高度プロセス制御システム及び信頼指数を有する仮想測定による方法
【課題】R2RモデルでのVMのデータ品質を効果的に考量でき、R2R制御及び測定遅延のVMフィードバックループでの信頼度を考量できない問題を克服し、且つ、APC効能を向上させる方法を提供する。
【解決手段】APCシステムは、工程ツール100と、測定ツール110と、仮想測定(VM)モジュール120と、信頼指数(RI)モジュール122と、R2Rコントローラ130とを備える。工程ツールに使用される、複数の履歴ワークを処理するための複数組の履歴工程データを取得し、測定ツールによって履歴ワークの複数の履歴測定データを取得する。複数組の履歴工程データ及び履歴測定値を用いることによって、推定アルゴリズムに基づいて推定モデルを構築し、複数組の履歴工程データとそれらに対応する複数組の履歴測定値を用いて、参照モデルを構築する。R2Rコントローラは工程ツールを制御して、工程ランを実行させる他のステップを実行する。
【解決手段】APCシステムは、工程ツール100と、測定ツール110と、仮想測定(VM)モジュール120と、信頼指数(RI)モジュール122と、R2Rコントローラ130とを備える。工程ツールに使用される、複数の履歴ワークを処理するための複数組の履歴工程データを取得し、測定ツールによって履歴ワークの複数の履歴測定データを取得する。複数組の履歴工程データ及び履歴測定値を用いることによって、推定アルゴリズムに基づいて推定モデルを構築し、複数組の履歴工程データとそれらに対応する複数組の履歴測定値を用いて、参照モデルを構築する。R2Rコントローラは工程ツールを制御して、工程ランを実行させる他のステップを実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高度プロセス制御(advanced process control:APC)システム及びAPC方法に関し、特に、APCシステム及び信頼指数(reliance index:RI)を有する仮想測定(Virtual Metrology:VM)によるAPC方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ランツーラン(Run−to−run:R2R)の高度プロセス制御(Advanced Process Control:APC)は、工程能力を改善するために、半導体及び薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(Thin film transistor−liquid crystal display)の生産現場において広く利用されている。SEMI E133などの規格で定義されているように、R2Rの制御は、レシピパラメータを修正するかラン間で制御パラメータを選択することによりプロセス性能を改善する技術である。この(工程)ランとは、バッチ(Batch)、ロット(Lot)または個別のワークでもよく、このランがロットである場合に、R2R APCは、ロットツーロット(lot−to−lot:L2L)APCになり、ランがワークである場合に、このR2R APCは、ワークツーワーク(workpiece−to−workpiece:W2W)APCになる。このワークは、半導体産業のウエハまたはTFT−LCD産業のガラスでもよい。現在、L2L APCは、先進的な技術の処理に広く施されている。L2Lの制御を利用する際、フィードバックおよびフィードフォワード制御のために、ロットの中に一つだけのワークを測定すればいい。しかし、この素子サイズをさらに縮小させることを伴って、さらに厳格な工程制御を使用することが必要になる。このような状況では、L2Lの制御での精度が足りないので、限界状態(critical stages)に対してW2Wの制御が必要となる。そのため、ロット中のそれぞれのワーク全てを測定する必要がある。ロット中の各ワークを測定するために、大量の測定ツールを使用しなければならず、生産周期時間が大幅に増大することがあった。この他、ワークを実際に測定する際に、測定に遅延が発生することが避けられずに、この測定遅延により複雑な制御問題が引き起こされることがあっただけではなく、APC機能も低下させた。
【0003】
前記のような問題を解決するために、仮想測定(VM)を提案した。仮想測定は、推定モデルにより、それぞれのワークの工程の状態に関するデータを使用する測定変数を予測する技術である。VM測定モデルが十分に新規且つ精確であれば、ワークの完備なツール工程データを収集してからの数秒間内に、VM値を発生することができる。そのため、このVM値は、リアルタイムのW2W制御に応用できる。
【0004】
図1を参照すれば、図1は、2008年8月の半導体製造電気電子技術者協会(Institute of Electrical and Electronics Engineers:IEEE)会報の第21巻の第3号の413−425ページで発表されてM.−F.Wu、C.−H.Lin、D.S.−H.Wong、S.−S.Jang及びS.−T.Tsengに書かれる「Performance Analysis of EWMA(Exponentially Weighted Moving Average) Controllers Subject to Metrology Delay」という論文に開示された指数加重移動平均(Exponentially Weighted Moving Average:EWMA)R2Rの制御の従来のモデルを示す模式ブロック図である。線形入力・出力関係を有する工程モデルを考えてみる。
【0005】
【0006】
工程予測モデルAukを与え、Aは、システムに対して予算する利得パラメータ(例えば、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)の取り下ろし率)であり、その初期値は、実際のツール/レシピ性能から得られる。
【0007】
指数加重移動平均(Exponentially Weighted Moving Average:EWMA)フィルターによると、(k+1)個目の工程ランのモデルのオフセット又は外乱は、
と予測できる。ここで、αは、0〜1の範囲内のEWMA係数である。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
Khanたちは、α2>α1(一般には、仮想測定データの相対的品質によって決まる)ということを指摘した。現在、VM実行でのコントローラ利得問題の重点は、α2を如何に設定することにあり、その内、α2がVMの品質又は信頼性及びα2<α1によって決まることは、経験則である。Khanたちは、2つのVM品質メトリクスを提出して、VM品質をR2Rコントローラ40のコントローラ利得に加えることを考えた。
【0013】
【0014】
しかしながら、以上提出された2種類のメトリクスは、以下の不利点がある。
【0015】
【0016】
結果として、数式(6)及び数式(7)のようにデータ品質メトリクスをR2Rモデルに組み合わせることが容易でないかもしれない。そのため、R2RコントローラでのVMのデータ品質を効果的に考量するために、信頼指数(RI)及び全体類似指数(global similarity indeX:GSI)を有するVMによるAPCシステム及びAPC方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、R2RコントローラでのVMのデータ品質を効果的に考量するAPCシステム及びAPC方法を提供することによって、R2R制御及び測定遅延のVMフィードバックループでの信頼度を考量できない問題を克服し、且つ、APC機能を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一態様によると、APCシステムは、工程ツールと、測定ツールと、仮想測定(VM)モジュールと、信頼指数(RI)モジュールと、ランツーラン(R2R)コントローラとを備える。工程ツールは、複数組の履歴工程データによって複数の履歴ワークを処理し、複数組の工程データによって複数のワークに対して複数の工程ランを実行することに用いられる。前記測定ツールは、履歴ワーク及び前記ワークから選ばれる複数のサンプリングワークを測定して、履歴ワークの複数の履歴測定データ及び工程ランにおいて処理されたサンプリングワークの複数の実測値を提供する。前記仮想測定モジュールは、複数組の工程データを推定モデルに入力することによって、工程ランの複数の仮想測定値を提供することに用いられ、そのうち、前記推定モデルは、複数組の履歴工程データ及び履歴測定値を用いることによって、推定アルゴリズムに基づいて構築され、履歴測定値は、複数組の履歴工程データによってそれぞれ製造される履歴ワークの測定値である。RIモジュールは、工程ランの各信頼指数(RI)を生成することに用いられ、そのうち、工程ランに対応する前記信頼指数(RI)のいずれも、ワークの仮想測定値の統計分布とワークの参照予測値の統計分布との間のオーバーラップ領域を計算することによって生成され、工程ランの参照予測値は、1組の工程データを参照モデルに入力することによって生成され、前記参照モデルは、複数組の履歴工程データとそれらに対応する複数組の履歴測定値を用いることによって、参照アルゴリズムによって構築され、且つ推定アルゴリズムは、参照アルゴリズムと異なり、前記オーバーラップ領域が大きくなるに従い前記信頼指数が高くなることは、信頼指数に対応する仮想測定値の信頼度が高いことを表す。R2Rコントローラは、以下の関係によって、工程ツールを制御して、工程ランを実行する。
【0019】
一実施例において、APCシステムは、複数組の工程データを統計距離モデルに入力することによって、工程ランの各全体類似指数(GSI)を生成するための全体類似指数(GSI)モジュールを更に備え、統計距離モデルは、複数組の履歴工程データを用いることによって、統計距離アルゴリズムに基づいて構築され、
GSIkは、k個目の工程ランの全体類似指数(GSI)を表し、GSITは、複数組の履歴工程データの最大の全体類似指数の2〜3倍によって定義されるGSI閾値を表す。
【0020】
本発明の他の態様によると、APC方法において、工程ツールに使用される、複数の履歴ワークを処理するための複数組の履歴工程データを取得するステップを実行する。測定ツールによって測定される履歴ワークの複数の履歴測定データを取得する他のステップを実行する。複数組の履歴工程データ及び履歴測定値を用いることによって、推定アルゴリズムに基づいて推定モデルを構築する他のステップを実行し、ここで、履歴測定値は、それぞれ複数組の履歴工程データによって製造される履歴ワークの測定値であり、且つ複数組の履歴工程データとそれらに対応する複数組の履歴測定値を用いることによって、参照アルゴリズムに基づいて参照モデルを構築し、ここで、推定アルゴリズムは、参照アルゴリズムと異なる。前記関係によって、ランツーラン(R2R)コントローラで工程ツールを制御して、工程ランを実行させる他のステップを実行する。
【0021】
一実施例において、APC方法は、複数組の履歴工程データを使って、統計距離アルゴリズムに基づいて、統計距離モデルを構築するステップと、下記関係によって、R2Rコントローラで工程ツールを制御して、工程ランを実行させるステップとを更に備える。
GSIkは、k個目の工程ランの全体類似指数(GSI)を表し、GSITは、複数組の履歴工程データの最大全体類似指数の2〜3倍によって定義されるGSI閾値を表す。
【0022】
本発明の他の態様によると、実行される時に前記APC方法を実行するコンピュータプログラム製品を提供する。
【発明の効果】
【0023】
そのため、本発明の実施例を応用すれば、R2RモデルでのVMのデータ品質を効果的に考量でき、R2R制御及び測定遅延のVMフィードバックループでの信頼度を考量できない問題を克服し、且つ、APC効能を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下の説明、添付の請求の範囲及び添付図面は、本発明の前記または他の特徴、態様及び長所をより分りやすくするためのものである。
【0025】
