説明

高性能パイプにおける急速割れ性質の改良

パイプ製品およびそれらの製造方法がここに記述されている。パイプ製品は一般的には低分子量部分より多い量の高分子量部分を包含する二モードポリエチレンを包含しておりそしてパイプ製品は5バールにおいて約0℃より低い臨界温度を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロス−リファレンス
本出願は2008年11月24日に出願された米国暫定特許出願第61/117,491号の優先権を請求する。
【0002】
分野
本発明の態様は一般的にはエチレンベース重合体から製造されるパイプに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
特許文献に反映されているように、複数モードポリオレフィン類は種々の製品、例えば、フィルム、シート、およびパイプ、の製造において使用されてきた。これらの複数モードポリオレフィン類から製造される製品は強度および他の性能性質を示しうるが、それらが0度以下の温度における割れおよび脆弱性を回避する能力においてしばしば制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、改良された割れ耐性を有する複数モードポリオレフィン類から製造されるパイプを開発する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
要旨
本発明の態様はパイプ製品を包含する。パイプ製品は一般的には低分子量部分より多い量の高分子量部分を包含する二モードポリエチレンを包含しておりそしてパイプ製品は5バールにおいて約0℃より低い臨界温度を示す。
【0006】
態様はパイプ製品を製造する方法をさらに包含する。これらの方法は一般的には約52重量%〜約54重量%の高分子量部分および約48重量%〜約46重量%の低分子量部分を包含する二モードポリエチレンを準備しそして二モードポリエチレンからパイプを製造することを含んでなり、ここでパイプ製品は5バールにおいて約−5℃より低い臨界温度を示す。
【0007】
詳細な記述
序論および定義
詳細な記述が次に提供されるであろう。添付された請求項の各々は別個の発明を規定しており、それは侵害目的のためには請求項で特定された種々の要素または制限の同等物を包含するとして認識される。前後関係により、以下の「発明」への全ての言及はある場合にはある種の特定態様だけをさす。他の場合には、「発明」への言及は請求項の全てである必要はないが1つもしくはそれ以上に列挙された主題をさすであろう。発明の各々は次に特定の態様を包含する以下のさらに詳細な変法および例に記述されるであろうが、発明はこの特許の情報が入手可能な情報および技術と組み合わされる時に当業者が発明を実施しそして使用しうるこれらの態様、変法または例に限定されるものではない。
【0008】
ここで使用される際の種々の用語は以下に示される。請求項で使用される用語が以下で定義されていない程度までは、関与する技術における専門家が出願時点において刊行された文献および発行された特許において提示した最も広い定義が与えられるべきである。さ
らに、断らない限り、ここに記述された全ての化合物は置換されていてもまたは置換されていなくてもよくそして化合物のリストはそれらの誘導体を包含する。
【0009】
ここで別の指示がない限り、全ての試験方法は出願時点において最新の方法である。
【0010】
ここで使用される際には、「室温」は数度の温度差が検討対象現象、例えば製造方法、に影響しないことを意味する。ある種の環境においては、室温は約20℃〜約28℃(68°F〜82°F)の温度を包含しうるが、他の環境においては、室温は例えば約50°F〜約90°Fを包含しうる。しかしながら、室温測定は一般的には工程温度の細かい監視を包含せず、従ってそのような詳述はここに記述された態様をいずれかの予め決められた温度範囲に拘束することを意図しない。
【0011】
種々の範囲は以下でさらに詳述される。断らない限り、終点は互換可能であることが意図される。さらに、その範囲内のいずれかの点はここに開示されているとして意図される。
【0012】
本発明の態様は一般的には二モードポリエチレンから製造されるパイプを包含する。
【0013】
触媒系
