説明

高容量電極活物質、その製造方法、それを備えた電極及びエネルギ貯蔵装置

【課題】工程が単純でありながらも炭素の層間距離を飛躍的に拡大させ、体積当り静電容量が大きく、また電圧印加による電極の膨張を低減させる電極活物質の製造方法、電極活物質、電極、及びエネルギ貯蔵装置を提供する。
【解決手段】本発明の活物質は、易黒鉛化炭素を含む炭素物の一部または全部の層間に酸素と結合させた酸化黒鉛構造を形成させてから層間内の酸素の一部または全部を除去することにより炭素物の層間に電気二重層の容量発現が可能な微細空孔を有する。電気二重層キャパシタ用エネルギ貯蔵活物質の製造工程としては炭素物を熱処理して前処理する段階、前処理された炭素物を酸化剤で酸化させる段階を含み、熱処理して還元させる段階をさらに含むこともできる。粉末X線回折法で求めた活物質の段階別層間距離は、前処理段階において0.33〜0.36nm、酸化段階において0.5〜2.1nm、及び還元段階において0.34〜0.5nmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギ貯蔵装置の電極活物質、これを備えた電極及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在使用中のエネルギ貯蔵装置の例としては、電気二重層キャパシタ、ハイブリッドキャパシタ、リチウム2次電池、太陽電池、または燃料電池などが挙げられ、代表的にはリチウム2次電池とスーパキャパシタとして代表的な電気二重層キャパシタ(Electrochemical Double Layer Capacitor: EDLC)があげられる。
【0003】
リチウム2次電池はエネルギ密度が20〜120Wh/kgであって高いという長所があるものの、出力密度が50〜250W/kgであって低く、サイクル寿命特性が500回程度であって低いという短所がある。
【0004】
電気二重層キャパシタは急速充放電が可能であり、過充放電に強く、化学反応を伴わないため長寿命特性と広い温度範囲で使用可能であり、重金属を含まないことから環境に優しい点など電池が有していない特性を持っていて、以前から主にメモリバックアップ用電源などに活用されてきた。
【0005】
最近、高容量化開発が急激に行なわれて高性能エネルギデバイスへの用途開発が行なわれ、太陽電池及び燃料電池との電力貯蔵システム、ハイブリッド自動車(HEV)へのエンジン補助電源などへの活用も検討されてきた。
【0006】
前記リチウム2次電池と電気二重層キャパシタは単位電池の構造及び作動原理で極めて類似しているが、電荷の貯蔵メカニズムにおいて差を示す。すなわち、リチウム2次電池では充放電によって電子とイオンが電極物質のバルク(bulk)内に伝達され、ファラデー反応(Faradaic reaction)に依存するため、電極物質の相変異が伴う一方、電気二重層キャパシタではこのようなファラデー反応を介しないため(non-Faradaic process)活物質の相変異なしに電気電極/電解質の界面(電気二重層)でだけ充放電反応が起るという特徴がある。
【0007】
一方、前記リチウム2次電池と電気二重層キャパシタの短所を補ったハイブリッドキャパシタが提案されている。
【0008】
電気二重層キャパシタは、活性炭などよりなる一対の陽極と陰極の分極性電極を、電解質イオンを含む電解液中に隔離膜を挟んで対向する構造よりなっている。電極に直流電圧を印加すれば、電圧の上昇と共に+極には溶液中の陰イオンが、−極には陽イオンがそれぞれ接近し、これらにより電極と溶液との界面に形成された電気二重層を電気エネルギとして用いる。
【0009】
従来の電気二重層キャパシタは、パワー密度は優れる一方、エネルギ密度の点で劣るという問題があって、エネルギデバイス用途への活用についてはさらに大容量化への開発を必要とするようになった。電気二重層キャパシタの容量を増加させるためには、多くの電気二重層を形成させる電極材料の開発が必須不可欠である。
【0010】
従って、さらに多くの電気二重層を形成させるためには、比表面積が大きい活性炭の使用が検討されてきたが、比表面積を用いた活性炭素は、質量当たり静電容量(F/g)は優れる一方、電極密度の低下を招くので体積当り静電容量(F/ml)の増大には限界があった。
【0011】
体積当り静電容量の増加のための方法として易黒鉛化性炭素原料を炭化した後苛性アルカリと共に高温で活性化させるアルカリ活性化方法が提案されている。例えば、分極性電極の材料として易黒鉛化性炭素原料を不活性雰囲気下で600〜800℃でKOH、CsOH及びRbOHなどのような苛性アルカリと共に活性化すれば、黒鉛と類似した微結晶粒を持って、格子面層間距離、d002が0.360〜0.380nmの非多孔性炭素を製造することが可能である。この非多孔性炭素は比表面積が270m2/g以下であって少ないにも関わらず、電気二重層キャパシタの電極材料として用いる場合、30F/ml以上の高い体積当り静電容量を示し、これは黒鉛類似の微結晶粒の層間に電解質イオンが溶媒を含んでインターカレーションすることによると解されている。
【0012】
しかし、前記アルカリ活性化方法により製造した活性炭素は電気二重層キャパシタの電極であって製造後充放電を繰り返すと電解質イオンの層間への入り込み、脱離の反復現象及びガス発生現象に起因する電極の膨張又は亀裂及び容器材料の歪み現象により充放電サイクル特性が低下する問題点を抱えている。
