説明

高屈折率を持つ有機・無機ハイブリッドポリマー塗膜

金属酸化物フィルムあるいは塗膜を形成する新規性のある配合物とその配合物を用いる方法を提供する。
配合物は有機金属オリゴマーおよび溶剤系に分散ないし溶解した有機ポリマーを含む。配合物は保管寿命が長く容易で信頼性のある調合手順で調合できる。配合物を硬化することにより、配合物を有機ポリマーやオリゴマーと相互分散した金属酸化物フィルムに転換できる。硬化したフィルムは約1μmを超える厚さで、高屈折率、光学的に高い透明性、および優れた機械的安定性を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は2003年1月21日出願の「高屈折率を持つ有機・無機ハイブリッドポリマー塗膜」と題する仮出願明細書第60/441693号による優先権の利益を主張し、本願に引用して本明細書とする。
【0002】
本発明は高屈折率を持つ金属酸化物フィルムに形成することができる新規性のある配合物に関する。本配合物はフラットパネルディスプレー、光学センサー、集積光学回路、および発光ダイオードなど、半導体デバイスを形成するのに有用である。
【背景技術】
【0003】
フラットパネルディスプレー、光学センサー、集積光学(フォトニック)回路、および発光ダイオード(LED)など半導体デバイスを含む多くの半導体デバイスの特性は、デバイス構造の発光あるいは感光部に透明で高屈折率塗膜を施すことにより改善することが可能である。有機ポリマー塗膜は、これらデバイスに用いた場合には塗布が容易で低温で施工でき、優れた表面接着性を含む丈夫な機械特性を提供する。しかしながら、可視波長域で1.65より大きな屈折率を持つ有機ポリマーは少なく、1.70以上の屈折率を持つものはさらに少ない。これら高い屈折率を有するポリマーでも一般に臭素、ヨウ素、あるいは硫黄など極性の大きな原子を高濃度に含むため、熱および化学的安定性が制約される。
【0004】
一方、ある種の金属酸化物は、最も知られているのはチタンとジルコニウムのそれであるが、薄膜として用いられた場合に特に優れた光学的透明性を持ち、可視波長域で2.0以上の屈折率を呈する。遺憾ながらこれらは、気化あるいはスパッタリングの様な高価で効率の悪い方法で蒸着しなければならず、そしてこのようにしても、デバイスメーカーはしばしば厚みで数ミクロンから数十ミクロンのフィルムを求めているのに薄いフィルム(厚み1μm未満)にしか塗布できない。さらに、蒸着した金属酸化物被覆は脆く、デバイス表面にしっかり接着するためには高温の焼きなましが必要で、これはデバイスの動作を低下させる可能性がある。
【0005】
溶液から高屈折率金属酸化被膜を堆積させるのに、よく知られたゾル・ゲル塗膜法が使われてきた。しかしながら、被膜は脆く、割れやすい傾向にあり、長時間の複雑な硬化過程を必要とする。ゾル・ゲル塗膜溶液はまたポットライフに限界がありこれがこの方法を商業規模で実施するのを困難にしている。つい最近、ゾル・ゲル手法は従来からあるポリマー化学と組み合わされて無機・有機ハイブリッド塗膜が調合され、金属酸化物相は金属アルコキシドの加水分解と縮合によりその場で形成され、有機ポリマー相と化学的に結合してより強靱で耐久性のある材料ができる。遺憾ながら、これらはゾル・ゲル配合物に関わるポットライフが問題となるため二酸化ケイ素結合に最も傾注する傾向があり、これは高屈折率を進展させない。
【0006】
またポリマー担体にナノ寸法(直径1〜50nm)の金属酸化物粒子を分散して透明なフィルム配合を作ることにより無機・有機ハイブリッド塗膜を調合することも行われた。しかし、これら配合物の屈折率は非常に高い(80%)金属酸化物を装填しない限りおよそ1.55から1.70の範囲に限定される。さらに塗膜を準備するのに、粒子の合成と精製、表面処理、そして分散を含む多くのステップを、しばしば通常ではない環境下で必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、従来技術の欠点に鑑み、可視および近赤外線波長域(約400〜1700nm)で屈折率が約1.7、好ましくは約1.75より大きく、容易で信頼性の高い前処理とともに高い光学的透明性、長期保管寿命、および1ミクロンを超えるフィルム厚みにおける良好な機械的安定性を持つ塗膜が必要となっている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明は光学デバイス用途に用いる新規性のある塗膜配合を広く提供することによりこの必要性を満たす。
【0009】
より詳細には、配合物は有機金属オリゴマーおよび溶剤系に分散ないし溶解した有機ポリマーないしオリゴマーを含む。有機金属オリゴマーは直鎖でも分岐鎖でもよく、熱分解して高屈折率の金属酸化物となる。好ましい有機金属オリゴマーは次の構造を持つモノマーを含む。



