説明

高圧配電線断線検出システム、方法及びプログラム

【課題】安価に配電線の断線検出を行う。
【解決手段】本高圧配電線断線検出システムは、複数の無線通信機と、処理装置とを有する。そして、各無線通信機は、特定の柱上変圧器の2次側に接続され、当該特定の柱上変圧器からの電力供給に応じて動作又は非動作が切り替えられ、複数の無線通信機の一部のみと無線通信可能である。また、処理装置は、複数の無線通信機のうち少なくとも一部の動作又は非動作の状態のデータを、応答の有無のデータとして無線通信機間の無線通信を介して収集し、柱上変圧器、当該柱上変圧器が設置された電柱又は位置データと当該柱上変圧器に接続されている無線通信機と当該柱上変圧器に接続されている配電線のデータとを対応付けて格納するデータ格納部に格納されているデータと無線通信機からの応答の有無のデータとから、配電線の断線の有無又は無線通信機の故障の有無を判断する断線検出処理を実施するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三相配電線の断線等を検出するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開平4−158274号公報には、高圧配電系統の断線検出方法が開示されている。具体的には、高圧3相配電線に接続された柱上単相変圧器の設置柱毎に子局を配設し、この子局において柱上単相変圧器の二次側電圧を元に配電系統の断線を検出し、通信ネットワークを通じて親子局に断線検出信号を送出する断線検出装置において、各柱上単相変圧器の一次側巻線が高圧3相のうち何れの2相に接続されているかを記憶する接続相記憶手段を親局か各子局に設けると共に、子局よりの断線検出信号受信時に当該断線検出した柱上単相変圧器中の最電源方向の第一の柱を特定する第一の特定柱検出手段と、第一の特定柱の下位に設置される柱上単相変圧器で、かつ、第一の特定柱上単相変圧器の一次側巻線が接続される2相以外の相を含む2相に接続されている柱上単相変圧器の柱を特定する第二の特定柱検出手段と、第一、第二の特定柱の検出と接続相記憶手段の記憶データをもとに断線相を判断する断線相判断手段と、断線相検出時に第一の特定柱の上位柱において断線相と同相に接続されている柱上単相変圧器柱を調べ、当該変圧器柱と第一の特定柱間が断線と判断する断線区間検出手段とを、親局に備えたものである。
【0003】
しかしながら、子局が通信ネットワークに接続されていることを前提としているので、実際には子局の設置が困難である。また、子局は断線時に断線検出信号を送出するのであるが、十分な電力を得られない場合もあるはずで、実際に断線検出信号を出力するためには別に電源を保持しなければならない。他にも子局の構成は電圧検出、比較器、断線検出などの複雑な機能を有していなければならず、コスト高で多数配置するのは困難である。
【特許文献1】特開平4−158274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術によれば、断線検出を行うことができるが、多数の柱上変圧器に子局を設置する場合には非常に高価なシステムとなってしまう。
【0005】
従って、本発明の目的は、安価に配電線の断線検出を行うための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る高圧配電線断線検出システムは、複数の無線通信機と、処理装置とを有する。そして、各無線通信機は、特定の柱上変圧器の2次側に接続され、当該特定の柱上変圧器からの電力供給に応じて動作又は非動作が切り替えられ、複数の無線通信機の一部のみと無線通信可能である。また、処理装置は、複数の無線通信機のうち少なくとも一部の動作又は非動作の状態のデータを、応答の有無のデータとして無線通信機間の無線通信を介して収集し、柱上変圧器、当該柱上変圧器が設置された電柱又は位置データと当該柱上変圧器に接続されている無線通信機と当該柱上変圧器に接続されている配電線のデータとを対応付けて格納するデータ格納部に格納されているデータと無線通信機からの応答の有無のデータとから、配電線の断線の有無又は無線通信機の故障の有無を判断する断線検出処理を実施するものである。
【0007】
このように電圧降下などを検出することなく、単に動作していて応答を返すことができるか、動作していなくて応答を返すことができないのかという動作の切替を行う無線通信機を導入しているので、無線通信機のコストを低く抑えることができる。さらに、無線通信機間の無線通信でデータを中継する手法を導入しているので、ネットワークを配電線に沿って用意しなくとも良いので、この点においても低コストである。
【0008】
さらに、本発明において、複数の無線通信機のグループ毎に、当該グループを管轄するゲートウェイ装置をさらに有するようにしてもよい。そして、ゲートウェイ装置を導入する場合、当該ゲートウェイ装置は、任意のタイミングで、配下の無線通信機に、無線通信機間の無線通信を介して、問い合わせコマンドを送信すると共に、配下の無線通信機のうち動作中のものから応答コマンドを、無線通信機間の無線通信を介して受信し、応答コマンドの受信及び未受信から、応答の有無のデータを生成して、処理装置に送信するようにしてもよい。
【0009】
このようにゲートウェイ装置で応答コマンドを集計することによって、処理装置の負荷を下げることができる。また、多数の無線通信機が設置された場合には、例えば地域毎に並行して問い合わせコマンドを送信したりすることができるようになる。すなわち、問い合わせコマンドの送信から応答コマンドの受信までの時間を短縮することができる。
【0010】
さらに、本発明において、グループ内の無線通信機に、問い合わせコマンド及び応答コマンドの中継先のデータを設定しておき、問い合わせコマンド及び応答コマンドを、中継先のデータに従って中継するようにしてもよい。すなわち、予め無線通信機のネットワークを構築するようにしても良い。
【0011】
さらに、本発明において、ゲートウェイ装置及び当該ゲートウェイ装置の配下の無線通信機は、ブロードキャストによって問い合わせコマンドを伝播し、応答コマンドを、問い合わせコマンドの伝播経路に沿って、ゲートウェイ装置に返信するようにしてもよい。このように、問い合わせコマンド送信毎にネットワークを構築するようにしても良い。
【0012】
