説明

高性能カーボンナノチューブエネルギー蓄積装置

本発明の実施形態は、エネルギー蓄積装置およびエネルギー蓄積装置を製造する方法に関する。この方法は、金属基板にアクセスすること、および金属基板上に複数のカーボンナノチューブ(CNT)を直接形成することを含む。この方法は、前記複数のCNTから実質的にすべての非晶質炭素を除去すること、および複数のCNTを電解セパレータに結合することをさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
[001]本出願は、2009年12月21日に出願された、Nguyenらの「CAPACITOR USING CARBON NANOTUBE ELECTRODE」という名称の米国特許仮出願第61/288,788号明細書(代理人整理番号WIND−P001R)の優先権を主張するものである。この出願は、参照によりその全体がすべての目的のために本明細書に組み込まれる。
【政府の権利】
【0002】
[002]本明細書に記述されている発明は、米国空軍の契約の下での業務の遂行において寄与した非政府の被雇用者によってなされたものであり、Public Law 96−517(米国特許法(35 U.S.C.)第202条)の規定の適用を受ける。本発明は、空軍から授与された契約FA9453−09−M−0141の下で政府の助成でなされたものである。政府は本発明における一定の権利を有する。
【技術分野】
【0003】
[003]本発明の実施形態は、カーボンナノチューブ(CNT)、電極、およびエネルギー蓄積に関する。
【背景技術】
【0004】
[004]技術が進歩するにつれて、動力技術に対するエネルギーの必要性が急速に増大している。動力装置にエネルギーを蓄積する能力もまたますます重要になってきている。エネルギー蓄積に関する研究の量が増大している1つの分野が、カーボンナノチューブ(CNT)を用いたキャパシタである。CNTは一般に金属触媒層を用いて成長させられる。金属触媒層は、堆積中に制御するのが困難である。金属触媒層はキャパシタの製造のコストを増大させる。不都合なことに、金属触媒層は一般にCNTの成長後に残存し、性能に悪影響を及ぼす。
【0005】
[005]CNTと金属の間の界面の抵抗は、キャパシタ内の抵抗の主成分であることが多い。金属触媒層を用いて成長させたCNTは、残存する金属触媒層のせいで界面抵抗が高くなる。それによって高い界面抵抗は性能に悪影響を及ぼす。具体的には、高い界面抵抗によりキャパシタの電力性能が悪化する。
【0006】
[006]非晶質炭素もまた性能に悪影響を及ぼす。典型的なプロセスを用いてCNTが成長すると非晶質炭素になる。非晶質炭素は、表面積を減少させるCNTの細孔のアクセス性を低下させ、それによってCNTの性能に影響を及ぼす。
【発明の概要】
【0007】
[007]したがって、コストを低減し、抵抗を低くし、かつ性能を向上させるエネルギー蓄積装置を製造する必要性が存在する。本発明の実施形態は、製造が安価でありかつ高性能の(例えば低抵抗の)エネルギー蓄積装置(例えばキャパシタ)を提供する。本発明の実施形態は、金属触媒を含むまたは金属触媒でコーティングされた金属基板上にカーボンナノチューブ(CNT)を直接成長させることを含む。CNTは、触媒層を堆積させずに金属基板上に直接成長させられる。CNTから非晶質炭素が除去され、それによってエネルギー蓄積装置の性能を向上させる。
【0008】
[008]一実施形態では、本発明は、エネルギー蓄積装置の一部を形成する方法として実施される。この方法は、金属基板にアクセスすること、および金属基板上に複数のカーボンナノチューブ(CNT)を直接形成することを含む。金属基板は、金属触媒を含むことができ、または触媒でコーティングすることもできる。複数のCNTは、触媒層を用いずに金属基板上に直接成長させることができる。複数のCNTは化学気相成長(CVD)によって形成することができる。一実施形態では、複数のCNTは実質的に垂直に整列される。この方法は、複数のCNTから非晶質炭素を除去すること、および複数のCNTを電解セパレータに結合することをさらに含む。一実施形態では、非晶質炭素は水を伴うプロセスを経て除去される。
【0009】
[009]別の実施形態では、本発明はキャパシタを形成する方法として実施される。この方法は、第1の金属基板上に第1の複数のカーボンナノチューブ(CNT)を形成すること、および第1の複数のカーボンナノチューブ(CNT)から非晶質炭素を除去することを含む。第1の複数のCNTは、触媒層を追加せずに第1の金属基板上に直接成長させることができる。第1の複数のCNTは実質的に垂直に整列することができる。この方法は、第2の金属基板上に第2の複数のカーボンナノチューブ(CNT)を形成すること、および第2の複数のCNTから非晶質炭素を除去することをさらに含む。一実施形態では、第1の金属基板および第2の金属基板は金属触媒を含む。別の実施形態では、第1の金属基板および第2の金属基板は金属触媒でコーティングされる。次いで、第1の複数のCNTおよび第2の複数のCNTは膜(例えば電解セパレータ)に結合されることができる。
