説明

高圧縮強度鋼管及びその製造方法

【課題】鋼板の化学成分と金属組織を最適化することでバウシンガー効果による降伏応力低下を抑制し、圧縮強度が高くかつ溶接HAZ靱性に優れたAPI−X80グレード以上の鋼管を提供することを目的とする。
【解決手段】質量%で、C、Si、Mn、P、S、Al、Nb:0.003〜0.070%、Ti:0.005〜0.035%、Mo:0.01〜0.5%を含有し、C(%)−0.065Nb(%)−0.025Mo(%)が0.025〜0.060で、C(%)+0.67Nb(%)が0.10以下であり,Pcm値が0.20以下である鋼管であり、金属組織がベイナイトの面積分率の合計が95%以上で、ベイナイト中にNbを含有する微細析出物が分散析出しており、島状マルテンサイトの面積分率が3%以下であることを特徴とする、引張強度630MPa以上の高圧縮強度耐サワーラインパイプ用鋼管。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石油や天然ガス輸送用の耐サワー性能に優れたAPI−X80グレード以上の鋼管に関するものであり、特に、高い耐コラプス性能が要求される深海用ラインパイプやライザーまたはコンダクターケーシング等への使用に適した、高圧縮強度鋼管に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のエネルギー需要の増大に伴って、石油や天然ガスパイプラインの開発が盛んになっており、ガス田や油田の遠隔地化や輸送ルートの多様化のため、海洋を渡るパイプラインも数多く開発されている。海底パイプラインに使用されるラインパイプには水圧によるコラプス(圧潰)を防止するため、陸上パイプラインよりも管厚が厚いものが用いられ、また高い真円度が要求されるが、ラインパイプの材質としては外圧によって管周方向に生じる圧縮応力に対抗するため高い圧縮強度が必要となる。
【0003】
一方、海底パイプラインに用いられる鋼管の強度グレードは一般的にAPI−X65グレードまでが広く用いられているが、パイプライン建設コストの削減の要請から、X70グレード以上の高強度鋼管の適用が広がっており、さらに高強度のX80グレード以上の高強度ラインパイプ用鋼管に対する要求か高まっている。
【0004】
海底パイプラインの設計にはDNV規格(OS F−101)が適用される場合が多いが、本規格では外圧によるコラプス圧力を決定する因子として、パイプの管径D及び管厚t、真円度f、そして材料の引張降伏強度fyを用いてコラプス圧力が求められる。しかし、パイプのサイズと強度が同じであっても、パイプの製造方法によってコラプス圧力が変化することから、降伏強度には製造方法によって異なる係数(αfab)が掛けられることになる。この係数はシームレスパイプの場合は1.0すなわち引張降伏強度がそのまま適用できるが、UOEプロセスで製造されたパイプの場合は係数として0.85が与えられている。
【0005】
これは、UOEプロセスで製造されたパイプの圧縮強度が引張強度よりも低下するためであるが、UOE鋼管は造管の最終工程で拡管プロセスがあり管周方向に引張変形が与えられた後に圧縮を受けることになるため、バウシンガー効果によって降伏強度が低下することがその要因となっている。
【0006】
以上のことから、耐コラプス性能を高めるためには、パイプの圧縮強度を高めることが必要であるが、冷間成形で拡管プロセスを経て製造される鋼管の場合は、バウシンガー効果による強度低下が問題となっていた。
【0007】
UOE鋼管の耐コラプス性向上に関しては多くの検討がなされており、特許文献1には通電加熱で鋼管を加熱し拡管を行った後に一定時間以上温度を保持する方法が開示されている。この方法によれば、拡管によって導入された転位が回復し降伏強度が上昇するが、拡管後に5分以上通電加熱を続ける必要があるため、生産性が劣る。
【0008】
また、同様に拡管後に加熱を行いバウシンガー効果による降伏強度低下を回復させる方法として、特許文献2では鋼管外表面を内表面より高い温度に加熱することで、外面側の引張変形を受けた部分のバウシンガー効果を回復し内面側の圧縮の加工硬化を維持する方法が、また、特許文献3にはNb、Tiを添加した鋼の鋼板製造工程で熱間圧延後の加速冷却をAr温度以上から300℃以下まで行い、UOEプロセスで鋼管とした後に加熱を行う方法がそれぞれ提案されている。
【0009】
しかしながら、特許文献2の方法では鋼管の外表面と内表面の加熱温度と加熱時間を別々に管理することは実製造上、特に大量生産工程において品質を管理することは極めて困難であり、また、特許文献3の方法は鋼板製造における加速冷却停止温度を300℃以下の低い温度にする必要があるため、鋼板の歪が大きくなりUOEプロセスで鋼管とした場合の真円度が低下し、さらにはAr温度以上から加速冷却を行うために比較的高い温度で圧延を行う必要があり靱性が劣化するという問題があった。