ここで:
nは2より大きく、3〜10であることがより好ましい;
それぞれの M はシリコンの他は周期律表の3〜5族および13〜15族の金属で
(4族がより好ましく、チタンまたはジルコニウムがさらにより好ましい)、
結合原子価が+2より大きいものからなる群から個別に選択され;そして
それぞれの Rは M と共有結合ないし配位共有結合している有機部分である。
【0010】
好ましい R基は、アルコキシ基(C1〜C12が好ましく、C1〜C8がより好ましい)、アルキロキシアルコキシ基(C1〜C12が好ましく、C1〜C8がより好ましい)、ベータ-ジケトン基、ベータ-ジケトネート基、およびアルカノールアミン基からなる群から選択されるような -CH2-O-M 結合(ここで M は上で論じた金属原子)を形成するものを含む。
【0011】
別の実施形態においては、好ましいR基は下記を含む群から選択された化学式をふくむ。



ここで:
* は M との共有結合ないし配位共有結合を表し;そして
それぞれの R2 は、アルキル基(C1〜C12が好ましく、C1〜C8がさらに好ましく、
そしてメチルとエチルが最も好ましい)、ハロアルキル基(C1〜C12が好ましく
、C1〜C8がより好ましい;フルオロアルキル基が好ましいが、トリフルオロメ
チルが最も好ましい)、および-OR3 からなる群から個別に選択されR3 は水
素、アルキル基(C1〜C12が好ましく、C1〜C8がより好ましい)、アリール基
(C6〜C18が好ましく、C6〜C12がより好ましい)、アルキルアリール基(アル
キル部分にはC1〜C12が好ましく、C1〜C8がさらに好ましく、アリール部分に
はC6〜C18が好ましく、C6〜C12がより好ましい)からなる群から選択される;
そして



ここで:
* は M との共有結合ないし配位共有結合を表し;
4 は水素、アルキル基(C1〜C12が好ましく、C1〜C8がより好ましい)、ヒドロキ
シアルキル基(C1〜C12が好ましく、C1〜C8がより好ましい)、アリール基(
C6〜C18が好ましく、C6〜C12がより好ましい)、およびアルキルアリール基(
アルキル部分にはC1〜C12が好ましく、C1〜C8がさらに好ましく、アリール部
分にはC6〜C18が好ましく、C6〜C12がより好ましい)からなる群から個別に選
択され、少なくともR4 の1つは水素、アルキル基(C1〜C12が好ましく、C1
C8がより好ましい)、ヒドロキシアルキル基(C1〜C12が好ましく、C1〜C8
より好ましい)からなる群から選択される;そして
5 は水素およびメチルからなる群から選択される。
【0012】
1 が構造(II)の場合、特に好ましい R4 の群は 2-ヒドロキシエチルおよび 2-ヒドロキシプロピルを含む。このような場合、R4 の群は随意的に同じあるいは異なる金属原子と配位共有結合を形成してもよい。
【0013】
有機金属オリゴマーは配合物全体の質量を100%とした基準で、配合物中に質量で少なくとも約15%レベルで存在することが望ましく、質量で15〜35%が好ましく、質量で24〜35%がより好ましい。
【0014】
有機ポリマーあるいはオリゴマーは分岐鎖でも直鎖でもよい。有機ポリマーよりむしろ有機オリゴマーが一般に使われるが、本発明は有機ポリマーまたはオリゴマーが有機金属オリゴマーと共有結合ないし配位共有結合を形成できる官能基(そしてこのような官能基3個が好ましい)を含む限り、この両方を含むことを意図する。
【0015】
この官能基は、それがここで論じた他の必要事項を満たす限り、有機ポリマーまたはオリゴマーの基幹内に存在することも、あるいはポリマーの基幹に(直接ないし連結基を介して)吊り下がった基として存在することもできる。
【0016】
有機ポリマーあるいはオリゴマー上の好ましい官能基として、-OH、-SH、およびキレート部分からなる群から選択されたものを含む。好ましいキレート部分として、以下のものからなる群から選択されたものを含む。