【0010】
[010]別の実施形態では、本発明はエネルギー蓄積装置である。この装置は、第1の金属基板、第2の金属基板、および電解セパレータを含む。一実施形態では、第1の金属基板は金属触媒を含む。別の実施形態では、第1の金属基板は金属触媒でコーティングされる。この装置は、第1の金属基板、第2の金属基板、および電解セパレータに結合された複数のカーボンナノチューブ(CNT)をさらに含む。複数のCNTは実質的に垂直に整列することができる。複数のCNTの第1の部分が第1の金属基板上に直接成長させられ、複数のCNTの第2の部分が第2の金属基板上に直接成長させられる。一実施形態では、複数のCNTは、触媒層を用いずに第1の金属基板上に直接成長させられる。複数のCNTから非晶質炭素が除去されている。非晶質炭素は水を伴うプロセスを経て除去することができる。
【0011】
[011]本発明の実施形態は、添付図面の図に限定するためではなく一例として示されており、添付図面の図において同様の参照番号は同様の要素を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の一実施形態による、エネルギー蓄積装置の一部の例示的な生産段階の図である。
【図1B】本発明の一実施形態による、エネルギー蓄積装置の一部の例示的な生産段階の図である。
【図2】本発明の一実施形態による、エネルギー蓄積装置の一部の例示的な生産段階の図である。
【図3】本発明の一実施形態による、エネルギー蓄積装置の一部の例示的な生産段階の図である。
【図4】本発明の一実施形態による、エネルギー蓄積装置の例示的な生産段階の図である。
【図5】本発明の一実施形態による、エネルギー蓄積装置の例示的な生産段階の図である。
【図6】本発明の一実施形態による、エネルギー蓄積装置の例示的な生産段階の図である。
【図7】本発明の実施形態による、エネルギー蓄積装置を製造するためのプロセスの例示的なフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態による、例示的なエネルギー蓄積装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[016]次に、本発明による様々な実施形態について詳細に説明する。実施形態の例は添付図面に例示されている。本発明について様々な実施形態に関連して説明するが、これらの様々な実施形態は本発明を限定するものではないことが理解されたい。それどころか、本発明は、添付の特許請求の範囲に従って解釈される本発明の範囲内に含まれうる代替物、変更物、および均等物を網羅するよう意図されている。さらに、本発明による様々な実施形態の以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために多くの特定の詳細が記載されている。しかしながら、本発明はこれらの特定の詳細を用いずに実施されうることが当業者には明らかであろう。他の例では、周知の方法、手順、構成要素、および回路は、本発明の態様を不必要に不明瞭にしないように、詳細には記述されていない。
【0014】
例示的なエネルギー蓄積装置およびエネルギー蓄積装置を製造する方法
[017]図1〜図3に、本発明の一実施形態による、エネルギー蓄積装置の一部の例示的な生産段階の図を示す。図1Aを参照すると、金属基板102aが選定される。金属基板102aは金属合金とすることができ、金属合金は、Fe、NiもしくはCo、または任意の他の金属、あるいはカーボンナノチューブの成長を支える能力をもつ金属の組合せなどの金属触媒108aを含んでいる様々な合金とすることができる。一例として、FeCrAl合金、カンタル(例えば、主として鉄、クロム(20〜30%)、およびアルミニウム(4〜7.5%))、ニュージャージー州モリスタウンのDriver−Harris Companyから入手可能なニクロム(登録商標)(例えば、ニッケル80質量パーセントおよびクロム20質量パーセント)、またはステンレス鋼がある。
【0015】
[018]図1Bを参照すると、金属基板102bが選定される。金属基板102bは、金属(例えば、Fe、Ni、Co、Al)または金属箔(例えば、Alおよび/またはCrを含む)とすることができる。一実施形態では、金属基板102bは、触媒108bを用いて(例えば、連続プロセスを経て)コーティングまたは堆積することができる。
【0016】
