説明

高性能ガラス繊維用のサイズ剤および該サイズ剤を内包する複合材料

エポキシフィルム形成剤、ウレタンフィルム形成剤、アミノシランカップリング剤およびエポキシシランカップリング剤を含むシランパッケージ、カチオン性潤滑剤、非イオン性潤滑剤、帯電防止剤、および少なくとも1種の酸を含有するサイジング組成物を提供する。当該エポキシ樹脂エマルジョンは、低分子量液体エポキシ樹脂と1種以上の界面活性剤を含む。上記エポキシ樹脂は、好ましくは、185〜192のエポキシ当量を有する。上記サイジング組成物は、必要に応じて、メタクリルオキシシランを含有し得る。上記サイジング組成物を使用して、フィラメント巻取り用途において使用するガラス繊維をサイズ処理し、改良された機械的性質、湿潤引張特性、改良された亀裂に対する抵抗性および改良された加工特性を有する補強複合物品を製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、一般に、ガラス繊維用のサイズ組成物、さらに詳細には、ガラス繊維をサイジングするためのエポキシエマルジョンとウレタンを含有するサイズ組成物に関する。サイズ処理した繊維は、編みまたは織りのようなその後の加工工程を受ける繊維においてとりわけ有用である。サイズ処理繊維は、減重量複合材において使用するのにとりわけ適している。また、上記サイジング組成物でサイズ処理した繊維から形成された風力タービンブレードおよびナセル(nacelle)、航空機内部および外部部品、車両および基盤構造体アーマー(infrastructure armor)、伝送ケーブル、自動車部品、CNG/LNGタンクのような高圧タンク、高圧パイプ、石油プラットフォーム構造物、電子装置、陶磁器および耐熱性濾過基体のような複合物品も提供する。
【0002】
(背景技術)
ガラス繊維は、各種の技術において有用である。例えば、ガラス繊維は、大気条件の変化に応答して収縮または伸張しないことから寸法安定性を有するので、ガラス繊維強化プラスチックまたは複合体を製造するためにポリマーマトリックス中の補強材として一般的に使用されている。さらに、ガラス繊維は、高引張強度、耐熱性、耐湿性および低熱伝導性も有している。
典型的には、ガラス繊維は、溶融ガラス材料の流れをブッシングまたはオリフィスから減衰することによって形成する。溶融ガラスは、集めたフィラメントをパッケージ中に収集する巻取り機によって或いは繊維を収集し切断する前に引っ張るロールによって減衰し得る。水性サイジング組成物は、典型的には、ブッシングから延伸した後の繊維に適用する。繊維は、サイジング組成物で処理すると直ぐに、パッケージ内で乾燥させ或いはストランド形に切断し得る。繊維を乾燥させることにより、液媒を蒸発させ、ガラス繊維表面を軽くコーティーングしている残留物としてサイズを付着させる。
通常のサイジング組成物は、典型的には、1種以上のフィルム形成性高分子または樹脂成分、ガラス-樹脂カップリング剤、および液媒中に溶解または分散させた1種以上の潤滑剤を含む。サイズ組成物のフィルム形成性成分は、望ましくは、ガラス繊維を埋込むべきマトリックス樹脂(1種以上)と適合性があるように選定する。エポキシ樹脂およびポリウレタンは、サイズ組成物中のフィルム形成性成分として使用されている。エポキシ樹脂は、繊維を物品の補強において使用すべき場合に典型的に使用される。エポキシフィルム形成剤は、多くの樹脂系用の広範囲の補強系のサイジング組成物において、連続マルチフィラメントガラス繊維ストランドを硬化性樹脂組成物で含浸することによって使用されている。
【0003】
最近、Owens Corning社(米国オハイオ州トリード)は、その比較的低い繊維化温度故に、耐火ライニング炉内での低コスト直接溶融法を使用してガラス繊維に安価に形成することのできる高性能(HP)ガラスを開発している。これらのHP繊維は、2005年11月5日に出願された“Composition For High Performance Glass”と題する米国特許出願第11/267,702号に開示されており、該特許出願の内容全体を、本明細書に参考として明確に合体させる。繊維に形成した時点で、該ガラス組成物は、より高価なSガラス繊維の強度特性を有する。本発明のガラス組成物は、60.5〜70.5質量%のSiO2、10.0〜24.5質量%のAl2O3、6.0〜20.0質量%のRO(ROは、MgO、CaO、SrOおよびBaOの和に等しい)および0.0〜3.0質量%のアルカリ金属酸化物である。好ましい実施態様においては、該ガラス組成物は、実質的に、61〜68質量%のSiO2、15〜19質量%のAl2O3、15〜20質量%のRO、0〜3質量%のZrO2、および0〜3質量%のアルカリ金属酸化物である。
従って、上記繊維の加工性を改良すると同時に得られる複合体およびガラス繊維で補強することのできる広範囲の高分子材料の物理的性質も改良するというサイジング組成物の二重の役割に照らして、当該技術においては、補強された複合物品に増強された物理的性質と加工特性を与える特別に調整されたサイジング組成物が絶えず求められている。
【0004】
(発明の開示)
本発明の目的は、エポキシ樹脂エマルジョン、ウレタン、少なくとも1種のアミノシランカップリング剤および少なくとも1種のエポキシシランカップリング剤を含むシランパッケージ、非イオン性潤滑剤、カチオン性潤滑剤、帯電防止剤、有機酸、およびホウ素含有化合物を含むガラス繊維用のサイジング組成物を提供することである。上記エポキシ樹脂エマルジョンは、エポキシ樹脂と少なくとも1種の界面活性剤を含有する。エポキシ樹脂は、180〜210、さらに好ましくは180〜195のエポキシ当量を有することが好ましい。該サイズ組成物は如何なるガラス繊維にも適用し得るけれども、サイズの性能は、低ホウ素を含有する乃至ホウ素を含有しないガラス繊維を使用するときに最適化される。
上記サイズ組成物において使用し得る適切な有機酸の例としては、酢酸、ギ酸、コハク酸および/またはクエン酸がある。酢酸が、上記サイズ組成物において使用するのに最も好ましい有機酸である。ホウ酸は、最も好ましいホウ素含有化合物である。上記サイズ組成物は、ドラッグ(drag)およびガラス繊維上で生じる毛羽の量を低減させる。さらに、ドラッグの低減は、加工中にガラス繊維との接触点上に付着するサイズ量も低減する。上記サイジング組成物は、フィラメント巻取り用途において使用する繊維をコーティーングするのに有利に使用し得る。
本発明のもう1つの目的は、エポキシ樹脂エマルジョン、ウレタン、少なくとも1種のアミノシランカップリング剤および少なくとも1種のエポキシシランカップリング剤を含むシランパッケージ、非イオン性潤滑剤、カチオン性潤滑剤、帯電防止剤、有機酸、およびホウ素含有化合物を含むサイジング組成物でサイズ処理した複数のガラス繊維から形成された複合物品を提供することである。上記サイジング組成物でサイズ処理した繊維から製造した補強複合製品は、改良された湿潤機械特性、改良された強度のような改良された物理的性質、およびエポキシ樹脂によるガラスストランドの迅速な含浸、破壊フィラメント量の低さのような優れた加工特性、並びに複合部品の改良された機械特性を示す。
【0005】
上記サイジング組成物の利点は、上記サイズ組成物中に存在する低分子量エポキシ樹脂エマルジョンが、上記サイジング組成物中での有機溶媒の必要性を低下または排除する液体形にあることである。サイズ剤中での有機溶媒の削減は、放出される揮発性有機化合物(VOC)の量も減少させ、それによってより安全でより環境に優しい仕事場を創生する。