ここで:
mは1または2;
mが2の場合は、Xは0;
それぞれのR6 は水素およびメチル基からなる群から個別に選択される;そして
それぞれのR7 は水素およびアルキル基(C1〜C12が好ましく、C1〜C8がより好ま
しく、メチルがさらにより好ましい)からなる群から個別に選択される。
【0017】
特に好ましい有機ポリマーあるいはオリゴマーとして、スチレン-アリルアルコール-コポリマー{ポリ(スチレン-コ-アリルアルコール)}、ポリ(エチレングリコール)、グリセロールエトキシレート、ペンタエリスリトールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されたものを含む。有機ポリマーあるいはオリゴマーは、配合物全体の質量を100%とした基準で、配合物中に質量で少なくとも約3%レベルで存在することが望ましく、質量で約3〜35%が好ましく、質量で約3〜20%がより好ましい。最後に、有機ポリマーあるいはオリゴマーは望ましくは質量平均分子量が少なくとも約150g/モルあり、少なくとも約500g/モルあることが好ましく、約1500〜2500g/モルあることがより好ましい。
【0018】
適した溶剤系としては、アルコール類、グリコールエーテル類、芳香族溶剤類、ケトン類、エーテル類、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されたほとんどの有機溶剤を含む。特に好ましい溶剤は、エチルラクテート、エチレングリコールエーテル類、およびプロピレングリコールエーテル類(例えば 1-プロポキシ-2-プロパノール)である。溶剤系は配合物全体の質量を100%とした基準で、配合物中に質量で少なくとも約10%レベルで存在することが望ましく、質量で約10〜35%が好ましく、質量で約10〜28%がより好ましい。
【0019】
配合物は溶剤に可溶な他の成分を含むことで配合物からできる塗膜の光学あるいは物理特性を加減することができる。たとえば配合物は他の有機ポリマー類や樹脂類、染料や界面活性剤およびキレートエージェント(例えばアルカノールアミン類)の様な低分子量有機化合物(約500g/モル未満)、および金属アルコキシド類やアセチルアセトネート類のような非高分子金属キレートを含むことができる。
【0020】
配合物は有機金属オリゴマーおよび有機ポリマーないしオリゴマーを溶剤系に溶解/分散して調合される。これは同時にでも、二つの別個の容器で行い、次いで二つの分散物あるいは溶液を併せることで行うこともできる。同様の方法でどんな随意的な成分でも加えられる。配合物中の全固形物含有量は、配合物全体の質量を100%とした基準で、質量で約1〜50%まで変えることができ、質量で約10〜40%がより好ましい。
【0021】
配合物は基板上に塗膜層あるいはフィルムを形成する既存のどんな方法でも塗布される。適切な塗膜技術にはディップコーティング、ドローダウンコーティング、スプレーコーティングが含まれる。均一なフィルムを得る好ましい方法として、配合物を約500〜4000rpm(1000〜3000rpmが好ましい)の速度で、約30〜90秒の間、基板にスピンコートする方法がある。塗膜を施せる基板にはフラットパネルディスプレー、光学センサー、集積光学回路、および発光ダイオードが含まれる。
【0022】
塗布した塗膜は先ず、低温(例えば約130℃未満、好ましくは約60〜130℃、より好ましくは約100〜130℃)で約1〜10分焼き、注入溶剤を除去する。有機金属オリゴマーを金属酸化物/有機ポリマーのハイブリッドフィルムへの硬化ないし転換を達成するために、塗膜はそれから少なくとも約150℃、より好ましくは約150〜300℃で少なくとも約3分間(好ましくは少なくとも約5分間)焼かれる。硬化温度で5分間を超えて焼くことによりさらにわずかなフィルム厚みの減少とわずかな屈折率の増加をもたらす。
【0023】
別の実施形態においては、フィルムを少なくとも約300℃で約5〜10分間加熱することにより有機ポリマーないしオリゴマーを実質的にすべて(つまり質量で少なくとも約95%、好ましくは質量で少なくとも約99%)熱分解し、その結果非常に高い金属酸化物を含有する(質量で少なくとも約95%の金属酸化物)フィルムが形成される。高温焼き付けは上で論じた様にハイブリッド転換焼き付けの後でも、この焼き付け行程の代わりに行われてもよい。
【0024】
焼き付け工程はホットプレート式焼き付け装置上で行われるのが好ましいが、オーブン焼き付けを用いても同等の結果が得られる。最終硬化工程が急激な溶剤の放出および硬化副産物によりフィルムの品質が乱されることがない様に行われるなら、最初の乾燥焼きは必ずしも必要ではない。たとえば、低温で始まりゆっくり150〜300℃域まで上昇する傾斜焼き付けでも満足な結果が得られる。最終焼き付け温度の選定は主にそれが望む焼き付け速度による。5分未満の焼き付け時間を望むなら、最終焼き付けは200℃を、より好ましくは225℃を超える温度で行われるべきである。
【0025】
学説に拘るわけではないが、有機金属オリゴマーから金属酸化物への転換には塗膜中の水分および/または注入や硬化工程で大気から吸収した水分による加水分解を必要とすると信じられている。したがって硬化工程は金属酸化物へ完全に転換することを促進するために、水分の存在する大気中あるいは環境で行われることが望ましい。硬化工程はまた、塗膜を好ましくは波長約200〜400nmの、紫外線照射に曝すことにより助成される。暴露工程は熱硬化工程と別個にあるいは併せて施すことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明により整えられた硬化塗膜は最終厚みが1μmを超える場合でも優れた特性を持つ。たとえば、硬化塗膜ないしフィルムは、波長約633nmおよび厚みが約0.5μまたは約1μで、屈折率が少なくとも約1.65、より好ましくは少なくとも約1.70、さらにより好ましくは約1.75〜2.00ある。さらに、厚みが約0.5μまたは約1μある硬化塗膜ないしフィルムは、約633nmからの波長で少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは少なくとも約95%のパーセント透過率を持つ。最後に、硬化工程により金属酸化物含有量が硬化フィルムあるいは層の全体質量を100%とした基準で、質量で約25〜80%、より好ましくは質量で約25〜75%、そしてさらにより好ましくは質量で約35〜75%であるフィルムをもたらす。前述したそれぞれの特性は、一方で非常に優れた機械安定性(例えば200倍に拡大した顕微鏡で観察してもフィルムのひび割れが見えない)のフィルムを産出しながら達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下の実施例は本発明による好ましい方法について述べる。しかし当然ながら、これらの実施例は実例を示すためのものであり、その内容のいかなるものも発明全体の適用範囲を制約するものではない。
<実施例1〜6> ハイブリッド塗膜の準備と応用
1.塗膜の準備
【0028】
一連のハイブリッド塗膜を、先ずポリ(ジブチルチタネート)とエチルアセトアセテートを反応してベータ-ディクトネート-キレート有機金属オリゴマーを形成し、次いで溶液中のこの生成物と有機オリゴマーとしてのスチレン-アリルアルコール-コポリマーと異なる割合で合わせて調合した。
【0029】
この調合方法において、ポリ(ジブチルチタネート)108.00gを、次いでプロピレングリコールn-プロピルエーテル54.00gを計量して500ml密閉容器に入れた。内容物が透明になるまでかき混ぜ均質の溶液を得た。次に、2時間をかけてエチルアセトアセテート140.44gを滴下ロートを介して一定のかき混ぜを行いながら溶液に加えた。添加終了後内容物を一晩かき混ぜ、有機金属オリゴマー溶液を得た。
【0030】
次のステップで、スチレン‐アリルアルコール‐コポリマー(SAA101、分子量=2200g/mol)22.15gをプロピレングリコールn-プロピルエーテル22.15g中でかき混ぜて溶解し、有機オリゴマー溶液を得た。次いでこの有機オリゴマー溶液を異なる割合で有機金属オリゴマー溶液に加え、表1に示す量の材料を含むハイブリッド塗膜溶液を得た。できた混合物は澄んでいてゲル化物を含まず、これを4時間かき混ぜてから0.1μmテフロン(R)フィルターでろ過した。それぞれの塗膜液で整えた硬化フィルム製品の、有機オリゴマーに対する酸化チタンの理論質量比もまた表1に表す。
【0031】
【表1】