さらに、上で述べた断線検出処理が、(a)第1の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と第1の柱上変圧器より当該配電線において下流の第2の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とが異なっており、第1の柱上変圧器の2次側に接続されている第1の無線通信機と第2の柱上変圧器の2次側に接続されている第2の無線通信機とから応答が得られない場合には、断線と判断し、(b)第1の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と第2の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と第2の柱上変圧器より当該配電線において下流の第3の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とが異なっており、第1の無線通信機と第3の柱上変圧器の2次側に接続されている第3の無線通信機とから応答を得られず、第2の無線通信機から応答を得られた場合には、断線と判断し、(c)第1の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と第3の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とが同じであるが第2の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とは異なっており、第1の無線通信機と第3の無線通信機とから応答を得られず、第2の無線通信機から応答を得られた場合には、断線と判断し、(d)第1の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と第2の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とが同一であり、第1の無線通信機と第2の無線通信機とから応答が得られない場合には、断線と判断するようにしてもよい。
【0013】
このように柱上変圧器と無線通信機との接続関係と、柱上変圧器と配電線との接続関係とが用意されており、無線通信機間の無線通信によって収集される応答コマンドの有無から、正確に断線を判断することができるようになる。
【0014】
さらに、上で述べた断線検出処理が、(e)第1の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と第2の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と第3の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とが異なっており、第1の無線通信機から応答を得られず、第2の無線通信機と第3の無線通信機から応答を得られた場合には、第1の無線通信機の故障と判断し、(f)第1の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と第2の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とが同一であり、第1の無線通信機から応答が得られないが第2の無線通信機とから応答が得られた場合には、第1の無線通信機の故障と判断するようにしてもよい。
【0015】
このように断線だけではなく、無線通信機の故障についても判断することができるようになる。
【0016】
なお、上記高圧配電線断線検出システムにおける処理装置に上で述べた動作を実施させるためのプログラムを作成することができ、このプログラムは、例えばフレキシブルディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶媒体又は記憶装置に格納される。また、ネットワークなどを介してデジタル信号として配信される場合もある。尚、中間的な処理結果はメインメモリ等の記憶装置に一時保管される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、安価に配電線の断線検出を行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1に本発明の一実施の形態におけるシステム概要を示す。例えばインターネットなどのネットワーク1には、中央処理装置3と、複数のゲートウェイ51及び52が接続されている。ゲートウェイ51及び52は、例えば管理すべき高圧三相配電線の上流側に配置され、当該高圧三相配電線の下流側に配置されている端末91乃至97を管理すると共に、端末91乃至97の状態を中央処理装置3に通知する。ゲートウェイ51は、一次側が高圧三相配電線に接続されている柱上変圧器71の二次側に接続されており、それにより電力供給されている。同様に、ゲートウェイ52は、一次側が高圧三相配電線に接続されている柱上変圧器75の二次側に接続されており、それにより電力供給されている。
【0019】
ゲートウェイ52の配下の系統については、管理すべき高圧三相配電線の上流側から、一次側が当該高圧三相配電線に接続されている柱上変圧器76の二次側に接続されている端末94と、一次側が当該高圧三相配電線に接続されている柱上変圧器77の二次側に接続されている端末95と、一次側が当該高圧三相配電線に接続されている柱上変圧器78の二次側に接続されている端末96と、一次側が当該高圧三相配電線に接続されている柱上変圧器79の二次側に接続されている端末97と、一次側が分岐先の高圧三相配電線に接続されている柱上変圧器72の二次側に接続されている端末91と、一次側が分岐先の高圧三相配電線に接続されている柱上変圧器73の二次側に接続されている端末92と、一次側が分岐先の高圧三相配電線に接続されている柱上変圧器74の二次側に接続されている端末93とが存在している。
【0020】
ゲートウェイ51配下の系統については図示を省略している。なお、柱上変圧器71乃至79の一次側については、高圧三相配電線のうち任意の2相に接続されているが、その接続態様については、以下で述べるように中央処理装置3で管理されている。