[019]図2を参照すると、カーボンナノチューブ(CNT)104が金属基板102上に直接形成または成長される。CNT104は、構造が高度に多孔質であり、メソ細孔のかなりの部分と大きい使用可能な表面積とで特徴付けられる。CNT104は化学的に安定しており不活性である。CNT104は電気的に導電性である。図2の金属基板102は、図示されていない触媒(例えば、触媒108aまたは触媒108b)を含むことが留意されたい。
【0017】
[020]一実施形態では、CNT104は、熱化学気相成長(CVD)プロセスで成長させられる。例えば、CVDプロセスは、600℃を超える温度でかつ酸素濃度の低い環境の中で炭化水素(例えば、エチレン、任意のCH基の炭化水素、または他の炭素源)を用いて実行することができる。CNT104は、金属触媒堆積を用いずに金属基板102の表面上に直接成長させられる。一実施形態では、CNT104は、金属基板上に直接成長させられた多層塔状構造体(multi−walled tower−like structures)である。別の実施形態では、CNT104は、金属基板上に直接成長させられた単層塔状構造体である。別の実施形態では、CNT104は、金属基板上に直接成長させられた単層塔状構造体と多層塔状構造体の両方を組み合わせたものである。
【0018】
[021]触媒層を用いずにCNT104を直接成長させることにより、高い界面抵抗の問題および基板上に残存する触媒層の問題が取り除かれる。したがって、本発明の諸実施形態は、界面抵抗に影響を及ぼす触媒不純物を有していない。したがって、実施形態はCNTと金属基板との間の界面に最小電気抵抗を有し、それによってエネルギー蓄積装置の性能を向上させる。金属基板上にCNTを直接成長させることにより、不活性材料の不必要な重量を低減する結合剤を使用する必要もなくなる。
【0019】
[022]一実施形態では、CNT104は垂直整列構成である。CNT104は、水平のランダムで無秩序な配列、他の材料を有するCNT、または他の整列などを含む様々な構成とすることができる。例えば、CNT104は、垂直な(例えば、金属表面に対して垂直な)塔状構造体とすることができる。別の実施形態では、CNTは、垂直方向の構造的整列の度合いの低いランダムネットワークと似ている。
【0020】
[023]一実施形態では、CNT104に親水性特徴を与えて電解質によるぬれをより良くするために、CNT塔のプラズマベースの処理(例えば、Oプラズマによる)が実行される。これにより、電解質からのより多くのイオンがCNT電極内の細孔にアクセスすることが可能になり、それによってヘルムホルツ層における電荷密度を増大させる。
【0021】
[024]CNT104が成長する間、CNT104は非晶質炭素106を発生させる可能性がある。非晶質炭素106はCNT104相互間の空間をふさぎ、したがってCNT104が多孔質でなくなり、それによってCNT104の(例えば電極としての)性能に影響を及ぼす。一実施形態では、成長温度を制御して非晶質炭素不純物を実質的に減らす。
【0022】
[025]図3を参照すると、洗浄プロセスがCNT104に適用され、非晶質炭素106はCNT104から(例えば、部分的にまたは完全に)除去され、それによってエネルギー蓄積装置110の一部が生成される。一実施形態では、CNT104から非晶質炭素106を除去するために高温の水蒸気が使用される。使用される洗浄プロセスは、参照により本明細書に組み込まれている、Delzeitらの米国特許第6,972,056号明細書に記述されているプロセスとすることができる。
【0023】
[026]一実施形態では、非晶質炭素を含む不純物を除去するためのカーボンナノチューブコレクタ電極を浄化するために、連続水処理プロセスが使用される。連続水処理プロセスは、湿った不活性キャリアガス流(例えば、ArまたはN)を含むことができ、追加の乾燥したキャリアガス流を含むこともできる。湿った不活性キャリアガス流と追加の乾燥したキャリアガス流とを混合して水濃度を制御することができる。水は、バブラ(bubbler)、膜移動システム、または他の水注入方法を用いて加えることができる。水蒸気は、50〜1100℃の高温でプロセス室に導入することができる。プロセス室の温度は50〜1100℃である。水処理は電極の気孔率を高め、それによって細孔のアクセス性を向上させ、電極表面積が大きい応用例でのCNTの使用を可能にする。表面積の増大は、本発明の実施形態によるエネルギー蓄積装置の性能を向上させたり静電容量を高めたりする。例えば、水処理により、水処理されたCNT電極の場合に比静電容量値が約3倍増加することができる。
【0024】