2.塗布および特性
【0032】
塗膜溶液を石英およびシリコン基板にスピンコーティングで塗布し、120秒間130℃ホットプレート上で軟焼き付けし、そして10分間225℃ホットプレート上で焼き付けして硬化した。一部の配合ではこのサイクルを繰り返し、フィルム厚みを増大した。得られたそれぞれのフィルムの厚さは偏光解析器(633nm光源)あるいは寸法測定装置(profilometry)で測定し、塗膜透過率(633nmの%透過で表現)は紫外・可視分光光度計で分散や反射損失の補正無しで測定した。それぞれの塗膜の屈折率は可変角走査偏光解析器(variable-angle scanning ellipsometer VASE)で判定した。結果を表2に纏めた。
【0033】
【表2】


<実施例7> ハイブリッド塗膜の屈折率に対する低硬化温度の影響
【0034】
上述の実施例5に対応する配合を用いたが、より低温で硬化して200℃以下の硬化条件でも匹敵する様な屈折率が得られることを示す。150℃硬化(1時間)および175℃硬化(1時間)は225℃(10分)で得られたものに匹敵したことは表3に見るとおりである。
【0035】
【表3】


<実施例8> 酢酸エステルキレート基を持つ変性スチレン‐アリルアルコール‐共重合体によるハイブリッド塗膜配合物の調合
【0036】
実施例4に類似したハイブリッド塗膜配合物を調合したが、今回はスチレン-アリルアルコール‐コポリマー{ポリ(スチレン-コ-アリルアルコール)}〔SAA101)を最初にt−ブチルアセトアセテートと反応させてポリマー上のアルコール基の一部をエステル化し、これにより有機金属オリゴマーとキレート結合を形成しうるアセト酢酸エステルのペンダント基を創り出した。
1.t-ブチルアセトアセテートによる SAA101 の変性
【0037】
本手順において、SAA101 粉末50gをトルエン275gが入った500mlの、蒸留部分、温度計および滴下ロートを装備した三つ口フラスコに投入した。SAA101 の溶解速度を増すためにかき混ぜながら溶液を50℃まで加熱した。溶解した直後、t-ブチルアセトアセテート14.38gを滴下ロートにより10分間をかけて溶液に加えた。添加終了後混合物を100℃まで加熱すると、直ちに副産物のt-ブチルアルコールの放出が認められた。内容物の温度を100℃に1時間余分に保ち完全に反応することを確実にし、この間t-ブチルアルコールをは反応混合物から連続的に除去した。反応混合物を室温まで放冷し、そしてトルエンを回転真空蒸留で除去した。残渣物をさらに真空オーブンで乾燥し、変性SAA101 製品52gを得た。
2.塗膜の処方
【0038】
この調合において、ポリ(ジブチルチタネート)7.00gを計量して60ml密閉容器に仕込み、次いでプロピレングリコールn-プロピルエーテル7.00gを加えた。内容物を室温で透明、均質溶液になるまでかき混ぜた。それからエチルアセトアセテート6.90gを手順1で調合した溶液に常にかき混ぜながらゆっくり加えた。添加終了後一晩かき混ぜながら放置した。変性SAA101(1.44g)を同量のプロピレングリコールn-プロピルエーテルに溶解し、手順2で調合した溶液に加えた。混合物を4時間かき混ぜ、0.1μmテフロン(R)フィルターでろ過した。表4の値は塗膜配合物を塗布し実施例1で述べた様に硬化して得た。
【0039】
【表4】