【0021】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る端末91乃至97の機能ブロック図を図2に示す。例えば端末91は、高圧三相配電線の上流側の上位2段階と下流側の下位2段階程度離れた他の端末と近距離無線通信通信を行うことができる無線通信部911と、第1上位端末ID9121(1つ上位の端末のID)と第2上位端末ID9122(より上位の端末のID)と第1下位端末ID9123(1つ下位の端末のID)と第2下位端末ID9124(より下位の端末のID)とを格納するメモリ912とを有する。端末91乃至97は、柱上変圧器の2次側から電力供給されており、これによって動作するが、柱上変圧器の2次側から電力供給されなくなると動作しなくなる。すなわち、以下に述べる問い合わせコマンドに応答できず、応答コマンドや問い合わせコマンドを中継できなくなる。本実施の形態においては、端末91乃至97は、このように簡単な構成を採用してコストを削減している。
【0022】
本発明の第1の実施の形態に係るゲートウェイ51及び52の機能ブロック図を図3に示す。例えばゲートウェイ52は、近距離に配置されている端末と無線通信を実施する無線通信部521と、無線通信部521が端末から受信した応答コマンドを集約するデータ集約部523と、本ゲートウェイ52配下の端末を管理するためのデータ及びデータ集約部523によって生成された応答データを格納するデータ格納部525と、データ格納部525に格納されている応答データをネットワーク1を介して中央処理装置3に送信する伝送部527とを有する。
【0023】
例えば、データ格納部525には、図4のようなデータが格納されている。すなわち、配下の端末91乃至97の配列によって構成される通信ルートのデータ(端末ID列)と、当該通信ルートにおいて応答コマンドを受信したか否かを表すデータとを格納する。図4の例では、通信ルートとして、第1の端末ID列(a、b、c、d)と、第2の端末ID列(a,f,g,h)とが含まれる。応答コマンドの受信の有無については、以下で説明する。ここでは、2つのルートについて管理している例を示しているが、1つの場合もあれば、さらに多い場合もある。分岐についても、図4のようなデータ形式で表さなくても良い。
【0024】
次に、中央処理装置3の機能ブロック図を図5に示す。中央処理装置3は、ゲートウェイ51及び52から受信する応答データや柱上変圧器71乃至79の高圧三相配電線との接続態様及び端末91乃至97の設置位置に関するデータ(柱上変圧器との接続態様又は当該柱上変圧器が設置されている電柱ID。場合によっては直接位置データ。)を含む管理データとを格納するデータ格納部31と、データ格納部31に格納されているデータに基づき断線や端末故障などを判断する断線検出部33と、断線検出部33によって断線などを検出した場合に警告を管理者などに出力する警告出力部35とを有する。
【0025】
データ格納部33には、例えば図6に示すようなデータが格納される。図6の例では、位置を特定するデータである電柱IDと、高圧三相配電線の分岐情報と、柱上変圧器の一次側が高圧三相配電線のいずれの相と接続されているかを表す変圧器一次側接続情報と、端末IDとが登録されるようになっている。電柱と柱上変圧器とは対応付けられており、電柱が特定されれば柱上変圧器も特定され、逆に柱上変圧器が特定されれば電柱も特定されるものとする。また、図6のようなデータは、例えばゲートウェイ毎且つ管理ルート毎に管理される。管理ルートは、高圧三相配電線の断線検出区間の上流から下流に、高圧三相配電線の電柱及び当該電柱に設置されている柱上変圧器に接続されている端末の配置に基づき、予め決定されているルートである。第1の実施の形態では、通信ルートと管理ルートは等しい。また、データ格納部33には、図4に示したような応答データも格納される。
【0026】
次に、図7乃至図16を用いて、図1に示したシステムの処理を説明する。まず図7で、全体の流れを説明する。まず、任意のタイミング又は定期的に、ゲートウェイ51及び52は、ゲートウェイ処理を実施し、これに対して端末91乃至97は、端末処理を実施する(ステップS1)。ゲートウェイ処理及び端末処理について後に詳細に述べるが、基本的には、ゲートウェイ51及び52は、問い合わせコマンドを出力し、端末91乃至97は、当該問い合わせコマンドに対して応答コマンドを送信元のゲートウェイ51又は52返信すると共に、問い合わせコマンドを下流の他の端末に対して転送する。ゲートウェイ51及び52は、配下の端末91乃至97から応答コマンドを受信して、集約して応答データを生成すると共に、ネットワーク1を介して中央処理装置3に送信する。
【0027】
そして、中央処理装置3は、各ゲートウェイから応答データを受信し、中央処理装置処理を実施する(ステップS3)。中央処理装置処理については後に詳細に述べるが、応答コマンドを返してこなかった端末の下流に設置されている端末からの応答コマンドの有無及びそれらの端末が2次側に接続されている柱上変圧器の一次側の、高圧三相配電線に対する接続態様に基づき、断線又は故障を判断する。
【0028】
その後、中央処理装置3が、断線又は故障を検出した場合には、所定の管理者端末(図示せず)に対して警告を出力する(ステップS5)。この際、電柱IDや端末IDを出力することによって、場所を特定できるようにする。また、別途地図DB(図示せず)と連携して、場所を地図上で示すようにしても良い。
【0029】
次に、ゲートウェイ処理を図8を用いて説明する。例えばゲートウェイ52の無線通信部521は、データ格納部525に格納されている通信ルートのデータを参照して、各通信ルートにおいて最初の端末の端末IDと末端の端末の端末IDとを特定し、最初の端末に対して末端の端末を送信先とする問い合わせコマンドを送信する(ステップS11)。この問い合わせコマンドは、以下で述べる端末処理において下流に伝播され、通信ルート上の各端末から応答コマンドが返される。但し、動作していない端末からは応答コマンドは返信されず、動作していない端末が通信ルート上2つ以上続くと、それ以降の端末からも応答コマンドは返されない。また、ステップS11を実施してからタイマーによる計時を開始する。
【0030】