【図1】EWMA R2R制御の従来のモデルを示す模式ブロック図である。
【図2】従来のW2W制御を示す模式ブロック図である。
【図3A】本発明の実施例によるW2W APCシステムを示す模式図である。
【図3B】本発明の実施例によるEWMAコントローラを示す模式図である。
【図4A】本発明の一実施例で使用される信頼指数(RI)を定義するための模式図である。
【図4B】本発明の実施例によって、RI閾値(RIT)を定義するための模式図である。
【図5】本発明の一実施例によるW2W APC方法を示す模式フローチャートである。
【図6A(1)】前の400個のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図6A(2)】前の400個のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図6B(1)】前の400個のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図6B(2)】前の400個のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図6C(1)】前の400個のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図6C(2)】前の400個のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図6D(1)】前の400個のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図6D(2)】前の400個のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図6E(1)】前の400個のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図6E(2)】前の400個のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図7】45〜55個目のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図8】344〜354個目のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例を詳しく説明し、その例は、添付図面に示される。可能な限り、図面及び解説で使用する同一な符号は、同一又は類似な部分を表す。
【0027】
図3Aを参照すれば、図3Aは、本発明の一実施例によるAPCシステムを示す模式図である。本実施例のAPCシステムは、工程ツール100と、測定ツール110と、仮想測定(VM)モジュール120と、信頼指数(RI)モジュール122と、全体類似指数(GSI)モジュール124と、ランツーラン(R2R)コントローラ130とを備える。工程ツール100は、複数組の履歴工程データによって複数の履歴ワークを処理し、複数組の工程データによって複数のワークに対して複数の工程ランを実行することができる。工程ランは、R2Rコントローラ130によって制御されるユニットであり、工程ランがロットである場合、R2Rコントローラ130は、ロットごとに工程ツール100を制御するL2Lコントローラであり、工程ランがワークである場合、R2Rコントローラ130は、ワークごとに工程ツール100を制御するW2Wコントローラである。大まかに言えば、1ロットには、複数のワーク(例えば、25個のワーク)を含み、L2Lコントローラは、1組の工程データによって、一つの工程ラン(ロット)を制御して、25個のワークを処理することを意味する。測定ツール110は、履歴ワーク及び当該ワークから選ばれる複数のサンプリングワークを測定して、履歴ワークの複数の履歴測定データ及び工程ランにおいて処理されたサンプリングワークの複数の実測値を提供することができる。
【0028】
VMモジュール120、RIモジュール122、GSIモジュール124に関しては、推定モデル、参照モデル、統計距離モデルを構築する必要がある。前記推定モデルは、複数組の履歴工程データ及び履歴測定値を用いることによって、推定アルゴリズムに基づいて構築され、ここで、前記履歴測定値は、それぞれ複数組の履歴工程データによって製造される履歴ワークの測定値であり、前記参照モデルは、複数組の履歴工程データとそれらに対応する複数組の履歴測定値を用いることによって、参照アルゴリズムによって構築され、前記統計距離モデルは、複数組の履歴工程データを用いることによって、統計距離アルゴリズムに基づいて構築される。前記推定アルゴリズム及び前記参照アルゴリズムは、重回帰(multi−regression:MR)アルゴリズム、サポートベクトル回帰(support−vector−regression:SVR)アルゴリズム、ニューラルネットワーク(neural−networks:NN)アルゴリズム、部分最小二乗法回帰(partial−least−squares regression:PLSR)アルゴリズム又はガウス過程回帰(Gaussian−process−regression:GPR)アルゴリズムでもよい。前記統計距離モデルは、マハラノビス距離アルゴリズム又はユークリッド距離アルゴリズムでもよい。前記アルゴリズムは、例としたものだけであり、勿論、他のアルゴリズムは本発明にも適応できる。本発明の実施例で使用するRI及びGSIは、引用の方式で本文に編入された「Method for evaluating reliance level of a virtual metrology system in product manufacturing」という米国特許第7,593,912号を参照してもよい。本発明の実施例で使用するRIモデル、GSIモデル、VMモデルは、引用の方式で本文に編入された「Dual−phase virtual metrology method」という米国特許第7,603,328号、及び「System and Method for Automatic Virtual Metrology」という米国特許公開案第20090292386号を参照してもよい。注意すべきなのは、米国特許第7,593,912号、第7,603,328号、米国特許公開案第20090292386号の譲り受け人は、全て本願と同様である。
【0029】
VMモジュール120は、複数組の工程データを推定モデルに入力することによって、工程ランの複数の仮想測定(VM)値を提供することに用いられる。RIモジュール122は、工程ランの各信頼指数(RI)を生成することに用いられ、ここで、工程ランに対応する前記信頼指数(RI)のいずれも、ワークの仮想測定値の統計分布とワークの参照予測値の統計分布との間のオーバーラップ領域を計算することによって生成され、工程ランの参照予測値は、1組の工程データを参照モデルに入力することによって生成される。RIモジュール122は、主に他のアルゴリズム(参照アルゴリズム)に基づいて推測アルゴリズムの信頼度を計るので、前記推測アルゴリズムと前記参照アルゴリズムとは異なる限り、前記推測アルゴリズム及び前記参照アルゴリズムが任意のアルゴリズムであってよい。前記オーバーラップ領域が大きくなるに従い前記信頼指数が高くなることは、前記信頼指数に対応する仮想測定値の信頼度が高いことを表す。本実施例において、RI閾値(RIT)は、推定モデルから得る仮想測定値の誤差に定義される最大許容誤差の上限に基く。GSIモジュール124は、複数組の工程データを統計距離モデルに入力することによって、工程ランの各全体類似指数(GSI)を生成することに用いられる。GSIは、いずれの1組の工程データとモデルセット工程データ(例えば、履歴工程データ)との類似度を評価する。本実施例において、GSI閾値(GSIT)は、複数組の履歴工程データの最大全体類似指数の2〜3倍によって定義される。
【0030】
以下、容易に説明するために、R2Rコントローラ130として、EWMAコントローラを挙げるが、R2Rコントローラ130は、移動平均(moving−average:MA)コントローラ、二重EWMAコントローラ(d−EWMA)又は比例積分微分(proportional−integral−derivative:PID)コントローラであってもよい。
【0031】
図3Bを参照すれば、図3Bは、本発明の一実施例によるEWMAコントローラを示す模式図である。本発明の実施例の構造特徴は、数式(5)中のEWMA係数α2をいかに設定して、VM実行でのコントローラ利得問題を克服することにある。α2がVM値の品質又は信頼性及びα2<α1によって決まることは、経験則である。本発明の実施例は、信頼指数(RI)及び全体類似指数(GSI)を用いて、VM値の品質又は信頼性を計る。RI値は、好ましいVM信頼性評価指数であり、且つ0<RI<1であるので、高いRIは、好ましいVM信頼性を表し、なお、EWMA係数α2は、自然に以下のように設定されることができる。
α2=RI×α1 (9)
ここで、EWMA係数α1と数式(2)のαとは同一である。
【0032】
R2Rコントローラ130が高い利得を要求する場合、数式(9)を応用する。ykが目標値から離れ又は製造工程が比較的に不安定である場合、高いコントローラ利得が要求される。逆に、ykが目標値に近く又は製造工程が比較的に安定である場合、コントローラ利得は、小さくすべきである。小さいコントローラ利得を生成するために、EWMA係数α2を以下のように設定できる。
α2=(1−RI)×α1 (10)
【0033】
RIが十分に良好である場合だけに、数式(9)及び数式(10)は有効であり、すなわち、RIをRITより大きくすべきである。RI<RITであれば、このVM値は、R2Rコントローラ利得を調整することに適応できない。なお、GSIは、RIとあいまってVMの信頼度を計るように設計されているため、GSI>GSITである場合、その対応するVM値も適応できない。要するに、RI<RIT又はGSI>GSITの場合、α2は、ゼロ(0)に設定される。
【0034】
工程ツール100に対して修正を実行するたびに、リアル生産環境でR2Rコントローラ利得管理に関することは、下記のように考量すべきである。一般的に、第1のロット(修正を実行した直後)の製造工程は、比較的に不安定であるので、このコントローラ利得を高くすべきである。第1のロットの製造を完成した後、製造工程は比較的に安定になる。すなわち、残りのロットは、小さいコントローラ利得を有すべきである。
【0035】
要するに、α2を以下のように設定してよい。
α2=f(RI,GSI)×α1 (11)
Cは、工程ランの予定数を表す。W2W制御に対して、半導体産業において、Cは25であってよい。
【0036】
R2Rコントローラ130は、MAコントローラ、d−EWMAコントローラ又はPIDコントローラであってもよいので、支配方程式の一般式は、以下のように示す。
【0037】
シングル利得コントローラであるMAコントローラ及びEWMAコントローラ、並びにマルチ利得コントローラであるdーEWMAコントローラ及びPIDコントローラについては、以下のように説明する。
[MAコントローラ]
【0038】
n項(n-terms)MAコントローラの(z+1)個目のラン制御動作uz+1は、以下の数式から導き出せる。
が得られる。
【0039】
要するに、n項MAコントローラの(z+1)個目のラン制御動作uz+1は、z個目の制御出力yzとコントローラ利得M1の実測値との関数に表すことができる。
[EWMAコントローラ]
【0040】
EWMAコントローラの(z+1)個目のラン制御動作uz+1も、数式(16)と表してもよい。
【0041】
【0042】
要するに、EWMAコントローラの(z+1)個目のラン制御動作uz+1は、z個目のラン制御出力yzとコントローラ利得α1の実測値との関数に表すことができる。
[dーEWMAコントローラ]
【0043】
d−EWMAコントローラの(z+1)個目のラン制御動作は、
と表してよい。
【0044】
要するに、d−EWMAコントローラの(z+1)個目のラン制御動作uz+1は、z個目のラン制御出力yzとコントローラ利得α1,1とα1,2の実測値との関数に表すことができる。