【0010】
一方、拡管後に加熱を行わずに鋼管の成形方法によって圧縮強度を高める方法としては、特許文献4にO成型時の圧縮率をその後の拡管率よりも大きくする方法が開示されている。この方法によれば実質的に管周方向の引張予歪が無いためバウシンガー効果が発現されず高い圧縮強度が得られる。しかしながら、拡管率が低いと鋼管の真円度を維持することが困難となり鋼管の耐コラプス性能が劣化させることになりかねない。
【0011】
また、特許文献5には、圧縮強度の低いシーム溶接部近傍と溶接部から180°の位置の直径が鋼管の最大径となるようにすることで耐コラプス性能を高める方法が開示されている。しかし、実際のパイプラインの敷設時においてコラプスが問題になるのは海底に到達したパイプが曲げ変形を受ける部分(サグベンド部)であり、鋼管のシーム溶接部の位置とは無関係に円周溶接され海底に敷設されるため、シーム溶接部が長径になるようにしても実際上は何ら効果を発揮しない。
【0012】
さらに、特許文献6には加速冷却後に再加熱を行い鋼板表層部の硬質第2相分率を低減することによりバウシンガー効果による降伏応力低下が小さい鋼板が提案されている。
【0013】
また、特許文献7には加速冷却後の再加熱処理において鋼板中心部の温度上昇を抑制しつつ鋼板表層部を加熱する、板厚が30mm以上の高強度耐サワーラインパイプ用鋼板の製造方法が提案されている。これによれば、DWTT(Drop Weight Tear Test:落重引裂試験)性能の低下を抑制しつつ鋼板表層部の硬質第2相分率が低減されるため、鋼板表層部の硬度が低減し材質バラツキの小さな鋼板が得られるだけでなく、硬質第2相低減によるバウシンガー効果の低下も期待される。
【0014】
しかし、特許文献6及び7に記載の技術はX70グレード以上の強度を安定的に得ることは困難であり、またバウシンガー効果は結晶粒径や固溶炭素量等、様々な組織因子の影響を受けるため、単に硬質第2相の低減のみでは圧縮強度の高い鋼管は得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開平9−49025号公報
【特許文献2】特開2003−342639号公報
【特許文献3】特開2004−35925号公報
【特許文献4】特開2002−102931号公報
【特許文献5】特開2003−340519号公報
【特許文献6】特開2008−56962号公報
【特許文献7】特開2009−52137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、API−X80グレード以上の海底パイプラインやライザーまたはコンダクターケーシング等へ適用するために必要な高強度と優れた靱性を有する鋼管であり、鋼管成形での特殊な成形条件や、造管後の熱処理を必要とせず、鋼板の化学成分と金属組織を最適化することでバウシンガー効果による降伏応力低下を抑制し、圧縮強度が高い鋼管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、はじめにバウシンガー効果抑制による圧縮強度向上と、強度靱性及び耐サワー性能とを両立させるために種々の実験を試みた結果、以下の知見を得るに至った。
【0018】
なお、本発明では、圧縮強度は圧縮降伏強度を意味し、圧縮降伏強度が530MPa以上であれば圧縮強度が良好であるとする。さらに好ましくは570MPa以上である。
【0019】
(1)バウシンガー効果による強度低下は異相界面や硬質第2相での転位集積による逆応力の発生が原因であり、その防止には、第一に転位の集積場所となる島状マルテンサイト(MA)等の硬質相を低減することが最も効果的である。
【0020】
(2)しかし、API−X80グレード以上の高強度鋼材は合金成分が多く、非常に焼入れ性が高いため、鋼板製造時の加速冷却によりMAを生成しやすい。これは、加速冷却後のベイナイト変態時に未変態オーステナイトへの炭素の濃化が起き、炭素が濃化した領域がMAに変態するためである。このようなMA生成を抑制するためには、加速冷却後に炭化物として析出させることで未変態オーステナイトへの炭素の濃化を抑制することが効果的である。
【0021】
(3)上記のような炭化物の析出は強度上昇のためにも効果的であるが、炭化物生成元素である、NbとMoを複合添加することでNbとMoからなる非常に微細な複合炭化物の生成が得られるため高強度が確保でき、さらに、上述の通り、MAの低減によってバウシンガー効果による圧縮強度の低下を抑制することが可能となる。
【0022】