なお、通信ルート上の最初の端末が断線又は故障で応答できない場合がある。その場合には、当該通信ルートにおいて2番目の端末に、末端の端末宛の問い合わせコマンドを送信するものとする。そして、データ集約部523に、通信ルート上の最初の端末からの応答無しを通知する。さらに、通信ルートにおいて2番目の端末も断線又は故障で応答できない場合もある。その場合には、当該通信ルートについての処理を終了し、データ集約部523に、通信ルート上の2番目の端末からの応答無しを通知する。データ集約部523は、応答無しの通知を受け取ると、データ格納部525において、該当する端末に対応して応答無しを登録する。
【0031】
そして、無線通信部521は、応答コマンドを受信したか判断し(ステップS13)、受信していない場合には、受信するまで待機する。一方、応答コマンドを受信した場合には、無線通信部521は、データ集約部523に、受信した応答コマンドを出力し、データ集約部523は、データ格納部525において、応答コマンドに基づき原則として応答コマンドの送信元端末に対応して応答有りを登録する(ステップS15)。なお、以下の端末処理で説明するが、特定の端末から応答がないということを通知する応答コマンドが伝播されてくる場合もあるので、その場合には、当該特定の端末について応答無しを登録する。
【0032】
そして、問い合わせコマンドを送信してから所定時間経過するまで、ステップS13及びS15を実施する(ステップS17:Noルート)。所定時間は、通信ルート上の末端の端末から応答コマンドが伝播されてくるまでの最大時間を参考にして決定される。
【0033】
所定時間経過した場合には(ステップS17:Yesルート)、伝送部527は、データ格納部525に格納されている応答データ(各端末からの応答の有無に関するデータ)を、ネットワーク1を介して中央処理装置3に送信する(ステップS19)。
【0034】
以上の処理を実施することによって、ゲートウェイ51及び52においては、配下の端末の動作状態を表す応答データを生成することができ、中央処理装置3に通知することができる。
【0035】
次に、図9を用いて端末処理の内容を説明する。端末の無線通信部911は、応答コマンド又は問い合わせコマンドを受信した場合、自分宛の通信であるか判断する(ステップS21)。第1の実施の形態では、問い合わせコマンドは、自端末より下流の特定の端末に対して送信され、その送信先は通信ルートにおける末端の端末となっている。なお、問い合わせコマンドには、送信元ゲートウェイのIDが含まれる。一方、応答コマンドは、自端末より上流の特定の端末に対して送信され、その送信先は問い合わせコマンドの送信元ゲートウェイとなっている。なお、応答コマンドは、その応答コマンドを生成した端末のIDが含まれる。
【0036】
自分宛の通信ではない場合には、次の応答コマンド又は問い合わせコマンドを受信するまで待機する。
【0037】
一方、自分宛の通信であった場合には、問い合わせコマンドであるか否かを判断する(ステップS23)。問い合わせコマンドではなく応答コマンドである場合には、メモリ912に登録されている第1上位端末ID9121を読み出して、第1上位端末ID9121に対応する上位端末に対して応答コマンドを転送する(ステップS37)。なお、第1上位端末ID9121に対応する上位端末と通信できない場合があるので、その場合には、メモリ912から第2上位端末ID9122を読み出して、当該第2上位端末ID9122に対応する上位端末に対して応答コマンドを転送する。ここでは、通信ルート上2以上の端末が連続して動作していない場合には、それ以上下位の端末には問い合わせコマンドが転送されないことになっているので、応答コマンドを転送する際にも、2つ以上上位の端末に対して応答コマンドを転送することはない。但し、問い合わせコマンドを下流に転送している時には動作していたが、応答コマンドを上流に転送する際には動作していないということが可能性としてはあるが、ここではこのような状態は取り扱わない。
【0038】
一方、問い合わせコマンドを受信した場合には、無線通信部911は、自端末のIDを送信元として含み、問い合わせコマンドの送信元ゲートウェイを宛先にした応答コマンドを生成し、当該問い合わせコマンドを直接送信してきた端末又はゲートウェイに対して送信する(ステップS25)。
【0039】
さらに、無線通信部911は、メモリ912に登録されている第1下位端末ID9123を読み出して、第1下位端末ID9123に対応する下位端末に対して、問い合わせコマンドを転送する(ステップS27)。そして、問い合わせコマンドの転送先である下位端末から当該下位端末が送信元となっている応答コマンドを受信したか判断する(ステップS29)。問い合わせコマンドの転送先である下位端末から当該下位端末が送信元となっている応答コマンドを受信した場合には、ステップS37に移行する。
【0040】
一方、問い合わせコマンドの転送先である下位端末から当該下位端末が送信元となっている応答コマンドを受信しない場合には、無線通信部911は、問い合わせコマンドを同じ下位端末に3回送信したか判断する(ステップS31)。3回送信していなければステップS27に戻る。一方、3回送信しても、問い合わせコマンドの転送先である下位端末から当該下位端末が送信元となっている応答コマンドを受信しない場合には、問い合わせコマンドの送信元ゲートウェイ宛に、下位端末の応答無しを示す応答コマンドを、当該問い合わせコマンドを直接送信してきた端末又はゲートウェイに対して送信する(ステップS33)。
【0041】
さらに、無線通信部911は、メモリ912に登録されている第2下位端末ID9124を読み出して、第2下位端末ID9124に対応する2つ下位の端末に対して、問い合わせコマンドを転送する(ステップS35)。そして、問い合わせコマンドの転送先である2つ下位の端末から当該2つ下位の端末が送信元となっている応答コマンドを受信したか判断する(ステップS39)。問い合わせコマンドの転送先である2つ下位の端末から当該2つ下位の端末が送信元となっている応答コマンドを受信した場合には、ステップS37に移行する。
【0042】
一方、問い合わせコマンドの転送先である2つの下位の端末から当該2つの下位の端末が送信元となっている応答コマンドを受信しない場合には、無線通信部911は、問い合わせコマンドを同じ2つ下位の端末に3回送信したか判断する(ステップS41)。3回送信していなければステップS35に戻る。一方、3回送信しても、問い合わせコマンドの転送先である2つ下位の端末から当該2つ下位の端末が送信元となっている応答コマンドを受信しない場合には、問い合わせコマンドの送信元ゲートウェイ宛に、2つ下位の端末の応答無しを示す応答コマンドを、当該問い合わせコマンドを直接送信してきた端末又はゲートウェイに対して送信する(ステップS43)。