[027]図4〜図6に、本発明の一実施形態による、エネルギー蓄積装置の例示的な生産段階の図を示す。図4を参照すると、エネルギー蓄積装置の2つの部分210a、210bが(例えば本明細書に記述されているように)形成され、膜206が選定される。エネルギー蓄積装置の部分210a、210bはそれぞれ、金属基板202a、202bおよびCNT204a、204bを含む。金属基板202a、202bは、触媒でコーティングされてもよく、または金属触媒を含む金属合金でもよい。CNT204a、204bは金属基板202a、202b上に直接成長させられ、非晶質炭素が除去される。膜206は、ポリプロピレン、Nafion、ノースカロライナ州シャーロットのCelgard LLC(セルガード社)から入手可能なCelgardまたはCelgard 3400などの様々な材料を含む多孔質セパレータとすることができる。
【0025】
[028]図5を参照すると、CNT204a、204bは膜206に結合される。一実施形態では、CNT204a、204bおよび金属基板202a、202bはクランプアセンブリ(例えば、クランプアセンブリ408)によって膜206に結合される。
【0026】
[029]図6を参照すると、CNT204a、204bは、液体もしくはゲルとすることができる電解質208の中に入れられてもよく、または特定のゲル、空気、もしくは真空で取り囲まれていてもよい。電解質208は、水性電解質(例えば、硫酸ナトリウム(NaSO)、水酸化カリウム(KOH)、塩化カリウム(KCl)、硫酸(HSO)、塩化マグネシウム(MgCl)など)、非水電解質溶媒(例えば、アセトニトリル、プロピレンカーボネート、テトラヒドロフラン、ガンマ−ブチロラクトン、ジメトキシエタン)、無溶媒イオン液体(例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド(EMIMBeTi)など)を含む様々な電解質とすることができる。
【0027】
[030]電解質208は、テトラアルキルアンモニウム塩(例えば、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウム((CNBF)、テトラフルオロホウ酸メチルトリエチルアンモニウム((CCHNBF)、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム((CNBF)、ヘキサフルオロリン酸テトラエチルアンモニウム(C)NPF))、テトラアルキルホスホニウム塩(例えば、テトラフルオロホウ酸テトラエチルホスホニウム((CPBF)、テトラフルオロホウ酸テトラプロピルホスホニウム((CPBF)、テトラフルオロホウ酸テトラブチルホスホニウム((CPBF))、リチウム塩(例えば、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)、トリフルオロメチルスルホン酸リチウム(LiCFSO))を含む溶媒に使用される様々な電解質塩を含むことができる。
【0028】
[031]図7を参照すると、例示的なフローチャート300は、本発明の様々な実施形態で用いられるコンピュータ制御プロセス例を示している。特定のブロックがフローチャート300の中に開示されているが、かかるブロックは例示的なものである。すなわち、実施形態は、他の様々なブロックまたはフローチャート300に記載されているブロックの変形を実行するのによく適している。フローチャート300内のブロックは提示されているのとは異なる順序で実行されうること、および、フローチャート300内のブロックのすべてが実行されなくてもよいことが理解されよう。
【0029】
[032]図7は、本発明の実施形態による、エネルギー蓄積装置を製造するためのプロセスの例示的なフローチャート300を示す。プロセス300は、電気化学二重層キャパシタ(EDLC)を製造するために実施可能となりうる。
【0030】
[033]ブロック302で、第1の複数のカーボンナノチューブ(CNT)(例えば、CNT204a)が第1の金属基板(例えば金属基板202a)上に形成される。本明細書に記述されているように、CNTは金属基板上に直接形成することができる。
【0031】
[034]ブロック304で、第1の複数のCNTから非晶質炭素が除去される。本明細書に記述されているように、非晶質炭素は水処理プロセスを経て除去しておくことができる。ブロック306で、第1のワイヤが第1の金属基板に結合される。
【0032】
[035]ブロック308で、第2の複数のカーボンナノチューブ(CNT)(例えば、CNT204b)が第2の金属基板(例えば金属基板202b)上に形成される。本明細書に記述されているように、CNTは金属基板上に直接形成することができる。
【0033】
[036]ブロック310で、第2の複数のCNTから非晶質炭素が除去される。本明細書に記述されているように、非晶質炭素は水処理プロセスを経て除去しておくことができる。ブロック312で、第2のワイヤが第2の金属基板に結合される。