オレフィン単量体を重合するために有用な触媒系は当業者に既知である触媒系を包含する。例えば、触媒系はメタロセン触媒系、単一部位触媒系、チーグラー−ナッタ触媒系またはそれらの組み合わせを例えば包含しうる。当該技術で既知のように、触媒はその後の重合用に活性化することができそして担体物質と組み合わせてもよくまたはしなくてもよい。そのような触媒系の簡単な論議は以下に包含されるが、本発明の範囲をそのような触媒に何ら限定する意図はない。
【0014】
例えば、チーグラー−ナッタ触媒系は一般的には、例えば、金属成分(例えば、触媒)と1種もしくはそれ以上の追加成分、例えば触媒担体、共触媒および/または1種もしくはそれ以上の電子供与体、との組み合わせから製造される。
【0015】
チーグラー−ナッタ触媒の具体的な例は一般的には式:
MR
[式中、Mは遷移金属であり、Rはハロゲン、アルコキシまたはヒドロカルボキシルでありそしてxは遷移金属の原子価である]
により表示される金属成分を包含する。例えば、xは1〜4でありうる。
【0016】
遷移金属はIV族〜VIB族(例えば、チタン、バナジウムまたはクロム)から例えば選択できる。Rは1つの態様では塩素、臭素、カーボネート類、エステル類、またはアルコキシ基から選択できる。触媒成分の例はTiCl、TiBr、Ti(OCCl、Ti(OCCl、Ti(OC13Cl、Ti(OCBrおよびTi(OC1225)Clを例えば包含する。
【0017】
当業者は、触媒が重合促進用に利用される前にそれを何らかの方法で「活性化」しうることを認識するであろう。以下でさらに論じられるように、触媒をある場合には「共触媒」とも称するチーグラー−ナッタ活性化剤(Z−N活性化剤)と接触させることにより活性化を行うことができる。そのようなZ−N活性化剤の態様は有機アルミニウム化合物、例えばトリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEAl)およびトリイソブチルアルミニウム(TIBAl)、を例えば包含する。
【0018】
チーグラー−ナッタ触媒系は1種もしくはそれ以上の電子供与体、例えば内部電子供与
体および/または外部電子供与体、を包含しうる。内部電子供与体を使用して生ずる重合体のアタクチック形態を減少させて重合体中のキシレン可溶性物質を減少させることができる。内部電子供与体はアミン類、アミド類、エステル類、ケトン類、ニトリル類、エーテル類、ホスフィン類、ジエーテル類、スクシネート類、フタレート類、またはジアルコキシベンゼン類を例えば包含しうる。(引用することにより本発明の内容となる米国特許第5,945,366号明細書および米国特許第6,399,837号明細書を参照のこと)。
【0019】
外部電子供与体を使用して製造されるアタクチック重合体の量をさらに調節することができる。外部電子供与体は一官能性または多官能性カルボン酸類、無水カルボン酸類、カルボン酸エステル類、ケトン類、エーテル類、アルコール類、ラクトン類、有機燐化合物および/または有機珪素化合物を包含しうる。1つの態様では、外部供与体はジフェニルジメトキシシラン(DPMS)、シクロヘキシメチルジメトキシシラン(CDMS)、ジイソプロピルジメトキシシランおよび/またはジシクロペンチルジメトキシシラン(CPDS)を例えば包含しうる。外部供与体は使用される内部電子供与体と同一もしくは相異なりうる。
【0020】
チーグラー−ナッタ触媒系の成分(例えば、触媒、活性化剤および/または電子供与体)は、各々互いに組み合わされてまたは互いに別個に、担体と組み合わせることもできまたは組み合わせなくてもよい。Z−N担体物質はマグネシウムジハライド、例えば二塩化マグネシウムもしくは二臭化マグネシウム、またはシリカを例えば包含しうる。
【0021】
1つの具体的な態様では、マグネシウムジアルコキシド化合物を順次に強くなる塩素化および/または臭素化剤と接触させることによりチーグラー−ナッタ触媒が製造される。例えば、チーグラー−ナッタ触媒は引用することにより本発明の内容となる米国特許第6,734,134号明細書および米国特許第6,174,971号明細書に記述されているものを包含しうる。
【0022】
一般的にはアルキルマグネシウム化合物をアルコールと接触させてマグネシウムジアルコキシド化合物を製造することを包含する方法によりチーグラー−ナッタ触媒を製造しうる。そのような反応は例えば室温から約90℃の範囲にわたる反応温度において約10時間までの時間にわたり起きうる。アルコールをアルキルマグネシウム化合物に約0.5〜約6または約1〜約3の当量で例えば加えることができる。