上記サイジング組成物の利点は、上記ウレタンが、繊維を、有機ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、ポリカーボネート、フェノール系、ウレタン、シアネートエステル、ビスマレイミド、ポリイミド、ポリアミド、コポリエステル、ポリオレフィン、ABSのマトリックス並びに同様なマトリックス樹脂系中に含ませる前に、編みまたは織り工程に供する場合に、繊維の改良された性質を与えることである。上記サイジング組成物は、繊維の補強すべきマトリックス樹脂との適合性を改良するために適用する。繊維の加工性および繊維-ポリマー結合性を改良する以外に、上記サイジング組成物は、補強繊維から形成された複合物品の物理的性質も増強する。また、上記フィルム形成性エマルジョンが、実質的に無色であり、水に容易に分散することも、本発明の利点である。
また、上記サイズ組成物中に存在する少量のホウ素が空気中に存在するホウ素の量を低減し、上記サイズ組成物を環境的に優しくするのを助けることも利点である。
また、上記サイズ組成物が繊維上でのサイズ剤の一体性を増強させて織りまたは編みのようなその後の機械加工において増強された物理的性質を与えることも、本発明の利点である。
また、上記サイズ組成物が、製造工程において接触点とサイズ処理ガラス繊維(ドラッグ)間に発生した摩擦を低減させ、それによってガラス繊維上の毛羽の量を減少させることも、本発明の利点である。
上記および他の目的、特徴並びに本発明の利点は、以下の詳細な説明を検討すれば、より十分に明らかとなろう。
【0006】
(発明を実施するための最良の形態)
特に断らない限り、本明細書において使用する全ての技術および科学用語は、本発明が属する技術における通常の熟練者が一般的に理解しているのと同じ意味を有する。本明細書において説明する方法および材料と同様なまたは等価の任意の材料または方法を本発明の実施または試験において使用し得るけれども、本明細書においては、好ましい方法および材料を説明する。用語“サイズ組成物”、“サイジング組成物”、“サイズ”および“サイズ剤”は、本明細書においては互換的に使用していることに留意すべきである。
本発明は、風力タービンブレードおよびナセル、航空機内部および外部部品、車両および基盤構造体アーマー、伝送ケーブル、自動車部品、CNG/LNGタンクのような高圧タンク、高圧パイプ、石油プラットフォーム構造物、電子装置、陶磁器および耐熱性濾過基体において高性能繊維と一緒に有利に使用することのできる繊維用の改良されたサイジング組成物に関する。該サイジング組成物は、エポキシフィルム形成剤、ウレタン、アミノシランカップリング剤およびエポキシシランカップリング剤を含むシランパッケージ、カチオン性潤滑剤、非イオン性潤滑剤、帯電防止剤、および少なくとも1種の酸を含む。さらに、該サイジング組成物は、ポリウレタンまたはエポキシ/ポリウレタンフィルム形成剤も含有し得る。
上記サイジング組成物のエポキシフィルム形成性ポリマー成分としては、低分子量エポキシ樹脂および少なくとも1種の界面活性剤を含有するエポキシ樹脂エマルジョンがある。上記フィルム形成剤は、繊維を加工中の劣化から保護し且つ繊維とマトリックス樹脂との適合性を付与するように機能する。好ましくは、エポキシ樹脂は、360〜420の分子量および180〜210のエポキシ当量、より好ましくは360〜390の分子量および180〜195のエポキシ当量、最も好ましくは370〜384の分子量および185〜192のエポキシ当量を有する。“エポキシ当量”とは、本明細書において使用する場合、当該化合物中に存在するエポキシ基の数で割ったエポキシ樹脂の分子量として定義する。有用なエポキシ樹脂は、多価アルコールまたはチオールのポリグリシジルエーテルのように、分子中に少なくとも1個のエポキシまたはオキシラン基を含有する。適切なエポキシフィルム形成性樹脂の例としては、EPON 828 (Hexion Specialties Chemicals Incorporated社から入手し得る)、DER 331 (The Dow Chemical Company社から入手し得る)、Araldite 6010 (Huntsman社から入手し得る)およびEPOTUF 37-140 (Reichhold Chemical Co社から入手し得る)がある。
【0007】
低分子量エポキシ樹脂エマルジョンは、ジアセトンアルコールのような溶媒の必要性を低減する、或る場合には削除する液体形にある。この有機溶媒の削減は、作業環境に放出されるVOC(揮発性有機化合物)類の量も減少させる。さらに、本発明に従う低分子量エポキシフィルム形成性エマルジョンは、実質的に無色である。本明細書において使用するとき、“実質的に無色”なる用語は、エポキシエマルジョンの着色が最小限であるかまたは全くないことを意味する。本発明のエポキシエマルジョンのもう1つの利点は、これらのエマルジョンが水に容易に分散することである。また、本発明のエポキシ樹脂は、より良好な樹脂湿潤性、より高いエポキシ反応性、改良されたコーティーング特性、改良されたエマルジョン分散性および低下したストランド硬直性も与える。
エポキシ樹脂エマルジョンにおいて使用する適切な界面活性剤の例としては、限定するものではないが、TRITON X-100、即ち、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(Union Carbide Corp.社から入手し得る)、PLURONIC P103、即ち、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(BASF社から入手し得る)、PLURONIC F77、即ち、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(BASF社から入手し得る)、PLURONIC 10R5、即ち、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー(BASF社から入手し得る)、PLURONIC L101のようなエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマー(BASF社から入手し得る)、PLURONIC P105のようなポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(BASF社から入手し得る)、およびエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー(BASF社から入手し得る)がある。好ましくは、エポキシ樹脂エマルジョンは、2種以上の界面活性剤を含有する。好ましい実施態様においては、(1)エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーと(2)ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマーの組合せ(PLURONIC L101とPLURONIC P105とのような)をエポキシ樹脂エマルジョン中で使用する。1種以上の界面活性剤は、エポキシ樹脂エマルジョン中に、10〜25%の量、最も好ましくは18%の量で存在し得る。
エポキシ樹脂エマルジョンは、上記サイズ組成物中に、約60〜約90質量%固形分、好ましくは約70〜80質量%固形分の量で存在する。
【0008】
通常のバインダーおよび本発明のバインダーにおける均一な取込みに基づくストランド上の理論的パーセント固形分の比較を下記の表1に示す。