<実施例9> アセト酢酸エステルのペンダント官能基を有するアクリル共重合体から
ハイブリッド塗膜配合物の調合
【0040】
アセト酢酸エステルのペンダント官能基を有するアクリル共重合体をポリ(ジブチルチタネート)と組み合わせてハイブリッド塗膜溶液を形成した。
・ メチルメタクリレート/2-アセトアセトキシエチルメタクリレート共重合体の調合
【0041】
本手順において、メチルメタクリレート20g(0.198モル)、2-アセトアセトキシエチルメタクリレート22.30g(0.0989モル)、およびテトラヒドロフラン(THF)170gを250mlの、窒素導入口、コンデンサー、ガラス栓およびかき混ぜ棒の付いた三つ口フラスコに入れた。混合物をよく混合するまでかき混ぜた。次に、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)0.4gを加え、できた混合物を均質になるまでかき混ぜた。できた溶液を窒素流のもとで加熱し、24時間還流させた。反応後、無色、粘稠な液を得た。熱質量分析(TGA)によりこれが共重合体の固体40%を含むことを示した。
2.塗膜の処方
【0042】
上記共重合体の溶液約1gをガラス瓶に入れTHF2gを加えて希釈した。ガラス瓶にかき混ぜ棒を入れた。別のガラス瓶にポリ(ジブチルチタネート)1gを入れ、次いでTHF2gを加えて希釈した。希釈したポリ(ジブチルチタネート)を滴下する様にかき混ぜている共重合体溶液に加えた。溶液内がわずかに黄みを帯び、最終的にすべての有機チタネート溶液を加え終えた時には淡い黄色の溶液となった。塗膜混合物をポリプロピレンビーカーの底に注いで15分間風乾し、次いでさらに5分間高温吹きつけ乾燥することで支え無しで立つ厚いフィルムができた。それから塗膜をプラスチック表面から剥がした。フィルムは淡黄色を帯び、脆い手触りであった。
<実施例10> 紫外線使用によるハイブリッド塗膜配合物の硬化
【0043】
この実施例の目的は新しい配合に用いられた有機金属オリゴマーが最終の金属酸化物成分に変換することに、紫外線放射に暴露することがどのような影響を与えるかを実証することである。チタンの当量に対し2当量のエチルアセトアセテートを加えて形成したキレート化有機チタンポリマー製品を加えたエチルラクテートのポリ(ブチルチタネート)溶液を4枚のシリコンウェーハーに塗布した。塗布したウェーハーはホットプレート上で軟焼き付けを行いそれから205℃で60秒間硬焼き付けを行って有機チタンポリマーを部分的に硬化した。その時点における4枚のウェーハーのそれぞれの平均厚みは偏光解析法で測定し1266Åであった。ウェーハー3枚をそれから500W水銀−キセノンアーク灯の紫外線光にそれぞれ30、60、あるいは90秒間暴露し、その後それぞれのフィルム厚みを再測定した。結果を表5に列挙する。
【0044】
【表5】

【0045】
暴露時間が増加するにつれ連続的にフィルム厚みが減少していることは、硬化が進行し、揮発性副産物が熱を伴わない状態で塗膜から追い出されていることを示唆している。硬化が行われていることは、30秒間隔で試料に水溶性の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液の液滴を置くことでも確認できた。暴露していない塗膜は30秒未満で完全に食刻されてしまったが、一方暴露した塗膜は例え1から2分間エッチング液と接触していても食刻の跡は認められなかった。暴露した塗膜をエッチング液が溶解できなかったことはそれが未暴露の試料より硬化の程度が高いことの証拠である。
<実施例11>
1.塗膜の調合
【0046】
塗膜は先ず、ポリ(ジブチルチタネート)をエチルアセトアセテートと反応させてベータ-ジケトネート-キレート有機金属オリゴマーを形成し、それから溶液中のこの生成物を2つの異なる有機オリゴマーの内の1つと混ぜて調合した。
【0047】
この調合方法において、ポリ(ジブチルチタネート)を計量して500ml密閉容器に入れ、次いでプロピレングリコールn-プロピルエーテルを加えた。内容物を透明になるまでかき混ぜ、均質な溶液を得た。次に、2時間をかけて、滴下ロートを介してエチルアセトアセテートを常時かき混ぜられている溶液に加えた。添加終了後一晩かき混ぜながら放置し有機金属オリゴマー溶液を得た。
【0048】
次のステップでは、特定の有機オリゴマーを有機金属オリゴマー溶液に加え、表6に示す量の成分を含むハイブリッド塗膜液を生じさせる。透明でゲル化物など全くないできた混合物を4時間かき混ぜ、それから0.1μmテフロン(R)フィルターでろ過した。
【0049】
【表6】