[PIDコントローラ]
【0045】
PIDコントローラの(z+1)個目のラン制御動作uz+1は、
と表してよい。
【0046】
要するに、PIDコントローラの(z+1)個目のラン制御動作uz+1は、z個目のラン制御出力yzとコントローラ利得K1,P、K1,I、K1,Dの実測値との関数に表すことができる。
【0047】
数式(19)、数式(23)、数式(27)、数式(28)を観察すると、MAコントローラ、EWMAコントローラ、d−EWMAコントローラ、PID R2Rコントローラの(z+1)個目のラン制御動作の一般的形式uz+1は、z個目のラン制御出力yzの実測値及びコントローラ利得G1,1、コントローラ利得G1,2...及びコントローラ利得G1,iの関数として発生でき、iは、コントローラにおける利得の数を表す。
MAの場合、i=1且つG1,1=M1であり、EWMAの場合、i=1且つG1,1=α1であり、d−EWMAの場合、i=2、G1,1=α1,1且つG1,2=α1,2であり、PIDの場合、i=3、G1,1=K1,P、G1,2=K1,I且つG1,3=K1,Dである。実際に、数式(29)は、数式(13)において言及されている。
【0048】
となる。
MAの場合、i=1且つG2,1=M2であり、EWMAの場合、i=1且つG2,1=α2であり、d−EWMAの場合、i=2、G2,1=α2,1且つG2,2=α2,2であり、PIDの場合、i=3、G2,1=K2,P、G2,2=K2,I且つG2,3=K2,Dである。実際に、数式(30)は、数式(14)において言及されている。
【0049】
R2Rコントローラのフィードバックとして、VMを採用する場合、VMに付随するRI/GSIは、以下のように、コントローラ利得を調整することに用いられる。
実際に、数式(31)は、数式(15)において言及されている。
【0050】
特に、MAの場合、
EWMAの場合、
d−EWMAの場合、
PIDの場合、
である。
【0051】
【0052】
RI及びGSIが十分に良好である場合だけに、数式(31)〜数式(35)は、有効であり、すなわち、RIをRITより大きく、GSIをGSITより小さくすべきである。RI<RIT又はGSI>GSITの場合、このVM値は、R2Rコントローラ利得を調整することに適応できない。要するに、RI<RIT又はGSI>GSITであれば、
【0053】
以下、RIに関するアルゴリズムを提供し、その操作手順を説明する。
[信頼指数(RI)]
【0054】
【0055】
【表1】
【0056】
【0057】
【0058】
本説明書では、推定アルゴリズムとして、ニューラルネットワーク(NN)アルゴリズムを採用して、仮想測定を行う推定モデルを構築し、また、参照アルゴリズムとして、例えば、重回帰アルゴリズムを採用して、この推定モデルの比較ベースとする参照モデルを構築する。しかし、本発明には、参照アルゴリズムが推定アルゴリズムと異なる限り、サポートベクトル回帰(SVR)アルゴリズム、部分最小二乗法回帰(PLSR)アルゴリズム、ガウス過程回帰(GPR)アルゴリズム又はその他の相関するアルゴリズムのような他のアルゴリズムも推定アルゴリズム又は参照アルゴリズムとして用いてもよく、従って、本発明はこれらに限定されるわけではない。
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
NN推定モデルの構築を行う前に、工程データ標準化のステップを行う必要がある。工程データの標準化は、以下の数式で表される。
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
従って、重回帰参照モデルは、以下の数式で表される。
【0072】
【0073】
【0074】
RIを得た後、RIの閾値(RIT)を定義すべきである。RI>RITの場合、仮想測定値の信頼度は許容範囲内である。RITを決定する計画的な方法を以下のように説明する。
【0075】
【0076】
数式(53)が定義する誤差および仮想測定(VM)の精度規格に基づいて、ELを指定できる。これにより、RITは、図4Bに示すように、ELに対応したRIと定義することができる。すなわち、
【0077】
以下、GSIに関するアルゴリズムを提供し、かつその操作手順を説明する。
[全体類似指数(GSI)]
【0078】
【0079】
GSIは、いずれの組の工程データとモデルセット工程データとの類似度を判断する。このモデルセットは、推測モデルを構築するための全ての各組の履歴工程データから取得できる。
【0080】
本発明は、統計距離測定(例えば、マハラノビス距離)を利用して、類似度の定量化を行うことができる。マハラノビス距離とは、P.C.マハラノビスが1936年に発表した距離測定のことである。この技術手段は、変数間の相関関係に基づいて、サンプルセットの様々なパターンを認識および分析する。マハラノビス距離は、まだ知られていないサンプルセットと、すでに知られたサンプルセットとの間の類似度を決定するために用いられる。この方法は、データセット間の相関関係を考量し、尺度の不変性(Scale Invariant)有しているため、測定スケールに依存しない。データセットの類似度が高い場合、計算されるマハラノビス距離は小さい。
【0081】
本発明は、計算されたGSI(マハラノビス距離を応用する)の大きさを利用し、工程データの新たな入力セットが工程データのモデルセットと類似するか否かを決定することができる。計算されたGSIが小さい場合、これは新たな入力セットがモデルセットに類似していることを表す。したがって、新たな入力(類似度が高い)セットの仮想測定値は比較的精確である。逆に、計算されたGSIが大きすぎる場合、新たな入力セットとモデルセットが多少異なることを表す。従って、新たな入力(類似性が低い)セットによって測定した仮想測定値は、精度方面の信頼度が低い。
【0082】
【0083】
s個目のパラメータとt個目のパラメータとの間の相関係数がrstであり、k組のデータがある場合、以下の数式で表される。
【0084】
標準化後のモデルパラメータ間の相関係数の計算を完了した後、相関係数の行列は以下の数式で表される。
【0085】
【0086】
【0087】
そして最終的に、以下の数式が得られる。
【0088】
λ回目の標準化のセット工程データのGSIは、D2λ/pである。
【0089】
GSIを得た後、GSI閾値(GSIT)を定義する必要がある。一般に、デフォルトのGSITは、GSIa(aは、トレーニング段階における各履歴組を表す)の最大値の2〜3倍である。
【0090】
図5を参照すれば、図5は、本発明の一実施例によるAPC方法を示す模式フローチャートである。APC方法において、ステップ200は、工程ツールが複数の履歴ワークを処理するために使用する複数組の履歴工程データを取得する。ステップ210には、測定ツールに測定される歴史ワークの複数の履歴測定データを取得し、そのうち、履歴測定値は、ステップ200に説明した複数組の履歴工程データでそれぞれ製造される履歴ワークの測定値である。ステップ220には、複数組の履歴工程データ及び履歴測定値を用いることによって、推定アルゴリズムに基づいて推定モデルを構築し、複数組の履歴工程データとそれらに対応する複数組の履歴測定値を用いることによって、参照アルゴリズムによって前記参照モデルを構築し、前記複数組の履歴工程データを用いることによって、統計距離アルゴリズムに基づいて統計距離モデルを構築する。ステップ230には、前記数式(13)〜数式(15)に基づいて、ランツーラン(R2R)コントローラで工程ツールを制御して、工程ランを実行する。
【0091】
前記実施例は、コンピュータプログラム製品として提供でき、このコンピュータプログラム製品は、命令を保存する機械読取り可能な媒体を含み、前記命令は、本発明の実施例に基づいてコンピュータ(又は他の電子装置)をプログラミングして、プロセスを実行させることに用いられる。前記機械読取り可能な媒体は、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、コンパクトディスク利用の読み出し専用記憶媒体(compact diskーreadーonly memory:CDーROM)、光磁気ディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(random access memory; RAM)、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(erasable programmable readーonly memory:EPROM)、電気的消去・再書き込み可能な読み出し専用メモリ(electrically erasable programmable readーonly memory:EEPROM)、磁気カード又は光カード、フラッシュメモリ又は電子命令を保存できる他のタイプのメディア/機械読取り可能な媒体であってよいが、それらに限定されない。なお、本発明の実施例は、コンピュータプログラム製品としてダウンロードでき、通信リンク(例えば、ネットワーク接続等)を介するデータ信号を利用することによって、リモート・コンピュータからリクエスト・コンピュータに伝送することができる。
【0092】
以下、本発明の実施例が実用的且つ有利であることを説明するように、実例を提供し比較する。
【0093】
定期メンテナンス(periodic maintenance:PM)周期が600枚(pcs)のウエハであるCMPツールのW2W制御を抜き取って、実例を評価し比較する。シミュレーション条件および状況は、下記のように示す。
【0094】
1.ykは、測定ツールによって測定される実際の取り下ろし量であり、PostYkは、ランkの実際のCMP後の厚さである。PostYkの規格は、2800±150オングストローム(A)であり、ここで、2800は、TgtPostYで表される目標値である。ここで、以下の数式が得られる。
PostYk=PreYk−yk (61)
【0095】
同時に、
yk=ARRk*uk (62)
である。ここで、本実例において、ARRkは、ランkの実際の取り下ろし率であり、ukは、研磨時間を表す。
【0096】
1927年のガラス研磨実験で実証を行って発見した周知のプレストン方程式で、CMPの材料取り下ろし率を予測することが提出された。プレストン方程式によると、材料取り下ろし率は、接触点における接触圧力(ツールストレスとも表する)分布と、ウエハと研磨パッドとの間の接触点における相対速度(ツールの回転速度とも表す)の大きさと、研磨液流動速度、パッド特性等を含む他の残りのパラメータ効能を代表する定数とに影響される。そのため、ARRkは、以下の数式で模擬できる。
【0097】
Stress1、Stress2、Rotspd1、Rotspd2、Sfuspd1、Sfuspd2、PM1、PM2、誤差の意味は、表2に示す。数式(63)中のAkは、ノミナル取り下ろし率であり、PMの間の部品使用カウントに対する多項式曲線フィッティングによって経験擬似を行って得られる(1から600まで変化するPUで表す)。
【0098】
は、ARRkのVM値であり、ここで、Stress(=Stress1+Stress2)、Rotspd(=Rotspd1+Rotspd2)、Sfuspd(=Sfuspd1+Sfuspd2)、PU、PU2、PU3は、工程パラメータである。Stress、Rotspd、Sfuspd、PU、PU2、PU3を工程パラメータとして採用する原因は、プレストン方程式、数式(63)、数式(64)に基づくことにある。模擬工程パラメータの設定値は、表2に示す。
【0099】
【表2】
【0100】
【0101】
4.PostYkが、実際の測定ツールによって測定される場合、
【0102】
PostYkが、VMシステムによって推定又は予測される場合、
である。
【0103】
同時に、
である。この実例については、C=25である。
【0104】
5.1ロット=25個のワークであり、2個目のワークは、サンプリングウエハである。
【0105】
6.