【0013】
電極の膨張抑制のための方策として、易黒鉛化炭素に酸素を付与処理した後アルカリ活性化を行なう方法が考えられ、加熱により難黒鉛化炭素を形成する炭素原料及び加熱により易黒鉛化炭素を形成する炭素原料を混合した後、アルカリ活性化する活性炭素製造方法を考慮してみることができる。
【0014】
しかし、高温でアルカリ活性化する方法は、容器と活性炭素との反応による不純物の混入及び製造装備の腐食を引き起こしやすく、アルカリ活性化方法は活性炭素の膨張抑制のためのその他の工程の導入によって製造コストの増加を招くなど、アルカリ活性化方法による体積当り高容量活性炭素製造工程は常用化に多くの難題を抱えている現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は前述した問題点を解決するために案出されたもので、その目的は既存のアルカリ活性化方法により製造する活性炭素とは違って、易黒鉛化炭素を含む炭素物の一部または全部を酸化させ、酸化黒鉛構造を形成して得るか、これに加えて熱処理して還元する工程により、工程が単純でありながらも炭素の層間距離を飛躍的に拡大させ、体積当り静電容量が大きく、また電圧印加による電極の膨張を低減させる電極活物質の製造方法、電極活物質、電極、及びエネルギ貯蔵装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前述した目的を達成するための本発明は、炭素物を熱処理して前処理する段階と、前記前処理された炭素物を酸化剤で酸化させる段階とを含んでなるエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法を提供する。
【0017】
前記酸化された炭素物を洗浄し乾燥する段階をさらに含んでなることを特徴とするエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法を提供する。
【0018】
また、前記酸化された炭素物を熱処理して還元させる段階をさらに含んでなることを特徴とするエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法を提供する。
【0019】
前記炭素物は易黒鉛化炭素であるか易黒鉛化炭素を含んでなることを特徴とするエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法を提供する。
【0020】
前記易黒鉛化炭素原料は、塩化ビニル系樹脂,ポリアクリロニトリルなどの脂肪族系高分子化合物,メゾフェースピッチ,ポリイミドなどの芳香族系高分子化合物,石炭系ピッチ,石油コークス,石炭コークス,メゾカーボンマイクロビーズ,メゾフェースピッチ放射性繊維よりなる群から一種以上選ばれたものであることを特徴とするエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法を提供する。
【0021】
また、前記前処理する段階は、不活性ガス雰囲気中、300〜2000℃の温度範囲で2〜24時間を熱処理することを特徴とするエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法を提供する。
【0022】
また、前記酸化させる段階は、炭素物を、酸化剤を含む混合溶液内で酸化させることを特徴とするエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法を提供する。
【0023】
前記酸化剤は、HNO3,H2SO4,H3PO4,H427,H3AsO4,HF,H2SeO4,HClO4,CF3COOH,BF3(CH3COOH)2,HSO3F,H5IO6,KMnO4,NaNO3,KClO3,NaClO3,NH4ClO3,AgClO3,HClO3,NaClO4,NH4ClO4,CrO3,(NH4)228,PbO2,MnO2,As25,Na22,H22及びN25よりなる群から一つ以上選ばれたものであることを特徴とするエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法を提供する。
【0024】
前記酸化させる段階は、前記炭素物1質量部に対して前記酸化剤を0.5〜10質量部添加することを特徴とするエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法を提供する。
【0025】
前記酸化させる段階は0〜100℃で行なうことを特徴とするエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法を提供する。
【0026】
前記酸化された炭素物を洗浄し乾燥する段階は、10-1torr以上の高真空と、不活性または還元性ガス雰囲気下100〜1000℃の温度で0.1〜100時間熱処理することを特徴とするエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法を提供する。
【0027】
本発明は、炭素物を熱処理した後酸化させ製造される活物質であって、黒鉛類似微結晶粒の一部または全部の層間距離が0.5〜2.1nm範囲内であることを特徴とするエネルギ貯蔵装置の電極活物質を提供する。
【0028】