【0023】
アルキルマグネシウム化合物は以下の式:
MgR
[式中、RおよびRはC〜C10アルキル基から独立して選択される]
により表示できる。アルキルマグネシウム化合物の非限定例はブチルエチルマグネシウム(BEM)、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウムおよびジブチルマグネシウムを例えば包含する。
【0024】
アルコールは式:
OH
[式中、RはC〜C20アルキル基から選択される]
により表示できる。アルコール類の非限定例は一般的にはブタノール、イソブタノールおよび2−エチルヘキサノールを例えば包含する。
【0025】
これらの方法は次にマグネシウムジアルコキシド化合物を第一試薬と接触させて反応生成物「A」を製造することを包含する。そのような反応は不活性溶媒の存在下で起きうる。種々の炭化水素類を不活性溶媒として使用できるが、選択されるいずれの炭化水素も全
ての関連反応温度において液体形態で残存しなければならずそして担持された触媒組成物を製造するために使用される成分は炭化水素中に少なくとも部分的に可溶性でなければならない。従って、ある種の態様ではたとえ成分が炭化水素中に部分的にのみ可溶性であっても、炭化水素はここでは溶媒であると考えられる。
【0026】
適する炭化水素溶媒は置換されたおよび置換されていない脂肪族炭化水素類並びに置換されたおよび置換されていない芳香族炭化水素類を包含する。例えば、不活性溶媒はヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1−クロロブタンまたはそれらの組み合わせを例えば包含しうる。
【0027】
反応はさらに約0℃〜約100℃または約20℃〜約90℃の温度において約0.2時間〜約24時間または約1時間〜約4時間の時間にわたり例えば起きうる。
【0028】
第一試薬の非限定例は一般的には以下の式:
ClA(O
[式中、Aはチタン、珪素、アルミニウム、炭素、錫およびゲルマニウムから選択され、RはC〜C10アルキル、例えばメチル、エチル、プロピルおよびイソプロピル、から選択され、xは0または1でありそしてyはAマイナス1の原子価である]
により表示される。第一試薬の非限定例はクロロチタントリイソプロポキシドClTi(OPr)およびClSi(Me)を例えば包含しうる。
【0029】
これらの方法は次に反応生成物「A」を第二試薬と接触させて反応生成物「B」を製造することを包含する。そのような反応は不活性溶媒の存在下で起きうる。不活性溶媒はここでこれまでに論じられた溶媒のいずれかを例えば包含しうる。反応はさらに約0℃〜約100℃または約20℃〜約90℃の温度において約0.2時間〜約36時間または約1時間〜約4時間の時間にわたり例えば起きうる。
【0030】
第二試薬を反応生成物「A」に約0.5〜約5、または約1〜約4または約1.5〜約2.5の当量で例えば加えることができる。
【0031】
第二試薬は以下の式:
TiCl/Ti(OR
[式中、RはC〜C20アルキル基から選択される]
により表示される。第二試薬の非限定例は塩化チタンおよびチタンアルコキシド類の配合物、例えばTiCl/Ti(OBu)、を包含する。配合物は約0.5〜約5または約2〜約3のTiCl:Ti(ORの当量を有しうる。
【0032】
これらの方法は次に反応生成物「B」を第三試薬と接触させて反応生成物「C」を製造することを包含しうる。そのような反応は不活性溶媒の存在下で起きうる。不活性溶媒はここでこれまでに論じられた溶媒のいずれかを例えば包含しうる。反応はさらに室温において例えば起きうる。
【0033】
第三試薬の非限定例は金属ハライド類を包含する。金属ハライド類は当業界で既知であるいずれかの金属ハライド、例えば四塩化チタン(TiCl)を例えば包含しうる。第三試薬を約0.1〜約5、または約0.25〜約4または約0.45〜約2.5の当量で例えば加えることができる。
【0034】
これらの方法は次に反応生成物「C」を第四試薬と接触させて反応生成物「D」を製造することをさらに包含しうる。そのような反応は不活性溶媒の存在下で起きうる。不活性溶媒はここでこれまでに論じられた溶媒のいずれかを包含しうる。反応はさらに室温にお