表1

【0009】
表2:物理試験データ


表3:曲げデータ(エポキシ)


表4:曲げデータ(ポリエステル)

【0010】
表5:ショートビームデータ(エポキシ)


表6:ショートビームデータ(ポリエステル)


表7:圧縮データ(エポキシ)


表8:圧縮データ(ポリエステル)

【0011】
各HPガラスは、下記の表9A〜9Cに列挙した例において示すような範囲のガラス組成物から製造する;各組成物を、ガラスおよびガラスから製造した繊維の機械的または物理的性質を測定する目的で、白金ルツボ内または連続白金ライニング溶融装置内で溶融した。表1〜8のデータを得るのに使用した繊維は、例14に示している。物理的性質の測定単位は、粘度(℃(°F))、液相線温度(℃(°F))およびΔT(℃(°F))である。幾つかの例においては、ガラスを繊維化し、強度(MPa(KPsi))、密度(g/cc)、モジュラス(MPa(MPsi))、軟化点(℃(°F)および熱膨張係数(CTE) (in/in/(°F))を測定した。
本発明においての繊維化粘度の温度は、回転スピンドル粘度計を使用して測定した。繊維化粘度を、1000ポイズと決定する。本発明においての液相線は、ガラスを満たした白金容器を熱勾配炉内に16時間置くことによって測定した。結晶が存在する最高温度を液相線温度とみなした。モジュラスは、ガラス単繊維に対して音波法を使用して測定した。引張強度は、原始単繊維において測定した。CTEは、膨張計により、25〜600℃の温度範囲に亘って測定した。軟化点温度は、ASTM C338繊維伸張法を使用して測定した。
【0012】
表9A