(4)鋼材のC量とNb等の炭化物形成元素の添加量を適正化し、固溶C量を十分に確保することで、転位と固溶Cの相互作用が促進され、荷重反転時の転位の移動を阻害し逆応力による強度低下が抑制される。しかし、過剰な固溶C量はMA生成を促進し、バウシンガー効果による圧縮強度低下の原因となる。そのため、固溶C量を極めて厳格に管理する必要があり、鋼材に添加するCと炭化物形成元素との関係を一定範囲に厳しく限定することで、固溶Cによる効果を有効に活用しMA生成の抑制が可能となる。
【0023】
本発明は、上記の知見に基づきなされたもので、
第一の発明は、質量%で、C:0.03〜0.08%、Si:0.01〜0.30%、Mn:1.2〜2.0%、P:0.020%以下、S:0.0030%以下、Al:0.01〜0.08%、Nb:0.003〜0.070%、Ti:0.005〜0.035%、Mo:0.01〜0.5%、N:0.0020〜0.0060%を含有し、
C(%)−0.065Nb(%)−0.025Mo(%)が0.025〜0.060で、
C(%)+0.67Nb(%)が0.10以下であり、
下記(1)式で表されるPcm値が0.20以下であり、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼管であり、
金属組織がベイナイトの面積分率が95%以上で、ベイナイト中にNbを含有する微細析出物が分散析出し、島状マルテンサイト(MA)の面積分率が3%以下であることを特徴とする、引張強度630MPa以上の高圧縮強度鋼管。
Pcm=C(%)+Si(%)/30+Mn(%)/20+Cu(%)/20+Ni(%)/60+Cr(%)/20+Mo(%)/15+V(%)/10+5B(%)・・・(1)
ただし、各元素は含有量(質量%)であり、含有しない元素は0とする。
【0024】
第二の発明は、さらに、質量%で、Cu:0.5%以下、Ni:1.0%以下、Cr:1.0%以下、V:0.07%以下、Ca:0.0005〜0.0035%の中から選ばれる1種以上を含有し、
C(%)−0.065Nb(%)−0.025Mo(%)−0.057V(%)が0.025〜0.060であることを特徴とする第一の発明に記載の高圧縮強度鋼管。
ただし、各元素は含有量(質量%)であり、含有しない元素は0とする。
【0025】
第三の発明は、鋼スラブを、1000〜1200℃に加熱し、未再結晶温度域の圧下率が60%以上、圧延終了温度がAr〜(Ar+70℃)の熱間圧延を行い、引き続き、(Ar−30℃)以上の温度から10℃/秒以上の冷却速度で、鋼板を300〜600℃まで冷却を行い、引き続いて前記鋼板を550〜700℃に再加熱を行うことにより鋼板を製造し、その後、前記鋼板を冷間にて成形し鋼管形状とし、突き合せ部を溶接し、次いで、拡管率を0.4%〜1.2%とする拡管を行うことを特徴とする、第一又は第二の発明に記載の高圧縮強度鋼管の製造方法。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、海底パイプラインやライザーまたはコンダクターケーシング等へ適用するために必要な高強度でかつ高圧縮強度の鋼管が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための形態を、以下説明する。
まず、本発明の各構成要件の限定理由について説明する。
【0028】
1.化学成分について
はじめに、本発明の高強度高靱性鋼板が含有する化学成分の限定理由を説明する。なお、成分%表記は全て質量%を意味する。
【0029】
C:0.03〜0.08%
Cは、加速冷却によって製造される鋼板の強度を高めるために最も有効な元素である。しかし、0.03%未満では十分な強度を確保できない。一方、0.08%を超えるとMAが生成し圧縮強度が低下するだけでなく、溶接熱影響部靱性(以下、HAZ靭性とも称する)を劣化させる。従って、C量を0.03〜0.08%の範囲内とする。
【0030】
Si:0.01〜0.30%
Siは脱酸のために添加される元素であり、この効果は0.01%以上で発揮されるが、0.3%を超えると靱性や溶接性を劣化させ、さらに、MAの生成が促進されるため圧縮強度が低下する。従ってSi量は0.01〜0.30%の範囲とする。
【0031】
Mn:1.2〜2.0%
Mnは鋼の強度及び靱性の向上のため添加するが、1.2%未満ではその効果が十分ではなく、2.0%を超えると溶接性が劣化する。従って、Mn量は1.2〜2.0%の範囲とする。
【0032】
P:0.020%以下
Pは不可避的不純物元素であり、鋼材の強度には大きな影響を及ぼさないが、HAZ靱性を劣化させる元素であるため、P量を0.020%以下とする。好ましくは、0.015%以下とする。
【0033】
S:0.0030%以下