ここで、UCL=2950且つLCL=2650である。
【0106】
【0107】
8.平均値=0および平方偏差=0.36であるSfuspd2による番外のランダム外乱は、サンプル50、サンプル111、サンプル179、サンプル251、サンプル349、サンプル503に添加されてもよい。すなわち、サンプル50、サンプル111、サンプル179、サンプル251、サンプル349、パンプル503におけるSfuspd2の組み合わせ平方偏差(combined variances)は、1.2+0.36=1.56である。このような番外のランダム外乱があるため、RI及び/又はGSIは、その閾値を超える可能性がある。
【0108】
[状況1:適所の(in-situ)測定法を有するR2R]
【0109】
[状況2:RI抜きのR2R+VM]
【0110】
[状況3:RI付きのR2R+VM]
【0111】
[状況4:(1−RI)付きのR2R+VM]
【0112】
[状況5:RI/(1−RI)付きのR2R+VM]
【0113】
【0114】
工程能力指数(Process Capability IndeX:Cpk)、MAPE工程(平均絶対百分率誤差、例えば、それぞれ数式(74)及び数式(75)で表す)の両者を、その5種類の状況の性能を評価し比較することに応用する。その5種類の状況のCpk値及びMAPE工程値は、それぞれ表3及び表4に示す。
【0115】
【0116】
【表3】
【0117】
【表4】
【0118】
【0119】
本実施例において、RIT及びGSITはそれぞれ0.7及び9に設定される。第1ラウンドのサンプル50でのRI<RIT且つGSI>GSITの状況と、第1ラウンドのサンプル349でのGSI>GSIの状況とは、図7及び図8に拡大して示される。
【0120】
【0121】
【0122】
前記のように、PostYkが目標値から離れ又は製造工程が比較的に不安定である場合、α2=R1×α1である。逆に、PostYkが目標値に近い又は製造工程が比較的に安定である場合、α2=(1−R1)×α1である。
【0123】
当該技術を熟知するものなら誰でも、本発明の範囲と主旨を脱しない範囲内で、本発明の構造に対して、多種の修正や変更を加えることができる。前記に鑑みて、本発明の修正や変更は、以下の特許請求の範囲又はその同等なものの範囲に属すれば、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0124】
10、100 工程ツール、20、110 測定ツール、30 VMモジュール、40 R2Rコントローラ、120 仮想測定(VM)モジュール、122 信頼指数(RI)モジュール、124 全体類似指数(GSI)モジュール、130 ランツーラン(R2R)コントローラ、200、210、220、230、240、250、260、270、280 ステップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、高度プロセス制御(advanced process control:APC)システム及びAPC方法に関し、特に、APCシステム及び信頼指数(reliance index:RI)を有する仮想測定(Virtual Metrology:VM)によるAPC方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ランツーラン(Run−to−run:R2R)の高度プロセス制御(Advanced Process Control:APC)は、工程能力を改善するために、半導体及び薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(Thin film transistor−liquid crystal display)の生産現場において広く利用されている。SEMI E133などの規格で定義されているように、R2Rの制御は、レシピパラメータを修正するかラン間で制御パラメータを選択することによりプロセス性能を改善する技術である。この(工程)ランとは、バッチ(Batch)、ロット(Lot)または個別のワークでもよく、このランがロットである場合に、R2R APCは、ロットツーロット(lot−to−lot:L2L)APCになり、ランがワークである場合に、このR2R APCは、ワークツーワーク(workpiece−to−workpiece:W2W)APCになる。このワークは、半導体産業のウエハまたはTFT−LCD産業のガラスでもよい。現在、L2L APCは、先進的な技術の処理に広く施されている。L2Lの制御を利用する際、フィードバックおよびフィードフォワード制御のために、ロットの中に一つだけのワークを測定すればいい。しかし、この素子サイズをさらに縮小させることを伴って、さらに厳格な工程制御を使用することが必要になる。このような状況では、L2Lの制御での精度が足りないので、限界状態(critical stages)に対してW2Wの制御が必要となる。そのため、ロット中のそれぞれのワーク全てを測定する必要がある。ロット中の各ワークを測定するために、大量の測定ツールを使用しなければならず、生産周期時間が大幅に増大することがあった。この他、ワークを実際に測定する際に、測定に遅延が発生することが避けられずに、この測定遅延により複雑な制御問題が引き起こされることがあっただけではなく、APC機能も低下させた。
【0003】
前記のような問題を解決するために、仮想測定(VM)を提案した。仮想測定は、推定モデルにより、それぞれのワークの工程の状態に関するデータを使用する測定変数を予測する技術である。VM測定モデルが十分に新規且つ精確であれば、ワークの完備なツール工程データを収集してからの数秒間内に、VM値を発生することができる。そのため、このVM値は、リアルタイムのW2W制御に応用できる。
【0004】
図1を参照すれば、図1は、2008年8月の半導体製造電気電子技術者協会(Institute of Electrical and Electronics Engineers:IEEE)会報の第21巻の第3号の413−425ページで発表されてM.−F.Wu、C.−H.Lin、D.S.−H.Wong、S.−S.Jang及びS.−T.Tsengに書かれる「Performance Analysis of EWMA(Exponentially Weighted Moving Average) Controllers Subject to Metrology Delay」という論文に開示された指数加重移動平均(Exponentially Weighted Moving Average:EWMA)R2Rの制御の従来のモデルを示す模式ブロック図である。線形入力・出力関係を有する工程モデルを考えてみる。
【0005】
【0006】
工程予測モデルAukを与え、Aは、システムに対して予算する利得パラメータ(例えば、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)の取り下ろし率)であり、その初期値は、実際のツール/レシピ性能から得られる。
【0007】
指数加重移動平均(Exponentially Weighted Moving Average:EWMA)フィルターによると、(k+1)個目の工程ランのモデルのオフセット又は外乱は、
と予測できる。ここで、αは、0〜1の範囲内のEWMA係数である。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
Khanたちは、α2>α1(一般には、仮想測定データの相対的品質によって決まる)ということを指摘した。現在、VM実行でのコントローラ利得問題の重点は、α2を如何に設定することにあり、その内、α2がVMの品質又は信頼性及びα2<α1によって決まることは、経験則である。Khanたちは、2つのVM品質メトリクスを提出して、VM品質をR2Rコントローラ40のコントローラ利得に加えることを考えた。
【0013】
【0014】
しかしながら、以上提出された2種類のメトリクスは、以下の不利点がある。
【0015】
【0016】
結果として、数式(6)及び数式(7)のようにデータ品質メトリクスをR2Rモデルに組み合わせることが容易でないかもしれない。そのため、R2RコントローラでのVMのデータ品質を効果的に考量するために、信頼指数(RI)及び全体類似指数(global similarity indeX:GSI)を有するVMによるAPCシステム及びAPC方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、R2RコントローラでのVMのデータ品質を効果的に考量するAPCシステム及びAPC方法を提供することによって、R2R制御及び測定遅延のVMフィードバックループでの信頼度を考量できない問題を克服し、且つ、APC機能を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一態様によると、APCシステムは、工程ツールと、測定ツールと、仮想測定(VM)モジュールと、信頼指数(RI)モジュールと、ランツーラン(R2R)コントローラとを備える。工程ツールは、複数組の履歴工程データによって複数の履歴ワークを処理し、複数組の工程データによって複数のワークに対して複数の工程ランを実行することに用いられる。前記測定ツールは、履歴ワーク及び前記ワークから選ばれる複数のサンプリングワークを測定して、履歴ワークの複数の履歴測定データ及び工程ランにおいて処理されたサンプリングワークの複数の実測値を提供する。前記仮想測定モジュールは、複数組の工程データを推定モデルに入力することによって、工程ランの複数の仮想測定値を提供することに用いられ、そのうち、前記推定モデルは、複数組の履歴工程データ及び履歴測定値を用いることによって、推定アルゴリズムに基づいて構築され、履歴測定値は、複数組の履歴工程データによってそれぞれ製造される履歴ワークの測定値である。RIモジュールは、工程ランの各信頼指数(RI)を生成することに用いられ、そのうち、工程ランに対応する前記信頼指数(RI)のいずれも、ワークの仮想測定値の統計分布とワークの参照予測値の統計分布との間のオーバーラップ領域を計算することによって生成され、工程ランの参照予測値は、1組の工程データを参照モデルに入力することによって生成され、前記参照モデルは、複数組の履歴工程データとそれらに対応する複数組の履歴測定値を用いることによって、参照アルゴリズムによって構築され、且つ推定アルゴリズムは、参照アルゴリズムと異なり、前記オーバーラップ領域が大きくなるに従い前記信頼指数が高くなることは、信頼指数に対応する仮想測定値の信頼度が高いことを表す。R2Rコントローラは、以下の関係によって、工程ツールを制御して、工程ランを実行する。
【0019】
一実施例において、APCシステムは、複数組の工程データを統計距離モデルに入力することによって、工程ランの各全体類似指数(GSI)を生成するための全体類似指数(GSI)モジュールを更に備え、統計距離モデルは、複数組の履歴工程データを用いることによって、統計距離アルゴリズムに基づいて構築され、
GSIkは、k個目の工程ランの全体類似指数(GSI)を表し、GSITは、複数組の履歴工程データの最大の全体類似指数の2〜3倍によって定義されるGSI閾値を表す。
【0020】
本発明の他の態様によると、APC方法において、工程ツールに使用される、複数の履歴ワークを処理するための複数組の履歴工程データを取得するステップを実行する。測定ツールによって測定される履歴ワークの複数の履歴測定データを取得する他のステップを実行する。複数組の履歴工程データ及び履歴測定値を用いることによって、推定アルゴリズムに基づいて推定モデルを構築する他のステップを実行し、ここで、履歴測定値は、それぞれ複数組の履歴工程データによって製造される履歴ワークの測定値であり、且つ複数組の履歴工程データとそれらに対応する複数組の履歴測定値を用いることによって、参照アルゴリズムに基づいて参照モデルを構築し、ここで、推定アルゴリズムは、参照アルゴリズムと異なる。前記関係によって、ランツーラン(R2R)コントローラで工程ツールを制御して、工程ランを実行させる他のステップを実行する。
【0021】
一実施例において、APC方法は、複数組の履歴工程データを使って、統計距離アルゴリズムに基づいて、統計距離モデルを構築するステップと、下記関係によって、R2Rコントローラで工程ツールを制御して、工程ランを実行させるステップとを更に備える。