いて例えば起きうる。
【0035】
第四試薬を反応生成物「C」に約0.1〜約5、または約0.25〜約4または約0.45〜約2.0の当量で例えば加えることができる。
【0036】
第四試薬の非限定例は金属ハライド類を包含する。金属ハライド類はここでこれまでに記述されたいずれかの金属ハライドを包含しうる。
【0037】
これらの方法は次に反応生成物「D」を第五試薬と接触させて触媒成分を製造することを包含しうる。第五試薬を反応生成物「D」に約0.1〜約2または0.5〜約1.2の当量で例えば加えることができる。
【0038】
第五試薬の非限定例は有機アルミニウム化合物を包含する。有機アルミニウム化合物は以下の式:
AlR
[式中、RはC〜C10アルキル化合物である]
を有するアルミニウムアルキル類を包含しうる。アルミニウムアルキル化合物の非限定例は一般的にはトリメチルアルミニウム(TMA)、トリイソブチルアルミニウム(TIBAl)、トリエチルアルミニウム(TEAl)、n−オクチルアルミニウムおよびn−ヘキシルアルミニウムを例えば包含する。
【0039】
重合方法
ここの他の部分で示されているように、触媒系を使用してポリオレフィン組成物を製造することができる。上記の通りにしておよび/または当業者に既知であるようにして触媒系が製造されたら、その組成物を用いて種々の方法を実施しうる。重合方法で使用される装置、工程条件、反応物、添加剤および他の物質は指定された方法において、製造される重合体の所望する組成および性質によって、変動するであろう。そのような方法は溶液相、気体相、スラリー相、塊状相、高圧方法またはそれらの組み合わせを例えば包含しうる。(引用することにより本発明の内容となる米国特許第5,525,678号明細書、米国特許第6,420,580号明細書、米国特許第6,380,328号明細書、米国特許第6,359,072号明細書、米国特許第6,346,586号明細書、米国特許第6,340,730号明細書、米国特許第6,339,134号明細書、米国特許第6,300,436号明細書、米国特許第6,274,684号明細書、米国特許第6,271,323号明細書、米国特許第6,248,845号明細書、米国特許第6,245,868号明細書、米国特許第6,245,705号明細書、米国特許第6,242,545号明細書、米国特許第6,211,105号明細書、米国特許第6,207,606号明細書、米国特許第6,180,735号明細書および米国特許第6,147,173号明細書を参照のこと)。
【0040】
ある種の態様では、上記の方法は一般的には1種もしくはそれ以上のオレフィン単量体を重合して重合体を製造することを包含する。オレフィン重合体はC〜C30オレフィン単量体、またはC〜C12オレフィン単量体(例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、ヘキセン、オクテンおよびデセン)を例えば包含しうる。単量体はオレフィン系不飽和単量体、C〜C14ジオレフィン類、共役または非共役ジエン類、ポリエン類、ビニル単量体および環式オレフィン類を例えば包含しうる。他の単量体の非限定例はノルボルネン、ノボルナジエン、イソブチレン、イソプレン、ビニルベンゾシクロブタン、スチレン、アルキル置換されたスチレン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエンおよびシクロペンテンを例えば包含しうる。製造される重合体はホモ重合体、共重合体または三元共重合体を例えば包含しうる。
【0041】
溶液方法の例は引用することにより本発明の内容となる米国特許第4,271,060号明細書、米国特許第5,001,205号明細書、米国特許第5,236,998号明細書および米国特許第5,589,555号明細書に記述されている。
【0042】