Sは不可避的不純物元素であり、鋼中においては一般にMnS系の介在物となり、靱性の劣化、特にシャルピー吸収エネルギーの低下を招くため、S量を0.0030%以下とする。より高い性能が要求される場合は、S量をさらに低下することが有効であり、好ましくは0.0020%以下とする。
【0034】
Al:0.01〜0.08%
Alは脱酸剤として添加されるが、この効果は0.01%以上で発揮されるが、0.08%を超えると清浄度の低下により延性を劣化させる。従って、Al量は0.01〜0.08%とする。
【0035】
Nb:0.003〜0.070%
Nbは本発明において重要な元素である。Nbは、NbCとして析出し強度上昇に極めて有効な元素であり、また、圧延時の粒成長を抑制し、微細粒化により靱性も向上させる。しかし、Nb量が0.003%未満ではその効果が小さく、0.070%を超えて含有しても析出強化に必要なスラブ加熱時の固溶Nb量は増加せず強度上昇が飽和する。また、HAZ靱性に悪影響を及ぼす元素でもあることから、Nb量は0.003〜0.070%の範囲とする。より厳しいHAZ靱性が必要とされる場合は、0.03〜0.05%とすることが望ましい。
【0036】
Ti:0.005〜0.035%
Tiは本発明において重要な元素である。Tiは、Nb、V、Moと共に微細な複合炭化物を形成するが、一定量以上の含有によってNbCを主体とした複合炭化物がさらに微細化され、強度上昇に大きく寄与する。しかし、0.005%未満ではその効果が十分でなく、一方、0.035%を超えて含有するとHAZ靱性が劣化する。析出強化を十分に活用し、且つHAZ靱性劣化を抑制するという観点から、Ti量は0.005〜0.035%とする。
【0037】
Mo:0.01〜0.5%
Moは、NbやTiと同様に複合炭化物を生成し、析出強化による強度上昇に極めて有効な元素であり、0.01%以上の添加でその効果が得られる。しかし、0.5%を超えて添加すると溶接部のHAZ靱性が劣化する。従って、Moの含有量は0.01〜0.5%とする。
【0038】
N:0.0020〜0.0060%
Nは鋼中に不純物として含有されるがCと同様に鋼中に固溶元素として存在すると歪時効を促進し、バウシンガー効果による圧縮強度低下の防止に寄与する。しかし、0.0020%未満ではその効果が小さく、また、0.0060%を超えて含有すると、靱性が劣化する。よって、N量は0.0020〜0.0060%の範囲とする。
【0039】
C(%)−0.065Nb(%)−0.025Mo(%):0.025〜0.060
本要件は本発明で最も重要な構成要件である。本式で各元素記号は、含有量(質量%)である。本発明では、固溶Cと転位との相互作用により逆応力発生を抑制することで、バウシンガー効果を低減し、鋼管の圧縮強度を上昇させるため、鋼中の有効な固溶C量を確保することが重要となる。一般に、鋼中のCは、セメンタイトやMAとして析出するほか、Nb、Mo等の炭化物形成元素と結合し炭化物として析出し、固溶C量が減少する。このとき、C含有量に対してNb及びMo含有量が多すぎるとNb、Mo炭化物の析出量が多くなるため、十分な固溶C量が得られない。
【0040】
そのためには、C(%)−0.065Nb(%)−0.025Mo(%)が0.025以上必要である。また、固溶C量が多すぎると、MAが生成し圧縮強度の低下を起こすため、C(%)−0.065Nb(%)−0.025Mo(%)の上限は0.060とする必要がある。
【0041】
C(%)+0.67Nb(%):0.10以下
本要件は炭化物の析出強化によって十分な強度を得るために必要である。十分な量の炭化物の析出を得るためには、鋼板圧延前のスラブ加熱段階で十分な量の固溶Nbを得る必要があるが、CとNbの量に応じてNbCの溶解温度が変化するため、C、Nb添加量が多い場合はNbCの溶解温度が上昇し十分なNb固溶量が得られない。一般的なスラブ加熱温度の範囲では、C(%)+0.67Nb(%)が0.10を超えると、NbCの溶解温度が高くなり、固溶Nb量の不足による強度不足を生じるため、本発明においては、C(%)+0.67Nb(%)を0.10以下に規定する。スラブ加熱温度のバラツキを考慮して、十分な量の固溶Nbをより確実に得るためには、C(%)+0.67Nb(%)を0.08以下とすることが好ましい。
【0042】
本発明では上記の化学成分の他に、以下の元素を選択的元素として含有させることができる。
【0043】
Cu:0.5%以下
Cuは、靱性の改善と強度の上昇に有効な元素であるが、0.5%を超えて含有すると溶接部のHAZ靱性が劣化する。従って、Cuを含有する場合はその含有量を0.5%以下とすることが好ましい。
【0044】
Ni:1.0%以下
Niは、靱性の改善と強度の上昇に有効な元素であるが、1.0%を超えて含有すると溶接部のHAZ靱性が劣化する。従って、Niを含有する場合はその含有量を1.0%以下とすることが好ましい。
【0045】