【0043】
このような処理を、端末が故障するか、管理者に電力供給を停止されるか、断線によって電力供給が停止されて、処理を終了するまで、端子Aを介してステップS21に戻って繰り返す(ステップS45)。
【0044】
このようにすれば、端末間の無線通信によって問い合わせコマンドを通信ルートの下流に伝播し、応答コマンドを通信ルートの上流に伝播して、端末の動作状態を表すデータを収集することができるようになる。
【0045】
次に、図10乃至図15を用いて中央処理装置処理について説明する。なお、図10の処理フローは、管理ルート毎に実施される。管理ルートに分岐がある場合には、分岐毎に異なる管理ルートとして図10の処理を実施するものとする。
【0046】
まず、中央処理装置3は、各ゲートウェイから応答データを受信し、データ格納部31に登録する(ステップS51)。そして、中央処理装置3の断線検出部33は、Nを1に初期化し(ステップS53)、データ格納部31に格納されている応答データから、管理ルートにおけるN番目の端末からの応答があったか判断する(ステップS55)。管理ルートにおけるN番目の端末から応答があった場合には、Nを1インクリメントし(ステップS57)、管理ルートにおけるN+1番目の端末が存在するか判断する(ステップS59)。管理ルートにおけるN+1番目の端末が存在しない場合には、管理ルートの末端まで到達したということであるから、処理を終了する。一方、管理ルートにおけるN+1番目の端末が存在する場合にはステップS55に戻る。
【0047】
一方、管理ルートにおけるN番目の端末から応答がなかった場合には、断線検出部33は、データ格納部31に格納されているデータ(図6)を参照して、N番目の端末が二次側に接続されている柱上変圧器の一次側が接続している高圧三相配電線の2相と、N+1番目の端末が二次側に接続されている柱上変圧器の一次側が接続している高圧三相配電線の2相とが一致するか判断する(ステップS61)。図11(a)に示したように、N番目の端末が二次側に接続されている柱上変圧器の一次側が接続している高圧三相配電線の2相がu及びwであり、N+1番目の端末が二次側に接続されている柱上変圧器の一次側が接続している高圧三相配電線の2相がu及びvである場合には、一致していないと判断される。一方、図12(a)に示したように、N番目の端末が二次側に接続されている柱上変圧器の一次側が接続している高圧三相配電線の2相がu及びwであり、N+1番目の端末が二次側に接続されている柱上変圧器の一次側が接続している高圧三相配電線の2相がu及びwである場合には、一致していると判断される。
【0048】
なお、N+1番目の端末が存在しない場合には、以降の処理を実施することはできないので、N番目の端末が故障又は断線の可能性があるということを、警告出力部35に、例えば管理者端末などに出力させる。
【0049】
N番目の端末が二次側に接続されている柱上変圧器の一次側が接続している高圧三相配電線の2相と、N+1番目の端末が二次側に接続されている柱上変圧器の一次側が接続している高圧三相配電線の2相とが一致する場合には、断線検出部33は、N+1番目の端末から応答があったか判断する(ステップS63)。N+1番目の端末から応答がない場合には、図12(b)に示すように、端末Nに対応する電柱ID及び共通する相(図12(b)の場合にはu及びw)の断線を表すデータを、警告出力部35に出力する(ステップS65)。そして本管理ルートについての処理を終了する。
【0050】
N+1番目の端末から応答があった場合には、図12(b)に示すように、断線検出部33は、N番目の端末に対応する電柱ID及びN番目の端末の故障を表すデータを、警告出力部35に出力する(ステップS67)。そして本管理ルートについての処理を終了する。
【0051】
一方、N番目の端末が二次側に接続されている柱上変圧器の一次側が接続している高圧三相配電線の2相と、N+1番目の端末が二次側に接続されている柱上変圧器の一次側が接続している高圧三相配電線の2相とが一致しない場合には、断線検出部33は、N+1番目の端末から応答があったか判断する(ステップS69)。N+1番目の端末から応答がなかった場合には、図11(b)に示すように、N番目の端末に対応する電柱ID及び共通する相(図11(b)の場合にはu)の断線を表すデータを、警告出力部35に出力する(ステップS65)。
【0052】
N+1番目の端末から応答があった場合には、図11(b)に示すように、それだけでは判断できないので、断線検出部33は、N+1番目の端末が二次側に接続されている柱上変圧器の一次側が接続している高圧三相配電線の2相と、N+2番目の端末が二次側に接続されている柱上変圧器の一次側が接続している高圧三相配電線の2相と一致するか判断する(ステップS71)。
【0053】
なお、N+2番目の端末が存在しない場合には、以下の処理は実施できないので、N番目の端末が故障又は断線の可能性があるということを、警告出力部35に、例えば管理者端末などに出力させる。
【0054】
図13に示すように、N+1番目の端末が二次側に接続されている柱上変圧器の一次側が接続している高圧三相配電線の2相と、N+2番目の端末が二次側に接続されている柱上変圧器の一次側が接続している高圧三相配電線の2相とが一致する場合には、N+2番目の端末の応答の有無を見ても判断できないので、断線検出部33は、N+2番目の端末を、さらに下位の端末に変更する(ステップS73)。そしてステップS71に戻り、N+2番目の端末をさらに下位の端末として判断する。すなわち、N+2であればN+3に変更し、N+3であればN+4に変更する。なお、下位の端末が存在しない場合には、これ以上処理はできないので、N番目の端末が故障又は断線の可能性があるということを、警告出力部35に、例えば管理者端末などに出力させる。
【0055】