【0013】
表9B

【0014】
表9C

【0015】
当該技術において理解されているように、上記の例としての本発明組成物は、統計的慣例(四捨五入および平均化のような)並びにある種の組成物が挙げていない不純物を含み得るという事実により、列挙した成分の合計が常に100%とはならない。勿論、組成物中のあり得る不純物を含む全成分の実際の量は、常に合計100%である。さらにまた、少量の、例えば、約0.05質量%以下程度の量の成分を組成物において明記している場合、それらの成分は、意図的に添加するよりはむしろ、原材料中に存在する微量不純物の形で存在し得ると理解すべきである。
さらに、上記バッチ組成物には、例えば、処理を容易にするための成分を添加することもでき、これらの成分は後で除去し、それによってそのような成分を本質的に含まないガラス組成物を調製する。従って、例えば、微量のフッ素および硫酸塩のような成分は、本発明の商業的実施においてシリカ、カルシア、アルミナおよびマグネシア成分を提供する原材料中の微量不純物として存在し得、或いは、これらの成分は、製造中に本質的に除去される加工助剤であり得る。
【0016】
上記サイズ組成物において使用するシランパッケージは、少なくとも1種のアミノシランカップリング剤および少なくとも1種のエポキシシランカップリング剤を含む。上記サイズ組成物のシランパッケージにおいて使用するカップリング剤は、ガラス表面と反応して望ましくないヒドロキシル基を除去し得る加水分解性基およびフィルム形成性ポリマーと反応して該ポリマーをガラス表面と化学的に結合させ得る1個以上の基を有し得る。詳細には、上記カップリング剤は、好ましくは、ガラス繊維の表面と相互作用し得る1〜3個の加水分解性官能基およびポリマーマトリックスと適合性のある1個以上の有機基を含む。
上記シランパッケージにおいて使用する適切なカップリング剤は、シランのケイ素原子に対する易加水分解性結合またはその加水分解生成物を有する。本発明のサイズ組成物において使用し得るシランカップリング剤は、官能基アミノ、エポキシ、アジド、ビニル、メタクリルオキシ、ウレイドおよびイソシアネートに特徴を有し得る。さらに、上記カップリング剤は、非加水分解性結合を介してシランのケイ素原子に結合したアクリリルまたはメタクリリル基を含み得る。
上記シランパッケージにおいて使用するカップリング剤としては、構造Si(OR)2を含むモノシラン類があり、式中、Rは、アルキル基のような有機基である。メチル、エチルおよびイソプロピルのような低級アルキル基が好ましい。シランカップリング剤は、フィルム形成剤のガラス繊維への接着を増強し且つその後の加工中に毛羽または破壊繊維フィラメントの量を低減するように機能する。上記シランパッケージにおいて使用する適切なアミノシランカップリング剤の例としては、限定するものではないが、アミノプロピルトリエトキシシラン(GE Silicones社からのA-1100)、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(GE Silicones社からのA-1120)、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(GE Silicones社からのY-9669)、およびビス-γ-トリメトキシシリルプロピルアミン(GE Silicones社からのA-1170)がある。好ましくは、アミノシランカップリング剤は、アミノプロピルトリエトキシシラン(GE Silicones社からのA-1100)である。アミノシランカップリング剤は、上記サイズ組成物中に、0.4〜0.8質量%固形分の量、好ましくは0.4〜0.6質量%固形分の量で存在し得る。理論によって拘束することは望まないものの、本発明のサイジング組成物中での最小量のアミノシランカップリング剤の上記存在は、最終製品の機械的性質を改良するものと信じている。上記サイジング組成物に添加した多過ぎるアミノシランカップリング剤は、機械的性質を劣化させ得る。
【0017】
適切なエポキシシランカップリング剤の非限定的な例としては、3-グリシドキシ-1-プロピル-トリメトキシシランのようなグリシドキシポリメチレントリアルコキシシラン;3-メタクリリルオキシ-1-プロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GE Silicones社から入手し得るA-187)、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(GE Silicones社から入手し得るA-174)のようなアクリルオキシまたはメタクリリルオキシポリメチレントリアルコキシシラン;α-クロロプロピルトリメトキシシラン(Shin-Etsu Chemical社から入手し得るKBM-703);α-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(GE Silicones社から入手し得るA-2287)およびビニル-トリス-(2-メトキシエトキシ)シラン(GE Silicones社から入手し得るA-172)がある。少なくとも1つの好ましい実施態様においては、エポキシシランカップリング剤は、上記のγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(A-187)である。A-174のようなメタクリルオキシシラン類の使用は、サイズ処理繊維のビニルエステルおよびポリエステル樹脂との適合性を改良する。エポキシシランカップリング剤は、上記サイズ組成物中に、10〜20質量%固形分、好ましくは10〜16質量%固形分、さらに好ましくは10〜14質量%固形分の量で存在し得る。
【0018】
さらに、上記サイジング組成物は、少なくとも1種の非イオン性潤滑剤を含有する。上記サイジング組成物中の非イオン性潤滑剤は、“湿潤潤滑剤”として作用し、フィラメント巻取り工程において、繊維にさらなる保護を与える。さらに、非イオン性潤滑剤は、毛羽の発生を低減する助けとなる。非イオン性潤滑剤のとりわけ適切な例としては、PEG 200 Monolaurate (Cognis社から商業的に入手し得るポリエチレングリコール脂肪酸エステル)およびPEG 600 Monooleate (Cognis社)がある。他の非限定的な例としては、PEG 600 Monostearate (Cognis社から入手し得るポリエチレングリコールモノステアレート)、PEG 400 Monostearate (Cognis社)、PEG 400 Monooleate (Cognis社)およびPEG 600 Monolaurate (Cognis社)のようなポリアルキレングリコール脂肪酸がある。最も好ましい実施態様においては、非イオン性潤滑剤は、PEG 200 Monolaurateである。非イオン性潤滑剤は、上記サイズ組成物中に、約6〜10質量%固形分、好ましくは7〜9質量%固形分の量で存在し得る。