Cr:1.0%以下
Crは、焼き入れ性を高めることで強度の上昇に有効な元素であるが、1.0%を超えて含有すると溶接部のHAZ靱性を劣化させる。従って、Crを含有する場合はその含有量を1.0%以下とすることが好ましい。
【0046】
V:0.07%以下
Vは、NbやTiと同様に複合炭化物を生成し、析出強化による強度上昇に極めて有効な元素であるが、0.07%を超えて含有すると溶接部のHAZ靱性が劣化する。従って、Vを含有する場合はその含有量を0.07%以下とすることが好ましい。また、溶接部の会合部HAZ等、複数サイクルの熱履歴を受ける部分では、VCとして析出しHAZ部を硬化させ著しい靱性劣化を生じるため、DNV規格などの厳しいHAZ靱性要求がある場合は、Vの含有量を0.04%未満にすることがより好ましい。
【0047】
Ca:0.0005〜0.0035%
Caは硫化物系介在物の形態を制御し、延性を改善するために有効な元素であるが、0.0005%未満ではその効果がなく、0.0035%を超えて含有しても効果が飽和し、むしろ清浄度の低下により靱性を劣化させる。従って、Caを含有する場合は、Ca量は0.0005〜0.0035%の範囲とすることが好ましい。
C(%)−0.065Nb(%)−0.025Mo(%)−0.057V(%):0.025〜0.060
本発明の選択的元素であるVは、Nbと同様に炭化物を形成する元素であり、これらの元素も十分な固溶C量が得られる範囲で添加することが好ましい。しかし、C(%)−0.065Nb(%)−0.025Mo(%)−0.057V(%)で表される関係式の値が0.025未満では固溶C量が不足するため、C(%)−0.065Nb(%)−0.025Mo(%)−0.057V(%)を0.025〜0.060とすることが好ましい。
ただし、各元素は含有量(質量%)であり、含有しない元素は0とする。
【0048】
下式(1)で表されるPcm値が0.20以下
Pcm=C(%)+Si(%)/30+Mn(%)/20+Cu(%)/20+Ni(%)/60+Cr(%)/20+Mo(%)/15+V(%)/10+5B(%)・・・(1)
ただし、各元素は含有量(質量%)であり、添加しない元素は0とする。
ここで定義されるPcm値は、溶接性を代表する指標であり、Pcm値が高いほど溶接HAZ靱性が劣化する。特にAPI−X80グレード以上の高強度鋼では、その影響が顕著となるため、Pcm値を厳しく制限する必要がある。しかし、Pcm値が0.20以下であれば、良好な溶接HAZ部の靱性が確保できるため、その上限を0.20とする。さらに厳しいHAZ靱性要求がある場合は、その上限を0.18にすることが望ましい。
【0049】
なお、本発明の鋼の残部はFe及び不可避的不純物であるが、上記以外の元素及び不可避的不純物については、本発明の効果を損なわない限り含有することができる。
【0050】
2.金属組織について
本発明における金属組織の限定理由を以下に示す。
【0051】
ベイナイト面積分率:95%以上
バウシンガー効果を抑制し高い圧縮強度を得るためには、軟質なフェライト相や硬質な第2相のない均一な組織とし、変形時の組織内部で生じる局所的な転位の集積を抑制することが必要である。そのため、ベイナイト主体の組織とする。その効果を得るためにはベイナイトの面積分率が95%以上必要である。
【0052】
なお、後述のように、熱間圧延に引き続く加速冷却の後、直ちに再加熱することにより、Nbを含有する微細析出物がベイナイト中に分散析出していることが、本発明の金属組織の特徴である。このNbを含有する微細析出物の粒径は、十分な析出強化量を確保するために、10nm以下であることが好ましい。
【0053】
島状マルテンサイト(MA)の面積分率:3%以下
島状マルテンサイト(MA)は非常に硬質な相であり、変形時に局所的な転位の集積を促進し、バウシンガー効果により圧縮強度の低下を招くため、その面積分率を厳しく制限する必要がある。しかし、MAの面積分率が3%以下ではその影響が小さく圧縮強度の低下も生じないため、島状マルテンサイト(MA)の面積分率を3%以下に規定する。
【0054】
本発明では、上記の金属組織的な特徴を有することで、バウシンガー効果による圧縮強度の低下が抑制され、高い圧縮強度が達成されるが、より大きな効果を得るためにはMAのサイズは微細であることが望ましい。MAの平均粒径が小さいほど、局所的な歪みが集中することなく分散されるため、歪み集中量も少なくなりバウシンガー効果の発生がさらに抑制される。そのためには、MAの平均粒子径を1μm以下とすることが好ましい。
【0055】
また、熱間圧延後の加速冷却で生成するベイナイト相は、特に鋼板表層部では、冷却停止温度が低下し、MAを含む組織となるが、ベイナイトの粒径が小さい場合はMAも微細となり、その後の再加熱でセメンタイトに分解されやすくなるため、ベイナイトの粒径は5μm以下にすることが好ましい。