【0034】
[037]ブロック314で、第1の複数のCNTおよび第2の複数のCNTは膜(例えば電解セパレータ)に結合される。ブロック316で、電解質が追加される。電解質は、本明細書に記述されているように、様々な電解質とすることができる。
【0035】
[038]図8に、本発明の一実施形態による、例示的なエネルギー蓄積装置のブロック図を示す。一実施形態では、装置アセンブリ400は、電気化学二重層キャパシタ(EDLC)とすることができる。装置アセンブリ400は、0.05V以上の動作電圧を有することができる。本発明の実施形態は、急速充電時間、大電力送出(high power delivery)、および高エネルギー密度を支える。
【0036】
[039]装置アセンブリ400は、電解膜406で隔てられた2つのCNT電極404a、404bを備える。一実施形態では、CNT電極404a、404bは、触媒でコーティングされた金属基板または金属箔上に1×1cmより大きい面積とすることができ、ロール・ツー・ロール方式で製造することができる。CNT電極404a、404bは、電極材料の任意の連続的な加工で製造することができる。CNT電極404a、404bは、水処理の有無にかかわらずかつ追加の触媒の有無にかかわらず基板から形成することができる。
【0037】
[040]クランプアセンブリ408を貼る前に電気リード線がアセンブリに取り付けられる。電気リード線410(例えば、細い金属線)は、電気接触を可能にするために、コレクタ402a、402b(例えば、金属基板202a、202b)の背面と接触する。次いで、装置アセンブリ400は、本明細書に記述されているように、電解質(例えば、溶媒和イオンを含む電解質溶液)(図示せず)の容器の中に入れられる。電気リード線410は、キャパシタの作動を促進するために溶液から外へ与えられる。
【0038】
[041]クランプアセンブリ408は電極404a、404bを極めて接近して保持し、電解膜406は、適切な電極間隔を維持するのと同時に、装置アセンブリ400の体積を最小限に抑える。一実施形態では、クランプアセンブリ408は高密度アセンブリポリプロピレン(HDPE)である。
【0039】
[042]一実施形態では、装置アセンブリ400は、2つの垂直に整列された多層CNT塔状電極404a、404bと電解膜406(例えば、celgardまたはポリプロピレン)とを有する平行板キャパシタであり、従来の水性電解質(例えば、40%硫酸またはKOH)を使用している。
【0040】
[043]装置アセンブリ400は、電池または他のエネルギー蓄積装置の代わり、家庭用電化製品(例えば、携帯電話、カメラ、コンピュータ、PDA(携帯情報端末)、スマートフォン、ポケベル、および充電装置)、自動車(例えば、電気/ハイブリッド車両用、制動などの自動車運転時に消耗されるエネルギーの計算用、ならびにモータ、照明、器具類などの駆動用)、スマートグリッド(例えば、家庭、商業ビルおよび工場への電力供給用)、常温始動の支援、触媒コンバータの余熱、配達用トラック、ゴルフカート、ゴーカート、コンピュータ用の無停電電源装置(UPS)、予備電源システム、コピー機(例えば、ウォーム・アップ・モードを迅速化すること、および待機モードを最小限に抑えること)、カー・ステレオ・アンプなどを含む様々な用途に実施可能となりうる。
【0041】
[044]したがって、本発明の実施形態は、製造を安価にするとともに性能を高めた(例えば低抵抗の)エネルギー蓄積装置(例えばキャパシタ)を提供する。本発明の実施形態は、金属触媒を含む金属基板または金属触媒でコーティングされた金属基板上にカーボンナノチューブ(CNT)を直接成長させることを含む。CNTは、触媒層を堆積させずに金属基板上に直接成長させられる。CNTから非晶質炭素が除去され、それによってエネルギー蓄積装置の性能を向上させる。
【0042】
[045]本発明の特定の実施形態に関する先の記述は、例示および説明のために提示されている。本発明の特定の実施形態は、網羅的なものではなく、すなわち本発明を開示されている正確な形に限定するものではなく、多くの修正および変形が上記の教示に照らして可能である。実施形態は、本発明および本発明の実際の適用の原理を最もよく説明するために選択され記述されており、それにより、当業者は、本発明と予期される特定の用途に適している様々な修正点を有する様々な実施形態とを最もよく利用することが可能になる。本発明の範囲は、本明細書に添付されている特許請求の範囲およびその同等物によって定義されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー蓄積装置の一部を形成する方法であって、
金属基板にアクセスするステップと、
金属基板上に複数のカーボンナノチューブ(CNT)を直接形成するステップと、