非イオン性潤滑剤以外に、上記サイジング組成物は、少なくとも1種のカチオン性潤滑剤および少なくとも1種の帯電防止剤も含有する。カチオン性潤滑剤は、フィラメント間の摩擦を低減する助けとなる。カチオン性潤滑剤の適切な例としては、限定するものではないが、Cognis社から商品名EMERY 6760Lとして商業的に入手し得るポリエチレンイミンポリアミド塩、Lubesize K-12 (AOC社)のようなステアリン酸エタノールアミド、CIRRASOL 185AE (Unichemie社)およびCIRRASOL 185AN (Unichemie社)がある。上記サイズ組成物中に存在するカチオン性潤滑剤の量は、好ましくは、低い毛羽発生を有するコーティーングを形成する活性潤滑剤量を与えるに十分な量である。少なくとも1つの例としての実施態様においては、カチオン性潤滑剤は、上記サイズ組成物中に、0.01〜1.0質量%固形分、好ましくは0.03〜0.06質量%固形分の量で存在する。本発明において使用するのにとりわけ適する帯電防止剤としては、上記サイジング組成物に可溶性である帯電防止剤がある。適切な帯電防止剤の例としては、EMERSTAT 6660AおよびEMERSTAT 6665 (Emery Industries社から入手し得る第四級アンモニウム帯電防止剤)、およびLAROSTAT 264A (BASF社から入手し得る第四級アンモニウム帯電防止剤)のような化合物;テトラエチルアンモニウムクロライド;および塩化リチウムがある。帯電防止剤は、上記サイズ組成物中に、0.4〜0.8質量%固形分、好ましくは0.4〜0.6質量%固形分の量で存在し得る。
上記サイズ組成物中に存在するカチオン性潤滑剤と帯電防止剤の合計量は、0.4〜0.8質量%固形分、好ましくは0.4〜0.7質量%固形分の範囲であり得る。しかしながら、上記サイズ組成物中に存在するカチオン性潤滑剤と帯電防止剤の量は、約1.0質量%固形分以下の量であることが好ましい。
【0019】
さらに、上記サイジング組成物は、少量の少なくとも1種の弱有機酸を含有し得る。理論によって拘束することは望まないけれども、クエン酸、即ち、pHを調整するのに使用するサイジング組成物用の通常の酸添加剤は、上記フィルム形成剤およびガラス繊維の乾燥中に大量に使用する場合のエポキシシラン中のエポキシ基を早期に開環して、機械的性質の低下をもたらし得るものと信じている。本発明のサイズ組成物においては、微量の酢酸、ギ酸、コハク酸および/またはクエン酸を本発明のサイジング組成物に添加して、エポキシ基を早期に開環することなくカップリング剤中のシランを加水分解することができる。有機酸は、酢酸であることが好ましい。とりわけ好ましい実施態様においては、有機酸(酢酸のような)は、上記サイズ組成物中に、0.4〜1.0質量%固形分、好ましくは0.5〜0.7質量%固形分の量で存在する。
さらに、上記サイズ組成物は、上記サイズ組成物にホウ素原子を与え得るホウ素含有化合物も含有する。ホウ素含有化合物から放出されたホウ素原子は、ガラス界面のアミノシランと作用して残りのサイジング成分をガラス繊維に接着させる助けとなるものと推定される。さらに、上記サイズ組成物中のホウ酸のようなホウ素含有化合物の、アミノシラン(例えば、A-1100)およびエポキシシラン(例えば、A-187)と一緒の組合せが最終製品の機械的性質を改良することを見出した。適切なホウ素含有化合物の非限定的な例としては、ホウ酸、並びに酸化ホウ素、四ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、二ホウ酸アンモニウム、テトラフルオロホウ酸アンモニウム、テトラフルオロホウ酸ブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸カルシウム、フルオロホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウムおよびテトラフルオロホウ酸亜鉛のようなホウ酸塩がある。好ましくは、ホウ素含有化合物はホウ素である。ホウ素含有化合物は、上記サイジング組成物中に、0.2〜3.0質量%固形分、好ましくは0.2〜1.0質量%固形分、最も好ましくは0.2〜0.6質量%固形分の量で存在する。
上記サイズ組成物中の有機酸(例えば、酢酸)とホウ酸の組合せは、上記サイズ組成物に望ましくは3.0〜7.0のpH、より好ましくは3.5〜5.5のpHを与える。
【0020】
必要に応じて、上記サイズ組成物は、BAYBOND 2297 (Bayer社)、BAYBOND PU403 (Bayer社)およびW-290H (Chemtura社)のようなポリウレタンフィルム形成剤、またはEpi-Rez 5520-W-60 (Hexion Specialties Chemicals Incorporated社)のようなエポキシ/ポリウレタンフィルム形成剤を含み得る。
EPI-REZ Resin 3510-W-60、即ち、低分子量液状ビスフェノールAエポキシ樹脂(EPONTM Resin 828タイプ)の水性分散液;EPI-REZ Resin 3515-W-60、即ち、半固体ビスフェノールAエポキシ樹脂の水性分散液;EPI-REZ Resin 3519-W-50、即ち、CTBN(ブタジエン-アクリロニトリル)変性エポキシ樹脂の水性分散液;EPI-REZ Resin 3520-WY-55、即ち、半固体ビスフェノールAエポキシ樹脂(EPON 1001タイプ)の有機共溶媒を含む水性分散液;EPI-REZ Resin 3521-WY-53、即ち、EPI-REZ Resin 3520-WY-55分散液の低粘度形;EPI-REZ Resin 3522-W-60、即ち、固形ビスフェノールAエポキシ樹脂(EPON 1002タイプ)の水性分散液;EPI-REZ Resin 3535-WY-50、即ち、固形ビスフェノールAエポキシ樹脂(EPON 1004タイプ)の有機共溶媒を含む水性分散液;EPI-REZ Resin 3540-WY-55、即ち、固形ビスフェノールAエポキシ樹脂(EPON 1007タイプ)の有機共溶媒を含む水性分散液;EPI-REZ Resin 3546-WH-53、即ち、固形ビスフェノールAエポキシ樹脂(EPON 1007タイプ)の非HAPS共溶媒を含む水性分散液;EPI-REZ Resin 5003-W-55、即ち、平均官能価3を有するエポキシ化ビスフェノールAノボラック樹脂(EPON SU-3タイプ)の水性分散液;EPI-REZ Resin 5520-W-60、即ち、ウレタン変性ビスフェノールAエポキシ樹脂の水性分散液;EPI-REZ Resin 5522-WY-55、即ち、変性ビスフェノール-Aエポキシ樹脂(EPON 1002タイプ)の有機共溶媒を含む水性分散液;EPI-REZ Resin 6006-W-70、即ち、平均官能価6を有するエポキシ化o-クレゾールノボラック樹脂の水性分散液の各々は、Resolution Performance Products社から商業的に入手可能である。
ポリウレタンフィルム形成剤は、樹脂/サイズ界面相を強化することによってストランド一体性および機械的疲労性能を増強する。強化された樹脂界面相は、改良された亀裂に対する抵抗性を有し且つ改良された強度のような増強されたまたは改良された機械的性質を有する最終複合製品をもたらす。ウレタンフィルム形成剤は、上記サイジング組成物中に、約2〜約10質量%固形分の量、好ましくは2.5〜7.5質量%固形分、最も好ましくは約5.1質量%固形分の量で存在し得る。適切なポリウレタン分散液としては、HYDROSIZE Technologies社(米国ノースカロライナ州ローリー)から入手し得るHYDROSIZE U1-01、U1-03、U2-01、U4-01、U5-01、U6-01、U6-03およびU7-01のようなポリウレタンエマルジョンがある。
【0021】
上記サイズ組成物は、さらに、コーティーングのための活性成分を溶解または分散させるための水を含む。水は、水性サイジング組成物をそのガラス繊維への適用に適する粘度まで希釈し且つ所望の固形分量を繊維上で達成するのに汁分な量で添加する。サイズの混合固形分含有量は、約1.0〜約15%、好ましくは約5〜約10%、最も好ましくは約8〜約8.5%であり得る。好ましい実施態様においては、上記サイジング組成物は、およそ92%までの水を含有し得る。
上記サイジング組成物において使用する成分の範囲を、下記の表10に示す。