一方、N+1番目の端末が二次側に接続されている柱上変圧器の一次側が接続している高圧三相配電線の2相と、N+2番目の端末が二次側に接続されている柱上変圧器の一次側が接続している高圧三相配電線の2相とが異なる場合には、図14(a)に示すように、N番目の端末が二次側に接続されている柱上変圧器の一次側が接続している高圧三相配電線の2相と、N+2番目の端末が二次側に接続されている柱上変圧器の一次側が接続している高圧三相配電線の2相とが一致する場合と、図15(a)に示すように、N番目の端末が二次側に接続されている柱上変圧器の一次側が接続している高圧三相配電線の2相と、N+2番目の端末が二次側に接続されている柱上変圧器の一次側が接続している高圧三相配電線の2相とが異なる場合とのいずれかである。
【0056】
いずれの場合においても、断線検出部33は、N+2番目の端末から応答があったか判断する(ステップS75)。N+2番目の端末から応答があった場合には、N番目の端末に対応する電柱ID及びN番目の端末の故障を表すデータを、警告出力部35に出力する(ステップS79)。そして本管理ルートの処理を終了する。
【0057】
一方、N+2番目の端末から応答が無かった場合には、断線検出部33は、N番目の端末に対応する電柱ID及び端末Nに対応する電柱ID及び共通する相(図14(b)の場合にはu及びw、図15(b)の場合にはw)の断線を表すデータを、警告出力部35に出力する(ステップS77)。そして本管理ルートについての処理を終了する。
【0058】
以上のような処理を実施することによって、安価な端末を用いて、端末に通信ネットワークを接続することなく、端末間の無線通信を介して各端末の動作状態を表す応答データを収集し、端末の故障又は高圧三相配電線の断線を検出することができるようになる。
【0059】
以上の処理では、予め端末に対して通信ネットワークのための設定を行っておく必要がある。しかしながら、以下の構成(第2の実施の形態)を採用すれば、端末に対して設定を行っておく必要が無くなる。
【0060】
具体的には、ゲートウェイ処理(図8)のステップS11において、通信ルートが設定されていないので、問い合わせコマンドをブロードキャストする。この問い合わせコマンドの中継経路については問い合わせコマンドに含まれるように蓄積してゆく。なお、応答コマンドについては、問い合わせコマンドの中継経路を遡って返されるので、応答コマンドについての処理は基本的に同じである。但し、特定の端末が動作していないことを表す応答コマンドについては送信されてこない。
【0061】
一方、端末処理については図9の代わりに図16の処理を実施する。すなわち、端末91の無線通信部911は、受信したコマンドが今まで受信したことのない未受信コマンドであるか判断する(ステップS81)。例えば受信コマンドのシーケンス番号を格納しておき、今回受信したコマンドのシーケンス番号が格納済みであるか否かを判断する。既に受信したことのあるコマンドである場合には、当該コマンドを破棄する(ステップS83)。そしてステップS81に戻る。
【0062】
一方、未受信のコマンドである場合には、無線通信部911は、受信したコマンドが問い合わせコマンドであるか判断する(ステップS85)。問い合わせコマンドではなく、応答コマンドである場合には、問合せコマンドを受信したときにメモリに登録しておいた送信元情報(例えば端末ID)より、当該中継経路上の上位端末に、応答コマンドを転送する(ステップS87)。そして、電源供給が停止した場合や管理者によって動作を終了させられたなど処理終了でなければ、ステップS81に戻り、処理終了の場合には処理を終了する(ステップS93)。
【0063】
受信したコマンドが問い合わせコマンドである場合には、無線通信部911は、応答コマンドを生成して、当該応答コマンドを、問い合わせコマンドを直接送信してきた端末又はゲートウェイに対して送信し、直接送信してきた端末情報(例えば端末ID)を上位端末(送信元情報)として例えばメモリに登録する(ステップS89)。
【0064】
さらに、無線通信部911は、問い合わせコマンドをブロードキャストする(ステップS91)。そして、電源供給が停止した場合や管理者によって動作を終了させられたなど処理終了でなければ、ステップS81に戻り、処理終了の場合には処理を終了する(ステップS93)。
【0065】
このようにすれば、端末のメモリ912に通信ルートについてのデータを保持しておかなくとも応答コマンドを、ゲートウェイにおいて収集することができるようになる。
【0066】
中央処理装置3については、特別に変わることなく、中央処理装置の処理についても変更は必要ない。
【0067】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上ではゲートウェイ51及び52、中央処理装置3、端末91乃至97について機能ブロック図を示したが、必ずしもプログラムモジュール構成が一致するわけではない。また、中央処理装置3及びゲートウェイ51及び52の個数については、任意である。中央処理装置3についても複数も受けるようにしても良い。また、中央処理装置3とゲートウェイ51及び52が同一装置で実施される場合もある。
【0068】
なお、ゲートウェイ51及び52、中央処理装置3はコンピュータ装置であって、図17に示すように当該コンピュータ装置においては、メモリ2501(記憶部)とCPU2503(処理部)とハードディスク・ドライブ(HDD)2505と表示装置2509に接続される表示制御部2507とリムーバブル・ディスク2511用のドライブ装置2513と入力装置2515とネットワークに接続するための通信制御部2517とがバス2519で接続されている。オペレーティング・システム(OS)及びWebブラウザを含むアプリケーション・プログラムは、HDD2505に格納されており、CPU2503により実行される際にはHDD2505からメモリ2501に読み出される。必要に応じてCPU2503は、表示制御部2507、通信制御部2517、ドライブ装置2513を制御して、必要な動作を行わせる。また、処理途中のデータについては、メモリ2501に格納され、必要があればHDD2505に格納される。このようなコンピュータは、上で述べたCPU2503、メモリ2501などのハードウエアとOS及び必要なアプリケーション・プログラムとが有機的に協働することにより、上で述べたような各種機能を実現する。なお、コンピュータ装置は複数台のコンピュータによって構成される場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態におけるシステム概要を示す図である。