【0056】
上記以外の金属組織として、フェライト、セメンタイトやマルテンサイトなどの組織も含まれる場合があるが、それらの組織の合計が面積分率で5%未満であれば、特にバウシンガー特性やその他の性能に影響を与えない。よって、ベイナイト及びMA以外の組織の面積分率の合計を5%未満とすることが好ましい。
【0057】
一般に、加速冷却を適用して製造された鋼板の金属組織は、鋼板の板厚方向で異なり均一でない場合がある。外圧を受ける鋼管のコラプスは、周長の小さな鋼管内面側の塑性変形が先に生じることで起こるため、圧縮強度としては鋼管の内面側の特性が重要となり、一般に圧縮試験片は鋼管の内面側より採取する。よって、上記の金属組織は鋼管内面側の組織を規定するものであり、鋼管の性能を代表する位置として、内面側の板厚1/4の位置の組織とする。
【0058】
3.製造条件について
本発明の第3発明は、上述した化学成分を含有する鋼スラブを、加熱し熱間圧延を行った後、加速冷却を施し、引き続いて誘導加熱による焼戻しを行う製造方法である。以下に、鋼板の製造条件の限定理由について説明する。
【0059】
本発明において、製造条件における温度はいずれも鋼板平均温度とする。鋼板平均温度は、板厚、表面温度および冷却条件等から、シミュレーション計算等により求められる。例えば、差分法を用い、板厚方向の温度分布を計算することにより、鋼板の平均温度が求められる。なお、鋼板平均温度は、空冷程度の遅い冷却速度の場合は、鋼板表面と鋼板中心部の温度差がほとんど無いため、鋼板表面温度を鋼板平均温度とすることができる。しかし、加速冷却や誘導加熱による再加熱直後など、急冷または急速加熱される場合は、鋼板表面と鋼板中心で温度差を生じる。このような場合は、冷却停止後または加熱後の空冷によって鋼板内部の温度差がほとんど無くなるため、そのときの鋼板表面温度としてもよい。
【0060】
鋼スラブ加熱温度:1000〜1200℃
鋼スラブ加熱温度は、1000℃未満ではNbCの固溶が不十分でその後の析出による強化が得られず、1200℃を超えると、靱性やDWTT特性が劣化する。従って、スラブ加熱温度は1000〜1200℃の範囲とする。さらに優れたDWTT性能が要求される場合は、スラブ加熱温度の上限を1150℃にすることが望ましい。
【0061】
未再結晶域の圧下率:60%以上
バウシンガー効果を低減するための微細なベイナイト組織と高い母材靱性を得るためには、熱間圧延工程において未再結晶温度以下で十分な圧下を行う必要がある。しかし、圧下率が60%未満では効果が不十分であるため、未再結晶域で圧下率を60%以上とする。好ましくは70%以上とする。なお、圧下率は複数の圧延パスで圧延を行う場合はその累積の圧下率とする。また、未再結晶温度はNb、Ti等の合金元素によって変化するが、本発明のNb及びTi添加量では、未再結晶温度域の上限温度を950℃とすればよい。
【0062】
圧延終了温度:Ar〜(Ar+70℃)
バウシンガー効果による強度低下を抑制するためには、金属組織をベイナイト主体の組織としフェライトなどの軟質な組織の生成を抑制する必要がある。そのため、熱間圧延は、フェライト生成温度であるAr温度以上とすることが必要である。また、より微細なベイナイト組織を得るためには圧延終了温度は低いほど良く、圧延終了温度が高すぎるとベイナイト粒径が大きくなりすぎる。そのため、圧延終了温度の上限を(Ar+70℃)とする。
【0063】
なお、Ar温度は鋼の合金成分によって変化するため、それぞれの鋼で実験によって変態温度を測定して求めてもよいが、成分から下式(2)で求めることもできる。
Ar(℃)=910−310C(%)−80Mn(%)−20Cu(%)−15Cr(%)−55Ni(%)−80Mo(%)・・・(2)
ここで、各元素は含有量(質量%)であり、添加しない元素は0とする。
【0064】
熱間圧延に引き続いて加速冷却を行う。加速冷却の条件は以下の通りである。
【0065】
冷却開始温度:(Ar−30℃)以上
熱間圧延後の加速冷却によって金属組織をベイナイト主体の組織とするが、冷却開始温度がフェライト生成温度であるAr温度を下回ると、フェライトとベイナイトの混合組織となり、バウシンガー効果による強度低下が大きく圧縮強度が低下する。
【0066】
しかし、加速冷却方法を採用する場合には、加速冷却開始温度が(Ar−30℃)以上であれば、フェライト面積分率が低くバウシンガー効果による強度低下も小さい。よって、冷却開始温度を(Ar−30℃)以上とする。
【0067】
冷却速度:10℃/秒以上