気相重合方法の一例は連続的循環システムを包含しており、そこでは循環気体流(そうでなければ再循環流または流動化媒体としても知られる)が反応器内で重合熱により加熱される。反応器外部の冷却システムにより循環の別部分において循環気体流から熱を除く。1種もしくはそれ以上の単量体を含有する循環気体流は流動床を通して触媒の存在下で反応条件下で連続的に循環させうる。循環気体流は一般的には流動床から除去されそして反応器に逆に再循環される。同時に、重合体生成物は反応器から除去されそして新しい単量体を加えて重合された単量体を置換することができる。気相方法における反応器圧力は約100psig〜約500psig、または約200psig〜約400psigまたは約250psig〜約350psigに例えば変動しうる。気相方法における反応器温度は約30℃〜約120℃、または約60℃〜約115℃、または約70℃〜約110℃または約70℃〜約95℃に例えば変動しうる。(引用することにより本発明の内容となる米国特許第4,543,399号明細書、米国特許第4,588,790号明細書、米国特許第5,028,670号明細書、米国特許第5,317,036号明細書、米国特許第5,352,749号明細書、米国特許第5,405,922号明細書、米国特許第5,436,304号明細書、米国特許第5,456,471号明細書、米国特許第5,462,999号明細書、米国特許第5,616,661号明細書、米国特許第5,627,242号明細書、米国特許第5,665,818号明細書、米国特許第5,677,375号明細書および米国特許第5,668,228号明細書を参照のこと)。
【0043】
スラリー相方法は一般的には、固体粒状重合体の液体重合媒体中懸濁液を製造し、それに単量体および場合により水素を触媒と共に加えることを包含する。懸濁液(希釈剤を包含しうる)を反応器から間欠的にまたは連続的に除去することができ、揮発性成分を重合体から分離しそして、場合により蒸留後に、反応器に再循環させることができる。重合媒体中で使用される液化希釈剤はC〜Cアルカン(例えば、ヘキサンまたはイソブタン)を例えば包含しうる。使用される媒体は一般的には重合条件下で液体でありそして比較的不活性である。塊状相方法では液体媒体が反応物(例えば、単量体)でもあること以外は、塊状相方法はスラリー方法のものと同様である。しかしながら、方法は塊状方法、スラリー方法または塊状スラリー方法で例えばありうる。
【0044】
具体的な態様では、スラリー方法または塊状方法は1個もしくはそれ以上のループ反応器の中で連続的に実施しうる。スラリー状または乾燥自由流動性粉末状の触媒を反応器ループに定期的に注入することができ、ループ自体を成長しつつある重合体粒子の希釈剤中の循環スラリーで例えば充填することができる。場合により、例えば生ずる重合体の分子量調節のために、水素をこの方法に加えることができる。ループ反応器は約27バール〜約50バールまたは約35バール〜約45バールの圧力および約38℃〜約121℃の温度に例えば維持できる。反応熱をループ壁を通して当業者に既知であるいずれかの方法により、例えば二重被覆パイプまたは熱交換器により、例えば除くことができる。
【0045】
或いは、他のタイプの重合方法、例えば直列、並列またはそれらの組み合わせ、の撹拌反応器、を使用することができる。反応器からの除去時に、重合体をさらなる処理、例えば添加剤の添加および/または押し出し、のために重合体回収システムに例えば送ることができる。
【0046】
1つもしくはそれ以上の態様では、重合方法は複数モードポリオレフィン類の製造を包含する。ここで使用される際には、用語「複数モード」は少なくとも2つの異なる分子量部分を示すポリオレフィンをさす。例えば、重合体は二モード分子量分布、例えば高分子
量部分および低分子量部分、を示しうる(すなわち、それらは二モード重合体である)。
【0047】
1つもしくはそれ以上の態様では、重合方法は二モードポリオレフィン類の製造を包含する。本発明の1つもしくはそれ以上の態様はスラリーを少なくとも2つの反応区域(例えば、二モード方法)の中に送ることを包含しうる。ここで使用される際には、用語「二モード方法」は二モード分子量分布を示す重合体(例えば、二モード重合体)を製造する複数の反応区域(例えば、2つの反応区域)を包含する重合方法をさす。例えば、少なくとも1つの同定可能な高分子量部分および少なくとも1つの同定可能な低分子量部分を包含する単一組成物は「二モード」ポリオレフィンであると考えられる。
【0048】
高分子量部分は低分子量部分の分子量より大きい分子量を示す。高分子量部分は約50,000〜約10,000,000、または約60,000〜約5,000,000または約65,000〜約1,000,000の分子量を例えば有しうる。対照的に、低分子量部分は約500〜約50,000、または約525〜約40,000または約600〜約35,000の分子量を例えば有しうる。