【図2】端末の機能ブロック図である。
【図3】ゲートウェイの機能ブロック図である。
【図4】ゲートウェイのデータ格納部に格納されるデータのデータフォーマットの一例を示す図である。
【図5】中央処理装置の機能ブロック図である。
【図6】中央処理装置のデータ格納部に格納されるデータの一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態の全体フローを示す図である。
【図8】ゲートウェイ処理を説明するための図である。
【図9】端末処理の第1の例を示す図である。
【図10】中央処理装置処理の処理フローを示す図である。
【図11】(a)及び(b)は、中央処理装置処理を説明するための図である。
【図12】(a)及び(b)は、中央処理装置処理を説明するための図である。
【図13】中央処理装置処理を説明するための図である。
【図14】(a)及び(b)は、中央処理装置処理を説明するための図である。
【図15】(a)及び(b)は、中央処理装置処理を説明するための図である。
【図16】端末処理の第2の例を示す図である。
【図17】コンピュータの機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0070】
1 ネットワーク 3 中央処理装置
51,52 ゲートウェイ
71−79 柱上変圧器
91−97 端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線通信機と、
処理装置と、
を有し、
各前記無線通信機は、
特定の柱上変圧器の2次側に接続され、
前記特定の柱上変圧器からの電力供給に応じて動作又は非動作が切り替えられ、
前記複数の無線通信機の一部のみと無線通信可能であり、
前記処理装置は、
前記複数の無線通信機のうち少なくとも一部の動作又は非動作の状態のデータを、応答の有無のデータとして前記無線通信機間の無線通信を介して収集し、
前記柱上変圧器、当該柱上変圧器が設置された電柱又は位置データと当該柱上変圧器に接続されている前記無線通信機と当該柱上変圧器に接続されている配電線のデータとを対応付けて格納するデータ格納部に格納されているデータと前記無線通信機からの応答の有無のデータとから、前記配電線の断線の有無又は前記無線通信機の故障の有無を判断する断線検出処理を実施する
高圧配電線断線検出システム。
【請求項2】
前記複数の無線通信機のグループ毎に、当該グループを管轄するゲートウェイ装置をさらに有し、
前記ゲートウェイ装置は、任意のタイミングで、
配下の前記無線通信機に、前記無線通信機間の無線通信を介して、問い合わせコマンドを送信すると共に、配下の前記無線通信機のうち動作中のものから応答コマンドを、前記無線通信機間の無線通信を介して受信し、
前記応答コマンドの受信及び未受信から、前記応答の有無のデータを生成して、前記処理装置に送信する
請求項1記載の高圧配電線断線検出システム。
【請求項3】
前記グループ内の前記無線通信機に、前記問い合わせコマンド及び前記応答コマンドの中継先のデータを設定しておき、前記問い合わせコマンド及び前記応答コマンドを、前記中継先のデータに従って中継する
請求項2記載の高圧配電線断線検出システム。
【請求項4】
前記ゲートウェイ装置及び当該ゲートウェイ装置の配下の前記無線通信機は、ブロードキャストによって前記問い合わせコマンドを伝播し、
前記応答コマンドを、前記問い合わせコマンドの伝播経路に沿って、前記ゲートウェイ装置に返信する
請求項2記載の高圧配電線断線検出システム。
【請求項5】
前記断線検出処理が、
第1の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と前記第1の柱上変圧器より当該配電線において下流の第2の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とが異なっており、前記第1の柱上変圧器の2次側に接続されている第1の無線通信機と前記第2の柱上変圧器の2次側に接続されている第2の無線通信機とから応答が得られない場合には、断線と判断し、
前記第1の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と前記第2の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と前記第2の柱上変圧器より当該配電線において下流の第3の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とが異なっており、前記第1の無線通信機と前記第3の柱上変圧器の2次側に接続されている第3の無線通信機とから応答を得られず、前記第2の無線通信機から応答を得られた場合には、断線と判断し、
前記第1の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と前記第3の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とが同じであるが前記第2の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とは異なっており、前記第1の無線通信機と前記第3の無線通信機とから応答を得られず、前記第2の無線通信機から応答を得られた場合には、断線と判断し、
前記第1の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と前記第2の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とが同一であり、前記第1の無線通信機と前記第2の無線通信機とから応答が得られない場合には、断線と判断する
請求項1記載の高圧配電線断線検出システム。
【請求項6】
前記断線検出処理が、
前記第1の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と前記第2の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と前記第3の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とが異なっており、前記第1の無線通信機から応答を得られず、前記第2の無線通信機と前記第3の無線通信機から応答を得られた場合には、前記第1の無線通信機の故障と判断し、