冷却速度を10℃/秒以上で行なう加速冷却方法は、高強度で高靱性の鋼板を得るために不可欠なプロセスであり、高い冷却速度で冷却することで変態強化による強度上昇効果が得られる。しかし、冷却速度が10℃/秒未満では十分な強度が得られないだけでなく、Cの拡散が生じるため未変態オーステナイトへCの濃化が起こり、MAの生成量が多くなる。前述のようにMA等の硬質第2相によってバウシンガー効果が促進されるため、圧縮強度の低下を招く。しかし、冷却速度が10℃/秒以上であれば冷却中のCの拡散が少なく、MAの生成も抑制される。よって加速冷却時の冷却速度の下限を10℃/秒とする。
【0068】
冷却停止温度:300〜600℃
圧延終了後の加速冷却で、鋼板の平均温度が300〜600℃まで冷却することにより、ベイナイト相を生成させることが可能となる。冷却停止温度が300℃未満では、島状マルテンサイト(MA)が過剰に生成するために圧縮強度や耐HIC性が劣化する。一方、冷却停止温度が600℃を超えると、パーライトが生成して同様に圧縮強度や耐HIC性が劣化するとともに、ベイナイト変態による変態強化の効果が十分ではなく強度が低下する。再加熱時のフェライト変態の駆動力を大きくし、フェライト変態時の析出物による析出強化の効果を十分に得るという観点から、冷却停止温度は400〜600℃とすることがより好ましい。
【0069】
上述した加速冷却後、冷却停止温度以上であって且つ550〜700℃の温度まで再加熱を行う。このプロセスは本発明における重要な製造条件である。以下の、その製造条件の限定理由を述べる。
【0070】
再加熱時の鋼板の温度:550〜700℃
上述した加速冷却後、冷却停止温度以上であって、かつ550〜700℃の温度まで再加熱を行う。この温度は鋼板の平均温度である。このプロセスは本発明における重要な製造条件である。
【0071】
ベイナイト相に微細析出物が分散した組織を得るためには、加速冷却後、直ちに冷却停止温度以上であって且つ550〜700℃の温度まで再加熱することが必要である。
【0072】
Nbを含む複合炭化物の析出強化を最大限活用するためには、最も析出しやすい温度範囲として、再加熱温度を600〜680℃にすることが好ましい。また、この再加熱の際には、冷却停止温度よりも50℃以上高い温度に昇温することが好ましい。
【0073】
再加熱の手段は特に限定しないが、熱間圧延及び加速冷却装置と同一のライン上に設置された誘導加熱装置を利用することで、生産性を落とすことなく急速な加熱が可能である。また、再加熱開始温度がベイナイト変態停止温度以上に保つことが可能なら、ガス燃焼炉などのオフラインの熱処理設備を利用することも可能である。
【0074】
また、再加熱時の昇温速度は、0.5℃/sec未満では、目的の再加熱温度に達するまでに長時間を要するため、析出物の粗大化により十分な強度を得ることができないだけでなく、製造効率が悪化する。また、靱性の劣化を抑制するためには、昇温中での析出物の粗大化を抑制して微細かつ均一に分散析出させることが有効であり、この観点からは昇温速度は3℃/sec以上とすることが好ましい。また、再加熱後の冷却は、特に限定されるものではなく、例えば放冷とすることができる。
【0075】
本発明は上述の方法によって製造された鋼板を用いて鋼管となすが、鋼管の成形方法は、UOEプロセスやプレスベンド等の冷間成形によって鋼管形状に成形する。その後、溶接を行なうが、このときの溶接方法は十分な継手強度及び継手靱性が得られる方法ならいずれの方法でもよいが、優れた溶接品質と製造能率の点からサブマージアーク溶接を用いることが好ましい。突き合せ部の溶接を行った後に、溶接残留応力の除去と鋼管真円度の向上のため、拡管を行う。このときの拡管率は、所定の鋼管真円度が得られ、残留応力が除去される条件として0.4%以上が必要である。また、拡管率が高すぎるとバウシンガー効果による圧縮強度の低下が大きくなるため、その上限を1.2%とする。
【0076】
本発明の鋼管は、API−X80グレード以上の高強度の鋼管への適用を目的としており、引張強度は630MPa以上に規定する。これは、引張強度が630MPa未満の比較的強度が低い鋼管なら、本発明のような析出強化を適用しなくても、溶接部のHAZ靱性を劣化するほどの合金元素の添加なしで、十分な強度が得られるためである。本発明において、溶接部のHAZ靱性は、−10℃での吸収エネルギーが70J以上であることが好ましく、さらに好ましくは100J以上である。
【実施例】
【0077】
表1に示す化学成分の鋼(鋼種A〜I)を連続鋳造法によりスラブとし、これを用いて板厚20mmの厚鋼板(No.1〜15)を製造した。表2に鋼板製造条件、鋼管の金属組織及び機械的性質等を示す。鋼板製造時の再加熱処理は、加速冷却設備と同一ライン上に設置した誘導加熱炉を用いて再加熱を行った。再加熱時の鋼板平均温度は加熱後の表層温度と中心温度がほぼ等しくなった時点での鋼板表面温度とした。これらの鋼板を用いて、UOEプロセスにより外径610mmの鋼管を製造した。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