【0049】
二モード重合体は約80:20〜約20:80、または約70:30〜約30:70または約60:40〜約40:60の高分子量部分対低分子量部分の比を例えば有しうる。
【0050】
二モードポリオレフィン類は直列にある複数の反応器の中で製造することができる。反応器は上記のいずれかの反応器または反応器の組み合わせを包含しうる。1つもしくはそれ以上の態様では、同一触媒が両方の反応器の中で使用される。高分子量部分および低分子量部分をいずれかの順序で反応器の中で製造することができ、例えば、低分子量部分を第一反応器の中で製造しそして高分子量部分を第二反応器の中で、または逆にして、例えば製造することができる。
【0051】
重合体生成物
ここに記述された方法により製造される重合体(およびそれらの配合物)は線状低密度ポリエチレン、エラストマー類、プラストマー類、高密度ポリエチレン類、低密度ポリエチレン類、中密度ポリエチレン類、二モードポリエチレン、二モードポリプロピレン、ポリプロピレンおよびポリプロピレン共重合体を例えば包含するが、それらに限定されない。
【0052】
1つもしくはそれ以上の態様はエチレンベース重合体を包含する。ここで使用される際には、用語「エチレンベース重合体」は少なくとも約50重量%、または少なくとも約80重量%のエチレン、または少なくとも約85重量%のエチレン、または少なくとも約90重量%のエチレン、または少なくとも約95重量%のエチレンまたは少なくとも約98重量%のエチレンを包含する重合体を例えばさす。
【0053】
1つの態様では、エチレンベース重合体は約0.86g/cc〜約0.97g/cc、または約0.90g/cc〜約0.97g/ccまたは約0.93g/cc〜約0.97g/ccの密度を例えば有しうる。
【0054】
そのようなエチレンベース重合体は約1.5〜約30または約5〜約25の分子量分布を例えば有しうる。
【0055】
エチレン重合体は約0.001dg/分〜約1000dg/分、または約0.01dg/分〜約100dg/分、または約0.02dg/分〜約50dg/分または約0.03dg/分〜約10dg/分のメルトインデックス(MI)を例えば有しうる。
【0056】
生成物用途
重合体およびそれらの配合物は当業者に既知である用途、例えば製造操作(例えば、フィルム、シート、パイプおよび繊維の押し出しおよび共押し出し並びにブロー成型、射出成型および回転成型)、において有用である。フィルムは、食品接触および非食品接触用途において収縮フィルム、粘着フィルム、延伸フィルム、密封フィルム、配向フィルム、スナック包装、重負荷バッグ、雑貨ザック、焼かれそして冷凍された食品包装、医学用包装、工業用ライナー、および膜として有用な押し出しもしくは共押し出しによりまたは積層により製造されるブローされ、配向されまたは流し込まれたフィルムを包含する。繊維はザック、バッグ、ロープ、撚糸、カーペット裏打ち、カーペット糸、フィルター、おむつ布、医学用衣服およびジオテキスタイルにおける使用のためのスリット−フィルム、モノフィラメント、溶融紡糸、溶液紡糸および溶融ブロー繊維操作を例えば包含する。押し出し製品は医学用チューブ、ワイヤーおよびケーブルコーティング、シート、熱成形シート、ジオメンブランおよびポンドライナーを例えば包含する。成型製品は瓶、タンク、大型中空製品、硬質食品容器および玩具の形状の単一および複数層構造体を例えば包含する。
【0057】
1つもしくはそれ以上の態様では、重合体を使用してパイプ製品を製造する。例えば、パイプ製品はパイプ、チューブ、成型されたすり合わせ、パイプコーティングおよびそれらの組み合わせを包含しうる。パイプ製品を工業/化学方法、鉱業操作、気体配分、携帯用水配分、気体および油製造、光繊維導管、下水システムおよびパイプ再ライニングにおいて例えば使用することができる。
【0058】
パイプ材料は開始した割れの成長を停止または阻止させうることが必要であるため、急速割れ伝搬(RCP)は高性能パイプの重要な性能特性である。RCP性質が不適切である場合には、割れは急速に成長しそしてパイプの大きい部分に沿って開いてしまうことがある。パイプ材料は冷温露呈で脆くなり始めることがあり、さらにRCPを悪化させる。従って、RCPに対する耐性はパイプ材料の臨界温度により測定することができる。ここで使用される際には、用語「臨界温度」は延性(割れが阻止される点)から脆性(割れが成長する点)への衝撃変化に応答する温度をさす。