また、本発明は炭素物を熱処理し酸化剤で酸化させた後熱処理して還元させ製造される活物質であって、黒鉛類似微結晶粒の層間距離が0.34〜0.5nm範囲内であることを特徴とするエネルギ貯蔵装置の電極活物質を提供する。
【0029】
本発明は、前記活物質、導電剤、バインダー及び集電体を含んでなり、電極密度が0.7〜1.1g/mlであることを特徴とするエネルギ貯蔵装置の電極を提供する。
【0030】
また、3.0V電圧印加による電極膨張率が25%以下であり、電極体積当り静電容量が25F/ml以上であることを特徴とするエネルギ貯蔵装置の電極を提供する。
【0031】
前記活物質は前述した製造方法で製造されることを特徴とするエネルギ貯蔵装置の電極を提供する。
【0032】
前記前記活物質、導電剤及びバインダーの総100質量部に対して前記活物質が80ないし95質量部含んでなることを特徴とするエネルギ貯蔵装置の電極を提供する。
【0033】
本発明は、陰極、陽極及び電解液を備え、前記陰極及び陽極のうち少なくとも一つは前述した製造方法で製造された活物質を含んでなるエネルギ貯蔵装置を提供する。
【0034】
前記陰極及び陽極のうち少なくとも一つは電極密度が0.7〜1.1g/mlであることを特徴とするエネルギ貯蔵装置を提供する。
【0035】
前記電解液は、4級アンモニウム塩,4級イミダゾリウム塩,4級ピリジニウム塩及び4級フォスフォニウム塩,及びリチウム塩で構成される群から選ばれた少なくとも1種を含むことを特徴とするエネルギ貯蔵装置を提供する。
【0036】
また、陽極及び陰極のうち少なくとも一つは3.0V電圧印加による電極膨張率が25%以下であり、電極体積当り静電容量が25F/ml以上であることを特徴とするエネルギ貯蔵装置を提供する。
【発明の効果】
【0037】
本発明に係る活物質は、既存のアルカリ活性化方法により製造する活性炭素とは違って、工程が単純でありながらも炭素の層間距離の拡大により形成された微細空孔により体積当り静電容量が大きく、また電圧印加による電極の膨張を低減させる効果を提供してエネルギ貯蔵装置の活物質として有用であり、特に電気二重層キャパシタまたは活性炭素を一方の電極に使用するハイブリッド貯蔵デバイスに適用でき、多くのエネルギを備蓄しておいてから数十秒または数分間高いエネルギを発散する動力源として既存のコンデンサと2次電池が収容できない性能特性領域を満たせる有用な部品で、携帯電話またはAV、カメラのような携帯通信機器及び家電製品のメモリバックアップ用電源と無停電電源装置(UPS)、ハイブリッド電気自動車(HEV)などの主電源及び補助電源などとして有用に活用され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明をさらに詳述する。
まず、本発明による電極活物質及びその製造方法を説明する。
【0039】
本発明の一実施例による電極活物質の製造方法は、炭素物を熱処理して前処理する段階、及び前記前処理された炭素物を酸化剤で酸化させる段階を含んでなることを特徴とする。前記構成において、前記酸化された炭素物を洗浄し乾燥する段階を必須構成としてさらに含むことができる。特に、前記酸化された炭素物を熱処理して還元させる段階をさらに含むことができる。
【0040】
すなわち、炭素物の揮発成分を除去するか結晶性を改善するための前処理段階と炭素物を酸化させる酸化処理段階とを含んでなり、さらに酸化処理段階で含まれる不純物を除去するための洗浄段階と酸化処理段階で精製された酸素の一部または全部を除去して還元させる段階をさらに含んで構成することができる。
【0041】
本発明において、前記炭素物は前処理及び酸化処理を通じて電気化学的特性に優れるものならば限られず使用できる。また、熱処理して還元させる段階を通じてさらに優秀になるものも限られず使用できる。難黒鉛化炭素を使用することもでき、鋭意実験を重ねたところ、黒鉛類似の微結晶粒を主成分にする易黒鉛化炭素が最も望ましく使用できる。
【0042】
前記易黒鉛化炭素としては、例えば塩化ビニル系樹脂,ポリアクリロニトリルなどの脂肪族系高分子化合物,メゾフェースピッチ,ポリイミドなどの芳香族系高分子化合物,石炭系ピッチ,石油コークス,石炭コークス,メゾカーボンマイクロビーズ,メゾフェースピッチ放射性繊維よりなる群から1種以上選ぶことができる。
【0043】
前記易黒鉛化炭素の粒子サイズとしては、使用する易黒鉛化炭素の種類に応じて適した範囲が定まるが、一般的に規定せず200μm以下、望ましくは10〜100μm範囲内が良い。
【0044】
前記熱処理して前処理する段階は、炭素物を不活性雰囲気下300〜2000℃で、例えばアルゴンまたは窒素雰囲気下で2〜24時間内で熱処理を施す。前記前処理を通じて炭素成分に含まれる揮発成分を除去し、時間と温度の調節によりLc(微少な結晶粒子)のサイズを調節することが可能であり、望ましくは600〜1500℃で4〜24時間熱処理することが良い。
【0045】
前記酸化させる段階は、酸化剤を用いて炭素物を酸化させる過程であって、過酸化物などの酸化剤を含む混合溶液で黒鉛類似の微結晶粒を有する易黒鉛化炭素粉末を含む炭素物を酸化させることが望ましい。
【0046】