2.塗布および特性
【0050】
塗膜溶液を石英およびシリコン基板にスピンコート法で塗布し、130℃のホットプレート上で120秒軟焼き付けし、225℃で10分焼き付けし、それから300℃で10分焼き付けして有機オリゴマーを熱分解し、このようにして非常に金属酸化物含有量の高いフィルムを得た。特性を表7に纏めた。
【0051】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイス構造体を形成するのに有用な配合物で、この配合物は以下のものを含む:
溶剤系;
前記溶剤系に溶解ないし分散した有機金属オリゴマーで、以下の化学式を持つ繰り
返しモノマーを含む前記有機金属オリゴマー



ここで:
n は2より大きい;
それぞれのM はシリコンを除く第3〜5族および第13〜15族の金属
で結合原子価が+2を超えるものからなる群から個別に選択される;
そして
それぞれのR1 は M と共有結合あるいは配位共有結合している有機部分
;および
有機ポリマーないしオリゴマーで、質量平均分子量が少なくとも約150g/モル
あり、前記有機金属オリゴマーと共有結合あるいは配位共有結合を形成する様に
作用できる官能基を含む有機ポリマーないしオリゴマー。
【請求項2】
M が第4族の金属からなる群から選択される、請求項1の配合物。
【請求項3】
M がチタンおよびジルコニウムからなる群から選択される、請求項1の配合物。
【請求項4】
n が3〜10である、請求項1の配合物。
【請求項5】
それぞれの R1 がアルコキシ基、アルキルオキシアルコキシ基、ベータ-ジケトネート基、およびアルカノールアミン基からなる群から選択される、請求項1の配合物。
【請求項6】
が下記からなる群から選択される化学式を持つ、請求項5の配合物。



ここで:
* は M との共有結合あるいは配位共有結合を現す;
それぞれの R2 はアルキル基、ハロアルキル基、および−OR3 からなる群
から個別に選択され、ここでR3 は水素、アルキル基、アリール基、およ
びアルキルアリール基からなる群から選択される;および



ここで:
* は M との共有結合あるいは配位共有結合を現す;
それぞれの R4 は水素、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、お
よびアルキルアリール基からなる群から個別に選択され、少なくとも1つの
4 は水素、アルキル基、およびヒドロキシアルキル基からなる群から選択
される;そして
5 は水素およびメチルからなる群から選択される。
【請求項7】
それぞれの R4 が 2-ヒドロキシエチルおよび 2-ヒドロキシプロピルからなる群から個別に選択される、請求項6の配合物。
【請求項8】
それぞれの R4 が少なくとも1つの金属原子と配位共有結合を形成する、請求項7の配合物。
【請求項9】
前記有機金属オリゴマーがエチルアセトアセテートと反応したポリ(ジブチルチタネート)を含む、請求項1の配合物。
【請求項10】
前記有機ポリマーあるいはオリゴマーがポリマー基幹(backbone)を持ち、前記官能基がこのポリマー基幹の一部を形成する、請求項1の配合物。
【請求項11】
前記有機ポリマーあるいはオリゴマーがポリマー基幹を持ち、前記官能基がこのポリマー基幹にペンダントの様に付いている、請求項1の配合物。
【請求項12】
前記官能基が前記ポリマー基幹と前記官能基の間の連結基を介して前記ポリマー基幹にペンダントの様に付いている、請求項11の配合物。
【請求項13】
前記官能基が −OH、−SH、およびキレート部分からなる群から選択される、請求項1の配合物。
【請求項14】
前記官能基が以下のものからなる群から選択されるキレート部分である、請求項13の配合物。



ここで;
m は1または2;
m が2の場合は、x は0;
それぞれの R6 は水素およびメチル基からなる群から個別に選択され;そして
それぞれの R7 は水素およびアルキル基からなる群から個別に選択される。
【請求項15】
前記有機ポリマーあるいはオリゴマーが、スチレン‐アリルアルコール‐コポリマー、ポリ(エチレングリコール)、グリセロールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1の配合物。
【請求項16】
前記配合物が、少なくとも約150℃まで、少なくとも3分間加熱でき、フィルム厚み約0.5μmで波長約633nmにおいて少なくとも約1.65の屈折率を持つ金属酸化物フィルムを得られる、請求項1の配合物。
【請求項17】
前記配合物が、少なくとも約150℃まで、少なくとも3分間加熱でき、フィルム厚み約0.5μmで波長約633nmにおいて少なくとも約80%のパーセント透過率を持つ金属酸化物フィルムを得られる、請求項1の配合物。
【請求項18】
前記配合物が、少なくとも約150℃まで、少なくとも3分間加熱でき、金属酸化物フィルム全体の質量を100%とした基準で、金属酸化物の含量が質量で約25〜80%である金属酸化物フィルムを得られる、請求項1の配合物。
【請求項19】
以下のものの組み合わせ:
表面のある基板;および
前記基板表面にある配合物の層で、この配合物がつぎのものをふくむ:
溶剤系;
前記溶剤系に溶解ないし分散した有機金属オリゴマーで、以下の化学式を持つ繰
り返しモノマーを含む前記有機金属オリゴマー



