載の高圧洗浄車。
【請求項5】
前記第1水流路または前記第1ホースに設けられ、前記第1噴射装置に対する洗浄水の供給の有無を切り換える第1締切弁と、
前記第2水流路または前記第2ホースに設けられ、前記第2噴射装置に対する洗浄水の供給の有無を切り換える第2締切弁と、を備え、
前記第1締切弁および前記第2締切弁は、遠隔操作自在な弁によって構成されている、請求項1〜4のいずれか一つに記載の高圧洗浄車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−8065(P2008−8065A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−180765(P2006−180765)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】