前記酸化剤としては別に限られないが、一例としては、HNO3,H2SO4,H3PO4,H427,H3AsO4,HF,H2SeO4,HClO4,CF3COOH,BF3(CH3COOH)2,HSO3F,H5IO6,KMnO4,NaNO3,KClO3,NaClO3,NH4ClO3,AgClO3,HClO3,NaClO4,NH4ClO4,CrO3,(NH4)228,PbO2,MnO2,As25,Na22,H22,N25,C25OH及びCH3OHよりなる群から一つ以上選んで使用できる。
【0047】
酸化処理反応は、酸化剤と過酸化物を含む混合溶液で炭素物の黒鉛類似の微結晶体の層間に酸化剤と過酸化物が入り込んで層面の炭素(Cn+)とイオン結合を形成することにより層間化合物を形成した後、最終的に黒鉛類似の微結晶体の層間に安定した酸素官能基を形成させるか酸素架橋を形成させることによる。
【0048】
実験は、一般に炭素物をビーカ、フラスコまたは温度調節の可能な浴槽で酸化剤と過酸化物と共に混合してマグネチックバーを用いた撹拌または超音波撹拌して酸化させ、撹拌温度は過酸化物の分解と沸騰点を考慮して処理温度を0〜100℃にすることが望ましい。
【0049】
過酸化物などの酸化剤の使用量は過酸化物の種類に応じて異なるため一義的に規定しないが、前処理された炭素物に対して酸化剤は0.5〜10の質量比で混合し、撹拌時間は0.1〜48時間の範囲内で調節することが望ましい。
【0050】
前記洗浄装置は酸化処理工程済みの炭素物の内部または外部に残存する過酸化物などの酸化剤成分を除去するために塩酸または多量の水と共に撹拌後、ろ過工程を繰り返して排水のpHが6〜7になるまで洗浄する。
【0051】
洗浄後50〜200℃の温度で大気中乾燥または10-1torr以上の高真空状態で1〜24時間乾燥することが良い。
【0052】
前記熱処理する段階では、10-1torr以上の高真空状態、不活性または還元性ガス雰囲気下100〜1000℃の温度で、必要に応じて多段階の熱処理温度選定と時間選定が可能である。細部的な熱処理温度別時間は、望ましくは100〜500℃の温度では0.1〜100時間熱処理し、500〜1000℃の温度では0.1〜10時間熱処理することが望ましい。
【0053】
こうして製造された電極活物質炭素粉末はX線回折法により層間距離を求めることができる。Cu Kα(λ=0.15418nm)線を用いたX線回折実験において、前処理段階では2θが24.7〜27.0°で結晶ピークが観察され、酸化段階で観察される4.2〜17.7°の結晶ピークは還元段階で消失され17.7〜26.0°の結晶ピークが生成される。ブラッグ(Bragg)の法則により求めた本発明の各段階後の黒鉛類似微結晶粒の層間距離は、前処理段階で0.33〜0.36nm、酸化段階で0.5〜2.1nm、及び還元段階で0.34〜0.5nmを有する。
【0054】
これは、前処理工程済みの易黒鉛化炭素などの炭素物の黒鉛類似の微結晶粒の層間距離(d002)が0.34〜0.36nmであることに比べ、酸化処理工程により黒鉛類似の微結晶粒の層間距離が飛躍的に拡大されることを意味し、層間距離の拡大程度は層間に挿入される化学種のサイズと配列状態によって調節可能であることを意味する。また、熱処理による還元処理工程において酸素の一部または全部を除去することにより、黒鉛類似微結晶粒の層間を縮小させて電気化学的に安定した微細空孔が形成されることを意味する。
【0055】
以下、前記活物質を備えたエネルギ貯蔵装置の電極を説明する。
本発明に係るエネルギ貯蔵装置の電極は、炭素物を熱処理した後酸化させ製造された活物質、導電剤、バインダー及び集電体を含んでなり、電極密度が0.7〜1.1g/mlであることを特徴とする。
前記活物質は前述した製造方法により製造されることが望ましい。
【0056】
本発明に係る前記活物質を備えた炭素電極の製造方法は別に規定していないが、例えば従来の活性炭素を用いた場合と同様な方法で製造することが可能である。例えば、シート(sheet)状の電極を作製する場合は、本発明で製造した活物質を10〜100μm程度で粉砕して分級した後、例えば炭素粉末に導電性を付与する導電性補助剤あるいは導電剤(カーボンブラックなど)と例えば結着剤又はバインダー(Polytetrafluoroethylene、以下PTFE)を添加して混合し、混合物を、ロールプレスを通じて圧延してシート状で製造する。
【0057】
ここで、導電剤としては、カーボンブラックの他、粉末状のグラファイト,カーボンナノチューブなどを使用することが可能であり、バインダーとしてはPTFEの他、CMC(Carboxymethylcellulose),PVA(Polyvinyl alcohol),PVDF(Polyvinyliene fluoride),PVP(Polyvinylpyrrolidone),MC(メチルセルロース),ラテックス系のエチレン-塩化ビニル共重合樹脂,塩化ビニリデンラテックス,塩素化樹脂,酢酸ビニル樹脂,ポリビニルブチラル,ポリビニルフォルムアル,ビスフェノール系エポキシ樹脂,Styrene Butadiene Rubber(SBR)系であるブタジエンゴム,イソプレンゴム,ニトリルブタジエンゴム,ウレタンゴム,シリコンゴム及びアクリルゴムなどを使用することが可能である。この際、本発明で開発した活性炭素と導電剤(カーボンブラック)及びバインダー(PTFE)との配合質量比は、例えば10〜1:0.3〜10:0.3〜1程度で調整が可能であり、望ましくは前記活物質、導電剤及びバインダーの総100質量部に対して前記活物質が80ないし95質量部含んでなることが望ましい。
【0058】