前記第1の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と前記第2の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とが同一であり、前記第1の無線通信機から応答が得られないが前記第2の無線通信機とから応答が得られた場合には、前記第1の無線通信機の故障と判断する
請求項5記載の高圧配電線断線検出システム。
【請求項7】
複数の無線通信機と、処理装置とを有する高圧配電線断線検出システムにおいて、
各前記無線通信機は、
特定の柱上変圧器の2次側に接続され、
前記特定の柱上変圧器からの電力供給に応じて動作又は非動作が切り替えられ、
前記複数の無線通信機の一部のみと無線通信可能であり、
前記処理装置が、
前記無線通信機間の無線通信によって収集される、前記複数の無線通信機のうち少なくとも一部の動作又は非動作の状態のデータを、応答の有無のデータとして取得するステップと、
前記柱上変圧器、当該柱上変圧器が設置された電柱又は位置データと当該柱上変圧器に接続されている前記無線通信機と当該柱上変圧器に接続されている配電線のデータとを対応付けて格納するデータ格納部に格納されているデータと前記無線通信機からの応答の有無のデータとから、前記配電線の断線の有無又は前記無線通信機の故障の有無を判断する断線検出ステップと、
を実行する高圧配電線断線検出方法。
【請求項8】
前記断線検出ステップが、
第1の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と前記第1の柱上変圧器より当該配電線において下流の第2の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とが異なっており、前記第1の柱上変圧器の2次側に接続されている第1の無線通信機と前記第2の柱上変圧器の2次側に接続されている第2の無線通信機とから応答が得られない場合には、断線と判断するステップと、
前記第1の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と前記第2の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と前記第2の柱上変圧器より当該配電線において下流の第3の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とが異なっており、前記第1の無線通信機と前記第3の柱上変圧器の2次側に接続されている第3の無線通信機とから応答を得られず、前記第2の無線通信機から応答を得られた場合には、断線と判断するステップと、
前記第1の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と前記第3の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とが同じであるが前記第2の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とは異なっており、前記第1の無線通信機と前記第3の無線通信機とから応答を得られず、前記第2の無線通信機から応答を得られた場合には、断線と判断するステップと、
前記第1の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と前記第2の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とが同一であり、前記第1の無線通信機と前記第2の無線通信機とから応答が得られない場合には、断線と判断するステップと、
を含む請求項7記載の高圧配電線断線検出方法。
【請求項9】
前記断線検出ステップが、
前記第1の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と前記第2の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と前記第3の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とが異なっており、前記第1の無線通信機から応答を得られず、前記第2の無線通信機と前記第3の無線通信機とから応答を得られた場合には、前記第1の無線通信機の故障と判断するステップと、
前記第1の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相と前記第2の柱上変圧器の1次側に接続されている配電線の2相とが同一であり、前記第1の無線通信機から応答が得られないが前記第2の無線通信機とから応答が得られた場合には、前記第1の無線通信機の故障と判断するステップと、
をさらに含む請求項8記載の高圧配電線断線検出方法。
【請求項10】
特定の柱上変圧器の2次側に接続され、前記特定の柱上変圧器からの電力供給に応じて動作又は非動作が切り替えられ、近隣とのみ無線通信可能な複数の無線通信機と、処理装置とを有する高圧配電線断線検出システムにおいて、前記処理装置に、
前記無線通信機間の無線通信によって収集される、前記複数の無線通信機のうち少なくとも一部の動作又は非動作の状態のデータを、応答の有無のデータとして取得するステップと、
前記柱上変圧器、当該柱上変圧器が設置された電柱又は位置データと当該柱上変圧器に接続されている前記無線通信機と当該柱上変圧器に接続されている配電線のデータとを対応付けて格納するデータ格納部に格納されているデータと前記無線通信機からの応答の有無のデータとから、前記配電線の断線の有無又は前記無線通信機の故障の有無を判断する断線検出ステップと、
を実行させるための高圧配電線断線検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−207273(P2009−207273A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46348(P2008−46348)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】