表10


本発明に従う好ましい水性サイジング組成物を下記の表11に示す。
表11

【0022】
上記サイズ組成物は、水、酢酸およびアミノシランカップリング剤を主混合容器に撹拌しながら加えることによって製造し得る。pHを、必要に応じて、追加の酢酸により5.5未満のpHに調整する。5.5未満のpHが得られた時点で、エポキシシランカップリング剤を主混合容器に加え、混合物を撹拌してシランカップリング剤を加水分解する。シラン加水分解を終えた時点で、エポキシ樹脂エマルジョン、ウレタン、非イオン性潤滑剤および水を含有するプレミックスを主混合容器に加える。その後、カチオン性潤滑剤、帯電防止剤およびホウ酸を、撹拌しながら、別々に添加する。必要に応じて、主混合物を、約3.0〜7.0の最終pHレベルに調整する。
上記サイズ組成物は、溶融ガラスを加熱ブッシングにより延伸して実質的に連続するガラス繊維を形成させることによるような通常の方法によって形成されたガラスのストランドに適用し得る。Aタイプガラス、Cタイプガラス、Eタイプガラス、Sタイプガラス、Rタイプガラス、ARタイプガラス、E-CRタイプガラス(Owens Corning社から商品名ADVANTEXとして商業的に入手し得る)、またはこれらの変性物のような任意のタイプのガラスを使用し得る。任意のガラス繊維を使用し得るけれども、サイズ性能は、高性能(HP)ガラス繊維を使用した場合に最適化される。上記サイズ組成物は、約5〜約30ミクロンの直径を有する繊維に適用し得るが、直径で約9〜約30ミクロンの繊維がより好ましい。風力ブレード用途における使用においては、好ましい直径は、約12〜19ミクロンおよび400〜8000texである。さらに、上記サイズ組成物は、単またはマルチフィラメント繊維ストランドにも適用し得る。各ストランドは、約2000〜4000本の繊維を含み得る。
【0023】
上記サイズ組成物は、繊維に、スプレーする或いはサイズ処理すべき繊維を上記サイジング組成物で湿した回転または静置ロールと交差させて延伸することによる任意の通常の適用方法を使用する任意の通常の方法で適用し得る。サイズの最終乾燥パッケージの外側への移行を減じるには、サイズ組成物中でできる限り低い水分含有量を有することが望ましい。上記サイズ組成物は、繊維に、約3質量%〜約15質量%の水分含有量を有する繊維および最終湿潤パッケージを得るに十分な量で適用し得る。しかしながら、上記サイズ組成物を、最終湿潤パッケージのパーセント構成水分が約5〜10質量%、好ましくは約5〜8質量%、最も好ましくは約5〜6質量%の水分含有量を有するように適用するのが好ましい。サイズ組成物中、従って、最終湿潤パッケージ中の水分量を減じることにより、最終パッケージ内で生じ得る移行を低減または排除する。即ち、サイズ移行の結果として廃棄物として除去しなければならないであろうパッケージの外側部分の量は、本発明のサイジング組成物を使用することによって低減または削除し得る。
上記サイズ組成物は、好ましくは、ガラス繊維に適用し、サイズが繊維の総質量基準で約0.3〜約1.25質量%の量で繊維上に存在するように乾燥させる。この量は、繊維の強熱減量(LOI)によって測定し得、この減量は、繊維を、有機サイズを繊維から焼却または熱分解させるに十分な温度に加熱した後の繊維が示す質量の低下である。
上記サイジング組成物は、有利には、編みまたは織り用途による布地内で使用する繊維をコーティーングするのに使用し得る。例えば、繊維を上記サイジング組成物でコーティーングまたは処理し、通常の方法で布地に形成し得る。その後、サイズ処理したロービングは、風力タービンブレードおよびナセル、航空機内部および外部部品、車両および基盤構造体アーマー、伝送ケーブル、自動車部品、CNG/LNGタンクのような高圧タンク、高圧パイプ、石油プラットフォーム構造物、電子装置、陶磁器および耐熱性濾過基体に成形し得る。得られた複合部品は、加熱して樹脂を硬化させ、冷却する。上記サイズ組成物によってサイズ処理した繊維から製造した複合部品は、優れた強度および優れた加工特性、例えば、ストランドのエポキシ樹脂によるより迅速な含浸、破壊フィラメント量の低さおよびより平滑な部品表面を示す。
本発明を一般的に説明してきたが、さらなる理解は、下記に示すある種の特定の実施例を参照することにより得られるであろう;これらの実施例は、単に説明目的で提示し、特に断らない限り、包括または限定するものではない。
【0024】
実施例
MGS L135i樹脂(+ 137i硬化剤)のを含み、Polyester Reichhold 513-575 (LMへの限定販売)を含み、さらに、ADVANTEXおよびHPガラス17〜1200 texロービングを含むロッドを引抜成形した。各ロッドを、それぞれISO 3597-2およびISO 3597-4に従う3点曲げ試験およびショートビーム剪断強度(SBSS)試験に供した。
繊維は、17〜1200 texであり(公称)、ADVANTEX繊維は、Owens Corning社から入手し得る13722 (NG-T30-Wind Energy)であり、HPガラス繊維は、377M、SE1200、SE2350-M2、SE2350-M3サイズ剤においてはまだ商業的に入手可能ではない。公称texは全ての製品において同一(1200tex)であったものの、Texの実効差は、HPガラスにおいて64.7%〜67.4%、ADVANTEXガラスにおいて63.5%〜70.0%の範囲のガラス含有量をもたらしていた。従って、2つのガラス間の正確な比較は、これらの差異を考慮しなければならない。