ここで:
n は2より大きい;
それぞれのMはシリコンを除く第3〜5族および第13〜15族の金
属で結合原子価が+2を超えるものからなる群から個別に選択され
る;そして
それぞれのR1 は M と共有結合あるいは配位共有結合している有機
部分;および
有機ポリマーないしオリゴマーで、質量平均分子量が少なくとも約150g/モ
ルあり、前記有機金属オリゴマーと共有結合あるいは配位共有結合を形成で
きる官能基を含む有機ポリマーないしオリゴマー。
【請求項20】
M が第4族の金属からなる群から選択される、請求項19の組み合わせ。
【請求項21】
M がチタンおよびジルコニウムからなる群から選択される、請求項19の組み合わせ。
【請求項22】
n が3〜10である、請求項19の組み合わせ。
【請求項23】
それぞれの R1 がアルコキシ基、アルキルオキシアルコキシ基、ベータ-ジケトン基、ベータ-ジケトネート基、およびアルカノールアミン基からなる群から選択される、請求項19の組み合わせ。
【請求項24】
1 が下記からなる群から選択される化学式を持つ、請求項23の組み合わせ。



ここで:
* は M との共有結合あるいは配位共有結合を現す;
それぞれの R2 はアルキル基、ハロアルキル基、および−OR3 からなる群
から個別に選択され、ここでR3は水素、アルキル基、アリール基、お
よびアルキルアリール基からなる群から選択される;および



ここで:
* は M との共有結合あるいは配位共有結合を現す;
それぞれの R4 は水素、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、お
よびアルキルアリール基からなる群から個別に選択され、少なくとも1つの
4 は水素、アルキル基、およびヒドロキシアルキル基からなる群から選択
される;そして
5 は水素およびメチルからなる群から選択される。
【請求項25】
前記官能基が −OH、−SH、およびキレート部分からなる群から選択される、請求項19の組み合わせ。
【請求項26】
前記官能基が以下のものからなる群から選択されるキレート部分である、請求項25の組み合わせ。










ここで;
mは1または2;
mが2の場合は、x は0;
それぞれのR6 は水素およびメチル基からなる群から個別に選択され;そして
それぞれのR7 は水素およびアルキル基からなる群から個別に選択される。
【請求項27】
前記有機ポリマーあるいはオリゴマーが、スチレン-アリルアルコール‐コポリマー、ポリ(エチレングリコール)、グリセロールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項19の組み合わせ。
【請求項28】
前記層が、少なくとも約150℃まで少なくとも3分間加熱でき、フィルム厚み約0.5μmで波長約633nmにおいて少なくとも約1.65の屈折率を持つ金属酸化物フィルムを得られる、請求項19の組み合わせ。
【請求項29】
前記層が、少なくとも約150℃まで少なくとも3分間加熱でき、フィルム厚み約0.5μmで波長約633nmにおいて少なくとも約80%のパーセント透過率を持つ金属酸化物フィルムを得られる、請求項19の組み合わせ。
【請求項30】
前記層が、少なくとも約150℃まで少なくとも3分間加熱でき、金属酸化物フィルム全体の質量を100%とした基準で、金属酸化物の含量が質量で約25〜80%である金属酸化物フィルムを得られる、請求項19の組み合わせ。
【請求項31】
前記基板が、フラットパネルディスプレー、光学センサー、集積光学回路、および発光ダイオードからなる群から選択される、請求項19の組み合わせ。
【請求項32】
半導体デバイスの構造を形成する方法において、この方法は配合物を基板表面に塗布し、前記配合物の層を前記基板に形成するステップを含む方法で、前記配合物は次のものを含む:
溶剤系;
前記溶剤系に溶解ないし分散した有機金属オリゴマーで、以下の化学式を持つ繰り
返しモノマーを含む前記有機金属オリゴマー



ここで:
n は2より大きい;
それぞれの M はシリコンを除く第3〜5族および第13〜15族の金属で
結合原子価が+2を超えるものからなる群から個別に選択される;そして
それぞれの R1 は M と共有結合あるいは配位共有結合している有機部分
;および
有機ポリマーないしオリゴマーで質量平均分子量が少なくとも約150g/モルあり、
前記有機金属オリゴマーと共有結合あるいは配位共有結合を形成できる官能基を
含む有機ポリマーないしオリゴマー。
【請求項33】
M が第4族の金属からなる群から選択される、請求項32の方法。
【請求項34】
M がチタンおよびジルコニウムからなる群から選択される、請求項32の方法。
【請求項35】
n が3〜10である、請求項32の方法。
【請求項36】
それぞれの R1 がアルコキシ基、アルキロキシアルコキシ基、ベータ-ジケトン基、ベータ-ジケトネート基、およびアルカノールアミン基からなる群から選択される、請求項32の方法。
【請求項37】
1 が下記からなる群から選択される化学式を持つ、請求項36の方法。