また、電極を形成するには活性炭素とカーボンブラックを均等に分布させ、PTFEの繊維と絡み合った構造で十分に混合させた後、ロールプレスを通じて縦軸と横軸に反復圧延する必要がある。
【0059】
前述したような構成を有する本発明に係る電極の密度は0.7〜1.1g/mlであり、3.0V電圧印加による電極膨張率が25%以下であり、電極体積当り静電容量が25F/ml以上であることを大切な物性にしていて、エネルギ貯蔵装置、特に電気二重層キャパシタ、ハイブリッドキャパシタの電極に好適に使用され得る。
【0060】
以下、本発明に係るエネルギ貯蔵装置を説明する。
本発明に係るエネルギ貯蔵装置は陰極、陽極及び電解液を備え、前記陰極及び陽極のうち少なくとも一つは前述した製造方法で製造された活物質を含んでなることを特徴とする。前記陰極及び陽極のうち少なくとも一つは電極密度が0.7〜1.1g/mlであることが望ましい。前記陰極、陽極は前述したエネルギ貯蔵装置の電極であり得る。前述した活物質を含む電極は3.0V電圧印加による電極膨張率が25%以下であり、電極体積当り静電容量が25F/ml以上であることを特徴とする。特に、前記エネルギ貯蔵装置はイオンの入込み/脱離を用いるエネルギ貯蔵装置であり得、特に電気二重層キャパシタであり得る。
【0061】
本発明に係る電極活物質を電極の構成成分として用いる場合、黒鉛類似の微結晶粒中の多数の炭素層間に形成された微細空孔が電気二重層を形成する界面として効率よく働く。その結果、本発明の電極活物質を用いて製造した活性炭素電極を、隔離膜を挟んで陽極と陰極に配置し、電解液を含浸して電気二重層キャパシタを製造すれば電気二重層キャパシタの静電容量及びエネルギ密度を十分に向上させることが可能である。電気二重層キャパシタに電圧を印加すれば、溶媒化した電解質イオンが活性炭素の黒鉛類似の微結晶粒の層間に形成された微細空孔に入り込んで電気二重層を形成して容量が発現される。
【0062】
従来のアルカリ活性化方法により製造した活性炭素も、前述したように易黒鉛化炭素の黒鉛類似の微結晶粒の層内に電解質イオンが入り込むことにより容量が発現する。アルカリ活性化方法は易黒鉛化炭素をKOH,NaOH,RbOH,CsOHなどの苛性アルカリと共に混合した後不活性雰囲気下600〜800℃で活性化させる方法で高温で活性化されたアルカリイオンにより炭素の粒内に部分的な微細亀裂を進ませる。アルカリ活性化方法により製造した活性炭素を電気二重層キャパシタに適用すれば、活性炭素の微細亀裂が電解質イオンの出入ポア(pore)の役割を果たすので、活性炭素の黒鉛類似の微結晶粒の層間に浸透を容易にする。
【0063】
しかし、アルカリ活性化方法により製造した活性炭素の黒鉛類似の微結晶粒の層間距離(d002)は一般的に0.360〜0.380nmなので、電解質イオン半径との関係を考慮すれば電解質イオンによる層間内の入り込みによる出入抵抗は大きいと予想できる。一般的に、電気二重層キャパシタまたはハイブリッドキャパシタに使用する電解質(イオン半径)としてはLiBF4(Li+:0.18nm,BF4-:0.26nm),Et4NBF4(Et4N+:0.455nm,BF4-:0.26nm),Et3MeNBF4(Et3MeN+:0.425nm,BF4-:0.26nm),LiPF6(Li+:0.18nm,PF6-:0.305nm)が使用され、これら電解質イオンが0.360〜0.380nmの黒鉛類似の微結晶粒の層間内に入り込むためには電気二重層キャパシタに3.5V以上の高電圧で電界活性化を行なった後低い電圧における容量を得る方式が採択されているが、電解質イオンの無理な層間内部への出入による出入抵抗の増加と活性炭素の膨張と収縮が反復されることにより、電気二重層キャパシタの充放電寿命を縮める原因として働く。
【0064】
しかし、本発明で製造した電極活物質は黒鉛類似の微結晶粒の層間距離が0.34〜0.5nmの範囲を有するので、電解質イオンの炭素層の内部への出入抵抗が少なく、炭素の収縮膨張が抑えられる。
【0065】
一方、本発明のエネルギ貯蔵装置、特に電気二重層キャパシタは前述したように少なくとも一つが前述した電極活物質を備えた陽極と陰極を有しており、隔離膜を挟んで配置した構造で電解液を含浸している。この炭素電極に含まれる活物質は本発明で開発した黒鉛類似の層間結晶構造を有する易黒鉛化炭素で微結晶粒の層間距離は0.34〜0.5nmをもってそれぞれの炭素層間に形成された微細空孔は電解質イオンにより電気二重層が形成される界面として働くので、電極体積当り静電容量が少なくとも25F/ml以上と低い内部抵抗を有することを特徴とする。
【0066】
また、本発明の電気二重層キャパシタに用いる電解液には別に規定しておらず、公知の電気二重層キャパシタに使用されている電解液を使用することが可能である。電解液を水系として使用する場合、易黒鉛化炭素を含む炭素物の製造工程は前記工程中還元段階を省略することが可能である。但し、水系電解液は電気化学的に分解電圧が低くてキャパシタの使用電圧が1V以下に制限されるため、有機溶媒(非水系)電解液が使用電圧を高めるのに有利である。
【0067】