以上のようにして製造した鋼管の引張特性は、管周方向の全厚試験片を引張試験片として引張試験を行い、引張強度を測定した。圧縮試験は鋼管の鋼管内面側の位置より管周方向に直径20mm、長さ60mmの試験片を採取し、圧縮試験を行い圧縮の降伏強度を測定した。また、HAZ靱性の評価は、鋼管のシーム溶接部の溶接熱影響部から管周方向より採取したシャルピー試験片により−10℃での吸収エネルギーを求めた。金属組織は鋼管の内面側の板厚1/4の位置からサンプルを採取し、研磨後ナイタールによるエッチングを行い光学顕微鏡で観察を行った。そして、200倍で撮影した写真3〜5枚を用いて画像解析によりベイナイト面積分率を求めた。MAの観察は、ナイタールエッチング後に電解エッチング(2段エッチング)を行い、その後走査電子顕微鏡(SEM)による観察を行った。そして、1000倍で撮影した写真から画像解析によってMAの面積分率を求めた。
【0081】
表2において、本発明例であるNo.1〜6はいずれも、化学成分及び製造方法及びミクロ組織が本発明の範囲内であり、圧縮降伏強度が530MPa以上の高圧縮強度であり、引張強度及びHAZ靱性も良好であった。
【0082】
一方、No.7〜10は、化学成分が本発明の範囲内であるが、製造方法が本発明の範囲外であるため、引張強度または圧縮強度が劣っている。No.11〜15は化学成分が本発明外であるため引張強度、圧縮強度またはHAZ靱性が不足している。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明によれば、API−X80グレード以上の高強度で、高い圧縮強度を有した鋼管が得られるので、高い耐コラプス性能が要求される深海用ラインパイプ、ライザーまたはコンダクターケーシング等へ適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量%で、C:0.03〜0.08%、Si:0.01〜0.30%、Mn:1.2〜2.0%、P:0.020%以下、S:0.0030%以下、Al:0.01〜0.08%、Nb:0.003〜0.070%、Ti:0.005〜0.035%、Mo:0.01〜0.5%、N:0.0020〜0.0060%を含有し、
C(%)−0.065Nb(%)−0.025Mo(%)が0.025〜0.060で、
C(%)+0.67Nb(%)が0.10以下であり、
下記(1)式で表されるPcm値が0.20以下であり、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼管であり、
金属組織がベイナイトの面積分率が95%以上で、ベイナイト中にNbを含有する微細析出物が分散析出し、島状マルテンサイト(MA)の面積分率が3%以下であることを特徴とする、引張強度630MPa以上の高圧縮強度鋼管。
Pcm=C(%)+Si(%)/30+Mn(%)/20+Cu(%)/20+Ni(%)/60+Cr(%)/20+Mo(%)/15+V(%)/10+5B(%)・・・(1)
ただし、各元素は含有量(質量%)であり、含有しない元素は0とする。
【請求項2】
さらに、質量%で、Cu:0.5%以下、Ni:1.0%以下、Cr:1.0%以下、V:0.07%以下、Ca:0.0005〜0.0035%の中から選ばれる1種以上を含有し、
C(%)−0.065Nb(%)−0.025Mo(%)−0.057V(%)が0.025〜0.060であることを特徴とする請求項1に記載の高圧縮強度鋼管。
ただし、各元素は含有量(質量%)であり、含有しない元素は0とする。
【請求項3】
鋼スラブを、1000〜1200℃に加熱し、未再結晶温度域の圧下率が60%以上、圧延終了温度がAr〜(Ar+70℃)の熱間圧延を行い、引き続き、(Ar−30℃)以上の温度から10℃/秒以上の冷却速度で、鋼板を300〜600℃まで冷却を行い、引き続いて前記鋼板を550〜700℃に再加熱を行うことにより鋼板を製造し、その後、前記鋼板を冷間にて成形し鋼管形状とし、突き合せ部を溶接し、次いで、拡管率を0.4%〜1.2%とする拡管を行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の高圧縮強度鋼管の製造方法。

【公開番号】特開2012−241267(P2012−241267A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115443(P2011−115443)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】