ここで:
* は M との共有結合あるいは配位共有結合を現す;
それぞれの R2 はアルキル基、ハロアルキル基、および−OR3 からなる群
から個別に選択され、ここでR3 は水素、アルキル基、アリール基、お
よびアルキルアリール基からなる群から選択される;および



ここで:
* は M との共有結合あるいは配位共有結合を現す;
それぞれの R4 は水素、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、お
よびアリールアルキル基からなる群から個別に選択され、少なくとも1つの
4 は水素、アルキル基、およびヒドロキシアルキル基からなる群から選択
される;そして
5 は水素およびメチルからなる群から選択される。
【請求項38】
前記官能基が −OH、−SH、およびキレート部分からなる群から選択される、請求項32の方法。
【請求項39】
前記官能基が以下のものからなる群から選択されるキレート部分である、請求項38の方法。



ここで;
m は1または2;
m が2の場合は、x は0;
それぞれの R6 は水素およびメチル基からなる群から個別に選択され;そして
それぞれの R7 は水素およびアルキル基からなる群から個別に選択される。
【請求項40】
前記有機ポリマーあるいはオリゴマーが、スチレン‐アリルアルコール‐コポリマー、ポリ(エチレングリコール)、グリセロールエトキシレート、ペンタエリスリトールプロポキシレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項32の方法。
【請求項41】
前記基板がフラットパネルディスプレー、光学センサー、集積光学回路、および発光ダイオードからなる群から選択される、請求項32の方法。
【請求項42】
さらに前記配合物を少なくとも温度約150℃まで、少なくとも3分加熱して金属酸化物フィルムを得るステップを含む、請求項32の方法。
【請求項43】
前記金属酸化物フィルムが、フィルム厚み約0.5μmで波長約633nmにおいて少なくとも約1.65の屈折率を持つ、請求項42の方法。
【請求項44】
前記金属酸化物フィルムが、金属酸化物フィルム全体の質量を100%とした基準で、金属酸化物の含量が質量で約25〜80%である、請求項42の方法。
【請求項45】
前記金属酸化物フィルムの厚さが1μmを超え、200倍に拡大した顕微鏡で観察してフィルムのひび割れがない、請求項42の方法。
【請求項46】
さらに前記配合物を前記加熱ステップに先立ち予熱するステップを含み、前記配合物を約130℃未満まで約1〜10分加熱する前記予熱ステップを含む、請求項42の方法。
【請求項47】
前記金属酸化物フィルムが、フィルム厚み約0.5μmで波長約600nmにおいて少なくとも約80%のパーセント透過率を持つ、請求項42の方法。
【請求項48】
半導体デバイスの構造を形成する方法において、この方法が有機金属オリゴマーおよび有機ポリマーないしオリゴマーを溶剤系に溶解あるいは分散するステップを含む方法で、
前記有機金属オリゴマーは以下の化学式を持つ繰り返しモノマーを含む



ここで:
n は2より大きい;
それぞれのM はシリコンを除く第3〜5族および第13〜15族の金属
で結合原子価が+2を超えるものからなる群から個別に選択される;そ
して
それぞれのR1 は M と共有結合あるいは配位共有結合している有機部分
;および
前記有機ポリマーないしオリゴマーは前記有機金属オリゴマーと共有結合あるいは
配位共有結合を形成する様に作用できる官能基を含み、少なくとも約150g
/モルの質量平均分子量を持つ。
【請求項49】
前記溶解ないし分散ステップが、前記有機金属ポリマーおよび前記有機ポリマーあるいはオリゴマーを別個の溶剤系に溶解ないし分散して、有機金属ポリマー分散物および有機ポリマーあるいはオリゴマー分散物を得ることを含み、さらに前記有機金属ポリマー分散物と前記有機ポリマーあるいはオリゴマー分散物を合わせて配合物を得るステップを含む、請求項48の方法。
【請求項50】
前記溶解あるいは分散ステップが、前記有機金属ポリマーおよび前記有機ポリマーあるいはオリゴマーを同じ溶剤系で溶解あるいは分散することを含む、請求項48の方法。
【請求項51】
前記分散ないし溶解ステップに先だってさらに金属酸化物前駆物質をキレート化剤と反応させて前記有機金属オリゴマーを形成するステップを含む、請求項48の方法。

【公表番号】特表2007−521355(P2007−521355A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501060(P2006−501060)
【出願日】平成16年1月16日(2004.1.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/001480
【国際公開番号】WO2004/065428
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(500499508)ブルーワー サイエンス アイ エヌ シー. (45)
【Fターム(参考)】