電解液の種類は別に規定していないが、一般的に溶質の溶解度、解離度、液の粘性を考慮して選択し、高い伝導率であり高い電位窓の電解液であることが望ましい。4級アンモニウム塩,4級イミダゾリウム塩,4級ピリジニウム塩及び4級フォスフォニウム塩で構成される群から少なくとも一種を含んで使用することが良く、代表的な例としてEt4NBF4(Tetraethylammoniumtetrafluoroborate)またはEt3MeNBF4(Triethylmethylammoniumtetrafluoroborate)のような4級アンモニウム塩をPC(Propylene carbonate)及びAcN(Acetonitrile)などのような有機溶媒に溶解したものを使用する。
【0068】
以下、本発明の具体的な実験実施例及び比較例を説明する。しかし、下記の実施例は本発明をさらに具体的に説明するために提供することに過ぎず、本発明の技術的範囲を限定することではない。
【実施例】
【0069】
易黒鉛化炭素としての石炭系ニードルコークスを用いて本発明で開発した前処理工程、酸化処理工程及び洗浄と熱処理還元工程を経て電気二重層キャパシタ電極用活性炭素を製造した。
前処理工程として易黒鉛化炭素をArガス雰囲気中750℃で4時間熱処理を行ない、酸化処理工程として熱処理済み炭素粉末5gを500mlの丸底フラスコに35gのNaClO3粉末とHNO3150mlと共に常温で24時間撹拌させた。洗浄と乾燥工程として、酸化処理済み炭素粉末をろ過装置を通じてろ過した後、炭素粉末はHCl:蒸留水の体積比が1:3の比率であるHCl 40mlと蒸留水120mlが入っているビーカに入れて常温で1時間撹拌し、濾過装置で過量の蒸留水で洗浄して排水が約pH7になるまで洗浄した。最後に、炭素の不純物除去のためにエタノールと蒸留水を1:1で混ぜた溶液で撹拌した後、濾過装置を用いてろ過し、80℃に保たれた乾燥器で1時間放置後150℃で10-1torrの真空度を維持する真空乾燥器で12時間熱処理した。
前処理工程、酸化処理工程及び洗浄と熱処理還元工程が完了された炭素粉末のX線回折測定による黒鉛類似の微結晶粒の層間距離は0.38nmを示した。この活性炭素粉末を用いて製造した電極密度は0.90g/mlであり、この電極を用いて製造した電気二重層キャパシタの0〜3Vにおける質量及び体積当り静電容量はそれぞれ36.2F/g及び30.2F/mlを示した。1kHzにおけるAC抵抗は0.45Ωを示した。
【比較例1】
【0070】
前記実施例において前処理工程だけを行なって材料特性実験を行なった。すなわち、易黒鉛化炭素として石炭系ニードルコークスを用い、このニードルコークスをアルゴン(Ar)ガス雰囲気中750℃で4時間熱処理した。前処理済み易黒鉛化炭素のX線回折測定により黒鉛類似の微結晶粒の格子面002に対応する層の層間距離(d002)は0.346nmを示した。この炭素粉末を用いて製造した電極密度は1.21g/mlであり、この電極を用いて製造した電気二重層キャパシタの0〜3Vでの質量及び体積当り静電容量はそれぞれ4.9F/g及び4.7F/mlを示した。1kHzにおけるAC抵抗は0.6Ωを示した。
【比較例2】
【0071】
易黒鉛化炭素としての石炭系ニードルコークスを用いて前処理工程、アルカリ活性化工程、洗浄装置及び還元処理工程を経て電極活物質用炭素を製造した。
前処理工程として易黒鉛化炭素をArガス雰囲気中750℃で4時間熱処理を施し、アルカリ活性化工程として前処理済み炭素粉末10gをNi容器にKOH40gと共に装入した後Arガス雰囲気中800℃で2時間活性化させた。活性化過程において炭素粉末内部に混入された不純物を除去するため、洗浄装置では過量の蒸留水と共に500mlのビーカに装入して24時間撹拌した後ろ過装置で過量の蒸留水を流して排水のpHが約7になるまで洗浄し80℃に保たれた乾燥器で1時間乾燥した。還元処理工程では乾燥された炭素粉末を水素ガス雰囲気中750℃で2時間熱処理した。
前処理工程、アルカリ活性化工程、洗浄装置及び還元処理工程が完了された炭素粉末のX線回折測定による黒鉛類似の微結晶粒の層間距離(d002)は0.360nmを示した。この炭素粉末を用いて製造した電極密度は1.06g/mlであり、この電極を用いて製造した電気二重層キャパシタを0〜4Vの充放電を3回施した後0〜3Vにおける質量及び体積当り静電容量はそれぞれ30.1F/g及び26.4F/mlを示した。1kHzにおけるAC抵抗は2.05Ωを示した。
【比較例3】
【0072】
既存の比表面積を用いる活性炭素としてRP20(Kuraray chemical Co.比表面積:1980m2/g)を用いて電極及び電気二重層キャパシタを製造した。電極製造工程は電極製造方法に記述した通りであり、電極は活性炭素のポア内部の水分を十分に除去するため、150℃で10-1torrの真空度を保つ真空乾燥器で12時間乾燥させた。
活性炭素粉末のX線回折測定によるd002に該当する回折ピークは確認されなかった。この活性炭素粉末を用いて製造した電極密度は0.56g/mlであり、この電極を用いて製造した電気二重層キャパシタの0〜3Vにおける質量及び体積当り静電容量はそれぞれ34.6F/g及び16.2F/mlを示した。1kHzにおけるAC抵抗は0.90Ωを示した。
【実験例】
【0073】
前記実施例及び比較例における各特性の測定方法と電極及び電気二重層キャパシタの製造方法は次の通りである。
【0074】
(a)格子面の層間距離
炭素層の層間距離(d)はX線回折法によって測定した回折ピークから計算した。グラファイトモノクロメータにより単色化したCu Kα(λ=0.15418nm)線を用いてX線回折ピークを求め、次のブラッグの法則により計算した。