製品毎に、平均曲げ強度をガラス含有量(質量での)に対してプロットし、強度対ガラス含有量の回帰線をHPガラスおよびADVANTEXの双方において描く。回帰線の等式を整える。66.1%(質量)の全体的平均ガラス含有量において、HPガラスは、ADVANTEXよりも9.3%優れている曲げ強度を示している。
【0025】
本出願の発明を、一般的にまた特定の実施態様に関連して上記で説明してきた。好ましい実施態様であると信じる本発明を説明してきたけれども、当業者にとっては既知の広範囲の代替物を包括的開示内において選択し得る。本発明は、特許請求の範囲の記載以外で限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】曲げ強度における等分散についての検定を示す棒グラフである。
【図2】MGSエポキシにより製造した補強ロッドによるMPaでのロッド曲げ強度を示す棒グラフである。
【図3】HPおよびADVANTEX補強エポキシロッドにおけるガラス含有量に対する平均曲げ強度を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記を含むことを特徴とする、水性サイジング組成物:
少なくとも1種の界面活性剤および180〜210のエポキシ当量を有する液体エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂エマルジョン;
ウレタンフィルム形成剤;
少なくとも1種のアミノシランカップリング剤および少なくとも1種のエポキシシランカップリング剤を含むシランパッケージ;
カチオン性潤滑剤;
非イオン性潤滑剤;
帯電防止剤;
少なくとも1種の有機酸;および、
ホウ素含有化合物。
【請求項2】
前記液体エポキシ樹脂エポキシ当量が、185〜192である、請求項1記載の水性サイジング組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種の有機酸が、酢酸、ギ酸、コハク酸およびクエン酸からなる群から選ばれる、請求項1記載の水性サイジング組成物。
【請求項4】
前記ホウ素含有化合物が、ホウ酸、酸化ホウ素、四ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、二ホウ酸アンモニウム、テトラフルオロホウ酸アンモニウム、テトラフルオロホウ酸ブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸カルシウム、フルオロホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウムおよびテトラフルオロホウ酸亜鉛からなる群から選ばれる、請求項3記載の水性サイジング組成物。
【請求項5】
メタクリルオキシシランをさらに含む、請求項1記載の水性サイジング組成物。
【請求項6】
前記エポキシ樹脂エマルジョンが前記サイジング組成物中に60〜90質量%固形分の量で存在し、前記少なくとも1種のアミノシランカップリング剤が前記サイジング組成物中に0.4〜0.8質量%固形分の量で存在し、前記少なくとも1種のエポキシシランカップリング剤が前記サイジング組成物中に10〜20質量%固形分の量で存在し、前記非イオン性潤滑剤が前記サイジング組成物中に6〜10質量%固形分の量で存在し、前記カチオン性潤滑剤および帯電防止剤が前記サイジング組成物中に0.4〜0.8質量%固形分の量で存在し、前記少なくとも1種の有機酸が前記サイジング組成物中に0.4〜1.0質量%固形分の量で存在し、前記ホウ素含有化合物が前記サイジング組成物中に0.2〜3.0質量%固形分の量で存在する、請求項1記載の水性サイジング組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種のアミノシランカップリング剤がアミノプロピルトリエトキシシランであり、前記少なくとも1種のエポキシシランカップリング剤がγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランであり、前記ホウ素含有化合物がホウ酸である、請求項6記載の水性サイジング組成物。
【請求項8】
下記を含むサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティーングされた高強度ガラス繊維:
180〜210のエポキシ当量を有する液体エポキシ樹脂および少なくとも1種の界面活性剤を含有するエポキシ樹脂エマルジョン;
ウレタンフィルム形成剤;
少なくとも1種のアミノシランカップリング剤および少なくとも1種のエポキシシランカップリング剤を含有するシランパッケージ;
カチオン性潤滑剤;
非イオン性潤滑剤;
帯電防止剤;
少なくとも1種の有機酸;および、
ホウ素含有化合物。
【請求項9】
前記少なくとも1種のアミノシランカップリング剤がアミノプロピルトリエトキシシランであり、前記少なくとも1種のエポキシシランカップリング剤がγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランであり、前記ホウ素含有化合物がホウ酸である、請求項8記載のガラス繊維。
【請求項10】
前記少なくとも1種の界面活性剤が、下記を含む、請求項8記載のガラス繊維:
エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマー;および、
ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー。
【請求項11】