GSIkは、k個目の工程ランの全体類似指数(GSI)を表し、GSITは、複数組の履歴工程データの最大全体類似指数の2〜3倍によって定義されるGSI閾値を表す。
【0022】
本発明の他の態様によると、実行される時に前記APC方法を実行するコンピュータプログラム製品を提供する。
【発明の効果】
【0023】
そのため、本発明の実施例を応用すれば、R2RモデルでのVMのデータ品質を効果的に考量でき、R2R制御及び測定遅延のVMフィードバックループでの信頼度を考量できない問題を克服し、且つ、APC効能を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
以下の説明、添付の請求の範囲及び添付図面は、本発明の前記または他の特徴、態様及び長所をより分りやすくするためのものである。
【0025】
【図1】EWMA R2R制御の従来のモデルを示す模式ブロック図である。
【図2】従来のW2W制御を示す模式ブロック図である。
【図3A】本発明の実施例によるW2W APCシステムを示す模式図である。
【図3B】本発明の実施例によるEWMAコントローラを示す模式図である。
【図4A】本発明の一実施例で使用される信頼指数(RI)を定義するための模式図である。
【図4B】本発明の実施例によって、RI閾値(RIT)を定義するための模式図である。
【図5】本発明の一実施例によるW2W APC方法を示す模式フローチャートである。
【図6A(1)】前の400個のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図6A(2)】前の400個のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図6B(1)】前の400個のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図6B(2)】前の400個のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図6C(1)】前の400個のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図6C(2)】前の400個のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図6D(1)】前の400個のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図6D(2)】前の400個のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図6E(1)】前の400個のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図6E(2)】前の400個のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図7】45〜55個目のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【図8】344〜354個目のワークの5種類の状況に対してのシミュレーション結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例を詳しく説明し、その例は、添付図面に示される。可能な限り、図面及び解説で使用する同一な符号は、同一又は類似な部分を表す。
【0027】
図3Aを参照すれば、図3Aは、本発明の一実施例によるAPCシステムを示す模式図である。本実施例のAPCシステムは、工程ツール100と、測定ツール110と、仮想測定(VM)モジュール120と、信頼指数(RI)モジュール122と、全体類似指数(GSI)モジュール124と、ランツーラン(R2R)コントローラ130とを備える。工程ツール100は、複数組の履歴工程データによって複数の履歴ワークを処理し、複数組の工程データによって複数のワークに対して複数の工程ランを実行することができる。工程ランは、R2Rコントローラ130によって制御されるユニットであり、工程ランがロットである場合、R2Rコントローラ130は、ロットごとに工程ツール100を制御するL2Lコントローラであり、工程ランがワークである場合、R2Rコントローラ130は、ワークごとに工程ツール100を制御するW2Wコントローラである。大まかに言えば、1ロットには、複数のワーク(例えば、25個のワーク)を含み、L2Lコントローラは、1組の工程データによって、一つの工程ラン(ロット)を制御して、25個のワークを処理することを意味する。測定ツール110は、履歴ワーク及び当該ワークから選ばれる複数のサンプリングワークを測定して、履歴ワークの複数の履歴測定データ及び工程ランにおいて処理されたサンプリングワークの複数の実測値を提供することができる。
【0028】
VMモジュール120、RIモジュール122、GSIモジュール124に関しては、推定モデル、参照モデル、統計距離モデルを構築する必要がある。前記推定モデルは、複数組の履歴工程データ及び履歴測定値を用いることによって、推定アルゴリズムに基づいて構築され、ここで、前記履歴測定値は、それぞれ複数組の履歴工程データによって製造される履歴ワークの測定値であり、前記参照モデルは、複数組の履歴工程データとそれらに対応する複数組の履歴測定値を用いることによって、参照アルゴリズムによって構築され、前記統計距離モデルは、複数組の履歴工程データを用いることによって、統計距離アルゴリズムに基づいて構築される。前記推定アルゴリズム及び前記参照アルゴリズムは、重回帰(multi−regression:MR)アルゴリズム、サポートベクトル回帰(support−vector−regression:SVR)アルゴリズム、ニューラルネットワーク(neural−networks:NN)アルゴリズム、部分最小二乗法回帰(partial−least−squares regression:PLSR)アルゴリズム又はガウス過程回帰(Gaussian−process−regression:GPR)アルゴリズムでもよい。前記統計距離モデルは、マハラノビス距離アルゴリズム又はユークリッド距離アルゴリズムでもよい。前記アルゴリズムは、例としたものだけであり、勿論、他のアルゴリズムは本発明にも適応できる。本発明の実施例で使用するRI及びGSIは、引用の方式で本文に編入された「Method for evaluating reliance level of a virtual metrology system in product manufacturing」という米国特許第7,593,912号を参照してもよい。本発明の実施例で使用するRIモデル、GSIモデル、VMモデルは、引用の方式で本文に編入された「Dual−phase virtual metrology method」という米国特許第7,603,328号、及び「System and Method for Automatic Virtual Metrology」という米国特許公開案第20090292386号を参照してもよい。注意すべきなのは、米国特許第7,593,912号、第7,603,328号、米国特許公開案第20090292386号の譲り受け人は、全て本願と同様である。
【0029】
VMモジュール120は、複数組の工程データを推定モデルに入力することによって、工程ランの複数の仮想測定(VM)値を提供することに用いられる。RIモジュール122は、工程ランの各信頼指数(RI)を生成することに用いられ、ここで、工程ランに対応する前記信頼指数(RI)のいずれも、ワークの仮想測定値の統計分布とワークの参照予測値の統計分布との間のオーバーラップ領域を計算することによって生成され、工程ランの参照予測値は、1組の工程データを参照モデルに入力することによって生成される。RIモジュール122は、主に他のアルゴリズム(参照アルゴリズム)に基づいて推測アルゴリズムの信頼度を計るので、前記推測アルゴリズムと前記参照アルゴリズムとは異なる限り、前記推測アルゴリズム及び前記参照アルゴリズムが任意のアルゴリズムであってよい。前記オーバーラップ領域が大きくなるに従い前記信頼指数が高くなることは、前記信頼指数に対応する仮想測定値の信頼度が高いことを表す。本実施例において、RI閾値(RIT)は、推定モデルから得る仮想測定値の誤差に定義される最大許容誤差の上限に基く。GSIモジュール124は、複数組の工程データを統計距離モデルに入力することによって、工程ランの各全体類似指数(GSI)を生成することに用いられる。GSIは、いずれの1組の工程データとモデルセット工程データ(例えば、履歴工程データ)との類似度を評価する。本実施例において、GSI閾値(GSIT)は、複数組の履歴工程データの最大全体類似指数の2〜3倍によって定義される。
【0030】
以下、容易に説明するために、R2Rコントローラ130として、EWMAコントローラを挙げるが、R2Rコントローラ130は、移動平均(moving−average:MA)コントローラ、二重EWMAコントローラ(d−EWMA)又は比例積分微分(proportional−integral−derivative:PID)コントローラであってもよい。
【0031】
図3Bを参照すれば、図3Bは、本発明の一実施例によるEWMAコントローラを示す模式図である。本発明の実施例の構造特徴は、数式(5)中のEWMA係数α2をいかに設定して、VM実行でのコントローラ利得問題を克服することにある。α2がVM値の品質又は信頼性及びα2<α1によって決まることは、経験則である。本発明の実施例は、信頼指数(RI)及び全体類似指数(GSI)を用いて、VM値の品質又は信頼性を計る。RI値は、好ましいVM信頼性評価指数であり、且つ0<RI<1であるので、高いRIは、好ましいVM信頼性を表し、なお、EWMA係数α2は、自然に以下のように設定されることができる。
α2=RI×α1 (9)
ここで、EWMA係数α1と数式(2)のαとは同一である。
【0032】
R2Rコントローラ130が高い利得を要求する場合、数式(9)を応用する。ykが目標値から離れ又は製造工程が比較的に不安定である場合、高いコントローラ利得が要求される。逆に、ykが目標値に近く又は製造工程が比較的に安定である場合、コントローラ利得は、小さくすべきである。小さいコントローラ利得を生成するために、EWMA係数α2を以下のように設定できる。
α2=(1−RI)×α1 (10)
【0033】
RIが十分に良好である場合だけに、数式(9)及び数式(10)は有効であり、すなわち、RIをRITより大きくすべきである。RI<RITであれば、このVM値は、R2Rコントローラ利得を調整することに適応できない。なお、GSIは、RIとあいまってVMの信頼度を計るように設計されているため、GSI>GSITである場合、その対応するVM値も適応できない。要するに、RI<RIT又はGSI>GSITの場合、α2は、ゼロ(0)に設定される。
【0034】
工程ツール100に対して修正を実行するたびに、リアル生産環境でR2Rコントローラ利得管理に関することは、下記のように考量すべきである。一般的に、第1のロット(修正を実行した直後)の製造工程は、比較的に不安定であるので、このコントローラ利得を高くすべきである。第1のロットの製造を完成した後、製造工程は比較的に安定になる。すなわち、残りのロットは、小さいコントローラ利得を有すべきである。
【0035】
要するに、α2を以下のように設定してよい。
α2=f(RI,GSI)×α1 (11)
Cは、工程ランの予定数を表す。W2W制御に対して、半導体産業において、Cは25であってよい。
【0036】
R2Rコントローラ130は、MAコントローラ、d−EWMAコントローラ又はPIDコントローラであってもよいので、支配方程式の一般式は、以下のように示す。
【0037】
シングル利得コントローラであるMAコントローラ及びEWMAコントローラ、並びにマルチ利得コントローラであるdーEWMAコントローラ及びPIDコントローラについては、以下のように説明する。
[MAコントローラ]
【0038】
n項(n-terms)MAコントローラの(z+1)個目のラン制御動作uz+1は、以下の数式から導き出せる。
が得られる。
【0039】
要するに、n項MAコントローラの(z+1)個目のラン制御動作uz+1は、z個目の制御出力yzとコントローラ利得M1の実測値との関数に表すことができる。
[EWMAコントローラ]
【0040】
EWMAコントローラの(z+1)個目のラン制御動作uz+1も、数式(16)と表してもよい。
【0041】