d=λ/(2sinθ) … (1)
【0075】
(b)電極の製造
10〜100μm範囲に分級された炭素粉末80質量比にカーボンブラック10質量比、PTFE10質量比を添加して混合、混練して厚さ1mmのシートをロールプレスで縦軸と横軸を繰り返して約15回の圧延を経て厚さ150μmのシート状の炭素電極を製造した。
【0076】
(c)電極密度
炭素電極を150℃で0.1torrの真空状態で12時間真空乾燥させた後、電極質量を電極外形の体積で割った値を密度で計算した。
【0077】
(d)電気二重層キャパシタ製造
シート状の炭素電極を集電体であるエッチングアルミニウムホイールに導電性接着剤を通じて取付け、150℃の表面温度を保つロールプレスを通じて結着力を向上させた。電極は2×2cm2で截断し、電極が付着されていない集電体の一端面は長手方向に長く截断して端子として活用した。炭素電極、隔離膜(Celgard 3501)及び3面が密閉されたラミネートポリマーポーチ(pouch)を用いて「集電体A/炭素電極A/隔離膜/炭素電極B/集電体B」の順に積み重ねた後ポリマーポーチに入れて、真空減加圧の可能な電解液注入器でAcNに1.2MのEt4NBF4が溶解された電解液を含浸し真空パックした。ポリマーポーチには過電圧の印加電圧で発生し得るガスを別に分離除去できる空間を予め確保した。
【0078】
(e)静電容量の測定
電気二重層キャパシタの静電容量は充放電試験機(MACCOR、モデル名MC−4)において静電流法で充電と放電を行なった。駆動電圧は0〜3Vあるいは0〜3.5Vの電圧において、印加電流密度は2mA/cm2の条件下で測定した。電気二重層キャパシタの静電容量は3番目の静電流放電における時間−電圧曲線で次の式により計算した。
C (静電容量、F) =dt・i/dV … (2)
活性炭素質量当たり静電容量(F/g)と電極体積当り静電容量(F/ml)は前記(2)式で計算した静電容量を両側電極内の活物質炭素の質量と電極の体積で割った値を示す。
【0079】
(f)AC抵抗測定
電気二重層キャパシタの内部抵抗は3番目の静電流放電後インピーダンス分析器(Zahner IM6)を用いて測定した。内部抵抗挙動は100kHz〜2.5mHzの周波数範囲で行ない、本発明において実施例及び比較例で明記した数値は1kHzにおけるAC抵抗値を示す。
前記実施例及び比較例に対する前記実験結果を表1に示した。
【0080】
【表1】

【0081】
前記表に示したように、本発明で開発した易黒鉛化炭素を用いて前処理工程、酸化処理工程及び洗浄と熱処理による還元工程を通じて製造した実施例の炭素粉末の格子面層間距離(0.380nm)は同一炭素原料を用いて前処理工程だけを実施した比較例1の炭素粉末の格子面層間距離(0.346nm)より飛躍的に拡大されたものであることが分かり、この結果から炭素粉末の格子面層間距離は酸化及び還元処理工程で拡大されたと理解できる。また、実施例における電気二重層キャパシタの体積当り静電容量(F/ml)が増加したことは黒鉛類似の微結晶粒の層間距離拡大による炭素層間に形成された微細空孔が電解質イオンによる電気二重層形成界面として働くことと考えられる。
【0082】
また、実施例における黒鉛類似の微結晶粒の格子面層間距離(0.380nm)は比較例2の同一炭素原料を使ってアルカリ活性化処理した炭素粉末の黒鉛類似の微結晶粒の層間距離(0.360nm)より大きく、実施例における電気二重層キャパシタの特性は比較例2の電気二重層キャパシタより特性に優れることが分かる。これは、黒鉛類似の微結晶粒の層間距離の増加による微細空孔への電解質イオンの出入りによる抵抗が低いことと、電解質イオンの反復出入りによる炭素粉末の収縮、膨張現象が少ないことに起因したことと考察することができる。
【0083】
一方、実施例における電気二重層キャパシタの電極体積当り静電容量は比較例3の比表面積系活性炭素を用いた電気二重層キャパシタより約2倍多いことが分かり、実施例における電気二重層キャパシタの抵抗も比較例3の比表面積系活性炭素を用いた電気二重層キャパシタに比べて低いことが分かる。
【0084】
以上の結果から、本発明を通じて製造された活性炭素の格子面層間距離は限られないが、0.34〜0.5nmの優れた特性を示し、これを用いた電気二重層キャパシタの体積当り容量(F/ml)は高容量を発現し、電極の膨張抑制による耐久性の改善と電気二重層キャパシタの内部抵抗を減少させて出力特性を向上させることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素物を熱処理して前処理する段階と、
前記前処理された炭素物を酸化剤で酸化させる段階とを含んでなるエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法。
【請求項2】
前記酸化された炭素物を洗浄する段階をさらに含んでなることを特徴とする請求項1に記載のエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法。
【請求項3】
前記酸化された炭素物を熱処理して還元させる段階をさらに含んでなることを特徴とする請求項1に記載のエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法。
【請求項4】