前記ホウ素含有化合物が、ホウ酸、酸化ホウ素、四ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、二ホウ酸アンモニウム、テトラフルオロホウ酸アンモニウム、テトラフルオロホウ酸ブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸カルシウム、フルオロホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウムおよびテトラフルオロホウ酸亜鉛からなる群から選ばれ;前記少なくとも1種の有機酸が、酢酸、ギ酸、コハク酸およびクエン酸からなる群から選ばれる、請求項10記載のガラス繊維。
【請求項12】
前記エポキシ樹脂エマルジョンが前記サイジング組成物中に60〜90質量%固形分の量で存在し、前記少なくとも1種のアミノシランカップリング剤が前記サイジング組成物中に0.4〜0.8質量%固形分の量で存在し、前記少なくとも1種のエポキシシランカップリング剤が前記サイジング組成物中に10〜20質量%固形分の量で存在し、前記非イオン性潤滑剤が前記サイジング組成物中に6〜10質量%固形分の量で存在し、前記カチオン性潤滑剤および帯電防止剤が前記サイジング組成物中に0.4〜0.8質量%固形分の量で存在し、前記少なくとも1種の有機酸が前記サイジング組成物中に0.4〜1.0質量%固形分の量で存在し、前記ホウ素含有化合物が前記サイジング組成物中に0.2〜3.0質量%固形分の量で存在する、請求項8記載のガラス繊維。
【請求項13】
前記エポキシ樹脂が、185〜192のエポキシ当量を有する、請求項12記載のガラス繊維。
【請求項14】
メタクリルオキシシランをさらに含む、請求項8記載のガラス繊維。
【請求項15】
下記を含むサイジング組成物で少なくとも部分的にコーティーングされた複数のガラス繊維を含む補強された複合物品:
180〜210のエポキシ当量を有する液体エポキシ樹脂および少なくとも1種の界面活性剤を含有するエポキシ樹脂エマルジョン;
ウレタンフィルム形成剤;
少なくとも1種のアミノシランカップリング剤および少なくとも1種のエポキシシランカップリング剤を含有するシランパッケージ;
カチオン性潤滑剤;
非イオン性潤滑剤;
帯電防止剤;
少なくとも1種の有機酸;および、
ホウ素含有化合物。
【請求項16】
前記液体エポキシ樹脂が、185〜192エポキシ当量を有する、請求項15記載の補強された複合物品。
【請求項17】
前記少なくとも1種のアミノシランカップリング剤がアミノプロピルトリエトキシシランを含み、前記少なくとも1種のエポキシシランカップリング剤がγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含み、前記ホウ素含有化合物がホウ酸である、請求項16記載の補強された複合物品。
【請求項18】
前記少なくとも1種の有機酸が、酢酸、ギ酸、コハク酸およびクエン酸からなる群から選ばれる、請求項15記載の補強された複合物品。
【請求項19】
前記ホウ素含有化合物が、ホウ酸、酸化ホウ素、四ホウ酸ナトリウム、メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、二ホウ酸アンモニウム、テトラフルオロホウ酸アンモニウム、テトラフルオロホウ酸ブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸カルシウム、フルオロホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラエチルアンモニウムおよびテトラフルオロホウ酸亜鉛からなる群から選ばれる、請求項15記載の補強された複合物品。
【請求項20】
前記エポキシ樹脂エマルジョンが前記サイジング組成物中に60〜90質量%固形分の量で存在し、前記少なくとも1種のアミノシランカップリング剤が前記サイジング組成物中に0.4〜0.8質量%固形分の量で存在し、前記少なくとも1種のエポキシシランカップリング剤が前記サイジング組成物中に10〜20質量%固形分の量で存在し、前記非イオン性潤滑剤が前記サイジング組成物中に6〜10質量%固形分の量で存在し、前記カチオン性潤滑剤および帯電防止剤が前記サイジング組成物中に0.4〜0.8質量%固形分の量で存在し、前記少なくとも1種の有機酸が前記サイジング組成物中に0.4〜1.0質量%固形分の量で存在し、前記ホウ素含有化合物が0.2〜3.0質量%固形分の量で存在する、請求項15記載の補強された複合物品。
【請求項21】
前記ガラス繊維が、HPタイプ、Aタイプガラス、Cタイプガラス、Eタイプガラス、Sタイプガラス、Rタイプガラス、ARタイプガラスおよびE-CRタイプガラスからなる群から選ばれる、請求項20記載の補強された複合物品。
【請求項22】
前記補強された複合物品が、風力タービンブレード、風力タービンナセル、航空機内部部品、航空機外部部品、車両アーマー、基盤構造体アーマー、伝送ケーブル、自動車部品、高圧タンク、高圧パイプ、石油プラットフォーム構造物、電子装置、陶磁器、耐熱性基体および濾過基体からなる群から選ばれる、請求項15記載の補強された複合物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−528250(P2009−528250A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557337(P2008−557337)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/005062
【国際公開番号】WO2007/100816
【国際公開日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(508076428)オーシーヴィー インテレクチュアル キャピタル リミテッド ライアビリティ カンパニー (43)
【Fターム(参考)】