【0042】
要するに、EWMAコントローラの(z+1)個目のラン制御動作uz+1は、z個目のラン制御出力yzとコントローラ利得α1の実測値との関数に表すことができる。
[dーEWMAコントローラ]
【0043】
d−EWMAコントローラの(z+1)個目のラン制御動作は、
と表してよい。
【0044】
要するに、d−EWMAコントローラの(z+1)個目のラン制御動作uz+1は、z個目のラン制御出力yzとコントローラ利得α1,1とα1,2の実測値との関数に表すことができる。
[PIDコントローラ]
【0045】
PIDコントローラの(z+1)個目のラン制御動作uz+1は、
と表してよい。
【0046】
要するに、PIDコントローラの(z+1)個目のラン制御動作uz+1は、z個目のラン制御出力yzとコントローラ利得K1,P、K1,I、K1,Dの実測値との関数に表すことができる。
【0047】
数式(19)、数式(23)、数式(27)、数式(28)を観察すると、MAコントローラ、EWMAコントローラ、d−EWMAコントローラ、PID R2Rコントローラの(z+1)個目のラン制御動作の一般的形式uz+1は、z個目のラン制御出力yzの実測値及びコントローラ利得G1,1、コントローラ利得G1,2...及びコントローラ利得G1,iの関数として発生でき、iは、コントローラにおける利得の数を表す。
MAの場合、i=1且つG1,1=M1であり、EWMAの場合、i=1且つG1,1=α1であり、d−EWMAの場合、i=2、G1,1=α1,1且つG1,2=α1,2であり、PIDの場合、i=3、G1,1=K1,P、G1,2=K1,I且つG1,3=K1,Dである。実際に、数式(29)は、数式(13)において言及されている。
【0048】
となる。
MAの場合、i=1且つG2,1=M2であり、EWMAの場合、i=1且つG2,1=α2であり、d−EWMAの場合、i=2、G2,1=α2,1且つG2,2=α2,2であり、PIDの場合、i=3、G2,1=K2,P、G2,2=K2,I且つG2,3=K2,Dである。実際に、数式(30)は、数式(14)において言及されている。
【0049】
R2Rコントローラのフィードバックとして、VMを採用する場合、VMに付随するRI/GSIは、以下のように、コントローラ利得を調整することに用いられる。
実際に、数式(31)は、数式(15)において言及されている。
【0050】
特に、MAの場合、
EWMAの場合、
d−EWMAの場合、
PIDの場合、
である。
【0051】
【0052】
RI及びGSIが十分に良好である場合だけに、数式(31)〜数式(35)は、有効であり、すなわち、RIをRITより大きく、GSIをGSITより小さくすべきである。RI<RIT又はGSI>GSITの場合、このVM値は、R2Rコントローラ利得を調整することに適応できない。要するに、RI<RIT又はGSI>GSITであれば、
【0053】
以下、RIに関するアルゴリズムを提供し、その操作手順を説明する。
[信頼指数(RI)]
【0054】
【0055】
【表1】
【0056】
【0057】
【0058】
本説明書では、推定アルゴリズムとして、ニューラルネットワーク(NN)アルゴリズムを採用して、仮想測定を行う推定モデルを構築し、また、参照アルゴリズムとして、例えば、重回帰アルゴリズムを採用して、この推定モデルの比較ベースとする参照モデルを構築する。しかし、本発明には、参照アルゴリズムが推定アルゴリズムと異なる限り、サポートベクトル回帰(SVR)アルゴリズム、部分最小二乗法回帰(PLSR)アルゴリズム、ガウス過程回帰(GPR)アルゴリズム又はその他の相関するアルゴリズムのような他のアルゴリズムも推定アルゴリズム又は参照アルゴリズムとして用いてもよく、従って、本発明はこれらに限定されるわけではない。
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
NN推定モデルの構築を行う前に、工程データ標準化のステップを行う必要がある。工程データの標準化は、以下の数式で表される。
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
従って、重回帰参照モデルは、以下の数式で表される。
【0072】
【0073】
【0074】
RIを得た後、RIの閾値(RIT)を定義すべきである。RI>RITの場合、仮想測定値の信頼度は許容範囲内である。RITを決定する計画的な方法を以下のように説明する。
【0075】
【0076】
数式(53)が定義する誤差および仮想測定(VM)の精度規格に基づいて、ELを指定できる。これにより、RITは、図4Bに示すように、ELに対応したRIと定義することができる。すなわち、
【0077】
以下、GSIに関するアルゴリズムを提供し、かつその操作手順を説明する。
[全体類似指数(GSI)]
【0078】
【0079】
GSIは、いずれの組の工程データとモデルセット工程データとの類似度を判断する。このモデルセットは、推測モデルを構築するための全ての各組の履歴工程データから取得できる。
【0080】
本発明は、統計距離測定(例えば、マハラノビス距離)を利用して、類似度の定量化を行うことができる。マハラノビス距離とは、P.C.マハラノビスが1936年に発表した距離測定のことである。この技術手段は、変数間の相関関係に基づいて、サンプルセットの様々なパターンを認識および分析する。マハラノビス距離は、まだ知られていないサンプルセットと、すでに知られたサンプルセットとの間の類似度を決定するために用いられる。この方法は、データセット間の相関関係を考量し、尺度の不変性(Scale Invariant)有しているため、測定スケールに依存しない。データセットの類似度が高い場合、計算されるマハラノビス距離は小さい。
【0081】
本発明は、計算されたGSI(マハラノビス距離を応用する)の大きさを利用し、工程データの新たな入力セットが工程データのモデルセットと類似するか否かを決定することができる。計算されたGSIが小さい場合、これは新たな入力セットがモデルセットに類似していることを表す。したがって、新たな入力(類似度が高い)セットの仮想測定値は比較的精確である。逆に、計算されたGSIが大きすぎる場合、新たな入力セットとモデルセットが多少異なることを表す。従って、新たな入力(類似性が低い)セットによって測定した仮想測定値は、精度方面の信頼度が低い。
【0082】
【0083】
s個目のパラメータとt個目のパラメータとの間の相関係数がrstであり、k組のデータがある場合、以下の数式で表される。
【0084】
標準化後のモデルパラメータ間の相関係数の計算を完了した後、相関係数の行列は以下の数式で表される。
【0085】
【0086】
【0087】
そして最終的に、以下の数式が得られる。
【0088】
λ回目の標準化のセット工程データのGSIは、D2λ/pである。
【0089】
GSIを得た後、GSI閾値(GSIT)を定義する必要がある。一般に、デフォルトのGSITは、GSIa(aは、トレーニング段階における各履歴組を表す)の最大値の2〜3倍である。
【0090】
図5を参照すれば、図5は、本発明の一実施例によるAPC方法を示す模式フローチャートである。APC方法において、ステップ200は、工程ツールが複数の履歴ワークを処理するために使用する複数組の履歴工程データを取得する。ステップ210には、測定ツールに測定される歴史ワークの複数の履歴測定データを取得し、そのうち、履歴測定値は、ステップ200に説明した複数組の履歴工程データでそれぞれ製造される履歴ワークの測定値である。ステップ220には、複数組の履歴工程データ及び履歴測定値を用いることによって、推定アルゴリズムに基づいて推定モデルを構築し、複数組の履歴工程データとそれらに対応する複数組の履歴測定値を用いることによって、参照アルゴリズムによって前記参照モデルを構築し、前記複数組の履歴工程データを用いることによって、統計距離アルゴリズムに基づいて統計距離モデルを構築する。ステップ230には、前記数式(13)〜数式(15)に基づいて、ランツーラン(R2R)コントローラで工程ツールを制御して、工程ランを実行する。
【0091】
前記実施例は、コンピュータプログラム製品として提供でき、このコンピュータプログラム製品は、命令を保存する機械読取り可能な媒体を含み、前記命令は、本発明の実施例に基づいてコンピュータ(又は他の電子装置)をプログラミングして、プロセスを実行させることに用いられる。前記機械読取り可能な媒体は、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、コンパクトディスク利用の読み出し専用記憶媒体(compact diskーreadーonly memory:CDーROM)、光磁気ディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(random access memory; RAM)、消去可能なプログラマブル読み取り専用メモリ(erasable programmable readーonly memory:EPROM)、電気的消去・再書き込み可能な読み出し専用メモリ(electrically erasable programmable readーonly memory:EEPROM)、磁気カード又は光カード、フラッシュメモリ又は電子命令を保存できる他のタイプのメディア/機械読取り可能な媒体であってよいが、それらに限定されない。なお、本発明の実施例は、コンピュータプログラム製品としてダウンロードでき、通信リンク(例えば、ネットワーク接続等)を介するデータ信号を利用することによって、リモート・コンピュータからリクエスト・コンピュータに伝送することができる。
【0092】
以下、本発明の実施例が実用的且つ有利であることを説明するように、実例を提供し比較する。
【0093】
定期メンテナンス(periodic maintenance:PM)周期が600枚(pcs)のウエハであるCMPツールのW2W制御を抜き取って、実例を評価し比較する。シミュレーション条件および状況は、下記のように示す。
【0094】
1.ykは、測定ツールによって測定される実際の取り下ろし量であり、PostYkは、ランkの実際のCMP後の厚さである。PostYkの規格は、2800±150オングストローム(A)であり、ここで、2800は、TgtPostYで表される目標値である。ここで、以下の数式が得られる。
PostYk=PreYk−yk (61)
【0095】
同時に、
yk=ARRk*uk (62)
である。ここで、本実例において、ARRkは、ランkの実際の取り下ろし率であり、ukは、研磨時間を表す。
【0096】
1927年のガラス研磨実験で実証を行って発見した周知のプレストン方程式で、CMPの材料取り下ろし率を予測することが提出された。プレストン方程式によると、材料取り下ろし率は、接触点における接触圧力(ツールストレスとも表する)分布と、ウエハと研磨パッドとの間の接触点における相対速度(ツールの回転速度とも表す)の大きさと、研磨液流動速度、パッド特性等を含む他の残りのパラメータ効能を代表する定数とに影響される。そのため、ARRkは、以下の数式で模擬できる。
【0097】
Stress1、Stress2、Rotspd1、Rotspd2、Sfuspd1、Sfuspd2、PM1、PM2、誤差の意味は、表2に示す。数式(63)中のAkは、ノミナル取り下ろし率であり、PMの間の部品使用カウントに対する多項式曲線フィッティングによって経験擬似を行って得られる(1から600まで変化するPUで表す)。
【0098】
は、ARRkのVM値であり、ここで、Stress(=Stress1+Stress2)、Rotspd(=Rotspd1+Rotspd2)、Sfuspd(=Sfuspd1+Sfuspd2)、PU、PU2、PU3は、工程パラメータである。Stress、Rotspd、Sfuspd、PU、PU2、PU3を工程パラメータとして採用する原因は、プレストン方程式、数式(63)、数式(64)に基づくことにある。模擬工程パラメータの設定値は、表2に示す。
【0099】
【表2】
【0100】
【0101】
4.PostYkが、実際の測定ツールによって測定される場合、
【0102】
PostYkが、VMシステムによって推定又は予測される場合、
である。
【0103】
同時に、
である。この実例については、C=25である。
【0104】
5.1ロット=25個のワークであり、2個目のワークは、サンプリングウエハである。
【0105】
6.