前記炭素物は易黒鉛化炭素であるか、易黒鉛化炭素を含んでなることを特徴とする請求項1に記載のエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法。
【請求項5】
前記易黒鉛化炭素は、塩化ビニル系樹脂,ポリアクリロニトリルなどの脂肪族系高分子化合物,メゾフェースピッチ,ポリイミドなどの芳香族系高分子化合物,石炭系ピッチ,石油コークス,石炭コークス,メゾカーボンマイクロビーズ,メゾフェースピッチ放射性繊維よりなる群から一種以上選ばれたものであることを特徴とする請求項4に記載のエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法。
【請求項6】
前記前処理する段階は、不活性ガス雰囲気中、300〜2000℃の温度範囲で2〜24時間熱処理することを特徴とする請求項1に記載のエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法。
【請求項7】
前記酸化させる段階は、炭素物を酸化剤を含む混合溶液内で酸化させることを特徴とする請求項1に記載のエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法。
【請求項8】
前記酸化剤は、HNO3,H2SO4,H3PO4,H427,H3AsO4,HF,H2SeO4,HClO4,CF3COOH,BF3(CH3COOH)2,HSO3F,H5IO6,KMnO4,NaNO3,KClO3,NaClO3,NH4ClO3,AgClO3,HClO3,NaClO4,NH4ClO4,CrO3,(NH4)228,PbO2,MnO2,As25,Na22,H22,N25,C25OH及びCH3OHよりなる群から一つ以上選ばれたものであることを特徴とする請求項1に記載のエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法。
【請求項9】
前記酸化させる段階は、前記炭素物1質量部に対して前記酸化剤を0.5〜10質量部添加することを特徴とする請求項1に記載のエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法。
【請求項10】
前記酸化させる段階は、0〜100℃で行なうことを特徴とする請求項1に記載のエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法。
【請求項11】
前記酸化された炭素物を熱処理して還元させる段階は、10-1torr以上の高真空と、不活性または還元性ガス雰囲気下100〜1000℃の温度で0.1〜100時間熱処理することを特徴とする請求項3に記載のエネルギ貯蔵装置の電極活物質の製造方法。
【請求項12】
炭素物を熱処理した後、酸化させ製造される活物質であって、
黒鉛類似微結晶粒の全部または一部の層間距離が0.5〜2.1nm範囲内であることを特徴とするエネルギ貯蔵装置の電極活物質。
【請求項13】
炭素物を熱処理し酸化剤で酸化させてから熱処理して還元させて製造される活物質であって、
黒鉛類似微結晶粒の層間距離が0.34〜0.5nm範囲内であることを特徴とするエネルギ貯蔵装置の電極活物質。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載された活物質、導電剤、バインダー及び集電体を含んでなり、電極密度が0.7〜1.1g/mlであることを特徴とするエネルギ貯蔵装置の電極。
【請求項15】
3.0V電圧印加による電極膨張率が25%以下であり、電極体積当り静電容量が25F/ml以上であることを特徴とする請求項14に記載のエネルギ貯蔵装置の電極。
【請求項16】
前記活物質、導電剤及びバインダーの総100質量部に対して前記活物質が80ないし95質量部含んでなることを特徴とする請求項14に記載のエネルギ貯蔵装置の電極。
【請求項17】
陰極、陽極及び電解液を備え、前記陰極及び陽極のうち少なくとも一つは請求項1ないし10のいずれか1項の製造方法で製造された電極活物質を含んでなるエネルギ貯蔵装置。
【請求項18】
前記陰極及び陽極のうち少なくとも一つは電極密度が0.7〜1.1g/mlであることを特徴とする請求項17に記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項19】
前記電解液は、4級アンモニウム塩,4級イミダゾリウム塩,4級ピリジニウム塩及び4級フォスフォニウム塩で構成される群から選ばれた少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項17に記載のエネルギ貯蔵装置。
【請求項20】
前記陽極及び陰極のうち少なくとも一つは3.0V電圧印加による電極膨張率が25%以下であり、電極体積当り静電容量が25F/ml以上であることを特徴とする請求項17に記載のエネルギ貯蔵装置。

【公開番号】特開2007−227886(P2007−227886A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322877(P2006−322877)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(502379365)コリア エレクトロテクノロジ リサーチ インスティテュート (1)
【Fターム(参考)】