前記複数のCNTから非晶質炭素を除去するステップと、
前記複数のCNTを電解セパレータに結合するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記金属基板が金属触媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属基板が金属触媒でコーティングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のCNTが、触媒層を追加することなく前記金属基板上で直接成長される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記非晶質炭素が水を伴うプロセスを経て除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のCNTが実質的に垂直に整列される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のCNTが化学気相成長(CVD)によって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
キャパシタを形成する方法であって、
第1の金属基板上に第1の複数のカーボンナノチューブ(CNT)を形成するステップと、
前記第1の複数のカーボンナノチューブ(CNT)から非晶質炭素を除去するステップと、
第2の金属基板上に第2の複数のカーボンナノチューブ(CNT)を形成するステップと、
前記第2の複数のCNTから非晶質炭素を除去するステップと、
前記第1の複数のCNTおよび前記第2の複数のCNTを膜に結合するステップと、
を備える方法。
【請求項9】
前記第1の金属基板および前記第2の金属基板が金属触媒を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の金属基板および前記第2の金属基板が金属触媒でコーティングされる、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の複数のCNTが、触媒層を追加することなく前記第1の金属基板上に直接成長される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の複数のCNTが実質的に垂直に整列される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記膜が電解セパレータである、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
エネルギー蓄積装置であって、
第1の金属基板および第2の金属基板と、
電解セパレータと、
前記第1の金属基板、前記第2の金属基板、および前記電解セパレータに結合された複数のカーボンナノチューブ(CNT)と、
を備え、
前記複数のCNTの第1の部分が前記第1の金属基板上に直接成長させられ、前記複数のCNTの第2の部分が前記第2の金属基板上に直接成長させられ、前記複数のCNTから非晶質炭素が除去されている、エネルギー蓄積装置。
【請求項15】
前記第1の金属基板が金属触媒を含む、請求項14に記載のエネルギー蓄積装置。
【請求項16】
前記複数のCNTの前記第1の部分が第1の電極を形成し、前記複数のCNTの前記第2の部分が第2の電極を形成し、前記第1の電極および前記第2の電極が1×1cmより大きい、請求項14に記載のエネルギー蓄積装置。
【請求項17】
前記複数のCNTが、触媒層を追加することなく前記金属基板上に直接成長される、請求項14に記載のエネルギー蓄積装置。
【請求項18】
請求項18は原文になし。
【請求項19】
前記エネルギー蓄積装置がキャパシタであり、前記キャパシタが0.05Vを超える電圧で動作可能である、請求項14に記載のエネルギー蓄積装置。
【請求項20】
前記複数のCNTが連続プロセスで形成される、請求項14に記載のエネルギー蓄積装置。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2013−514967(P2013−514967A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546127(P2012−546127)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/061375
【国際公開番号】WO2011/084756
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(512319988)ウルトラ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】