ここで、UCL=2950且つLCL=2650である。
【0106】
【0107】
8.平均値=0および平方偏差=0.36であるSfuspd2による番外のランダム外乱は、サンプル50、サンプル111、サンプル179、サンプル251、サンプル349、サンプル503に添加されてもよい。すなわち、サンプル50、サンプル111、サンプル179、サンプル251、サンプル349、パンプル503におけるSfuspd2の組み合わせ平方偏差(combined variances)は、1.2+0.36=1.56である。このような番外のランダム外乱があるため、RI及び/又はGSIは、その閾値を超える可能性がある。
【0108】
[状況1:適所の(in-situ)測定法を有するR2R]
【0109】
[状況2:RI抜きのR2R+VM]
【0110】
[状況3:RI付きのR2R+VM]
【0111】
[状況4:(1−RI)付きのR2R+VM]
【0112】
[状況5:RI/(1−RI)付きのR2R+VM]
【0113】
【0114】
工程能力指数(Process Capability IndeX:Cpk)、MAPE工程(平均絶対百分率誤差、例えば、それぞれ数式(74)及び数式(75)で表す)の両者を、その5種類の状況の性能を評価し比較することに応用する。その5種類の状況のCpk値及びMAPE工程値は、それぞれ表3及び表4に示す。
【0115】
【0116】
【表3】
【0117】
【表4】
【0118】
【0119】
本実施例において、RIT及びGSITはそれぞれ0.7及び9に設定される。第1ラウンドのサンプル50でのRI<RIT且つGSI>GSITの状況と、第1ラウンドのサンプル349でのGSI>GSIの状況とは、図7及び図8に拡大して示される。
【0120】
【0121】
【0122】
前記のように、PostYkが目標値から離れ又は製造工程が比較的に不安定である場合、α2=R1×α1である。逆に、PostYkが目標値に近い又は製造工程が比較的に安定である場合、α2=(1−R1)×α1である。
【0123】
当該技術を熟知するものなら誰でも、本発明の範囲と主旨を脱しない範囲内で、本発明の構造に対して、多種の修正や変更を加えることができる。前記に鑑みて、本発明の修正や変更は、以下の特許請求の範囲又はその同等なものの範囲に属すれば、本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0124】
10、100 工程ツール、20、110 測定ツール、30 VMモジュール、40 R2Rコントローラ、120 仮想測定(VM)モジュール、122 信頼指数(RI)モジュール、124 全体類似指数(GSI)モジュール、130 ランツーラン(R2R)コントローラ、200、210、220、230、240、250、260、270、280 ステップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数組の履歴工程データによって複数の履歴ワークを処理し、複数組の工程データによって複数のワークに対して複数の工程ランを実行することに用いられる工程ツールと、
前記履歴ワーク及び前記ワークから選ばれる複数のサンプリングワークを測定して、前記履歴ワークの複数の履歴測定データ及び工程ランにおいて処理された前記サンプリングワークの複数の実測値を提供する測定ツールと、
前記複数組の工程データを推定モデルに入力することによって、前記工程ランの複数の仮想測定値を提供することに用いられ、そのうち、前記推定モデルは、前記複数組の履歴工程データ及びそれらに対応する履歴測定値を用いることによって、推定アルゴリズムに基づいて構築され、前記履歴測定値は、それぞれ前記複数組の履歴工程データによって製造される前記履歴ワークの前記測定値である仮想測定(VM)モジュールと、
前記工程ランの各信頼指数(RI)を生成することに用いられ、そのうち、前記工程ランに対応する前記信頼指数(RI)のいずれも、前記ワークの前記仮想測定値の統計分布と前記ワークの参照予測値の統計分布との間のオーバーラップ領域を計算することによって生成され、そのうち、前記工程ランの前記参照予測値は、前記ワークの1組の工程データを参照モデルに入力することによって生成され、前記参照モデルは、前記複数組の履歴工程データ及びそれらに対応する前記履歴測定値を用いることによって、参照アルゴリズムによって構築され、且つ前記推定アルゴリズムは、前記参照アルゴリズムと異なり、前記オーバーラップ領域が大きくなるに従い前記信頼指数が高くなることは、前記信頼指数に対応する前記仮想測定値の信頼度が高いことを表す信頼指数(RI)モジュールと、
R2R(ランツーラン)コントローラと
を備え、
前記R2R(ランツーラン)コントローラは、以下の関係によって、前記工程ツールを制御して、前記工程ランを実行し、
ここで、前記R2Rコントローラを調整することに用いられるG2,iは、RIk<RITの場合、
ではなく、0又は
であり、
RIk≧RIT且つk≦Cの場合、f(RIk)=RIkであり、
RIk≧RIT且つk>Cの場合、f(RIk)=1−RIkであり、
yzは、z個目の工程ランで処理された前記サンプリングワークの前記実測値を表し、
uz+1は、yzを採用する場合、(z+1)個目の工程ランの制御動作を表し、
G1,jは、yzを採用する場合、前記R2Rコントローラに用いられるコントローラ利得を表し、iは、前記R2Rコントローラに用いられるコントローラ利得の数を表し、
は、k個目の工程ランで処理されたワークの仮想測定値を表し、
uk+1は、
を採用する場合、(k+1)個目の工程ランの制御動作を表し、
G2,iは、
を採用する場合、前記R2Rコントローラに用いられるコントローラ利得を表し、
RIkは、前記k個目の工程ランの信頼指数(RI)を表し、
RITは、前記推定モデルから得る仮想測定値の誤差に定義される最大許容誤差の上限に基づくRI閾値を表し、
Cは、工程ランの予定数を表す、高度プロセス制御(APC)システム。
【請求項2】
前記推定アルゴリズム及び前記参照アルゴリズムは、それぞれ重回帰(MR)アルゴリズム、サポートベクトル回帰(SVR)アルゴリズム、ニューラルネットワーク(NN)アルゴリズム、部分最小二乗法回帰(PLSR)アルゴリズム及びガウス過程回帰(GPR)アルゴリズムからなる群から選択される請求項1に記載のAPCシステム。
【請求項3】
前記複数組の工程データを統計距離モデルに入力することによって、前記工程ランの各全体類似指数(GSI)を生成するための全体類似指数(GSI)モジュールを更に備え、
前記統計距離モデルは、前記複数組の履歴工程データを用いることによって、統計距離アルゴリズムに基づいて構築され、
前記R2Rコントローラを調整することに用いられるG2,iは、GSIk>GSITの場合、
ではなく、0又は
であり、
GSIkは、前記k個目の工程ランの前記全体類似指数(GSI)を表し、
GSITは、前記複数組の履歴工程データの最大の全体類似指数の2〜3倍によって定義されるGSI閾値を表す請求項1または2に記載のAPCシステム。
【請求項4】
前記統計距離アルゴリズムは、マハラノビス距離アルゴリズム又はユークリッド距離アルゴリズムである請求項3に記載のAPCシステム。
【請求項5】
前記R2Rコントローラは、移動平均(MA)コントローラ、指数加重移動平均(EWMA)コントローラ、二重EWMAコントローラ又は比例積分微分(PID)コントローラである請求項1から4の何れか1項に記載のAPCシステム。
【請求項6】
工程ツールに使用される、複数の履歴ワークを処理するための複数組の履歴工程データを取得するステップと、
それぞれ前記複数組の履歴工程データによって製造される前記履歴ワークの測定値である履歴測定値を含む、測定ツールによって測定される前記履歴ワークの複数の履歴測定データを取得するステップと、
前記複数組の履歴工程データ及びそれらに対応する前記履歴測定値を用いることによって、推定アルゴリズムに基づいて推定モデルを構築し、前記複数組の履歴工程データ及びそれらに対応する前記履歴測定値を用いることによって、前記推定アルゴリズムと異なる参照アルゴリズムに基づいて参照モデルを構築するステップと、
ランツーラン(R2R)コントローラで前記工程ツールを制御して、工程ランを実行させるステップと、
を備え、
前記工程ランは、以下の関係に基づいて実行され、
前記R2Rコントローラを調整することに用いられるG2,iは、RIk<RITの場合、
ではなく、0又は
であり、
RIk≧RIT且つk≦Cの場合、f(RIk)=RIkであり、
RIk≧RIT且つk>Cの場合、f(RIk)=1−RIkであり、
yzは、z個目の工程ランで前記工程ツールが処理されて、及び前記測定ツールが測定されたサンプリングワークの実測値を表し、
uz+1は、yzを採用する場合、(z+1)個目の工程ランの制御動作を表し、
G1,jは、yzを採用する場合、前記R2Rコントローラに用いられるコントローラ利得を表し、iは、前記R2Rコントローラに用いられるコントローラ利得の数を表し、
は、k個目の工程ランで前記工程ツールが処理したワークの仮想測定値を表し、
は、前記ワークの1組の工程データを推定モデルに入力することによって生成し、
uk+1は、
を採用する場合、(k+1)個目の工程ランの制御動作を表し、
G2,iは、
を採用する場合、前記R2Rコントローラに用いられるコントローラ利得を表し、
RIkは、前記k個目の工程ランの信頼指数(RI)を表し、前記k個目の工程ランに対応する前記信頼指数(RI)は、ワークの仮想測定値の統計分布とワークの参照予測値の統計分布との間のオーバーラップ領域を計算することによって生成され、前記k個目の工程ランの参照予測値は、1組の工程データを参照モデルに入力することによって生成され、前記オーバーラップ領域が大きくなるに従い前記信頼指数が高くなることは、信頼指数に対応する仮想測定値の信頼度が高いことを表し、
RITは、前記推定モデルから得る仮想測定値の誤差に定義される最大許容誤差の上限に基づくRI閾値を表し、
Cは、工程ランの予定数を表す、APC方法。
【請求項7】
前記推定アルゴリズム及び前記参照アルゴリズムは、それぞれ、重回帰(MR)アルゴリズム、サポートベクトル回帰(SVR)アルゴリズム、ニューラルネットワーク(NN)アルゴリズム、部分最小二乗法回帰(PLSR)アルゴリズム及びガウス過程回帰(GPR)アルゴリズムからなる群から選択される請求項6に記載のAPC方法。
【請求項8】
前記複数組の履歴工程データを用いることによって、統計距離アルゴリズムに基づいて、統計距離モデルを構築するステップと、
前記R2Rコントローラを調整することに用いられるG2,iは、GSIk>GSITの場合、
ではなく、0又は
であるという関係にしたがって、ランツーラン(R2R)コントローラで工程ツールを制御して、工程ランを実行させるステップと
を更に備え、
GSIkは、1組の工程データを統計距離モデルに入力することによって生成され、前記k個目の工程ランの前記全体類似指数(GSI)を表し、