【0059】
予期せぬことに、本発明の態様は急速割れ伝搬(RCP)に対する改良された耐性を示すパイプを製造可能である。例えば、本発明の態様は約0℃より低い、または約−5℃より低いまたは約−10℃より低い臨界温度(ISO 13477:1997(E)により測定される)を示すパイプを製造可能である。
【0060】
1つの態様では、エチレンベース重合体は約500時間〜約12,000時間、または約1,500時間〜約5,000時間、または約3,000時間〜約5,000時間または約3,000時間〜約8,000時間のPENT(ペンシルバニア切欠き引張り試験)を例えば有する。予期せぬことに、本発明の態様はPENT性能を犠牲にすることなく上記の臨界温度を有するパイプを製造可能である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
実施例
本発明を一般的に記述してきたが、以下の実施例は本発明のある種の態様を説明しそしてそれらの実施法および利点を示すためだけに提供される。実施例は説明のために示されておりそして明細書または請求項の範囲を何らかの方法で限定する意図はないことを理解すべきである。
【0062】
ここで使用される際には、重合体「A」はトータル・ペトロケミカルズ・USA・インコーポレーテッド(Total Petrochemicals USA Inc.)か
ら3344Nとして市販されている二モード高密度パイプ等級品であった。
【0063】
ここで使用される際には、重合体「B」は記述された触媒を用いて下記の触媒製造方法により製造されそして50.3:49.7のLMW/HMWスプリットを示す二モード高密度パイプ等級品であった。
【0064】
ここで使用される際には、重合体「C」は記述された触媒を用いて下記の触媒製造方法により製造されそして47.2:52.8のLMW/HMWスプリットを示す二モード高密度パイプ等級品であった。
【0065】
試料の急速割れ伝搬(RCP)耐性はS4試験(Small Scale Steady State)と称する方法に従い測定され、それはロンドンのインペリアル・カレッジ(Imperial College)で開発されそしてISO13477:1997(E)に記述されている。RCP−S4試験によると、試験した各パイプは860mmの軸長さを有していた。各パイプの外径は110mmでありそして各パイプの壁厚さは10mmであった。本発明に関する各パイプのRCP性質を測定する時には、外径および壁厚さはそれぞれ110mmおよび10mmであるように選択された。各パイプの外部は周囲圧力(大気圧)であり、パイプは内部に加圧され、そしてパイプの内圧は0.5MPa正圧の圧力に保たれた。試験中の減圧を防ぐためにディスクは各パイプ内部の軸の上に設置された。急速に走行する軸方向の割れを開始させるために規定された形状のナイフ弾丸がパイプに向かって発射された。試験装置は割れ開始が当該パイプ材料中で起きるような方法で調節された。測定区域内の軸方向の割れ長さが各試験に関して測定されそして設定試験温度に対してプロットされた。割れ長さが440mmを越えた場合には、割れが伝搬したと評価された。パイプが特定温度において試験に合格した時には、パイプがもはや試験に合格しなくなる温度に達するまで温度を連続的に下げた。臨界温度(Tcrit)が記録された。試験の結果は表1に示される。
【0066】
【表1】

【0067】
予期せぬことに、樹脂の二モード性がより高い割合の高分子量重合体を有するより低いスプリットに移行する時に臨界温度は有意に改良された。
【0068】
前記は本発明の態様に向けられているが、本発明の他のそして別の態様もその基本的範囲から逸脱せずに案出することができそしてその範囲は以下の請求項により決められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低分子量部分より多い量の高分子量部分を含んでなる二モードポリエチレンを含んでなるパイプ製品であって、そしてパイプ製品が5バールにおいて約0℃より低い臨界温度を示すパイプ製品。
【請求項2】
二モードポリエチレンがチーグラー−ナッタ触媒により製造され、チーグラー−ナッタ触媒が
アルキルマグネシウム化合物をアルコールと接触させてマグネシウムジアルコキシド化合物を製造し、
マグネシウムジアルコキシド化合物を複数の第一試薬と接触させて反応生成物「A」を製造し、
反応生成物「A」を遷移金属およびハロゲンを含んでなる第二試薬と接触させて反応生成物「B」を製造し、
反応生成物「B」を第一金属ハライドを含んでなり且つ第三試薬が第二試薬より強いハロゲン化剤である第三試薬と接触させて反応生成物「C」を製造し、
場合により、反応生成物「C」を第二金属ハライドを含んでなり且つ第四試薬が第三試薬より強いハロゲン化剤である第四試薬と接触させて反応生成物「D」を製造し、そして
反応生成物「D」を有機アルミニウム化合物を含んでなる第五試薬と接触させてチーグラー−ナッタ触媒成分を製造することにより
製造される、請求項1のパイプ製品。
【請求項3】
パイプ製品が5バールにおいて約−5℃より低い臨界温度を示す、請求項1のパイプ製品。
【請求項4】
二モードポリエチレンが少なくとも約80:20〜約50.1:49.9の高分子量部分対低分子量部分の比を含んでなる、請求項1のパイプ製品。
【請求項5】
高分子量部分が約65,000〜約1,000,000の分子量(M)を示す、請求項1のパイプ製品。
【請求項6】
低分子量部分が約600〜約35,000の分子量(M)を示す、請求項1のパイプ製品。
【請求項7】
二モードポリエチレンが少なくとも約85重量%のポリエチレンを含んでなる、請求項1のパイプ製品。
【請求項8】
二モードポリエチレンが少なくとも約98重量%のポリエチレンを含んでなる、請求項1のパイプ製品。
【請求項9】
二モードポリエチレンが約5〜約25の分子量分布を示す、請求項1のパイプ製品。
【請求項10】
二モードポリエチレンが約0.03dg/分〜約10dg/分のメルトインデックス(MI)を示す、請求項1のパイプ製品。
【請求項11】
パイプ製品が約500〜約10,000のペンシルバニア切欠き引張り試験(PENT)を示す、請求項1のパイプ製品。
【請求項12】
約52重量%〜約54重量%の高分子量部分および約48重量%〜約46重量%の低分子量部分を含んでなる二モードポリエチレンを準備し、そして
二モードポリエチレンからパイプを製造する
ことを含んでなるパイプ製品の製造方法であって、パイプ製品が5バールにおいて約−5℃より低い臨界温度を示す方法。
【請求項13】
二モードポリエチレンがチーグラー−ナッタ触媒により製造され、チーグラー−ナッタ触媒が
アルキルマグネシウム化合物をアルコールと接触させてマグネシウムジアルコキシド化合物を製造し、
マグネシウムジアルコキシド化合物を複数の第一試薬と接触させて反応生成物「A」を製造し、
反応生成物「A」を遷移金属およびハロゲンを含んでなる第二試薬と接触させて反応生成物「B」を製造し、
反応生成物「B」を第一金属ハライドを含んでなり且つ第三試薬が第二試薬より強いハロゲン化剤である第三試薬と接触させて反応生成物「C」を製造し、
場合により、反応生成物「C」を第二金属ハライドを含んでなり且つ第四試薬が第三試薬より強いハロゲン化剤である第四試薬と接触させて反応生成物「D」を製造し、そして
反応生成物「D」を有機アルミニウム化合物を含んでなる第五試薬と接触させてチーグラー−ナッタ触媒成分を製造することにより
製造される、請求項12の方法。
【請求項15】
高分子量部分が約65,000〜約1,000,000の分子量(M)を示す、請求項12の方法。
【請求項16】
低分子量部分が約600〜約35,000の分子量(M)を示す、請求項12の方法。
【請求項17】
パイプ製品が約500〜約10,000のペンシルバニア切欠き引張り試験(PENT)を示す、請求項12の方法。

【公表番号】特表2013−510923(P2013−510923A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538812(P2012−538812)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/022820
【国際公開番号】WO2011/062650
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】