GSITは、前記複数組の履歴工程データの最大全体類似指数の2〜3倍によって定義されるGSI閾値を表す、請求項6に記載のAPC方法。
【請求項9】
前記統計距離アルゴリズムは、マハラノビス距離アルゴリズム又はユークリッド距離アルゴリズムである請求項8に記載のAPC方法。
【請求項10】
前記R2Rコントローラは、移動平均(MA)コントローラ、指数加重移動平均(EWMA)コントローラ、二重EWMAコントローラ(d−EWMA)又は比例積分微分(PID)コントローラである請求項6から9の何れか1項に記載のAPC方法。
【請求項11】
コンピュータに、請求項6から請求項10のいずれか一項に記載のAPC方法を実行させるためのプログラム。
【請求項1】
複数組の履歴工程データによって複数の履歴ワークを処理し、複数組の工程データによって複数のワークに対して複数の工程ランを実行することに用いられる工程ツールと、
前記履歴ワーク及び前記ワークから選ばれる複数のサンプリングワークを測定して、前記履歴ワークの複数の履歴測定データ及び工程ランにおいて処理された前記サンプリングワークの複数の実測値を提供する測定ツールと、
前記複数組の工程データを推定モデルに入力することによって、前記工程ランの複数の仮想測定値を提供することに用いられ、そのうち、前記推定モデルは、前記複数組の履歴工程データ及びそれらに対応する履歴測定値を用いることによって、推定アルゴリズムに基づいて構築され、前記履歴測定値は、それぞれ前記複数組の履歴工程データによって製造される前記履歴ワークの前記測定値である仮想測定(VM)モジュールと、
前記工程ランの各信頼指数(RI)を生成することに用いられ、そのうち、前記工程ランに対応する前記信頼指数(RI)のいずれも、前記ワークの前記仮想測定値の統計分布と前記ワークの参照予測値の統計分布との間のオーバーラップ領域を計算することによって生成され、そのうち、前記工程ランの前記参照予測値は、前記ワークの1組の工程データを参照モデルに入力することによって生成され、前記参照モデルは、前記複数組の履歴工程データ及びそれらに対応する前記履歴測定値を用いることによって、参照アルゴリズムによって構築され、且つ前記推定アルゴリズムは、前記参照アルゴリズムと異なり、前記オーバーラップ領域が大きくなるに従い前記信頼指数が高くなることは、前記信頼指数に対応する前記仮想測定値の信頼度が高いことを表す信頼指数(RI)モジュールと、
R2R(ランツーラン)コントローラと
を備え、
前記R2R(ランツーラン)コントローラは、以下の関係によって、前記工程ツールを制御して、前記工程ランを実行し、
ここで、前記R2Rコントローラを調整することに用いられるG2,iは、RIk<RITの場合、
ではなく、0又は
であり、
RIk≧RIT且つk≦Cの場合、f(RIk)=RIkであり、
RIk≧RIT且つk>Cの場合、f(RIk)=1−RIkであり、
yzは、z個目の工程ランで処理された前記サンプリングワークの前記実測値を表し、
uz+1は、yzを採用する場合、(z+1)個目の工程ランの制御動作を表し、
G1,jは、yzを採用する場合、前記R2Rコントローラに用いられるコントローラ利得を表し、iは、前記R2Rコントローラに用いられるコントローラ利得の数を表し、
は、k個目の工程ランで処理されたワークの仮想測定値を表し、
uk+1は、
を採用する場合、(k+1)個目の工程ランの制御動作を表し、
G2,iは、
を採用する場合、前記R2Rコントローラに用いられるコントローラ利得を表し、
RIkは、前記k個目の工程ランの信頼指数(RI)を表し、
RITは、前記推定モデルから得る仮想測定値の誤差に定義される最大許容誤差の上限に基づくRI閾値を表し、
Cは、工程ランの予定数を表す、高度プロセス制御(APC)システム。
【請求項2】
前記推定アルゴリズム及び前記参照アルゴリズムは、それぞれ重回帰(MR)アルゴリズム、サポートベクトル回帰(SVR)アルゴリズム、ニューラルネットワーク(NN)アルゴリズム、部分最小二乗法回帰(PLSR)アルゴリズム及びガウス過程回帰(GPR)アルゴリズムからなる群から選択される請求項1に記載のAPCシステム。
【請求項3】
前記複数組の工程データを統計距離モデルに入力することによって、前記工程ランの各全体類似指数(GSI)を生成するための全体類似指数(GSI)モジュールを更に備え、
前記統計距離モデルは、前記複数組の履歴工程データを用いることによって、統計距離アルゴリズムに基づいて構築され、
前記R2Rコントローラを調整することに用いられるG2,iは、GSIk>GSITの場合、
ではなく、0又は
であり、
GSIkは、前記k個目の工程ランの前記全体類似指数(GSI)を表し、
GSITは、前記複数組の履歴工程データの最大の全体類似指数の2〜3倍によって定義されるGSI閾値を表す請求項1または2に記載のAPCシステム。
【請求項4】
前記統計距離アルゴリズムは、マハラノビス距離アルゴリズム又はユークリッド距離アルゴリズムである請求項3に記載のAPCシステム。
【請求項5】
前記R2Rコントローラは、移動平均(MA)コントローラ、指数加重移動平均(EWMA)コントローラ、二重EWMAコントローラ又は比例積分微分(PID)コントローラである請求項1から4の何れか1項に記載のAPCシステム。
【請求項6】
工程ツールに使用される、複数の履歴ワークを処理するための複数組の履歴工程データを取得するステップと、
それぞれ前記複数組の履歴工程データによって製造される前記履歴ワークの測定値である履歴測定値を含む、測定ツールによって測定される前記履歴ワークの複数の履歴測定データを取得するステップと、
前記複数組の履歴工程データ及びそれらに対応する前記履歴測定値を用いることによって、推定アルゴリズムに基づいて推定モデルを構築し、前記複数組の履歴工程データ及びそれらに対応する前記履歴測定値を用いることによって、前記推定アルゴリズムと異なる参照アルゴリズムに基づいて参照モデルを構築するステップと、
ランツーラン(R2R)コントローラで前記工程ツールを制御して、工程ランを実行させるステップと、
を備え、
前記工程ランは、以下の関係に基づいて実行され、
前記R2Rコントローラを調整することに用いられるG2,iは、RIk<RITの場合、
ではなく、0又は
であり、
RIk≧RIT且つk≦Cの場合、f(RIk)=RIkであり、
RIk≧RIT且つk>Cの場合、f(RIk)=1−RIkであり、
yzは、z個目の工程ランで前記工程ツールが処理されて、及び前記測定ツールが測定されたサンプリングワークの実測値を表し、
uz+1は、yzを採用する場合、(z+1)個目の工程ランの制御動作を表し、
G1,jは、yzを採用する場合、前記R2Rコントローラに用いられるコントローラ利得を表し、iは、前記R2Rコントローラに用いられるコントローラ利得の数を表し、
は、k個目の工程ランで前記工程ツールが処理したワークの仮想測定値を表し、
は、前記ワークの1組の工程データを推定モデルに入力することによって生成し、
uk+1は、
を採用する場合、(k+1)個目の工程ランの制御動作を表し、
G2,iは、
を採用する場合、前記R2Rコントローラに用いられるコントローラ利得を表し、
RIkは、前記k個目の工程ランの信頼指数(RI)を表し、前記k個目の工程ランに対応する前記信頼指数(RI)は、ワークの仮想測定値の統計分布とワークの参照予測値の統計分布との間のオーバーラップ領域を計算することによって生成され、前記k個目の工程ランの参照予測値は、1組の工程データを参照モデルに入力することによって生成され、前記オーバーラップ領域が大きくなるに従い前記信頼指数が高くなることは、信頼指数に対応する仮想測定値の信頼度が高いことを表し、
RITは、前記推定モデルから得る仮想測定値の誤差に定義される最大許容誤差の上限に基づくRI閾値を表し、
Cは、工程ランの予定数を表す、APC方法。
【請求項7】
前記推定アルゴリズム及び前記参照アルゴリズムは、それぞれ、重回帰(MR)アルゴリズム、サポートベクトル回帰(SVR)アルゴリズム、ニューラルネットワーク(NN)アルゴリズム、部分最小二乗法回帰(PLSR)アルゴリズム及びガウス過程回帰(GPR)アルゴリズムからなる群から選択される請求項6に記載のAPC方法。
【請求項8】
前記複数組の履歴工程データを用いることによって、統計距離アルゴリズムに基づいて、統計距離モデルを構築するステップと、
前記R2Rコントローラを調整することに用いられるG2,iは、GSIk>GSITの場合、
ではなく、0又は
であるという関係にしたがって、ランツーラン(R2R)コントローラで工程ツールを制御して、工程ランを実行させるステップと
を更に備え、
GSIkは、1組の工程データを統計距離モデルに入力することによって生成され、前記k個目の工程ランの前記全体類似指数(GSI)を表し、
GSITは、前記複数組の履歴工程データの最大全体類似指数の2〜3倍によって定義されるGSI閾値を表す、請求項6に記載のAPC方法。
【請求項9】
前記統計距離アルゴリズムは、マハラノビス距離アルゴリズム又はユークリッド距離アルゴリズムである請求項8に記載のAPC方法。
【請求項10】
前記R2Rコントローラは、移動平均(MA)コントローラ、指数加重移動平均(EWMA)コントローラ、二重EWMAコントローラ(d−EWMA)又は比例積分微分(PID)コントローラである請求項6から9の何れか1項に記載のAPC方法。
【請求項11】
コンピュータに、請求項6から請求項10のいずれか一項に記載のAPC方法を実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図5】
【図6A(1)】
【図6A(2)】
【図6B(1)】
【図6B(2)】
【図6C(1)】
【図6C(2)】
【図6D(1)】
【図6D(2)】
【図6E(1)】
【図6E(2)】
【図4B】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図5】
【図6A(1)】
【図6A(2)】
【図6B(1)】
【図6B(2)】
【図6C(1)】
【図6C(2)】
【図6D(1)】
【図6D(2)】
【図6E(1)】
【図6E(2)】
【図4B】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−33170(P2012−33170A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168707(P2011−168707)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(504455908)国立成功大学 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(504455908)国立成功大学 (18)
【Fターム(参考)】
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